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アブラハムの生き様を通して仰ぐ神の御思い
Sep.30,1998 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 滋 到 I E S 態 ぷ 端 ミ I E 張 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ア プ ラ ハ ム の 生 き 様 を 通 し て 仰 ぐ 神 の 御 思 い T T S 教 職 志 願 者 コ ース 3 年 野 町 真 理 1、はじめに 聖 書 を 通 して、 私 た ち の 三 位 一 体 の 神 は 、 御 自 身 が どの よ う な 方 な の か を 語 って お ら れ る 。 聖 轡 は 神 の 語 り か け とそ れ に 対 す る 人 間 の 応 答 と い う 二 つ の 方 向 に よ って 形 成 さ れ る 歴 史 的 ・ 環 境 的 啓 示 に よ って 「 神 であるとは、どんな感じがするものか」という神の心理、つまり神の御思いを語りかけている。それによっ て、 神 が どの よ う な お 方 で あ る の か を 描 き 出 して い る 。 聖 書 は すぺ ての こ とを 神 の 視 点 で 見 る こ とを さ せ て くれる。 ア プ ラハ ム と い う 人 物 は 信 仰 の 父 と して 創 世 記 の 中 に 登 場 す る 。 ア プ ラハ ム の 生 涯 の 中 で も 、 イ サ ク の 奉 献 を 試 練 と して 神 が 与 え ら れ た と い う 出 来 事 は 非 常 に 衝 撃 的 な 物 語 で あ る 。 今 回 は ア ブ ラハ ム の 生 涯 を 概 観 しながら、イサク奉献の物語に焦点をしぼり、神の御思いを仰ぎたいと願う。 2 、 ア プ ラハ ム の 生 涯 の 概 観 ( イ サ ク 奉 献 ま で の 出 来 事 ) ア プ ラハ ム の 生 涯 の すべ て に お いて、 イニシ ア チ ブ は 主 な る 神 に あ っ た こ とを ま ず 覚 え た い 。 ま た 、 彼 の 生涯が約束の地への旅であることも覚えたい。これらは約束の地、新しい都への旅をする礼拝共同体の歩み で も あ る か ら 。 神 は ア プ ラハ ム の 必 要 を すべ て ご 存 知 で あ っ た よ う に 、 わ た し た ち の 必 要 もすべ て ご 存 知 で ある。旅の道中ではおりにかなった助けがある。 旅の出発 ア ブ ラム は 、 ユーフ ラ テス 川 の 川 下 の ウル に 生 ま れ 育 ち 、 そ こ か ら 川 上 に あ る カ ラ ン に 移 り 住 ん だ 。 いず れ の 町 も 月 を 礼 拝 す る 宗 教 が 盛 ん に 行 わ れて い た 。 彼 は ウル か 、 あ る い は カ ラ ン で 主 か ら の 召 命 の こ と ぱ を 受ける。 12∼14章 分離、主と共なる歩みのスタート。75歳の時。 神の言葉こそがいっさいにおいて先立つ。 12:1の召命のことぱは、直訳的に言えば、 「あなたは、あなたの地 あなたの人々(地域) あなたの父の家(親族)を去りなさい。 そして、わたしの示す地へ行きなさい。」 12:23の約束はまとめると以下のような三重の祝福に発展していく。 主がアプラムを祝福する。 アブラムの名を大いなるものとする。 アプラムの祝福が、他の人々の祝福となる。 人生の:111大厳粛事である召命にさいして、妻は問題の圏外に置かれるほど第二義的な存在ではない。 夫の召 命 は た だ ち に 妻 の 服 従 を そ の う ち に 含 む 。 ア プ ラハ ム の 歴 史 は 同 時 に サ ラ イ の 歴 史 。 同 格 。 し か し 、 夫を通 して神の御言葉を聞いたサライ。「アプラムがサライをたずさえて行った。」 ア ブ ラム は 、 神 に 従 う 自 分 に 人 を つ いて 来 さ せる だ け の 断 固 たる 確 信 を も って、 主 な る 神 に 告 白 を 捧 げ た 。 (ロトに対しても) 祭壇を築いていく歩み。 試練→エジプトでの失敗 アプラムの信仰は激しくゆさぷられていた。 ア ブ ラム の 姿 を 通 して 見 る 私 た ち の 姿 ア ブ ラム が 結 婚 を 何 と 心 得 て い た か 。 夫 婦 で あ る こ とを 隠 さ ね ぱ な ら ぬ ほ ど 、 ま た 隠 して さ しつ かえ な い ほ ど 、 結 婚 は 軽 い こ と が らで は な い 。 こ の 結 婚 は 「 神 の 合 わ せ 給 う 」 と こ ろで あ り 、 し た が って 「 人 は 引 き 離 す こ と が で き な い 」 の を ア ブ ラム は 考 え よ う と し な か っ た 。 彼 に 与 え ら れ た 神 の 約 束 、 す な わ ち 子 孫 に つ い ての 約 束 は 、 夫 で あ る 彼 だ け に か か わ る も の で は な く 、 妻 に も か か わ って い る と い う 大 切 な こ とを 忘 れて い たアプラム。 アブラムの弱さの最たるものは、神の約束に対する弱気。 ア プ ラハ ム と サ ラ イ に 与 え ら れ た 約 束 を 、 神 御 自 身 が 貫 き た も う こ とを 示 す 出 来 事 。 神を見つめる必要。 神 は ア ブ ラハ ム の 挫 折 に さ い して、 立 ち 上 が り 、 世 界 の 中 に 介 入 し 、 御 自 身 の 約 束 を 充 実 し た も う 。 神 は 御 自 身 の 約 束 を ど こ ま で も 貫 徹 す る た め に 、 こ の 不 信 と 悪 徳 と 悲 惨 と の 世 界 に 介 入 して お いで に な る 。 祭壇 1 3 章 ロ ト と 別 れて 住 み 始 め た 彼 に 、 カ ナ ン の 地 を 彼 の 子 孫 に 永 久 に 与 える こ と と 、 彼 の 子 孫 を 地 の ち り のように数多いものとする約束の再確認。 15章 これらの出来事の後… 彼は親族の子どもか奴隷の子どもが相続人になってしまうと、主に談判する。 約 東 の 子 ど も が 生 ま れず に 悩 む 彼 に 、 主 は 夜 空 の 星 を 見 上 げ さ せ て、 彼 の 子 孫 は こ の よ う に 数 多 い も の と な ると約束の再確認。 信仰義認 ア ブ ラム に お いて 偉 大 で あ る こ と は 、 彼 が 何 を し た かで は な く 、 何 も せ ず、 何 もで き ず、 た だ 神 の 言 葉 に 全 面 的 に 自 己 を ゆ だ ね る こ と 。 彼 が 義 と 認 め ら れ た の は 、 アーメ ン と い って 神 の 御 言 葉 の 前 に ひ れ 伏 し た と きだけ。 しかし彼は、その約束の確証が欲しいと主に願う。 当時の契約の方法による約束の確証 一方的な、恩寵的な出来事として・7:)契約。 神 の 誠 実 は 、 相 手 の ア プ ラム を 契 約 の 相 手 たる に ふ さ わ し く す る ま で に 恵 み の 賜 物 を 注 いで や ま な い 。 そ れゆえに、アブラムもまた誠41ヽ誠意神に仕えた。 彼の生涯の絶頂をなす神との契約 神によって焼かれ、回心したアプラム。 16章 な か な か 子 ど も が 与 え ら れ な い 彼 は 、 妻 サ ラ イ の 進 言 を 受 け て 女 奴 隷 ハ ガル に 子 ど も を 生 ま せ 、 そ の イ シ ュ マエルを約束の子どもにしようとする。それは神の約束を自らの手で実現しようとする小細工であった。 エル・ロイ=ご覧になる神 13年間の空白 17章 主 が 彼 の 子 孫 を お ぴ た だ し く ふや す こ と 、 ま た ア プ ラム を ア プ ラハ ム と し 、 多 くの も の の 父 と す る 約 束 の 再 確認。 エ ル ・ シ ャ ダイ = 全 能 の 神 と の 契 約 ア プ ラム と は 「 わ た し の 父 は 高 め ら れ る 」 と い う 意 軋 アブラハムは「多くのものの父」という意味。 神の主権のもとでの人生の転換。99歳。 割 礼 ( 新 約 の バ プ テス マ ) 目に見える形 ア ブ ラハ ム は イ シ ュマ エ ル が 相 続 人 と な る よ う に 主 に 願 う 。 し か し 主 は 彼 に 、 来 年 の 今 ごろ 男 の 子 を 生 む と 約 束 さ れ る 。 そ して、 そ の 子 を イ サ ク と 名 づ ける よ う に 命 じ ら れ る 。 イ シ ュマ エ ル の こ と も さ ぱ かず、 そ の イシュマエルの子孫も祝福される。 18章主なる神と2人の御使い。 ア ブ ラハ ム は 、 3 人 を 迎 え 入 れ る 。 肉 体 的 に 受 胎 不 可 能 と な って いて 心 の 中 で 笑 う サ ラ に 主 は 再 度 、 来 年 の今ごろに男の子が出来ていると約束される。 神の友。ソドムに対するアブラハムのとりなし。 1 9 章 ロ ト の 救 出 と ソ ドム 、 ゴ モ ラ ヘ の 裁 き 20章アピメレク王へのうそ 21章約束の実現。イサク誕生。アブラハム100歳の時。 3 、 イ サ ク 奉 献 の 物 語 ( 創 世 記 2 2 章 ) 22:1これらの出来事の後、神はアブラハム笹試練に会わせられた。 神 は 彼 に 、 「 ア プ ラハ ム よ 。 」 と 呼 び か け ら れ る と 、 彼 は 、 「 は い 。 こ こ に お り ま す。 」 と 答 え た 。 22:2神は仰せられた。「あなたの子、あなたの愛しているひとり子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。そして わ た し が あ な た に 示 す 一 つ の 山 の 上 で、 全 焼 の い け に え と して イ サ ク を わ た し に さ さ げ な さ い 。 」 22:3翌朝早く、アブラハムはろばに鞍をつけ、ふたりの若い者と息子イサクとをいっしょに連れて行った。彼lj:全焼の い け に え の た め の た き ぎ を 割 っ た 。 こう して 彼 は 、 神 が お 告 げ に な っ た 場 所 へ 出 か け て 行 っ た 。 22:4三日目に、アプラハムが目を上げると、その場所がはるかかなたに見えた。 22:5それでアブラハムは若い者たちに、「あなたがたは、ろぱといっしょに、ここに残っていなさい。私と子どもとは あ そ こ に 行 き 、 礼 拝 を して、 あ な た が た の と こ ろ に 戻 って 来 る 。 」 と 言 っ た 。 22:6アブラハムは全焼のいけにえのためのたきぎを取り、それをその子イサクに負わせ、火と刀とを自分の手に取り、 ふた旧まいっしょに進んで行った。 22:7イサクは父アプラハムに話しかけて言った。「お父さん。」すると彼は、「何だ。イサク。」と答えた。イサクは 尋ねた。「火とたきぎはありますが、全焼のいけにえのための羊は、どこにあるのですか。」 22:8アブラハムは答えた。「イサク。神ご自身カ1全焼のいけにえの羊を備えてくださるのだ。」こうしてふたりはいっ しょに歩き続けた。 22:9ふたりは神がアブラハムに告げられた場所に着き、アプラハムはその所に祭壇を築いた。そうしてたきぎを並べ、 自 分 の 子 イ サ ク を 縛 り 、 祭 壇 の 上 の た き ぎの 上 に 置 い た 。 22:10アブラハムは手を伸ばし、刀を取って自分の子をほふろうとした。 22:11そのとき、主の使いが天から彼を呼び、「アブラハム。アブラハム。」と仰せられた。彼は答えた。1 はい。こ こにおります。」 22:12御使いは仰せられた。「あなたの手を、その子に下してはならない。その子に何もしてはならない。今、わたし は 、 あ な た が 神 を 恐 れ る こ と が よ く わ か っ た 。 あ な た は 、 自 分 の 子 、 自 分 の ひ と り 子 さ え 惜 し ま な いで わ た し に さ さ げ た。」 22:13アブラハムが目を上げて見ると、見よ、角をやぷに引っかけている一頭の雄羊カ11/リ の 雄 羊 を 取 り 、 そ れ を 自 分 の 子 の 代 わ り に 、 全 焼 の い け に え と して さ さ げ た 。 22:14そうしてアプラハムは、その場所を、アドナイ・イルエと名づけた。今日でも、「主の山の上には備えがある。」 と言い伝えられている。 !12:15それから主の使いは、再び天からアブラハムを呼んで、 22:16仰せられた。「これは主の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このことをなし、あなたの子、 あなたのひとり子を惜しまなかったから、 22:17わたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そし てあなたσ〉jEF・孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。 22:18あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからで ある。」 22:19こうして、アブラハムは、若者たちのところに戻った。彼らは立って、いっしょにベエル・シェバに行った。ア ブラハムはベエル・シェバに住みついた。 約束の子イサクが与えられてから数年の後、主はアブラハムを試練に会わせられた。・Sr・t! 神はアプラハ ム に 対 して 約 束 の 子 イ サ ク を 捧 げよ と い う よ う な こ とを 要 求 さ れ た の か? そ れ は ア ン モ ン 人 の 神 、 モ レ ク に 子どもを・犠牲として焼いて捧げるモレク信仰と比較すると、捧げ、ミ、対象が違うだけの恐ろしい殺人命令であ る よ う に し か 聞 こ え な い 。 し か し 、 レ ピ 記 2 0 : 1 9 に お いて、 神 は モ ー セ を 通 して モ レ ク 信 仰 を 堅 く 禁 じている。 ア プ ラハ ム に 対 す る 神 の こ の 要 求 は 、 文 字 ど お り 自 分 の 子 ど も を 焼 いて 神 に さ さ げ る こ と で あ っ た 。 結 果 的 に はそ の 要 求 を 貫 こう と は さ れず、 イ サ ク を ア プ ラハ ム に 返 さ れ た が 、 ア ブ ラハ ム は イ サ ク を 殺 し た も 同 然 の 心 境 に な って い た の で あ る 。 こ こ で は 神 の 要 求 が 実 現 さ れ た か ど う か よ り も 、 神 が そ の よ う な 要 求 を さ れ た と い う 事 実 の 方 が 重 大 で あ る 。 ア プ ラハ ムヘ の 神 の 要 求 は 明 ら か に モ レ ク 信 仰 禁 止 の 戒 め と 矛 盾 して い る 。 創 世 記 2 2 章 の 3 つ の モ テ ィ ーフ l プ ー ハ ム に 1試練に打ち勝つ信仰の父。 生け費を捧げた・報酬としての祝福、備えととると異教的(ユダヤ教的)犠牲の神学(功績=功徳思想)にな る 。 し か し 、 主 が 試 練 を あ た え ら れ た 理 由 を 、 ア ブ ラハ ム が 主 へ の 徹 底 し た 全 き 信 頼 と 献 身 を 示 す こ と に よ って 彼の信仰を確立し、成熟させるためだと考えれば受け入れられる。 2 に 喜 んで 自 己 を 神 に 捧 げ る イ サ ク の 自 己 犠 牲 の 中 に イエ ス ・ キ リス ト の 予 型 を 見 る 。 我 が 子 を 惜 し ま ず 捧 げ た と い う ア プ ラハ ム の 行 為 を 、 た だ ち に 父 な る 神 御 自 身 の 行 為 を 表 示 す る も の と し て 受 け 止 め る 。 父 な る ア プ ラハ ム の 気 持 ち → 父 な る 神 の 気 持 ち これは十字架の出来事を通して初めて明瞭に浮かび上がってきた線である可能性が強い。 お そ ら く こ の モ ティ ーフ の 初 め の 形 態 は 第 1 の モ ティ ーフ に あ る 。 そ れ を 神 の 徹 底 して 自 由 な 、 主 体 的 恩 寵 に触れ合った初代教会が、一切の報償思想を1青算して読み換えたと考えられる。(例えばローマ8:32「私 た ち すべ ての た め に 、 ご 自 分 の 御 子 を さ え 惜 し ま ず に 死 に 渡 さ れ た 方 が 、 ど う して、 御 子 と い っ し ょ に すべ てのものを、私たちに恵んでくださらないことがありましょう。」) 新 約 聖 書 に よ って 回 復 さ れ た 、 犠 牲 を 巡 る 本 来 の ス ト ー リ ー 人 間 に 向 か っての 、 神 の 自 由 な 自 己 奉 献 の 物 語 → 神 に 向 か っての 人 間 ( イ スラ エ ル と 教 会 ) の 自 由 な 自 己 奉 献の物語。 神 は ア プ ラハ ム の よ う に 、 そ の 独 り 子 を 惜 し ま ず 与 える ほ ど に 、 こ の 世 を 愛 さ れ た 。 し か も 、 ア プ ラハ ム の 物 語 に あ って は 、 神 の 憐 れ み に よ って 身 代 わ り が 与 え ら れ る こ と で、 結 局 は イ サ ク を 死 に 引 き 渡 さ ず に 済 ん だ の で あ る が 、 神 の ド ラ マ に お いて、 独 り 子 は 実 際 に 死 に 引 き 渡 さ れ た 。 こ れ は あ り 得ない奇跡的な出来事である! こ の 第 3 の モ ティ ーフ は 第 2 の モ ティ ーフ を も 取 り 組 んで、 三 位 一 体 論 的 な 神 学 の 形 成 を 促 す 要 因 と も な っ て い く 。 子 の 自 己 犠 牲 に お いて は 父 も ま た 自 己 を 犠 牲 に して い る と い う 仕 方 で、 十 字 架 の 出 来 事 を 神 御 自 身 の内部における三位一体論的なドラマとして理解する下地を形作る。 神 の 子 キ リス ト が 死 を 苦 し む 時 、 イエ ス ・ キ リス ト の 父 は ひ と り 子 の 死 を 苦 し ま れ る か らで あ る 。 子 が 十 字 架 上 で 神 の 見 捨 ての 中 で 死 ぬ 時 、 父 な る 神 も 神 の 子 の 見 捨 て を 苦 し ま れ る 。 こ の よ う に 違 っ た 仕 方 で あ る と しても、両者が苦しまれる。すなわち、キリストは死を苦しみ、父は子の死を苦しむ。 J。モルトマン わ た し は も は や 単 に キ リス ト の 十 字 架 が 人 間 に と って 何 を 意 味 す る か を 問 う の み な らず、 神 の 御 子 の 十 字 架 は 、 「 わ が 父 よ 」 と 呼 ぱ れ た 神 御 自 身 に と って 何 を 意 味 す る か を 問 う た の で あ る 。 わ た し は こ の 問 い に 対 す る 答 えを 、 神 の 深 い 苦 し み を 知 覚 す る こ と に 見 出 し た 。 こ の 神 の 苦 し み は 、 ゴル ゴダ に お ける 御 子 の 死 と 結 ぱ れて お り 、 そ の 死 の う ち に 啓 示 さ れて い る 。 そ れ は 限 り な き 愛 の 苦 し み で あ る 。 だ が 、 この苦しむ神という考えは、西洋の神学伝統に反した。この伝統は、神・7:)不死性と共に、神は本質的に苦し ま な い ( アパ ティ ー ) と 教 えて い る の で あ る 。 … さらに類似の思想を日本の神学者北森嘉蔵に見出した。彼は、大戦の終わり頃「神の痛み」を発見し、そ れで ル タ ー の 十 字 架 の 神 学 を 超 え た の で あ る 。 キ リス ト は 、 超 自 然 的 奇 跡 に よ って で は な く 、 傷 つ く こ とを 通 して 苦 し む 力 に よ って 助 ける 。 あ の 時 代 、 ディ ー ト リ ヒ ・ ボ ンヘッフ ァ ー も 死 刑 囚 用 の 囚 人 房 で、 「 苦 し む 神 の み が 助 ける こ と が で き る 1 と 沓 い た 。 神 は い つ も 先 ず 最 初 、 共 に 苦 し む こ とを 通 して 助 ける 。 「 わ た しが陰府に床を設けても、あなたはそこにおられます1詩編139:8. ・父神受苦説ではない。 「実体」としての神に痛みがあるなどというのではない。神の痛みは「1麺体概念」ではなく、「関係概念」 である。すなわち「神の愛」の性格である。この点の理解を欠くことが、この神学を父神受苦説と混同する 根本原因である。 4 、 ア プ ラ ハ ム に 関 す る 新 約 の 記 述 Romans 4:16そのようなわけで、世界の相続人となることは、信仰によるのです。それは、恵みによるためであり、こうして約 束 が すべ て の 子 孫 に 、 す な わ ち 、 律 法 を 持 っ て い る 人 々 に だ け で な く 、 ア プ ラ ハ ム の 信 仰 に な ら う 人 々 に も 保 証 さ れ る た め な の で す。 「 わ た し は 、 あ な たを あ ら ゆ る 国 の 人 々 の 父 と し た 。 」 と 書 いて あ る と お り に 、 ア ブ ラハ ム は 私 た ち す べての者の父なのです。 4:17このことは、;彼が信じた神、すなわち死者を生かし、無いものを有るもののようにお呼びになる方の御前で、そう なのです。 4:18彼は望みえないときに望みを抱いて信じました。それは、「あなたの子孫はこのようになる。」と言われていたと お り に 、 彼 が あ ら ゆ る 国 の 人 々 の 父 と な る た めで し た 。 4:19アブラハムは、およそ百歳になって、自分のからだが死んだも同然であることと、サラの胎の死んでいることとを 認めても、その信仰は弱りませんでした。 4:20彼は、不信仰によって神の約束を疑うようなことをせず、反対に、信仰がますます強くなって、神に栄光を帰し、 4:21神には約束されたことを成就する力があることを堅く信じました。 4:22だからこそ、それが彼の義とみなされたのです。 4:23しかし、「彼の義とみなされた。」と書いてあるのは、ただ彼のためだけでなく、 4 : 2 4 ま た 私 た ち の た めで す。 す な わ ち 、 私 た ち の 主 イエ ス を 死 者 の 中 か ら よ み がえ ら せ た 方 を 信 じ る 私 た ち も 、 そ の 信 仰を義とみなされるのです。 4:25主イエスは、私たちの罪のために死に渡され、私たちが義と認められるために、よみがえられたからです。 Heb. 1.1:8信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、ど こ に 行 くの か を 知 ら な いで、 出 て 行 き ま し た 。 11:9信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに 天幕生活をしました。 11:10彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。 11:11信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約東してく だ さ っ た 方 を 真 実 な 方 と 考 え た か らで す。 1.1:12そこで、ひとりの、しかも死んだも同様のアブラハムから、天に星のように、また海べの数えきれない砂のよう に数多い子孫が生まれたのです。 11:13これらの人々はみな、信仰の人々として死にました。約東のものを手に入れることはありませんでしたが、はる か にそ れ を 見 て 喜 び 迎 え 、 地 上 で は 旅 人 で あ り 寄 留 者 で あ る こ とを 告 白 して い た の で す。 11:14彼らはこのように言うことによって、自分の故郷を求めていることを示しています。 n:15もし、出て来た故郷のことを思っていたのであれば、帰る機会はあったでしょう。 11:16しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。それゆえ、神は彼ら の 神 と 呼 ば れ る こ とを 恥 と な さ い ま せ んで し た 。 事 実 、 神 は 彼 ら の た め に 都 を 用 意 して お ら れ ま し た 。 11:17信仰によって、アブラハムは、試みられたときイサクをささげました。彼は約東を与えられていましたが、自分 のただひとりの子をささげたのです。 1.:1:18神はアブラハムに対して、「イサクから出る者があなたの子孫と呼ばれる。」と言われたのですが、 11:19彼は、神には人を死者の中からよみがえらせることもできる、と考えました。それで彼は、死者の中からイサク を取り戻したのです。これは型です。 Jam. 2:21私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行ないによって義と認められたではありませんか。 2:22あなたの見ているとおり、彼の信仰は彼の行ないとともに働いたのであり、信仰は行ないによって全うされ、 2:23そして、「アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた。」という聖書のことばが実現し、彼些1!1!忿& l産猛i!kljz)です。 2:24人は行Jないによって義と認められるのであって、信仰だけによるのではないことがわかるでしょう。 John 15:13人がその友のためにいのちを捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。 15:14わたしがあなたがたに命じることをあなたがたが行なうなら、あなたがたはわたしの友です。 :15:15わたしはもはや、あなたがたをしもべとは呼びません。しもべは主人のすることを知らないからです。j2たしは 15:16あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。そ れ は 、 あ な た が た が 行 っ て 実 を 結 び、 そ の あ な た が た の 実 が 残 る た め で あ り 、 ま た 、 あ な た が た が わ た し の 名 に よ っ て 父 に 求 め る も の は 何 で も 、 父 が あ な た が た に お 与 え に な る た めで す。 参考文献 田渡辺信夫、9アプラハムの神 、新教新書(:L966) 【2】北森嘉蔵、タタ旧約聖書物語、講談;1:1:・ly肴文庫(:1.995) 【31芳賀力、 救済の物語 、日本基督教団出版局(:L997) 圃北森嘉蔵、 神の痛みの神学 、講談社学術文庫(:1.986) 1:1.946年初版】 【51J.Moltmann、 今日キリストは私たちにとって何者が、 新教1:11版社(:1.996)