...

第2回銚子市財政戦略会議概要報告

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

第2回銚子市財政戦略会議概要報告
第2回銚子市財政戦略会議概要報告
1
日
時
平成22年11月29日(月)
2
場
所
銚子市役所6階大会議室
3
出席委員
4
行政側出席者
座
午後4時∼午後6時
長
新藤宗幸
副座長
仲田博史
委
小澤慶和、木村栄宏、関根
員
豊、石坂道三
野平市長、政策企画部長、秘書政策課長、財政課長
傍聴者 職員64名(職員研修扱い)
5
概
要
⑴
座長あいさつ(新藤座長)
⑵
市長あいさつ(野平市長)
⑶
資料説明(財政課長、秘書政策課長)
⑷
意見交換
『歳入の確保について』次のとおり意見交換を行った
◆意見交換
副座長
今回は「歳入の確保」というテーマだが、市税等の収入未済の問題、もうひとつ
は、もっと大きなテーマの産業構造を変えることが出来るのか、新しく収入を増や
すにはどうしたらよいかという問題に分かれると思う。
最初に、未収金等について、銚子市の現状は他と比べてどうなのか、あるいはど
こが改善のポイントかについて、ご意見をいただきたい。
委
員
固定資産税の滞納がこんなにすごいとは、正直驚いている。銚子市や南房総市な
ど高齢化率が高いところは基本的にこういう傾向にある。家を急に替わる訳にいか
ない、土地も処分する訳にいかないため、この滞納者層というのは取ろうとしても
取りようがない。推測ではあるが、そのような傾向が非常に強いと思う。
財政課長
数字は持っていないが、銚子の場合は高齢化率が30%近くいっており、独居老
人も増えている。そういう人たちが、資産を持っているが、年金生活者になってい
て税が払えない。
委
員
おそらくそこがポイントになっていくと思う。課税客体の把握をする上で、本当
に悪いのはお金を持っていて払わない人だが、どうしても払えない人をどうするの
かという次のステップを考えないと大変だと感じた。いま住んでいる家屋敷を換価
して強制執行するということは難しい。これは銚子市だけじゃなく高齢化が進展す
るとこの傾向は絶対出てくると思う。
- 1 -
委
員
固定資産税は個人と法人がある。
個人については、
居住用の評価の特例があって、
地価の4割とか5割とか少なくなっている。法人の方は時価の8割とかになってい
る。高齢化が進んでいるので、個人の方は住んでいる人に強く言うのは難しいと思
うが、法人の方については、業としてやっているので、対応を異にすべき。そもそ
も固定資産税は、維持費や税金を考えて採算に合わない人は、
これを手放すだろう、
採算の合う価格で売却し買ったものがそれを効率的に使う、という風に考えられて
作られている保有税の一種。したがって、法人の滞納については、強く対応してい
く必要がある。
銚子市の市税徴収率は、表面上は80.59%だが、これは過去の滞納の不良債権を
含んだ部分であって、単年度ごとの徴収率というのは95%ほどなので、現在は通常
どおり市民の方が納税意識を持って払っているのだろうと思う。過去の滞納分の金
額が大きいので、これは内容を整理して状況ごとに対応していく。
法人については、
例えば、3年、5年など分割で支払う協議が成立した場合には、手形等を担保に出
させることまでやらないと、そのまま滞納になってしまうリスクがある。
市税の中には利益等に比例して増減するもの、固定資産税のように固定的に発生
するものがある。利益等に比例する個人住民税は更に減少していくと市では見積も
っているだろうから、税の基本的な性格に応じて税収対策を考えていかなくてはな
らない。基本的には、固定資産税の滞納など、過去の不良債権の部分については、
法的に処分・整理していった方がいいと思う。租税債権は端的に整理できないとい
うかもしれないが、そうすると過年度の不良債権の比率がどんどん増えて、それを
含めた徴収率が80%だとか、79%だとかに下がってしまう。それは市民に対して情
報をミスリードすることになる。滞納率を減らすためにも、明らかに取れないもの
は整理していく。
また、悪意の納税者、善意の納税者、そういう状況を勘案しながら、資産がある
のに払わないというものについては、他の真面目に払っている納税者が不信感を抱
くことになるので、恨みを買っても強く対応するという市の方針を出さない限り
は、滞納額を整理していくことにはならないと思う。
委
員
今の話は賛成するところが多かった。私は銀行で不良債権処理に携わったことが
ある。「踏ん切り・損切り」をしないと徴収のコストや人件費が非常にかかるし、
モラルもダウンしてくるので、早い時期にしっかりと、表現は悪いが切り捨てをや
るべき。
一般に、
「お金」か、「名誉」か、
「権力」かという3つがあって、その3つでう
まく回収するということをよくやった。「お金」がないのであれば、一括納付すれ
ば少し安くするだとか、「名誉」は、ちゃんと払ってくれたら表彰、表彰はおかし
いけれど何かやるとか、「権力」は完全に強制執行するということ、その3つを使
いまわしながらやる。銀行の場合は、
「お金」の面では減免であるとか、とにかく
一部でも入金させるということで、それをやらないと、ゴネ得が生じることがある
と思う。
- 2 -
「滞納の主な理由」について、固定資産税、都市計画税と市民税で、「収入の減
少等と納税意識の希薄」とあり、市民税では1番上に挙がっていた。「払わなくて
済んでしまう人が多いから払わない」という感じになっているのであれば、それは
どうかなという気がした。
委
員
民間企業の総務の担当などをやっていてよく耳にするのが、周辺市町村に住まい
を求める人が多いということ。例えば神栖市は子供に関するいろいろな制度が充実
していて住みやすいということがある。当社では1年間に20人くらいよその都
市、よその大学から入社してくるが、住宅を求めるときに、今みたいな事情と、不
動産の価格が非常に銚子市は高いので、よその土地で住居を用意することになる。
収入未済の内訳の中で固定資産税のウェイトが非常に高いということで、この辺
が不動産の流通を阻害しているために、高値止まりさせている、供給がない。供給
がないから住んでいる所を売れ、という乱暴なことを言うつもりはないが。
払える人・払えない人を、どう行政と徴収担当が見極めて、払っていただく努力
をどうしたらいいかということはあると思う。
座
長
単年度の税収が悪くないということは、納税意識がないということでは決してな
い。過去の話で考えていった場合に、どこでも良く見られることだが、不動産を持
っている、しかし可処分所得が非常に少ない、従って固定資産税が払えないという
話になってくる訳だが、先程、
銚子の固定資産税が高いということを言っていたが、
評価額はどうなっているか。
それと、この問題は確かに、債権を放棄してしまうとか色々なことがあると思う
が、もう少し、税というところに限定しないでものを考えた方がいいのではないか。
例えば、年金収入はそこそこあるのだけれど、(固定資産税を)払えない土地を持
っているのだとしたら、直営が良いかどうかは知らないが、公営集合住宅的なもの
を造って、そこに集まっていただいて、土地を売却するであるとか、もう少し広い
視野で、税務職員が一生懸命やっているのに悪徳市民が払わないというようなレベ
ルの話からは少し視野を広げた方が税金の問題は解決するのかなという気がする。
市
長
銚子市の市税徴収率の推移を見るとそれなりに特徴があり、何年か単位で大きな
変化が起こっている。1番悪名高いのは昭和54年で、ガタッと下がった。俗に言
う「ヤミ給与」がばれた後、市民の納税拒否が起こったと言われている。
平成14年に私が市長に就任し、さすがに77%というのは酷過ぎるということ
で、税務課の職員と意見交換し、
行政嘱託員の歩合を改善するなどして、4年で3%
か4%回復した。4%上がるというのは、これ以上は無理かなという気はする。
市民の意識としては、「市民税は納めなければいけないが、固定資産税はその次
だ」という意識は結構あると思う。また、「県税が先だ」という意識もある。それ
と、先程ご指摘のあった「銚子は固定資産税が高い」ということはかなり多くの市
民が信じている。率が高い訳ではなく、評価が高い訳でもないのだが、地価が高い
というのはあり、それはそのようだ。これが動かないということは、やはり原因の
ひとつにはなっていると思う。
- 3 -
国民健康保険の収納率が65.3%と非常に低いが、これは本当に苦しい人が、
というのもあるが、銚子市の場合の国保料の算定方式の中に、固定資産の保有額を
計算根拠として入れているということが、ひょっとするとお金がないのに持ってい
るだけでかかるということによる「支払いにくさ」ということと絡んでいるのかも
しれない。証明はできないが。
それから先程委員の方から、「お金」「名誉」「権力」とあったが、先程言ったよ
うな状況なもので、決定的な悪気というものはない。「父ちゃんが今遠洋航海に出
ている」という言い訳をするそうだ。「だから帰って来てからじゃないと分からな
い」と。この辺の地域の笑い話としてよく出る話である。
こういう色々な知恵を使いながらやると、払ってくれるということがある。銚子
の税務職員は、努力はして苦労はしている。それで、弁護士を入れたりしながら特
別の研究会などもやっている。でも、こういう状態である。
副座長
市税の未済について、第三者の「待ってやってくれ」といった介入はないのか。
市
第三者が妨害したり圧力をかけたりといった話は、職員たちからも聞いてはいな
長
い。これもまた半分冗談だが、地元の職員が非常に多く、親戚の関係などもあり、
中々やりにくいと時々聞くことがあり、難しい事件は県の税の職員の応援を得て厳
しい取り立てを行っている。
しかし、正直なところ経済的な状況が根っこにあるかな、と感じている。
委
員
色々な「力」の問題というのは県内ではなくなってきた。公益通報制度などがで
きたこともあり、そういう危険というのは比較的ないのだろうと思う。
ただ問題はやはり払えない、本当に払えない方をどうするかということが、これ
から大きな問題としてあるのではないかと思う。
副座長
金融機関の場合には自己査定ということで、まず自分のところで債務者の審査を
し、ランキングをしたりする。それを今度は、監査法人という第三者が全部チェッ
クをする。その後、金融庁が時々来て、その査定が適正かどうかをやる。そういう
意味で、先程何人かの委員から出ていたように、個別の滞納者について、もう少し
きめ細かく実態把握する必要があるのかなと思う。
もうひとつは、繰越・過年度分が多いということになると、どの時点で誰が判断
したのか、そして時効が来て放棄をする場合に、公平性を欠かないよう打ち切ると
いう判断の責任を明らかにしておく必要があるのではないか。
あまり過年度分が大きくなってしまうと、どうしても、いつのものか、誰のもの
か分からなくなってしまうので、その引き継ぎがどうなっているのかということに
も注意していく必要があると思う。
委
員
滞納の回収を促進するためには、納税者と何回コンタクトを取ったかも重要な影
響がある。通常は督促状を送り付けるということだが、滞納する方は督促状に慣れ
っこになっているので、そうではなく、行ったり、呼んだりの回数の頻度を上げて
いく必要がある。個別の状況をよく聞いてやるという手間ひまのかかる作業にな
る。また、払えないということであれば、租税債権なので抵当権を付けることを事
- 4 -
務的にやらなければいけない。
今市長が言ったように、国税の方も、人事異動でぐるぐる替えて、東京都の会社
の税務調査に北海道出身の人が来る。地元の人に担当させると、どうしても人間だ
から情が移ってしまい中々強い態度には出られないので、広域制度でできるように
する。事務的にも、個々の納税者の状況に応じて対応を異にする、というきめ細か
いことをやって、少しずつ回収を上げるしかない。
一番大事なことは、悪意の滞納者に厳しくやることによって、
他の滞納者にも
「自
分も長期間放置すればそうなってしまう。土地の一部を換金処分してでも決着をつ
けなければいけない」と認識してもらう必要がある。
副座長
次に、新たな財源確保ということで、経済振興による税収増と、産業構造を変え
ることはできるのかという、大変大きな問題について、事務局の方から説明のあっ
たネーミングライツ、広告収入、法定外税の新設も含めて、ご意見をいただきたい。
委
員
千葉科学大学の関連では、ジオパークが認められればそれによって新たな経済効
果や色々な波及効果があると思うし、大学がなければ千人以上ここに住まなかった
し、効果額年間21億円というのは銚子市の予算規模の10%に近い。歳入額とし
ては大きいと思う。
資料によると一般観光客は多いが、ビジネスのついでに「ビジネス観光客」がお
金を落としていく面が少ないような気がする。大学にも色々な方がいらっしゃる
が、「危機管理のまち・銚子」だと言う方が最近増えてきた。危機管理学部がある
ということもあるのだろうが、立地とか、首都圏では非常に地盤がいいとか、そう
いうことをもっと活かして、ビジネスに入れて、なおかつ観光に持っていくとか、
そういうことがある。
あやめ祭りの時期に、銚子に市外のハイヤー、タクシーが来ていた。聞いてみた
ら、潮来の方で一泊して、翌日に銚子に来て、観るだけ観て帰ってしまい、宿泊は
しない。それをよく分析したらどうか。例えばたまたま中国の観光客が多かったと
すると、たまたま潮来のどこかのホテルに中国人観光客に対するソフトイシューと
言うか、
サービスが良いホテルが1個あって、
そこに集まっていたのかもしれない。
要は、何をもって新しい収益源とするか、どういう市にするのかという、まず目的
というかグランドデザインがあって、それに対して近隣市町村のうまくいった成功
ケースを見て、というのはよくあるやり方。
委
員
「経済振興による税収増」というタイトルだが、何がほかの地域に比べて「売り」
なんだろうか、そう考えていると、少なくともクルマ社会になる前は、10万人の
人達が生活できるインフラがあった街である。
例えば一部の情報通信関連の企業であれば、どこにいたって仕事ができる筈だか
ら、女性社員が子育てし易いような保育園や託児所などインフラで「売り」となる
ものを作れば、そういう企業が進出できるのではないか。東京へ遊びに行きたけれ
ば、110キロで行ける訳だから。
そのような、オンデマンドでニーズがあれば、公立の保育園を増設していくとい
- 5 -
うような政策。神栖では子供の初診料が中学生一杯までは出ると聞いたが、その辺
が銚子と大分違う。金額にしてみれば、たいしたことはないと思うのだが、そうい
うソフトに惹かれる部分はあるのではないか。銚子の「売り」をこれから、皆で知
恵を出していけば、こういう問題が解決できるかなと考える。
市
長
先程の委員発言に少し補足すると、銚子市、市役所に21億円が入ってくる訳で
はない。銚子の地域経済の中に、このお金が追加的に、大学自身、あるいは教職員・
学生から放出されている。それから、2億4千万円というのは、銚子市に直に増収
になって入ってきている分で、それに対して4億9,800万というのは銚子市自
身がもろに銀行に払っている金。その差し引きで2億5,800万。この負担にお
いて、銚子市内に21億2,600万円のお金が回っているということがどの程度
の評価になるかということなので、ちょっと別のものの効果である。その外にも
色々な効果があるが、
「数字」が取れない。今回のこの千葉科学大学による経済効
果は大学が作ってくれた。大学の情報を基にした数字だということ。
それから、IT産業に関しては、銚子出身の、大手のITプログラムの会社の会
長がいて、検討はしてくれたのだが、色々な理由で、銚子では無理だと断念した。
委
員
千葉科学大学の経済効果は一次効果だけなので、二次効果で儲けた人や投資等は
除外してある。マリーナの前の駐車場をもし大学に売っていただいていれば、それ
が担保になって、また投資をしたという可能性もある。毎年、地元発注ということ
で、年によって5億円、2億円と発注している。講義棟を造ったりとか色々ある。
銀行にしてみれば、学生の学費を担保にお金を貸す訳にはいかないので、不動産と
か土地があれば、それを担保にまた投資できるということはある。
委
員
千葉科学大学が銚子に進出したことの経済効果については、農業、漁業にあまり
貢献してないかもしれないが、うまく市と大学、市民の皆さんとの間で一緒になっ
てやれるチャンスはどんどん出てくると思うので、これからだと思う。
座
長
大学関係者は「うまくやっている」と言うが、地域の方は疑問がある。例えば秋
田国際大学があるが、地元に何か貢献しているかという議論が色々出ている。
あるいは、石巻専修大学、専修大には理系学部がなかったが、理系学部を石巻に
作ったけれども、これも石巻の水産業に何か貢献してくれたかと、そういう批判は
いろいろある。
銚子という街を考えていて、銚子の市民がどう思っているかよく分からないとこ
ろがあるが、確かに観光であるとか、特に漁業については有名だ。ただし、銚子ブ
ランドの売り込み方というのは、
都会に住んでいて、
へたなんじゃないかなと思う。
何事もお金を投資しなければそれなりの反響は出てこないのだから、例えば東京に
アンテナショップを出すとか、デパ地下であるとか、銚子ブランドの野菜、銚子ブ
ランドの果実、あるいは、漁業の方はよく分からないところもあるが、出せないん
だろうかと、そういうことが逆に銚子という街を売り出し、観光で遊びに行ってみ
ようという人も出るし、銚子という街を色々な意味で知ることになるのではないか
と思う。
- 6 -
もうひとつは、
(銚子は)非常に暖かいと思う。植生を見ていると、自分が生ま
れ育った三浦半島や伊豆に似ているなあという。さて、この気候温暖な場所をどう
使うか、ひとつは、先程のような名前の売り方をしたうえでの話かもしれないが、
介護付き老人ホームをどんどん誘致したらいいのではないか。寝たきり老人だけが
来る訳ではない。それを核にして若い女性たち、介護労働者がついてきている。場
合によっては、現に住んでいる人たちも就労の機会を得ることができると思う。こ
れだけの温和ないい気候だから、積極的にやったらどうかと思う。
それから、大学とは別に、高校の誘致はできないのかと思う。北海道の稚内から
南に90キロぐらい下がった所に、音威子府(おといねっぷ)という人口900人
程の村があるが、村立の美術工芸高校をやっている。900人を切るか切らないか
という村に、全国から来ている。美術科と工芸科と、2つの学科がある。昔は、国
鉄の本線が2つに分かれるので、
有名な機関区だったと思うが、さびれ切った所に、
若者の声が毎日のように響いている。それだけではなく、もともと豊かである木材
を、そこのブランドで、海外、国内に出している。こういう何らかの特化した高校
を、民と半々でやるのか、完全に誘致にするのか、こういうことはあると思う。
あるいは、アメリカ、ヴァージニアの小さなまちの話で、これも銚子の気候から
いったらいいと思うが、いわゆるアーティストの「村」、音楽であれ、美術であれ、
それを造って、住民の一部には何だか訳の分からないのが入ってきてどうするんだ
という話も色々あったが、でも全体的に言うと入ってくる。するとそれに続いて、
色々入ってくる。ひとつの成功例として言えば、特に美術系のアーティストが、そ
の村から10キロくらい行った所にある羊を飼っている牧場と提携して、単に染物
をするとかセーターを作るとかというだけじゃなくて、色々なものが出てきて、こ
れが新しい物産品になっていった。
名前を売り出すこと、それから気候のいい地形を具体的にいかに使うか、そうい
う戦略をもっていくべきではないか。一部上場企業の研究所に来てくださいと言っ
ても、そう簡単に「分かりました」というご時勢ではない。だからそうしたことも
考えていいんじゃないかと思う。
委
員
立派な大学があるのだから、地元の高校生との文化交流を積極的にやってもらい
たいと思う。まち、経済を活性化する原動力は若い人だ。銚子だけではなく日本全
国の市町村が生き残るために一生懸命やっている。これからのことを考えたら、も
う一度基本に戻ってほしい。銚子は江戸時代から、農業も漁業も、「東京」という
巨大市場があった。江戸時代からそう。そこに携わっている若い人達がいる。農業
で言えば、農協を通さずに、顔写真つきで有機野菜を販売し、成功している人もい
る。国の農業政策がハチャメチャだったのだから、銚子は銚子で若い農業・漁業者
の要望をよく聞いて、それを促進するようにすべきだ。
不況になれば人間は身の回りのことが中心になる。子育てや、幼稚園や、環境な
どが人口の増減に非常に影響を及ぼす。もう大きい箱物などできる訳がないのだか
ら、身の回りのことを丁寧に拾って対応することだ。
- 7 -
それから、基本に帰って、基礎的な農業、漁業をバックアップする施策を考えて
いただきたい。大学の存在は銚子の知的水準をうんと上げるが存在するだけでは駄
目で、地元の高校生と交流させることで、大学の知的水準の無形の恩恵に浴するこ
とができる。そうすれば自分たちの銚子ということで誇りも生まれる。
委
員
今の時代、工場や研究所を持ってくることはとてつもなくハードルが高い。鴨川
では、東京をリタイヤした人に住民票を移してもらうということをやった。東京で
成功した、かなりの高所得者が移っていく。現実的には、鴨川市に200人弱いる
叙勲受章者にうまくアピールしてもらっている。これに伴って高級から中級までの
かなりの数の老人ホームが進出している。所得水準が高いので、国保への跳ね返り
も比較的低い。そういうことも一つの選択肢としてはあるのかなと思う。しかし「老
人のまちにするのか」という議論をされても話が違う。新たな就業の場所という点
では最も有望な部分であるという意識を市民に持ってもらわなければならないと
思う。
2千人の若い大学生がこの市域の中に存在するということは重要だ。勝浦では、
国際武道大学が、最初は地元としっくりいかなかったが、現実に30年経ってみる
と、完全に大学が地域の中に組み込まれている。それで人口減少に歯止めがかかっ
た。千葉科学大学では、一部の学科でボランティアがあり、それを単位化している
学科もある。消防だけではなく、祭りの手伝いだってあるだろうし、それはうまく
使ってもらいたい。学生にとっても社会人と話ができるというのは非常に貴重な体
験になる。ボランティアを通じてお互いの理解を深めるというのは非常にいいと思
う。
銚子では結構色々なイベントをやっているが、今一つインパクトが弱い。中央に
対しての発信力が非常に弱い。周辺の行事との絡みを見ながら、イベントも戦略的
に考えてもらいたい。そこにボランティアの学生が参加するのはよい形だ。京都で
は、「鴨川をどり」や「都をどり」という名前で、芸妓、舞妓が踊るのだが、様々
な地区で、微妙に時期をずらしながら開催しており、12か月のうち8か月観るこ
とができる。それを戦略的にやっている。間に時代祭を挟んだりしている。京都は
ちょっと比べ物にならないが、そう考え方は是非取り入れたほうがいい。この団体
はこの祭りだけということではなく、時期等諸々の問題があるので、やはり連携を
うまくとることを勧める。それを指揮していくのは市役所だと思う。
委
員
収入未済に関しては、市が鋭意努力していることを、市民がどれほど認知してい
るか。市民に対する広報が必要だ。キャンペーン期間を決めて、いろいろな部署の
職員がローラー作戦のような形で取り組むような仕組みづくりも必要ではないか。
委
員
増収については、新税は中々難しいと思う。東京都では、固定資産税のうち償却
資産税の課税強化と税務調査をやっている。具体的には、飲食店を造るときには保
健所に届け出るが、その保健所から店舗の情報を得て償却資産税の申告書を送りつ
けている。償却資産税は実務上全くいい加減である。
東京都の償却資産税の課長が、
「10件あれば1件申告してくればいい方」と言っていた時代もあった。今は条例
- 8 -
を改正して、賃借している建物の中で店舗をやった場合でもその店舗の造作の償却
資産税は店子が納税義務を負うというようにして、全部課税している。これは事業
をやっている人だけにかかるので、固定資産税の安定収入になる。
どうやったら増収になるかという議論で、増収になれば全部がうまくいくが、そ
れには時間がかかるので、固定資産税の担当者も少なく、課税を強化するという方
向性も見受けられないけれど、短期的には賦課徴収方式である償却資産分の固定資
産税にも力を入れると実効性があるのではないか。
副座長
銚子は、過去に最盛期があった都市として何でもある。それが大分くたびれて、
直さなければならない状況になって、必ずしも快適ではない。銚子市では、産業振
興策について過去にコンサル委託しているが、その中で一番評価するのが、55年
の「食品産業文化都市構想」である。理由は、
「住んでよいまち」が「訪れてよい
まち」であるという基本的な考え方と、今ある地場産業を有機的に結び付けるとい
うことによってまちの魅力を対外的にアピールするということ。具体的には当時の
ことなので、フィッシャーマンズワーフやファーマーズマーケットの設置が提言さ
れていた。
産業構造を変えるような起死回生の「ホームラン」は難しいと思うので、「ヒッ
トで刻んで1点を取る」時代であって、少なくとも衰退のペースの緩和を目指すと
いうのが実際のところだと思う。基本的な産業構造の枠組は変わらないが、ウェイ
トは大分変わってきている。しかも生産労働人口は推計でも減っていく。住民のた
めにも、観光で売り込んでいくためにも、まず快適な生活環境の構築が必要。具体
的には、一時の「作り物」ではない、地域の歴史や文化に根差した本物志向が大事
だと思う。
キーワードになるのは「市場」ではないか。人がにぎわい、物が集まり、闇市の
ような猥雑性がある場所である。そのような市場ができるといいと思う。今日朝日
新聞で、十字屋跡地に飲食店街ができ、市も応援したいという記事を見たが、自分
としては、立地は魚市場周辺がベストだと思う。
隣の神栖市では大学のスポーツ合宿の誘致をそうとうやっているが、それに対し
て、舞台芸術等文科系の合宿を誘致してはどうか。佐渡では、古い能楽堂を古典芸
能のクラブが活用しているが、空いた倉庫等を活用して、床に釘を打っても構わな
いというような形での合宿施設なども考えてはどうか。首都圏の社会教育・社会体
育のひとつの実習場として、フィットネスやウォーキングなども取り込んで、観光
というものを「接着剤」として、今ある農業・水産業・醤油醸造業などを結び付け
ることができるのではないか。それは今ある産業を地道に育てていくということ。
個々の企業や事業を営む人間がそれなりに腕に磨きをかけて、オンリー・ワンをそ
れぞれが作っていく、誰もが成功できる訳ではないが、それしかないと思う。
委
員
いかに銚子のよさ、銚子ブランドを広めていくかということだが、お金をかけた
広告だけではなく、市立病院の件で銚子は全国的にニュースになったが、いい意味
でお金をかけないで銚子を有名にするという広報戦略をやっていくといいと思う。
- 9 -
市
長
銚子市でも、本日議論されたような方向性について必死に模索している最中であ
る。
銚子というのは、
「本物」がありそうだと皆薄々感じているが、戦略が悪いのか、
発想が悪いのか、今一つそこに肉薄していない。大学が今回出してきた、地層・地
質の世界遺産、これは面白そうだと思う。灯台の建物や霧笛舎、埋蔵文化財を研究
する人々が、粟島台に本格的に取り組むことを主張し始めた。それは「落ちて」い
く中で、最後に暴れなければもう駄目ではないかというある種絶望感・敗北感を感
じているせいかもしれないが、いいチャンスだと思う。そこで、銚子学基金の条例
案を明日議会に提案する。これは否決されることはないと思う。とりあえず1千万
円だが最終目標3億円という形で、大学にも、学生にも、市民にも色々とやってい
く。銚子市は人口減少の率がとてつもなく大きく、県内36市中1位。3%で大騒
ぎだが、4.5%だ。今度の5年間はへたをすると、6%、7%との推計もある。
それを覆すのが今までカウントされていない大学生だ。ほとんど住民登録していな
いので、
統計的に全く把握できていないに等しい。今回大学側にもお願いしたので、
住民票では見えていなかったのが、初めて国勢調査で見えてくるのではと期待して
いる。これからまだ時間のかかる話ではあるが。
座
長
本日、未収金の問題と経済振興による増収について議論が交わされた訳だが、未
収金の問題については、税務当局は個々の事例に応じて、厳しくやる部分とそうで
ない部分を分けて対応していく必要がある。ただ、これだけ未収金があるというこ
とは、普通の市民が知ったら納税拒否にもつながりかねないので、その辺はきちん
としたデータに基づいて、短期間のうちに取り組んでもらいたい。
経済振興については、これといった妙案はすぐには出ない。言うなれば「漢方薬」
的なものを期待するしかないが、その場合でも銚子の持っている歴史的な文化や知
的財産、気候風土等を大事にしながら、それを全国にきちんと発信して売り込んで
いくことが銚子市を活性化することにつながるのではないか。
簡単だが、以上を今回の取りまとめとしたい。
○
このほか、当日欠席した委員から、次のとおり意見の提出があった。
法定外税については、銚子市としては時期尚早と考える。住民税や固定資産税などの地方税の基
幹税目について、徴収率が極端に低いことから、新たに税を課することは不適当。まずは、住民税、
固定資産税、都市計画税等の徴収確保に全力を挙げるべき。未収金の縮減のための取組強化が重要。
債権管理計画が策定されているが、対応が甘い。
- 10 -
Fly UP