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Ⅱ.羽田空港再拡張事業の状況と物流事業者等のニーズ
Ⅱ.羽田空港再拡張事業の状況と物流事業者等のニーズ 1.羽田空港再拡張後の国際化に係る見通し (1)羽田空港における現状の国際線運航状況 ・羽田空港の国際線は、24 時間の運用が行われていることから、深夜早朝時間帯において、 2001 年 2 月より国際旅客チャーター便の運航が可能となっている。 【2006 年の実績】 ソウル 268 便 計 557 便 グアム 169 便 【2007 年の実績(10 月まで)】 ソウル 222 便 マカオ マカオ 32 便 その他 88 便 計 268 便 13 便 その他 23 便 その他の内訳:オセアニア(オークランド、メルボルン) 、北米(ラスベガス、ホノ ルル、サイパン)、アジア(済州、ウルムチ、ウランバートル、香港、 セブ)、ヨーロッパ・中東(ベネチア、フランクフルト、ミュンヘン、 レイキャビク、ドーハ) ・昼間時間帯においては、2003 年 11 月よりソウル(金浦)路線に1日4便のチャーター便 の運航が開始され、2005 年 8 月には 1 日8便に増便されている。 ・さらに、2007 年 9 月 29 日より、上海(虹橋)路線において 1 日4便のチャーター便の運 航が始まっている。 ・また、2007 年 6 月より特定時間帯(20:30∼23:00 の出発、6:00∼8:30 の到着)における 国際線の運航が可能となり、10 月 31 日現在までに、ウランバートル4便、ソウル3便、 成都1便、マカオ1便の運航が行われている。 ・なお、国際線貨物便については運航が認められていない。 (2)再拡張による空港容量の拡大 ・羽田空港は再拡張前の年間 29.6 万回の発着枠から、再拡張によって年間約 40.7 万回に 拡大し、1時間 40 便が運航することとなる。 再拡張によって発着容量は 1.4 倍に増加 〔再拡張前(H17.10.1 時点)〕 30 便/時間 29.6 万回/年 《405 便/日(810 回)に相当》 〔再拡張後〕 40 便/時間 40.7 万回/年 《557 便/日(1114 回)に相当》 19 (3)再拡張後の国際化に係る見通し ①国土交通省の基本的な考え方 ・2010 年には、現在進めている羽田空港の再拡張事業の供用開始により、発着能力が拡 大するため、将来の国内航空需要に対応した発着枠を確保しつつ、成田空港の国際空 港機能を補完するものとして、供用開始時に年 3 万回の近距離国際旅客定期便を就航 させることとしている。 ②基礎数値 ・年間旅客数及び貨物量はPFI事業の需要水準における基礎数値として、現時点では 国土交通省から下記の内容が示されている。 <昼間時間帯(6:00∼23:00)> ・年間発着回数:供用開始時に国際旅客定期便が概ね3万回程度 ・年間旅客数:約 700 万人 ・年間貨物量:約 25 万トン <深夜早朝時間帯(23:00∼6:00)> ・騒音問題等に配慮しつつ、飛行ルートは海上ルートを基本とし、国際旅客便及び国 際貨物便が就航する。 ・年間貨物量:約 25 万トン ③再拡張後の運航路線に係る方向性 ・昼間は、供用開始時に国際旅客定期便を 3 万回就航させる。運航路線については、羽 田から最も長距離の国内線である羽田=石垣間の 1,947kmを一つの目安とする距離 の基準に加え、需要や路線の重要性も考慮し、羽田にふさわしい路線を近いところか ら検討し、今後の航空交渉で確定する。 ・深夜・早朝についても、騒音問題等に配慮しつつ、貨物便を含めた国際定期便の就航 (欧米便も可能)を推進する。 20 図表2−1 運航距離と都市との関係(参考) 条件 \ 国 韓国 中国 国内線の最長距離以内 仁川、金浦 上海、杭州 の場合 釜山、済州 大連、青島 台湾 その他 瀋陽、長春 参考:2,500km 程度の 北京 距離まで含めた場 台北 高雄 合(仮定) 参考:3,000km 程度の 香港、広州、 距離まで含めた場 深せん、厦門 合(仮定) マニラ、セブ 成都、西安 (注)日本総研調査により作成。なお、現時点では、昼間時間帯においては 2,500km 及び 3,000km 圏の都市までの運航は想定されてはいない 長春 瀋陽 北京 (2,093Km)大連 金浦 西安 成都 仁川 青島 釜山 済州 上海(虹橋) 上海(浦東) 広州 廈門 香港 深せん 羽田 杭州 台北(2,106Km) 高雄 石垣 (1,947Km) 羽田∼石垣 1,947㎞ セブ マニラ 21 ④再拡張までの間の国際化に係る取組方向 ・首都圏で唯一、国際チャーター便を積極的に推進するとともに、新たに特定時間帯(余 裕のある 20:30∼23:00 の出発、6:00∼8:30 の到着の時間帯)についても、国際チャー ター便実現のための協議を開始する。併せて、深夜早朝のアクセス改善等、24 時間フ ル活用に向けて可能な限りの施策を推進することとしている。 (4)再拡張後の路線開設に係る可能性 現状を踏まえ、再拡張後の路線開設に係る可能性を記述すると、次のようなことが考 えられる。 ・昼間時間帯については、基本的にペリメータールール1(都市間距離 1.947km)によっ て、規定される路線となることが予測される。ただし、今後の状況等によっては、北 京路線、台北路線等などの一部のペリメータールール範囲外の路線が設定される可能 性もある。 ●昼間時間帯における旅客便路線(ベリー輸送2) ・韓国路線(ソウル仁川、ソウル金浦、釜山、済州) ・中国路線(上海浦東、上海虹橋、青島、大連、*香港・北京 など) ・台湾路線(*台北) *:特別に認められることとなった場合 ・深夜早朝時間帯については、不定期便を含めて、航空協定締結対象国からの運航は可 能となるが(ペリメータールールの適用はない)、滑走路長による制約から、主にアジ アを中心となる路線が開設されることとなる可能性が高い。 ●深夜早朝時間帯における貨物専用便路線(フレーター輸送3) ・韓国路線(ソウル仁川) ・中国路線(北京、上海浦東、香港、広州 等) ・台湾路線(台北) ・その他アジア路線(シンガポール、バンコク) ・北米路線(ロサンゼルス(アンカレッジ経由)等) 1 羽田空港の国際便就航について、国土交通省が国内便の最大距離 1947 キロメートル(羽田= 石垣間)を目安として近距離国際線に限定する方針のこと。 2 ベリー便:旅客機の下部貨物室(ベリー)に航空貨物を搭載する便。 3 フレーター便:航空貨物専用便。 22 2.羽田空港における国際線貨物施設の整備動向 (1)PFI事業の概要 ・国際線貨物ターミナルは、PFI手法により整備、運営されることとなっており、選定 された事業者である東京国際エアカーゴターミナル(株)において、事業が進められて いる。 図表2−2 羽田空港国際線ターミナル地区整備・運営事業(PFI手法による) 旅客ターミナルビル等 整備・運営事業 貨物ターミナル 整備・運営事業 エプロン等整備等事業 特別目的 東京国際空港 東京国際エアカーゴ 羽田空港国際線 会社 ターミナル(株) ターミナル(株) エプロンPFI(株) (SPC) <代表企業:日本空港ビルデング(株)> <代表企業:三井物産(株)> <代表企業:大成建設(株)> 施設概要 旅客ターミナルビル、駐車場等 貨物上屋、トラックヤード等 エプロン、構内道路等 業務概要 旅客ターミナルビル等の運営、 貨物ターミナルの運営、 エプロン等の設計、 設計、施工監理、維持管理 設計、施工監理、維持管理 施工、維持管理 独 立 採 算 型 サ ー ビ ス 購 入 型 (国費は投入せず、SPCがPSFC(旅客取扱施設使用料) (国が施設整備費等の対価を やテナント料収入等により施設整備費等を回収) 支払う) 事業方式 事業期間 約30年間 総合評価一般競争入札 事業者の 公募型プロポーザル 選定方式 (基本的には、ターミナルの運営面を中心に評価、選定) (エプロン等の施設整備費 を重視して選定) N 走路 B滑 00 m 2,5 C滑走路 3,000m 連絡誘導路 ,500m 走路 2 新設滑 ,500m 走路 2 滑 設 新 23 東京湾 第2旅客 ターミナル 川 多摩 第1旅客 ターミナル 国際線地区 A滑走路 3,000m 図表2−3 国際線ターミナル地区の概要 貨物上屋 PTB 駐車場 凡例 旅客ター ミナ ルビル等事業 貨物ター ミナル事業 旅客ターミナルビル等整備・運営事業 貨物ターミナル整備・運営事業 エプロン等整備等事業の3事業に区分 エプロン等事業 その他主要事業 (京浜急行・東京モノレ ール) (注)エプロン:駐機場 (資料)国土交通省航空局 24 (2)東京国際エアカーゴターミナル株式会社による貨物施設の概況 ・東京国際エアカーゴターミナル株式会社が計画する貨物施設は、年間 50 万トン以上の貨 物取扱に対応する規模で、上屋面積は拡張後において3つの上屋合計で約 76,400 ㎡が予 定されている。 図表2−4 商号 東京国際エアカーゴターミナル株式会社の概要 東京国際エアカーゴターミナル株式会社 ( TIACT : Tokyo International Air Cargo Terminal Limited) 設立 2006 年 6 月 22 日 事業期間 着工から 30 年間(事業契約締結日:2006 年 7 月 7 日) 代表者 代表取締役社長 加藤 輝岳 資本金 10 億円(三井物産 100%出資子会社) 所在地 〒105-0004 東京都港区新橋 1 丁目 7 番 6 号 美スズビル 4 階 <予定される主な貨物施設の概要> 上屋 1 上屋 2 上屋 3 1・2F 上屋合計 上屋 約 25,000 ㎡ ランプサイド庇下 約 3,800 ㎡ トラックヤード 約 7,500 ㎡ 上屋 約 27,600 ㎡ うち生鮮エリア 約 1,800 ㎡ ランプサイド庇下 約 4,000 ㎡ トラックヤード 約 8,400 ㎡ 上屋 約 23,800 ㎡ トラックヤード 約 10,800 ㎡ 上屋 約 76,400 ㎡ 庇下・トラックヤード 約 34,500 ㎡ トラックヤード台数 生鮮二次仕分場 仕分場 約 176 台 約 1,500 ㎡ トラックヤード台数 トラック待機場 約 14 台 約 170 台 (注)ランプサイド:駐機専用スペース (資料)TIACT 資料による。なお、今後詳細設計等により変更されることがある。 なお、上屋2は開業当初には上記の面積全ては整備されず、開業後の需 要動向により、その後に拡張される予定。 25 <鳥 瞰 図> (資料)TIACT 資料による。 <完全無柱空間を有する上屋1及び2(高さ 9.8m×奥行き 70m)> (資料)TIACT 資料による。 26 <施設レイアウト> (資料)TIACT 資料による。なお、今後の詳細設計等により変更されることがある。 27 (3)国際線貨物施設の計画内容 ①航空上屋 ・現時点での国際線貨物ターミナルにおける東京国際エアカーゴターミナル株式会社が 計画する施設規模及び処理能力は、PFI事業の要求水準である年間 50 万トンの貨物 処理が可能なものとなっている。 ②フォワーダー上屋 ・東京国際エアカーゴターミナルが複数のフォワーダーから貨物取扱を請け負う共同フ ォワーダー上屋のほか、複数フォワーダーへの上屋スペースの賃貸が想定される。 ・なお、上屋スペースは限られるため、多様な流通加工等の業務を行おうとする事業者 においては、空港内の貨物取扱スペースとは別に、空港用地外に貨物取扱拠点を整備 することも想定される。 ③生鮮エリア ・ 生鮮エリアは、貨物上屋2の北側部分と貨物上屋3の南側部分に配置される予定であ る。貨物上屋2の北側部分の生鮮エリアは、輸入においては通関前の保税上屋として 利用される予定である。 ・ 燻蒸庫は、生鮮貨物の品質維持を最優先し、生鮮エリアに隣接して配置され、燻蒸待 機時間を短縮するために5槽が整備される予定である。 ・ また、貨物上屋2の北側部分に位置する生鮮エリアは、制限区域の誘導路側に面した 配置とし、エリア全域を定温設定が可能な仕様とする計画で、機側から直接ドーリー 4を搬入、定温スペースでの ULD5の即時解体を可能にするなど、高い利便を有した計 画となっている。なお、温度管理については、定温の生鮮エリア内に利用ニーズに応 じて3温度管理まで可能な施設を整備する予定としている。 ・ 一方、貨物上屋3の南側部分の生鮮エリアも、エリア全域の定温設定が可能な仕様と し、輸入通関後の生鮮貨物2次仕分場としての利用を計画している。生鮮エリアは、 輸入生鮮貨物取扱に必要な機能を貨物上屋2の北側部分に、より付加価値を高める貨 物取扱への対応を貨物上屋3の南側部分に割り当て、様々な利用ニーズへの対応を図 っている。 ・ 輸出においては、当初航空上屋に設置予定の冷蔵庫を使用して、航空機出発までの予 冷を行う計画だが、輸出貨物量の増加と利用ニーズの高まりを睨みながら、生鮮エリ アの弾力的な運用も視野に入れている。 ・ 処理能力としては、現時点では当面の需要に十分に対応できるものと判断されている。 近年、成田空港において輸入生鮮貨物及び燻蒸貨物が減少していることもあり、生鮮 4 5 ドーリー:コンテナやパレットを地上に移動するための専用台車。 ULD(Unit Load Device の略) :荷物を一定の単位にまとめるための航空コンテナ。 28 エリアについては過度な施設整備を避ける傾向にある。 29 3.羽田空港周辺における物流施設等の状況 (1)現在の物流施設の集積状況 ・羽田空港周辺の品川区、大田区及び川崎市には、トラック輸送及び海上輸送のための物 流施設が全域にわたって立地している。空港の 10km 圏をみると、品川区及び大田区側に は、大井埠頭及び南部流通業務団地(通称「平和島流通団地」)等があり、トラック事業 者の輸配送拠点や物流拠点、食品関連の物流センターが数多く立地している。一方、川 崎市側の東扇島埠頭にも食品関連の物流拠点が集積している。 なお、東京港や横浜港の 海上貨物取扱を中心とした保税倉庫が数多く展開しているが、これらの施設は昭和 40∼ 50 年代に建設されたものが多く、老朽化が進んでおり、再整備の対象となっている。ま た、生鮮を取り扱う航空輸送向けの物流拠点については、成田空港周辺には大規模な施 設が存在するが、羽田空港は国際線の定期便が少なく、需要がないため、空港周辺には 存在しない。 図表2−5 羽田空港周辺の物流施設集積地区 約 8 km 約 6 km 約 6 km 約6 km 約 3 km 国内貨物ターミナル 国際貨物ターミナル 約 8 km 約10 km (注)距離は空港中心からの概ねの道路距離 30 図表2−6 羽田空港周辺地区に立地する物流事業者の主な拠点(集配センターを含む) 31 番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 企業名 陸 海 空 ヤマト運輸㈱ 宅急便センター ● 日本高速輸送㈱ 京浜支店 ● ケイヒン㈱大井8号流通センター ● 宇徳運輸㈱大井コンテナターミナル ● ● ㈱商船三井 ● ヤマト運輸㈱ 東京貨物ターミナル ● 日本コンテナ輸送㈱ ● ㈱ユニエックス 大井CFS ● ● 国際コンテナ輸送㈱ ● 札幌通運㈱倉庫グループ ● ● ヤマトロジスティックス㈱品川八潮ロジセンター ● ● ジェイアール東海物流㈱大井営業所 ● 東京貨物開発㈱ ● 佐川グローバルロジスティックス㈱ ● ヤマト運輸㈱ 宅急便センター ● 佐川グローバルロジスティック㈱ ● タカセ㈱ 品川営業所 ● 日本通運㈱ 大井物流事業所 ● マルフク産業㈱ 品川物流センター ● 日本空輸㈱東京流通センター ● 佐川グローバルロジスティックス㈱ ● ㈱ユニエックス大井バンプール ● ● 東京貿易運輸㈱ 大井営業所 ● ● 三菱倉庫㈱港運事業課 ● ● ㈱中央ロジスティクス ● ● ㈱アイ・ロジスティックス 航空本部 ● 三協運輸㈱大井冷凍ターミナル ● ㈱山九東京コンテナ事業所 ● ヤマトロジスティックス㈱大井ロジセンター ● ㈱ユニエックス東京港物流センター ● ● ㈱京極運輸商事 京浜支店大井事業所 ● ● 日本通運㈱東京海運支店 ● ● 郵船航空サービス㈱大井物流センター ● 日本郵船㈱大井総合物流センター ● ● ㈱ユニエックス大井物流センター ● ● 日本通運㈱ 品川支店 ● 月島物流サービス㈱ ● ● 丸全昭和運輸㈱大井物流センター ● 井住運送㈱ 平和島営業所 ● セイノー通関㈱ 大井営業所 ● ● 西濃シェンカー㈱ 海外引越センター ● ● タカセ㈱東京港営業所 ● バンテックワールドトランスポート海上事業部 ● ● 福山通運㈱ 品川支店 ● 日本ロジテム㈱ 平和島FL営業所 ● 西武運輸㈱ 京浜総合ターミナル支店 ● ヤマト運輸㈱ 南東京物流システム支店 ● ● 全国通運㈱ 東京貨物営業所 ● 中央通運㈱ 通運事業部 ● ティーエルロジコム㈱ ● 日本貨物鉄道㈱東京営業支店 ● 日本通運㈱ 東京コンテナ事業所 ● ㈱丸運 東京貨物ターミナル支店 ● ㈱丸和通運東京貨物ターミナル支店 ● 名鉄ゴールデン航空㈱ ● インターナショナルエクスプレス㈱大井物流センター● ● 東海運㈱大井物流センター ● 佐川グローバルロジスティックス㈱ ● ㈱阪急カーゴサービス 東日本輸送センター ● ● 物流施設運 営 プロロジスパーク東京 (ヤマトロジスティックス等が入居) 神興運輸㈱ 平和島営業所 ● 近鉄航空配送㈱ ● 井住運送㈱ 東京支店 ● 山九㈱東京支店平和島流通センター ● ㈱日新 国際営業部 大井事業所 ● ● 番号 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 注: 陸・海・空の取扱区分は一部推測であり、 現在の業務内容と一致しない場合がある 65 32 企業名 岡山県貨物運送㈱京浜支店 王子運送㈱京浜支店 関東トナミ運輸㈱ 東京支店 西武運輸㈱京浜貨物センター 西武運輸㈱ 平和島航空営業所 西濃運輸㈱ 京浜ターミナル支店 近物レックス㈱ 京浜支店 ヤマト運輸㈱宅急便センター 久留米運送㈱東京店 山陽自動車運送㈱ 京浜支店 信州名鉄運輸㈱ 京浜支店 仙台運送㈱ 東京支店 第一貨物㈱ 京浜支店 東武運輸㈱東京南支店 トナミ運輸㈱ 京浜支店 新潟運輸㈱京浜支店 日本通運㈱ 品川支店 平和島ロジスティクスセンター 日本トラック㈱東京支店 日本自動車ターミナル㈱京浜事業部 フットワークエクスプレス㈱ 京浜支店 松岡満運輸㈱京浜営業所 ㈱丸運 京浜ターミナル営業所 武蔵貨物自動車㈱京浜ターミナル営業所 名鉄運輸㈱京浜支店 日本通運㈱ペリカンセンター大森デポ 日本通運㈱新平和島流通センター ヤマト運輸㈱ 宅急便センター 谷口運送㈱ ヤマト運輸㈱宅急便センター 清水運送㈱ ㈱阪急カーゴサービス国際営業所 富士物流㈱ 東京支社 東京物流センター 横浜共立倉庫㈱城南島センター 国際空輸㈱ 山九㈱平和島流通センター 羽田タートルサービス㈱ ㈱浅井 西濃運輸㈱ 大森支店 ㈱日立物流 京浜営業所 アサヒロジ㈱平和島支社 ㈱JALロジスティックス OTTロジスティクス㈱関東事業部 ヤマト運輸㈱ ヤマト運輸㈱ 日本通運㈱ 東京航空支店 ティーエルロジコム㈱ 京浜運送㈱本社営業所 日本通運㈱羽田京浜島航空貨物センター 日本航運㈱ ヤマトロジスティクス㈱ 銀座国際引越営業所 ヤマトロジスティクス㈱ 東京国際物流支店 佐川急便㈱ 羽田店 ヤマト運輸㈱ 宅急便センター 佐川急便㈱品川店 ヤマト運輸㈱宅急便センター アートコーポレーション㈱ 一宮運輸㈱ ヤマト運輸㈱宅急便センター ヤマト運輸㈱宅急便センター ヤマト運輸㈱宅急便センター ヤマト運輸㈱宅急便センター ヤマト運輸㈱宅急便センター 福山通運㈱ 羽田営業所 三協輸送㈱ 日本通運㈱羽田ペリカンセンター ヤマト運輸㈱ 宅急便センター 日本通運㈱川崎埠頭物流センター 西武運輸㈱川崎航空営業所 ヤマト運輸㈱ 宅急便センター 佐川物流サービス㈱ ロジット㈱京浜物流センター センコー㈱神奈川支店東扇島PDセンター 日本興運㈱東京支店川崎物流センター かわさきファズ㈱ 日本通運㈱東扇島物流センター ワールド・ロジ㈱川崎物流センター ヤマト運輸㈱ 宅急便センター 丸泉興業㈱塩浜第二配送センター 陸 海 空 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 物流施設運 営 ● ● ● ● ● ● (2)羽田空港と築地市場及び大田市場との位置関係 ・羽田空港と築地市場及び大田市場との距離関係は、それぞれは空港から約 15km 圏及び約 5km 圏に位置している。大田市場は、近隣の南部流通業務団地とも近接し、物流拠点集 積地周辺に位置としており、羽田空港と位置的に近接している。また、築地市場は首都 高速1号羽田線等を利用することにより、羽田空港へアクセスすることができる。また、 移転予定先の豊洲市場においては、高速湾岸線等利用によって羽田空港へのアクセスす ることとなる。 図表2−7 築地市場及び大田市場との位置関係 築地市場 豊洲市場(予定地) 大田市場 羽田空港国際線 貨物ターミナル 1km 33 (3)新たな物流拠点立地に係る開発エリアの可能性 ・現在、羽田空港周辺では、羽田空港跡地(国有地 約 53ha)の利用や「神奈川口構想」 による土地開発が計画・構想されている。具体的な内容については、関係機関等におい て検討中であるが、ともに羽田空港に隣接し、航空貨物関連施設等の立地も想定される。 図表2−8 羽田空港跡地と「神奈川口構想」対象地域 羽田空港跡地 「神奈川口構想」対象地域 (注)羽田空港跡地の土地利用等については、羽田空港移転問題協議会(国土交通省、東京 都、大田区、品川区)による検討が進められている また、神奈川口構想においては、羽田空港島との間に橋梁等のアクセスを整備する計 画がある 34 4.物流事業者及び航空会社の動向とニーズ (1)羽田空港利用に係るフォワーダーの動向 ①輸出 ・羽田空港の国際化によって、昼間時間帯においては多頻度輸送を必要とする主にエクス プレス系のスモールパッケージなどの混載貨物利用(ドキュメント類、機械部品、電気 電子製品、医薬品等)、深夜早朝時間帯においては特定目的地(主にアジア方面)への大 ロット貨物の利用が想定される。 ・フォワーダーの輸出拠点については、簡易な流通加工等をともなう場合もあり、自社で コンテナ単位でのとりまとめが可能な大手を中心に、空港場外での集荷・配送、簡易な 流通加工等が可能な総合的な物流拠点利用が中心となって進展すると考えられる。 ・特に現在は羽田空港周辺部には国際航空貨物を取り扱うためのセキュリティ面の条件を クリアした保税蔵置場が少ないこともあり、今後は輸出貨物を取り扱うフォワーダー等 の物流事業者の新たな物流拠点整備・既存施設拡充が必要となることも考えられる。 ・また、今後はインタクト6ULD の増加が進むことが予測されるが、現状では方面別に物流 拠点を分けるケースは少なく、羽田空港再拡張後の路線・便数の状況と道路交通環境等 によって、羽田空港を取り巻く物流拠点の位置づけが大きく変化する可能性が高い。 ②輸入 ・羽田空港は明らかに需要地直結の輸入中心型の航空貨物利用にとってメリットが高い。 ・特に、立地コストが多少高くなっても成田空港に比べて、首都圏需要地に近接している ことから、輸入に対してのリードタイム短縮に係る期待は極めて高い。そのため、輸入 貨物の取扱い(特にインタクト ULD)について、空港場内や近辺での処理(配送にかかる 仕分けを含む)を希望するフォワーダーが増加することが予測される。 ・また、24 時間を通して、インタクト ULD の増大も期待されている。昼間時間帯において は、小型機の運航頻度によってはバルク貨物7による取扱いも想定されるが、小型 ULD 利 用の促進もあり、ほとんどがコンテナ処理が中心の利用となることが考えられる。 6 インタクト輸送:輸出貨物については、航空機へ搭載する貨物をフォワーダー施設から ULD 単位に梱包した状態で運搬して、航空機へ積み込むこと。また、輸入貨物については、航空機か ら荷卸した貨物を ULD 単位に梱包された状態でフォワーダー施設へ直接に引き渡すこと。 7 バルク貨物:コンテナ化されないバラ積み貨物。 35 (2)羽田空港周辺への立地ニーズ ・物流事業者は航空会社と異なり、立地コストにより進出場所を選択することができる。 そのため、空港島内での立地を望むものの、必要とするスペースや賃料水準が見合わな ければ、空港場外に施設を求めることとなる。現時点では、貨物量に見通しが立ってい ないこともあり、必要とする規模が定まっていないが、羽田空港への進出意欲は高い。 なお最終的には、需要地近接という羽田空港のメリットを認識しつつも、取得できる規 模と価格次第となる。 ・また、フォワーダーの国際航空貨物取扱いに係る物流拠点の考え方は、事業者や輸出入 の取扱ウエイトによっても異なってくる。特に、輸出に関しては、簡易な流通加工など を含めた業務を行うことができる施設を必要とし、空港場外で安価で余裕のあるスペー スの確保を指向する傾向にある。 ・一方、大手及び中堅フォワーダーは成田空港周辺を中心に首都圏において航空貨物用の 大規模な物流拠点を有している。羽田空港の国際線の路線・便数次第ではあるが、既存 施設を有効に利用することをまず前提にビジネスを構築していくこととなる。特に、二 重投資や新たな貨物の仕分け業務の発生に対する懸念もあることから新たな拠点整備に は慎重である。いまのところ、新たな設備投資は必要最小限にとどめたいとするフォワ ーダーも多いが、一部には中長期的な視点もふまえて、羽田空港周辺での用地取得を検 討する動きもあり地価上昇の懸念もでている。今後の羽田空港国際化の全体像が明確に なるにしたがって、こうした動きが本格化する可能性もある。 図表2−9 フォワーダーの事業規模による現状の方向性 輸入 大手 インタクト ULD の取扱い フ ォ ワ 増加に対応して空港内処 ーダー 理を希望(ドーリーでの 構内輸送範囲が原則) 中堅 当面は場外の既往施設で フ ォ ワ 対応。インタクト ULD 取 ーダー 扱いの意向はあるが、1 社での荷のとりまとめは 厳しい 輸出 荷量も多く、用地や施設の規 模、賃料等の経済性、荷のと りまとめの観点から空港場外 でのウエイトが高くなる傾向 大手フォワーダーと同様に、 用地や施設の規模、賃料等の 経済性、荷のとりまとめの観 点から、空港場外での取扱い が基本。ただし、荷量が少な いことから、空港内での保税 手続きや一部手倉としての上 屋利用のニーズはある 生鮮貨物の取扱 取扱メニューとしては必 須であるが、輸入の減少も あり、現時点では積極的姿 勢は見られてはいない 取扱事業者は限られてい る。ほとんどの事業者は大 手フォワーダーに委託す るケースが多く、今後も同 様の傾向と考えられる。た だし、一部の専門に取扱う 事業者は輸出を含め羽田 空港利用をビジネスチャ ンスとして捉えている (注)大手フォワーダー:日本通運(日通航空)、近鉄エクスプレス、郵船航空サービスの3社でわが 国の国際航空貨物取扱量(混載輸出ベース)の約 50%近くを占めている 36 (3)生鮮貨物取扱に係る動向と見通し ・航空輸送に関わるフォワーダーにおける生鮮貨物の取り扱いは、これまでは圧倒的に量 の多い輸入貨物が中心である。近年においては、生鮮貨物の航空利用が減少傾向にあり、 大手フォワーダーにおいては、事業自体が縮小傾向にある。こうしたなかで、羽田空港 における国際化は、首都圏近接による高い利便性から、生鮮貨物を含めて、新たなビジ ネスチャンスとして注目されているところである。 ・生鮮貨物の輸出についても、アジアを中心とする路線便数の拡大と、大田市場や築地市 場との近接性を生かした効率的な輸出形態を志向する事業者も一部にはある。 ・また、航空会社においては、羽田空港の内際接続の実現等による、全国から転送された 生鮮貨物の輸出拡大などに期待をもっている。 ・いまのところ、羽田空港における路線便数等の条件や、フォワーダーの物流拠点立地方 針が定まっていないこともあり、事業者個別の明確な戦略はみえない状況にあるが、概 ね下記に示す動向や課題に集約できる。 ●主な動向・見通し ・輸入生鮮貨物が減少傾向にあるなかで、輸出生鮮貨物は増加が期待できる ・特にアジア向けの貨物(上海等の日本に近接した中国沿岸部都市向け) ・築地市場や大田市場から海外への出荷増加が期待される ●主な課題 ・成田空港と羽田空港の路線便数構成(配分)と物流拠点配置 ・羽田空港における輸出手続き等の効率化 図表2−10 物流事業者等の動向と見通し 事業者 生鮮貨物に係る動向と見通し 大 手 フ ォ ワ ・輸入は大きく後退している。一方、輸出生鮮貨物は伸びが輸入の減少を補う ーダーA社 ほどになることはないが、食の安全重視や、和食ブームもあり、今後さらに 増えていく。アラブのある国王が、千疋屋の1個1万円のメロンを 500 個買 って、空輸した例もあり、このような大胆な輸出もあるのではないか。 ・生鮮の輸入という観点でみれば、羽田空港の国際化は非常に魅力的であるが、 セリにかけるためには 24 時∼25 時までに大田市場や築地市場へ搬入する必 要がある。 ・輸出生鮮品は、高付加価値のある産物に特定される。特に輸出する生鮮品は、 相手国の規制や手続きが多様で、日本国内での様々な手配や仕立てに手間が かかるのが実態である。それに見合った費用を得ることができないと、フォ ワーダーも積極的に取り組むことができない。 【参考:A社福岡空港支店】 ・福岡空港を利用する生鮮の輸出は年間 500 トンの市場規模があるといわれて いる。主要な産品はいちごや鮮魚加工品である。特に近年はハマチのフィレ の加工品などの輸出が増加している。商社が介在し海外のブローカーとの取 引により輸出されるケースなどが多いが、大手フォワーダーでは当社が最も 取り扱っているが、ほとんどは専門で取扱う中小の事業者によるものである。 ・また、近年は、航空機の小型化により、スペースの確保がむずかしくなって きている。そのため、関西空港や成田空港を利用する例もある。 37 大 手 フ ォ ワ ・羽田空港は国際化されることにより、生鮮の輸出にも使えると思う。水産品 ーダーB社 よりも青果の方に期待している。特に台湾や韓国などのアジアでの需要が高 まっている。今後、一つのエクスプレス商品としての青果のアジア・デリバ リーを、BtoCビジネスとして、産直の宅配モデルを考えている。青果物の 生産者などとタイアップするなど、通販事業のように展開することもありう るのではないか。 ・一方、輸入生鮮は減少している。以前はチェリーやワインなどの食品が盛況 であったが、軒並みに減っており、回復は期待できない。 中 堅 フ ォ ワ ・輸入は減少傾向が強まっている。輸出はわずかであるが、今後に期待してい ーダーC社 る。 ・生鮮品の航空輸入が減少している理由には、海外でのマグロ、海老、蟹など の鮮魚類の消費が拡大し、日本市場よりも海外の方が高値で引き取られてい る現状がある。日本よりも高く売れる市場の拡大により、今後桃っと輸入が 減少する可能性が高い。羽田空港における生鮮の輸入については、フレータ ーの利用があまり考えられない。生鮮品は小ロット多品種で、配送先も多様 であるため、ほとんどが市場経由となっている。したがって、市場に間に合 う時間帯でないと使えない。21∼23 時にはトラックでの配送を開始する必要 がある。量販店などは大ロットで調達するが、利幅が少なく、海上輸送とな る。また、生鮮の取扱は、輸入が減少していることもあり、大手フォワーダ ーは自営から委託へ切り替えている。 ・輸出については、築地と大田市場から海外への出荷が増えると思う。築地や 大田市場には、全国から良品が集まってくる。ここでロットをまとめて、成 田空港と羽田空港へダイレクトで持ち込むか、一度、自社のセンターで混載 してエアライン上屋へ持ち込むことになる。羽田空港においてペリメーター が設定されると聞いているが、それでは使いにくい。成田空港の方が路線と 便数が豊富であるため利用しやすい。 本 邦 航 空 会 ・鮮魚の輸出拡大が期待される。現在でも常に1コンテナ程度はある。これら 社D社 の国際輸送は、きっちりした梱包が必要で管理が重要である。特に米国への 輸出である。また、現在は九州や四国からの出荷が多く、地方の各空港から 航空輸送で羽田空港に運ばれて、成田空港近辺でまとめられて通関し、成田 空港から海外へ輸送している。 ・羽田空港が国際化されると、もっと利用されるようになる。特に、上海路線 などの利用が進むと考えられる。現在でもブリなどの魚介類が、1日3∼4 トン/日あるが、さらにアジア方面向けへ利用拡大が期待される。 ・また、輸出については、空港上屋での高度な機能はあまり関係なく、今後は 場外でのビルドアップも多くなる。 本 邦 航 空 会 ・生鮮の輸入に関しては減少傾向。特に、マグロやウナギなどを中心に全体量 社E社 が減っている ・生鮮の輸出の現状は全体で見ればいまのところわずかな量である。羽田空港 が国際化されれば、中国路線を中心にある程度の利用増加への期待はあるが、 総量は変わらない可能性もある。その場合は、成田空港からの路線移転分程 度ではないか。 空 港 貨 物 上 ・輸出される生鮮貨物としては、いちご、ぶどう、サクランボ、桃、寿司ネタ 屋会社F社 用魚介類等を想定している。 ・当社としては、生鮮上屋、共同 FWDR 上屋、生鮮二次仕分場を有効活用し、羽 田空港の生鮮貨物輸出の促進を図る。24 時間運用と充実した保冷施設でクー ルチェーン構築を支援する。 ・また、輸出に必要となる手続き・検査等がワンストップで行うことができる ような体制・システムを構築できると、生鮮貨物の輸出拡大が期待できる(予 冷、リアイス、検疫証明書取得等) 38