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バッテリーボルタ
テレビ学習メモ 第 37 回 化学基礎 監修講師:渡部智博 電池 今回学ぶこと ボルタ電池やダニエル電池を通して,電池の仕組みについて学びます。これら の電池は,電子のやり取りを伴う酸化還元反応を利用して,外部に電流を取り出 す装置であることが理解できるようになります。また,電池には一定期間使用す ると使えなくなる一次電池と,充電できる二次電池があることを学びます。そし て,レモンや備長炭を利用しても電池ができることを学習します。 学習前チェック 物質の変化には,電子の移動を伴う変化がある。分子やイオンなどが電子を放 出する変化が酸化,そして電子を受け取る変化が還元である。電子は負の電荷を 帯びており,負極から正極へ流れ,電流は正極から負極へ流れる。電池は電気エ ネルギーを取り出す装置のことである。 ▼ 電池の仕組み ボルタ電池は,正極の表面に水素の泡が付着する ボルタ電池は,亜鉛板と銅板を希硫酸に浸してつ くる。それぞれの金属の電極に豆電球を接続すると, ため,次第に電流が流れにくくなる。この欠点を改 点灯する。亜鉛 Zn は希硫酸に溶けて亜鉛イオンと 良した電池がダニエル電池である。 なる。このとき生じた電子は,亜鉛板から銅板に移 ダニエル電池は,硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板,硫酸 動する。そして,希硫酸中の水素イオンが銅の電極 銅(Ⅱ)水溶液に銅板を浸し,これらの溶液を半透 上で電子を受け取り,水素 H2 の気体が発生する。 膜で隔てた構造である。負極となる亜鉛が酸化され このように,イオン化傾向の大きな金属である亜 溶けて亜鉛イオンを生じ,硫酸銅(Ⅱ)水溶液中の 鉛が負極,亜鉛よりイオン化傾向の小さい銅 Cu は 銅(Ⅱ)イオンが銅板上で還元され銅となって析出 正極となり,電子の移動が起こる。 する。このとき,亜鉛板から銅板に電子が移動する − 73 − 高校講座・学習メモ 化学基礎 電池 ので,亜鉛板が負極,銅板が正極となる。水素の発 ムーズになる。このように,電池は,酸化還元反応 生を伴わないので,銅板上での電子の受け渡しがス を利用した装置である。 一次電池と二次電池 電池から電流を取り出すことを放電という。放電 池には,鉛蓄電池,リチウムイオン電池などがある。 すると電池の能力が戻らない電池を一次電池とい 例えば,マンガン乾電池は,電池の内側の亜鉛が負 い,放電したら外部から逆向きの電流を流して電流 極,中心に入っている炭素棒が正極でその間にのり の能力を回復させることのできる電池を二次電池と 状の電解質の物質がつめてある。このように,電池 いう。 には化学薬品が入っているので,壊して中の物質を 一次電池には,マンガン乾電池,アルカリマンガ 取り出したりしてはいけない。 ン乾電池,リチウム電池などがある。また,二次電 電池をつくろう! レ モ ン に 銅 板 と 亜 鉛 板 を 差 し 込 み, 電 子 メ ロ このように,フルーツなどを利用しても電池をつ ディーにつなぐと音が鳴る。レモンの果汁が電解液 くることができる。また,備長炭に,食塩水で湿ら の役割を果たすことで,亜鉛が酸化されて負極に, したキッチンペーパーを巻き,さらにアルミホイル 銅の表面では果汁に含まれる水素イオンが還元され を巻くと電池ができる。このとき,備長炭が正極, て正極となり電流が流れる。 アルミホイルが負極となる。 ▼ 今回のまとめ 電池は,酸化還元反応を利用して電流を取り出す装置である。 ボルタ電池は,希硫酸に亜鉛板と銅板を浸してつくる。 ダニエル電池は,硫酸亜鉛水溶液に亜鉛板,硫酸銅(Ⅱ)水溶液に銅板を浸し,互いの溶 液を半透膜で仕切って作る。亜鉛板が負極,銅板が正極である。 ダニエル電池の負極では亜鉛が電子を失い亜鉛イオンとなるので酸化,正極では銅(Ⅱ) イオンが電子を受け取って銅が析出するので還元の変化が起こる。 放電して電池の能力が戻らない電池を一次電池。放電しても,充電して繰り返し使える電 池を二次電池という。 レモンに亜鉛板と銅板を差し込んで導線をつなぐと,電流が流れる。 − 74 − 高校講座・学習メモ