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「日本の大学改革と国際化への課題」米澤 彰純氏

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「日本の大学改革と国際化への課題」米澤 彰純氏
CGP Workshop
日本の大学改革と国際化への
課題
大学評価・学位授与機構
米澤 彰純
http://svrrd2.niad.ac.jp/faculty/yonezawa/
アウトライン
• 日本の大学改革の現状と、それを取り巻く国際的状
•
•
•
•
•
況の変化
高等教育サービスにおける国境の意味の希薄化と、
日本の国際化へ向けての大きな課題
組織としての取り組みと、厳しくなる研究者の状況
他方で、若手研究者の仕事の流動化自体は進む傾
向 任期制の増加、ポスドク
他方で、若手研究者の仕事の流動化自体は進む傾
向 任期制の増加、ポスドクなど
財団の役割の重要性と将来展望
日本の大学「改革」と状況変化
• 1980年代 –
–
–
臨時教育審議会
留学生10万人計画
米国大学日本校
–
–
–
–
–
–
大学設置基準の緩和
大学院の拡充・研究資金(競争的)の拡大
自己点検・評価の導入
不況下の大学進学率の上昇
留学生数の一時的停滞と、留学生支援の整備
学習のあり方の厳格化への議論(GPA導入提唱など)
• 1990年代
• 2000年代前半
– 私立大学定員割れの深刻化
– 学力低下・学習の厳格化・質保証へ向けての取
組
• 2004
– 国立大学の法人化<中期目標に基づく評価>
– 「認証評価」の導入
– 株式会社大学の特区での認可
– 外国大学日本校の公認(2005)
– 留学生政策の量から質への転換
国際的状況の変化(80年代)
• 臨時教育審議会
• 留学生10万人
•
計画
米国大学日本校
•米国における教育危
機意識の拡大と企業改
革
•英国におけるサッチャー
主導大学改革
•イギリス・オーストラリ
アにおける留学生フル
コスト政策の導入
• 日本の製造業の国際競争力拡大
と空洞化の進行
– 画一的教育脱却への模索
– 「国際人」養成が課題に
• 帰国子女の優遇
• 私費語学留学の拡大
• 民間企業による留学派遣
– 経済摩擦と国際貢献の拡大
• 途上国への貢献としての留学生政策
• 貿易摩擦の副産物としての米国大学日
本校
– 米国での日本への関心の高まり
国際的状況の変化(90年代)
• 大学設置基準の
•
•
•
緩和
大学院の拡充・研
究資金(競争的)
の拡大
自己点検・評価の
導入
学習厳格化への
議論
• バブル崩壊と、公共投資による下支え
•
•
– 大学貧乏物語キャンペーンの成功と、科学研究費
への公共投資拡大
不況下の大学進学率拡大
– 恒常定員・大学院定員の拡大高卒・短大卒の就
職事情悪化
– 就職を目的とした大学院進学の拡大
留学生に対する雇用のあり方の厳格化と再緩和(不
況下の学生生活支援)
•米国における景気拡大・冷戦終結・グローバル化・途上国への高等教育援助
削減にともなう米国への研究人材集中の進展
•欧州統合と東欧崩壊による欧州高等教育国際化の本格化
•東アジアにおける高度成長・私立高等教育の拡大と、英国・オーストラリアの大
学による商業的国際進出
国際的状況の変化(2000年代前半)
• シンガポール、マレーシアのハブ政
•
•
•
•
•
•
•
策
評価機関の設立ブーム
ボローニャ宣言と国際アクレディテー
ション(1999)
オーストラリアの高等教育「産業」宣
言、英国の大学進出の拡大<アジア
経済危機による東南アジア留学生市
場の冷え込みも一因>
E-learning,国際コンソーシアム事業
の進展
知識基盤産業論の台頭と世銀対途
上国高等教育支援政策の転換
国境を越える教育サービスへの注目
と、国際的質保証論の台頭
911以後の国際留学市場の急速な
冷え込み→一層の国境を越えた大
学市場の拡大につながる可能性?
• 国立大学法人化への段階的準備
• 私立大学を中心とした供給過剰状態の
•
•
深刻化
少子化・供給過剰と、中国を中心とした世
界的留学生市場の拡大を背景とした市
場的な留学生取り込みの進行
国立大学の大学院での留学生の増加:
研究活動の国際化、世界水準の証なの
か?、それとも過剰定員対策か?
• 米国からの「市場開放」圧力に端を
•
発して国際的質保証の議論喚起の
中心に
水面下で進む日本大学離れ???
高等教育サービスにおける国境の意
味の希薄化
• 知識基盤経済とグローバル化に
•
•
•
•
よる労働の場における使用言語
の寡占化(英語・中国語)
米国型ビジネススクール教育の
国際的伝播
職業資格の国際化
留学の日常化、手軽化(フランチャ
イズ・オンライン)
地域統合政策の進展
(EU,ASEAN,北米南米)
• 水面下で進む日本の大学の危
機
– アジアトップの揺らぎ
– アジアのライバル大学の台頭<
シンガポール、中国、韓国、オー
ストラリア>
– 米国大学一極集中と、英国大学
の国際戦略強化
• 日本の大学国際化の遅れ
– 「真剣な」留学に向けてのインセ
ンティブ・危機感の低さ
– 教員の対応の遅れ
– 社会的関心・危機意識の薄さ?
脱力感・無力感?
– 国立大学の対応の遅れ
危機意識の中での2004年改革
• 2004-2005
– 国立大学の法人化
– 「認証評価」の導入
– 株式会社大学の特区での認可
– 外国大学日本校の公認
– 専門職大学院の整備
– 沖縄研究大学院大学開設準備
– 日本学術会議による研究評価論の台頭
大学による国際化への取り組みの活
発化と深化・転換
• 北京への進出ブーム
–
–
–
東京工業大学・清華大学共同学位プログラム
北京事務所の開設(広島・九州・東京)
留学生センター改組、国際戦略の練り直し(多くの国立大
学、慶応大学など)
• 英語による教育プログラムの開設、強化
– 一橋、APU、同志社、早稲田<含むシンガポール進出>、
上智・・・
• 日本人のための海外キャンパス設営、曲がり角へ
– 成城アルザス撤退、豊田工大米国進出など。。 厳しくなる若手研究者の状況
•
•
•
•
バブルに始まった陥没???
–
–
帰国子女の裏側としての日本の大学志向?危機感の消滅
先進国化と企業派遣の間隙としての大学院生
大学院の拡大、大学教員への採用ルート多様化
–
–
–
–
狭まり、不安定化する大学院→大学教員への道
定員削減による助手ポストの減少
大学ジュニアポストの任期制の拡大、再任規定の明示化
学術振興会・COEによるポスドクポストの拡大:その後の保証は当然なし
大学教員一般の労働環境の悪化
–
–
–
–
雇用の不安定化
研究費の格差の拡大、基盤的な資金の大幅減
評価の強化:一方で、評価における長老支配変わらず
教育・そのほかの仕事の増加
国際競争の激化
–
–
–
公募情報の公開化、海外留学組・外国人応募への道
評価における国際項目の重視
評価する側は、日本語独占、長老支配的傾向
現在の状況をどう捉えるか?
•
•
•
•
国際的な状況の中での、アカデミックキャリアのノーマル化?
大学院教育・学位・ポスドク制度のシステム化
競争のルールの明示化
アカデミックなキャリアへの機会の開放化の進行
– 公募制の拡大、外国人教員への意識の変化、女性の進出、外国学位取得
者への機会の拡大
• 絶対的な国際的人材の不足
• 「ひも付き」留学から、キャリアアップのための留学へ
• 私費負担・自己負担の拡大:研究者になる機会の開放性を保つことがで
•
•
きるか??
大学院留学の日常化:留学は、研究者だけのものか?
評価における長老支配:特に中国や民間企業の若手リーダーとの世代
間ギャップ→日本の学術界も選抜の早期化・グローバル化を進められる
か??
奨学財団の役割の重要性と将来展望
• 国際的人材育成の必要性ますます強まる
• 若手研究者、若手リーダー候補のキャリア形
成の変化への対応の必要性
• 多様なニーズへの対応:生涯学習的なもの・
機会均等的なものも含めた、国際的動向へ
のアンテナを鋭くする必要
• 評価とマーケティング→戦略をねって明示す
る必要
高等教育に関する情報源
• 国立情報学研究所「我が国における学術研究活動の状況:平成14年度学術研究活動に
•
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•
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•
関する調査結果」 http://www.nii.ac.jp/publications/RAS/2002/j/index.html
広島大学高等教育研究開発センター http://rihe.hiroshima-u.ac.jp/
Boston College http://www.bc.edu/bc_org/avp/soe/cihe/
Chronicle http://chronicle.com/
THES http://www.thes.co.uk/
Borderless HE http://www.obhe.ac.uk/products/reports/
上海交通大学世界ランキング http://ed.sjtu.edu.cn/ranking.htm
JICA 高等教育レポート http://www.jica.go.jp/activities/report/field/200309_02.html
文部科学省・厚生労働省・経済産業省 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/main4_a3.htm
米澤彰純・木村出「高等教育グローバル市場の発展-アジア・太平洋諸国の高等教育政策
から得た示唆とODAの役割-」国際協力銀行ワーキングペーパーNo18 (2004.9)
http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/working/pdf/wp18_j.pdf
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