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特別報告1 関西建設アスベスト大阪訴訟・地裁判決の報告

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特別報告1 関西建設アスベスト大阪訴訟・地裁判決の報告
特別報告1
関西建設アスベスト大阪訴訟・地裁判決の報告
関西建設アスベスト大阪訴訟原告団・弁護団
■大阪地裁判決の位置づけ
本年1月22日(金)、関西建設アスベスト大阪訴訟の判決が言い渡されました。本判決は、
全国3高裁5地裁で闘われる建設アスベスト訴訟において、横浜地裁、東京地裁、福岡地裁
に続く4つ目の地裁判決です。
全国の建設アスベスト訴訟の現状
■判決の内容
1 国に対する請求
対国
これまで の判
決の到達点
労働者(違法時期)
一人親方
横浜地裁
×
×
×
東京地裁
○(S56 年~)
×
×
福岡地裁
○(S50 年~)
×
×
×
×
以下の点について国の違法が認められました。
①昭和50年~平成18年の間、防じんマスク
を労働者に着用させることを事業主に義務づ
けなかった点
② 昭和50年~平成18年の間、建材企業に
対企業
石綿の有害性などの警告表示を行うことを
義務付けなかった点、現場に警告表示の掲
示を行うことを事業主に義務付けなかった
点
○(S50 年~)
大阪地裁
(H7 年~)
③ 平成7年~平成16年の間、クロシドラト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)だけで
なく、クリソタイル(白石綿)の製造使用を禁止しなかった点
【前進した点】
①の防じんマスクと②の警告表示について、違法を認める時期が広がった東京地裁は、
昭和56年~、福岡地裁は、昭和50年~平成7年に対し、大阪判決は、昭和50
年~平成18年の違法を認め、長期間にわたる国の違法を認めました。
③の製造禁止を初めて認めた
全国で初めて製造禁止の主張が認められました。
【認められなかった点】
これまでの3判決と同様「一人親方」の救済は、今回も認められませんでした。
判決の挙げる理由は、「労働安全衛生法、建築基準法、労災保険法といった各法律は、
いずれも法律の目的からして一人親方、個人事業主を保護対象としていない」という
ことに尽きます。これまでの判決と同じであり、建築現場の実態からかけ離れた不当
な判断です。
2 企業に対する請求
【判決の結論】
今回も、建設現場でどの建材が使われたのか特定できないとして、企業に対する請求は、
認められませんでした。
判決は、原告が実際に使用した建材の製造時期、場所、販売時期、内容を特定していな
いなどを理由として挙げていますが、これは不可能を強いるものです。
全体として、「結論ありき」の判断であり、説得力のある判決ではありません。
【判決から言えること】
国の違法性に関する判断は、企業が、石綿建材を製造販売するにあたり、適切な警告
表示を行わなかったこと、白石綿(クリソタイル)の危険性が明らかになり、建設現場で
は管理使用ができないにもかかわらず、平成7年以降も製造販売を続けたことを当然の前
提としています。従って、判決の内容からすれば、建材企業の違法行為を認めていること
は明らかです。
■本判決の意義、今後の裁判
大阪判決をもって、東京判決、福岡判決に続き、3度国の責任が認められました。今回
の判決で国の責任を認める司法判断の流れはゆるぎないものになりました。本判決の意義
は次の3点に集約されます。
1.国が規制権限を怠った違法期間が、昭和50年から平成18年までの31年間という
非常に長期にわたって認定されたこと2.国の根本的な施策(石綿の製造使用禁止)の
違法が認定されたこと
2.企業責任は認められなかったものの、企業の違法行為を当然の前提として認めている
こと以上からすれば、本判決は、今後、国が率先して救済基金を創設するよう訴えていく
にあたり、大きな力となるものです。
3.しかし、過去2つの判決から前進した面もありますが、最大の課題である「一人親
方の救済」「企業責任の追及」が認められず、到底納得できるものではありません。控訴
期限は2月5日です。控訴を行い、全面解決に向けて、被害者全員が救済されるまで闘
います。
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