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Q1.強酸水は、やっぱり絶対的な効果が期待できるものなのでしょうか?
Q1.強酸水は、やっぱり絶対的な効果が期待できるものなのでしょうか? 絶対的な効果は、感じておりません。最初は「水よりもいいのではないか」 といった気持ちで使い始めたものが、今ではシステムの一つになっているだけ です。 講演でも言いましたが、バイオフィルムあるいはグルカンの除去には、機械 的な清掃が不可欠ですから、それがメインと考えています。その後のポケット 内洗浄で心がけることは、とにかく患者さんを爽快な気持ちでお帰しすること です。まずは、精製水とネオステリングリーンで試されてみたらいかがでしょ うか。ほとんど同じ効果が得られると思います。 Q2.ウチヤマ歯科では、PMTC に関する特別な料金はもらっていないと云っ ていましたが、定期検診として、P 管理料、P 処、実地指導、再診料のみの算 定で、採算取れるのでしょうか? 定期検診で行う内容は、ほとんど歯科衛生士の仕事になります。歯科医が行 っては採算が合ません。 保険請求としては、初診料、P 管理料、P 処、実地指導、再診料のほかに、通 常は全く歯石がついていない人はまれですから、スケーリング、ルートプレー ニングの点数を請求することになります。 なお、PMTC はそれらの合間に行います。PMTC だけで終わることは基本的にな いのですが、たとえば polishing のみをご希望の方のような場合は、事情をお 話しして、保険請求をせずに別途費用をいただくこともあります。〔うちの患 者さんではそういう人はまれです) Q3.口腔乾燥症の患者さんに処方した薬を教えてください。歯科で処方し ていいのでしょうか?禁忌症とかありますか? 歯界展望の論文をお読みいただければ幸いですが、同じ口腔乾燥症でもさ まざまです。 唾液腺の機能低下が原因で、なおかつ応答群(まだ分泌の能力がかなり残 っている人)に、唾液分泌促進剤が有効となります。〔誰にでも効くわけでは ありません) 薬品名は、「フェルビテン」です。禁忌症は特にないはずですが、詳しくは 薬に添付されている効能書をご覧下さい。 Q4.抗真菌薬ファンキゾンシロップの具体的な使用法は? デントカルト CA 検査などで、真菌、特にカンジダの感染が疑われる場合に限 り用います。胆嚢の機能低下の方にはご注意下さい。 処方は、2 時間置きくらいの含嗽です。飲んでもいいと書いてありますが、 どろどろしていてとても飲めるしろものではありません。 ツボに入ると即効性がありますが、これも全てに必ず効くというものではあ りません。この世界は試行錯誤(なんでもあり?)の世界ですから、先生方が いろいろ知恵を絞って、工夫してみてください。 <追加> 繰り返しますが、バイオフィルム状の複合感染症には、機械的な清掃が不 可欠ですから、それがメインです。そっと優しく〔祈るような気持ちで・・・) 清拭すること、洗浄すること、それが一番効果があります。 「ペリオにファンキゾンシロップが効く」といった記事を読んだことがあ りますが、私たちの臨床ではそのような効果を実感したことは、残念ながらあ りません。 「ペリオ?・・・はい、ペリオクリン。あとはファンキゾンでうがいして ね」これで治れば簡単で良いのですけれどね。そう甘い病気ではないことは、 歯科関係者なら誰でも知っていることですよね。 感染症、生活習慣病、そして長期的なケア、これがキーワードです。 Q5.PMTC をうまく臨床に取り入れるにはどうしたらいいでしょう か。 本になると、さぞ完璧な PMTC を行っているように思われがちですが、私た ちの行っている PMTC はいわば 60 点の PMTC で、つまり治療の中で PMTC だけが 100 点満点で独立しているものではないのです。あくまで予防・管理・治療と いうトータルなケアシステムのなかに PMTC が組み込まれているだけなのです。 したがって患者さんに「これから PMTC を行います」とかことさら強調もし ませんし、PMTC だけで治療費をいただくこともありません。保険給付の範囲で、 歯周病治療の一環として行ったり、齲蝕管理の中に組み込んだりしています。 保険をはずしては、患者さんはついてきませんし、また長期的なケアの面から 考えれば、はずすべきでもないと思います。 先生の、患者さんを思って、長期的にケアして行こうというお気持ちが一 番大切です。採算も大事ですから、何とか工夫してみてください。ケアで患者 さんが定期的に来院するシステムができれば、あとはおもに衛生士の仕事にな ります。採算面でそう苦労することはなくなるはずです。まず、じっくりとチ ームを組む衛生士を探し育てること。いっしょにセミナーに出席すること。 「従 業員」とか「女の子」とか呼ばないこと。あくまで、治療のスタッフ、協力者 です。お互いに敬意を持って接すること。彼女たちに教えられることも多いと 思います。ちなみに当院では毎日3分の1が衛生士の患者さんです。 これからは、あまり歯科医がでしゃばる時代ではありません。 それから、必要以上に一つのシステムに染まらないこと。カリエスリスク などは経験ですぐにわかります。検査する余裕があったら、とにかく洗ってあ げること、磨いてあげること、フッ素を塗ってあげること。歯周病に関しては、 生活背景、全身状態に常に気を配ってください。 患者さんの理解の助けになる、院内文書も充実させてください。 私たちのシステムは、長い時間をかけて築き上げてきたものです。現在も どんどん変わっています。どうか焦らずに取り組んでください。 最後に、くれぐれも申し上げたいのは、歯周治療や保存治療の医院のレベ ルをコツコツとでいいですから、少しずつでも高めていくようにしてください。 読めないレントゲン・ゴツゴツした歯根面ではいくら PMTC のみがんばっても、 それはごまかしにすぎません。 結論 あまり PMTC や予防にはまらないこと。そもそもこの分野はスタッフの仕事で すから・・・。 医師はあくまで治すのが仕事です。しっかりと技術を磨いてそこで生計を立 てるのが本道です。予防管理をしっかりやってくれる歯医者なら、必ず他で困 っている患者さんが集まってきます。きちんと治して、その後の管理が充実し ていれば、採算にあう患者さんも徐々に増えてこないはずがありません。 他の歯科医院が暇でも、予防・治療・管理のバランスがとれていれば、忙しく て困るようになりますよ、そのうち。 とにかく、勉強しましょう。 PMTC は、一流の歯科医に必要なテクニックのほんの一部に過ぎません。