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附属特別支援学校の役割(現状と課題) - 横浜国立大学教育人間科学部

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附属特別支援学校の役割(現状と課題) - 横浜国立大学教育人間科学部
実践的研究
附属特別支援学校の役割(現状と課題)
-教員養成機能にかかわる大学との「連携・協力」から「協働」へ-
横浜国立大学教育人間科学部附属特別支援学校
鈴 木 正 一
1 はじめに(本校の教育)
横浜国立大学教育人間科学部には、横浜小学校・中
学校、鎌倉小学校・中学校、そして本校という5つの附
属学校がある。いずれも教育人間科学部の附属学校と
して、大学のもつ教員養成機能の一端を担っている。
特に本校は唯一の特別支援学校として、特別支援学
校教諭免許状を取得する学生の教育実習をはじめとし
た教員養成の実践の場として、主として教育人間科学部
特別支援教育講座と連携して、その役割を果たしてい
る。
本校の教育目標は、1979 年に教育学部附属養護学
校(当時)として開校して以来、
「知的障害のある児童
IEP作成にあたっては、児童生徒一人ひとりの発達
生徒に対して、一人ひとりの発達や障害の状態、特性に
状況をいかにとらえ、評価するかが課題となる。したがっ
応じた教育を行い、心身の調和的発達(心・体・頭の伸張)
て、本校では教育目標に掲げた「自立と社会参加」の
を図るとともに、その可能性を最大限に伸ばし、自立
実現に向けて、個々の発達段階に応じたQOLの充実と
と社会参加に必要な知識、技能及び態度を養う」であ
いう観点から評価しIEPを作成している。
り、
「やさしい心 じょうぶな体 がんばる力」を掲げて、
知的障害のある児童生徒への教育をおこなっている。
本校の教育実践の特色は、
(1)IEP
(個別教育計画)
にもとづく教育、
(2)教科中心の教育課程、
(3)ムー
ブメント教育、の3点に集約できる。以下に簡単に紹介
したい。
(1)IEP(個別教育計画)にもとづく教育
2002 年に改訂された学習指導要領において、個に応
じた教育の実現をめざして、養護学校(当時)では自立
活動について個別の指導計画を作成することが義務づ
けられた。しかし、本校ではそれに先立ち個別教育計
画の研究を進めており、1995 年度から児童生徒一人ひ
とりにIEPを作成し、それに基づく教育を展開してきて
いる。
(IEPの書式 第1次計画)
教育デザイン研究 第3号 25
附属特別支援学校の役割(現状と課題)
(2)教科中心の教育課程
の結果にもとづいて取り組んでいる。 特に小学部に
IEPに示した目標を具体的に実現していく手段とし
おいては、
「全体体育(総合体育・走行ムーブメント)」と
て、本校では教科中心の教育課程を編成している。特
「国語・算数ムーブメント」を週あたり4日(月・火・木・金)
徴的なのは、教科を相互に関連づけて、有機的に構造
日課表に位置づけ実践している。
化させている点である。
ムーブメント教育は、学習障害児や脳性麻痺児に対す
基礎教科
(表1) 本校の教科クラスタ
る治療教育としてM.フロスティッグによって体系化さ
小学部
れた感覚・知覚運動理論に基づいて展開される。
このムー
国語・算数
体育 中学部
高等部
ブメント教育によって、
「感覚運動、知覚運動、精神運
国語・数学
動の向上」や「身体意識の向上」
「時間、空間、因果
国語・数学
関係意識の向上」
「心理的諸機能の向上」をめざし、
伸展教科
自発的な活動を通して創造性や問題解決能力を育てて
音楽 図画工作
生活 活用教科
総合 美術・体育
職業・家庭
美術・体育
保健・職業
情報・総合
情報 産業社会と
人間 総合 いる。
その構造化とは、
「基礎教科」
「伸展教科」
「活用教科」
という3つの教科クラスタによって構成されており、
「基
礎教科」
「伸展教科」で獲得した力を、
「活用教科」に
おいて、児童生徒の主体的な活動の中で伸ばしていく。
小学部「全体体育」
(バランスボールを使ったムーブメ
ント)
小学部「国語・算数ムーブメント」
(箱を使ったムーブ
メント)
(3)ムーブメント教育
本校では、1986 年度から
「動きづくり」の研究を進め、
2 本校の役割(教員養成機能)
ムーブメント教育を取り入れた実践をおこなってきてい
さて、本校は附属学校として年間を通して多くの学
(1)
(2)
(3)
る。現在では、児童生徒に MEPA ・MSTB ・BCT ・
(4)
視知覚-運動統合能力検査
といった運動アセスメン
トを実施し、個々の運動能力や身体意識を評価し、そ
26
生を受け入れ、体験・実習の場を提供している。以下
2011 年度実績を報告し、それぞれの現状と課題を述べ
る。
(1)
「介護等の体験」
ことの重要性にも気づいている。
教員免許状の取得に際し義務づけられている「介護
等の体験」について、本学学生の特別支援学校におけ
「どこまで手伝っていいのか、境界線が難しいと感じ
る体験(2日間)を本校において受け入れている。2011
ました。個人によって状況が違うため、手助けをすべき
年度は 145 名の学生(主として2年生)を受け入れた。
かどうか判断に迷いました」
体験の内容は、本校小学部・中学部・高等部のいずれ
かに配属され、それぞれの授業に参加することが基本
学生の多くは、障害のある人は困っている人であり、
となる。
手助けすべき対象であると感じているようにうかがわれ
ほとんどの学生にとって、特別支援学校とそこで学ぶ
る。社会生活上のモラルとして、間違ってはいないと思
児童生徒との出会いは初めての経験のようである。毎回
われるが、特別支援学校は「学校」であり「教育の場」
オリエンテーションで特別支援学校を訪問した経験を
であることを、学生は体験を通して知っていく。
訪ねるが、8~9割の学生は初めての経験であると答え
特別支援教育が本格的に実施され、通常学級に在籍
ている。緊張した面持ちの学生に対して、先入観をもた
する発達障害のある児童生徒への支援は大きな課題で
ずに、積極的に児童生徒とコミュニケーションをとって
ある。校内委員会の設置やコーディネーターの指名など
ほしいとアドバイスしている。
特別支援教育のシステムは整ってきている。しかし、小
学生には2日間同じ学級に入ってもらい、児童生徒と
学校・中学校・高等学校の教員の、障害や特別支援教
ともに活動する中で、障害のある子どもたちの特性や特
育の理解はまだまだ浅く、スキルも高まっていないと思
別支援学校の教育について、体験を通して学んでもらい
われる。本校で「介護等の体験」をおこなった学生が
たいと考えている。学生の体験レポートを見ると、それ
教職に就いた後に、特別支援教育の理解者として活躍
ぞれの気づきが述べられており、多くの学生が「自身の
することを、受け入れ校として期待している。
教育観に変化があった」と記述している。また「体験す
る前には偏見、先入観をもっていた」と記述する学生も
(2)
「教育実地研究」
多く、
「介護等の体験」の重要性を実感している。
学校教育課程1年生後期に設定されている「教育実地
以下に、学生のレポートをいくつか紹介したい。
研究」で、本校の見学・授業参観(午前中半日)を受
け入れている。2011 年度は2クラス計約 40 名の学生を、
「特別支援学校に対する見方が大きく変わったように
別日に半日ずつ受け入れた。
思う。教師も子どもたちもとても明るく、楽しそうに、
学生にとっては、大学入学後はじめて学外に出ての実
充実した日々を送っているように感じた」
地研究の機会となる。教育実習に向けた事前指導の第
一歩といえる。本校では、数年後の教育実習や採用試
このような声は意外に多く、学生の多くが特別支援学
験にむけての「就活」的な外部機関訪問であるとの学生
校に対して「暗いイメージ」を抱いていたことが分かる。
への意識づけをねらって、学生にはスーツで来校しても
「体験する」ことによって、障害のある子どもたちや特別
支援学校への印象は大きく変化する。
らっている。
内容は、オリエンテーション(学校概要の説明)と授
業参観である。大学の指導教員と事前に協議し、授業
「個別の授業は机をついたてで囲っておこなっていま
参観の内容(教科・活動等)を調整している。大学の
した。1日目は気づかなかったのですが、ついたては児
指導教員の「ねらい」と、本校の教育課程・日課・諸事
童を授業に集中させるためのものだと分かりました。細
情をすりあわせ、お互いにとって有益な機会としたいと
やかな配慮に驚きました」
考えている。
「介護等の体験」のところでも述べたが、特別支援教
このような環境設定は、特別支援学校の教師にとっ
育の時代となり、特別支援学校の教員だけでなくすべ
てはごく当たり前で自然なことであるが、多くの学生が
ての教員に、障害や特別支援教育の理解と特別支援教
題材設定や教材の工夫ばかりでなく、学習環境を整える
育に関するスキルの習得が求められる。その意味で、短
教育デザイン研究 第3号 27
附属特別支援学校の役割(現状と課題)
時間ではあるが1年生の時に本校を訪問し、特別支援
づけ、学生にとって有効であり、かつ本校にとっても無
学校の教育(特に本校の特色である IEP や教科中心の
駄のない効率的な教育実習が実現できるようにしていき
教育課程、ムーブメント教育)の実際に触れることは重
たい。特別支援教育講座の教員との関係をよりいっそ
要であると考えている。
う強化し、
「特別支援教育特講」を含めた本校での教育
実習のあり方について、今後検討を進めていきたいと考
(3)
「特別支援教育特講」
えている。
2010 年度入学生からのカリキュラム改変により、学
校教育課程特別支援教育コースの2年生後期に設定さ
(4)
「教育実習Ⅲ」
れた「特別支援教育特講」は、特別支援教育講座と連
前述の「特別支援教育特講」で述べたように、カリ
携・協力するかたちで、本校を会場として本校の教員が
キュラム改変によって、特別支援教育コースの学生に対
講師となっておこなっている。2011 年度は 22 名の学生
し 2012 年度からは3年生9月に教育実習がおこなわれ
を、午前中日程で7日間受け入れた。
る。2012 年度は旧カリキュラムの4年生が本校におい
科目設定の目的は、特別支援教育の意義について確
て教育実習をおこなう関係で、新カリキュラムでの教育
認するとともに、本校の小学部・中学部・高等部でおこ
実習受け入れは、2011 年度入学生からとなる。2011 年
なっている教育内容を講義と授業参観によって理解し、
度入学生は 2012 年度に「特別支援教育特講」を受講
特別支援教育の内容や方法を学ぶことである。
するので、前述の検討は急がなければならない。
内容は以下のとおりであり、講師はテーマにしたがっ
さて、2011 年度は 32 名の教育実習生を9月に2週
て副校長・教務主任・学部主事・進路指導担当が担当
間受け入れた。内訳は障害児教育コース21名、教科教
した。
育コース7名、人間形成コース3名、大学院教育学研究
科1名である。
第1日「オリエンテーション・本校の概要」
本校での教育実習の実際は、
「教員養成カリキュラム
第2日「小学部の教育」
における大学と附属学校の連携-特別支援教育の場合
第3日「中学部の教育」
-」
(泉真由子「教育デザイン研究第2号」2011 年)に
第4日「高等部の教育」
詳しいので参照されたい。
第5日「子どもに寄りそう特別支援教育」
本校では、学生が教育実習にスムーズに入れるように、
第6日「進路指導」
事前指導を充実させており、2011 年度も6月から実習
第7日「まとめ・教育実習に向けて」
直前の9月にかけて、以下のような事前指導をおこなった。
受講した学生は、3年生の9月に教育実習をおこなう
事前指導①(オリエンテーション:半日日程)
が、2012 年度は大学のカリキュラム改変の移行期にあ
事前指導②(各学部の教諭による示範授業・実習に
たる関係で、例外的に神奈川県下の公立特別支援学校
ついての具体的な説明:全日日程)
で教育実習をおこなうことになっている。そこで、2011
事前指導③(授業参観・直前打合せ:全日日程)
年度の学生に対しては、横浜国立大学の学生としてのプ
ライドをもって教育実習に臨めるように、教育実習生と
以上は、当日出席を義務づけておこなった。また、
してのあり方・心構えをはじめ、きめ細かな指導をおこ
学生に対しては、他に、自分が担当することになる学部・
なった。回を重ねるにしたがって学生の受講姿勢に変化
学級の様子や児童生徒の実態把握と、授業の見学を含
がみられ、質問内容も深まり、主体的に学ぶことがで
めて、6月下旬から7月中旬にかけて、3日程度の事前
きたと考えられる。また、教育実習にむけた自覚の高ま
参観を求めている。
りも感じられた。
2012 年度以降の受講学生は、3年生9月に本校にお
(5)
「教育インターン」
いて教育実習をおこなうことになる。そこで本校では
「特
2011 年度本学大学院改組に伴って開設された教育学
別支援教育特講」を教育実習の事前指導と大きく位置
研究科の「教育インターン」に関しては、特別支援・臨
28
床心理コースを中心に受け入れている。2011 年度は4
ネーターの役割」
名の学生を受け入れた。学生の設定したテーマは以下の
第7日「まとめ・個別の教育支援計画の実際」
とおりである。
特別支援教育臨時教員養成課程特別支援教育コー
「特別支援学校高等部生徒の日常生活習慣の調査」
ディネーターコースは、神奈川県教育委員会との連携の
「知的障害のある生徒の日常生活指導について」
もとで神奈川県下の特別支援教育コーディネーターの養
「知的障害のある生徒への支援の必要性の見極め」
成および現職研修を本学が担っているものである。そ
「特別支援学校における特色ある新しい学校経営」
の実地研究の場を、特別支援教育の専門機関である本
校が会場・講師ともに提供するのは、附属学校(特に附
いずれも実施期間はフレックス型であった。3名は校
属特別支援学校)としての本校の重要な役割であると
外宿泊学習に参加し、教師の補助的役割を果たしなが
考える。
ら観察・調査をおこない、研究の基礎資料を収集した。
1名は校長に対するインタビューやアンケート調査をお
こなった。
(7)
「障害児運動教育指導論」
教育人間科学部前期集中科目として設定されている
「教育インターン」は新しい科目であり、附属学校と
「障害児運動教育指導論」は、ムーブメント教育の理論
しての協力のあり方については検討の必要性を感じてい
と実際を学ぶことを目的としている。本校ではその実践
る。今後、教育学研究科との連携の中で、調整・検討
の場として、学生を受け入れている。2011 年度は約 50
をおこなっていきたい。
名の学生を受け入れた。
「Ⅰ はじめに(本校の教育)」で述べたように、本
(6)
「個別の教育支援計画の実際」
校では児童生徒に MEPA 等の運動アセスメントを実施
「個別の教育支援計画の実際」は、前述の「特別支
し、個々の運動能力や身体意識を評価し、その結果に
援教育特講」と同様に、教育学研究科・特別支援教育
もとづいてムーブメント教育を取り入れた学習をおこなっ
講座に連携・協力するかたちで、本校を会場として、本
ている。
「障害児運動教育指導論」を受講した学生は、
校の教員が講師となっておこなっている。対象は、特別
本校の運動アセスメントに全日日程で2日間参加し、体
支援教育臨時教員養成課程特別支援教育コーディネー
験を通して理論と実際を学んでいる。内容は以下のとお
ターコースの学生で、長期研修として1年間本学に派遣
りである。
されてきている現職の教員である。特別支援教育臨時
教員養成課程修了後は、本学の定める「特別支援教育
コーディネーター」の資格を得て、各教育現場でコーディ
ネーターとしての役割を果たすことが期待されている。
2011 年度は 11 名の学生を、午前中日程で7日間受け入
第1日「MSTB・BCT・スポーツテスト」
(児童生徒下校後、検査法の研修)
第2日「視知覚-運動統合能力検査・スポーツテスト」
(児童生徒下校後、検査結果集計)
れた。
内容は以下のとおりであり、本校のIEPの実際を学
学生は、教員の補助として実際に検査をおこなう。ま
ぶ。講師はテーマにしたがって、副校長・教務主任・学
た、第 1 日午後は、本 科目の指導 教員を講師として、
部主事または教諭・進路指導担当が担当した。
本校の教員対象に検査法の研修会をおこなうが、その
研修会に、学生も一緒に参加することで理論を学ぶ。
第1日
「オリエンテーション・本校の個別教育計画の概要」
教員の研修と学生の実習とを、大学と附属学校相互の
第2日「本校の移行支援計画と卒業後の支援」
資源を活用して実施するという連携・協力の一例である。
第3日「小学部の個別教育計画とその実際」
第4日「中学部の個別教育計画とその実際」
第5日「高等部の個別教育計画とその実際」
第6日「神奈川県における支援教育と教育相談コーディ
(8)
「重複障害児の指導」
教育人間科学部後期集中科目として設定されている
「重複障害児の指導」は、身体運動に障害のある子ども
教育デザイン研究 第3号 29
附属特別支援学校の役割(現状と課題)
の発達を促す教育の実際を学ぶことを目的としている。
し、実際的な取り組みを重ねている。教育人間科学部
受講した学生は、学内で「理論」
「指導・支援法」を学び、
特別支援教育講座の教員は、特別支援教育にかかわる
外部の実践の場においてその実際を学ぶ。本校では前
理論的研究を行い、高い専門性を持つ。
述の「障害児運動教育指導論」と同様に、その実践の
附属特別支援学校として本校の教員養成機能を高め
場として、学生を受け入れている。2011 年度は約 60 名
るには、教員のもつ専門性の維持・向上が必要である。
の学生を受け入れた。
そのためには、教育人間科学部特別支援教育講座の教
受講した学生は、本校の「公開セミナー」に全日日程
員の理論的な支援が重要である。また、大学の教員養
で参加し、指導・支援法の実際について学んでいる。
成機能を高めるには、実習・体験の場としての本校のよ
本校では教育人間科学部特別支援教育講座の教員を
り一層の活用が求められるだろう。
中心に共同研究者・助言者を依頼し、研究活動を推進
本校と教育人間科学部特別支援教育講座とはこれま
している。
「公開セミナー」では、公開授業と授業研究
で連携して大学の教員養成機能を果たしてきた。今後
会を通じて実践研究の成果を披露し、参加者からの意
はさらに関係を強化し、
「連携・協力」関係から「協働」
見・助言を得て更に発展させていく。あわせて講演会・
関係へと発展させていきたい。両者の協働によって、大
研修会を開催し、参加者とともに学び会う機会としてい
学のもつ教員養成機能はさらに充実していくと考える。
る。
「重複障害児の指導論」の指導教員は、本校の研究
注
協力者・助言者であり、
「公開セミナー」当日は一日を通
(1)Movement Education and Therapy Program Assessment-
して本校において助言者・講師を務めている。この科目
Revised(ムーブメント教育・療法プログラムアセ
を受講した学生は、公開授業の参観、研究会での討議、
スメント)
研修会を通じてムーブメント教育の実際を学ぶ。本校の
「公開セミナー」は研究発表・情報発信の重要な場であ
(2)Movement Skill Test Battery(ムーブメント・ス
キル・テスト・バッテリー)
るが、学生にとってそこに参加することは、他に得難い
(3)The Body Coordination Test(身体協応性検査)
貴重な体験であろう。
(4)視知覚-運動統合能力チェックリスト(視空間
知覚と運動の統合能力把握のためのチェックリス
3 まとめ
ト)
以上、附属特別支援学校の役割について、その現状
と課題を教員養成機能の視点から述べた。本校の教員
参考文献
養成機能を、その対象・内容で整理すると、次のように
1)横浜国立大学教育人間科学部附属特別支援学校「ふ
まとめることができる。
(1)特別支援教育の意義を理解し、通常学級等におけ
る特別支援教育の理解者となる人材の育成
「介護等の体験」
「教育実地研究」
(2)特別支援学校等における特別支援教育の実践者・
推進者となる人材の育成
「特別支援教育特講」
「教育実習Ⅲ」
「教育インターン」
「個別の教育支援計画の実際」
(3)特別支援教育における指導法の理解と実践
「障害児運動教育指導論」
「重複障害児の指導」
このように本校は特別支援教育にかかわる幅広い観
点から学生を受け入れ、大学のもつ教員養成機能の一
端を担っている。
本校では、特別支援教育の実践者として研究を推進
30
ようの実践ハンドブック」
(2009)
2)横浜国立大学教育人間科学部附属養護学校「養護
学校におけるQOLの充実をめざした教育(2000)
3)泉真由子「教員養成カリキュラムにおける大学と附属
学校の連携-特別支援教育の場合」教育デザイン
研究第2号 97 - 102 横浜国立大学教育人間科学
部教育デザインセンター(2011)
4)小林 芳文、横浜国立大学教育人間科学部附属特別
支援学校
「発達の遅れが気になる子どものためのムー
ブメントプログラム 177 」学研(2010)
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