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大田区政に対する要望
大田区政に対する要望 平 成 22 年 7 月 2 8 日 東京商工会議所大田支部 わが国経済は、一昨年に端を発したリーマンショックによる金融危機により、大きな打 撃を受けた。徐々に回復傾向にはあるものの、中小企業をはじめとして、依然厳しい状況 であることは否めない。 そのような中、大田区においても、区民・企業・地域全体を活力ある状況にしていくた めに、産業振興・地域振興を主軸として、可能な限りの措置を講じていく必要がある。 また、折しも、本年10月には羽田空港に新国際線ターミナルが完成し、諸外国からの 航空便が増大する。海外から訪れる観光客・ビジネス客の需要を上手く取り込みながら、 区内経済の活性化を図っていくことも喫緊の課題であると考えられる。 そのためには、個々の企業を元気にさせる経営支援、区内産業のネットワーク作りの強 化、訪問者をもてなす仕組み・環境の創出、有効な土地利用、まちづくりの活性化等が特 に重要な観点であると考えられる。こうした取り組みについて、大田区政として積極的な 対策を講じていただきたく、下記の通り要望する。 記 1.産業振興策と中小企業の経営支援について (1)大田ブランドの推進 区内製造業が培ってきた技術とその集積に光を当て、登録企業がトップランナーとなっ て地域の価値を高める大田ブランドにおいては、 (社)大田工業連合会・東京商工会議所大 田支部・ (財)大田区産業振興協会の3者で共同運営する大田ブランド推進協議会を中心に、 大田区の基幹産業であるものづくり産業の活力強化を通じた地域経済活性化への取り組み を行っている。登録企業も100社を超え、認知度も高まってきている。 大田ブランドの活動は優れた技術力を持つ職人を多く擁しており、そのネットワークが 非常に重要な価値を持ち、ブランド力を上げていく大きな推進力になると考えられる。こ うしたネットワーク作りのさらなる強化や大田ブランド事業のさらなる活性化を図るべく、 大田ブランド企業の育成、3団体の推進協議会活動について可能な限り支援されたい。ま た、区長はじめ行政幹部も積極的に国内外にPRやセールス活動を行い、大田ブランドの グローバルなPRとセールスをより一層積極的に推進されたい。 1 (2)産業振興関連予算の拡充と的確な情報収集・中小企業都市サミットについて 大田区では「産業振興基本戦略」を昨年3月に策定し、ものづくりや経営力等について の振興施策を打ち出している。景気について徐々に回復傾向にあるものの、特に中小企業 の業況は依然として厳しい。大田区経済を活性化させるためには、さらなる産業振興関連 予算の拡充を図り、より中小企業に有利な融資メニューの設定、新技術や新市場開拓につ いての補助、また、IT や環境といった分野にも積極的な支援を図られたい。そのためには、 区内中小企業の実態と課題を常に的確に把握し、業種・規模に応じたキメ細かい施策を検 討・実施されたい。 また、中小企業が高度に集積した地域の都市間が交流し、中小企業振興に関わる諸問題 について連絡協議を行っている中小企業都市連絡協議会の主要事業である「中小企業都市 サミット」が来年大田区で開催される。先進的な地域同士の交流であり、貴重な知見が得 られる絶好の機会であるので、大田区としてもより一層機運を高め、成功裡に進むよう充 分な配慮を図られたい。 (3)工匠の活動の場づくりについて ものづくりの基盤は職人である。職人がいて技術が培われ、その技術が社会に還元され ていくことで、産業が生成されていく。そうした産業が成熟し、継続的に存在し続けるた めには、技術を伝承し、それらを受け継ぐ世代間の育成・交流が不可欠である。 大田区内のものづくりにおける真の強さを養い、アジアを中心として世界中から大田区 のものづくりの実力が信頼され、認められ、受注に結び付くような仕組みづくりを実現す るべく、現存する職人の活動の場を作るとともに、職人技術の伝承と後継者の育成を実現 するための施設づくりや、それらのネットワークを行う仕組みを設けるなど、具体的な対 策を講じられたい。 2.羽田空港の再国際化・羽田空港跡地利用について (1)羽田空港の再国際化を契機とした観光施策の強化について 羽田空港の再国際化においては本年10月にいよいよ本格的に動き出す。アジア・欧米 から多数の観光客が訪れることは想像に難くない。大田区ではこうした観光客を歓迎し、 もてなすための施策を十分に検討されたい。 昨年3月に策定された「大田区観光振興プラン」では、世界とつながる生活観光都市を 掲げている。大田区内にある特長的な産業・文化・歴史・自然・飲食・レジャー等の地域 資源を十分に活かしながら、海外・国内の観光客にとってわかりやすく、回遊しやすい演 出づくりを積極的に推進されたい。そのため観光施策について、大田観光協会をはじめと した団体・企業への支援、充分な予算確保、人材育成等をより積極的に行い、住民と一体 となって観光都市を創出していくことをより一層積極的に図られたい。 2 (2)羽田空港跡地及び臨海部の利用について 羽田空港跡地利用については、本年10月に羽田空港移転問題協議会(三者協)で土 地利用の具体化や基盤整備のあり方等「羽田空港跡地まちづくり推進計画」としてとりま とめることとなっているが、アジアのゲートウェイとしてのグローバルな視点に加えて、 産業振興や観光振興など、地域活性化につながる視点を踏まえ、有効な土地の活用を図ら れたい。特に、臨海部の利用も含めて、地域及び産業界と密接に連携し東京都や国を巻き 込んだ展開が不可欠と考える。 3.地域振興・まちづくりについて 大田区内でも重要な拠点の一つである蒲田・大森周辺の再生については取り組みが進ん でいるものの、十分であるとは言い難い。蒲田については、蒲田駅周辺地区グランドデザ インが本年3月に策定された。蒲田駅東西の連続性の強化や駅周辺街区の建替え促進、京 急蒲田駅周辺のまちづくりなど、地区整備の方向性が示されたが、今後より具体的な整備 に向けて、地域関係者との議論を十分に重ねながら検討されたい。また、大森については 今年度中にグランドデザインを策定する予定であるが、地域特性や利便性を考慮し、地域 の活動主体との十分な調整を図りながら策定されたい。 また、グランドデザインをベースに、放置自転車対策、回遊路の整備や商店街の活性化 など、早急に対応できるものから積極的な対応を図られたい。 以 3 上