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「情報モラル教育」の指導推進を図る研究調査
「情報モラル教育」の指導推進を図る研究調査 情報・産業教育部 Ⅰ はじめに 情報・産業教育部では、昨年度のプロジェクト研究で「情報モラルの充実を図る研究調査」を行い、 県内の全校種に対して情報モラル教育の実施状況をアンケート調査した。調査内容は、児童生徒への 指導状況、職員・保護者に対する研修会の実施状況などである。そのアンケート結果から、各学校で 情報モラル教育を推進するにあたっての問題点として、 「指導者の不足」と「教材の不足」が指摘さ れた。また、総合教育センターへの要望は、 「研修講座の充実」と「教材の提供」が多いこともわか った。そこで、本年度は、 「指導者の不足」 「教材の不足」に対応した「研修講座の充実」ならびに「教 材の作成」をすすめ、情報モラル指導者の育成および情報モラル教育をより推進させるための研究を 行った。 Ⅱ 研究内容と成果 1 研修講座の充実 平成 23 年度の当センターにおける情報モラルに関する研修講座は、表1のとおりである。アンケ ート調査で指摘されたように、「指導者の不足」の問題を解決するために、「初めての情報モラル・ セキュリティ」講座では、学校現場で中心となって情報モラル教育を推進していく指導者を育成す る研修内容とした。 表1 情報モラルに関する研修講座一覧 講座名・内容 学校における情報モラル教育 初めての情報モラル・セキュリティ 対象者 義初研必修 講座日程 講座の一部 義初研選択必修 10 年研選択必修 高初研選択必修 希望者研修 学校における情報モラル教育 義初研必修 情報セキュリティと危機管理 高初研必修 講座の一部 学校における情報セキュリティとモラル 10 年研選択必修 一日講座 学ぼう!著作権 希望者研修 一日講座 初めての知的財産権 5年研必修 一日講座 講座の一部 「初めての情報モラル・セキュリティ」講座はねらいに、 「情報モラル・セキュリティに関わる校 内研修を実施するための実践力の育成」を盛り込み講座を構築した。 「ICT活用と情報セキュリテ ィ」の内容については、利便性を追求する中でいかに安全性を確保するかという観点から、情報セ キュリティの定義である「機密性」 「完全性」「可用性」を意識し、バランスのとれた対策を行うこ との必要性を確認した。セキュリティに関する「セルフチェックシート」やワークシートを紹介し、 講座内で体験することにより学校現場で活用する方法を学んだ。また、OSの脆弱性に対応する方 法やファイルへのパスワード設定、ファイルの復元と消去など、データ漏洩が予防できる実習を取 り入れた。 1 「ネット問題と情報モラル」の内容は、長野県における携帯電話の所持率、フィルタリング機能 活用、メール・インターネット機能の活用をデータで示し、現状を把握することから情報モラル教 育をすすめることを理解させ、研修会等で利用できる配布資料やスライドを提示し、情報モラルの 年間指導計画を立案する内容を取り入れた。 2 教材の作成 (1) 情報系講座のテキストの作成 情報系の講座(表2)では、講座開始からおよそ1時間を使い、情報モラル・セキュリティに関 する講義を行っている。本来行う講座の内容とは違った内容であるが、児童生徒によるネットト ラブルや教職員によるセキュリティに関する事故(USB メモリの紛失等)が起きていることから、 情報モラル・セキュリティの現状やトラブル防止を中心に、意識の向上が図れるように実施して いる。 この講義に使用する従前のテキストは、児童生徒のネット環境状況、著作権、セキュリティにつ いての社会の動向や、インターネットで問題となっている事象についての解説が中心であったが、 本年度は大幅に見直し、Q&A やケーススタディなどを取り入れ、教材として利用できる内容とし 「教材の不足」に対応できる内容とした。 著作権については、 「生徒用」 「教職員用」の Q&A を作成した。 「生徒用」では、音楽データの取 り扱いを中心に問題を作成し、インターネットからダウンロードした音楽データや音楽 CD から複 製した音楽データを利用する際の注意事項を確認し、著作物の適切な取り扱いが行われる内容と した。また、 「教職員用」では、授業・職員会議・放課後の場面を想定し、著作権処理について確 認できる内容とした。 ケーススタディでは、現在インターネットで問題とされている「不当請求」や「掲示板への書き 込み」を取り上げ、事例について体験しながら対処法を学べるようになっている。 さらに、メディアに関するアンケート質問を掲載した。情報モラル指導を学校で推進していく場 合、自校の生徒がどのようなメディア環境におかれているか、また、どのようなものをどの程度 利用しているかを知らなければ、効果的な指導は望めない。そのために、携帯電話、テレビの視 聴時間、ゲームの実施時間など事細かく把握できるアンケート内容となっている。 表2 分 野 情 報 モ ラ ル 学校運営の改善 ICT の活用 情報系研修講座一覧 講 座 名 初めての情報モラル・セキュリティ 学ぼう!著作権 初めての知的財産権 初めてのホームページ ホームページの運用と管理 初めての表計算 校務に生かす表計算 らくらくデジタル写真活用 デジタルビデオの編集と DVD 制作 初めてのプレゼンテーション Web を使った学習教材の作成と活用 2 (2) 授業・研修会活用スライド 情報モラル指導を展開する時、文章による資料も重要であるが、事例の説明に図形や動画、画 像を挿入したスライドを活用し、イメージ化することは非常に効果的である。そのことから、授 業や職員研修会・保護者研修会などで利用できるスライドを作成した。このスライドは「ネット や携帯電話の特性を知る」 「事例と対策を知る」「関連する法律を知る」「発達段階の特徴を知り コーディネートする」 「メディアと健康について知る」「保護者として考える」「指導資料コンテ ンツ例」で構成されている。これを授業や研修会で活用する際には、必要な項目のスライドを抜 き出して利用することや、学校の実情や研修会に合わせて内容を編集して利用することを想定し 作成した。また、このスライドは「初めての情報モラル・セキュリティ」講座でも活用した。 ア「ネットや携帯電話の特性を知る」(主な対象:児童生徒) 携帯電話の機能として、通話や電話帳、留守番などの電話機能、写真や動画の撮影機能、テ レビやゲームなど電話機能以外の機能があること、また、電子メールやWebページの閲覧な どインターネット接続機能があることを確認し、携帯電話の特性について考える内容としてい る。 イ「事例と対策を知る」(主な対象:児童生徒) 携帯電話によく見られる「ワンコール詐欺」の内容を紹介し、身に覚えのないサイトからの 請求行為に対し、どのように対処をすべきかを考える内容となっている。また、 「コミュニティ サイト」に関連した事件・被害の発生状況や「掲示板」 「自己紹介」ページでの悪質な書き込み、 個人情報を公開したためにトラブルに巻き込まれるケースを紹介している。 ウ「関連する法律を知る」(主な対象:教職員、保護者) 児童生徒・子どもが被害・トラブルに巻き込まれたときに、どのような法律により対処すべ きなのか、トラブルを予防するための機能でもある「フィルタリング機能」の紹介と、その重 要性や種類・契約方法など、子どもたちが安全に携帯電話やインターネットを利用できるよう に環境を整備することを求める内容となっている。 エ「発達段階の特徴を知りコーディネートする」(主な対象:教職員、保護者) 発達段階を「幼児期」「小学校低学年」「小学校高学年」「中学校」「高等学校」に分け、それ ぞれの発達段階における特徴をとらえ、子どもへの接し方や携帯電話・インターネットとのか かわりについて考える内容となっている。 オ「メディアと健康について考える」(主な対象:教職員、保護者) 子どもたちがメディアから受け取る情報には、良い情報ばかりではなく、 「暴力が称賛される 内容や不適切な言葉遣い」、「いじめとも解釈できるゲームや遊びの情報などの存在」、 「ゲーム で仮想空間を体験することによるネット依存」、 「テレビ・ゲーム・パソコンの画面を長時間見 ることによる視力への影響」、 「メディア依存による体力低下問題」など、情報の氾濫やメディ アとのかかわりについて考える内容となっている。 カ「保護者として考える」(主な対象:保護者) 携帯電話やメディア機器の所持については、保護者の責任によるところが大きく、児童生徒 3 のメディア機器の所持にあたっては、必要性や所持する際の発達段階に応じたルールの設定や 管理について考える内容となっている。 キ「指導資料コンテンツ例」(主な対象:児童生徒) 情報化・ネットワーク社会の特徴を確認しながら、 「インターネットのしくみ」や「コミュニ ケーションゲーム」を用いた表現方法の重要性、インターネットへ発信した情報の拡散性など、 ネット社会特有の問題を考える内容となっている。 長野県総合教育センター 長野県総合教育センター 4 1 電話応対のマナー 携帯電話 インターネット指導 あっ!!電話だ!! 知らない番号から 電話がきています。 長野県総合教育センター 090XXXXXXXX 「どうしよう?」 アナタはどうしますか? 長野県総合教育センター 8 ワンコール詐欺 被害者携帯電話 090-XXXX-XXXX ワンギリして 着信履歴を残す 着信履歴を見て コールバックする 発信元電話 03-XXXX-XXXX (悪質業者) 長野県総合教育センター 59 チェーンメール!? このメールを5人に送ら ないと不幸になります。 音声案内 アダルト系番組の紹介 出会い系の紹介 音声案内 につながる 電話番号流出 個人情報 流出 悪質業者からの 高額な請求 図1 (3) 1+5+25+125+625+ … 9代目で長野県の人口を超えます!! 悪質業者が個人情報を入手 (住所・氏名・年齢・性別・職業・電話番号など) 授業・研修会用スライドの一例 ネットトラブル 防止と対策 昨年のアンケートからは、情報モラル指導を推進するのに あたって、問題点として「教材の不足」のほかに、 「指導時 タイトル トラブル・事件 間の不足」ということがあげられていた。学校現場では、日 頃の多忙な教育活動に加え、さらに情報モラルについて、ま とまった指導時間を生み出すのは難しい。そこで、教材の作 イメージ図 問題点 成にあたって、 「教材の不足」と「指導時間の不足」にも対 応でき、短時間で実施可能な教材とした。 この教材は、インターネットに関するさまざまな事例から、 トラブルを事前に予防するためのもので、インターネットを 解 説 利用する際に、 危険なサイトの閲覧や不用意なダウンロード を未然に防ぎ、 万が一トラブルに遭遇してしまったとしても、 ポイント 速やかに対応することができる内容となっている。 この教材 は、 中学生以上を対象とし、A4版1ページにまとめてあり、 4 図2 ネットトラブル資料 図2のように「タイトル」 「トラブル・事件の事例」 「イメージ図」「問題点」「解説」「ポイント」 で構成され、指導時間の目安を 10 分としている。現在は、24 事例を示しているが、今後増やし ていくことを想定している。24 のトラブル事例と問題点、ポイントは次のとおりである。 ア ワンクリック詐欺(ツー、スリー、4クリック) インターネットサイトの画面等をクリックしたところ、突然「入会の登録あ トラブル事例 りがとうございました。利用料金として○○○○円お支払いください」などと 表示され、入会金名目で現金をだまし取られそうになった 問題点 利用者から現金などをだまし取る ・身に覚えのない請求がきても支払わない、業者に連絡しないこと ・相手先に連絡を取ってしまったら、ただちに保護者や警察、消費生活センタ ポイント ーなどに相談すること ・ 「裁判所からの支払督促」や「少額訴訟の呼出状」と思われる場合、書類の 真偽の判断は難しいため、放置せずに消費生活センター等に相談すること イ ワンコール詐欺 携帯電話に見知らぬ番号の着信履歴が残っていたので、電話を掛け直したと トラブル事例 ころ、出会い系サイトなどの音声案内に繋がってしまった。会員登録等はしな かったが、後日、情報料、調査料、延滞料など高額な料金を請求する電話がか かってきた。 問題点 不用意に知らない番号へ、電話を掛け直してしまった ・見知らぬ電話番号の着信履歴に掛け直さないこと ・見知らぬ電話番号からの着信には、相手が名乗るまで名乗らないこと ポイント ・身に覚えのない請求があったときは、ただちに家族に相談すること ・やむを得ず掛け直す場合(コールバックする場合)は、電話番号を非通知設 定にすること ウ フィッシング詐欺 トラブル事例 問題点 ポイント エ 自分が利用している「○○銀行」の名を騙り、メールが届きました。メール にはキャッシュカードの暗証番号を入力するように書かれていました。 銀行を騙ったメールから暗証番号を盗み取られる ・個人情報の入力を促すサイトの場合、本物のサイトかどうか確認すること ・メールに書かれているリンクを安易にクリックしないこと インターネットオークションで詐欺 インターネットオークションをしたところ、「落札者辞退のため、あなたの トラブル事例 落札に変更されました」というメールが届いた。早速、お金を振込んだが、商 品が送られて来なかった。 問題点 オークション参加者をねらったオークション次点詐欺 5 ・トラブルに備えて、出品者のID・ユーザー名・会員番号、オークションの ポイント URL、オークション番号などを保存・印刷しておくこと ・落札後の出品者とのやりとりは、決められたルールに従って行い、電子メー ル・電話・手紙等や入金時の振込用紙や現金書留の控えを記録しておく オ 出会い系サイトの巧妙化 「無料!あなたの出会いを応援します」というメールが来たので、表示され トラブル事例 ている入り口のボタンを押したところ、アダルトサイトに登録されてしまい多 額な請求画面が表示された。 問題点 無料と思い込ませ、有料サイトに誘い込む手口 ・出会い系サイトなど利用しないこと。出会い系サイトへ誘い込むサイトもあ るので安易に画面内をクリックしないこと ・会員登録を必要とするサイトを訪れた場合、利用する前に必ず規約を確認す ポイント ること ・不当な請求があっても、問合わせたりすることで氏名や住所・電話番号など の個人情報が流出する恐れがあるので、困ったら必ず保護者・学校・警察等 へ相談すること カ メールによる架空請求 ある日突然、身に覚えのない業者から「以前お客様が利用された登録された トラブル事例 サイトの料金が未納です。強制回収などの手続きに入ります。」などといった 金銭の請求メールが送られてきた。 問題点 利用者を騙して現金などを詐取する ・身に覚えのない請求がきても支払わない、慌てて業者に連絡しないこと ・相手先に連絡を取ってしまったら、ただちに保護者や警察、消費生活センタ ポイント ーなどに相談すること ・ 「裁判所からの支払督促」や「少額訴訟の呼出状」と思われる場合は、真偽 の判断が難しいため放置せず、すぐに消費生活センターに相談すること キ スパムメール トラブル事例 問題点 配信を依頼した覚えがないのに「販売目的広告や出会い系・アダルトサイト」 への勧誘などのメールが勝手に送りつけられてきた。 広告や出会い系・アダルトサイトへの勧誘 ・心当たりのないメールを見つけたら、何もせずにメールを削除すること ・興味でスパムメールを開かないこと。メールに記載される URL を閲覧しない ポイント こと ・送信元に「メール配信を停止してください」などの返信や依頼は、絶対にし ないこと 6 ・スパムメールの数が多くなれば、メールアドレスを変更すること ク なりすましメール A君に、B君から「どうして昨日来なかったんだ!」とメールが届いた。A トラブル事例 君はわけが分からず、 「何の話?」と聞くと、B君は「A君から待ち合わせの 約束メールが来た」と言いました。B君は怒ってしまい、心当たりのないA君 は困ってしまいました。 問題点 送信元のアドレスを架空・他人名義に変更して送信してくる迷惑メールだった ・受信/拒否設定などの「なりすましメールを見分けて受信拒否が出来る機能」 を利用すること ポイント ・サイトへの会員登録には、メールアドレスなどを必要とするが、場合によっ て個人情報が漏れる危険があることを理解しておくこと ・なりすましメールに対して不用意に苦情や注意など返信しないこと ケ チェーンメールの配信 N美さんの携帯電話に、「これは不幸メールです。このメールを受け取った トラブル事例 人は、1週間以内に火事にあいます。火事にあいたくなければ、2人にこのメ ールを2日以内に転送してください。」というメールが届きました。 問題点 人の心を揺さぶる悪質なメール配信 ・ 「○人以上に転送」という文言があれば、それは間違いなく「チェーンメー ル」である ポイント ・メールに書かれているようなことは、絶対に起こらないので転送しないこと ・ 「チェーンメール」らしきものが届いたら、自分が「止めてやる!」という 気持ちで削除すること コ リアル(リアルタイム日記) A君は冗談のつもりで、友だちのB君の悪口をリアル上に書き込んだ。A君 トラブル事例 が書き込んだ内容を知ったB君は、A君への文句を書き込み、友だちもA君を 非難したため、A君は学校へ行けなくなってしまった。 問題点 安易な気持ちで、他人の悪口を書き込んでしまった ・自分や友達が特定できる個人情報は掲載しないこと ポイント ・自分の発言や発信する情報については自分に責任があることを認識すること ・発信された情報は世界中の多くの人が見ている可能性があることを忘れない こと サ ホムペ(携帯電話用ホームページ) ホームページ上に自分の名前や住所、学校名などを掲載したところ、嫌がら トラブル事例 せのメールや書き込みがあったり、他のサイトに個人情報が利用されてしまっ た。 7 問題点 個人情報の書き込みによるいじめ・トラブルの誘発 など ・自分や友達が特定できる個人情報は掲載しないこと ポイント ・自分が発信した情報は、自分に責任があることをしっかりと認識すること ・発信した情報を悪用しようとする人もいるので注意すること シ プロフ(プロフィールサイト) プロフに写真を載せる際、氏名や学校名も一緒に載せたことにより、別のサ トラブル事例 イトで個人情報が利用されてしまい、事実でないことやありもしない噂が書き 込まれていた。 問題点 ネット上に名前や学校名などの個人情報を掲載した ・名前、学校名、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報を安易に掲 ポイント 載しないこと ・自分の情報だけでなく友だちの情報でも同様に書き込みや掲載をしないこと ・自分が発信した情報は、自分に責任があることをしっかりと認識すること ス SNS(Social Network Service) 無料ゲームサイトで知り合ったネット友達と親しくなり、サイトのミニメー トラブル事例 ルを利用し、携帯電話のメールアドレスや電話番号を教えた。オフ会(直接会 う)に誘われ、待ち合わせ場所に向かったところ誘拐されそうになった。 問題点 アドレスを教える。電話番号を教える。相手に直接会う ・時間帯制限、ブラックリスト、ホワイトリストなどフィルタリング機能を活 用すること ・フィルタリングに掛からない「有名なサイトだから」といって安心しないこ ポイント と ・氏名、居住地域、メールアドレス、電話番号などの個人情報を「教えない」 「公開しない」こと ・ネットで知り合った相手の年齢、性別、居住地域などのプロフィールを信じ ないこと セ コンピュータウィルス トラブル事例 問題点 知らない人からの送られてきたメールの添付ファイルを開いたら、突然怪し い画面が表示されて、そのあとコンピュータが動かなくなってしまった。 知らない人からの添付ファイルを開いたためウィルスに感染した ・ウィルス対策ソフトを必ず活用し、常に最新の状態にしておくこと ポイント ・知らない人からのメールや添付ファイルを開かないこと ・信頼性がないサイト等を閲覧しないこと ソ 個人情報の流出事故・事件が相次ぐ トラブル事例 パソコンがウィルスに感染し、関係者約 900 人分の個人情報(氏名、電話番 8 号、メールアドレス、パスワードなど)が流出した。 問題点 不注意にメールの添付ファイルを開き、ウィルスに感染した。 ・メールの送信者名を過信しないことや、添付ファイルやリンク先を開く場合 は十分注意すること ポイント ・ウィルス対策ソフトを必ず活用し、常に最新の状態にしておくこと ・ソフトウェアのアップデートは必ず行い、常に最新の状態にしておくこと タ 危険すぎるパスワード トラブル事例 問題点 他人のパスワードを破ってネットオークションにログイン。架空の出品を繰 り返し、落札者から代金をだましとった。 簡単なパスワード設定のため破られてしまった ・ありがちなパスワード「12345678」 「password1」 「iloveyou」 「qwertyui」な どにしないこと ・ 「abc・・」 、 「@%_・・」、 「123・・」などを組み合わせ 8 文字以上としサービスごと ポイント に設定し、定期的に変更すること ・覚えられないようならメモを取ること(ただし、別の場所に保存、暗号化す るなど工夫が必要) チ 不正アクセス トラブル事例 問題点 他人のIDとパスワードを盗み取り、これを使ってオンラインゲームに不正 にアクセスした少年2人が書類送検された。 不正に入手したID・パスワードを使用した ・IDやパスワードなど人目につくところへ書き込んだり保存しないこと ポイント ・友人だからと言ってIDやパスワードは教えないこと ・パスワードは定期的に変更すること ツ 画像や動画の投稿サイト 投稿サイトに、軽い気持ち(悪ふざけ)で友人の画像や動画とともにメール トラブル事例 アドレスや電話番号を投稿した。投稿した情報を回収(削除)しようとしたが、 複数の投稿サイトに流出し、回収が困難になってしまった。 問題点 著作権や肖像権の侵害行為、個人情報の漏洩 ・画像、動画、書き込み等、公開したデータの完全な回収(削除)は困難であ ポイント ることを認識すること ・自分が発信した情報は、自分に責任があることをしっかりと認識すること テ 個人情報の投稿 トラブル事例 問題点 動画投稿サイトへ動画を投稿したところ話題となり、名前・住所など個人情 報が掲示板に書き込まれた。 不用意な個人情報の発信 9 ・個人情報は本人、他人に限らず投稿しないこと ポイント ・いたずら半分や他人をからかう内容の投稿はしないこと ・投稿者は特定されるという気持ちで、発信する情報には責任を持つこと ト 掲示板に悪意のある書き込み 友達を検索する掲示板で「こんにちは、友達になって」と書いたところ、意 トラブル事例 味不明な言葉や個人を中傷する書き込みがあり、掲示板として機能しなくなっ てしまった。 問題点 掲示板に無意味な書き込みをする「荒らし」と言われる行為 ・安易に掲示板を利用しないこと ・掲示板荒らしが現れてもむやみに相手にしないこと ・言葉の行き違いからトラブルになることがあるので、年下、年上に関係なく 呼び捨てや乱暴な言葉、ブラックジョークなどを書き込まないように、十分 ポイント 気をつけること ・書き込む内容は自分で責任を持って行なうこと。特に住所や学校名など個人 情報は書き込まないこと ・書き込みの内容がひどい場合は、保護者・学校・警察を通じて電子掲示板の 管理者に対処を依頼すること ナ ステマ(ステルスマーケティング) 飲食店の「クチコミ」サイトで、飲食店に好意的なクチコミを投稿したり、 トラブル事例 ランキングを上位に押し上げたりする業者が存在し、ランキングが操作されて いる事例があったことが発覚した 問題点 作為的なクチコミが投稿され、情報の操作が行われていた ・ 「掲示板」や「クチコミ」などには、意図的な書き込みがあることを知って ポイント おくこと ・正しい情報かどうかは、複数の情報やメディアを確認し判断すること ニ ファイル共有ソフトで違法配信 トラブル事例 問題点 ファイル共有ソフトを利用し、映画やアニメを違法に配信したとして、著作 権法違反(公衆送信権侵害)容疑で高校生が逮捕された。 私的な使用を超えた著作物の利用 ・ファイル共有ソフトはインストールしないこと ポイント ・著作権を理解し、違法な複製は行わないこと ・ファイル共有ソフトには、「ウィニー」「シェア」などがある ヌ 音楽ファイルの違法配信 トラブル事例 携帯電話向けレンタル掲示板で音楽ファイルを不特定多数がダウンロード できる状態にしていたとして、少年2名(16 歳、15 歳)が著作権法違反容疑 10 で検挙、送検された。 問題点 他人の著作物を無断でインターネット上へ掲載した ・著作物を動画投稿サイトや掲示板に書き込みをする際は、必ず著作権者に許 諾を得ること ポイント ・違法にアップロードされた著作物を、違法であることを知りながら利用しな いこと ネ ネット依存 インターネットのオンラインゲームに夢中になりすぎ、夜中までゲームをし トラブル事例 ていたため、睡眠不足でやる気が起きず、学校の授業にも集中できずに成績も 下がってしまった。 問題点 ゲーム依存・メール依存による睡眠不足、視力低下、気力低下など ・パソコンや携帯電話は、使用する目的を明確にして購入すること ポイント ・パソコンや携帯電話の利用時間を決めること ・ 「宿題をした後」「食事中は携帯電話を使わない」など家族とルールを決め、 必ず守ること Ⅲ 今後の課題 「初めての情報モラル・セキュリティ」講座は、 「指導者の育成」を目的として、モラルとセキュ リティに関する幅広い知識を理解し、情報モラル教育を推進する内容としたが、情報モラルとセキュ リティの研修を1日の中で行うには、内容が広範囲にわたり無理があった。また、受講生の研修目的 はモラルかセキュリティのどちらか一方であるケースが多かった。そこで、来年度については、モラ ルとセキュリティを分けることにより、研修の目的を明確化するとともに、内容を充実する必要があ る。 また、この講座では、スライドや指導資料を配布し、受講者に授業や研修で実践するように呼び掛 けをしたが、実施の報告があった受講生は2名であった。本来は、実施の報告からスライドの使いや すさや問題点を見つけだし、内容や指導方法について、改善していく必要があるが、データが思うよ うに集まっていない。今後は、受講生に授業での実践や校内研修等、いわゆるアウトカム評価をおこ ない、内容等を検証する必要がある。 さらに、携帯電話所持の低年齢化やインターネットを利用する家庭が増えており、小学生がトラブ ルに巻き込まれるケースも考えられる。このような状況の中で小学生にもインターネットに関するト ラブルや情報モラル教育を実施していく必要があり、併せて小学生向けの情報モラル教育の教材作成 が求められる。さらに、 「ネットトラブル予防と対策」については、新たに発生する事例と、それに 対応する教材を作成・追加し、より利便性を増していくことや、この教材を活用した指導の流れ・ポ イントを明確化することが必要である。今後は「ネットトラブル予防と対策」教材を印刷し、教材提 示装置(実物投影機)による授業活用など、各学校の ICT 環境に応じた教材の活用方法について研究 をすすめていきたい。 11