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いんげん(PDF文書)
●インゲン 親孝行豆 (うずら豆) 親孝行豆の若莢 主な産地 ●大久町大久地区 ●田人町荷路夫地区 生産の歴史的由来・特徴 親孝行豆は、インゲンマメ属の一種のうずら豆に形相がよ く似ており、同一種ではないかと思われます。インゲンの原 産地は、メキシコから中南米にかけての地域と推定され、紀 元前五千年には栽培されており、日本には江戸時代に伝来し 親孝行豆の種子 たといわれています。 インゲンの品種は世界中に伝播するうちに、種形、種皮の 親孝行豆は淡いピンク 色模様が異なった様々な種類が生まれ、うずら豆は、円筒形 豆 類 色の花を付ける の茶色がかった白色の地に、濃い茶褐色や赤紫色の斑紋が入り、 その紋様がうずらの卵に似ていることに由来します。 現在栽培が確認された大久地区では、うずら豆を「この豆 は若い莢でも、成熟した種子でも食することができる親孝行 な豆である」として「親孝行豆」と称し、代々自家採種をし て栽培してきましたが、現在では、栽培者はごくわずかとなっ ています。いわき市付近の阿武隈地区でも、同じ名で何十年 と栽培しているところもあるようです。 親孝行豆は、円筒形の豆で、大きさは1. 5cm ほど。種皮 はうずら豆特有の茶色がかった白色に赤紫色の斑紋模様があり、 この模様は茹でると薄くなります。 一般に見るインゲンの花は白色ですが、親孝行豆は6月下 旬に淡いピンク色の花を付けます。その後の9月中旬に、まだ 若い莢の頃に一度収穫し、茹でてよごし和えや天麩羅として 食し、11月下旬に収穫した豆は、煮豆や甘納豆の原料とし て使用しています。 若莢の収穫期を過ぎると、莢にも種子のような茶 褐色や赤紫色の斑紋が入る 58 ●インゲン 白いんげん 主な産地 ●大久町大久地区 白いんげんの種子 生産の歴史的由来・特徴 白いんげんは、円筒形で大きさは1. 3cm ほど、種皮は白色です。 つる性で、6月下旬から白い花を付け、7月中旬には、若莢が 大きいもので長さ20cm、幅2cm まで成長します。 収穫した豆は、主に煮豆や餡、羊羹などとして食されてきま した。餡や羊羹では、小豆で仕上げた餡とはまた違った軟らか い甘さと喉ごしが味わえます。 大久地区での栽培は昭和時代初期からとみられ、代々受け継 いできた栽培者は、豆を料理するたびに祖母の姿を思い出し、 「種 だけでも残したい」という一心で種子を守り続けているといい ます。 白いんげんの若莢の頃。中の種子はまだ淡い緑色で、 次第に膨らみながら白色へと変わる 代表的な栽培方法 親孝行豆も白いんげんも、一般に見られるインゲンの栽培と 大きな変わりはなく、畑の準備は、春先に土壌改良剤を全面に 散布し、苦土石灰(粒) 、野菜配合肥料を混入するように耕起し ます。5月20日〜旧暦の5月5日の間に種蒔きし、2mの支 柱を1株当たり1本ずつ立てます。追肥は、1回目は芽が出た 頃に化成肥料を株元に置き、2回目は蔓が出た頃に畦の片面か ら通路に散布し、土寄せをします。 親孝行豆の若莢の収穫時期は9月中旬で、莢が12cm ほどに 育ったものから採取します。若い莢を収穫せずにおくと、次第 に葉のほとんどが黄化・落果し、莢の70〜80%が熟した頃 に莢に赤紫の縞模様が現れます。 親孝行豆も白いんげんも、種子の収穫時期は11月下旬です。 茶色に枯れた莢を摘み取り、ザルやゴザ等に広げて十分に乾燥 させた後、莢より豆を取り出し収穫します。収穫した豆は、ガ ラス瓶に入れ冷暗所で保存します。種子用は、できるだけ新し い豆を使用し、食用として10数年ほどは保存可能です。 苗は3m 以上も成長し、生い茂るように葉が付き、莢は中 下部当たりから付き始める 59 親孝行豆の 天麩羅 天麩羅 在来作物と伝統・食・文化 材 料 ●親孝行豆(若莢) ●小麦粉 ●水 ●塩 ●サラダ油 作り方 ① 小麦粉を水で溶く ② 親孝行豆の両端部のヘタを斜めに切 り落とす ③ ①に②の莢をからめてサラダ油で揚 げて器に盛る ④ お好みで、塩や天つゆを添える 煮物 材 料 ●親孝行豆(若莢) ●季節の野菜(里芋、人参、ゴボウ、レンコン、 ●ダシ汁 ●しょう油 ●砂糖 ●みりん ●酒 作り方 ① 干し椎茸をぬるま湯に浸してもどし、 軸をとって半分にそぎ 切りにする ② 親孝行豆はヘタを取り半分に切りそろえる ③ 他に使用する野菜を一口大のサイズに切り、ゴボウは熱湯で 2〜3分湯がく ④ 大鍋にダシ汁で①③を強火で汁気がなくなるまで煮る ⑤ ②の親孝行豆を④に加え、しょう油、みりん、砂糖、酒で味を整 え、さらに1分ほど煮て盛り付ける 60 煮 物 大根、こんにゃく、干し椎茸、結び昆布、厚揚げ等) 羊 羹 白いんげんの 羊羹 材 料 ●白いんげんの煮豆200g(※下記参照) ●棒寒天1本 ●ぬるま湯100cc ●砂糖100g 作り方 ① 煮豆を作る(※煮豆レシピは下記参照) ② ①の煮豆から、最後に盛り付ける飾り 分を除き、残った煮豆を潰す ③ 棒寒天をぬるま湯に浸して柔らかく してから火にかけ溶かし、裏ごしする ④ ①と②を合わせて混ぜ、裏ごしする ⑤ ③に砂糖を加える ⑥ タッパーなどの容器に、②で取り分け ておいた飾り分の煮豆を敷き詰めて、 ④を流し入れる ⑦ ある程度冷めたら冷蔵庫で冷やす ⑧ 冷え固まったら、タッパーを逆さまに して取り出し、好みの大きさに切りそ ろえ、器に丁寧に盛り付ける 煮 豆 白いんげんの煮豆 材 料 ●白いんげん200g ●砂糖180g ●塩少々 ●水600cc 作り方 ① 白いんげんを洗い、一晩水に浸す ② ①を水ごと鍋に入れて沸騰させる ③ 沸騰したら弱火で豆が柔らかくなるまで煮る ④ ③に砂糖と塩を入れて煮れば完成 61