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ナノ材料に関する国際規制動向 - ナノ材料の安全・安心確保のための

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ナノ材料に関する国際規制動向 - ナノ材料の安全・安心確保のための
安全科学研究部門
2016年1月27日 東京ビッグサイト
ナノ材料の効率的な有害性評価技術
(経済産業省ナノ安全プロジェクト研究成果報告)
ナノ材料に関する国際規制動向
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門
五十嵐卓也
ナノ材料に関する
番外、マイクロビーズ化粧品の禁止広がる
十、米、グラフェン重要新規利用規則制定
九、日主導、細胞試験用ナノ懸濁液の要件
のISO国際標準化完了
八、欧、改正新規食品規則で食品分野統一
の工業ナノ材料の定義
七、欧、ナノ材料定義勧告の見直し遅延
六、欧、国独自のナノ登録制度創設広がる
五、日、多層CNT二年間吸入試験結果
四、加、二六〇既存ナノ材料に報告徴収
三、OECD、吸入TG改正作業進展
二、OECD、工業ナノ材料のドシエ公表
一、米、ナノ材料報告規則を提案
平成二七年国際規制十大動向
安全科学研究部門
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本日の話題
「OECD、吸入TG改正作業進展」
安全科学研究部門
吸入テストガイドライン改正への貢献をはじめ、経済産業省ナノ
安全プロジェクトの研究成果のOECDへの展開について紹介
◆背景
・OECD環境健康安全プログラムとテストガイドライン
・OECD工業ナノ材料作業部会(スポンサーシッププログラム、ドシエ等)
・工業ナノ材料の安全性試験と評価に関するOECD理事会勧告
・工業ナノ材料のためのTG制定・改正作業の流れ
◆経済産業省ナノ安全プロジェクトの研究成果の展開
・吸入テストガイドライン及びガイダンス文書の改正作業に参加
・動物を用いた吸入毒性スクリーニング試験方法セミナー開催
・調査を主導実施、専門家会合で報告、ドシエにデータ提供
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背景:OECDの環境健康安全(EHS)プログラム
安全科学研究部門
●1971年に開始
●目的
実験動物の保護を念頭に置きつつ
化学物質の試験評価のための質の高い手段を提供し
化学物質の管理における効率性・有効性を向上させ
化学物質・製品の貿易における非関税障壁を最小化する。
●代表的成果
・テストガイドライン(TG)を制定
・優良試験所基準(GLP)原則を制定
・TGとGLPに立脚した「データの相互受入れ(MAD)」制度を創設
OECD理事会決定:TGとGLPに従って実施された試験から得られた
データの受入れを加盟国政府に義務付け
TG及びGLPは、MADに関する理事会決定文書の附属書に相当
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背景:OECDテストガイドライン(TG)
安全科学研究部門
OECD加盟国が独自に開発していた化学物質の安全性に関する試験法
について、試験結果を共用できるようにするため、OECDにおいて統一的な
試験方法として定めたもの。信頼できる試験方法を保証するだけでなく、
実験動物の数を減らし、苦痛を最小限に抑えることも目指している。
●TGの体系
第1 部:物理化学性状
第2 部:生物系への影響
第3 部:分解性及び蓄積性
第4 部:ヒトの健康への影響
第5 部:その他 (作物・家畜への農薬残留性など)
●ガイダンス文書(GD)
TG実施の参考となる解説、詳細説明をまとめた文書も公表されている。
●TGやGDの制定・改正を管理するOECDの組織
WNT: Working Group of the National Coordinators of the Test Guidelines
Programme テストガイドライン・プログラムのナショナル・コーディネーター作業部会
背景:OECD-TG制定への“Long and Winding Road”
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安全科学研究部門
OECD-TGの提案から制定まで10年かかると言われる。
①新規開発の評価手法の有用性を規制当局が認めれば、規制当局から
WNTに作業提案書(SPSF:Standard Project Submission Form)提出
②SPSFの事前書面審査
③書面審査を通れば、WNT会合(年1回)の議題に加えられ、各国からの
書面によるコメントと併せて会合で審議
★多くの規制当局が化学物質管理に有用だと認めたものだけがTGに
④WTN会合の合意でTG開発計画に項目追加
⑤専門家を組織して制定案を作成
⑥バリデーション(ラボ間比較試験等)とピアレビュー
★バリデーションに必要な予算確保が難しく「死の谷」となりがち
⑦最終的に、MADに関する理事会決定文書の改正手続き
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背景:OECD工業ナノ材料作業部会(WPMN)
安全科学研究部門
WPMN: Working Party on Manufactured Nanomaterials
2006年、EHSプログラムの一つである工業ナノ材料の安全性に関する事業
のために設置
●組織
2013年2月以降、プロジェクト及びプロジェクト運営グループ(SG)を再編
・試験と評価(SGTA、旧SG3&4&7)
・リスク評価と規制プログラム(SGAP、旧SG5&6)
・暴露計測と暴露低減(SG8)
・環境上持続可能な工業ナノ材料の利用(SG9)
●現在の主な問題意識
化学物質管理法令に基づく工業ナノ材料の評価のツールとして、現行の
OECD-TGやGDの制定や改正が必要かどうか
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背景:OECD/WPMNスポンサーシッププログラムとドシエ
安全科学研究部門
・代表的工業ナノ材料13について参加国がデータを持ち寄る
・主スポンサー国がドシエ(安全性データ集)を取りまとめる
① フラーレン
主スポンサー:日本・米国
② 単層CNT
主スポンサー:日本・米国
③ 多層CNT
主スポンサー:日本・米国
④ 銀ナノ粒子
主スポンサー:韓国・米国
⑤ 鉄ナノ粒子
主スポンサー:中国 実際は酸化第二鉄を使用
⑥ 二酸化チタン
主スポンサー:フランス・ドイツ
⑦ 酸化セリウム
主スポンサー:英国+BIAC(ナノテクノロジー工業協会)・米国
⑧ 酸化亜鉛
主スポンサー:英国+BIAC(ナノテクノロジー工業協会)
⑨ 二酸化ケイ素
主スポンサー:欧州委員会・フランス
⑩ 金ナノ粒子
主スポンサー:南アフリカ
⑪ ナノクレイ
主スポンサー:BIAC(ナノテクノロジー工業協会)一部項目のみ
⑫ 酸化アルミニウム 主スポンサーなし
⑬ デンドリマー
主スポンサーなし
※2010年7月にカーボンブラックとポリスチレンを除外、金ナノ粒子を追加
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安全科学研究部門
背景:OECD/WPMNスポンサーシッププログラムとドシエ(続)
●エンドポイント(試験項目)
物理化学性状、環境運命、生態毒性及び哺乳類毒性の全59項目
●主要材料 Principal Materials
・全項目について試験データを収集することにした特定のナノ材料
・例えば、産総研が開発したスーパーグロース単層CNTもその一つ
●ドシエ(安全性データ集)
・11種の工業ナノ材料について、各スポンサーがドシエを取りまとめ
・OECDの専用ウェブサイトから各ドシエを公表
☑ 2015年6月 金ナノ粒子、酸化セリウム、デンドリマー、ナノクレイ、フ
ラーレン、多層CNT、単層CNT、二酸化ケイ素、銀ナノ粒子、
☑ 2015年12月 二酸化チタン、酸化亜鉛
・今後、一部の材料について、ドシエの要約文書も公表される見込み
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安全科学研究部門
背景:工業ナノ材料の安全性試験と評価に関するOECD理事会勧告
●安全性試験スポンサーシッププログラムの経験(相場観の形成)を踏まえ、
C(2013)107として2013年9月19日に採択(本文9項目+附属書)。
※理事会勧告は、法的拘束力はないが政治的拘束力があるとされる
●勧告の主旨:
・工業ナノ材料のリスクを管理するため,既存の国際的及び国家的な化
学品規制の枠組みを工業ナノ材料特有の特性を勘案して適宜変更して
適用すること
・工業ナノ材料の試験に当たって、テストガイドラインを工業ナノ材料特有
の特性を勘案して適宜変更して、GLP原則と共に適用すること
★ナノ材料を開発・使用する産業界にとって、「ナノ材料の安全管理は既
存の枠組みで十分である」と宣言した(と解釈できる)勧告の意義は大きい。
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安全科学研究部門
背景:工業ナノ材料のためのTG制定・改正作業の流れ
WPMNの活動とWNTの活動との関係
工業ナノ材料安全性試験スポンサーシッププログラム
TG等の工業ナノ材料への
適用に関する知見の集積
材料横断的専門家会合(ワークショップ)開催
吸入毒性 環境運命&生態毒性 物理化学特性 遺伝毒性
トキシコキネティクス カテゴライゼーション
専門家会合の勧告
死の谷
10年がかりの作業の覚悟
SPSF(TG等制定改正作業提案書)の作成
WNTへSPSFを提出
WNTがSPSFを審議
バリデーション
WNT専門家組織
収集試験データを
ナノ材料ごとの
ドシエにまとめ、
一般公開
ホスト国、
PLが必要
WNTがSPSFを採択
WPMNから8件:吸入
毒性、水生毒性、溶解
度、分散・溶解、 凝集挙
動、 蓄積性、 排水から
の除去、遺伝毒性
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研究成果の展開:吸入TG及びGDの改正作業に参加
安全科学研究部門
●米国EPAが主導。日本から産総研(五十嵐)、日本バイオアッセイ研究
センター(福島所長)、国立医薬品食品衛生研究所(菅野部長)が参加。
●改正作業の主な対象
・TG412 28日間亜急性吸入毒性試験ガイドライン
・TG413 90日間亜慢性吸入毒性試験ガイドライン
・GD39 急性吸入毒性試験ガイダンス文書
●主な改正内容
・ナノ材料エアロゾルも試験対象にする、ナノを区別しない
・気管支肺胞洗浄(BAL)分析の必須化
・肺残留の場合、肺負荷量(LB)測定の必須化(匹数増加に配慮)
・熱力学的相当径、体液溶解性等の評価を規定、詳細をGDに記述
●最近の動き
・2015年夏、必須化の実施可能性調査(FS)を実施
・2015年9月21-22日、ワシントンDCで専門家会合開催
・2015年11月、FS報告書案及びTG412/413改正案のパブコメ
・2015年12月17日、専門家電話会議開催
・2016年2月19日までTG412/413改正案の第2回パブコメ
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安全科学研究部門
研究成果の展開:
動物を用いた吸入毒性スクリーニング試験方法セミナー開催
●セミナー開催を2015年2月のWPMN第14回会合で日本が提案
●2015年9月21日米国ワシントンDCでEPAホストでセミナー開催
・司会:産総研蒲生とBASF社カリン・ヴィーンシュ博士
・5日間短期吸入試験の講演:独ラン・マホック博士、韓イル・ジェ・ユ教
授、米デヴィト・ウォーハイト博士
・気管内投与試験の講演:産業医科大学森本教授、日本バイオアッセ
イ研究センター福島所長、CERI大嶋氏
・総括議論では、リスク評価におけるスクリーニング手法の利用に関する
OECDガイダンスの必要性が指摘
●2015年11月のWPMN第15回会合で新規プロジェクトの候補とされた
→産業界代表(BIAC)が提案準備との情報あり
→気管内投与試験の面から日本の参画可能性を探っていく
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安全科学研究部門
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安全科学研究部門
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研究成果の展開:OECD調査を主導実施
安全科学研究部門
●「規制制度でのナノ材料のヒト健康・生態系有害性評価のための物理
化学的特性に基づいたグルーピング・同等性・類推(GERA-PC)の概念の
使用・開発に関する調査」を2013年2月のWPMN第11回会合で日本提案。
産総研の五十嵐がプロジェクトリーダーを務めて実施。
●化学物質のグルーピングに関するOECDガイダンス文書では、同等性とい
う概念は示されていない。
→調査では、グルーピングや類推と共に同等性を一つの柱として取り上げ、
METIナノ安全PJを紹介する絶好の機会を獲得。
●8か国・EU・BIACから13の回答があり、2013年12月のWPMN第12回会
合及び2014年9月のカテゴライゼーション専門家会合で結果概要を報告。
●調査報告書案を2015年11月のWPMN第15回会合に提出。
2016年1月、EHSプログラム意思決定機関で了承され、
「工業ナノ材料の安全性シリーズ」No.64文書として1月22日付けで公開。
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安全科学研究部門
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研究成果の展開:OECD専門家会合で報告
安全科学研究部門
●2014年2月韓国ソウル開催のトキシコキネティクス専門家会合
産総研の蒲生が 「Intratracheal Administration Study for Initial
Characterization of Toxicokinetics of Nanomaterials」と題して報告。
会合開催報告書の作成は、遅延。
●2014年9月米国ワシントンDC開催のカテゴライゼーション専門家会合
・産総研の五十嵐が前述GERA-PC調査の結果概要を基調講演
・産総研の蒲生がMETIナノ安全PJの成果として
「Development of Equivalence Criteria for Nanomaterials by
Intratracheal Administration Study」と題して報告
(7種のナノ二酸化チタンの試験結果に基づく同等性判断基準の試案)
会合開催報告書は、「工業ナノ材料の安全性シリーズ」文書として今春
一般公開の見込み
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安全科学研究部門
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研究成果の展開:OECDドシエにデータ提供
安全科学研究部門
●ナノ二酸化チタンのラットへの静脈注射による体内動態試験の結果
(先ほど篠原が「ナノ材料の体内動態の評価」の中で紹介)を
独環境省からの要請に応じ、
OECD/WPMNスポンサーシッププログラムのナノ二酸化チタンのドシエ
(主スポンサーは独・仏)に反映させるために、2013年3月に提供。
●当該データは、
2015年9月16日付けENV/JM/MONO(2015)17/PART1/3
「DOSSIER ON TITANIUM DIOXIDE - PART1/3 - NM105」の中で
「7.1.1 Basic toxicokinetics - Endpoint study record: toxicokinetics
of intravenously administered P25 by JP-AIST」として公開された。
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安全科学研究部門
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安全科学研究部門
御清聴ありがとうございました
◆関連資料をNanosafety website www.nanosafety.jp で
公開しています。
◆講演内容への御質問・資料請求は
[email protected] まで。
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