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【娘の成長と聾学校に入学して】 私の娘は、0歳の新生児スクリーニングで
【娘の成長と聾学校に入学して】 私の娘は、0歳の新生児スクリーニングで難聴であることがわかりました。病院を退院する時に 一人で聞いて、予想にもしなかった言葉・・・「聞こえないかもしれない」この言葉を受け入れよう としながらも、どこかで信じられない自分がいました。ゆっくりとした成長をしていました。赤ちゃ んの頃は、反り返りがあり、抱いているのも大変だったのです。 育児休暇をしていた私は、仕事を辞めるべきかという選択に直面しました。ですが、家族の協力を 得られたことで、職場復帰をしました。どうしても、仕事をしていると、仕事が優先的になってしま い娘には申し訳ないのですが・・・家族の協力は私にとって、とても助かっています。 施設に通園するようになって、音への気づきがなんとなくわかるようになりました。そのような 中で、人工内耳の説明などを受けるにつれ、また、手術されていた子供さんを見て、親の意見ではあ りますが、家族で話し合うようになりました。 人工内耳という決断には、家族の意見が一致し手術を受けることにしました。たしかに、1歳10 か月の子供が手術というのは、不安と葛藤がありました。メリットもあればデメリットもあるので、 いろいろな情報には、メリットのことが多すぎて、デメリットの部分が見えにくくなっていることも ありました。デメリットを理解した上で選択しました。娘が大きくなって、つけたくないと言えばそ れは意見を尊重してあげようと思っています。ですが、きちんと手術した趣旨、入院の経過をほとん ど記録し、点滴などの医薬品、同意書、傷口の写真は残して、説明できるように保管をしています。 人工内耳をしてから、40dBくらいになったのは、手術をしてから6か月くらいしてからです。 人工内耳前は、補聴器をつけて107~110dBくらいでした。難聴児施設の子供さんしか見てい なかった私は、比べようがありませんでした。ですので、同級生のお母さんと聾学校の見学をしたい という意見をあげ、見学させていただきました。 施設では、「聾学校は、手話中心ですよ。」と聞いていたので、どのような授業風景か大変興味が ありました。人工内耳の子供さんもいて、補聴器や人工内耳を使って音声で会話をしている子供さん がいることにびっくりしたことを覚えています。私の最初の固定観念をくずしてしまうくらい、子供 たちの伸び伸びとした様子、いきいきとした様子、音声の理解ができていることに驚きました。 2 歳児には、進路を考える時期です。聾学校か健聴児さんと同じ幼稚園に通い施設に通園するか。そ の進路は、大切な時期をどう過ごすかによって、言葉の発達、日本語の発達、そして子供の心の発達 に影響するだろうと思っていました。ですので、3 歳の誕生日から健聴児さんの通う幼稚園に通園さ せ、考えてみることにしました。重度の難聴児を受け入れてくれる幼稚園は少なかったです。まして は、人工内耳という一般では聞かないものを付けているというだけで断られることもありました。そ して2歳児のクラスがあるところ。というのも選択肢の幅を狭めました。ですが、ようやくA幼稚園 が受入れてくれ、通園も順調にしていて、保護者の方や園長先生も手話を覚えてもらい、本人も楽し く過ごせるのではないかと思っていました。ですが、通園し初めて 3 か月後、本人は、その場の状況 がつかめず戸惑った場面があったらしく、「行きたくない」と泣くようになりました。 それから、くまろうクラブを通じて、幼稚園の様子を相談し、幼稚部の教育方法、コミュニケー ション方法について聞くにつれ、先生の話に吸い込まれてしまいました。このような機会に出向くこ とで、情報収集ができます。進路も、子供の成長、将来を考えて一つの情報だけではわからないし、 自分の目で確かめることが大切だと思いました。 またオムツに関しても不安が募るばかりでした。オムツはずしの練習をし始めたとたん、おしっ この回数が減り、オムツをしているときにだけしかおしっこをしないという状況を聾学校の先生に話 すと、入学して5月頃にははずれます。遅くとも夏が終わるころまでには!という自信。半信半疑で した。うちの神経質な娘が???? 見事に5月に入り、トイレができるようになったのです。本人の自信にもつながりました。私は、 身辺自立が難しいのではないかという不安がなくなってしまいました。これは、心の安定なのでしょ うか?教育方法も今までとは違った環境であったため、聾学校に入学した時はびっくりしましたが、 娘の気持ちも安定し、手話や音声で話している人をよく見ています。そして、最近の変化では、聴覚 活用もできはじめました。彼女なりのゆっくりとした性格で成長してくれています。他にも毎日の絵 日記からいろいろと習得でき、言葉、聴覚活用につなげられています。「今日、明日、昨日」の意味 が分かるようになり音声でも私たちが聞き取れるようになりました。また、果物名や野菜名、日常使 う物などは、音声のみ(口形を隠して)で聞き取れています。聾学校では、経験、体験が多く、より 子供に印象が残りやすく、きちんと理解したうえで活動ができています。そして、場所を伝えてもよ くわからない。どこに行くのかもわからない娘でしたが行先も理解し、自分でも行きたい場所の理解 もでき、買いたい物の品物、品数もわかるようになりました。 そ れから、お友達の名前も指文 字と音声でも伝えられ、先生の名前も覚え理解しています。「危な い!」「間違えた!」「しまったぁ」「いまから、○○をはじめます」「おかあさんとおとうさんとA、 3にん」などもこの数カ月で言えるようになりました。毎日の見通しを持った生活の中で、日々の成 長が見られることを嬉しく思っています。 3 歳児クラスは、娘を入れて 3 人。3 人はけんかしながらも刺激し合える環境とお友達と理解し通 じ合える環境のようで、毎日が楽しそうです。先生方の目が行き届く環境の中で伸び伸びと育ってい ます。これからの娘の成長が楽しみでなりません。 平成20年 11月(平成20年度入学 赤組 3歳児 保護者)