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血液透析を受けられている方へ ~伝えたい口腔管理のこと
血液透析を受けられている方へ ~伝えたい口腔管理のこと~ ご存知ですか? □透析を受けている方は腎不全が進んでいて免疫能が低下しており、 歯周病を持つ人の割合が高い。 □重症の虫歯や歯周病は病原菌の巣となり全身に悪影響を及ぼす。 □血液透析を受けていると、抜歯などの外科的歯科治療には特別の 配慮が必要である。 □透析中に歯が痛んで困らないよう、普段から口腔管理をしておくことが 大事である。 □歯科治療が終わった後の定期的な歯科検診で行うことは歯茎の検査 やクリーニングが中心の予防管理であり、ほとんどの場合は痛みもなく 快適なものである。 □将来的に腎移植を考えているならば、虫歯や歯周病は治療しておく ことが前提条件である。 血液透析を受けられている方へ~伝えたい口腔管理のこと~ 2015.10.1.初版 ●監修:社会医療法人川島会川島病院 泌尿器科医長:横田成司 歯科部長:板東高志 ●執筆:徳島大学大学院医歯薬学研究部 吉岡昌美 柳沢志津子 日野出大輔 井本逸勢 白山靖彦 ※このリーフレットは、日本学術振興会科学研究助成事業(基盤研究C 課題番号 25463246)の助成により作成されています。 □透析を受けている方への歯科インプラント治療は、骨代謝異常や感染 のリスクが高いため、推奨されない。すでにインプラントが入っている 人は定期管理を受けることがより大事である。 □自分のことをよくわかってくれている歯科医院に定期受診しておくと、 何かあった時に慌てず安心である。 ☆安心・安全のために、歯科受診時には透析していることを申し出る ようにしましょう。初回は透析医からの紹介状を持参するよう にお願いします。 (歯科治療には医師と歯科医師の連携が必要です!) ①透析を受けている方は虫歯や歯周病になりやすい?! ○透析を受けられている方には、唾液が少ない、水分制限がある、 お薬の副作用などの影響により、お口が乾燥しているケースが多く みられます。 ○唾液にはお口を洗浄する作用(自浄作用)がありますが、お口が渇く と自浄作用が低下してお口の中が不潔になり虫歯菌や歯周病菌が 増えやすくなってしまいます。 ○これまでの研究で、透析を受けている方は歯垢や歯石が多く、歯周 病が重症になりやすいことが分かっています。 ○虫歯については諸説ありますが、透析を受けられている方には歯の ない方が多く、未処置の虫歯が多いことが報告されています。 ②重症の虫歯や歯周病は病原菌の巣となり、全身に悪影響を 及ぼす。 ○重症の虫歯や歯周病を放置していると、そこに病原菌が巣を作り、 そこから炎症物質や病原菌の成分が身体を巡り、身体のあちこちで 悪影響を及ぼします。 ○歯周病は、動脈硬化や糖尿病、 心臓血管疾患などに影響すると されています。 最近では、慢性 腎不全にも影響している可能性 が報告されています。 歯周病 動脈硬化 菌血症 血管内壁 プラーク形成 バイオフィルム ③血液透析を受けていると、抜歯などの外科処置には特別の 配慮が必要である。 ○血液透析の際には血が固まりにくくなる薬を使います。抜歯などの 外科処置を行う際にはそのことを踏まえた上で、歯科医師と透析医 が十分な連携を取っておく必要があります。 ○透析を受けられている方は高血圧や糖尿病、骨粗鬆症のある方が 多くみられます。これらの病気やお薬の情報は歯科治療を行う上で 必要ですので、歯科受診される際には、透析医からの紹介状を持参 するようにしてください。 ④血液透析を受けている方へ定期的歯科受診を勧める理由 ○透析中に歯が痛み困ることのないよう、普段からお口のトラブルは 解消しておきたいものです。 ○定期的歯科受診では、“予防”が中心です。お口のチェックや歯磨き 指導、クリーニングなどは痛みもなく快適なものです。 ○腎移植を受けるためには虫歯や歯周病を治療しておくことが前提と なります。 ○透析を受けられている方は骨代謝異常や感染のリスクが高いため、 新たな歯科インプラント治療はお勧めしません。すでに、インプラント 治療を受けられている方は定期受診で管理を受けてください。