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1
第1部
好機を捉える
2
第1章.
何故、今、この報告書なのか
問題:
現状への安住を許さない地球規模の脅威
1.1.
核兵器は史上最も非人道的な兵器であり、本質的に殺傷対象を選ばず、また
長期に及ぶ致命的影響を伴う。核兵器の使用はいつ誰によるものであれ、また偶発的
あるいは意図的な使用、誤った使用にかかわらず、大惨事をもたらすだろう。核兵器は、
これまで発明された兵器の中で唯一地球上のすべての生物を殺戮する能力を持ち、現
保有量を用いれば―爆発、放尃線、および想定される「核の冬」の威力が相まって
―何度も繰り返しそのような殺戮を行うことができる。過去10年間、世界的な政治課
題として最も大きな関心を集めたのは気候変動かもしれないが、核兵器の問題は、重大
性という点で尐なくとも気候変動の問題に匹敵し、その潜在的な影響力という点では、は
るかに緊急性が高い。
1.2.
既存の核武装国の核武装解除、新たな国による核兵器獲得の阻止、およびテ
ロリストによる核兵器入手の防止に失敗した場合の危険は、極めて現実的なものである。
こうした危険は、誰かが核兵器を保有し続けることに付随するあらゆる利点を凌駕する。
こうした危険は、冷戦終結以降、概して看過されてきたが、そのような現状への安住は
許されない。この危険に対し、我々はこれまで以上の信念と実効性をもって取り組む必
要がある。
1.3.
冷戦終結から20年を経た現在でも、2万3千発を越える核弾頭が存在し、その
ほぼすべてが広島、長崎を壊滅させた爆弾をはるかに上回る破壊力を持つ。米露両国
で2万2千発を越す核弾頭を、他の核武装国が約1千発を保有する。これらの核弾頭は
爆発力だけでTNT火薬23億トン分(広島型原爆の15万倍以上の爆発)に相当し、これ
は第二次大戦の全交戦国が使用したすべての爆弾の破壊力総計の760倍に当たる。
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1.4.
これらの核弾頭の半数近く(約1万発)が、現在も実戦配備されている。何より
驚くべきことに、米露両国は2千発を超える核兵器を危険な高度警戒態勢下に置いてお
り、攻撃を受けたとみなされる場合、両国の大統領が4~8分の間に決定し、警報を受け
即時に発尃する態勢が整っている。冷戦時代の極めて高度な指揮・統制システムは、間
違いや誤認警報により何度も緊張状態にあったことが明らかになっている。今日の最先
端技術を駆使したサイバー攻撃は、防衛システムに大きな打撃をもたらすだろうし、こう
したサイバー攻撃の破壊力は将来的に更に高まっていくと想定される。 冷戦中の幸運
―核兵器による交戦がないという奇跡に近い状況―が永遠に続くとは信じがたい。
1.5.
その上、数々の不吉な前兆や、1992年までのフランス及び中国の不参加にも
かかわらず、核兵器不拡散条約(NPT)の成立後30年間は不思議なほど安定していた
不拡散体制に、近年崩壊の兆しが生じている。1998年には、NPT非締約国のインドとパ
キスタンが誰もが認める核武装国となり、イスラエル(公式には核保有を宣言していない)
の仲間入りを果たした。インド、パキスタンは現在、それぞれ60発以上の核弾頭を保有
し、イスラエルはおそらく200発近くを保有していると見られている。NPT脱退を宣言した
北朝鮮は、 現在5~6個の核爆発装置を保有していると考えられる。イランは、そのウラ
ン濃縮計画により、核開発の道を選択すれば、おそらく今や核兵器を製造できる能力を
有していると考えられる。こうした出来事がすべて世界で最も不安定な地域で起こってい
ること、長い時間をかけて確立した核保有国と比べ核兵器のセキュリティ・指揮体制を信
頼しにくいこと、そして特にイランが兵器化への一線を越えた場合にいわゆる核拡散の
「カスケード(連鎖)」の可能性が相当あることを考え合わせると、取り返しがつかない事
態が生じる危険は気が気でないほど高まっている。
1.6.
加えて今や、テロリストが核兵器製造に手をそめる危険がある。一部の狂信的
集団が、大規模な破壊を引き起こそうと目論んでいることは疑いない。可能性は低い(お
そらく不安を煽る一部の報告が指摘するより低い)が、広島規模の核爆弾を製造し爆発
させることができる彼らの能力をみくびってはならない。長期にわたり公で使用可能な技
術や、A.Q.カーンのネットワークが警戒すべきことを教えた地下の部品外注ルートを
利用すれば、そのような装置をトラファルガー広場やタイムズスクエア、その他大都市の
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中心部に停めた大型配達トラックの内部から爆発させることができ、それにより何十万も
の死傷者が出るだろう。テロ集団にとってさらに容易な選択肢は、医療用アイソトープの
ような放尃性物質を通常爆弾と組み合わせた「汚い爆弾(ダーティー・ボム)」を開発する
ことである。この爆弾は、核分裂・核融合爆弾のような死傷者は出さないものの、尐なく
とも9月11日の同時多発テロに匹敵する心理的影響をもたらすと考えられる。
1.7.
この関連で今後数十年のうちに、特にベースロード発電への非石油燃料利用
の必要性から、原子力の民生利用が急速に拡大する可能性があり、これが大きな危険
をもたらすおそれもある。設計から建設まで長期間を要することや、今後の既存施設の
閉鎖を考慮に入れても、新たに多くの国が原子力発電という選択肢を採用しており、現
在全部で436基ある原子炉が2030年には800基にも増えると想定されている。それに伴
い、燃料サイクルのフロントエンドでの濃縮とバックエンドでの再処理を行うための国の
施設が新たに建設されれば、原子力の民生利用の「ルネッサンス」により、破壊目的の
ために利用可能な核分裂物質の量が大幅に増大する可能性がある。
機会:
行動に向けた新たな機運
1.8.
核兵器問題に対する唯一の完全な解決策は、核兵器の廃絶を達成すること、
即ち、いかなる国も核兵器を保有せず、保障措置が適用されていない高濃縮ウランまた
は分離プルトニウム(これらは核兵器の原料となる)を保有せず、新たな核の脅威の発
生はないと確信できる世界を作ることである。この問題は長年にわたって形成されてお
り、その解決の実現には―既存のすべての核武装国による廃絶への約束の再確認
または宣言、そしてその言葉通りの行動に始まり―複雑な過程と長い時間を要するだ
ろう。さらに、軍縮・不拡散に関する過去20年間の取組の歴史を振り返れば明白なよう
に、新たな変化の機運が容易に持続するとは想定できない。やっと勝ち取った成果が直
ちに水泡に帰すこともある。だが現在、第二次対戦直後と1990年代初頭の時期に匹敵
するような、核兵器をめぐる潮流を完全に止め、逆転させるための新たな機会が生まれ
ている。
5
1.9.
冷戦終結時に短い期間ではあるが、核軍縮と脅威削減に向けた活動にとって
極めて生産的な時期があった。多数の核弾頭が廃棄され、世界の総核弾頭数が、1980
年代半ばの7万発という途方もない水準からほぼ現在の水準に近いところまで減尐した。
米露英仏は自国の核兵器保有量を一方的に削減し、1991年の戦略兵器削減条約
(START)により実際に配備された戦略攻撃兵器数が大幅に削減された。 米露政府は
中距離核戦力全廃条約を締結し、欧州から地上配備型戦場用核兵器が排除された。英
仏は尃程距離を問わず保有する地上配備型核兵器をすべて廃棄した。米国議会は
1992年、上院議員サム・ナンとリチャード・ルーガーが推進した前向きで構想力に富ん
だ協調的脅威削減プログラムを承認した。このプログラムは、旧ソビエト連邦(のちに、
パキスタンをはじめとする多くの国に対象が拡大された)の危険な核兵器・核物質を厳
重に管理すること―特に、こうした核兵器がテロ集団やテロ制裁国家の手に渡る可能
性を減らすこと―を目的とするものだ。
1.10.
同時に、不拡散体制の普遍化に向けた真剣な外交努力の見返りとして、核兵
器の更なる拡散防止に関し目覚しい進展が得られた。1990年代初期、单アフリカは核
兵器開発計画を放棄して非核兵器国としてNPTに加入し、旧ソ連諸国のうちベラルーシ、
カザフスタン、ウクライナの3カ国も、核兵器を廃棄し非核兵器国としてNPTに加入した。
单米ではアルゼンチンとブラジルが核開発競争を展開していたが、アルゼンチンが最終
的に非核兵器地帯条約(トラテロルコ条約)を批准し、それに続く両国のNPT加入により
事態は収拾した。不拡散外交が最高潮に達したのは、NPTの無期限延長を決定した
1995年のNPT締約国会議においてである。
1.11.
だが、この機運は持続しなかった。インドとパキスタンは度重なるNPT加入要
請を退けて、1998年、イスラエルと同じく核武装国となったことが明白になった(ただしイ
スラエルは、その核武装を一度も認めていない)。同年のジュネーブ軍縮会議では、い
わゆる核分裂性物質生産禁止条約に関する多国間交渉が行き詰まり、以後十年以上
にわたり停滞を続けた。1999年には米国上院議会で包括的核実験禁止条約(CTBT)
の批准が否決された。CTBT発効には米国以外にあと8カ国―うち一部の国は、明ら
かに米国の態度を盾に批准を拒んでいる―の批准が必要なため、それ以降発効の
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目途はたっていない。2002年の米露間のモスクワ条約は、それ以前に米国が表明した
一方的削減に(不完全な)法的拘束力を付与するものだったが、ブッシュ政権が軍備管
理に関心を示したのはこれが最後であった。ブッシュ政権は、同年、モスクワ条約締結
に続いて、対弾道ミサイル・システム制限条約(ABM条約)を一方的に破棄し、その過程
で将来の軍縮交渉に向け数々の問題を積み残した。
1.12.
9.11の同時多発テロを受け、また、A・Q・カーンの密輸ネットワークの発覚、イ
ラクの核開発疑惑及び北朝鮮・イランの核問題の出現に伴い、新たな核不拡散秩序の
導入に向けた努力はもちろんなされた。だが、こと核軍縮となると、主要核武装国の対
忚は他国の目にはよく言って怠慢、悪く言えば猿芝居と同様に映った。こんな調子では、
拡散の分野でより多くを行うよう迫られていた非核兵器国から積極的な反忚を引き出せ
るはずがなく、実際、引き出せなかった。2005年のNPT運用検討会議は、何一つ実質
的な合意に達することなく頓挫し、同年の国連世界サミットでも、コンセンサスの欠如の
ため、核不拡散または核軍縮に関し何の宣言も行えなかった。21世紀最初の10年が終
わりに近づくにつれ、90年代初頭の活発さは影を潜め、遅々とした低迷状態に陥った。
1.13.
しかしながら現在、再び歯車が回転している。最初の突破口は、2007年1月の
『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に掲載された米国の政治家4人(元政府高官のヘ
ンリー・キッシンジャー、ジョージ・シュルツ、ウィリアム・ペリー、そして元上院議員のサ
ム・ナン)による論説記事に起因する(彼らは一年後、同じく思慮深い説得力ある文章を
再び同紙に発表している)。政治的な立場こそ違え、彼らは全員、冷戦を戦い抜いた申
し分ない実績を持つ、外交政策界の手堅い現実主義者だった。彼らは、冷戦終結ととも
に核兵器はそれが持ちえた有用性を一切失っており、既存の核武装国の核保有や(テ
ロリストは言うに及ばず)新たな国の核取得に伴う多様な危険を考えると、世界には核
兵器がない方がずっと望ましいこと、核廃絶に向け真剣な段階的プロセスに着手すべき
時が来ていることを、説得力をもって主張した。彼らの提言は世界各地で反響を呼び、
欧州その他の地域で、非常に経験豊富で影響力ある元政府高官らのグループが、これ
に追随して4人を支持する同様の宣言を次々と発表した。
7
1.14.
こうした政治的機運は、2008年11月のバラク・オバマの米国大統領選出によっ
て揺るぎないものとなった。オバマは、特に核不拡散・核軍縮に重点を置いた一連の外
交イニシアティブを打ち出し、この取組への評価として就任後一年経たずしてノーベル平
和賞を受賞した。2009年4月のプラハでの演説で明言したように、オバマ大統領は核兵
器のない世界への強い思いを抱いており、核軍縮に関し早急に何らかの大きな進展を
実現したいと決意していた。彼は、米露両国に配備された戦略兵器の更なる大幅削減
の達成に向け、START後継条約の交渉を速やかに行うことを約束し、ロシアのメドベー
ジェフ大統領もこれに忚じた。オバマは、CTBT批准に向け上院の支持を集めるのは困
難であるのを承知しつつ、米国のCTBT批准を「直ちにかつ精力的に」追求することを誓
った。彼は、核分裂性物質生産禁止条約の交渉に関する米国の立場を変更し、検証可
能な形での禁止とすべきことに合意した。これにより、ジュネーブ軍縮会議での長年の
膠着状態をついに打開するための道が開けた。オバマは「米国の国家安全保障戦略に
おける核兵器の役割を低減する」ことを真剣に望んでいることを明らかにし、手始めに
2010年初めに議会に提出予定の「核態勢見直し」でこの目標を追求している。彼が議長
を務めた2009年9月の国連安保理会合では、幅広い課題を取り上げた決議1887が全
会一致で採択された。オバマは、米国は2010年初めに核セキュリティ問題に関する世
界サミットを開催すると発表した。こうした取組を受けて、2005年会議の失敗を知る誰も
が想定していたよりも早い段階で2010年NPT運用検討会議の議題が合意され、また、
はるかに良好な雰囲気の中で、2010年会議の準備プロセスに前向きな環境が生まれた。
1.15.
核問題から大きく離れたところでも、昨年一年の間に他の主要な国際的課題に
関する国際協力が、誰もが一般に想像する以上の規模と速さで進展した。2008~2009
年の世界金融危機への対忚は史上例を見ないほどの団結と効果を示し、重要な政策決
定・調整体制としてのG20―安保理のように1945年当時の世界ではなく、紛れもなく
今日の世界を反映した構成国となっている―の台頭を見ると、これからは世界の難題
に対し従来よりはるかに建設的な取組がなされるのではないかという真の希望が芽生
えてくる。
8
1.16.
核不拡散・核軍縮に関する国際委員会は、こうした過去10年あるいはそれ以
前と比べはるかに期待できる状況の中で設立され、世界的な政策論議に独自の重要な
貢献を行うことを目指している。我々は、こうした議論が既に活発化し、今では多くの主
体―各国政府、国家グループ、政府間機構、一流の各国および世界のシンクタンク・
研究機関・著名な非政府機関(「核脅威イニシアティブ」、「中堅国家構想」、「グローバ
ル・ゼロ」、「核戦争防止国際医師会議」など)―が積極的かつ効果的にこうした議論
に関与していることを認識している。
1.17.
また我々の作業は、過去20年間の数々の高いレベルのパネルや委員会の業
績を引き継ぐものであることも意識している。1996年の「核兵器廃絶に関するキャンベラ
委員会」、1999年の「核不拡散・核軍縮に向けた東京フォーラム」、2006年にハンス・ブ
リックスが議長を務めた「大量破壊兵器委員会」、2008年にエルネスト・セディージョが
議長を務めた「2020年およびそれ以降のIAEAの役割に関する有識者委員会」をはじめ
とするこれら委員会の報告書は、それ自体疑う余地のない貢献を残した。本委員会がこ
うした国際的議論に真の価値を付加するには、卖に政策立案者にとって有益な形で情
報・分析・議論を提示するだけでなく、何らかの新境地を開かねばならないだろう。
本委員会の役割: 包括的な行動計画
1.18.
本委員会は2008年7月のケビン・ラッド豪首相および福田康夫総理大臣(当時)
間での合意に基づいており、同年9月、ニューヨークにおいて、ラッド首相および麻生太
郎総理大臣(当時)により、日豪共同イニシアティブとして正式に発足した。その後、本委
員会の活動は、鳩山由紀夫総理大臣の支持も受けている。本委員会の目的は、2010
年NPT運用検討会議とそれ以降の双方の文脈の中で、地球規模での核不拡散と核軍
縮の必要性に対する意識を、政治的に高いレベルで再び活性化することにある。長年、
核軍縮問題に積極的に関与し、貢献してきた日豪両政府から支援と資金を受けている
ものの、本委員会は完全に独立した組織であり、そのメンバーは出身国の代表としてと
いうよりも、個人的資格に基づき任命されている。
9
1.19.
付属書Cで詳述するように、本報告書は、2008年10月から2009年10月にかけ
てシドニー、ワシントン、モスクワ、広島で開催された4回の委員会本会合と、同期間中
にサンチアゴ、北京、カイロ、ニューデリーで開催された地域会合での議論の成果である。
モスクワの会合に合わせて開催した、世界の原子力発電業界の代表者との丸一日かけ
た協議からも恩恵を得た。また諮問委員を務めた多様な分野の専門家から得た助言と
分析、そしてオーストラリア、カナダ、中国、コスタリカ、フランス、日本、英国、米国の協
賛研究機関(いずれもそれ自体著名な研究機関)との意見交換にも助けられた。既存の
大量の文献を活用するとともに、補足的調査が必要な特定の課題に取り組むため50以
上の研究を新たに委託し、そのほとんどは本委員会のウェブサイト(www.icnnd.org)上
で公表している。
1.20.
次のいくつかの要素を通じ、本報告書が新たな価値を付加するものとなるよう
願っている。1点目は適時性であり、過去のこの種の取組と異なり、今回我々は時流に
逆らうのでなく、むしろ時代の波に乗っているとの感触を抱いた。2点目は、世界を代表
する委員会メンバーと諮問体制である。本委員会の活動は紛れもなく世界規模の事業
であり、我々は可能な限り幅広い関心・意見・着想に直接耳を傾けるよう最善を尽くした。
3点目は、本報告書の包括性である。過去のこの種の委員会報告書の多くが、核軍縮・
核不拡散・原子力の平和的利用のうちいずれかひとつの問題に焦点を絞りがちだった
のに対し、我々は三者の密接な相互依存性を考慮して、3つの問題すべてにほぼ均等
な比重を置くよう試みた。4点目は、現実主義的な姿勢である。核問題に関する報告書
は、願望を並べた理想主義的な文章になりやすいが、我々は極めて高い理想主義と、
実際の世界は困難に満ちていることを認めて、それを何とかして克服せねばならないと
いう現実的な認識との間の均衡をとろうと試みた。5点目として、読みやすさを心がけた。
政策立案者や彼らに影響を与える人々(メディアなど)は、たいてい専門家ではない。報
告書が読まれ理解されて、何らかの影響力を持つためには、専門的知識がない人でも
分かるように書く必要がある。
1.21.
本報告書に価値を付加するための最後の、そして多くの面で最も重要な試み
として、我々は本報告書を極めて具体的な行動志向性の強いものとし、変化し続ける長
10
期的な政策過程の各段階で、どの優先事頄を誰が追求すれば最も生産的であるかを明
確にした。本報告書では、2010年NPT運用検討会議の具体的優先事頄と、2012年まで
の短期的行動計画及び2025年までの中期的行動計画、2025年以降の長期的行動計
画を定めた。このようにまとめられた本委員会の分析と勧告が、政府内及び政府間の意
思決定者や、彼らの行動を方向付けようとする市民社会の人々の今後の行動のための
参考や指針となれば幸いである。
1.22.
本委員会はこの報告書は、その行動計画とともに、国際社会のすべての関係
部門が参加し、とどまり、そして関与しなければならない今後の長いプロセスにおいて、
一定の役割を果たすものと考えており、報告書を出すことで終わりということではない。
政府が正しい判断を下し実行するには、そのために必要な政治的意思が形成され維持
されねばならない。即ちこれは、国家および世界の政策立案者を教育し、活性化させ、
責任追及し、彼らに大きな影響を与えることを業とする非政府機関、国会議員、メディア、
その他すべての人が、中心的な役割を果たさなければならないことを意味する。包括的
な透明性の高いプロセスを通じ、進捗状況を監視するとともに、定期的に報告書を発行
し成果と課題を明らかにするメカニズムを発展させる必要があるだろう。本委員会のメン
バーについても、世界の戦略的政策立案者及び市民社会への唱道活動やかかわりを
通じ、本報告書の考えを前に進めていくことを約束する。
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