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被災地の薬局・調剤に関する事項

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被災地の薬局・調剤に関する事項
Á
日薬・薬剤師賠償責任保険の取扱い
日本薬剤師会の薬剤師賠償責任保険は、被災地での救護活動における誤調剤にも適用される。
被災地で調剤等の業務に当たる薬剤師は、薬剤師賠償責任保険の薬剤師契約に加入することが望
ましい。
Â
二次災害に対する補償
被災地において救援活動を行う際に、余震等により薬剤師が被りかねない二次災害に対する補
償については、薬剤師会が都道府県等の自治体と協力協定を締結する際に、十分協議を行ってお
く必要がある。
なお、新潟県中越地震の際に活動した薬剤師は、薬剤師会のボランティア募集の呼びかけに応
じた自発的な意志によるものであった。したがって、災害救助法に基づく従事及び新潟県との協
定に係る派遣要請に基づく活動には当たらないため、ボランティア活動中のけがや賠償責任に対
する補償を受けられるものではなかった。このため、新潟県薬剤師会では、県内外を問わず全て
の薬剤師ボランティアを対象に、全国社会福祉協議会を保険者とするボランティア活動保険「天
災タイプAプラン」への加入手続きを行った。
●災害時ボランティア保険
災害時ボランティア活動保険の契約は、全国社会福祉協議会が行っている。上記のように、災
害時に被災地の都道府県薬剤師会が一括して対応する場合もある。個人で保険に入るには、居住
地の市区町村の社会福祉協議会(市区町村社協)に連絡する。保険に関する問い合わせは、㈱福
祉保険サービス(電話:03-3581-4667)まで。
【被災地の薬局・調剤に関する事項】
¸
調剤を行う場所について
薬剤師法第22条では、薬剤師が調剤を行う場所は薬局を原則としているが、同法施行規則第13
条では、「災害その他特別の理由により、薬剤師が薬局において調剤することができない場合に
は、法第22条 本文の規定は、適用しない」とし、調剤の場所の特例を設けている。したがって、
災害発生時には、薬剤師は災害現場で調剤を行うことができる。
¹
患者が処方せんを持参できない場合の保険調剤の取扱いについて
住家の全半壊等により、服薬中の薬剤を滅失した被災者が、処方せんを持参せずに調剤を求め
てきた場合については、以下の要件のいずれにも該当する場合には、保険調剤として取り扱って
差し支えないとの解釈が、新潟県中越地震に際して厚生労働省より示された。
ア.交通遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を
受けることができないものと認められること。単に当該患者の主治医が診療していないとい
うだけでは認められないこと。
イ.電話、処方せん以外のメモなどで医師からの処方の内容が確認できること。また、医療機
関と連絡がとれない場合であって、処方内容が安定した慢性疾患であることが薬歴などによ
って明らかな場合についても認めるが、その場合にあっては、事後的に医師に処方内容を確
認するものとすること。
ウ.必要最小限の調剤であること。
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º
救護所等で交付された処方せんの取扱いについて
救護所等で診療を行った医師が発行した処方せんの取扱いについて、阪神・淡路大震災の際に
は、次のような解釈が厚生労働省より示された。
ア.被災地の保険薬局が保険医療機関の記載がない処方せんを受け付けた場合、その処方せん
が救護所、避難所救護センターなどで災害救助法に基づく医療の一環として交付されたケー
スでは、調剤報酬は救護所の設置主体である県市町村に請求すること。
イ.当初の混乱等などにより、処方せんを交付した場所が救護所、県救護センター、あるいは
その他の保険医療機関以外の場所であることが明らかでない場合については、保険調剤とし
て取り扱って差し支えないこと。
»
患者が被災により被保険者証、健康手帳等を提出できない場合等の取扱いについて
医療機関では、被災患者についても原則として被保険者証等により、被保険者の資格確認を行
うこととするが、患者が被保険者証、健康手帳等を提出できない場合には、次のような取扱いと
することが阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際には厚生労働省より示された。
ア.被用者保険の被用者等にあっては氏名、生年月日、事業所名
イ.国民健康保険の被保険者及び老人医療受給対象者にあっては氏名、生年月日、住所
を患者から申告を受けた上で受診取扱いを行うこと。
薬局において、保険者番号及び被保険者証等の記号・番号が記載されていない処方せんを
受け付けた場合は、処方せん及び患者の申告により、上記の事項を確認すること。
また、新潟県中越地震に際しては、「関係書類等を消失あるいは家屋に残したまま避難してい
る等により、医療機関において公費負担医療を受けるために必要な手続きをとることが出来ない
場合においても、当面、各制度の対象者であることの申し出、氏名、生年月日、住所等の確認で
受診できること」等の取扱いが厚生労働省より示された。
¼
一部負担金等の取扱いなどについて
阪神・淡路大震災に際しては、震災発生日現在、災害救助法の適用市区町村に住所を有してい
た者であって、次のいずれかに該当する者については一部負担金が一定期間免除された。
ア.住家が全半壊、全半焼またはこれに準ずる被災者
イ.主たる生計維持者が死亡、または重篤な傷病を負った者
また、新潟県中越地震に際しては、①健康保険組合においては、保険者の判断により保険者の
納付猶予を行うことができること、②国民健康保険においては、保険者の判断により一部負担金
及び保険料の減免及び徴収猶予ができること、③老人保健においては、一部負担金の減免を行う
ことができることが、厚生労働省より示された。
(注)一部負担金の減免・猶予は平成18年9月から健康保険及び船員保険にも拡大された。
(健康保険及び船員保険における一部負担金等の徴収猶予及び減免の取扱いについて
(平成18年9月14日付 保保発第0914001号.厚生労働省保険局保険課長通知))
½
調剤報酬の請求について
被災地の保険薬局が調剤録を焼失した場合等の調剤報酬の請求については、阪神・淡路大震災
及び新潟県中越地震の際には、概算請求(過去3カ月の平均診療報酬支払額と、当該月の外来診
療実日数を勘案した請求額とする等)の取扱いが厚生労働省から示された。(但し、災害医療法
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の適用となる医療については、調剤報酬支払いの対象とならない。)
また、新潟県中越地震の際には、被災した保険医療機関については、診療報酬請求期限の延期
ができる取扱いが厚生労働省より示された。
¾
保険薬局の建物が全半壊した場合の取扱いについて
阪神・淡路大震災及び新潟県中越地震の際には、保険薬局が全半壊した場合において調剤を行
う場合、継続性が認められる場合には、仮設の保険薬局における調剤も保険調剤として取り扱う
との解釈が示された。
¿
介護保険に係る対応
新潟県中越地震の際には、①被災者が介護保険の被保険者証を提示できない場合であっても利
用可能とする等の対応方針や、②介護保険サービス利用手続き等に関する留意事項、利用者負担
の減免、保険料の徴収猶予・減免等の措置が厚生労働省より示された。
À
処方せん医薬品の販売
「処方せん医薬品等の取扱いについて」
(平成17年3月30日付 薬食発第0330016号.厚生労働
省医薬食品局長より都道府県・政令市・特別区宛)により、処方せん医薬品については平成17年
4月1日より、正当な理由なく医師等の処方せんなしに販売を行ってはならないこととされた。
但し、同通知においては「『大規模災害時等において、医師等の受診が困難な場合、又は医師等
からの処方せんの交付が困難な場合に、患者に対し、必要な処方せん医薬品を販売する場合』、
『地方自治体の実施する医薬品の備蓄のために、地方自治体に対し、備蓄に係る処方せん医薬品
を販売する場合』などは、医師等の処方せんなしに販売を行っても差し支えない」との解釈が示
されている。
なお、今後再び大災害が発生した場合に上記¹∼¿と同様の措置がとられるかどうかは、災害
の規模等にもよるため、災害発生時にはこれらの取扱いについて薬剤師会を通じて県市区町村に
確認する必要がある。
【海外での大災害発生について】
海外で災害が発生した際に救援医療援助を行う団体としては、国境なき医師団(MSF)があ
る。国境なき医師団は1971年にフランスで設立された非営利の国際的な民間医療・人道援助団体
であり、医師・看護師・助産師・薬剤師等を派遣し、さまざまな救援活動を行っている。
国境なき医師団日本は1992年に設立され、武力紛争地域、難民キャンプ、開発途上地域等へ
の医療チームの派遣、派遣前準備研修、寄付金の募集、必須医薬品キャンペーン等を行っている。
●国境なき医師団日本
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-3-13
電 話:03-5337-1490
FAX:03-5337-1491
ホームページアドレス:http://www.msf.or.jp/
開局時間:月∼金10:00-18:00(土日、祝日休)
なお、海外での災害時に支援物資として医薬品を送ることは、有効活用されないことや残置薬
の廃棄に費用がかかることなどから、WHOは適当ではないと指摘している。
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