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平成25年度 施政方針

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平成25年度 施政方針
平成25
平成25年
25年度施政方針
自然と
自然と文化と
文化と人々がとけあい
人々がとけあい
心豊かに
心豊かに暮
かに暮らせるまち
西尾
西尾市長 榊 原 康 正
平成25年市議会3月定例会の開会にあたり、平成25年度の市政運営に対する私の
所信の一端を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様にご理解とご協力をお願い申し上げ
たいと存じます。
私が市政を担ってから約3年8か月が経過いたしました。合併初年度は「融和」、そし
て合併2年目には新たに「協働」を市政運営の理念に掲げ、市議会並びに市民の皆様の
ご協力をいただきながら、マニフェストの実現に努めてまいりました。就任3年を経過
した昨年7月時点における進捗率は概ね60%であり、順調に推移していると思ってお
ります。
その中でも昨年5月に導入いたしました「市民協働ガイド」は、市職員が各地域に出
向き、市民の皆様から直接生の声を聞く事業として、現場第一主義を重要視する私が最
も力を入れた事業であります。1月末現在で23件489人の方にご参加いただく中で、
192件の意見や要望を頂きました。まちづくりの基本は、民と官がそれぞれの立場で
協力し、お互いに働きかけながら進めることであります。そういった意味でこの事業を
スタートできたことは、住民自治の充実と西尾市の発展に大いに寄与する大変有意義な
ことと確信しております。
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さて、昨年を振り返ってみてまず思い起こすのは、9月11日に市内で発生した記録
的な集中豪雨のことです。1時間雨量が最大58ミリを記録した観測史上最大のゲリラ
豪雨は、床上浸水23棟、床下浸水71棟、自動車浸水35台などの甚大な被害をもた
らしました。私もすぐに亀沢町の現場に駆けつけ、被害状況を目の当たりにしました。
現地では、復旧作業をされていた方々から悲痛な叫びを直接聞き、市長として市民の生
命と財産を守る重責をひしひしと感じたところです。
世界情勢では政治、経済いずれも米中二極時代に入り、少なくとも今後20年間はそ
の状態が続くものと見込まれます。新興国では「アジア最後のフロンティア」と言われ
るミャンマーが脚光を浴びるなど、今後半世紀で投資の地図が大きく転換するものと思
われます。
国内では東アジアの領土問題に端を発し、近隣諸国との関係が政治、経済ともに冷え
込んだ年でした。国内経済はその煽りを受け多大な損失を被り、未だにその余波が日本
社会に暗い影を落としています。しかしながら、年末から年始にかけ株価が上昇し超円
高が是正されつつあります。本年前半には景気は持ち直すとの予測も多いように、日本
経済が体力を回復する光明も見えてきました。
間もなく2年が経過する東日本大震災の復旧・復興もまだまだ時間を要します。住み
慣れた家を離れて避難する被災者は32万人を超え、11万4千人の方が2度目の冬を
仮設住宅で過ごしています。私達は今一度、東北で起きた未曾有の災害に思いを馳せ、
何が本当の幸せか考える視点を持つことが大切であると強く感じています。新年度にお
いても被災地への職員派遣など市として出来る限りの支援を続けてまいります。
一方、明るい話題としましては、京都大学の山中伸弥教授が「iPS 細胞」の開発研究
でノーベル生理学・医学賞を受賞したことや女子バレーボールで地元デンソーエアリー
ビーズの井上香織選手が銅メダルを獲得したロンドンオリンピックにおける日本の大活
躍などが挙げられます。市内では6月に人口が17万人に到達したことを始め、スポー
ツ分野で西尾東高校野球部が夏の県予選で地元校では41年ぶりに準決勝まで勝ち進み、
市民に夢と感動を届けてくれました。さらに愛知県市町村対抗駅伝では、合併効果によ
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り過去最高の5位入賞を果たすなど嬉しい出来事も多い年でした。
合併3年目となる平成25年は、市制施行60周年を迎えます。私の願いはこの節目
の年を市民の皆様とともに様々な場面を通じて喜び合い、分かち合うことであります。
そこで、平成25年度の施政方針として、第7次総合計画の将来都市像「自然と文化
と人々がとけあい 心豊かに暮らせるまち 西尾」を掲げ、それを具現化するため民官
一体で本市の魅力である自然や文化の保全・活用・継承に努めながら、誰もが心豊かな
暮らしを実現できるまちを目指してまいりますので、議員各位並びに市民の皆様のご支
援とご協力をお願いいたします。
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次に予算編成について申し上げます。平成25年度は東日本大震災及び集中豪雨によ
る浸水被害が残した教訓を活かして、
「防災・減災対策」を最重点課題と位置づけ、優先
的に予算配分してまいります。
平成25年度の市税収入は、景気が緩やかな回復基調にあることから、本年度よりも
7億円ほどの増収となる269億円程度と見込んでいます。
一方歳出では国の緊急経済対策に対応するため、一部の事業を本年度へ前倒しするこ
とから、一般会計の予算規模は本年度より13億円ほどの減額となる514億円程度を
見込んでいます。
また、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた総予算では、996億円の見込み
となりました。厳しい財政状況下ではありますが、市民サービスの低下を招かぬよう配
慮しつつ、「選択と集中」の予算編成に努めてまいりました。
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それでは、第7次総合計画に掲げました6つの主要施策に基づき、平成25年度に実
施いたします主要事業についてご説明申し上げます。
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第1の施策は、「活力と魅力あふれる産業づくり」についての取り組みであります。
昨年7月東京都庁で開催しました「三河の小京都・西尾観光物産展」で実施したアン
ケートでは「西尾市を知らなかった」方の割合は57%であり、まだまだ知名度が足り
ません。目に見える合併効果として挙げられる観光事業につきましては、今後も積極的
かつ継続的な取り組みが必要であります。
その具体的な方策としまして、将来目指すべき観光のあり方を示す「観光基本計画」
を策定し、観光面の基本指針を明確化するとともに、観光に精通した民間活力を西尾市
観光協会に導入し、旅行者への積極的なプロモーション活動や特産品のPR活動、観光
協会の組織強化を図ってまいります。
また、昨年に引き続き名鉄と連携した「抹茶の薫る三河の小京都キャンペーン」の実
施や秋には60周年記念事業の一環として、51市町が加盟する全国京都会議を開催し、
県内外に広く「三河の小京都・西尾」をアピールいたします。
さらに、西尾市の観光・グルメ情報などを掲載した観光情報誌を発行し、全国から西
尾へ訪れていただくための取り組みを充実いたします。
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特産品振興事業では、地域ブランドの「西尾の抹茶」や「一色産うなぎ」を主力商品
とし、名古屋圏を始め新たな消費圏の拡大を目指して、首都圏でPR活動を大々的に行
い、知名度の向上と販路拡大に努力してまいります。
商業につきましては、現在高畠町の「ファミリータウン・ミカ」跡地で、ユニー株式
会社が系列店舗では西三河で最大規模を誇る大型商業施設の整備を新年度中のオープン
を目指して進めています。衣食住にわたり市民生活を豊かにする場所として、さらには
西尾市の玄関口にふさわしい商業施設として大いに期待を寄せているところであります。
農業につきましては、60周年記念事業として県の「あいち花フェスタ」を秋に開催
することが正式に決定いたしました。日本一のカーネーションを始め、全国有数の花の
産地である西尾市を市内外にPRする絶好の機会と捉えて、特産物の消費拡大を図って
まいります。
地域ブランドの認可から5年目を迎える「西尾の抹茶」につきましては、その地位が
不動のものとして確立できるように、今後も引き続き「西尾の抹茶の日」や市庁舎を活
用したお茶会などの事業に対して支援してまいります。
同じく本市の誇る地域ブランド「一色産うなぎ」につきましては、都庁物産展のアン
ケートで「西尾市を知っている」と回答した方の72%が「一色産うなぎを知っている」
と回答していただき、特産品部門で最も高い結果が得られました。昨今の慢性的なシラ
スウナギの不漁により、養鰻業は大変厳しい状況が続いています。現在、県が全国初の
総合対策として、
「下りウナギの保護」、
「シラスウナギの保護」、
「ウナギの放流」に取り
組まれていますので、市としましても協力体制を取り、今後もシラスウナギ資源の維持
や増加策に努めてまいります。
佐久島につきましては、
「三河佐久島アートプラン21」を始めとする活性化事業の成
果により、来島者が着実に増加しています。県事業の「あいちの離島80日間チャレン
ジ」では、新里碧さんが島内に滞在しインターネットを用いて島の魅力を存分に発信さ
れました。平成23年度の観光客数は「新里効果」も手伝い、過去最高の7万5千人余
を記録したところです。こうした中、3月1日には乗船者の利便性を向上させた新造船
「第三さちかぜ」が就航いたします。日本の原風景を数多く残す佐久島の素晴らしさを
これからも大切にしながら、
「島を美しくつくる会」との協働により活性化に取り組んで
まいります。
「愛知こどもの国」につきましては、愛知県市長会と国や県議会議員との懇談会の場
で直接、県による存続を強く主張したところです。現在も県と協議を重ねていますが、
施設全体の存続と維持管理費を軽減したうえで引き続き県による管理を強く要望してま
いります。その中で、昨年7月には地元の皆様を中心としたNPO法人「フロンティア
西尾」が設立されましたので、
「フロンティア西尾」が県から指定管理を受けられるよう
に働きかけるとともに、市が主催する各種行事を「愛知こどもの国」で開催するなどの
対策を講じ、施設の活性化とともに来場者の増員に努めてまいります。
新市発足後、最重点課題として掲げてきました企業誘致につきましては、引き続き積
極的に取り組んでまいります。合併後、他市の臨海部から吉良町の宮迫樫木地区へ工場
進出が決定するなど、新市になって市域が広大となり固い地盤を活かした企業誘致が一
定の成果を産みだしてきました。昨年、初の試みとして私自身東京や大阪の展示会に出
向き、企業関係者へトップセールスを行いましたが、まだまだ本市の知名度が低いとい
うことがよく分かりましたので、新年度も首都圏などで開催される企業誘致フェアに出
展しトップセールスに励み、市内に進出する優位性を訴えてまいります。また、進出企
業や設備投資を行う企業に対する企業誘致奨励事業を継続的に実施するとともに、市内
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企業の流出を防止するため、昨年10月に導入しました西尾市企業再投資促進補助金の
活用を積極的に促してまいります。企業庁が幡豆地区に所有する約150ヘクタールの
山林につきましては、昨年5月に知事へ直接「総合的な利活用策の策定」と「アクセス
道路の整備」を要望したところです。本地区の有効活用は地域活性化の起爆剤として大
いに期待を寄せておりますので、引き続き粘り強く要望してまいります。
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第2の施策は、
「利便性と快適性を高める基盤づくり」についての取り組みであります。
利便性や快適性を高めるにはインフラ整備が何よりも重要です。本市は高規格幹線道
路や鉄道本線からも離れており、経済や文化の広域的な交流を図るための交通ネットワ
ークの形成が必要であります。
国道23号名豊道路の4車線化につきましては、平成27年度の西尾東インターまで
の整備を現在国において進めていただいておりますので、引き続き岡崎バイパス全線の
早期4車線化を強く要望してまいります。
県道では、西尾幸田線の4車線化と安城一色線の上町下町地区や諏訪神社の用地買収
に着手していただいております。また、西尾幡豆線の吉良町友国から吉良町木田までの
間を本年度末の開通を目標に整備を進めていただいておりますので、引き続き鵜ケ池町
までの早期整備を強く要望してまいります。
市道につきましては、西川線と県道豊田一色線との交差点改良や本議会で補正予算を
提案させていただく予定の野田松木島2号線始め2路線を新年度に整備できるよう目指
すとともに、都市計画道路では中部幹線を新たに着手してまいります。
上下水道のインフラ整備では、本議会で補正予算を提案させていただく予定の八ツ面
町地内と笹曽根町地内にある配水池や配水場内の建物の耐震補強工事に着手し、水道管
については小島町始め9町の地内で耐震化工事を実施します。また、公共下水道は本年
度実施しております既設管路の耐震診断の結果に基づき、
「下水道総合地震対策計画」を
策定し上下水道の安定供給を図るとともに、雨水排水計画の見直しにより浸水対策にも
努めてまいります。
名鉄西尾・蒲郡線につきましては、にしがま線応援団、沿線に立地する高校及び市民
有志を始めとする皆様が推進主体となり、利用促進に向けた講演会やイベントの開催或
いは沿線の飲食店や名所を紹介するマップづくりなど様々な活動を展開してきました。
これにより減少を続けていた利用者は4年連続の増加となりました。しかしながら、旅
客収入については減少しており、依然として厳しい状況であることに変わりありません。
名鉄西尾・蒲郡線は1911年に開業した西三軌道がルーツとされています。将来世代
や交通弱者のためにも、私達は一世紀もの歴史を持つこの路線を絶対に無くしてはなり
ません。名鉄西尾・蒲郡線対策協議会では、新年度以降も現在の運行形態を継続してい
く方向で関係機関と協議を進めています。現在支援していただいている県の補助も新年
度は継続していただけるようです。市では本年1月から、電車通勤を体験する「にしが
ま線通勤チャレンジ」やパークアンドライドを利用した通勤など、市職員の新たな名鉄
利用促進策をスタートしています。公共交通の衰退は地域の衰退に直結するとの認識の
もと、この課題に対しましては、他力本願ではなく民と官の協働により、地域全体が本
気を出して蒲郡市と連携しながら進めなければなりません。地域の発展を支えてきた路
線と赤い電車を守るために、各界各層とともに知恵を結集しながら利用促進に努めてま
いります。なお、公共交通につきましては、増大する経費や空白地対策などの課題に対
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応するため、抜本的な検討が必要であることから新年度に西尾市公共交通計画を策定し
てまいります。
次に定住促進に繋がる居住環境の整備では、本年度中に組合設立を予定している羽塚
西地区を始め、現在施行中の平坂東部地区と吉山地区の3地区の土地区画整理事業を引
き続き支援してまいります。
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第3の施策は、
「地域を支える文化と人を育む環境づくり」についての取り組みであり
ます。
将来を担う子どもに対する施策としましては、昨年4月に保育園棟が開園した(仮称)
室場こども園の通園施設棟が間もなく完成し、4月1日からは複合的施設「室場なかよ
し園」として新たなスタートを迎えます。通園施設では現在の定員を15人増員して
48人とし、自立に向けた支援体制の充実を図ってまいります。
昨年度から始めました園庭芝生化事業につきましては、
「協働」の象徴的事業としてこ
れまでに4園で実施し、保護者や地域の皆様に維持管理をご協力いただいております。
新年度は引き続き米津、室場、一色西部保育園及び鶴城幼稚園の4園で実施する予定で
す。
次に学校教育について申し上げます。昨年末、市内の2校が日本一に輝く快挙を達成
され喜びを届けてくれたことは記憶に新しいところです。1つ目は全国学校給食甲子園
で、西尾中学校が全国2271校の頂点に輝きました。
「西尾の抹茶」や三河湾で水揚げ
された海の幸などの地元特産物をふんだんに生かしたメニューは、まさに合併効果の産
物であります。2つ目は中畑小学校がソニー子ども科学教育プログラム教育論文で全国
の最優秀校に選ばれたことであります。双方とも大変喜ばしいことであり本市教育の誇
りであります。
一方、昨年はいじめ事件が大きな社会問題となりました。文部科学省が行った緊急調
査によりますと、昨年4月からの半年間で全国の小中学校で14万4千件のいじめが認
知されました。これは、平成23年度1年間の2倍を超える数字であり、愛知県は8千
5百件余りで全国最多でした。この結果を踏まえ指導の問題点を洗い出し、いじめ対策
に生かさなければなりません。平成6年に起きた本市での事件以来、各学校では気持ち
を緩めることなく指導や対応に努めておりますが、改めて小さなサインから大きな問題
を予知できる感性を磨く必要があります。地域の宝である子どもたちの沈黙の訴えに真
摯に耳を傾け、これまで以上に家庭、学校、地域社会全体で児童生徒を育てていくとい
う取り組みを積極的に推進してまいります。
新たな3学期制につきましては、学期制の特性を生かしたよりよい評価と、児童生徒
の学力を伸ばすための授業の充実を重視して実施してまいります。
人的配置による充実策では、現在、小学1・2年生と中学1年生のクラスで実施して
いる少人数指導教員の配置を継続するとともに、特別支援学級の児童生徒や発達障害の
ある児童生徒をケアするための特別支援教育補助者、さらに、読書指導の充実を図るた
めに学校司書の増員に努めてまいります。
教育施設の整備では、本年度実施しました平坂小学校に引き続き、矢田小学校と横須
賀小学校で校庭の芝生化に取り組んでまいります。また、小中学校体育館の天井や照明
などの耐震改修計画策定や中学校普通教室に天井扇風機を設置するなど教育環境の充実
に努めてまいります。
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生涯学習につきましては、本年度策定しました生涯学習推進計画により着実に進めて
まいります。また本議会において長年の懸案でありました(仮称)矢田ふれあいセンタ
ーの建設に関する補正予算を提案させていただく予定です。矢田地区の生涯学習拠点と
して、平成26年度のオープンを目指し整備してまいりたいと考えております。
本市が全国に誇る歴史文化の保存継承につきましても積極的に推進してまいります。
新年度は新市の歴史を後世に伝えていくため「新編西尾市史」の編纂に取り掛かれるよ
う努めてまいります。また、現在旧錦城体育館跡の二之丸跡地を歴史公園と一体化した
史跡公園として整備するため、西尾城天守台・櫓台の復元及び公園整備工事を行ってお
りますが、検討委員会における協議結果を踏まえ、かつて西尾城にも使用されていた地
元産の幡豆石を使った石垣を組み、西尾城の面影を醸し出す公園として整備してまいり
ます。西尾城の再建につきましては、幅広い市民の意見を聞く必要があると考えていま
す。
スポーツへの取り組みにつきましては、市民の健康づくりの観点からもその活性化を
図る必要があります。筑波大学の研究では、スポーツ活動を継続的に実践している高齢
者は非実践者よりも年間10万円の医療費が節約できるとの調査結果が示されました。
新年度はスポーツ推進計画を新たに策定し多くの市民参画を促してまいります。また、
一般質問や野球協会などの団体の皆様からたびたび要望されております総合スポーツ公
園構想につきましては、第7次総合計画で言及しているとおり構想づくりのための調査
研究に着手し、将来に向け第一歩を踏み出したいと考えております。
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第4の施策は、
「安心できる暮らしを支える健康・福祉のまちづくり」についての取り
組みであります。
まず、西尾市民病院の医師の確保についてでありますが、議員ご支援のもと数回にわ
たり名古屋大学医学部附属病院長と県に対し医師の派遣要望を行い、特に昨年11月に
は知事に直接要望してまいりました。その中で小児科救急の診療制限や産科の休止など
現在市民病院の置かれている窮状を訴えご理解いただいたところですが、医師の早期増
員は難しいのが現状であります。病院の質と経営の根幹となる医師の充実は、安心でき
る暮らしを支える最重点課題と考えており、これからも医師の適正配置を求め、西三河
南部の中核病院として17万市民の皆様へ満足度の高い医療が提供できるように粘り強
く大学や県に対し要望してまいります。また、現在の市民病院は移転新築後23年が経
過しており老朽化が進みつつありますので、中長期営繕計画に基づき施設の改修整備を
進め長寿命化に努めてまいります。
健康づくりに関する施策としましては、21世紀における国民健康づくり運動(健康
日本21)の第2次計画の策定に伴い、市では「健康にしお21」を策定いたします。
市民が主体的に健康づくりに取り組むことができ、社会全体で支援する環境を整備し、
市民の健康づくりを総合的・効果的に推進してまいります。
日本は現在、世界に類を見ないスピートで高齢化が進んでおり、今年中には大人用お
むつの生産量が乳幼児用を初めて上回る見込みです。2010年度の社会保障給付費は
初めて100兆円を突破いたしました。30年後には高齢者一人を現役世代一人が支え
る肩車型社会が到来しますので、市としましても超高齢化時代に対応する必要がありま
す。介護保険事業では第5期事業計画に基づき、民間事業者による定員29人の地域密
着型小規模特別養護老人ホーム及び登録定員25人の小規模多機能型居宅介護事業所の
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開所を5月に予定しております。さらに、新年度から2年間で定員100人の特別養護
老人ホーム及び定員20人の短期入所事業所を整備してまいります。
障害者福祉施策につきましては、従来の「障害者自立支援法」が「障害者総合支援法」
に改正され新年度より施行されます。
「制度の谷間」を埋めるべく、障害者の範囲に難病
を加えるなど、障害を持つ方の日常生活や社会生活を総合的に支援できるよう、障害福
祉施策の一層の充実を図ってまいります。
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第5の施策は、「安全とうるおいのある環境づくり」についての取り組みであります。
本年度より着手しております「親子で楽しめる公園」につきましては、第一期のレク
リエーションゾーンの整備を進め平成28年度の完了を目指し、「道の駅にしお岡ノ山」
との相互利用を図ります。また、一色地域文化広場につきましては新年度の完成を目指
し、市民の憩いの場となるような緑あふれる公園整備に努めてまいります。
環境を保全し創造していくには、市民、事業者、行政が力を合わせてそれぞれの立場
で責任ある行動をしていくことが大切です。市では環境基本計画に盛り込まれている
「新たなエネルギーの利用促進」の一環として、衣浦14号地内の県から譲渡を受けた
約6.2ヘクタールの市有地においてメガソーラー事業を始めます。事業主体として応
募のありました民間事業者の中から最優秀事業者を決定し、協定書締結を経て新年度中
の発電開始を目標に事業展開してまいります。また、近隣市で導入が進む市有施設の「屋
根貸し」による太陽光発電も事業化に向けた検討を重ねてまいります。低公害車の新車
購入者や住宅用太陽光発電装置の設置者に対する補助は引き続き実施してまいります。
次に最重点課題の災害対策について申し上げます。第7次総合計画策定の基礎資料と
するため昨年実施したアンケート調査では、地震・津波対策及び水害・土砂災害対策が
最も市民ニーズの高い施策でありました。さらに昨年年末に政府の地震調査委員会が2
年ぶりに更新したデータによりますと、今後30年間に震度6弱以上の地震に襲われる
確率がこの地方でさらに上がったところであり、大地震への対策はより切迫した状況に
なりました。
地震・津波対策では、海岸堤防の耐震化を強く進める必要があります。県では、ゼロ
メートル地帯などで大きな被害が想定される区間を優先区間と位置づけ、
「第2次あいち
地震対策アクションプラン」の取り組みを進めており、優先区間につきましては、平成
26年度末までに耐震化率100%を目標に事業を進めていただいております。また、
東日本大震災以降「愛知県沿岸部における津波・高潮対策検討会」を立ち上げ、新たな
基準が策定される予定ですので、市としましても一刻も早く新基準に基づく整備が進む
ように引き続き県当局に強く働きかけてまいります。
また、昨年8月29日に内閣府が発表した南海トラフ巨大地震における被害想定を基
に、本市における被害想定と地震津波対策をまとめた計画を策定するとともに、被害想
定をハザードマップとしてまとめ全戸に配布してまいります。また本議会において補正
予算を提案させていただく予定ですが、一色町公民館の敷地内には100トンの飲料水
兼用耐震性貯水槽を設置し災害時の飲料水を確保するとともに、一色町ホールを多機能
化し、避難所としての収容人数を増やしてまいります。
自分の身を守るうえで最も大切なのは日頃の備えと訓練であることは言うまでもあり
ません。各小学校区で行われる防災訓練では、市民一人一人に素早い避難や主体的な避
難行動をとっていただき、
「自分の身は自分で守る」という意識付けを徹底してまいりま
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す。
水害対策としましては昨年9月11日のゲリラ豪雨を受け、市では本年度、平坂排水
機場の遊水池浚渫や排水路整備工事の一部見直しをかけた災害関連工事の早急な対応策
を講じてまいりました。また、北浜川及び二の沢川改修促進を河川管理者である県に対
し緊急に要望したところであります。その中で北浜川につきましては、用地買収が完了
している場所の早期工事着手を、二の沢川につきましては、現在進めていただいている
河川改修の早期完成と土砂の浚渫を強く訴えてまいりました。治水事業の推進は市民の
安心安全な生活を守るうえでも先送りはできません。これからも何度でも足を運びたい
と考えております。
消防につきましては、昨年度から進めております災害通報の受信と同時に災害場所の
検索や、必要部隊の自動編成などの一元管理を可能にする高機能消防指令センターの整
備を完了させ、消防力の充実強化を着実に図ってまいります。
また、副市長を防災監に充て、各部局の応急対策活動を横断的かつ有機的に実施でき
るようにいたします。
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第6の施策は、
「市民と行政が共に考え、行動するまちづくり」についての取り組みで
あります。
私は本年度、市政運営の理念に新たに「協働」を掲げ、市民の皆様の力をお借りして
舵をとってまいりました。具体的には「市民協働ガイド」制度の導入、園庭の芝生化、
総合計画策定のための協働まちづくりプランナーからの貴重な提言、名鉄西尾・蒲郡線
や愛知こどもの国の利用促進など、様々な行政課題へ「オール西尾」で対応してまいり
ました。この姿勢は今後さらに深化させていきたいと考えています。
新年度は本市が市制を施行して60周年の節目を迎えます。この慶事を市民の皆様と
祝い合うとともに、多種多様な記念事業を開催してまいります。具体的には「融和と協
働」をテーマとし、市民が自ら企画運営する事業を支援する市民公募事業と、市が中心
となり実施する事業を年間通して展開していきますが、実施にあたっては可能な限り市
民の皆様と市が協働連携し、経費節減や集客力の相乗効果を得ながら進めてまいります。
行財政改革も加速させてまいります。本市の行財政改革につきましては、平成23年
度末に策定した西尾市行財政改革大綱及び第4次実行計画に沿って鋭意推進していると
ころです。新年度は第4次実行計画の推進はもとより、平成23年度から実施しており
ます事業仕分けにつきましては、これまでの実施方法を見直し、より効果的なツールと
して活用しながら事務事業の改善を図ってまいります。
平成26年度から平成30年度までの5年間を第1次実施期間とする「(仮称)西尾市
公共施設再配置実施計画」につきましては、新年度末までに最終版を策定するよう作業
を進めているところです。具体的には、市民の方にご参加いただいている「公共施設再
配置検討ワーキンググループ」で、弓道場、資料館、地区集会施設などの再配置方針案
を検討してきましたが、今後は、安全性の確保などが求められる公共施設に対する大規
模な再配置についても調査研究を進めてまいります。なお、先行的に取り組んでおりま
す再配置モデル事業としまして、新年度は幡豆支所への消防署幡豆分署の機能移転など
の継続事業に加えて、白ばら学園園舎の文化財収納施設としての再利用、吉田老人憩の
家へのシルバーワークプラザ機能の追加を予定しております。
職員の定員適正化につきましては、昨年3月に新西尾市職員定員適正化計画を策定し、
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現在その目標に向け取り組んでいるところです。この計画は平成24年度から平成26
年度までの3年間で職員80人を削減することを目標としています。平成27年度以降
の計画につきましては、平成26年度中に策定を予定していますが、策定にあたっては
すべての部署において「削減ありき」ではなく、本市の実情と国・県からの権限移譲に
伴う事務量などを踏まえ、適正な職員配置を見据えた上で策定してまいります。
私は本年初頭、職員に対し平生の心がけとして3点の目標を示しました。1点目は職
員自らが「夢を持とう」ということです。17万市民が幸せになるように自分の仕事に
夢を持つこと、2点目は「現場第一主義」を徹底し、要望や相談があればとにかく現場
に足を運んで市民の生の声や空気を感じ取り仕事に生かすこと、3点目は組織の「風通
しを良くする」ということです。職員間の意思疎通を絶えず円滑にし、「オール市役所」
で事業を進めるように指示したところです。私も職員とともにこの思いを共有しながら
組織を統括してまいります。
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最後に新年度に向けて私の決意を申し上げます。
市政運営のスローガンは引き続き「融和」と「協働」を掲げます。新年度は市民との
「協働」により新市が初めて策定した第7次総合計画がスタートする大変重要な年にあ
たります。今を生きる私たちの最大の使命は、現在よりも安心して暮らせる住みやすい
西尾市を次世代へ引き継ぐことです。私は一昨年の施政方針演説において、60億キロ
におよぶ宇宙への旅から地球に帰還し、世界中に感動をもたらした小惑星探査機「はや
ぶさ」の話を引用しました。そこでは「はやぶさ」の帰還は終わりではなく、宇宙分析
ストーリーの「最初の一歩」という意味を持ち合わせていると申し上げました。昨年末、
「はやぶさ」の教訓をもとに新技術を加え改良された後継機「はやぶさ2」が公開され、
2014年には新たな使命を背負い打ち上げられる予定です。宇宙分析は少しずつ着実
に進んでいます。
合併3年目を迎える新市のまちづくりも地道に前進させていく必要があります。還暦
を迎えた西尾市のために今一度原点に立ち返り、謙虚にそしてひたむきに一歩ずつ愛す
るふるさとの飛躍を目指し、全身全霊で市政運営に努めてまいります。議員各位並びに
市民の皆様にご理解ご協力をお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきま
す。
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