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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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CNRS from Japan : フランスで研究留学,就職
成田, 哲治
物性研究 (2003), 81(1): 1-6
2003-10-20
http://hdl.handle.net/2433/97620
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
物性研究
81-1(
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3-1
0)
CNRSf
r
omJapan *
- フ ラ ンス で研 究 留学 ,就 磯 -
成 田哲 治
(
20
03年 8月 6日受理)
ESPCI,パ リ
日本 の若 手研 究者 が 留 学 ,ボ ス ドク と して研 究 , あ るい は就 職 す るため に海外 で
滞 在 す る場合 ,圧倒 的 多数 はア メ リカ を選択 す る.その理 由 と して、科 学技 術 分野 に
おけ るアメ リカ の総合 的 な優 位性 が あ る こ とは疑 う余地 もない が ,他 の免 進 国 に お け
る研 究生 活 に興味 が あ って も,言常 の 問題 や情報 のグ な さか ら蒔頚 す る こ と もあ るの
000年 3月北 海道 大 学大 学院 で理 学博 士 を取 得 後 , 日本
で は ない だ ろ うか .筆者 は 2
で ボス ドク を 5ヶ月,フ ラ ンス (
ス トラスプー ル、パ リ)で 3年 1ヶ月勤 め た後 ,2
00
3
年1
0月 よ りフ ラ ンスの工 業物理化 学 高等専 門学校 (
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、パ リ) で常勤研 究 員の ポ ス トを得 た.筆者 も予備 知
哉
な しで フ
ラ ンス に渡 ったが、この 国 に は 日本 と もア メ リカ と も異 な る独 自の研 究教 育 システ ム
が あ り、研 究 と研 究以外 の生 活 を愉 しむ風土 が あ る。 本稿 で は,将 来外 国 での 留学 ・
就 職 を考 えて い る 日本 の修 士 ・博士課程 の学生 ,ボ ス ドク な どの若 手研 究者 を対 象 に,
よ り幅 広 い選択 の ための情報 と して ,フ ラ ンスの大 学 ・高等教 育研 究機 関 に就 織 す る
可能性 につ いて , 自身 の体験 を例 と して呈 示 す る.
1.フ ラ ンスの研 究 室
フ ラ ンスの大 学等 の 高等教 育研 究機 関 に おけ る研 究 室 とその活動 の概 貴 を述 べ る.
1.
1所 在
Gr
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),各種 研 究 セ ンター
フ ラ ンス の研 究 室 は大 学 , 高等専 門 学校 (
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) に所 在 す る. フ ラ ンス には国立科 学研 究 セ ンター
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e,以 下 CNRS) とい う研 究新 二属 す る研
究行政磯周 が あ る (
一 つ の研 究施設 で は ない).2
5500人 の人 員,1
300の研 究 室 を国
00
3年度 予算 は 2
5億 ユ ー ロで あ る.数 学物理 ,核 物理 ,宇宙工 学 ,化
内外 に有 し,2
学 ,生 命科 学 ,人 文社会科 学等 の幅広 い分野 にわ た る 40 のセ ク シ ョンか らなる.大
学等 に ある多 くの研 究 室 は CNRSの管轄 に おかれ て い る.
*本稿は、編集部の方から特にお願いして執筆 していただいた記事である。
ー 1-
成 田 哲治
1
.
2構 成 員
常勤 の磯 貝は大 学等 に所属 す る人 員 と CNRSに所属 す る人 員に分 け られ る.規模
は研 究 室 に よって逢 うが一般 に大 き く,50人 以上 の職 員 ・学生 か ら構 威 され る研 究 室
もあ る.常勤 職 員の割合 が 日本 よ り高 い .以 下 に代 表 的 な五 つ の役 職 を示 す .
(
-) 数 枚 (
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),助教及 (
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)
日本 と同 じ く,所属 す る大 学 に おいて講 義 を行 うと と もに研 究 を行 う.
(
ニ) cNRS研 究 員 (
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)
筆者 が得 た この ポ ス トはフ ラ ンス の研 究制 度 の特徴 とい え よ う。
4段 階 の ラ ンク
が あ る.CNRS に所 属 す るため大 学 等 で の講 義 の 義務 が な く,研 究 を中心 に行 う.
cNRSの推 奨 す る人 材流 動化 プ ログ ラム に よ り,海外 の研 究 室 へ の長期 短 期 の滞 在 、
受 け入 れ
民間産 業界 との丈流 が容 易 にで きる。 他 の研 究 室 に異動 す る権 利 さえ あ る (
研 究室 が あれ ば現 所 属研 究 室 との しが らみ な しで異動 可能).
これ らの職 で は ,博 士課程 の学生 を指 導 す るために は ,Ha
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n とい う博 士課
程 指 導資格 を取 得 す る必 貴 が あ る.博 士取 得 後 4年 以降 ,1
5線 以上 の学術論 丈 が あれ
ば申請 で きる.
(
三) エ ン ジニ ア , テ クニ シャ ン (
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n)
大学等 の研 究機 関 あ るい は CNRSに よって雇 用 され て い る研 究補 助 ス タ ッフ .実
験 装置 の管理 ・化 学 実験 の ア シス タ ン ト ・機 械 工 作 等 を行 う技 官 ,秘 書 ,コ ン ピュー
タ管理 人 な ど も含 まれ る.フ ラ ンス で は この よ うな研 究 史級 の人 員が 多 く、研 究教 育
に専 念 しや す い
(
四) 学生 (
博 士釆 程 、Do
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一
)
フ ラ ンスの教 育課程 で は 6年 目か らの学生 . 日本 よ り一 年早 い の は ,博 士課程 準
備課程 DEA (
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s, 日本 の修 士課程 に対 応 ) が通 常一 年 で
修 了す るため .大 学院入 試 に相 当す る もの は ないが ,DEA の間 の試験 の成績 と最後
の蚤表 で順 位 が付 け られ る.奨 学金 を得 てか ら進 学 す る.学位取 得 まで 3年程 度 かか
るよ うで あ る.
(
五) ボ ス ドタ
他 国 に おけ るボ ス ドク と同 じ. フ ラ ンス で は あ ま り一般 的 で は ない ポ ス トで ,財
源 も非常 に限 られ る.研 究 費か らボ ス ドクの給 料 を出す研 究 室 は多 くない .一 つ の研
究 室 に数 人程 度 で あ る.外 国人 が 多 く,フ ラ ンス人 は海外 で ボ ス ドク をす る傾 向 が あ
るよ うで あ る.
1
.
3 研 究生 活
筆者 の私 見 で は,フ ラ ンスの研 究生 活 の特徴 は以 下 の 4点 に あ る よ うに思 われ る.
ー 2-
CNRSf
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pa
n- フラ ンスで研 究留学 、就職 -
(
-) 協 調
研 究 内容 で 5人程 度 か らな るグルー プ に別 れ て研 究 テー マ を遂行 す るケー スが 多
い よ うで あ る (グルー プ内 の協 調 ).一研 究 室 内 で管理 され た裟畳 を共 同 で使 用 した
り,研 究 室 内のセ ミナー ,全 体 の奔 走合 が あ る (
研 究 室 内 の協 調 ).同一 ・関連 分野
の研 究者 の世 間 は非常 に狭.
く,特 に同 じセ ク シ ョン内 で は研 究 室 を訪 問 して のセ ミナ
ー ,研 究活動 ・学位論 文 の 審査 など を通 じて お互 いが研 究 活動 をよ く把 握 して い る (
皇
ク シ ョン内 の協 調).特 にパ リで は 多 くの大 学 ・専 門学校 が集 中 して い るため ,他 の
研 究 室 のセ ミナー を聴 祷 した り,専 門家 の意 見 を得 や す い .常勤 ス タ ッフの人 数 が 多
い ため,専 門的研 究 が しや す く,学生 や ボ ス ドク に対 す る研 究教 育 の密度 は非 常 に高
い よ うに感 じられ る.
(
ニ) 個 人 の尊 重
協 調 と同時 に個 人 の独 立性 も認 め られ てい る,一 つ の研 究 室 には一 人 の研 究 室長
が い るが ,日本 の教授 を頂 点 と して譲 座 制 と異 な り研 究 室 内 の ヒエ ラルキー は緩 く,
個 々の研 究者 の独 立性 は高 い .特 に CNRS研 究 員は 自由度 の 高 い研 究 を行 う.学生 の
教 育 につ いて も,教 官 は学生 それ ぞれ のペ ー ス を尊 重 して い る よ うに思 われ る.仕 事
で は関係者 は協 力 して働 くが ,仕 事 以外 につ い ての干 渉 は少 ない
(
三) 研 究 とは何 か
協 調 しつ つ個人 を尊 重 す る研 究 ス タ イル で は ,パ ー マ ネ ン ト職 を持 つ研 究者 の協
調 に よ り学 問的 に深 い研 究 が で きるが ,効 率 と合理 性 が観牡 に な りが らで あ る.自然
科 学研 究 とは新規 の成 果 をい か に早 く挙 げ るか とい う 「
麓 争 」 で あ る, とい う日米 の
ス タ イル と異 な り,フ ラ ンス で はい か に学 問性 の深 い成 果 を挙 げ るか とい う 「
芸術」
なの か も しれ ない, とい うの が筆者 の印 象 で あ る.研 究 室 ・セ ク シ ョン内 で も研 究者
剛 二親 争 とい う雰 囲気 は ない よ うで あ る.これ は フ ラ ンス の研 究 が官主 導 で ,パ ー マ
ネ ン ト織 の研 究者 の割合 が非常 に高 い こ とと関係 が あ るの で は ない だ ろ うか .この ス
タ イルの ネガテ ィブ面 と して ,何 年 も成果 の ない研 究者 が ど この研 究 室 に もい るよ う
で あ る.
(
四) 研 究以外 の時 間
多 くの フ ラ ンス人 同株 ,研 究者 も仕 事 以外 の時 間 ・余暇 を大切 にす るの で ,深 夜 ・
週末 ・ヴ ァカ ンス シー ズ ンに働 い て い る人 は少 ない (い る こ とはい る).有給 休 暇 は
非常 に多 く,研 究 室 で もほ とん どの人 が夏 (
7月か ら 8月).冬 (ク リスマ ス休 暇 ),
秦 (
復 活 祭) の ヴ ァカ ンス を取 る.共 同研 究者 が示 し合 わせ て ヴ ァカ ンス を同 じ週 に
取 る, とい うこ とは 当然 な く,各人 の好 きな時 に好 きなだ け休 む .業者 もヴ ァカ ンス
を取 るの で ,特 に夏の ヴ ァカ ンス時期 は仕 事 が停 滞 す る.
ー3-
成 田 哲治
(
五) その他
研 究 室 の ほ とん どの人 は英語 を藷 す の で ,外 国人 留学生 , ボ ス ドクの場 合 で も英
語 が で きれ ば仕 事 に大 きい え陣 は ない .研 究 室外 で は英語 の で きる人 は少 ないの で ,
生 活 の立 ち上 げには沸 か の助 けが必 貴 で あろ う.受 け入 れ研 究者 ,秘 書 ,学生 な どが
協 力 して くれ る ことが 多 い よ うで あ る.
2
.ボス ドク と しての滞 在
日本人 が フ ラ ンスの研 究 室 に滞 在 ・就 職 す るに は どの よ うな可能性 が あ るだ ろ う
か ,上記 の種 々の定織 につ い て可能 性 が あ るが ,外 国 にい て い きな り定職 を得 るの は
ほぼ不可能 なの で,まず 学生 かボ ス ドク と して滞 在 す る こ とに なる.筆者 はボ ス ドク
か らの滞在 を勧 め る.学生 は学位論 文 を抜 出 して学位 を取 得 す る必貴 が あ るの で ,節
究 あ るい は生 活 で環 境 が合 わ ㌢か っ た場 合 ,本人 ・受 け入 れ側 丙 か ことって リス クが
大 きいか らで あ る.また, 日本 に博 士論 文 の指 導教 官 が い ない と,日本 に後 帰 して ア
カ デ ミックポ ス トへ就 職 す る こ とは難 しい で あろ う.日本 で取 得 した学位 は ,十 分 な
成 果 が あれ ば , フ ラ ンスの もの と同等 と扱 われ る よ うで あ る.
2.
1 ボス ドクの受 け入 れ研 究 室 と財 源
受 け入 れ研 究 室 につ い て は,他 国 の場合 と同 じ く, 日本 で の指 導教 官等 の知 り合
い に受 け入 れ て もら うか ,希 望 の研 究者 の連絡 先 を調 べ て コ ンタク トを取 る,とい う
の が一般 的 で あろ う.研 究 室 の イ ンター ネ ッ トサ イ トに学生 ・ボ ス ドクの泉集 が掲 載
され てい る こ と もあ る.ボ ス ドクの財 源 は, 日本 の学術振 興 会 等 の奨 学金 ,フ ラ ンス
政 府 国費 留学生 ,CNRSの外 国人 ボ ス ドク受 け入 れ プ ログ ラム ,企 業 の奨 学金 な どが
考 え られ るが ,数 は 多 くは ない
2
.
2 ヴ ィザ につ いて
フ ラ ンス で ボス ドク をす る場 合 ,研 究者 ヴ ィザ を 日本 の フ ラ ンス大使 館 で取 得 す
る.研 究者 ヴ ィザ の 申請 に は受 け入 れ免 の大 学 ・研 究所 の各 行 す る受 け入 れ証 明書
(
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)が必 鼻 なの で留学 が決 定 し次 第郵 送 して もら う.ヴ ィザ は通 常
申請 か ら一 週 間程 度 で各行 され ,有効期 限 は 3カ月 .入 国後 ,住 所 を定 め,ヴ ィザ の
期 限 の切 れ る前 に滞在許 可証 を県庁 か警察 署 で申請 す る.研 究者 用滞 在許 可証 の申請
に必 婁 な書類 は多 くな く手続 きも比較 的 スムー ズで あ るが ,状 況 は地 区 ・政 治情勢 に
よって変 わ り うるの で確認 され たい
3.CNRS研 究 員 と して就 職
CNRS研 究 員には 4段 階 の レベ ル が あ るが , こ こで は その うち最 下層 の CR2の新
-4-
CNRSf
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n- フラ ンスで研 究留学 、就職 規採 用 につ いて説 明 す る.CR2で は全 国規模 でセ ク シ ョンご とに毎年 6
9人程 度 の新
規 採 用 を行 う.セ ク シ ョンご とに研 究 室 の代 表 か らなる審査委 員会 を設 け,書類 選 考
と面接 を行 う.国籍 に よ る制 限 は ないが年 齢制 限 は あ る.学位取 得 直後 での採 用 もあ
り得 るが ,通 常 ボ ス ドク等 を 2年程 度 した後 に採 用 され る こ とが 多い よ うで あ る.な
お,CR2の研 究 員の 月 当た りの給 料 は 1
9
6
7ユ ー ロか ら.
3.
1採 用 まで の流 れ
その年 度 の採 用試験 が 5月に終 了す る と,来年 度 に向 けて 出願 希 望者 お よび各研
究 室 が動 きだす .採 用 に至 る まで 1年 近 い準備期 間 が必蚤 で あ る.
(
-) 出願 す る研 究 室 の決 定 (
6-l
ュ月)
出願 には配属 希 望研 究 室 を選択 す る必 貴 が あ り, その研 究 室長 の推 薦 が必 貴 で あ
る.複数 の希 望者 が い る場合 は研 究 室長 は順位 をつ け る.研 究 室長 に コ ンタク トを取
って推 薦 を取 りつ け る.
(
ニ) 研 究課 題 の決 定
研 究 室 が決 れ ば, 出願 書類 と と もに提 出す る採 用 後 の研 究課 題 を配属 希 望先 の研
1
0枚程 度 の プ ロ ジ ェク トと して ま とめ る.
究者 と相汲 して決 め る.A4用 紙 で 5
(
三) 願 書扱 出 (
-1月中句)
願 書 は ,履 歴 書 ,論 え リス ト,学位論 文 ,採 用 後 の研 究課凝 ,課 題 に対 す る専 門
家 の コメ ン ト (
課 題 の価 値 を判 断 で きるその分野 の専 門家 に依 頼 す る) か らなる.
(
四) 南濃 (
∼5月)
出願 が受理 され た後 に面接 が あ る.審査 員 6名 ほ どの前 で ,過去 の研 究 ,採 用後
の課題 につ いて 口頭 斧表 ・質疑 応 答 す る.英語 での奔走 も認 め られ て い るが フ ラ ンス
語 が望 ま しい
∼1
0月)
(
五) 結 果奔表 、挽 用 (
数 日間 にわ た る仝 出願 者 の面接 が終 了 した後 ,審査各 員合 が採 用候 補 者 を決定 し,
7月に CNRS所 長 が正式 に内定 を奔走 す る .
1
0月か ら公務 員 と して公務 に就 くこ とに
なる.
3
.
2実 際
選 考 は非 常 に政 治 的 で あ る.研 究 室 間 の過去 の採 用人 数 ,課 題 の分野 につ いてセ
ク シ ョン内 でのバ ラ ンスが と られ る.その ため採 用 され るには ,出願 者 の能 力 ・業績
以外 に も配属 希 望 の研 究 室 の選択 ,課 題 に も注 意 が い る.通 常研 究 室 内 の推 薦順位 が
一位 で ない と通 常採 用 され ない .また同一研 究 室 の二年連 続 の採 用 は難 しい .よって
申請者数 に よ る倍 率 は 1
0倍程 度 だが実 際 は もっ と低 い。
こ うい った条件 下 で採 用 に必 貴 なの は、研 究者 の ソサ イエ テ ィでの知 名 度 で あ る。
- 5-
成 田 哲治
研 究者 間 で有 力 な人 ・有 能 と認 め られ て い る研 究者 に知 られ て い る必 貴 が あ る (コネ
とい うと聞 こ えは悪 いが).他 の研 究 室 を訪 問 して非公 式 で もセ ミナー を させ て も ら
った り,研 究 室 を訪 れ た有 力者 に 自分 の仕 事 を説 明 した り して ア ピー ル す る必 貴 が あ
る.そ うす る こ とで候 補 者 を探 して い る研 究 室 を紹 介 して もらえた りす る .現 実 的 に
は ボ ス ドク を最低 一 年 は して成 果 を挙 げ人脈 を広 げ ,自分 を推 薦 して くれ る研 究 室 を
探 して い くこ とに な る.
本稿 で は、 フ ラ ンス の研 究 室 に お け るボ ス ドク 留 学 な らび に CNRS研 究 員 と して
の就 職 につ い て ,概 貴 を説 明 した .フ ラ ンス は ア メ リカ と比較 す る と閉鎖 的 で あ る こ
とは否 め無 い が ,こ ち らか ら働 きか けて い くこ とで ,受 け入 れ て くれ る と筆者 は感 じ
る.能 力 と努 力 と運次 第 で可能性 を開 くこ とが で きる.筆者 は 日仏 で そ う多 くの研 究
室 の実情 を知 って い る訳 で は ないの で ,情報 に偏 り ・誤 りが あ るか も しれ ない が ,本
稿 が 日本 のや る気 の あ る若 手研 究者 の読 者 の方 々 に ,よ り幅 広 い選択 をす る ための一
助 と なれ ば辛 い で あ る.
-6-
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