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PEIトランスフェクション - GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフ
Protocol WAVE Bioreactor System PEI トランスフェクション プロトコール 適用 ポリエチレンイミン(PEI)は、大容量の一時的トランスフェクションにおいて、迅速に、効果的、安価な試薬です。この方法は、血清 の有無に関わらず、HEK293 と CHO 培養で使用される種々の培地において組換えタンパク質発現が実証されています。(1) PEI は、陰イオンの細胞表面に相互作用する陽電荷粒子にプラスミド DNA を凝集させます。エンドサイトーシス作用により細胞 内に導入後、高い電荷密度のポリマーがリソソーム破裂を引き起こします。これは、プラスミドの変性を抑制し、細胞質内に放 出し、細胞核への侵入に導きます。 準備 トランスフェクション前に、細胞株がプラスミドベクターと共存し、エピソーム性複製などに必要な成分が含まれているかを確認 してください。プラスミドはシーケンスが確認され、吸光度 (A260/A280 比 1.8 以上) にて純度が確認されていなければなりま せん。 細胞培養は標準のプロトコールに従います。次のドキュメントを参照してください;HEK293 プロトコール System2/10、 System20/50 2003 年 12 月 Rev1。または、CHO プロトコール System2/10、System20/50 2003 年 12 月 Rev2。 適切な容量で 5×105~1×106 cells/ml の培養をするのに十分な細胞を準備します。生存率は 90~95%、または特定の培養 で見られる典型的な生存率の±5%以内でなければなりません。トランスフェクションは、希釈前で 3.5×106 cells/ml までの播 種培養において成功しています。増殖期の細胞を使用するのがベストで、最大細胞密度は培養条件によって異なります (1)。 適切な培地を選定してください;低カルシウム培地は凝集を減らし(4)、1%血清はトランスフェクション効率を改善します。 材料 1. 直鎖 25 kD ポリエチレンイミン(参考文献 4 に従って準備) 2. プラスミド DNA(一般的に約 1mg/ml Tris-EDTA バッファー) 3. 新しい培地――抗生物質、選択試薬、ヘパリンなどのトランスフェクションを阻害する成分を減らすか、取り除い てある培地。 -1- PEI トランスフェクション プロトコール 培養パラメータ 揺動速度: 培養に耐えられる最大速度を使用します。 高速揺動は、凝集を減らすのに有効な方法です(5)。 揺動角度: 培養に耐えられる最大角度を用いることで、凝集を減らすことができます。 トランスフェクション 培養: 目的容量の半量の培地に、1~2×106 cells/ml の細胞を播種します。最大容量にすると、密度は 0.5~1×106 cells/ml になります。 DNA 複合体: 培養 1ml 当たり、2.5 ug のプラスミド DNA を使用して DNA 複合体を準備します。DNA と PEI の比(w/w)が 1:3 となるのに必要な PEI 量を計算し、150 mM NaCl を加えて、培養量の 5%の量にします。培養液に加える 前に 10 分間放置します。 1. 細胞播種 1 時間後に準備した複合体を添加します。 2. 4 時間培養し、同量の培地を加え、最大容量で培養します。(1:2 に希釈、最終細胞密度 0.5~1×106 cells/ml) 3. トランスフェクション 4~7 日後、細胞または培地を回収します。 コメント: 1. 培養の状態は、トランスフェクションの成功とタンパク質発現に影響します。ガイドラインとして次の概算値 を使用して、経時的に培養データを確認してください。 増殖期における細胞生存率 > 90%。 pH 6.8~7.2 乳酸 < 1.5g/L グルタミン >1mmol グルコース >1g/L 2. PEI 試薬は冷凍保存するか同時に調製してください。 3. 典型的な発現の至適化(回収時間、培地、ベクターなど)以外に、PEI 調製手法、DNA:PEI 複合体調製条 件、DNA:PEI 比など他のパラメータで至適化することもできます。 トランスフェクション前に新しい培地に交換することが、発現を改善します。 4. 抗体発現において、両プラスミド(重軽両鎖構成物)の総重量は、プロトコール内に示されている総量を維 持するため、50%に減らします。 5. 実験条件の至適化のため、GFP プラスミドを 1~2%目的プラスミドと同時にトランスフェクションして効果 をモニターすることができます。 -2- PEI トランスフェクション プロトコール 6. Fugen6TM(Roche Diagnostics Corporation)のような他の試薬も、コントロールとして使用できます。タン パク質の発現量は培養、ベクター、試薬によって異なります。多様な方法を試すことにより、成功の確率 が上がります。 参考文献: 1. Transient gene expression in suspension HEK-293 cells: application to large-scale protein production. Baldi, L., Muller, N., Picasso, S., Jacquet, R., Girard, P., Phan-Than, H., Derow, E., Wurm, F.M., Biotechnology Progress 21(1); 148-153. 2. Serum-Free Large-Scale Transient Transfection of CHO Cells Madiha Derouazi, Philippe Girard, Fre´de´ric Van Tilborgh, Keyvan Iglesias, Natalie Muller, Martin Bertschinger, Florian M. Wurm, Biotechnology and Bioengineering, Vol. 87, No. 4; 537-545 3. Large-scale transient expression in mammalian cells for recombinant protein production. Florian Wurm, Alain Bernard, Current Opinion in Biotechnology 1999, 10:156–159 4. High-level and high-throughput recombinant protein production by transient transfection of suspension-growing human 293-EBNA1 cells. Yves Durocher, Sylvie Perret, and Amine Kamen, Nucleic Acids Res. 2002 January 15; 30(2) 5. 100-liter transient transfection. Philippe Girard1, Madiha Derouazi1, Gwendoline Baumgartner1, Michaela Bourgeois, Martin Jordan1, Barbara Jacko, Florian M. Wurm. Cytotechnology 38: 15–21 6. Regulation of Rho Family GTPases by Cell-Cell and Cell-Matrix Adhesion. W. Arthur, N. Noren, K. Burridge, Biological Research 35: 239-246 © 2008 GE ヘルスケア バイオサイエンス株式会社 本書の全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上の例外を除 き、禁じられています。 本書に掲載されている製品の名称、仕様などは改良のため予告なく変更される場合があります。掲載されている社名や製品名は、 各社の商標または登録商標です。