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原子力発電・放射線・原子力防災 について
2016年1月31日 綾部市中央公民館 原子力発電・放射線・原子力防災 について 京都大学原子炉実験所 三澤 毅 内容 n 原子炉とは ¨ 仕組み ¨ 原子炉の事故(東電福島事故など) n 放射能と放射線とは ¨ 放射能と放射線 ¨ 測定方法 ¨ 自然放射線 n 原子力防災 ウランの核分裂 (かくぶんれつ) エネルギー(熱) 中性子 ウラン ウランが2つに壊れるときに 熱が発生する ウラン ウラン鉱石 処理後 写真:日本原燃HP 燃料ペレット ・オーストリア、カナダ等から輸入 ・国内では岡山県人形峠、岐阜県東濃等で採掘 ・地殻中や海水中にも微量ながら広く分布 海水1トンに約0.003グラム 世界初の原子炉(米国シカゴ 1942年) balcony 制御棒 CP-1の絵 Enrico Fermi シカゴ大学 原子炉跡地 日本の原子力発電所 44基 世界の原子力発電所 加圧水型原子炉 (PWR) Pressurized Water Reactor 発熱→お湯→蒸気→発電機を廻す 北海道 関西 四国 九州 内径:43.0m、内高:64.5m (玄海4) 沸騰水型原子炉 (BWR) Boiling Water Reactor 発熱→蒸気→発電機を廻す 東北 東京 中部 北陸 中国 内径:20m、内高:34m (F1-4) BWR用の燃料 燃料被覆管(ジルコニウム合金製) 原子力燃料工業のWebページより 原子炉の安全を確保 n 原子炉を止める ¨臨界状態から臨界未満にする n 原子炉を冷やす ¨冷却材を確保する n 放射性物質を閉じこめる ¨何重かの障壁を設ける チェルノブイリ 原子炉事故 (1986年) 止める 冷やす 閉じ込める × × × 1986年、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所 で出力が急激に増加する事故 (反応度事故) n 燃料、原子炉容器が壊れて大量の放射性物質 を放出し世界中に汚染が広がった n 12 東京電力 福島第一発電所 止める 冷やす 閉じ込める ○ × × 防潮堤 10m 設置時は1960年のチリ地震を対象波源:3.1m 2002年 M8を想定して見直し:5.4~5.7m 非常用発電機は原子炉 又は タービン建屋地下階に設置で冠水 (ただし、6号機の1台は建屋1階に設置されており冠水せず) 3/15のモニタリングポストの値 14日~15日の放射性物質放出 放射線量の変化 原子と原子核 太陽系 細かく切る 約1億分の1cm 原子核 もっともっと 小さくする 原子 放射線 (ほうしゃせん) 電子 原子核 放射線 不安定(ふらふらしているよう)な原子の中 心(原子核)から出てくる光、または粒子 放射線の種類 α線を止める β線を止める γ線 を止める X 線 中性子線を止める アルファ(α)線 ベータ(β)線 ガンマ(γ)線 エックス(X)線 中 性 子 線 紙 アルミ 厚い コンク ニウム 鉄板 リート ヴィルヘルム・レントゲント (1845 – 1923) n n n 実験中に目に見えない「光線」により写真 乾板(フィルム)が感光することを発見 この「光線」を「X線」と名付ける(1895年) 「X線」は人間の体を透視できることを発見 レントゲンの奥 さんの手 レントゲン撮影として医療で広く利用 放射線の測定 n ガイガーカウンター ハンス・ガイガー 1882~1945 ドイツ ¨ ガイガー・ミュラー(Geiger-Müller、GM) 計数管 ¨ ガスが入った管の中で放射線が作ったイオン対 (ガスのプラスイオンとマイナスイオン)を電圧をか けて集めて測定する(ベータ線とガンマ線) ¨ 放射線の個数のみ測定可能 +- +- +- +- 22 放射線に対する感受性の違い • 細胞分裂が盛ん 細胞分裂がそれほど著しくない 3. 筋肉、骨、神経 • 感受性 2. 皮膚、多くの内臓など • 大 1. 造血細胞、リンパ組織、腸など おもに身体の構造を支持しているもの 同じ量の放射線であれば、少しずつ受けるより一度に 受ける方が影響が大きい 参考:(独)放射線医学総合研究所 自然放射線 宇宙線 宇宙空間からの粒子が大 気と反応して放射線を発生 大地からの放射線 ウラン、トリウム、カリウム 40などの大地に存在する 天然の放射性物質から 放射性物質の体内への 摂り込み ラドンの吸入、カリウム40 などの食物による摂取 U, Th,40Kなど 自然放射線による線量の内訳 空気中に約5 Bq/m3 原子力防災 PAZ、UPZの取り入れ n PAZ (予防的防護措置を準備する区域) ¨ 関電からの迅速で正確な情報提供 ¨ 住民への速やかな指示 ¨ 避難経路の確保 ¨ 5㎞以内 n UPZ (緊急時防護措置を準備する区域) ¨ 自治体等による迅速なモニタリング ¨ 住民への指示、情報提供 ¨ 30㎞以内 防護資機材 防護服 n 個人線量計 n サーベイメータ (放射線測定器) n ヨウ素剤 n n 自治体、消防、病院等に準備 放射線量のモニタリング n モニタリングポストの活用 ¨ 全体的な変動を観察 ¨ 局所的な線量異常は観測できない ¨ 停電時には測定不可 n モニタリングカーの利用 ¨ 有効であるが高価 ¨ 東電福島周辺のモニタリングカーは汚染のため使用不可 となった n サーベイメータによる測定 ¨ 人手が掛かるが、災害時には最も確実 ヨウ素剤 (ヨウ化カリウム) ヨウ素剤 (ヨウ化カリウム) 「原子力災害時における安定よう素剤予防服用の考え方について」より n 予め安定ヨウ素を甲状腺に取り込ませてお き、放射性ヨウ素の取り込みを低減させる ¨ 体内摂取前の24時間以内、または直後の服用 で約90%以上抑制 ¨ 摂取後、8時間以内であれば約40%抑制 ¨ 摂取後、24時間以降では約7%抑制のみ n 服用後、少なくとも1日効果継続 ¨ 1日1回服用、成人で1回 KIで100mg 原子力防災 n 危険を正しく認識 ¨ 知識を得て、しっかりと怖がる n 日頃からの準備 ¨ 国の支援に頼らずに自治体等で対応できる準備 ¨ 日頃からの自治体と住民との信頼関係 n 意識を低下させない努力 ¨ 定期的な訓練 n 落ち着いて行動 ¨ あわてないこと