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Terminal ルアーブル港

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Terminal ルアーブル港
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2週
割 45
増便
強
リポート
フランスを代表する港、ルアーブルはロッテルダム(ベルギー)やハンブ
ルク
(ドイツ)など世界有数のコンテナ港がひしめく北欧州地域において、
着実に成長を続けている。アジアから欧州向けの海上コンテナ貨物は右肩
上がりの成長が続く一方、環境問題では世界的にも厳しい規制を課してい
る欧州で、大規模なターミナルの拡張工事の実現は極めて困難な状況にあ
る。欧州主要各港がキャパシティの拡大に苦慮する中、ルアーブル港では
国家規模のインフラ整備計画「ポート2000」が進行中で、昨年、新ターミナ
ルが稼働を開始した効果は早速、コンテナ取扱量が2割強も増加する、とい
う形で現れている。ルアーブルの優位性は、ターミナルの拡張性は言うま
でもないが、水上バージ、鉄道など内陸輸送サービスとの接続の良さも挙
げられるだろう。鉄道は毎週45便以上運行しており、フランス国内だけで
なくドイツ、イタリアなど近隣諸国とのアクセスも良好だ。
ロジェクトで、ターミナル運営各社の投資
額を合わせると総額10億ユーロを超える
事業となっている。整備計画は6バースず
つ、2つのフェーズに分かれており、すべ
ての工事が完了すると、ルアーブル港のタ
ーミナルキャパシティは現在の200万TEU
強から600万TEUに拡大する見通し。
フェーズ1で整備した6バースのうち2
バースを、世界第3位の運航規模を誇る
フランスのCMA−CGMとパートナー荷役
業者GMPが借り受け、06年3月から運営
を開始したのが「フランス・ターミナル」。
「ポート2000」の中では一番最初にオープ
ンしたCTだ。同港には、
「ヨーロッパ」
「ヨ
昨年の取扱量22.1%増
ーロッパ/アトランティック」
「アトランティ
フランス最大の貿易港、ルアーブル港の
ック」
「オーシャン」
「ノルマンディ」の5ター
07年コンテナ取扱量は、06年比22.1%増
ミナルがあり、
「フランス」は、同港にとっ
の260万TEUと大幅に増加した。港全体
て6番目のコンテナターミナルとなった。
の取扱量も、トン数ベースで6.6%増の
オープニング当日には、CMA−CGMの
7940万㌧と堅調に推移。コンテナ貨物が
8500TEU型船“CMA-CGM Tosca”が
25.3%増の2640万㌧とトン数でも順調に伸
ルアーブル港
びたほか、ドライバルク貨物が31%増の
480万㌧と好調だった。一方、リキッドバ
は計り知れない。
新CTに初寄港した“CMA-CGM Tosca”
入のコンテナ300TEUを揚げ積みした。
ルマンディとの合弁会社TNMSCを通じ、
初寄港した。同CTの概要は面積52ha、
「ポルト・オセアン・ターミナル」のオープン
オセアン・ターミナルのブーガンビル埠頭
岸壁延長700mで2バース。荷役設備は
により、昨年3月に稼働したCMA-CGM
に寄港しているが、新ターミナル稼働後は
オーバーパナマックス型ガントリークレー
専用ターミナルと合わせて、
「ポート2000」
移転する方針だ。同社の取扱量は2000年
では現在計4バースが稼働している。
時点で10万TEUだったが、最近では年
ルク貨物は3.1%減の4600万㌧と微減。ノ
世界各国・地域と結ぶ定期コンテナサ
ン6基、ストラドルキャリア28基など。水深
ルマンディー製油所の2カ月間の調整期間
ービスは69ループ。グランドアライアンス
は干潮時で14.5m、満潮時で22.5mに達
「ポルト・オセアン」は岸壁延長700mの
間80万TEUを取り扱うまでに成長。フェ
が響き、原油が3.7%減の3300万㌧となっ
(GA=ハパックロイド、MI
SC、日本郵船、
する。バックヤードの蔵置能力は5400T
2バースで、マースクは36年間のターミナ
ーズ2では、将来的に4バースを借り受け
た。また、一般在来貨物も0.7%減の160
OOCL、ピーアンドオーネドロイド)、ザニ
EU、リーファープラグは332ユニット。
ル運営権を取得している。ZPMC製の超
ることも視野に入れているようだ。
万㌧と微減だった。
(TNWA=AP
ューワールドアライアンス
同CTでは、最初の1年間(06年4月∼
大型ガントリークレーン4基を設置。また、
コンテナ取扱量は、欧州トレードの好調
、CKYHグルー
L、現代商船、商船三井)
07年3月)で取扱量が50万TEUに達した。
(Optical Chara輸出コンテナ用のOCR
に加え、ロッテルダムをはじめとする欧州
プ(コスココンテナラインズ、川崎汽船、ヤ
荷動き拡大を受け、両社は昨年9月末、
cter Recognition)機器が導入された。
主要港のキャパシティ不足を背景とした貨
ンミン、韓進海運)の3大アライアンスのほ
ルアーブル港公団との間で追加2バース
このほか、リーファーコンテナ用のプラグ
内陸部とのアクセス強化である。新CT
物の一部流入があり、年初から好調に推
か、MSC、CMA-CGM、中国海運、CSA
の利用で合意している。
468ユニットを設置し、冷凍・冷蔵貨物の
「ポート2000」は完成と同時に、内陸部と
移した。今年2月に月間取扱量が20万T
Vグループのノーラシアがサービスを運航
EUを突破して以来増勢を保ち、10月に
している。日本とルアーブルをダイレクトで
は過去最高となる25万TEUを記録した。
結ぶサービスは週3便となっている。
このコンテナ取扱量の急成長は、ユーロ
高を背景に、アジアから欧州向けのコン
テナ貨物が急拡大したことが最大の要因
コンテナ処理能力、600万TEUへ
同港の大規模なCT整備「ポート2000」
マースク、MSCも利用
取扱能力を高めているのが特徴だ。
内陸部とのアクセス強化
ここ数年、同港が力を入れてきたのが
結ぶ高規格道路の整備が完了。さらに同
さらに、フェーズ2で整備する6バース
港では、フランス国内または隣国とを結ぶ
のうち3バース
(8∼10番)について、ルア
鉄道サービスの拡充も進む。現在、同港
世界最大の定航船社、マースクラインを兄
ーブル港公団は昨秋、世界第2位のメガ
を基点に週45便以上のコンテナ鉄道輸送
弟会社に持つAPMターミナルズ。同社が
キャリア、MSCが利用することで合意した
サービスが実施されている。向け地はボ
開発運営した「ポルト・オセアン・ターミナ
と発表済み。MSCのターミナル運営会社
ルドー、リヨン、マルセイユ-フォスなどフラ
フェーズ1の残り2バースの借受者は、
であることは言うまでもない。が、欧州主
はコンテナ船の大型化と年間取扱量の増
ル」には昨年11月29日、マースクが運航
TNMSCとルアーブル港公団がターミナル
ンス国内だけでなく、イタリアのノヴァラや
要港が軒並みキャパシティ不足に直面す
加に対応するため、2000年に開始された
する“Taasinge Maersk”が第1船として
運営協定に署名し、11年の稼働を目指す
トリノ、ドイツのマンハイムなど広範にカバ
る中、この時期に大規模な新コンテナタ
プロジェクト。政府をはじめとする公共機
入港した。同船は西アフリカ/北欧州サ
方針を明らかにしている。MSCは現在、
ーする。オペレーターはナビランド・カー
ーミナル(CT)の開設が実現したメリット
関が6億4000万ユーロを投入する国家プ
ービス“WAF6”の投入船で、当日は輸出
ルアーブル港の荷役会社テルミノー・ド・ノ
ゴ、レイル・リンク・ヨーロッパ、ノバトランス
ルアーブル港公団
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CARGO JUNE 2008
CARGO JUNE 2008
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リポート
など。これらオペレーターは、荷動き増に
一方で、新CT「フランスターミナル」での
対応し、今年中に新サービスを開設する
取扱量拡大をはじめ、コンテナ港として高
利用した河川港が活発に利用されており、
プロジェクトを検討中だ。
いポテンシャルを持つ同港の潜在成長力
今後も、こうした環境に優しいサービスの
実際、鉄道輸送される海上コンテナの
が、鉄道事業の発展をサポートしている。
利用は拡大傾向が続くとみられる。
本数は着実に増えている。06年の年間取
このような状況の中、ルアーブル港公団
なお、欧州内陸港のデュイスポートとフ
扱量は7万TEUであったのに対し、昨年
はターミナル整備計画「ポート2000」の中
ランス・ルアーブル港はこのほど、港湾運
は9月までの累計でそれを突破。07年10
で、コンテナターミナル内における鉄道網
営のノウハウやトレード状況に関する情報
月末時点では8万4500TEUに達し、前年
の大幅拡張を決定。また、来年までに「ポ
交換、両港共同の貨物誘致などで提携す
同期比で46%の増と大幅に伸びた。
ート2000」への連絡路線を2倍にする予
ると発表した。鉄道とトラック輸送を組み
定だ。
合わせ、ルアーブルからデュイスポート経
同港湾局によると、鉄道輸送量の増加
にはいくつかの要因が考えられる。
まず、最初の要因は鉄道貨物の自由化
河川輸送サービスが充実
て環境負荷が低いバージなど内陸水運を
由で欧州各地に輸送する体制の構築を
目指す。現在、フランス/ドイツ間の貨物
内陸輸送サービスとして、もう1つ注目
輸送はトラックが主体だが、デュイスポー
新規事業者の鉄道牽引事業への参加が
されているのがバージを用いた河川輸
トの充実した鉄道サービスを活用し、鉄
許可された。その結果、既存のSNCF
(フ
送。オペレーター6社がルーエンやパリ近
道利用の拡大を図る狙いがある。海陸結
ランス国鉄)に加え、ベオリアカーゴやユ
郊のボヌイユ・シュール・マルスなど8カ所
節点として重要性を増すルアーブル港の
ーロカーゴレールがルアーブル港での鉄
をカバーするサービスを展開中だ。環境
動向は今後も注視が必要だ。
道事業に参入した。
意識の高い欧州では、
トラック輸送に比べ
だ。フランス国内では06年3月28日から、
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(西 拓也)
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