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エクアドル・ALE Children`s Hospital (PDF:697KB)

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エクアドル・ALE Children`s Hospital (PDF:697KB)
中長期ボランティア・エクアドル
ALE, Children’s Hospital
事業報告書
~目次~
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
はじめに
事業の概要
参加者・協力者
活動期間中の日程
事業のねらい、ワーク、その成果
ワーク以外の活動
生活
自分自身の変化
提案と今後の構想
終わりに
名前
: 三澤 茂毅
活動期間: 2010/10/18~2011/3/25
1)はじめに
「途上国を巻き込んだビジネスがやりたい」という風呂敷を広げて大学に入り、今回のような活動をや
りたいと思いつつ、アクションを起こさないまま 3 年生になっていた。今回参加を決意できたのはいわゆる
就活というものが迫ってきて、経験やスキルを身に着けたいという、不純かつネガティブな思いがきっかけ
になったから。友達からは「偽善か!」と突っ込まれたりもした。ただ、半年間の活動を終えた今、理由が
何だろうと現地に行って本気でやって、それで自分にとっても一生物になる経験ができるのであればいいと
思える。地球の反対側に行ったら理由なんて小さいことは忘れて、自分なりに一生懸命取り組むことができ
た。そして最後には「帰るなよ」
「うちの息子になってずっといてくれ」と言ってもらえた。自分にとっても
現地にとっても本当にかけがえのない半年にできたと感じる。
2)事業の概要
2-1)事業名
Children’s Hospital
2-2)開催期間
2010 年 10 月 18 日~ 2011 年 3 月 25 日(約 150 日間)
2-3)開催地
エクアドル・キト
2-4)事業目的
① 病院にいる子どものサポート
2-5)参加者
*共に活動したボランティア: 6 ヶ国 9 名
*様々な形で参加した住民 :約 20 名
詳しくは、
「3)参加者と協力者」を参照
2-6)ワーク内容
① 入院している子ども、通院してくる子どもと遊ぶ、勉強を 教える
② イベントの企画・実施
③ ドネーション
2-7)他の活動
語学学習
日本紹介
学校でのボランティア活動
2-8)生活方法
宿泊:学生寮・ホームステイ・ホステル
食事:自炊・外食(ホームステイを除く)
2-9)言語
スペイン語。他の海外からのボランティアとは英語の場合も
3)参加者・協力者
3-1)共に期間中活動したボランティア(女
姓名:難しい場合ふりがな
Monica
Maria
Gradis
Emilio
在住地
エクアドル
エクアドル
エクアドル
エクアドル
性
女
女
女
男
Vaga
Denise
Alex
Allie
Abbey
オーストリア
〃
ドイツ
アメリカ
イギリス
女
7 名:男
年
男
女
女
2 名)
職業(専攻)
学生
学生(スペイン語)
学生(スペイン語)
学生
学生(生物学)
学生(経済学)
備考
病院専従のボランティア
〃
〃
高校生ボランティアグループ
の引率をしている
双子の姉妹
双子の姉妹
コスタリカで同様の経験有
3-2)協力団体・協力者の方々
・ Ludoteca de Hospital del Niño Baca Ortiz(自分が主に一緒に活動していた院内ボランティア団体。
プレイルームが活動拠点)
・ Damas Voluntario de hospital del Niño Baca Ortiz(院内ボランティア団体。寄付金やオモチャのド
ネーションの受付になっている)
・ Restaurante “Tipico Locro”(協力してくれたレストラン)
・ Estudiante de Instituto de Mañuela Cañizalez(病院近くの高校生たち。週に一回プレイルームで子
どもの世話をしてくれた)
4)開催中の日程と出来事
4-1)大まかなスケジュール
月
10
11
12
1
活動内容
スペイン語の学習
ワークのオリエンテーション
重点事項
スペイン語が話せるように
ワークに慣れる
出来事
到着
ホームステイ開始
子どもと遊ぶ、勉強を教える
病室を回って一人でも多くの子と 日本語の家庭教師をする
(以後ベースとなる内容。以下の 接することができるように
内容はプラスα)
(自分の健康管理はしっかりと) ちょっとした事件に遭う
クリスマスイベント
どうしたら最もクリスマスを楽し ホステルに移る
ませられるか
クリスマス休暇
新年・子どもの日イベント
他のボランティア活動から参考に 地方の学校にてワーク
友人のワーク訪問
して還元できるものはなにか
2
ドネーション企画・提案
とにかく話し合って案を練る
3
ドネーション企画・実施
協力してくれる人たちと話し合い
を進める
本の読み聞かせ
4-2)基本的な週間スケジュール
基本的に毎日のスケジュールは大きくは変わら
ない。この団体が主催するワークは全て月~金が
ワークで土日は休日となる。
曜日
月
予定
活動日
活動内容
病院でのワーク
火
活動日
病院でのワーク
水
活動日
病院でのワーク
木
活動日
病院でのワーク
金
活動日
病院でのワーク
土
休日
自由行動・学習
日
休日
自由行動・学習
4-3)基本的な1日のスケジュール
このワークは本来午前か午後どちらかだけで
いいよと団体からは言われており、自分はただやり
たいから終日やっていた。ワークの後は遊びに出か
けたり、勉強したりと全くの自由。
時間
8:00
行動
起床
9:00
病院へ
13:00
19:00
午前ワーク終了
昼食
午後ワーク終了
帰宅
夕食
22:00
就寝
16:00
5)事業のねらいワーク、その成果
5-1)本事業のねらいと背景
本事業の目的は主に、以下の3つである。
① 病院の子どもたちの精神的サポート
② 病院の子どもたちの金銭的サポート
それぞれの背景は、以下の通りである。
① Baca Ortiz 子ども病院はエクアドルの首都キ
トにある子ども病院で、大勢の子どもが入院、通院
している。特に入院している子は普段とは違う環境
に置かれることで精神的に不安定になる。ふさぎ込
んだり、つまらなさそうにしているといった状況は
日本と同じだ。違うのは、日本なら我が子が入院す
れば両親は飽きさせないようにオモチャや本を色々
持ってきてくれるし、大抵は自宅近くの病院に入院
し、友達も見舞いに来てくれたりする点。経済的に
苦しく、家が遠くにある子もたくさんおり、両親は
病院に滞在しているが、ネガティブな空気が漂って
いる。
また、院内学級のようなものはなく、入院中はま
ったく勉強する機会がなく心配している親もいる。
② 一応、エクアドル政府としては病院に対して十
分な支援を行っており、金銭的な援助はこれ以上必
要ないと考えているようだ。しかし、実際は資金の
問題で薬代が払えない、手術費が出せないという家
庭は多く、それだけのために失われてしまう命もあ
るのが実情だ。Baca Ortiz 子ども病院は国内では有
名な子ども病院で、首都であるキト以外からも多く
の子どもが入院、通院している。中にはバスで 10
時間以上かかる町から来て、母親が滞在するのもま
まならないような子もいる。
大きく、有名な病院であるので、多尐の寄付金な
どの援助や滞在施設、食事の支援などはあるが、と
ても行き渡っているとは言えない程度のものである。
5-2)ねらい①への成果
病室、あるいは病院内にあるプレイルームで一緒に遊ぶ、勉強を教えるなどしてコミュニケーションを取
るのがこのねらいへのアプローチであり、毎日の活動の基本となる。また、クリスマスや子どもの日、誕生
日(年明けにある)のような特別な日には楽しませられるようなイベント・パーティーを開催した。このよ
うな日には、支援者の方がオモチャやケーキなどを贈ってくれる。それをサンタクロースに扮してプレゼン
トしたりした。
遊ぶというのは病院にある塗り絵やパズルなどのオモチャや持参したけん玉や折り紙を使っていた。スペ
イン語に慣れてきたら彼らにいつもやっている遊びを教えてもらって一緒にやったり、サッカーが好きとい
う子にはサッカー雑誌を持っていって切り抜きを作ったりした。
主観ではあるが、多くの子を元気にできた。おそらく自分は意識しなくても友達やお兄さんのように接
することができてしまうのだろうと思う。この部分は思ったこと、感じたことを述べるほうが良いと思うの
で、最後の“体験エッセイを”見ていただきたい。そこに書いてあるようなことを何人もの子にしてあげる
ことができた。
5-3)ねらい②への成果
大きなターニングポイントとなったのは、現地ボランティアの Monica から「敗血病という病気を患った子
がいて、薬代がかなりかかる。両親はお金が払えず、私たちに相談してきた。方々をあたったが甲斐なくそ
の子は亡くなってしまった」という話を聞いたことだった。重病を患っている子のセクションには立入が禁
止されていたこともあって、自分がそれまで接してきた子は比較的症状の軽い子であったり、骨折のような
子が多かった。そのような状況に慣れてきていたその時まで、生死を意識できていなかった。この時からよ
うやくそのことについて考えられるようになった。
自分が活動していた Ludoteca を含め、病院内にあるボランティアでは支援者からの寄付金を薬代、手術費
として使用できるようにしていた。しかし、必要としている子全てにあげられるほどの額ではなく完全に不
足していた。
そこでチャリティーイベントのようなものができないかと提案した。ちょうど同じ頃、友人と毎週行う Pub
Quiz(Pub のお客さんが商賞品を目指して小額を払い参加するクイズ大会)で得た利益をストリートチルド
レン事業に寄付しているバーに行き、ヒントを得た。そのことを Monica に話すと、Ludoteca の代表者の友
人に良いレストランをやっている人がいるということだった。その方と、自分がよくしていただいた日本食
レストランの方に話を持って行き、協力を依頼した。
予想外だったのが所謂“ラテン気質”
。時間にルーズというのか、事が一向に進まずに苦労した。そのため、
非常に残念ながら自分の滞在中は Pub Quiz であったりあるいはチャリティーパーティーであったりというそ
れまで考えていたアイディアを実行することができなかった。ただ現地ボランティアの Monica や Maria は二
人とも「そんなこと考え付かなかったわ」とでも言うようにアイディアに賛同してくれた。彼女らこれから
もずっと病院で働くので自分が帰国した後も実施を目指してくれている。
自分の滞在中に実行できたことは募金箱を置くことぐらい。1 週間で$10未満と医療費を考えると心許
ない額しかあつめられていなかったので、これからも彼女らと連絡を取り合って発展させていきたい。
6)ワーク以外の活動
6-1)スペイン語学習
本ワークでは基本レベルのスペイン語が求められ
る。現地団体の母体が語学学校なので、そこで数週
間の授業を受けてから始められる。
自分はスペイン語スキルの向上が大きな目標の 1
つだったので、学校での学習が終わってからは、自
主学習と友人・現地ボランティア・ホストファミリ
ーなどに教えてもらい、かなりしっかり勉強した。
6-3)地方の学校での活動
ワークで知り合った人からキトから離れた先住民
系の人が多く住む村の学校でのボランティア活動を
紹介され 1 月後半の 2 週間程滞在した。
アメリカ人が所有する先住民系の子が通う学校で、
数字、アルファベットから日本でいう小学生低学年
レベルくらい?までの勉強を教える。そのほかにも
体育、美術のようなクラスも面倒を見る。
6-2)日本語・日本文化紹介
病院で一度機会をもらって日本語教室を開催した。
一度でやめてしまったのは彼らにとって日本語が難
しすぎ、
「教室」
を開いても…と現地ボランティアと
苦笑いしたから。病院にいる子どもより年齢層の高
い、病院とは関係のない高校生には何度か家庭教師
のようなことをした。
語学は挫折したが、後述の学校も含め、持参した
日本のおもちゃ(折り紙、けん玉)や箸を使って日
本文化紹介は何度かやった。特に origami は現地で
も知っている人が多く、食いつきがよかった。
6-4)本読み聞かせプロジェクト
新しく ALE が立ち上げようとしているボランテ
ィアプロジェクトの試験的ワークに2度参加した。
エクアドルの子は本を読まないという認識の下で始
めようとしているワークで、郊外の小学校で文字通
り子どもに本を読み聞かせする。
自分を含め、スペイン語の基礎を習ってそれぞれ
のワークでなんとか実践しているボランティアが参
加し、小学生に「ヘタクソー」といじられた。
7)生活
① 学生寮
② ホームステイ
現地団体には語学学校の生徒用に学生寮があり、
そこに滞在できる。学校の敷地内にあり、非常にキ
レイでセキュリティーは万全。団欒スペースが広く、
みんなで DVD 鑑賞したり、パーティーをしたりし
た。
食事は出るわけではないが、寮内にキッチンがあ
り、自炊できる。もちろん町には食堂、レストラン
が多くある。
シャワーも寮内にある。メンテナンスといって一
度だけお湯が出ないことがあったが、それ以外特に
問題ない。
寮の他の生徒とは基本的に英語でコミュニケーシ
ョンをとるので、スペイン語がなかなか上達しない
のが欠点。
$7.5/日
希望すれば現地団体がホストファミリーを紹介し
てくれる。家庭によって細かい部分は変わってくる
ようだが、プライベートベッドルームと朝食・夕食
を提供してくれる。自分のホストファミリーを素晴
らしく、エクアドルの習慣を知る、スペイン語の上
達という観点でも先生のように助けてくれた。
紹介してもらう際に、タバコ・ペットは嫌など希
望があれば調整してもらえる。
費用は$18/日と尐し高めで自分にとってのネッ
クであった。
③ ホステル
ホームステイでお世話になったあとは、ホステル
に滞在した。キトにはホステルが多くあり、条件に
合う所が必ずある。
ホステルのオーナー一家がホストファミリーのよ
うに良くしてくれたので、結果的にコストだけでな
く語学の面でも非常に自分にあっていた。
8)自分自身の変化
8-1)モチベーションの変遷
ワークのモチベーション
半
後
3月
半
前
3月
半
後
2月
半
前
2月
半
後
1月
半
前
1月
半
後
12
月
半
12
月
前
半
後
11
月
半
前
11
月
半
後
10
月
半
前
10
月
開
始
前
モチベーション
全体的な
8-2)モチベーションの変化の分析
ワークが生活の中心に来るので、それ自体のモチベーションが下がると、現地での生活そのものも気分が乗ら
なくなることがあった。ワーク以外でも何かあればワークへのモチベーションに影響するという逆もまた起こっ
たので 2 つの変遷はかなりシンクロしている部分がある。
また、自分の場合半年という長期だったのもあり、イベントをやる、新しいアイディアを考えてやってみるな
ど、ちょっとしたことでもワークに刺激がないと高いモチベーションを維持するのは難しいと感じた。比較的序
盤にそのことを認識できたので意識して上記のように自分が「ダルイなぁ」と感じないようにできるだけ努力す
ることができた。
8-3)活動を通じて得たことや気づき
子どもと接していて最も強く感じたのは、家庭での教育の重要性とコミュニケーションの力。ここでの教育と
いうのはもちろん字が書けるとか足し算ができるということではなく、礼儀や道徳の部分のことだ。一番それを
感じたのは「ありがとう」
「ごめんなさい」を言わない子に会う時。特に貧しい家庭の子に多いのだが「~~言わ
なきゃだめだろ」と言うと、「何で?」という反応が返ってくることもある。両親に話を振っても微妙な反応で尐
し無力感を感じたこともある。貧富に関わらず各国共通だと思っていたから衝撃でもあった。(もちろんエクアド
ルにそういうことは言わないという文化があるわけではない。現地ボランティアなどもそれを教えるのに苦労し
ていた)
そんな時でも根気強く話せば理解してくれる。会話・言葉の持つ力は凄いなと思った。チャリティー・ドネー
ションの企画に関しても基本的に自分のしたことは、ワーク仲間やレストラン・バーの人たちに、自分のアイデ
ィアを話しただけ。子どもと接していてもやはりスペイン語を話せるボランティアと遊びたがるし、下手でも伝
えようとすれば我慢強くない子どもでも聴いてくれる。自分の中でスペイン語の向上が大きな目標であり、それ
を実感できたからという理由からかもしれないが、自分の考えや思いを言葉にして伝えるということが凄い力を
持っているというのを初めて気づかされたように思う。
8-4)今後どのようにこの経験を生かしていくか
はじめにも尐し書いたが、将来 BOP ビジネスのようなものに携わりたいと考えている。それに対してどう生か
せるのかは正直に言うとよくわからない。今回、病院というただ旅をしているだけでは深く触れないような側面
から国を見ることができ、その国の実情のようなものを様々な角度から見て感じるという術、そしてそこから問
題点と解決策を導き出していくという経験は今後自分がどのような活動おするにしても生かせることは大いにあ
ると思う。これからはいかにそれらを昇華させていくのかを探っていきたい。
9)提言と今後の構想
現地団体 ALE はボランティアワークを語学学校で学んだことの実践の場のように捉えている側面がある
ので、ワークに関しては大部分をボランティアに任せている。そのため、派遣先のワークの他のボランティ
ア等と、かなり積極的、能動的、計画的に動いていかなければ実りのあるワークにできないと思う。ALE へ
のレポートで同様のことを書いたし、コーディネーターも最低限の説明はしてくれるが、十分ではない。ス
ペイン語だからと臆せずに積極性が求められる。
病院のワークとは違うが、短期間参加した郊外の学校でのボランティアワークは魅力的であった。先住民
系の人々の文化に触れながらというのも興味深く、一ヶ月以上滞在すれば生活費は負担0である。
10)おわりに
繰り返しになるが今回この半年間を経験できて本当によかった。人間として一回りも二回りも成長できた
と実感している。尐しでもやってみたいという気持ちがあるのに迷っている人には是非一歩踏み出してほし
い。自分も躊躇していた人間なので気持ちは凄く分かるが、やる気さえあれば素晴らしい経験ができると保
障できる。もし、こんな自分の報告で触発されて、迷っている方がいたら喜んで背中を押したいと思ってい
る。
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