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資料4 ナノマテリアルの安全性に係る国内外の主な
資料4 ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて 1.国内における取り組み 1)経済産業省 ①「ナノテクノロジーの研究・製造現場における適切な管理手法に関する 調査研究」 経済産業省では、平成18年度委託調査事業「ナノテクノロジーの研 究・製造現場における適切な管理手法に関する調査研究」において、ナノ テクノロジーに関連する研究や製造が行われている現場の現状を調査す るとともに海外での管理事例を調査し、我が国にとって最適なナノ材料の 管理手法を検討した。 ②「ナノ粒子特性評価手法の研究開発」(平成18∼22 年度) 環境と調和した健全なナノテクノロジー開発を推進するに当たり、 科学的 根拠に基づいたナノ粒子の適正な評価を実施するため、ナノ粒子の①計測 (キャラクタリゼーション)技術の確立、②生体影響評価手法の開発、③ば く露評価手法の開発とともに、 ④ナノ粒子のリスク評価及び管理手法の確立 を図る。(NEDOプロジェクトとして産業技術総合研究所、産業医科大学 ほかが実施。)平成20年4月には、NEDO-産業技術総合研究所-OEC Dの主催により、国際シンポジウム「工業ナノ粒子のリスク評価」を開催し た。 2)厚生労働省 ①労働基準局 労働現場におけるナノマテリアル対策の実効を上げるためには、 作業現場 の実態を踏まえた、より具体的な管理方法を示すとともに、ばく露防止対策 上の現状と課題についても検討していく必要があることから、平成20年3 1 資料4 月から10月にかけて、 「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対 する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を計9回開催し、報告書を 取りまとめている。 ②医薬食品局 ナノマテリアルの応用が進展する一方で、 ヒト健康への影響については未 解明であることから、 安全性の評価手法や安全対策のあり方等について検討 を行うため、平成20年3月から「ナノマテリアルの安全対策に関する検討 会」を開催している。 3)環境省 ナノ材料の使用実態等を踏まえた環境中への放出の可能性と管理手法に ついての知見の収集と整理を行うため、平成20年 6 月から、 「ナノ材料環 境影響基礎調査検討会」を設置して検討を行っている。 2.海外における主な取り組み 1)英国 ○「工業ナノ材料についての自主的報告スキーム」 英国環境食糧地方問題省(Defra)は、自主的報告制度として「工業ナノ 材料についての自主的報告スキーム(Voluntary Reporting Scheme (VRS) for Manufactured Nanomaterials) 」を 2006 年 9 月 22 日∼2008 年 9 月ま での 2 年間をパイロット期間として実施した。提出されたレポートは11 レポート(産業界から9レポートと学術界から2レポート)であった。 現在、産業界と学術界に対して、VRS に対する考え方についてのアンケ ート調査を実施している。この 9 月にパイロット期間が終了したことを受 けて、 「ナノテクノロジーに関する閣僚グループ(Ministerial Group on Nanotechnologies) 」において、今後の対応を検討する予定。 2 資料4 2)米国 ①「ナノマテリアルスチュワードシッププログラム(NMSP) 」 米国環境保護庁は、ナノマテリアルを扱っている企業による自発的な情 報提供プログラムである「Nanoscale Materials Stewardship Program (NMSP)(以下「スチュワードシッププログラム」 ) 」を 2008 年 1 月 29 日に 開始。 スチュワードシッププログラムは、ナノマテリアルの安全な取扱いにつ いて理解を深め、将来的な規制の是非や必要に応じ規制対象などを絞り込 み、安全なナノマテリアル開発を促進するために有害物質管理法(TSC A)のもとに、ナノマテリアルを扱う企業などに自主的なデータ提出を促 すことで情報を収集するもの。提供が期待されている内容は、ナノ材料の 物理化学的特性、有害性情報、曝露情報、リスク管理対策の情報など。 基礎的プログラム(Basic Program)と詳細プログラム(In-Depth Program) からなり、前者はいま手持ちの情報のみを提出するのみ、後者はEPAと 相談しながら費用をかけて(動物実験等を行い)新たなデータを取得して いく。スタートから1年後(2009年1月)に中間報告が出され、最終 報告は2年後を予定している。このときに、プログラムの将来の方向性 (TSCA に基づく規制権限の利用の検討も含む)について決定されることに なっている(場合によっては、報告書の発表や規制の策定は早められるこ ともある) 。基礎的プログラムは、10月23日現在では25事業者から1 13のナノスケール材料についての情報提供があった。 ②EPA、有害物質規制法(TSCA)におけるカーボンナノチューブの扱い について(2008.10.31) 米国環境保護庁(EPA)は、有害物質規制法(TSCA)はCNT にも適用でき、CNT はTSCAのインベントリ上のグラファイトや他のカーボン同素体とは区別で きる化学物質であることから、多くのCNT はTSCA の第5 条に規定される新 3 資料4 規化学物質であることを発表。商用目的でCNT の製造・輸入を行う業者は、 CNT の製造・輸入を90 日前に届け出ることが必要となった。 ※工業ナノ材料は「新規化学物質」であるか「既存化学物質」であるかと いうことについて、EPA は「ナノスケール材料の TSCA インベントリステ ータス−一般的アプローチ」という文書を作成し、これまで通りの判断 基準 (分子的同一性を基準とし、 サイズなどの物理的特性は考慮しない) をケースバイケースで適用していくことを宣言した。具体的には、炭素 の同素体である、MWCNT、SWCNT、フラーレンなどは新規化学物質となる が、ナノサイズの二酸化チタンや銀などは既存化学物質となる。 3)OECD ①平成18年9月にOECD化学品委員会の下部組織として「工業ナノ 材料に関する作業部会(Working Party on Manufactured Nanomaterials) 」 が設置され、ナノマテリアルの厳格な安全性評価の開発を促進するため、 工業ナノ材料のヒト健康及び環境の安全性に関係する側面における国際 協力が OECD をベースに進められている。活動の枠組みは次のとおり。 SG1:安全性研究に関するデータベース構築 SG2:工業ナノ材料に関する研究戦略 SG3:代表的な工業ナノマテリアルの安全性試験 SG4:工業ナノ材料とテストガイドライン SG5:ボランタリースキームと規制制度に関する協力 SG6:リスク評価に関する協力 SG7:ナノ毒性学における代替試験の役割 SG8:ばく露測定と低減に関する協力 ②SG3 の取組の一環として 2007 年 11 月からスポンサーシッププログラム が開始されている。これは、生産量等の観点から選定された代表的ナノマ テリアル(14物質)に関し、合意された安全性情報項目について情報収 4 資料4 集あるいは試験を実施するものであり、各国が自主的に特定のナノマテリ アルのスポンサーとなり、試験計画を策定することとされている。 日本は現在、米国と共同で、フラーレン、単層カーボンナノチューブ、 複層カーボンナノチューブのスポンサーとなることを表明しており、経済 産業省を中心とした関係省庁及び産業総合研究所等の機関が試験を開始 している。 その他、OECD加盟国における規制等に関する動向や関係機関等(I SO、国連機関及び一部非加盟国-ロシア、中国、タイ、ブラジル)にお ける取組等について情報交換を行っている。 代表的ナノマテリアル14物質は次のとおり(2008 年 10 月) Co-sponsor フラーレン SWCNT Lead Sponsor Japan, US Japan, US MWCNT Japan, US Korea, BIAC 銀 Korea, US 鉄 China Canada, Germany, Nordic Council of Ministers BIAC 酸化チタン Germany カーボンブラック 酸化亜鉛 シリカ 酸化セリウム 酸化アルミニウム ポリスチレン デンドリマー ナノクレイ Contributors Denmark, China Canada, France, Germany, EC, China, BIAC Canada, France, Germany, EC, China, BIAC Australia, France, EC, China Canada, US, Nordic Council of Ministers Canada, Korea, Spain, Denmark, China US, BIAC Denmark, Germany, US US, BIAC Australia, Canada Korea, BIAC Denmark, France Netherlands Australia, Germany, EC Germany, US Korea Spain US Denmark, US UK/BIAC EC US, UK/BIAC 5 資料4 ③OECDにおけるナノマテリアルに関する取組の経緯 2005 年6月 第 38 回化学品委員会及び化学品・農薬・バイオ技術作業部会の合同会合 において、工業ナノ材料の安全性に関する特別セッションを開催。 2005 年 12 月 ワシントンにおいて工業ナノ材料の安全性に関するワークショップを開 催。 2006 年9月 化学品委員会の下に工業ナノ材料安全部会(WPMN)が設立。 2006 年 10 月 第1回作業部会開催。2006-8 年の作業計画及び6つの作業グループの設 置に合意。 2007 年4月 第2回作業部会開催。6つの作業グループの実施計画に合意。 2007 年 11 月 第3回作業部会開催。 代表的なナノマテリアルの有害性情報の収集を行う スポンサーシッププログラムについて合意。 ナノ毒性学における代替試験 の役割、ばく露測定と低減に関する作業グループの設置に合意。 2008 年4月 スポンサーシッププログラムワークショップ開催。 ガイダンスマニュアル の策定などを議論。 2008 年6月 第4回作業部会開催。 各国がスポンサーシップ・プログラムへの参加意 思を表明し、最終的に 7 物質についてスポンサー確定 2008 年 11 月 スポンサーシッププログラムワークショップ開催。各物質の試験計画書 (DDP: Dossier Development Plan)の作成進捗状況を報告。 4)ISO 2005年5月、ISOでナノテクの技術委員会(TC229)が設置 された。 「用語・命名法(WG1) 」 、 「計測・キャラクタリゼーション(WG2) 」 、 「環境・安全・健康(WG3) 」の3つのWGも同時に設置された。WG1は カナダ、WG2は日本、WG3はアメリカがコンビナーとなった。 2008年2月、TC229の3つのWGに加え、新たに「材料規格(WG 4) 」が設置された。中国がWG4のコンビナーとなった。 6 資料4 2005年11月 2006年 6月 2006年11月 2007年 6月 2007年12月 2008年 5月 2008年11月 第1回総会(イギリス ロンドン) 第2回総会(日本 東京) 第3回総会(韓国、ソウル) 第4回総会(ドイツ ベルリン) 第5回総会(シンガポール) 第6回総会(フランス ボルドー) 第7回総会(中国 上海) 7