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第8回 株式会社 藤屋(THE FUJIYA GOHONJIN)

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第8回 株式会社 藤屋(THE FUJIYA GOHONJIN)
第8回
株式会社 藤屋
ブライダル事業などを展開する株式会社藤屋では、経験を積んだ女性社員が長く勤められるよう、育
休に入る前も復帰のときも、体調に合わせたセクションへの異動やシフト体制で、無理なく働き続けられ
るよう配慮されています。男性も含めた社員同士の理解と協力があることも、子育て中の女性の活躍を
後押ししているようです。「人が財産」という理念の下、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる様子
などについて詳しくお話をお聞きしました。
《企業概要》
訪問先:株式会社 藤屋
役職員数:124 人(男性 46 人 女性 78 人)
事業内容:ブライダル、レストラン、スイーツショップ
[訪問日] 平成 25 年 12 月 11 日
[お会いした方] 代表取締役社長 藤井大史郎 様
ゼネラルマネージャー 上條 学 様
■子どもができる前から出産後を見据えて仕事をしている
【上條 ゼネラルマネージャー】
現在 124 名のスタッフがおりますが、そのうち女性が 78 名、男性が 46 名です。女性の力ですとか感性
がとても重要な業種ですので、女性が働きやすい環境となるよう心がけています。
女性社員にお子さんができたときには、体調に合ったセクションに異動したり、シフトの時間を短くした
りして、出産の直前まで働けるようにしています。復帰に関しても働ける時間帯の希望を聞いて、それに
合うところで戻って来ていただける様にしていますので、妊娠や出産だけを理由に退職というのは今の
ところ一人もおりません。現在 10 名の女性のスタッフが育児休業から職場復帰していまして、このうち4
名は2回、育児休暇を使って復帰しています。男性は今のところ例はありませんが、妻の出産を控えた
男性社員で3月から育休を取りたいと希望している者がおりますので、今、調整しているところです。
【加藤 副知事】
男性社員の方が育休を取られるというのは、企業のイメージアップにもすごくプラスになると思うんで
す。
【上條 ゼネラルマネージャー】
男性の社員ですと、妻が出産するときに5日間の特別休暇が取得できる制度があります。出産後1ヶ月
以内であれば連続でも飛び休でも取得できまして、これまでに男性社員 11 名が出産時の立会や退院
後の育児のためにこの制度を利用しています。
長く休むと、帰って来る居場所があるかとか、やはり金銭面の不安もあると思いますが、男性も安心し
て育休を取れる環境をつくっていくこともこれからの課題ですね。
【加藤 副知事】
子育てで社員が休むことを、ビジネスとしてマイナスだというふうに捉える経営者の方もまだ多いようで、
日本では働いている女性の6割が第一子を出産すると同時に退職してしまうんです。社員の教育に投
資をしても、育てた社員が子どもを出産すると辞めてしまうなんて、こんな無駄な事はないですよね。
【上條 ゼネラルマネージャー】
退職した女性社員を積極的に再雇用していこうという方針もありますが、結婚や出産を機に退職という
風潮がありませんので、妊娠が分かった女性スタッフも退職を考えるのではなくて、どのように働き続け
ようかと考えています。会社全体がそういう雰囲気ですので、この辺はメンバー同士、「お互い様」という
意識があるようです。
【藤井 代表取締役社長】
結婚して働いている女性メンバーは大勢いますが、実
際に子どもができる前に自分の職場の中で実績をしっか
り残して、出産後もそこにまた戻って来るんだという意識
があります。ですから、妊娠・出産後は辞めるということで
はなくて、そうなる前から出産後を見据えて自分の仕事が
できる場を自ら考えていますね。戦力となる十分な能力を
持ったメンバーが多いので、本人たちの意識の高さをす
ごく感じています。
藤井 代表取締役社長
■会社から社員に感謝を込めてお歳暮を贈るのが恒例行事
【藤井 代表取締役社長】
社員のご家族の方に、一年間の会社の業績の報告や今後の方針ですとか、感謝の思いを込めた手
紙を添えて、お菓子などをお歳暮として贈っています。休職中の社員に対しても同様でして、それを通
じて会社の現状とか来年の取組といったようなことが休職中でも分かっていただけますので、それが結
果として、1年間休んで戻りづらいということがないということにもつながると思っています。
【高森 長野労働局長】
社員の皆さんへのお歳暮というのは、社員の方をすごく大切にしていらっしゃるということの表れだと思
うんですが、始められたきっかけというか何かあるんですか。
【藤井 代表取締役社長】
もともと旅館を営んでいましたが、平成 17 年から結婚式とレストランを中心とした今の業態にリニューア
ルしたことで、働く環境が大きく変わったと思います。それをきっかけに、今後の藤屋の事業展開などを
社内で考えている中で、会社のことをきちんとご家族の皆様にもご理解を頂かなくてはという思いが強く
なりました。
ですから、物を贈ることが狙いではなくて、今年はこんな一年でしたとか、メンバーが日々元気でいら
れるのはご家族のご理解のおかげですという、感謝の気持ちを表現する場と考えています。そこにプラ
スして、来年の会社の方針や新規出店の予定、新しい制度ができるご案内をすることで、会社の現状を
ご家族にもお届けしたいと考えています。
今年 2 月に契約社員を全員、正社員化いたしまして、現在のスタッフ 124 名中 94 名は正社員なんで
すが、そういった人事制度の取組も今年末にお知らせしました。
【加藤 副知事】
それは働く人にとってみるとすごくモチベーションが上がりますよね。藤屋さんは社員とそのファミリー
全員が藤屋ファンになるように広げていこうとですよね。
【高森 長野労働局長】
それに育休中の方が会社の最新の情報を入手できるというのは、復帰に向けての心構えができると思
いますし、非正規の方でも正社員への登用の道が開かれるというのは励みにもなりますね。
【藤井 代表取締役社長】
育休に入っている女性社員が揃ってお子供さん連れで、弊社のレストランに食事に来ます。そういうと
ころで情報交換したり、会社の様子が分かったりすることができるようです。元々、社員のご家族や仲間
同士で食事に来るということが多いのですが、気づいた事を仕事に生かしてもらえばいいですし、迎える
側としても純粋に美味しいもの食べて楽しんで欲しいということもありまして、ファミリー意識が強いのかも
しれないですね。
【高森 長野労働局長】
これまでは人件費を抑制するために正社員を非正規に切り替えるという傾向があった中で、ようやく最
近になって、いい人材を確保するために非正規のスタッフを正式採用するという企業も見られるようにな
ってきました。藤屋さんでも正社員の登用を進めるという英断をされるというのは、やはりいい戦力として
の女性を確保したいという思いからでしょうか。
【藤井 代表取締役社長】
そうですね、やはり働いている側からすると、正社員と契約社員では雇用の期限という部分で安心感
が違いますよね。弊社は人が財産なので、まずはそこをしっかりと守ることが必要だということで、業態を
変えたタイミングで雇用の仕組みも変えたというわけです。
【加藤 副知事】
雇用の安定は日本全体で抱えている課題ですが、藤屋さんは素晴らしいお取組みをしていらっしゃる
と思います。ぜひホームページでもそういうこともご発信していただけるとよいのではないでしょうか。
高森 長野労働局長
加藤 副知事
■経験やスキルのある女性社員が結婚や出産で働けなくなるのは勿体ない
【上條 ゼネラルマネージャー】
管理職は9名おりますが、そのうち3名が女性です。内訳としましては、営業のセクション、予約管理や
お客様エスコートするレセプションのセクション、それからレストラン・ダイニングのセクション、それらの責
任者が女性となっています。これは、「女性だから」という訳ではなくて、実力とやる気があればチャレン
ジできるという形で登用しています。
【藤井 代表取締役社長】
例えばウェディング・プランナーという仕事は誰でもできるということではなく、かなり経験やスキルを積
むことが必要です。ですから、そうした社員はどこのセクションでも通用する人材でもあります。そのような
女性社員が結婚、出産で働けなくなってしまったら本当に勿体ないと思います。スキルがあって人間性
豊かなメンバーたちが色々なセクションで伝授したり良い影響を与えてくれたりするということが経営戦
略上すごく重要な事だと思っています。
【高森 長野労働局長】
女性ならではの発想や感性というものが生きる職場なんでしょうね。非常に細やかで、配慮が行き届く
という面でも女性の良さというものがありますし。
【藤井 代表取締役社長】
我々の商売ですと、ターゲットは女性が多いのですが、企画に当たって男性だけ、あるいは女性だけ
となると、発想が偏ってしまいます。ですから決め事をしたりアイデアを出したりするときには、必ず男性
と女性の両方をメンバーに入れるようにしています。例えばレストランの新メニューの開発のときなどは必
ず女性を入れるようにしています。ボリュームやバランス、それから見た目も女性の目線が加わるとすごく
良くなりますので。スイーツにしても、ケーキの見た目とかサイズカットとか、やはり女性ならではの視点
が必要です。パティシエには男性と女性がいますが、男性だけとか女性だけということではなくて、両方
の意見を合わせてより良い物ができると思います。
【高森 長野労働局長】
女性の多くは管理職になることを希望しないということをよく聞くんですが、藤屋さんの場合はいかがで
しょうか。
【藤井 代表取締役社長】
何年か経験を積んだ社員の中には、この人にこのチームをまとめてもらったら絶対お店も良くなるだろ
うというメンバーが出てくるんです。我々としては、そういう社員にステップアップするチャンスを投げかけ
るようにしているんですが、自分がリーダーになるのは無理だというような反応をする人も確かにいます。
でも、まずはやってみてダメなら考えればいいよと、サポートをするからやってみなさいという形で始める
んですが、実際やってみればできるんです。お客様にもっとこうしたいとか、もっと藤屋を広めたいとか、
そういう思いがあれば男性女性関係ありませんから。だから我々もちゃんとそれを見際める目を持たない
といけませんね。
【高森 長野労働局長】
やはりまだ一般的には固定観念があるんだと思います。営業は女性には出来ない、営業は男性の仕
事だというようなこともあるのかもしれません
【藤井 代表取締役社長】
弊社の場合は、女性が営業の管理職ですが、セールスもマネジメントも
すごく能力が高いです。営業先での細かいサービスや気づき、提案という
点で大変優れていますね。キッチンにも女性がかなりいますが、根性があ
るというか弱音を吐きません。黙々とやる人も居ますし、どんどんアイデアを
出す人も居ます。でも、弊社には人間的にも素晴らしいメンバーが多いせ
いだと思うんですが、男性社員もそういうところを受け入れて、一緒に仕事
をする環境をつくってくれていますね。
【上條 ゼネラルマネージャー】
女性社員が活躍しているので、自分もやれるんだという気持ちが他の社
員にもあるんだと思いますね。私はこういう事できますというようにアピール
する人もいますし、藤屋で働きたいという思いが強く見られるのはすごく嬉
しいことです。
上條 ゼネラルマネージャー
【加藤 副知事】
ダイバーシティ、多様性と言われますが、それを確保するだけでビジネスに広がりが出てくるんですか
ら素晴らしいですよね。サービスの質も収益も上げていくためには、藤屋さんが実践されているように、
男女それぞれの視点が大事だということがすべての企業にも波及して行くことをご期待申し上げていま
す。
株式会社 藤屋のホームページにリンク
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