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mps news No.10 - 東京大学工学部都市工学科/東京大学大学院工学系

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mps news No.10 - 東京大学工学部都市工学科/東京大学大学院工学系
東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻
社会人のための修士課程|都市持続再生学コース
10
2015.03.15
東大まちづくり大学院
開講式:第8期生18名が入学
2014年10月1日、工学部14号館にて開講式が行われ、第8
期生18名が新たにまちづくり大学院に入学されました。
開講式は、都市工学専攻長の森口祐一教授、社会基盤
学専攻長の中井祐教授、建築学専攻長の塩原等教授、ま
ちづくり大学院コース長である大方潤一郎教授より祝辞が
述べられました。
その後、列席した教職員の紹介とオリエン
テーションが行われました。
各専攻長及び大方コース長の
祝辞をご紹介します。
■開講式の様子
皆様、この度はまちづくり大学院へのご入学おめでとうございます。まちづくり大学院は、
東京大学大学院の工学系研究科都市工学専攻、社会基盤学専攻、建築学専攻の3つの専
攻を分野横断する社会人向けの教育プログラムとして、平成19年度に発足し、皆様は第8期
生ということになります。これまで入学された方は、主に都市計画のテーマを選ばれる方が
多いですが、わずかながら、私の専門である都市環境工学のテーマを選ばれる方もおり、私
自身も講義や研究指導をさせていただいております。そのような方は、社会人の方ならでは
の問題意識を持って質問やレポートを出してくださり、私も受け止める側として心強く思って
おります。
■森口祐一・都市工学専攻長
さて、今日はちょうど東海道新幹線開通50周年の日です。今年は東京オリンピックからも
50年目に当たり、私ども都市工学科が設立されたのもやはり約50年前になります。この50年の間にわが国の人口はピーク
を過ぎ、現在は都市の再構築・再生が求められています。また、東日本大震災という大災害を経験し、将来起こりうる大災
害に備えることの大切さにも直面しております。私自身も、津波被災地の災害廃棄物処理問題、原発事故による汚染地域
からの帰還問題等、非常に難しい問題に直接かかわっております。そこで痛感することは、専門的知識と実務的能力の両
方を兼ね備えた人材の必要性です。まちづくり大学院の設置の趣旨にも都市づくり・まちづくりの現場において、持続的な
都市の形成・再生を実践・指導する高度な専門職能人を養成することと書かれています。現場での実践能力を専門的な学
識の習得によって高めることがこの大学院の大切な役割だと認識しております。社会人としての責務と学業の両立とは大
変であろうことは想像に難くありませんが、皆さんはそれを十分に覚悟した上で、このまちづくり大学院を志されたものと信
じております。ここで学ぶことが出来るという機会を存分に活用して、自己を研鑽され、社会に貢献いただくことを願ってお
ります。
皆様、
まちづくり大学院への入学おめでとうございます。
専攻を代表して一言挨拶させてい
ただきます。
私は、
研究調査でよく東日本大震災の被災地を訪れていますが、
その復興の様相は様々
で、中心市街地の再整備が既にほとんど終わっている地域、東京の埋め立て地のように大
規模な土地の造成を行っている地域など、地域によって全く異なっております。
このような
光景を見ると、
なぜ私たちはまちを作って生きていかざるを得ないのかという本質的な点を
考えざるを得ません。
このような中で、
いかに本質的なトライアルを思考し、
構築できるかが、
次の時代の地域のまちづく
りに生かされていくのだと思います。
■中井祐・社会基盤学専攻長
大学というのは、
本質、
つまり答えの出ない問題を考えていく場所です。
社会人になると、
答えがなかなか出ない問題に対する関心が弱っている場合もありますが、
この機会にぜひそれを取り戻してください。
それ
が、
皆様がまちづくり大学院に入学されたことの一番の意義だと考えています。
小手先の技術などではなく、
いかに本質に
通ずる思考を蓄積してきたかによって、
本当に人間にとって必要だと言えるまちが東北・三陸の地に立ち上がるのだと思い
ます。
難しい問題ですが、
ぜひ我々と一緒に考え続けてほしいと考えています。
これからの皆さんの学業・研究が有意義な
ものになることを願っております。
1
ご入学おめでとうございます。
皆様の、
社会人としての立場と学生の立場とを掛け持ちする
という挑戦に、
敬意を表したいと存じます。
まちづくり大学院の成り立ちを考えると、
先日の地震のことを思わずにはいられません。
私
は、
建築学専攻の中では、
ハードに関する建築耐震構造学という分野を専門にして研究・教
育を行っておりますが、いろいろなことを解決する方法を考えているまちづくりという分野
を、
場合によってはうらやましく感じることもございます。
東日本大震災において、
建物、
社会
基盤、ライフライン、経済システムなどの様々なものが、東北全体において壊れてしまいまし
た。
この課題を解決するためには、
1つ1つの建物の耐震性を良くするというアプローチでは
■塩原等・建築学専攻長
足りず、
まさにまちづくりの課題として取り組む必要があります。
例えば、
今後の津波対策と
して、
津波避難タワーを各地に安く早く建てる方がよいのか、
それとも人々が暮らしている役場や小学校、
住宅などをお金
をかけて地道に補強した方がよいのか、
というような話題は、
今まさに地域が直面している大きな選択肢の1つです。
皆様
には、
このような課題の解決に貢献していただけることを期待しております。
災害の多いわが国で、
まちづくりにおいて災害に備えるという観点が今ほど重要に思われていることはなかったと思いま
す。
これまで、
個別に進められてきた研究を総合し、
新しい研究の進め方を考えていただくことが必要だと思います。
そして
北海道から沖縄までの各地域や、
それぞれのまちで行われている経済活動の種類によって、
まちづくりの唯一の解は存在
せず、
様々に異なります。
例えば、
耐震診断について知りたいなど、
個々の分野について知識を得たいときには、
ぜひ建築
学専攻にも来ていただいて、
いろいろな知識を能動的に、
専門的に吸収していただきたいと思っております。
このようなわ
が国がおかれた現状を念頭に置かれて、
まちづくりに関する幅広い知識と実践例を吸収されて、
皆様が災害に強いまちづ
くりのリーダーとなられることを期待しております。
まちづくり大学院コース長の大方でございます。
本日の3専攻の先生方からのお話にもあ
りましたとおり、
震災、
3・11後の都市づくり・まちづくりは、
被災地でも、
そしてこれから津波
が来るであろうという沿岸の各都市でも、
今まさに動き出している、
という状況であろうかと
思います。
都市づくりは、
科学的な根拠やデータが存在しない、
良く解らない中で進めなければいけ
ないことが多くあります。
ただ、解らないからといって、何も決断しないのは最悪の決断に
なってしまいます。
解らない中で、
それでも知恵を集め、
様々な点を調整して、
最善と思える決
断をするのがまちづく
りの本質です。
解らないことを恐れず、
分からなくても、
命がけで決断
■大方潤一郎・まち大コース長
をするのが皆さんの職務になります。
今日、
まちづくり大学院に入学された皆様は、
おそらく、
2年間で自分を変えたいと考えており、
その上で、
世界を変えたい
と考えているのだろうと思います。
そのために重要なのは、
社会人としての経験を通じてある程度固まってきている
「ものの
見方」
を一度変えることです。
ものの見方をある程度変えないと、
自分自身も変わらないと思います。
平日夜、
まちづくり大
学院の講義に来たときには、
先生方の話を聞きながら、
ものの見方をもう一度、
ゼロから考え直してみてください。
その上で、
素晴らしい、
次世代の日本を作っていくことに貢献していただきたいと思います。
まち大修士論文が活用されています
昨年9月に修了したまち大生の修士論文は、3ページのとおりですが、修士論文がどう
活用されたのか、5期生の西村忠士さんの取り組みをご紹介します。
修士研究では、
「ふるさと納税」をテーマにしました。私たち企業で働く者からする
と、企業が海外に活路を求めるように、自治体も積極的に外に目を向ける必要があり、
「ふるさと納税」は社会と地域を繋ぐ有効なまちづくりツールになると考えたからです。
しかし、その実態は、昨今指摘されているとおり「特典目当て」が多いことです。まち大の学生なら誰しも「こんなことではいけない」
と思うはず。私も、使途の選択が重要だと考え、愛媛県宇和島市を対象に、寄付をする側の意識をアンケート調査しました。2012年
に市に相談して快諾を得、2013年に調査研究を行い、2014年に研究成果をまとめて市で報告会を行いました。対象者2,191名の内
657名から回答を得、回収率は30%強。自由記述欄を多く設けたため分類集計に苦労しましたが、回答者の「志」を知ることができ
ました。市では研究成果を踏まえ、ふるさと納税の使途に「産業振興」を追加しました。瀬田先生や仲間たちを囲んだ報告会後の
寿司とビールはうまかったなあ∼。
(西村忠士)
2
東大まちづくり大学院・修了式
2014年9月26日
(金)
、
学位授与式
(修了式)
を開催
2014年9月26日、伊藤国際学術研究センターにて東京大学秋季学位記授与式、また工学部14号館にて学位記伝達式がとり行わ
れ、まちづくり大学院4期生1名、5期生2名、6期生4名の計7名が修了しました。修士論文の題目は次のとおりです。学位授与式終了
後、6期生主催による謝恩会(よいまち会)が学内施設で盛大に行われました。その時の記念写真も合わせて掲載します。
■学内施設での記念撮影
■まちづくり大学院生の修士論文
【2014 年 3 月修了】
・連続する高架構造物の再整備により、上部に生まれる線形公共空間─その魅力づくりの可能性─
・過疎集落における移住者と二地域居住者の受け入れに関する研究
─岐阜県郡上市の石徹白地区を事例として─
【2014 年 9 月修了】
・新幹線通勤者の移動と生活に関する研究
・市民のためのまちづくり講座の効果に関する研究─東京都内 4 自治体を対象に─
・地方都市のまちづくりにおける情報交流人口等の活用に関する研究
─「ふるさと納税(ふるさと寄附金)」に着目して─
・応急仮設住宅団地の共有領域における空間変遷と住民自治形態の関係性
─岩手県大槌町における東日本大震災の応急仮設住宅団地を事例として─
・フランスにおけるエコカルティエの取組過程と実態に関する研究
・郊外市街地における、モビリティの新たな価値探索
─横浜市青葉区たまプラーザ地区における、超小型モビリティ導入実証を例として─
・行政組織において復興準備を組織横断的な取組に展開させるための仕組みの確立
─組織横断的検討の可能性の把握─
3
まちづくり大学院に入学して──志望動機と入学後の感想
2014 年度
(第 8 期)
入学のみなさんに、
志望の動機や今後の抱負など、
思い思いに語っていただきました。
■2014年度 教員と第8期生のみなさん
4
■内山竜太 ─公益財団法人 東京都都市づくり公社
■幸田泰尚 ─株式会社リクルートコミュニケーションズ
建築の仕事に従事していた時、
かつて長く住み、
思い入れの
ある街の賑わいが失われる出来事が起きた。
その後行われた
まちづくりは、
従来の街を否定する内容だった。
思い出深い街
は否定される街だったのかと愕然とし、
まちづくりとは何か興
味を持つようになる。
あれから10 年以上が過ぎ、現在は木造密集市街地の改善
に従事している。災害に強くなる代償に従来のまちの魅力が
失われる場合もある。街の魅力が損なわれず災害に強いまち
にするためにはどうしたら良いか、
そうした事を考えていた頃、
忘れかけていた、
まちづくりに興味を抱いた記憶が頭をよぎる
ようになる。
10 年前のまちづくりの疑問、
今の仕事につながる
新たなまちづくり、そうした思いの中で、まち大入学を志すに
至る。
昨日覚えた知識を、
今日の業務に活かせる、
そうした現場レ
ベルの感覚が、
まち大の日々を魅力的なものとしている。
「建築家にはならない」そう心に決めたのは今から 14 年前
のこと。
建築学科を出て欧州の近代都市、アジアのスラム街、日
本の限界集落を 100 以上旅する中で得た結論は「モノのデザ
インではなく、既存のモノと人々の活動をつなげる仕組みをデ
ザインしたい」これが私の原点だ。
商業施設の設計職を経て現
職ではシティプロモーションの領域で都市のマーケティングに
携っている。
そして震災後、空き家再生と ICT 活用のテーマで二つの
NPO を立ち上げた。
今までクリエイティブとビジネスの領域で
培ってきたスキルを地域で活かすことができないか。
もがく中
知ったのがまちづくり大学院である。
求めていたのは圧倒的に
不足している都市政策、都市経営の体系的な知識だ。
何より組
織や領域に捉われず、多様な立場でディスカッションできる仲
間が欲しかった。
その志望動機は間違っていなかったと今実感
している。
■武内 龍 ─浦安市役所
■榊原由紀子 ─石本建築事務所
液状化被害を目の当たりにし、当時の状況について多くの
住民から様々な話を聞きました。
そうした震災復旧の現場に身
を置く中で、安全・安心な都市がいかに重要か改めて感じ、
持続可能な都市のあり方を考えたいと思うようになりました。
他方、急速な人口減少や少子高齢化等を背景に様々な社会
的前提が流動化し、今後益々顕著になっていくと言われる中
で、
予め理想的な都市像を描くことができるのかとも考えてい
ました。
そうした中、
都市の持続再生を切り口に講義や演習が展開
されている東大まちづくり大学院の存在を知り、
働きながら通
学できる点が決め手になり入学を志望しました。職場と大学
院の二枚の名刺を持つことに喜びを感じながら、大学院での
学びを社会に還元できるよう努めていきたいと考えています。
私の卒論のテーマは
「街路における生活行動に関する研究」
でした。
卒論においては、1)
街路の表情を豊かにするのは人間の行
動であること、2)
表情のある街路にはそれを誘発するような
場の特性が生まれること、つまり 3)
街路は建築家のみが
「つ
くる」
ものではなく、普段から使う住民たちの行動により
「で
きていく」
ものだということが認識された、と結びました。
オギュスタン・ベルクによる、
「風土 1000 年/風景 100 年/
景観 10 年」
という言葉を出すまでもなく、風土をつないでい
くのは人の暮らしであり、その観点を忘れずに設計することの
大切さと難しさ、そしてもどかしさを感じています。
単なる建物の設計者という立場を超え、まちづくりに関わり
たい、関われたら素晴らしいと思い、志望しました。
■加藤 聖 ─ ミサワホーム株式会社
センチュリーデザインオフィス
■辻 美和 ─弁護士
まちづくり大学院を意識したのは、2011 年東日本大震災
後、東大山上会館等にて夜学の復興まちづくり連続セミナー
が開催され聴講していた頃です。
当時東大の大西教授や、ま
ち大 1 期の先輩である松本先生に大学院の存在を教えて頂
きました。
過去問題を購入し少しずつ都市計画を復習。
丁度そ
の頃業務で弊社代表の住まいの設計・デザインを担当。
技術
者として「新しいことにチャレンジ」する大切さ、
「顧客に対す
る誠実さ」を設計監理中代表からお話を頂きました。
前職はゼ
ネコン設計部で大規模施設の設計監理やまちづくり提案をし
ていた経緯もあり、復興セミナーを機会に新しい目標が生ま
れました。
それは戸建・医療介護施設から都市計画まで、ま
ちづくりデザイン・コミュニティデザイン力で次世代へ繋げら
れる技術者になる事。
2014 年東京本社へ異動した際、受験す
るチャンスが生まれ現在に至ります。
法曹として6 年目。
不動産・建築・再開発案件も扱ってきま
したが、司法は個人の権利主張の場で俯瞰したまちづくりの
視点が無く、
また法的見解を超え開発等の方針に意見できる
立場にもなく、もどかしい思いでした。他方で、プライベートで
伊東豊雄さんのもと瀬戸内海に浮かぶ大三島の地域作りに
関わるうちに、
地域の豊かさに惹かれ、
まちづくり事例を調べ、
地方を訪ねるようになりました。
受験を決めたのは、
偶然出願
時期にシンポジウムで地域を語る機会を頂いたからですが、
都市計画等を学んだ経験が無く、
どの本を読めば過去問が解
けるか検討もつかないまま、一番優しい本プラスまち大シリー
ズ 1冊を1 週間で読み下し受験に臨みました。
知識の下地が無
い分日々の授業は大変ですが、
未来を考える毎日は刺激的で
楽しく、
将来法的知識と両輪で地域へ還元していきたいと考
えています。
■伊達康之─狛江市役所
■中村智宏 ─建築設計事務所
私は大学で建築を学んだ後、主に設計事務所で建築士とし
て約 20 年建築設計の仕事をしてきました。
一昨年、これまで
の民間企業での経験を活かして自分が長年住んできたまちに
貢献したいと思い、地方自治体へ転職しました。
現在私達を取
り巻く環境は、人口減少、少子・超高齢化社会の到来、厳し
い地方財政、都市施設の老朽化、大規模自然災害の発生と防
災意識の高まり等、
様々な課題があります。
そんな中、働きながら通える
「まちづくり大学院」
を知り、ま
ちづくりや建築に関して本格的に勉強し直したいと感じてい
た私は自分が求めているのはここだと思い志望しました。
入学
した今、まちづくりの理論、知識、技術など現代的都市再生課
題を学べるのは勿論、一流の講師陣、先輩方、同期達との出
会い等、
期待以上の機会を得られたと思っています。
不動産デベロッパーを経て設計事務所を経営する傍らで建
築士予備校、
建築専門学校、
公共職業訓練等の講師をしてい
るが、若年層が仕事や人生に大きな悩みを抱えていると実感
した。中でも職業訓練の現場では大学中退者が多かったた
め、
「今からでも大学に行ってはどうか。
」とアドバイスする中、
インターネットを検索していて出会ったのが「まちづくり大学
院」
であった。
少子高齢化、
持続可能性、
全てのキーワードが私自身にもあ
てはまった。故郷の石川県金沢市には両親と叔母が暮らして
いるが、郊外の大型店の出店により近所のスーパーが次々閉
店して買い物に困る状況にある。今年の3月には北陸新幹線
が開業し、
これまでの半分の時間で帰省出来るようになる。
こ
れを機に
「持続可能性」
を様々な観点で考察したい。
■山田翔太 ─一般財団法人世田谷トラストまちづくり
大学では福祉施設を専門とした建築計画の研究室に所属し
ていました。高齢者施設や障害者施設で調査する機会が多
かったのですが、強く不可解に感じたのが
「施設と地域との断
絶」
でした。
住み慣れた地域で、より長く生き生きとした生活を
送るには?大きなテーマをもって大学院へ進学し、高齢者が地
域でどのような役割をもって生活しているのか研究しました。
そ
こで地域活動に初めて触れ、今は地域活動を支援する中間支
援組織で働いています。
これまでは人々の住まい方・暮らし方
といったミクロな視点から取り組むことばかりだったのです
が、人・住宅・施設の集合体である都市というマクロな視点か
ら物事を考えたことがないと気付きました。
この気付きが志望
のきっかけです。
超高齢社会ではどのような都市が必要なので
しょうか。
追求していきます。
■演習のようす
5
まちづくり大学院に入学して──2
■板倉雅也 ─PT. Starts International Indonesia
(スターツ)
皆と出会ってから議論を重ねていくにつれ、まち大生の特徴
として、ある共通点を感じています。
各人が貢献したい
「まちづ
くり」に対して何かしらの「使命感」をもってこのプログラムに
臨んでいること。
そして、各人が定義する「まち」という対象を
「良くしたい」という想いが強靭だということです。
学生のバッ
クグラウンドの多様性に比例して、まちづくりに対する様々な
思考法やアプローチがある。そのことに日々刺激を受けなが
ら、充実した日々を過ごせています。講義・演習後は恒例の
酌み交わし。
互いの想いをぶつける中で、ふと、
「この仲間とい
つか、どこかで、一緒に仕事をするんだな」
と。
そうしみじみと
感じながら、
将来を見据え勉学に励んでいます。
最後に一つ。
とはいっても社会人なので、両立が大変だとい
うことは言うまでもないのですが、唐突な異動で大学に通え
ないといった展開もありますので、
ご注意を。
■小俣 充 ─株式会社ティ・ジョイ
講義や演習を通して日々感じることは都市計画から交通、
観光、
コミュニティデザインまで
「まちづくり」
という言葉の指し
示す範囲は非常に広範でスケールの大きな学びであるという
ことである。
我々が日常生活の中で多種多様なことを行ってい
る様に、まちづくりとは人間の営みそのものであるように思わ
れてならない。
私は映画業界という異業種からまち大に入学した。それを
誇りに思い使命感と好奇心を持ちつつ新しい視点から学びを
行いたいと考えている。
まち大の講義や演習のカリキュラムは
社会人大学院らしく非常に濃縮されており、素晴らしい先生
方と個性的な同期に囲まれ充実した毎日を送っている。講義
室でのこの瞬間の学びが、いつの日か自分自身をスケールアッ
プさせ、光明の道を指し示すことを夢見て、日々夜のキャンパ
スライフを楽しんでいる。
■柏演習での現地調査
6
■鎌倉演習での現地調査
■小池リリ子 ─官公庁
仕事が終わったら、地下鉄に乗り本郷台地の地形を感じな
がら東大キャンパスへ向かう、そんな生活を始めて4カ月が経
ちました。
カリキュラムのタイトルを見て
「ついていけるかな」
と
いう科目も、
体系的に都市計画やまちづくりを理解するため受
講しています。実際のところ、体力的にはかなり苦しいです
が、先生方の熱意のこもる講義や、実践的な質問を投げかけ
る同級生の姿から、
「学べる」
よろこびをひしひしと感じており
ます。
講義は、
まちづくりの理論から実践など多岐にわたります。
内容も濃く、
難解な場合もありますが、
様々な講義を受けるこ
とによって、
多方面からのものの見方が備わるのではないかと
期待しております。
また困ったときには、
頼りになる仲間もおり
ます。
このように学生生活には、想像を超えた感動や経験がある
ようです。
今後も前向きに取り組んでいきたいと思います。
■小長谷悠紀 ─短期大学教員
充実しています。
新しい仲間にも恵まれました。
イオニア式の
柱の形も覚えました。
秋の夜長に本郷キャンパスに来てカサコ
ソカサコソ音を立てて枯葉の上を歩き、
カプチーノを買い込ん
で、
講義を受けます。
先生方の授業は、
話が整理されていて広
がりがあります。
国内外のいろんなまちの話が出てくるのも楽
しいものです。
「聞き逃してなるものか」
と気を張っている間に
(進みが速いというのもあります)
、
終了します。
土曜日の演習
は、現地視察+グループ学習です。まち大生は 3人寄れば異
業種交流会になりますので、演習の日は課題探求のみなら
ず、みんなの抽斗やアンテナの‘違いっぷり’も見どころのひ
とつです。
入ってみてから気づいた良さは、夜の通学が良い気分転換
になることです。職場で気が滅入ることがあっても、学生にな
る時間を挟むと、
いい具合に忘れて晴れ晴れとした気持ちで
帰宅できます。
■高濱 康 ─郡山市役所(福島県)
■中寺康太郎 ─東京急行電鉄株式会社
私は、
「子育て」
をする上で、
言葉よりも親の背中で学ぶこと
等への
「気付き」
を促すため、
また、
地方公務員として更なるス
テップアップを図るため、
更に、
今後の人生を充実感で満たす
ため、資格の取得や大学院による学び直しを実践していると
ころであり、
大学院入学も
「子育て」
に係る
「自分育て」
の一つ
である。まち大の講義は、個性的で豪華な講師陣が多角的な
視点から進めるため、自分の未熟さを実感することの連続で
はあるが、逆に自分を高める環境としては最良であり、特に多
異業種との接点は刺激的でさえある。
講義終盤には、ディスカッションの時間が設けられ、聴講生
が理解度を高める工夫も施されているため、質問等から新た
な考え方や切り口に視界が開けることも少なくない。今後も、
ダイヤモンドはダイヤモンドで磨かれるような
「自分磨き」
に邁
進し、
刺激も楽しみながら自分自身を高めていく考えである。
入学して感じるのは
「出会いによる世界の広がり」
です。
まちづ
くり大学院の学生は年齢層も経歴も人柄も様々です。
日常の仕
事では決して出会えなかったような先生や仲間に出会い、
講義
で議論を交わし、
講義後には酒を酌み交わし、
色々な話を聞くこ
とで自分の世界がどんどん広がっていくことを日々実感していま
す。
そして、
このような世界の広がりが仕事にも活きています。
こ
れまでと同じ業務をしていても、
今まで考えなかったような視点
で物事を考える機会が増え、
色々な可能性が見えてきます。
仕事
と学業の両立は大変そうに感じるかもしれませんが、
覚悟を持っ
て能動的に取り組めば、
大きな相乗効果を生むと思っています。
まだ入学して数カ月ですが、
これからどのように世界が広がって
いくのが、
楽しみで仕方ありません。
■都築康平 ─千葉市役所
■三島あい ─株式会社片平エンジニアリング・
インターナショナル勤務
われわれが生きる場である「まち」は、どの様に出来て、動
いているのだろうか?そして、
未来に向けて
「まち」
の価値を地
に足をつけて紡いでみたい。自治体職員に就く動機の一つで
あった。
「まち」に関して現状を正確に捉え、われわれがどこに向か
いたいのか、
それを模索して形にできる場は、
「まちづくり大学
院」
が最適に違いない!との直観は入学後に正しかったと感じ
ています。
著名な先生方からの御講義でその背景も含めて解
説していただけるのは、
本学以外ではなかなか難しいと思いま
す。
さらに、
多様な質疑に回答していただけるのも非常に有り
難いです。
極め付けはオフレコの貴重なお話が得られる演習
等があることで、
これは学生冥利に尽きます。
この素晴らしい場を提供していただいている皆様に感謝し
ております。そして、有意義に活かし、自治体と「まち」の在り
方も模索してゆく所存です。
国際協力業界で開発途上国の都市交通関連分野の諸案
件に従事していますが、世界的に共通する都市活性化課題、
IT 技術の導入や環境課題の知識など、包括的なまちづくり
関連の最新知識を身につける必要性は日増しに高まっていま
す。
その中で、まち大での講義は、仕事でも直接的に役立って
おり、大変貴重な機会を得られました。
仕事と学業の両立は、
担当業務の状況と職場の協力がないと中々難しい事ですが、
幸いにして上司の理解も得られ継続できています。
出席できないときは、インターネットで講義内容の確認やレ
ポート作成関連資料収集、演習の共同作業を行っています。
まだ修士論文を作成する段階ではなく、長期海外出張等があ
る中で学業を継続することは、今後も乗り越えなければなら
ないハードルはありますが、先生や同期の皆様の協力と理解
の中、
頑張りたいと思います。
■道祖英一 ─相模原市役所
家族、
職場、
同期に感謝。
まち大に入学して4カ月。
快く( ? ) 送り出してくれた妻子、
職場
に申し訳なさを感じつつも非常に充実した日々を過ごしてい
ます。
今携わっているまちづくりについて、実務と理論の両輪で
積み上げ、将来に及んで持続的な体系にしたいと思い志望し
ました。
当初描いていた大学院生活とは異なりますが、
家族と
職場の理解に背中を押されて、子育て、学業、仕事、マラソン
等の趣味と4 足のわらじが脱げないよう濃密な時間を過ごし
ています。
ただ1時間 45 分の通学時間は耐え難いですが…。
講義、
演習や異業種の同期との懇親を通じて、
想定以上に
視野、知識や一期一会の結びが深まり、自身の成長を実感し
ています。
もし、
関心があったら是非ここの門を叩いてみてくだ
さい。人生の時間軸では一部とはいえ、この濃い数年が必ず
ご自身の糧になると思います。
■まち大忘年会
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◆イブニングセミナー
世界最大の巨大都市圏・東京大都市圏の将来
∼2020年オリンピック後の展望∼
2014年5月12日 本郷キャンパスで開催
20世紀の日本の経済発展を牽引してきた東京。
2020年に世界的
ビックイベントを迎える東京。
長期の人口減少・高齢化社会に突入す
る東京。
セミナーは、
「成熟社会の都市と建築」
と題して隈研吾教授
(建築
家・東京大学)
、
「我が国の成長戦略と都市再生」
と題して和泉洋人
教授
(内閣総理大臣補佐官・東京大学)
がご講演され、
その後、
大方
潤一郎教授
(まちづくり大学院コース長・東京大学)
の司会進行で、
会場参加者を交えて世界最大の巨大都市圏の行く末、
あるべき方向
性を大いに議論しました。
■イブニングセミナー会場の様子
寄附講座報告会&特別講演会を開催
2014年11月4日開催
■講演者の方々(左から隈教授、和泉教授、大方教授)
東大まちづくり大学院も平成19年10月の開設以来、
寄附講座にご支援頂きました企業各位を始め、
多くの皆様の温かいご理解ご
協力を頂いてきました。
そこで、
昨年11月4日、
寄附講座にご参画頂いている企業11社
(不動産関係3社、
建設関係5社、
エネルギー関係1社、
住宅関係1社、
電気関係1社)
にまちづくり大学院の運営状況等をご報告するとともに、
第2部として、
セミオープンの特別講演会
「まち・ひと・しごと
創生と国家戦略特区」
(和泉洋人 東大教授・内閣総理大臣補佐官)
を開催しました。
また、
第3部では、
和泉先生や寄附企業の皆様を囲みながら、
まちづくり大学院の卒業生・現役生を交えた懇親会が学内で賑やか
に行われました。
■特別講演会の様子
■講演会後の親睦会の様子
2015年 東大まちづくり大学院入試情報
2015年度の入学試験を右記
のように行います。募集要項
の取り寄 せ 方 法 など 詳しく
は、東大まちづくり大学院の
ホームページをご覧下さい。
募集要項・入学志望者案内配布開始日 4月1日
(水)
説 明 会 :4月13日
(月)
19:00∼ 本郷キャンパス工学部14号館141講義室
出 願 :5月12日
(火)
∼22日
(金)
入学試験 :6月27日
(土)
入 学 :10月1日
(木)
URL:http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps
■発行:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 都市持続再生学コース・同寄付講座 〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1 TEL. 03-5841-6221
■ [email protected] ■ http://www.due.t.u-tokyo.ac.jp/mps/
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協力:PRISM inc.
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