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干支 - 水鏡先生の経済分析

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干支 - 水鏡先生の経済分析
第51号
2006年1月11日
干支(えと)
(1)
水鏡先生: 皆さん! 新年明けましてお芽出とう。今年も楽しい年になるよう皆で
頑張ろうね。
鳳鳳(フォン・フォン)
今年はフォ
ン・フォンに
加え、ロン・
ロンも参加す
ることになっ
たんじゃ。
竜竜(ロン・ロン)
今年も
よろし
くね。
今年から水
鏡先生の探
訪録に参加
することに
なりまし
た。よろし
くね。
鳳鳳:
先生! オメデトウございます。今年もよろしくお願いします。
竜竜:
先生! オメデトウございます。ところで、先生のお芽出とうは芽が
出るということに掛けているのですか?
水鏡先生:
よくわかったね。皆の運勢が良くなるようにと願っているのじゃ。
鳳鳳:
ところで今年2006年は丙戌(ひのえ・いぬ)と云われています
が、丙とか戌とか呼ぶのは何か運勢と関係があるのですか?
水鏡先生:
これは十干十二支(じゅっかん・じゅうにし)と呼ばれているもの
じゃ。日本ではなじみのある12の動物で表現されている十二支を一
般的に干支(えと)と呼んでいるんだよ。
十二支については紀元前1600年ごろに実在した中国最古の王朝、
殷(いん)の時代に、王充(おういつ)という人が民衆に十二支を広
めるために動物を当てはめて書いた文献が残っているのだよ。殷とい
うと、河南省安陽市で出土した甲骨文字が世界を驚かし、一躍中国考
古学発祥の聖地となったことでも有名だね。歴史的ロマンを感じるだ
ろう。
第52号
2006年1月13日
干支(えと)
(2)
すいきょう先生! 干支というのは占いですか?
竜竜:
水鏡先生: よく干支というと街角でみかける易者さんが、算木・筮竹(さんぎ・ぜ
いちく)を使って人生などを占ってくれる様子を想像するのだろうが、
それとは本来別のものだよ。
干支とは、人間の世の出来事、変化、推移というものを十干十二支60
の範疇に分けて、経験に照らし合わせて結論を出したものです。殷の時
代から数千年の人類の歴史的経験から創り出した人類最大の統計処理を
された科学的なものといえるのじゃ。
干支の干は木の「幹」や「根」です。支は「枝」になります。よって干
支で一本の草木、生命体になるのです。大事なのは「干」の方ですね。
十干(じゅっかん)
草木の生長の様子を表したもので、草木が殻を破って芽を出し、根を張
る。そして茎が固く太って実り、それを刈り取って終わるという流れを
10段階に分類したもの。
十干は陰陽五行説の「水火土金水」(モクカドゴンスイ)に割り振られ
、さらに陰と陽に分けられる。日本語読みでは陽をえ(兄)、陰をと
(弟)と呼ぶ。陽(え)と陰(と)が交互に出てくるので「えと」と呼
ばれるようになった。
木
陽
え(兄)
きのえ
甲
火
陰
と(弟)
きのと
乙
陽
え(兄)
ひのえ
丙
土
陰
と(弟)
ひのと
丁
陽
陰
え(兄)
と(弟)
つちのえ つちのと
戊
己
金
陽
え(兄)
かのえ
庚
水
陰
と(弟)
かのと
辛
陽
陰
え(兄)
と(弟)
みずのえ みずのと
壬
癸
第53号
2006年1月16日
干支(えと)
竜竜:
(3)
水鏡先生! 動物で呼ばれる十二支は何を表わしているのですか?
水鏡先生: 十二支とは、木星が12年で天を一周するという事実から、12年を年
毎に分割して木星の位置を表わしたものと云われているのじゃ。殷の甲
骨文字で表現されていた十二支は、十干と組み合わせられて日付を表わ
すのに用いられていたのじゃよ。その後、日付だけでなく、年、月、時
刻、方位などに用いられてきたんだよ。
「草木も眠る丑三つ時」という言い方、歌舞伎やお芝居などで聞いたこ
とがあるだろう。丑三つ時とは午前3時から3時半までの時間をいうの
だよ。午前、午後、正午という表現も日頃使っているよね。
鳳鳳;
方向では、東が卯、西が酉、南が午、北が子ですね。北東は丑寅(うし
とら)、南東は辰巳(たつみ)、南西は未申(ひつじさる)
、北西は戌亥
(いぬい)と呼ばれてますね。東京で門前仲町という処がありますが、
その場所は江戸城からみて南東に位置し、そこの芸者さんは気風が良く
て粋な芸者さんで、江戸時代から辰巳芸者と呼ばれています。
十二支(じゅうにし)
十二支と読み
子(シ)
丑(チュウ)
寅(イン)
卯(ボウ)
辰(シン)
巳(シ)
午(ゴ)
未(ビ)
申(シン)
酉(ユウ)
戌(ジュツ)
亥(ガイ)
和読み(動物)
月(陰暦)
ね(鼠)
11月
うし(牛)
12月
とら(虎)
1月
う(うさぎ)
2月
たつ(竜)
3月
み(蛇)
4月
うま(馬)
5月
ひつじ(羊)
6月
さる(猿)
7月
とり(鶏)
8月
いぬ(犬)
9月
い(猪)
10月
時刻
0時
2時
4時
6時
8時
10時
12時
14時
16時
18時
20時
22時
方位
北
北東微北
北東微南
東
南東微北
南東微南
南
南西微南
南西微北
西
北西微南
北西微北
第54号
2006年1月18日
干支(えと)
鳳鳳;
(4)
十干と十二支それぞれの話しを聞きましたが、その組み合わせ、十干十
二支について教えてください。
水鏡先生: 陰陽五行説でものごとを陰と陽に分けるということを教えたね。そこで
十干を「と」で終わる陰のグループ(乙、丁、己、辛、癸)と「え」で
終わる陽のグループ(甲、丙、戊、庚、壬)に分けます。
十二支も同じように、陰のグループ(丑、卯、巳、未、酉、亥)と陽の
グループ(子、寅、辰、午、申、戌)に分けます。
組み合わせは陰干と陰支、陽干と陽支というように同じ属性のグループ
同士内で行います。属性が違うグループで組合すことはありません。
最初に陽のグループ、次に陰のグループの組み合わせで、交互に順番を
付けていきます。その順番は全部で60通りになります。
算数で考えると、十干と十二支の組み合わせは、10と
12の最小公倍数になりますね。
10=2*5、12=2*2*3ですから、
最小公倍数=2*2*3*5=60ですね。
水鏡先生: 60歳になると「還暦」といって赤いチャンチャンコを着せられてお祝
いを受けますが、これは60年で暦が一回りし、再び暦の頭に戻るとい
うことを意味しています。
赤いチャンチャンコを着るのは、60歳で1回転し、生まれた年の干支に
戻るというで、赤ちゃんに戻ると云う意味が込められているんですよ。
ところで、十干十二支の組み合わせの最初は甲子(きのえ・ね)です
が、高校野球で有名な甲子園球場が出来たのが大正13年8月1日、まさ
に、干支が最初に戻った年だったので、甲子園と名付けられたのだよ。
第55号
2006年1月20日
干支(えと)
(5)
水鏡先生: 十干十二支は、60の組合せで一巡するということを学んだね。より身
近に十干十二支を感じるために、その組合せ1番から60番までを眺めて
みよう。
これが、
十干十二支
の全てじゃ
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
甲子
乙丑
丙寅
丁卯
戊辰
己巳
庚午
辛未
壬申
癸酉
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
甲戌
乙亥
丙子
丁丑
戊寅
己卯
庚辰
辛巳
壬午
癸未
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
甲申
乙酉
丙戌
丁亥
戊子
己丑
庚寅
辛卯
壬辰
癸巳
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
甲午
乙未
丙申
丁酉
戊戌
己亥
庚子
辛丑
壬寅
癸卯
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
甲辰
乙巳
丙午
丁未
戊申
己酉
庚戌
辛亥
壬子
癸丑
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
甲寅
乙卯
丙辰
丁巳
戊午
己未
庚申
辛酉
壬戌
癸亥
水鏡先生: ところで今年の干支は何だろうかと知りたくなるだろうね。それでは、
西暦から簡単に干支を探し出す方法を教えよう。
干支は60年で一巡するから、最初に西暦を60で割り、余りから3を
引いた数字が上の表にあるように干支の番号になるんだよ。
それでは、甲子園が出来た年は1924年でしたね。1924年を60で割
ると、
1924=60*32・・・余り 4
となります。
干支の順番は余りー3ということだから、
干支の順番=4−3=1
1番目の干支は甲子 そのとおりですね。
私も調べてみたいわ。今年2006年の干支は・・・・
2006=60*33・・・・余り26
干支の番号=26−3=23
23番目の干支は丙戌(ひのえ・いぬ)ということですね。
第56号
2006年1月23日
干支(えと)
(6)
水鏡先生: 今年の干支は丙戌(ひのえ・いぬ)ということが分かったね。十二支の
動物と十二支本来の意味とは全く関係がないということは以前話したこ
とがあるね。
これをより詳しく知りたければ、安岡正篤(やすおか・まさひろ)著
「干支の活学」(プレジデント社発行)などを読んでみるといいよ。
安岡正篤は大阪生まれの陽明学者、戦後吉田首相など政界、財界のリー
ダーとの交流を通し、日本経済に大きな影響を与えてきた人です。彼の
著作は今でも議員会館の書店でベストセラーを続けています。
鳳鳳:
でも十二支の動物はとっても身近な存在ですね。今年は戌(いぬ)年。
犬と云えば、「犬も歩けば棒に当たる」とよく云われますね。
格言(かくげん)と云われるものじゃ。歩き回っている
と、何時か幸運に巡り合うという格言じゃが、今の時代、
ただ歩き回るのではなく、情報収集をし、分析をして、戦
略を立てて動く必要があると思うが、如何かな∼。
何かやっていれば、そのうちにいいことが・・・なんてい
うのはもう古い考え方だね。
水鏡先生: 今流行の株式市場でも干支にちなんだ格言があるよ。
「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は
繁栄、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」というものじゃ。
格言といって馬鹿にしてはいけないよ。株式市場にはいろいろな格言が
あるけれども、株式市場でのこの格言は実際に歴史を調べてみると、以
外にもこのリズムが正しいということが認識されているんだよ。一度自
分でも計算してみたらどうかな。
昨年は酉年で「上げ相場で騒いだね」。今年は「戌笑う」じゃ。笑える
かどうか良く見ておくといいね。
第57号
2006年1月25日
干支(えと)
(7)
十二支でみると今年は戌(いぬ)年ですが、日本には戌年生まれの人は
何人位いるのかしら?
鳳鳳:
水鏡先生: 総務省の発表によると、今年平成18年1月1日現在、日本の推計人口は
1億2771万人で、そのうち戌年生まれの人は975万人、人口全体の
7.6%を占めているそうじゃ。
戌年生まれの人口(万人)
(万人)
(万人)
100
200
男性
90
180
女性
80
男女計
160
70
140
60
120
50
100
40
80
30
60
20
40
10
20
0
戌年生まれで一番若いの
は平成6年(1994年)生ま
れの12歳の人達です。
メデタク還暦を迎える人
達は終戦の翌年昭和21年
に生まれた人達ですね。
最高齢は明治43年(1910
年)生まれの96歳というこ
とで、戌年8世代で975万
人ということです。
0
12歳
24歳
36歳
48歳
60歳
72歳
84歳
96歳
平成6年
昭和57年
昭和45年
昭和33年
昭和21年
昭和9年
大正11年
明治43年
出所: 総務省
鳳鳳:
戌年生まれ女性人口(構成比、%)
戌年世代では今年36歳になる1970年
生まれの人達が190万人で8世代のな
かで一番大きな人口となってます。
さらに全体を眺めると、6世代の72
歳の人達までは100万人以上の人口を
維持しておるが、84歳、96歳の戌年
というと急激に人口が減少しているの
がよく分かります。
(歳)
72
70
68
66
64
62
60
58
56
54
52
50
48
12歳
24歳
36歳
48歳
60歳
72歳
84歳
96歳
出所: 総務省
水鏡先生: 80歳代以上の人口が急激に減少していることは明らかだが、高齢にな
ると女性の割合が急上昇していることに注目すべきだよ。戌年では第3
世代48歳の人達で50%となり、72歳以上となると急上昇している
ね。96歳では71.4%が女性だよ。高齢化社会は女性の社会じゃ。
第58号
2006年1月27日
干支(えと)
(8)
戌年生まれの人は975万人で、人口全体の7.6%ということが分かり
ましたが、他の干支の人達と比較して戌年の人達は多いのですか、少な
いのですか、それとも十二支それぞれが平均的に綺麗に分散しているの
ですか?
竜竜:
水鏡先生: これも総務省が発表した統計で眺めてみようかね。今年1月1日現在の
日本の人口1億2771万人のうち、戌年生まれの人口は975万にという
ことだが、何と十二支の中で人口規模が1000万人を下回っているのは
戌年生まれの人達だよ。ということは当然、十二支のなかで戌年の人が
一番少ないということになるね。
十二支別人口(万人)
干支別平均人口からの乖離(万人)
(万人)
(万人)
60
1150
(%)
8.8
40
8.6
20
8.4
0
8.2
-20
8.0
-40
7.8
-60
7.6
-80
7.4
-100
7.2
1100
1050
1000
950
戌 ︵いぬ ︶
午 ︵う ま ︶
酉 ︵とり ︶
卯 ︵う ︶
寅 ︵とら ︶
辰 ︵た つ ︶
亥 ︵い ︶
巳 ︵み ︶
子 ︵ね ︶
申 ︵さる ︶
出所: 総務省
未 ︵ひ つじ ︶
丑 ︵う し ︶
亥 ︵い ︶
戌 ︵いぬ ︶
酉 ︵とり ︶
申 ︵さ る ︶
未 ︵ひ つじ ︶
午 ︵う ま ︶
巳 ︵み ︶
辰 ︵た つ ︶
卯 ︵う ︶
寅 ︵とら ︶
出所: 総務省
丑 ︵う し ︶
子 ︵ね ︶
900
竜竜:
干支の中で一番人口が多いのは丑(うし)年生まれの人達で、1109万
人ですね。ということは、戌年生まれの人達は丑年生まれの人達より
134万人少ないということですね。昨年、2005年に生まれた赤ちゃん
が106万7000人だから、大きな人口格差があるんだな∼。
鳳鳳:
現在の人口1億2771万人が、十二支に平均的に分けられていたとする
と、干支当たり1064万(=1億2771万人/12)となるわね。これを
各干支の人口と比較すると、平均を上回る人口規模を持っているのは丑
から寅までの8つの干支ね。それに対して、平均より人口が少ない干支
は卯、酉、午、そして戌の4つの干支に生まれた人達なのね。この見方
で眺めても、戌年生まれの人達は少ないですね。
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