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XVL を活用した組立工程設計プロセスの改善

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XVL を活用した組立工程設計プロセスの改善
XVL 3次元ものづくり支援セミナー2009
XVL を活用した組立工程設計プロセスの改善
三菱農機株式会社
開発生産本部 業務部開発グループ
河本 雅史 様
会社概要
三菱農機は島根県に本社を置き、農機具、農業施設、農機レンタル等の事業で、トラクタやコンバイン、田植え機、耕うん機など農機具の開発・生産・販売を行っ
ている。1914年サトー式稲扱機で創業し、その後、佐藤造機に社名を変更。佐藤ブランドとして展開していたが、1980年に三菱機器販売と合併し、三菱農機に
社名を変更した。
三菱農機での3D 活用状況
3次元の導入は1999年から始まり、最初はコンバイン装置の部分的な適用で進み、2003年以降、コンバインから1製品全体に対して3次元を適用し始めた。
3D CADはPro/Eを使用している。ViewerとしてはXVL とProductView を併用しているが、今後 XVL の活用を拡大していく予定である。
2008年の段階で、3Dモデルが存在する出図は約6割になってきた。現在生産可能な部品に関しては、半分近くの図面に関して3Dモデルが存在している状況で
ある。
XVL活用事例(取組みの背景)
従来の組立工程設計プロセスでは、ほとんどが紙情報で流れていたため、3D設計をしても、その3Dデータが後工程で十分に活用しきれていなかった。
設計部門では、組図を出図しないと検討してもらえず、生産準備部門では組立工法管理表(帳票)を作成しないと製造に指示できない、製造部門では組立工法
管理表(帳票)をもらわないと生産に入れない、というように、3次元が導入されたにも関わらず、各部門間のやりとりは、従来の仕事のやり方が染み付いていた。
また、従来の見込み生産では、ロット単位で納入・管理をしていたが、今春から社の方針が変わり、お客様
への納品が早く、在庫を出来る限り持たないことを目的とした混流生産ラインへの変更があった。この生産
方式では、部品単位で所在の把握や納入先の把握などの管理をしていくため、組立BOMのシステム管理
が非常に重要になってきた。
Pro/Eで設計した構成ツリーが設計BOMの元データとなり、今回の内容であるXVLの工程ツリーが組立
BOMの元データとなる。こうして作成した組立BOMの情報が最終的にMIPS(Mam Mix Production
System:三菱農機混流生産管理システム)へと流れ手配発注が管理されるようになってきている。
組立工程設計業務の問題点として、①設計との連携不足、②組立工程設計業務のプロセスにおいては装
置全体を確認できないことや検討過程が見えないこと、③組立工法帳票作成方法に関しては、作業指示の
イラスト作成に時間がかかる上、データ連携がなく変更対応が間に合わないといった問題点が挙げられた。
組立工程設計にXVLを活用する狙いは、組立ツリー構成検討による工程設計の前倒しと、帳票作成の半自
動化による工数削減である。XVLを選定した理由としては、他社製品とベンチマークを行った結果、XVLの
パフォーマンスの高さや工程部分に力を入れているという印象を持ったこと、そして組立だけではなく、開発
∼販売までの広い範囲で3D 活用のツールになりえることが決め手となった。
図は業務改善のイメージを表す。
従来は設計後に組立図を作成し、それが出図された後、組立工程の検討に入っていた。XVLを利用するこ
とで、組立図の出図を持たず、組立検討作業を前倒しすることができる。また、従来は手入力していた作業
区などの生産情報をXVLの情報として追加し、作業指示書の作成の効率化を計った。
XVLによる具体的な作業としては、組立工程検討と作業指示の作成に分かれる。
組立工程検討については、①組立ツリー構成の構築、②作業工程の設定、③作業区の割り当て、④組立
工程ツリーの出力の4つで構成される。
①では基本工程設計を行った。基本工程内にサブアセンブリにする部品をグループ化し、次に詳細工程設計で組立順序に入れ替え、さらに部品の追加や別アセ
ンブリに移動するなどの作業をXVL Studioで行った。
その中で、一人で全体のアセンブリを行うことは難しいため、分業が必要になる。サブアセンブリの担当を何人かに分け、XVL Studioで個別に定義された工程ツ
リーのCSVをマージすると全体の工程ツリーができる、Ver8.0から作業が容易になった。
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XVL 3次元ものづくり支援セミナー2009
XVL を活用した組立工程設計プロセスの改善
②の作業工程の設定では、工数や組立管理点を追加するなど、今までExcelに入れていた情報を、XVLの属性に持たせた。
③の作業区の割り当てでは、各工程の作業をどこがするのかを割り当てる。ライン配分や作業区の割り当てをグループ化することも可能になった。
④の組立工程ツリー出力はカスタマイズで対応したが、組立アセンブリ構成や部品属性が、把握しやすく、工数の集計でライン負荷の検討が可能になってきた。
二つ目の作業指示の作成については、⑤略図作成と管理点編集の作業と⑥組立工法管理表への出力に分けられる。帳票作成する際、工程アニメーション内のス
ナップショットを利用して保存し、略図作成を行った。略図に表示する注記や編集も可能だ。工程パートの名前ですぐに略図が出るように作成した。⑤のスナップ
ショットとアセンブリ構成や部品属性を帳票に出力する⑥の部分もカスタマイズで対応した。
効果と課題
XVLでの業務改善を進める中で、検討や工程ツリーの作成は、従来とのやり方が大きく代わり、効果があった。しかしながら、帳票作成はまだ見直しが必要だ。特
に静止画を貼り付けることを目的としてスナップショットを作成する際、見栄え修正に工数がかかり、帳票の半自動作成に関しては、満足のいく効果が出なかった
のが正直なところである。
実際の組立工程設計の担当者からは、3Dで全体を把握しながら組立工程設計を進められ、検討工程も分かりやすいという前向きな評価を得ている。従来設計の
構成でしか見られなかった3Dデータが、組立の構成や順序、方法が表現できることで、現場の意識も変わってきた。従来の帳票に捉われず、変えていこうという
思いも出てきたと思う。
今後の取組み
図はXVLを活用した組立工程設計プロセス改善のイメージだ。設計との情報伝達方法の改善とデータ連携
を強化し、組立図の必要性を含め、見直しを視野に入れている。CADで入力された生産技術側が必要とす
る組立管理点が、3D上のアノテーションとしてXVLに引き渡されること、これが生産技術での業務効率に
繋がると予想される。今後は3D 単独図の検証も進めて行きたいと考えている。
もう一つは、工程設計の結果をデジタル配信することである。現状の帳票の半自動作成は、過渡期の対応で
あった。既存の手法に合わせようとして実現したが、想定したような効果は得られなかった。まず、必要なの
は、現場への3Dの有効性(=ペーパーレス)の啓蒙活動である。工程情報をリアルタイムにLattice3D
ReporterやXVL Web Masterを活用するなど、紙ではない、必要な情報を伝達できる手段が有効であると
いう認識が現場担当者にも芽生えつつある。
XVLの導入により、組立工程設計では一歩一歩確実な成果をあげ始めている。XVLを活用して更なる改善
を図るために、ラティス・テクノロジー様やパートナー企業の皆様には、引き続き機能拡張等のご協力をお願
いしたい。
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