Comments
Description
Transcript
公民連携専攻ニュースレター 002
日本初のPPPスクール 2007年募集開始 大手町サテライト 東京駅から徒歩5分の新大手 町ビル。地下鉄大手町駅の真 上です。向かいにスターバック ス。コンビニ、書店、文房具屋、 居酒屋も周りにあります。 公民連携専攻ニュースレター 002 学校法人東洋大学は、2007年度の公民連携専攻の院生募集を開始することを発表した。初 年度となった2006年度は、4月、10月入学生30名弱を迎え、公民連携白書の編纂や、日米 PPPフォーラムの開催など、日本の公民連携史上初めての試みに挑戦している。2年目を迎え る2007年度は、実務系科目及び演習、理論系科目双方を充実させるとともに、両者の架け橋 をより明確化して、公民連携理論の体系化を目指す予定である。また、実務の現場での具体 的なプロジェクトを実際に手がけて、実現に貢献するプログラムも開始する予定である。募集 人員は本年同様30名。地方行政の現場で民間の行動原理や発想を身につけたい方、官から 民への市場でビジネスチャンスを獲得したい方、土木、建築、廃棄物処理など工学系の分野 の専門家で経済や金融の知識を身につけたい方、商店街再生、過疎地域のむらおこしを実 現する知恵を必要としている方など、幅広く人材を求めている。募集期間は1月中旬である。 2006.11.18 リリース 公民連携専攻 10の特徴 大手町サテライト 約40席のサテライト教室。電源や 情報コンセントが各席に設置。12 席の演習室もあります。 東京駅近くの便利な場所 夜間・土曜日開講で忙しい方も可能 官民の院生同士を含めた人脈の広がり 理論・実務、官民を広くカバー 専門機関との連携で最新の情報を提供 ビジネス感覚にあふれた独自手法 最新事例・最前線の人材による教育 実務直結の特定課題研究にて卒業可 PPPヘルプデスクを通じて社会貢献 成績優秀者は1年で卒業可能 バランス良いカリキュラム (8つの領域に分類) ●経済理論系 公共経済学、厚生経済 学、政策評価論など 官 ●公民連携による地方でのビジネスチャンスと今 後の地方自治事務について●地域経営における 公民連携と地域金融機関の役割●温泉町の再生 における公民連携●汚水処理(下水道)事業民 活化スキーム検討 ●多摩ニュータウン諏訪地区 再開発住民支援におけるPPP活用●PFIの特定 事業分野における最適なコンソーシアムの組成● 公民連携における民間団体の監査体制について ●産業集積における官民パートナーシップのあり 方●障害者支援に対する公民連携の可能性● 水俣市における環境・公民連携を基軸に捉えた 地域再生●地方都市中心部における公民連携の 開発のあり方研究 理論 ●財政系 財政システム、 地方財政など ●金融系 金融政策、金融 システムなど ●制度手法系 公民連携総論 ●事例研究系 ケーススタディ、 シミュレーション ●公共プロジェクト系 公共経営、年金・福祉 など ●経営系 財務分析、企業経営 論など 民 ●民間プロジェクト系 民間プロジェクト論な ど 実務 白山キャンパスの大学院教務 課が院生の学生生活をバック アップ。 〒112−8606 東京都文京区白山5−28−20 東洋大学大学院教務課 [email protected] http://www.toyo.ac.jp/econo my/ppptop.html TEL03−3945−7250 FAX03−3945−7657 ■東洋大学大手町サテライト ■白山キャンパス NCPPPを招き第1回日米PPPフォーラム開催 2006年11月29日(水)13:00から、白山キャンパス 井上円了ホールで米国のPPP専門の非営利機関 NCPPP(National Council for Public-Private Partnerships)と 連携して日米フォーラム(主催 東洋大学 日本政策投 資銀行)が開催された。フォーラムの開会に先立ち、塩 川正十郎総長はPPPを研究・教育する専攻をなぜ東洋 大学に設置したかの経緯を説明し、「このフォーラムが有 意義な勉強会になることを期待したい」と主催者を代表し て挨拶を述べた。 最初にアート・スミス氏(NCPPP President) から「米国のPPPの過去・現在・未来」と題し て講演があり、PPPの利点及びワシントンDC の学校の再生、バージニア州に新たな高速道 路の設置、ワシントンDCのユニオンステー ションの改築など米国がPPPプロジェクトとし て取り組んだ3つのケースを紹介した。その話 の中で成功するためにはPPPを可能にするた めの環境つくりを明確にすることまた入札の やり方など全てをオープンにし、透明度が高く 公平に行うことが重要であると述べ、締めく くった。 現在の院生の研究テーマ例 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 発行日 2006年12月8日 発行者 東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻 続いて、フランク・シュニッドマン氏(フロリダ・アトランティック大学教授、元ビスケイン・ランディ ング事務局長)が「廃棄物処理場が街に変わった」と題しての講演で、氏がかかわったマイアミ の具体例を挙げ、北マイアミ市の廃棄物処理場跡地を低所得者層への市営住宅を提供するこ とを条件に市が土地を所有して、200年リースしているなど官がリスクを分担し、必要条件を事 前に明示した上で民に自由な計画の実現を可能にするとともに、この計画にデベロッパー3社 が計画案を提案し、協議して進めたとの報告がなされた。最後に計画を進行する上でPPPは 長期的な契約を結び業務を単に委託、運用するのではなくリスクを官と民が共有することであ ると結んだ。 休憩をはさみ、日本の事例について福嶋浩彦氏(我孫子市長)が「新しい公共サービスを目指 して ∼提案型公共サービス提案制度∼」というテーマで今年4月から市が実施している公共 事業を市民に公開し、企業、NPO法人、市民団体から委託、民営化の提案を募集する制度を 立ち上げたことについて報告がなされた。 その後、サム・タブチ氏(EFIジャパン代表) がコーディネーターとなり、アート・スミス氏 (NCPPP President)、フランク・シュニッド マン氏(フロリダ・アトランティック大学教授、 元ビスケイン・ランディング事務局長)、福嶋 浩彦氏(我孫子市長)、根本祐二本専攻教 授により、PPPについて日米の国民性、国 民の考え方の違い、市町村などの行政の違 い、具体的な成功例及び典型的な失敗例な どパネルディスカッションが繰り広げられた。 聴講者:約300名。 日米のPPPの相違点 東京都千代田区大手町2‐2‐1新大手町ビル1F 東京都文京区白山5‐28‐20 アート・スミス NCPPP (National Council for PublicPrivate Partnerships)社長 日本 米国 法律 法による制度 連邦法なし 契約 一般的には浸透 していない リスクに敏感すぎ る 曖昧→明確化の 方向 基本的概念 リスクへの感 受性 官民のリスク 分担 リスクとリターンの バランスをとる 明確(官の義務を 含む) 開催後に集計されたアンケートでは、今回の 試みを一過性に終わらせることなく来年度以 降もフォーラムを開催してほしいとの要望の 他、12月より東洋大学が計画しているPPP メールマガジンによる世界のPPPに関する 情報提供にも強い期待が寄せられていた。 東洋大学ではこうした期待に応えるべく公民 連携専攻の社会貢献活動を強化していく予 定である。 「PPPは我々の身の 回りの至るところにあ るごく普通のもの。 皆 が知識を身につけて 社会を良くしていきた い。」 フランク・シュニッドマ ン フロリダ・アトラン ティック大教授 「日本ではPPPを理解 できる人材を大量に 創ることが必要だ。東 洋大学がその場を提 供してくれた。まずこ こで学ぶことが第1歩 だ。」 公民連携白書2006~2007刊行 我孫子市提案型公共サービス民営化制度 東洋大学大学院経済学研究科は、公民連携推進研究会の協力を得て、公民連携白書2006 ∼2007を刊行した。PFI、指定管理者など個々の分野に関する書籍はあるが、これらを横断的 に取り上げ、それぞれの比較を含めて詳細に整理したものははじめてである。 1年間の出来事を丁寧に拾い上げたこと、その中でも特に注目される動きに関しては重点的 に取り上げていることが特徴である。 2006.11.29リリース 菅野卓雄 東洋大学理事長 「PPPは今の日本 に一番必要なキー ワードです。必須の 知識を身につけて きらりと光る人材に なって下さい。」 刊行にあたって 5年間続いた小泉政権が幕を閉じた。 小泉政権は改革を行った。これからは、発展の時代である。 役人も企業人も市民も、国や地域が発展するために何をすべきか考え行動すべきときだ。 まさにその時、公民連携白書第一号が刊行に至ったのは実に喜ばしい。 公民連携研究会、時事通信社ほか、尽力いただいたすべての方に心からお礼を申し上げる。 全国各地で起きている種々の悩み事の解決に少しでも役立つことを心から期待したい。 平成18年11月 東洋大学総長 塩川正十郎 目次 第1部 今期の公民連携の動き 根本祐二(東洋大学) 第1章 近年の公民連携の歩み 第2章 本年の公民連携の動き(公共サービス型) 第3章 本年の公民連携の動き(公共資産活用型) 第4章 本年の公民連携の動き(規制・誘導型) 第5章 公民連携の環境 第6章 本年の公民連携の動きから得られる示唆 第2部今期の公民連携におけるトピックス 第1章 PFI 植田和男(日本PFI協会) 第2章 指定管理者 出井信夫(新潟産業大学) 第3章 市場化テスト 美原融(三井物産戦略研究所) 第4章 財政構造改革と地方分権の行方 八巻節夫(東洋大学) 第5章 地方自治体の資金調達をめぐる環境変化 上村敏之(東洋大学) 第6章 金融からみた公民連携の現状と問題点 中北徹(東洋大学) 第7章 欧州のサービス購入型PFIの近況 東洋大学大学院経済学研究科 編著 金子孝文(日本リサーチ総合研究所) 公民連携推進研究会 協力 第8章 米国のPPPの現状 サム・タブチ(EFIジャパン) 出版社:時事通信社 第9章 横浜市保育所民営化 松原聡(東洋大学) 定価:本体2200円+税 第10章 首都圏自治体の企業誘致動向 市川 豊英、遠藤 健、大西 達也(日本政策投資銀行) 第11章 地域再生計画と公民連携 松田宏人(日本政策投資銀行) サム・タブチ 本学客員 教授/エンタープライ ズ・フロリダ日本代表 「なぜPPPが日本で広 まらないのか。官も民 もみすみす機会を失っ ている。今こそ挑戦の ときである。」 本年の公民連携の動きの中でもっとも特徴的な動き。市の全事業を対象に、その事業をより良 く実施できると考える企業、NPOが市に提案することができる制度。現在一次提案を審査中。 世界的にも例を見ない先進的な取り組みとして、日米PPPフォーラムでも米国側から高く評価 された。 事象整理のサンプル(民営化) 1年間に起きたさまざまな事例が丹念に拾い上げられている 福嶋浩彦 我孫子市長 公民連携の役割 公民連携を経済理論の中でどのように位置づけるかは、大学院としての大きな課題の一つ である。本専攻では、この課題に対して、市場と政府の限界に対して第3のソリューションを 提供するものと位置づけている。 つまり、公共財や外部効果の存在 など「市場の失敗」が生じると政府 の役割が生じるが、その政府にも、 公民連携の役割 非効率な経営や予算制約の曖昧さ 第3の道としての公民 など多くの問題がある。こうした「政 市場の失敗が解消 連携=市場と政府の失 しているケース 府の失敗」を前提に、再び市場に 敗の克服 戻そうとするのが「官から民へ」であ 市場の役割 政府の失敗 る。だが、単純に戻すだけでは市場 再び市場の失敗が起きる の失敗が再発生するおそれがある。 ケース=無限の迷路 公民連携は、単純な官でも単純な 民でもない。両者が互いに得意な 政府の役割 市場の失敗 役割を分担することで、効率性や質 をひきあげることが可能になるので ある。 「行政は自分が正しいと 思いがち。これからの時 代はそうではない。民間 や市民の提案がそれを しのいでくれることを期 待したい。」 公民連携の失敗 では官と民が仲良くしさえすれば問題は解決するのか。そうでないことは昨今の官製談合 の頻発や、かつての第三セクターの失敗をみれば明らかである。現代の公民連携は、この 困難な問題を官と民の役割分担、それを明確に記した契約による統治(ガバナンス)によっ て解決しようと試みている。言い換えると、それがうまくいかないと公民連携でも失敗する。 本専攻では、過去の事例分析から、「公民連携の失敗」を類型化している。こうした考察を 経て、成功する公民連携を作り出すスキルが身につくのである。 根本祐二 教授 前日本政策投資銀行地 域企画部長 モニター読者の声 ●市長には秘密にしておき たい。 ●膨大な事例の収集がすご い。 ●PPPとは何か、どうあるべ きか少し分かった気がする。 ●自治体営業に使えます。 ●夕張市の破綻や、海外の PPPの現状など知りたいこと が良く分かった。 ●白書が毎年刊行されるの が楽しみです。 ●本年のベストPPP案件を 選定して表彰してはどうか。 将来の予測が困難である 場合 役割分担(リスクテイクできる主 体) 官の意図が不明確、または民に 正確に伝えていない場合 正確なメッセージ 公民連携の失敗 契約の曖昧さ、履行の不徹底によりガ バナンスが効果を持たない場合 公民連携の役割 契約の明確性、コンプライアンス 競争の不存在、なれ合いなど によりガバナンスが効果を持 たない場合 透明性・公開性のあるプロセス 役割分担が官によ り過ぎている場合 役割分担の見直し 役割分担が民により 過ぎている場合 役割分担の見直し 市場の役割 政府の失敗 市場の失敗 政府の役割 政策目的自体が不適当な場合 市民参加、選挙・議会・監査、事業・手法選択時の政策評価 「日本の公民連携は法 制度整備から入ったた め厳密ではあるが柔軟 性に欠ける。地方分権 の中では法にとらわれ ない自由な発想が勝負 を分ける。」