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連絡プリント
筑波大学生物資源学類 平成 25 年度 基礎数学 II: 9 週目 (2013/12/05) 連絡プリント 担当: 奈佐原 (西田) 顕郎 ([email protected] 生農 E104 TEL:853-4897) 授業ウェブサイト: http://ryuiki.agbi.tsukuba.ac.jp/lec/13-math/ 発展問題 B: (いつものやつ) 1 連絡 発展問題 C: a, b ∈ R とする。[a, b] で定義される, 何 秋学期テスト問題の問 132(2)(最後の問題) に誤りが あります: 回でも微分可能な関数の集合を X とする。X の内積 誤: ポアソン分布の確率密度関数を導出せよ。 として, Z 正: ポアソン分布を導出せよ。 b f (x)g(x)dx < f (x), g(x) >:= 注: ポアソン分布は離散的確率変数の確率分布ですか a ら, 確率密度関数は存在しません。確率密度関数が存 を導入する (f (x), g(x) ∈ X とする)。X における, あ 在するのは, 連続的確率変数のみです。 る線型微分演算子 F が, もし ∀f, ∀g ∈ X, < f (x), F g(x) >=< g(x), F f (x) > 2 誤植訂正 を満たすなら, F を「自己随伴型微分演算子」という P67 右段 式 (19.63) の下の行 (定義)。 誤: ρs は面積低効率 さて, X の 2 つの要素 p(x), q(x) を考える。ただし, 正: ρs は面積抵抗率 p(a) = p(b) = 0 を満たすとする。その上で, 以下のよ うな線型微分演算子 L を考える: P99 左段 問 687 2 行目 L= 誤: 互いに線型独立であれば 正: 互いに線型従属であれば d d p(x) + q(x) dx dx この L は自己随伴型微分演算子であることを示せ。ヒ ント: 部分積分。p(a) = p(b) = 0 を活用する。 P130 右段 21 行目 誤: P.82 式 (5.87) 発展問題 D: (前問の続き) 以下のような微分方程式 正: P.82 式 (5.88) を考える (L は前問で出てきたものである): Lf (x) = λf (x) P161 右段 13 行目 誤: 空間のどこにいるのかわからなくない ここで, λ は適当な実数であり, f (x) ∈ X とする。こ 正: 空間のどこにいるのかわからない のとき, f (x) を固有関数, λ を固有値という。また, こ のような微分方程式を, スツルム・リウビル型微分方 程式という (正確には, その中でも簡単な形式のもの)。 P162 左段 8 行目以降 誤: n が 1, 2, 3, ... のときのことを, K 殻, L 殻, M 殻, このようなスツルム・リウビル型微分方程式について, ... と呼び, l が 0, 1, 2, ... のときのことを s 軌道, p 軌 互いに異なる固有値に対応する固有関数は, 互いに直 道, d 軌道, ... と呼ぶ 交することを示せ。すなわち, もし, f1 , f2 ∈ X につ 正: n が 1, 2, 3, ... のときのことを, それぞれ K 殻, L いて, 殻, M 殻, ... と呼び, l が 0, 1, 2, ... のときのことをそ Lf1 (x) = λ1 f1 (x) れぞれ s 軌道, p 軌道, d 軌道, ... と呼ぶ Lf2 (x) = λ2 f2 (x) であり, かつ, λ1 6= λ2 ならば, Z 3 発展問題 < f1 (x), f2 (x) >= b f1 (x)f2 (x)dx = 0 a 発展問題 A: (いつものやつ) となることを示せ (ただし f1 , f2 は, いずれも, 「恒等 1 的に 0」ではないような関数とする)。ヒント: 対称行 4 昨年度までの受講生のコメント 列の固有ベクトルが互いに直交することの証明を参考 にせよ。 私にとって,数学は賢い連中らが何やらやっている なという程度,とても自分がやろうとは思わない代物 注: スツルム・リウビル型微分方程式を, 様々な固有 でした。それに,できないし。しかし,この授業では数 値について考えて, それぞれに対応する固有関数を集 学を使って美しい自然を綺麗に記述していたため, 「た めると, その集合は, X の基底になる。その基底の要素 だの代物」という思いを「とんでもない代物」へと変 を, それぞれノルムが 1 になるように定数倍する(これ えました。物理の先生も数学は言葉とおっしゃってい を規格化という)と, この集合 B は, X の正規直交基 ました。ちょっと何言ってるか分からなかったのです 底になる (互いが直交することは前問でみたとおり)。 が,段々その意味が分かってきました。英語のように, 数学は世界共通の言葉ということなのですね! まだ, 発展問題 E: (前問の続き) 上で定義された線型微分 あんまり数学はできないけれど,以前よりかは,数学 演算子 L を, X の任意の正規直交基底を使って行列で の力は上がりました。これからも,楽んで数学とふれ 表現すると (その行列を A とする), A は対称行列にな 合っていこうと思います。実を言うと,基礎数学も物 ることを示せ。 理も初めは履修する気がなかったのですが,今となっ てはなんて馬鹿なことを考えていたのだろうと思って 発展問題 F: (前問の続き) 特に, X の基底として, 上 います。 述の正規直交基底 B を用いると, 行列 A は対角行列に なり, その対角成分は各固有関数に対応する固有値に 私は奈佐原先生の授業を受けて,数学というものの なることを示せ。 すごさを知りました。高校まではただただ問題を解い ていただけなので何が何だかよくわかっていませんで 注: これまで (名前だけでも) 出てきた, ルジャンド したが,この授業を受けて,数学はこんなにも深いも ル関数, ルジャンドル陪関数, エルミート多項式, ベッ のなのかととても驚きました。よくわからない部分も セル関数, ラゲール陪多項式, そして三角関数などは, あり,相変わらず苦手に近い分野ではありますが,前 いずれも, スツルム・リウビル型微分方程式の解であ よりもさらに少し数学が好きになれました。でもきっ る。また, シュレーディンガー方程式は, 適当な条件の と,もっと先生が言っていることやプリントの内容が もとで, スツルム・リウビル型微分方程式に変形され さらによく理解できていれば,もっと面白いと感じら る。 れたんだろうなと最近思いました。でもこれが私が理 解できる最大限のレベルです。前と変わらず今でも数 注: 上述のような型式の線型微分演算子 L は, 対称 学は私にとって避けては通れぬものとして存在してい 行列と非常によく似た性質を持つ。それぞれの L につ ますが,少しはその存在が明るいものへと変わりまし いて、固有関数の集合から正規直交基底を得られる。 た。1 年間,ありがとうございました。最後の方の授 これは, 対称行列の固有ベクトルが互いに直交するこ 業はあまり理解できなかったけど,数学を履修してよ と, そして, 固有ベクトルの集合が(規格化を行えば) かったと私は思っています。厳しい講義ではあったが 正規直交基底になることと, 同様である。 (テストなど),とてもためになりました。本当にあり がとうございました。 注: 従って, ある関数を, 自己随伴演算子 L の固有関 数の線型結合で表現すること(フーリエ級数展開もそ 1 年間,基礎数学の講義を受けてきて,高校までの のひとつ) は, ある数ベクトルを, 対称行列の固有ベク 「数学のイメージ」が私の中で大きく変わりました。高 トルの線型結合で表現すること (主成分分析もそのひ 校数学は,ほとんど現実の現象に結びつけることはな とつ) と, 数学的には同等である。 く,数学はテストや受験のために勉強している,とい う感じでした。大学や社会に出てから,苦手な数学な んて使わないし,と決めつけていました。でも,この 基礎数学の授業を受けたり,レポートを書いたりして, 2 数学はいろいろな現象の解明につながっていくことが ... そうなのです。「当たり前」なことって、当た 分かりました。生物の個体数とか,波の動きとか,温 り前すぎて、その重要さに気付かないよね。身近 度変化とか,大学 1 年生の時点でもこれだけの現象に な幸せの大切さに気付きにくいのと同じ。 ついて学べたのだから,他にももっとたくさんの現象 • テストノート 1 枚目終わりそうです。嬉しいで の解明ができるのでしょう。研究や将来の仕事で数学 が使えるように,来年度も数学に触れていきたいと思 す!! いました。 ... おつかれ! 2 枚目はちょっと手強いかも。 • 物理に加えて、数理科学演習も履修したいです。/ 5 前回 (11/28) のアンケートから 数学演習をとっていない私は、今、絶望の淵に立っ みなさんが書いてくれたアンケートを TA が入力し ている。 奈佐原や TA が返答をします。 • 数ベクトルを関数にあてはめて、 ... 数理科学演習とってること、前提です。 Rπ −π • フーリエ級数楽しい! / 正規直交基底の価値は分 f (x)g(x)dx かりましたが、フーリエ級数の価値がまだちょっ の説明していくれたのは分かりやすいよかった。/ とわかりません。 ベクトルが関数のように与えられること(数ベク ... 化学で, 電子や光子の、 「粒子性」と「波動性」っ トルを関数のグラフのようにできること)に感動 て習ったでしょ? あれは実は, フーリエ変換 (フー しました。 リエ級数を拡張した考え方) なのです。電子や光 ... ああいう「イメージ」は、理解の助けになりま 子が「どこにいるか」に注目する見方が粒子性。 す。関数がベクトルである、ということの本質は 「どのような周期(波長)を持っているか」に注目 「線型結合できること」ですが、直感的には、数ベ するのが波動性。位置で表された関数をフーリエ クトルの各成分を棒グラフにすれば関数になる、 変換すると, 三角関数の周期ごとの重みになるで というイメージです。 しょ? それが波動性の見方です。だから、フーリ エ級数は, 単なる数学テクニックではなく, 人間が • ほんとテストって当たり前のことしか聞いてない 世界を認識するやりかたというか枠組みのひとつ ですよね。 として, 科学哲学的に重要なのです。 ... そうです! だから, すらすらできて当たり前。 • 今日の数学おもしろかったです。 • 数学に酔ってしまった。 ... ありがたい。板書の羅列・式の羅列だったか ... 気持よく? 気持ち悪く? ら、みんなついてきてるか心配でした。何人か寝 てる人もいたしね。 • とても簡単だったけれど、なめずにこれからも勉 強していこうと思いました。 • 理解が進むように頑張りたい。 ... あれが「簡単」と思える人は, 数学の考え方(当 ... 当たり前のことをコツコツと。そして、「頑張 たり前のことを素直に論理的に緻密に積み重ねる る」よりも「楽しむ」こと。 こと)が身についていると思います。 「難しい」と 思う人って、たいてい、基本をおろそかにして、い • 予習の大事さが身に染みました。 らんことを考えているんだよね。 ... 予習できてないと、何も楽しくないよね。 • リメディアル教材で出てきたときは、内積の性 • 忘れている定義を見直そうと思いました。 質は当たり前と思って読み飛ばしていたが、こう ... 数学は一方向の積み重ねではないところが面白 した当たり前のことが、大学数学になって重要に い。学んだ時点で重要性がわからなかったことは、 なっていことがよく分かった。 忘れ去った頃にその重要性に気づくのです。だか 3 ら戻ってやり直すことも大切。 • レポートを家に忘れてきてしまいました。精神的 • 数学ってひたすら他のものを表すための道具を作 ダメージが大きいですが、次から気をつけます。 り続けている気がする。 ... 失敗して学び, 成長するのです。よい勉強をし ... そうだね。そして、その道具自体が魅惑的なス たね。 トーリーを持つから, 道具マニア・道具フェチがた • 他人の気分の浮き沈みの波もフーリエ級数展開で くさん生まれる。 数式で表せたらなあ・・・。 • 慣れたのか、前期よりも後期の授業の方が分かり ... まずどうやって気分を定量化するか, だよね。 やすいのでレポートにとりかかりやすいです。残 広島の有名なサッカー指導者は, 子供(サッカー選 り 15 日程度なので引き続き頑張ります。連日通 手)の精神状態を, 用具の整理整頓の仕方で見るそ えるようにちゃんと復習します (笑)。 うです。いつもより乱れていると, 「今日の試合は ... 前期より後期の方がわかりやすいとは素晴ら 負けるな」と思うし、そして実際, 負けるらしい。 しい。数学的には, 後期のほうがずっと高度です。 でも, 同時に, 体系性が強いから, 数学の論理体系 に慣れた人は, 後期の方がわかりやすい, と思うか もね。 • 色々なところに散りばめられた伏線を忘れかけら れた時に回収して読者に驚きをもたらす。基礎数 学教材は読み物としてもとてもクオリティーが高 いですね。 ... いや, 数学ってそういうものだよ。学問体系と して, 随所に伏線がある。私は「教材に伏線を埋め てやろう」と企むことよりも, 教材を淡々と作って いるうちに「あれ? これって伏線になってるじゃ ん」と気づくことの方が多いのです。ただ, 他の科 目もそうだけど, 数学って, 学校ではいくつかの小 分野に細分化されて教育されることが多いのです。 でもそうなると, 伏線がズタズタに切られてしま う。それもあって, 資源の「基礎数学」はひとつの 科目としてひとりの教員が担当しているのです。 • 誰かに教えるような気持ちでぶうぶつ言いながら レポートをしていたら、自分が何もわかっていな かったこやあいまいに捉えていたことがわかりま した。図書館にいたら通報されていたかもしれま せんが (笑)、有意義でした。 ... そうそう。そうやって自分との対話が大切。説 明する自分と, それにつっこむ自分。2 人の自分ど うしの対話です。 • 最近特に黒板の写真さまさまです。 ... 活用して下さい。間違いに気をつけてね。 4