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「第13回 日韓合同セミナー」開催される

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「第13回 日韓合同セミナー」開催される
J P M A
2015年11月号 No.170
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Topics|トピックス
「第13回 日韓合同セミナー」開催される
日本と韓国の製薬産業を取り巻く環境の相互理解を目的とした日韓合同セミナーは東京とソウルで交互に回を重ね、
今年で13回目を迎えました。今年は、1965年に日本と韓国との間の国交正常化に関する基本条約が締結されてから
50周年の節目に当たります。この記念すべき年に両国が協力して本セミナーを開催できたことは喜ばしい限りです。ま
た、厚生労動省と韓国食品医薬品安全処は、「相互の薬事規制を理解し信頼性を強化するための覚書を締結した」
と、
セミナー会場にて発表しました。セミナーの演題については日本側と韓国側の要望を反映し、それぞれ関心が高かっ
たテーマを取り上げました。
会場風景
演者一同
ソウルにて開催された今回のセミナーは、日本より厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare、MHLW)
・医薬
品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency、PMDA)・製薬協加盟企業関係者27名が出席し、全
体で約240名という過去最高の参加者を迎え、国交正常化50周年記念の年を祝うかのような盛大なセミナーとなりました。
日本からはMHLW医薬食品局 局長の神田裕二氏、大臣官房国際課 企画官の中島宣雅氏、医政局経済課 課長補佐の高江
慎一氏、医薬食品局 書記の成嶋伸浩氏、PMDA 品質管理部 部長の櫻井信豪氏、日本大使館 経済部 二等書記官の松井優
子氏、製薬協の伍藤忠春理事長、同国際委員会の平手晴彦委員長、同アジア部会の堀江清史部会長、同品質委員会の仲
川知則委員、同知的財産委員会の奥村洋一委員長、および同国際委員会アジア部会韓国チーム員というメンバー構成で、
韓国からは、韓国食品医薬品安全処(Ministry of Food & Drug Safety、MFDS)のHee Young Park・Sang Bong Kim両氏、
韓国保健福祉部(Ministry of Health and Welfare、MOHW)のYoon Shin Lee氏、韓国製薬協(Korea Pharmaceutical
Manufacturers Association、KPMA)のKyeong-Ho Lee・Won Ill Gal両氏ほか、韓国日系製薬企業協議会(Korea Japanese
Pharmaceutical Association、KJPA)会長の鄭海都氏、同前会長金大中氏ほか、多数が参加しました。韓国側の参加者は
事前登録数を大幅に上回る人数となり、日本の新たな制度や日本との連携に対する関心の高さがうかがえました。
本セミナーでは、国際協調・医薬品のグローバル化の下、今後の両国の製薬産業のビジョン、薬価政策、共に加盟した
PIC/SによるGMP査察の変化、R&Dの発展について講演が行われました。韓国側の発表の概要のみ以下に報告します。
JPMA NEWS LETTER 2015 No. 170 Topics|トピックス 「第13回 日韓合同セミナー」開催される
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2015年11月号 No.170
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「 第 1 3 回 日 韓 合 同 セミナー 」開 催 される
Topics|トピックス
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韓国演題(1) Major strategy & project of MFDS
Deputy Director, Pharmaceutical Policy Division, MFDS Hee Young Park 氏
MFDSは「医薬品による健康な暮らしの保障と国民の幸せ」
と題した2015年ビジョン
および核心戦略を立案しました。a.医薬品を安心して使用できる環境の構築、b.医薬
品公共性の拡大、c.グローバルな新技術・新環境への先制的対応、d.安全管理システ
ムの先進化の4分野に対して具体的な政策を実施していきます。
a.については、これまで通り、国民が医薬品を安心して使用できるような環境を作
るために行政の管理力をいっそう強化するとともに、専門家のみならず使用者である
患者が必要とする情報についても提供し、医薬品を正しく知り、買い、使い、捨てる
ための教育や広報を行います。b.については、患者の治療に不可欠な医薬品を高品
質で安定的に供給する能力を拡大し、医薬品副作用被害救済制度の整備・運営や医薬品の品質信頼性を向上させます。c.に
ついては、医薬品製造の安全管理システムを先進化させるとともに、国際協力ネットワークへの参加を通じて制度の国際調
和を深め、国際的な価値を高めていきます。d.については、現在運用しているさまざまな医薬品に関する安全管理システ
ムを拡大・深化させるとともに、人材育成や許可審査の透明性・一貫性・専門性強化などを行います。
このほかに、先端医薬品の開発を効率的に行うために先端医療複合団地の機能を活性化する、規制の合理化やPHARM
NAVI事業を通じた先端医薬品の開発・製品化を支援するなど行政側の取り組みを推進します。
■
韓国演題(2) Current status of drug pricing system
Deputy Director, Division of Pharmaceutical Benefits, Bureau of Health insurance Policy, MOHW
Yoon Shin Lee 氏
韓国保険薬価制度の改善方策
1)新薬の適正価値の反映および収載手続の改善
新薬の薬価決定時において臨床的有用性・利便性の改善が認められた場合、比較
薬剤(薬剤給付目録に収載された代替薬剤のうち最も多く使われる薬剤、含特許失効
薬)の価格のうち、最高価格以下で認定されます。ただし、製薬会社は臨床的に意味
のある指標で統計的有意性を立証する必要があり、また比較薬剤が2つ以上の場合は
そのすべてと比べて改善を立証しなくてはなりません。
臨床的な必要度、エビデンス生成の困難を同時に満たす希少疾病治療薬については、A7国家(医療分野の主要7カ国)
のうち3カ国以上で収載された薬剤に限り、A7国家の最低価格以下の水準で給付適正性(価格)が認定されます。ただし、
さらに低い薬価が出現した場合は、最低価格に引き下げられます。
製薬会社が代替薬剤の加重平均(含ジェネリック)値の90%〜100%(新薬の区分により異なる)の金額を受け入れれば健
康保険公団との交渉期間(60日)を省略することができます。
2)関連規定の改正など
関連規定として、国民健康保険療養給付の基準に関する規則及び薬剤の決定及び調整基準(2015.5.29公布・施行)、健
康保険審査評価院の指針及び内部規定(2015.5.29施行)、薬価交渉指針(2015.6.4施行)および使用量−薬価連動交渉の細
部運営指針(2015.6.8施行)が紹介されました。
3)複合剤算定基準などの改善
複合剤の価格決定時には、加算は適用外となり、複合剤を構成する各単剤の最高価格の53.55%の金額を合算したもの
で調整します。また、これまで複合剤を構成する単剤の薬剤がジェネリック発売時に引き下げられた際も複合剤の薬価は維
持されていましたが、今後は連動して引き下げるなど従来の非合理的な部分を修正します。
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「 第 1 3 回 日 韓 合 同 セミナー 」開 催 される
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4)薬剤給付目録および低価格医薬品の整備
薬剤給付目録の収載単位、表記単位などが混在していたため、総含量および単位あたりの含量が同じ製品に同一製剤の
定義を明確化しました。また、低価格医薬品の定義を制定し、その基準額の再設定を行いました。そのため、実際の使用実態
では高価格にもかかわらず、単位あたりの薬価が安いため低価格医薬品として保護されていたケースなどは修正されます。
5)
その他
「製薬産業育成5カ年計画の補完措置」
(2014.12.2)に伴う韓国企業のグローバル市場への参入を支援するために、革新型
製薬企業が開発し、韓国国内で世界初の許可を受けた新薬(導入新薬除く)
であり、諸外国の許可またはフェーズIII試験の承
認を受けた製品に限り、払い戻しを条件に「使用量−薬価連動」による薬価引下げが最大3年間猶予されます(さらに3年の追
加猶予が1回に限り認められる)。
■
韓国演題(3) MFDS’ Accession to PIC/S and current GMP Policy
Director, Pharmaceutical Quality Division, Pharmaceutical Safety Bureau, MFDS
Sang Bong Kim 氏
MFDSのPharmaceutical Safety Bureau(医薬品安全局)は査察を担当する部門で
す。韓国も日本もPIC/Sへの加盟で国際的な調和へ向かうことになると考えますが、同
じPIC/Sでも国により異なると感じています。これは規制の差ではなく、査察官の経験・
能力などの差です。重要なことは、査察官のレベルの偏差をなくすことです。
韓国では、本部31名、地方庁44名、合計75名の査察官で業務を行っており、海外
の査察もこのメンバーで担当しています。査察官になるためには、薬剤師または韓方
薬剤師で豊富な知識と経験を有する人材でGMP査察官の教育を履修した者という条件をクリアする必要があります。韓国で
は査察官の教育に力を入れており、Case Study Inspectionや海外トレーニングなどを取り入れています。査察官は専門分野
やキャリアによる得意分野があるため、各調査官の間での調和が必要です。そのためにCase Study Inspectionで事例を共
有し、考え方の統一を図っています。
GMPの規定に関しては、2014年8月に主な規制の整備は完了しています。2015年7月にPIC/S GMP付属文書についても告
示しました。韓国ではPIC/S加盟以前からほぼ同等の基準で運営していましたが、従来ガイドラインであった付属文書を施行
規則および告示での運用に改めました。すべての製造所を 3年周期で点検し、有効期限のあるGMP適合証明書で管理して
いきます。
今後はPIC/Sメンバーとして国際協力に積極的に参画していきます。教育訓練、査察協力などの分野でも韓国−ASEANの
協力を推進していきます。
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韓国演題(4) Open Innovation and KPMA Activities for
Regulatory Harmonization
Director General, Pharmaceutical Policy Dept, KPMA Seung In Um 氏
韓 国 製 薬 協 会(KPMA)主 導 のPAC(Pharmaceutical Associations
Conference)2014および KPAC(Korea Pharmaceutical Associations
Conference)2015、APEC規制調和センター(APEC Harmonization
Center、AHC)について
1)韓国製薬協会主導のPAC2014およびKPAC2015について
PACの目的は政府の製薬産業発展開発5カ年計画と連携し、オープン・イノベーショ
ンを積極的に導入することで、KPMAとKRPIA(Korea Research-based Pharmaceutical
Industry Association)が共同で毎年開催します。参加者は多国籍企業のR&Dと事業開発の担当者、韓国政府の関係者、韓
国国内企業の専門家で、昨年度は440名が参加しました。PACの構成は主にカンファレンスとパートナリングであり、その他
に展示会やサブイベントを設けています。
2014年度は多国籍企業10社と韓国国内企業18社による46件のパートナリングが行われました。PACのアンケートによると
7割の出席者が次回も参加したいと回答しました。
2015年度は会議名をPACからKPACに変更し、11月19日にソウルで開催します。今年はセッションをR&D Collaboration
for Innovation、R&D Partnership、Commercial Partnership、Investment Modelsに分ける予定です。
2)AHC Secretariatとして国際規制調和に向けたKPMAの役割について
APEC 生命科学革新フォーラム(LSIF)における規制調和運営委員会(RHSC)の役割は、規制調和の方向性の提示であり、
AHCはその下位組織で事務局として各種活動の取り組みをします。2013年よりKPMAが担当し、現在は9名程で運営してい
ます。活動内容は主に教育を目的としたAHCワークショップの開催(年約4回)
で、その他にAPEC規制調和の調査研究、ネッ
トワーク構築、APEC運営支援、ホームページ管理などを担当しています。
韓国演題(5) Globalization Strategy
Head of Global Business Div. Boryung Pharm Peter S. Choi 氏
保寧製薬(Boryung Pharm)は、1963年に創立し、グループ要員は1600名です。グ
ループ全体で6億3800万ドルの売り上げがあり、そのうち製薬部門は3億6000万ドル
の売り上げ(いずれも2014年実績)
です。ほかにスキンケア、食品、アパレル等を扱う
Medience部門があり、海外との提携は50カ国、150社に及びます。
今回は国際的戦略製品アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)である
「Kanarb」は、
韓 国ARB市 場で は 第1位 の 売り上 げ を 上 げており、 シェアは 約10 %で す。 また、
Kanarbが海外展開しており、グローバルでの開発や、メキシコ、ブラジル、ロシア、
中国、東南アジアにおける契約、開発も進んでいます。日本ではPMDAと治験相談を
行っており、さらにヨーロッパへの進出計画も進んでいます。
まとめ
「第13回 日韓合同セミナー」は、日本と韓国の国交正常化50周年の節目の記念すべき年に開催され、関係者のご努力、参
加者のみなさんのご協力により成功裏に終えることができました。本セミナーを端緒とし、日韓両国の官民の連携を通じて、
両国が国際協調・医薬品のグローバル化を推進し、世界の人々の健康にさらなる貢献ができる日が来ることを祈念したいと
思います。次回セミナーは東京開催の予定です。
JPMA NEWS LETTER 2015 No. 170 Topics|トピックス 「第13回 日韓合同セミナー」開催される
(国際委員会 アジア部会 邊見 智)
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