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通信販売用包装の改善事例

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通信販売用包装の改善事例
特集●輸送包装
通信販売用包装の改善事例
レンゴー株式会社
パッケージ・デザイン部
大阪包装技術センター
東
則
嘉
N.Azuma
Improvement Case of Packaging for Mail-order Selling
With recent environmental changes in distribution industry, mail-order selling business has
shown a steady performance as the 4th business category following supermarket, department
store, and convenience stores. It is becoming an indispensable way for purchase. However,
there is much to be improved in its packaging and logistic systems. In this paper, an improvement case that MonotaRO Co., Ltd. succeeded in its packaging and systems was introduced.
はじめに
ら梱包・清掃・事務用品に至るまで,工場で
近年,少子高齢化,グローバル化,女性の
必要とされる製品を約80万アイテム販売して
社会進出の拡大など,流通業界をめぐる環境
おり,一つの外装箱に,さまざまな商品を混
変化により,通信販売業は順調に成長しつつ
在させて発送している。
ある。特に,インターネットの普及により,
商品梱包用外装箱には,6種類の段ボール
発達は加速され,スーパー,百貨店,コンビ
規格箱を用いているが,形や大きさの違う商
ニエンスストアに次ぐ第4の業態として,消
品を同梱することで,多くの場合,デッドス
費生活に欠くことのできない重要な購買手段
ペースが大きくなる傾向がある。そのため,
になっている。
段ボール製内箱やパッド,エアキャップ,更
一方,
その包装や流通システムに関しては,
手付かずの部分が多く,改善の余地があると
紙など,多くの緩衝材を組み合わせて,商品
を保護している。
思われる。
本稿では,
工業用間接資材の通信販売最大手
2.包装改善のポイント
である,
株式会社MonotaRO様において,
包装お
!規格箱の寸法変更
よびシステムの改善を行った事例を紹介する。
!多様な商品の梱包の簡素化・画一化
!省人化
!デザインの改善
1.従来の包装について
株式会社 MonotaRO 様では,工業用資材か
(753)
!環境負荷の低減
JPI Journal Vol.46 No.9
33
写真1 手作業による連結
写真3 長巾変更時
写真2 通常使用時
写真4 組立て方
3.包装改善事例の紹介
2種類の長巾寸法に対応可能となった(写真
3‐
1 長巾寸法可変箱の開発
。また,巾面フラップの一部をカ
2,写真3)
細長い商品を入れる場合,従来は,大きい
ットしておくことで,45度に折り込む際に突
規格箱に入れるか,小さい規格箱をテープ等
起が飛出し,長面フラップ折り込み時に引っ
前者は,
で連結させて使用していた(写真1)。
掛けることができるため(写真4),封緘作業
スペースが大きくなるため緩衝材やスペー
が容易である。
サーを多く使用する必要があり,後者は,作
長巾寸法可変箱の採用により,規格箱の種
業効率が悪いという問題があった。
類を増やすことなく,2種類の内寸法に対応
そこで,デッドスペースの削減および,包
可能となった。
3
‐2 Pack in Box の導入
装作業効率の向上を図るため,長巾寸法を変
更することができる外装箱の開発を行った。
従来,外装箱の箱組みは手作業にて行って
箱の巾面に段目方向に平行な捨て罫線を,
おり,それぞれの規格箱を大量にストックし
巾面フラップに4
5度に折れる罫線を入れるこ
ている状態であった(写真5)。そのため,箱
とで,
カッターやテープを使用することなく,
組み作業が大変な上,箱の保管スペースが必
34
包装技術
平成2
0年9月号
(754)
図1 Pack in Box
ホットメルト
写真5 箱ストック状態
"
図2 システム構成図
外装箱を製函機
にて,底テープ貼
りを行う。
#
外装箱の底面に
ホットメルトを塗
布し,先ほどのシ
ュリンクされた商
品を底面に貼り付
け,固定する(図
。
1)
$
天面のテープ封
緘を行い,宛名ラ
ベルを貼り付ける
。
(図2)
このシステムによ
要であった。また,前述の通り,外装箱には
り,緩衝材などの他の資材が不要となる上,
数種の商品を混入させるため,多くの緩衝材
最少人員による大量処理が可能となる,梱包
が必要であった。
作業時間の大幅な短縮,梱包資材コストの削
これらの問題を解決するため,Pack in Box
減,作業スペースの削減など,多くの改善が
の導入を行った。Pack in Box とは,定型サイ
実現できた。
ズの段ボール箱に,不特定アイテムを自動梱
3‐3 デザインの変更
包するシステムであり,作業手順は以下の通
通信販売用のケースは,直接ユーザーのも
りとなる。
とへ外装箱が届くため,情報伝達ツールとし
!
ても重要である。
商品を段ボール製のパッドの上に並べた
後,フィルムを掛け,シュリンクする。
(755)
従来のデザインでは,長側面に多くの情報
JPI Journal Vol.46 No.9
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写真8 A フルートと C フルートの形状比較
写真6 従来デザイン
ルギー,廃棄物削減など環境負荷低減に向け
た取組みが必要となってくると考えられる。
一般的に,通信販売における流通では,保
管期間は短く,輸送時におけるダメージから,
商品を保護することが重要となる。C フルー
トは,段山の数が多いため,平面圧縮強度が
強く,多種多様な商品を混在させる場合には,
商品の保護性が高くなると考えられる。また,
垂直圧縮強度は A フルートと同等である。
以上のように,通信販売用外装箱には,C
フルートは適していると考えられる。
写真7 変更デザイン
従来の外装箱の材質は,LB170/MC120/LB
170の A フルートであり,C フルートへの変更
が記載されており,文字が小さく見づらいた
により,約12g/m2軽量化された。さらに,厚さ
め,伝えたいことが伝わらない可能性があっ
が約20%薄くなる(写真8)ことから,輸送・
た(写真6)。
保管の効率も良く,環境負荷が低減された。
変更後のデザインでは,最も目に止まる長
4.おわりに
側面に,優先度の高い情報のみ大きく,読み
やすく記載している。また,特徴のあるキャ
今回の,通信販売用包装の改善では,梱包
ラクターを大きく「シンボル」として扱い,
作業性の向上,省人化,デザインの改善,環境
配送時に目立つ効果をもたせた。さらに,開
への対応など,多くの効果を上げることがで
封時最初に目に入る内フラップにも購入者の
きた。弊社では,今後もユーザー様と共に,商
メリットとなる情報を印刷し,ケース全体を
品と包装の関係を見直し,適正な包装を行え
情報メディアとして活用している(写真7)。
るよう,努力を続けていきたいと考えている。
3
‐
4 C フルートの採用
最後に,今回,多大なご協力を頂きました,
地球温暖化対策が世界的な課題となってい
る現在,通信販売においても省資源,省エネ
36
包装技術
株式会社 MonotaRO 様に厚くお礼を申し上げ
ます。
平成2
0年9月号
(756)
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