Comments
Description
Transcript
UMSを活用したスマートフォン・ タブレット向け「初期設定ツール」
端末操作自動化ツールUMSを用いたNTTグループにおける業務改善の取り組み スマートフォン・タブレット 初期設定 端末アカウント UMSを活用したスマートフォン・ タブレット向け「初期設定ツール」 だいどう NTTドコモでは,法人のお客さまがスマートフォン・タブレットを導入す る際,初期設定を効率的に行うツールをUMS(Unified Management Support System)で作成・試行しました.本ツールを利用することで,導入当初に としあき いちはし かずあき 大同 俊明 /市橋 和明 の の べ たかし 野々部 貴 さまざまな設定が必要となるスマートフォン・タブレットを迅速に導入する ことが可能となり,業務の効率化の早期実現が期待できます. 開発の背景 企業でのスマートフォン・タブレッ トなどのスマートデバイスの導入は,端 NTTドコモ レットにおける標準的な初期設定作業 門で事前にWindows PCを使って一 は以下のとおりです.なお,作業には 括取得し,管理を行っていることが判 1台当り約30分がかかります. 明しました.また取得を行う際には, 端末基本設定:ホーム画面の 1アカウントごとに作成が必要であり, 末ラインアップやさまざまな業界に適 設定,セキュリティ設定,画面・ 入力項目が多いため手間がかかること, するソリューション,ASPサービスが 音設定など あるいは手作業のため入力ミスもあり, 充実し,またスマートデバイス利用に ① ② ネットワーク設 定 : A P N 関する情報が導入事例として広く伝え (Access Point Name)設定,VPN られてきたこともあり,着実に進んで (Virtual Private Network)設 います. 一方で,スマートフォン・タブレッ 定,Wi-Fi設定 非常に時間がかかっていることも確認 しました. 以上のことから,私たちはWindows PCを動作プラットフォームとするUMS アプリケーション設定:お客さ が有効に活用できるのではないかと考 トを業務用携帯電話として利用するた まアプリケーションのインストール え,端末アカウントの一括取得を行う めには,業務用アプリケーションの事 など ツールをUMSにて作成しました.作成 ③ 前インストール,ネットワーク設定や ④ 端末アカウント設定:サービス セキュリティ設定など,導入する企業 事業者などのアカウント取得(あ に最適化された多くの初期設定が必要 るいは既存アカウント設定) であり,そのコストの負担が導入障壁 にもなっています. ⑤ 設定内容の確認:初期設定内 容の最終確認 この課題について,NTTドコモでは ①∼③については,端末販売代理店 各種ツールの整備により,初期設定に やSI業者,弊社(特定機種向け)にて 関する業務を大幅に効率化することで, 専用ツールを提供済みです.そのため お客さま社内への本格導入を迅速に進 現在未着手となっている④をUMSに めるため,UMS(Unified Manage- よる業務効率化のターゲットとします. ment Support System)を活用した ツールを作成して,試行利用を実施し ました. 初期設定の現状 NTTドコモのスマートフォン・タブ 44 NTT技術ジャーナル 2013.12 初期設定ツールの導入効果 したツールの運用のポイントは以下の とおりです. ① 既存のユーザリスト(CSV形 式)を活用し,端末アカウントの 大量一括取得の実現 ② 手動で確認すべきフィールド (セキュリティ項目など)は自動 化しない ③ すべてをUMSで対応せず,既 存ツールとの組合せを考慮 このツールを初期設定作業に試行導 入した際の効果は図1のとおりです. 法人のお客さまにスマートフォン・ すべての初期設定を手作業で行った場 タブレットの導入事例を調査した結果, 合と比較して,設定ミスが減り,必要 端末アカウントについて,ユーザ管理 な設定作業人員も少なくなるとともに, 上,情報システム部門あるいは総務部 作業時間も約3分の1に短縮されるな 特 集 (a)UMS,他専用ツールを利用した場合 デバイス (端末ごとに作業) PC (一括作業) 100分 10分 (b)ツールを利用しない場合 手作業 UMS ①端末アカウント一括作成 ①端末アカウント作成 (全社員分の項目リスト) ②端末一括設定ファイルの作成 5分 手作業 他専用ツール ②端末アカウント設定 (端末の詳細設定ファイル) 2分 手作業 ③端末基本設定 デバイス (端末ごとに作業) 5分 手作業 ④ネットワーク設定 5分 手作業 2分 ③端末アカウントの設定 手作業 ⑤アプリケーション設定 ④設定ファイルの読み込み 手作業 ⑥設定内容の確認 3分 手作業 3分 ⑤設定内容の確認 (100台設定の場合) PC(100分+10分)+11分/台×100台=1210分 合計 1790分 短縮 10分 他専用ツール 6分 端末アカウント 作成 400分 短縮 端末個別 設定 1390分 短縮 (100台設定の場合) 30分/台×100台=3000分 UMS等のツールを利用することで,約3分の1の時間短縮となります. 図1 UMS等のツール利用の導入効果 UMSを活用した,スマートフォン・タブレット設定作業イメージ 1 UMS起動 ユーザデータ(CSV) プログラム,読み込み 2 UMS実行 3 端末アカウント作成 (手動入力) ※UMS非対応 4 端末アカウント 作成完了 5 他専用ツール 情報作成 6 設定のインポート 端末アカウント 手動設定 端末個別設定 インポート 設定作業を自動化することで,手動設定による入力ミスや,作業員の削減にもつながりました. ※1∼4は,図1(a),①のUMSを使った端末アカウント作成の自動化個所です. 5は,図1(a),②④の他専用ツールを使った端末個別設定の自動化個所です. (左から)野々部 貴/ 大同 俊明/ 市橋 和明 図2 UMS等のツール導入後の初期設定全体イメージ ど,業務の効率化につなげることがで 者の動向を確認しつつ,条件が明確 きました(図2). になり次第各サービス拠点への導入を 今後の展開 検討します.また,UMSがさまざまな 業務に向けて適用できることを確認し 端末アカウントについては,サービ ましたので,初期設定ツール以外での ス事業者が提供するサイトの仕様によ 活用も幅広く検討し,法人のお客さま り大量取得が困難な場合があり,現時 へのさらなる普及に努めていきます. 点で本ツールは弊社における試行利用 にとどめています.今後サービス事業 NTTドコモソリューションビジネス部 では,今後もお客さまがスマートフォン・ タブレットをスムーズに導入して,既存の ユーザデータを有効に活用し,業務効率化 を早期に実現できるよう,さまざまな提案 を行っていきます. ◆問い合わせ先 NTTドコモ ソリューションビジネス部 プロダクト支援担当 TEL 03-5156-2601 FAX 03-5114-7061 E-mail kittingdcm-ml nttdocomo.com NTT技術ジャーナル 2013.12 45