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研究課題名:脳形成異常を主とする発達期脳障害の病因・病態と治療
課題番号:24-7 研究課題名:脳形成異常を主とする発達期脳障害の病因・病態と治療に関する研究 主任研究者:佐々木征行 国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科 分担研究者:斎藤義朗、齋藤貴志、白石秀明、遠山 潤、柿田明美、高梨潤一、小林勝弘、 加藤光広、松本直通、廣瀬伸一 1 平成25年度の研究成果 3 行政施策への貢献度 1)臨床的・遺伝的に多様性の高い小児小脳萎 本研究の目的は、①脳形成異常を中心に発 縮を呈した 23 家系に対して全エクソームシー 達期の脳機能障害を来す疾患の発症病態の解 クエンスを行い 9 家系(39.1%)で遺伝的原因 を明らかにした(松本班員ら) 。 2)先天性大脳白質形成不全症のモデルマウス に MR Spectroscopy を用いて検討したところ、 無症状のヘテロマウスでも脳梁で異常を認め 明を遺伝学的解析および病理学的解析を用い て明らかにすること、②精神運動発達遅滞や 発達期の発作性神経疾患の脳機能障害を機能 的画像解析、神経生理学的解析などの新しい た。症状がなくても髄鞘低形成が存在すること 手法を用いて、的確な診断・評価が行えるか が示された(高梨班員) 。 検討すること、③これらの疾患に対する適切 3)脳磁図(MEG)を用いて脳形成異常にと な治療法の開発を目指すことである。 もなうてんかん患者の言語発達の経年評価を 行った。言語刺激に対する反応を可視化するこ とによって言語機能の獲得を客観的に確認で きる可能性がある(白石班員) 。 4)平成24年度、小児交互性片麻痺(AHC)の 責任遺伝子について全エクソ-ム解析を利用 して欧米とは独立して解明した。引き続いて我 が国の AHC 患者の遺伝子変異と臨床症状につ 治療困難なこれらの疾患において病態を解 明して治療法開発に繋げることによって、国 民の要望に少しでも応えられると考えてい る。 4 研究発表(原著論文の一部) 1) Ohba C, Matsumoto N, Saitsu H, et al. いて検討を行い、特定の遺伝子変異と臨床症状 Diagnostic utility of whole exome sequencing との間に一定の相関があることを示した。この in patients showing cerebellar and/or vermis 研究の中でフルナリジンによる症状悪化防止 atrophy in childhood. Neurogenetics. 2013 効果が示唆された(廣瀬班員、斎藤班員、佐々 Nov;14:225-32. 木主任研究者) 。 2) Takanashi JI, Nitta N, Iwasaki N, Saito S, 2 平成26年度の研究計画と期待される研 究成果 平成25年度と同様に様々な手法を用いて 検討する。遺伝学的検討においては、AHC の Tanaka R, Barkovich AJ, Aoki I. Neurochemistry in shiverer mouse depicted on MR spectroscopy. J Magn Reson Imaging 2014 Jun;39(6):1550-7. 解析と同様、小児小脳萎縮症や大脳形成異常特 に滑脳症や部分皮質異形成を来す患者におい 3) Ishii A, Saito Y, Sasaki M, Hirose S, et al. て世界に先駆けた新規遺伝子の解析を目指す。 sequencing as the cause of alternating hemiplegia of MEG などを用いた機能的画像解析や高周波 脳波解析を利用した神経生理学的解析などを 用いて、発達期脳障害では十分解明されていな い分野の研究を進めていきたい。最終的には治 療法の開発を目指して進めていきたい。 Identification of ATP1A3 mutations by exome childhood in Japanese patients. PLoS One 2013;8(2):e56120. 4) Sasaki M, Ishii A, Saito Y, Hirose S, et al. Genotype-phenotype correlations in alternating hemiplegia of childhood. Neurology 2014 Feb 11;82(6):482-90.