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危機管理(ニュースリース)
2012 年 12 月 フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー プレスリリース 企業にとっての本当の危機とは何か~大手上場企業の事例に学ぶ、緊急事態発生に よる株価への影響と危機管理 報道関係者各位 市場に最も衝撃を与えるのは従業員の不品行や企業の不祥事だが、長期的に株価に最も大きい影響 を及ぼすのは環境災害や製品リコールである。 フレッシュフィールズの危機管理調査から、契約違反や訴訟危機の解決が最も早いこと が分かった システム障害とハッキングによる影響は少ない 危機に見舞われた企業のうち、危機以前の株価水準を取り戻せなかった企業では 15%、 取り戻した企業では 4%のエグゼクティブが 1 年以内に退社している 企業による不法行為や問題行為、または従業員の不品行を発端とする「行動に関する」危機は、投資家 に最も衝撃を与え、そのことが公になった当日に株価は 50%以上暴落する可能性がある。反対に、大規 模な製品リコールまたは環境災害など、企業の業務遂行能力を損なう「オペレーションに関する」危機は、 危機発生から最初の 48 時間はさほど大きな影響はないが、長期的に見れば株価に最も影響を及ぼす のが通常である。 財務上の契約違反または重大な訴訟など、企業としての健全性または財務の健全性に影響を及ぼす 「企業としての」危機に見舞われた株価の回復は最も早い。システム障害またはハッキングなど、往々に して企業の IT に打撃を与える「情報に関する」危機は、株価に対する影響はさほど大きくない。レピュテ ーションに対する大きな危機が様々な国の大手上場企業に影響を及ぼした事例について、国際法律事 務所フレッシュフィールズブルックハウスデリンガーが新たに調査*を行ったところ、表1のような結果が 明らかになった。(表 1 を参照) また、株価の下落に見舞われた分析対象企業の取締役 899 人を調査したところ、危機発生から 1 年以 内に上級エグゼクティブのほぼ 10%が離職していることが分かった。この割合は、6 ヶ月以内に株価を危 機以前の水準に戻すことができなかった企業のエグゼクティブの間では 15%まで上昇するが、株価を戻 すことに成功した企業のエグゼクティブの間ではわずか 4%まで低下する。これに対し、危機に見舞われ た企業と同じ取引所に上場する、危機に見舞われていない直接的な競合他社の間では、取締役離職率 の市場平均はわずか 8%だった。 主な調査結果は以下の通りである。 通常、最初の 24~48 時間は危機に対する金融市場の反応が限定的であり、その間、企 業には猶予が与えられている。レピュテーションの危機に見舞われた世界の事例 78 件 を分析したところ、1 日目に株価が下落したのは半数未満(48%)だった。2 日後、この割 合は 54%まで上昇した。1 ヶ月後、企業に対するネガティブ心理は最高潮に達し、10 社中 6 社に影響が見られた。1 年後に危機以前の株価水準を取り戻していない企業は半分 以上(53%)にのぼった。 マネー・ロンダリングまたは非競争的行為といった「行動に関する」危機は、短期的には 株価に最も大きい影響を及ぼす。しかしながらこれは、6 ヶ月後に企業が危機以前の株 価水準をほぼ取り戻すことのできる唯一の危機である(下落率わずか 2%)。 事故または資産の差し押さえなど「オペレーションに関する」危機は、株価に対する長期 的な影響が最も大きく、6 ヶ月後の株価下落率はほぼ 15%に達する。企業の 4 分の 1 は、 危機発生から 1 年後も依然として危機以前の株価水準を下回っていた。 流動性問題または重大な訴訟に直面している企業が見舞われるような、「企業としての」 危機は、1 日目に株価が下落した企業の 4 分の 1 以上を占めていた。通常、株価はすぐ に回復し、6 ヶ月後も影響を受けていたのは 7 社中 1 社にとどまった。 顧客データの紛失または商業秘密の盗難に起因するような「情報に関する」危機は、市 場にとってはさほど懸念材料とはなっていない。該当企業の 1 日目の株価下落率は 3% 以下にとどまっている。危機発生から 1 年以内に株価が 30%以上下落した企業は存在し ない。 企業の日々の活動にとってそれほど核心的でない、予測不能な危機は、発覚した当初 は最も大きな衝撃を与える。企業のオペレーションの根幹に関わる問題は、長期にわた り悪影響を及ぼす。1 年後に株価が 70%以上下落していた企業の 4 分の 3 は、事業の 根幹に関わる危機に見舞われた企業であるという傾向が見られた。 フレッシュフィールズのパートナーであるエド・コールは次のように言う。「レピュテーションの危機はどれ 一つとして同じではないが、緊急事態への対応をどのように準備し実行すべきか、また市場がどう反応 するかという傾向については共通点が存在する。 香港、上海および東京市場に上場している企業をも対象とした我々の調査によれば、通常、レピュテー ションに対する大きな危機が報道されてから 24~48 時間は金融市場の反応が比較的抑えられており、 この間、取締役には猶予が与えられている。これは多くの場合、金融関連ニュースが注目を集める前に 迅速かつ断固とした措置を取る最後のチャンスである。 企業のエグゼクティブが『世間、金融市場、世論』に対峙せざるを得なくなるまでの時間は、概ね、対処し なければならない危機の種類によって決まる。行動に関する問題に見舞われた企業のエグゼクティブは、 通常、問題が明るみに出た直後の株価への打撃に備えなければならないが、一方でオペレーションに 関する事柄に対処しなければならないエグゼクティブは、恐らく長期にわたり事態の修復に努めることに なる。 事業の根幹に打撃を与える危機は、長期にわたって株価に影響を及ぼす。市場は、オペレーションの根 幹に関わる危機を解決できない経営陣に対する信任を失う可能性が高いためだ。 危機に見舞われた企業の取締役にとっては、二重のインセンティブが存在する。6 ヶ月以内に株価が回 復した企業における取締役の離職率は、危機に見舞われなかった企業さえも下回っている。嵐に耐え、 組織を危機から抜け出させることができる取締役は、地位を確保できる可能性がはるかに高いと言え る。」 * フレッシュフィールズによる調査(2012 年 9 月終了)。信用収縮が始まった 2007 年 8 月以降、レピュテ ーションに対する大きな危機が様々な国の大手上場企業に影響を及ぼした事例 78 件の分析を元に作 成。株価データはブルームバーグから取得した。経営陣上層部の異動に関する情報は、該当企業のウ ェブサイトおよびアニュアル・レポートならびにメディアのアーカイブから取得した。 ロンドン証券取引所、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、スイス証券取引所、ドイツ証券取引所、ユー ロネクスト NV、パリ証券取引所、ミラノ証券取引所、マドリッド証券取引所、ルクセンブルク証券取引所、 香港証券取引所、上海証券取引所、ヨハネスブルク証券取引所、オーストラリア証券取引所、ボンベイ 証券取引所および東京証券取引所という 16 の株式市場に上場している企業を対象に調査を行った。 この調査は、以下 4 つのカテゴリーからほぼ均等な割合で選んだ危機の事例に基づいている。企業もし くは特定の従業員による不法行為または問題行為の申し立てを含む、「行動に関する」危機(これには 贈収賄および腐敗行為の申し立て、ならびに上層部従業員の不祥事または人権侵害が含まれる場合 がある)。大規模な製品リコールまたは環境事故など、企業の業務遂行能力を大きく損なう「オペレーシ ョンに関する」危機。流動性問題または重大な訴訟など、企業としての健全性または財務の健全性を脅 かす「企業としての」危機、およびシステム障害、ハッキングおよび顧客データの紛失など企業の IT イン フラまたは電子データ・システムに重大な影響を及ぼす「情報に関する」危機。 表 1: 以上 編集注記 フレッシュフィールズブルックハウスデリンガーは、革新的かつ事業にとって極めて重要な事案に関して、 世界各国の主要企業、多国籍企業、金融機関、政府を長年にわたりサポートしてきたグローバルな法 律事務所です。2,500 人以上の所属弁護士が、当事務所のオフィスを通じて、また現地の大手企業と協 力しながら、世界各地で案件に取り組んでいます。当事務所は熱意をもって対応し、現地企業および多 国籍企業に関する専門知識や事業に関するノウハウを有しており、世界のいつどこでリーガルアドバイ スが必要になっても、クライアントを支援することができます。 メディアの皆様は、www.freshfields.com にて、ご連絡先をご登録ください。当事務所のウェブサイトにプ レス・リリースの電子版が追加された際に、ご連絡差し上げます。 この件に関する問い合わせ先 詳細はクリスチャン・マローニまでお問い合わせください。 E: [email protected] 電話番号: +44 20 7427 3984