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現地感覚を意識したプロモーションを BT t VXR

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現地感覚を意識したプロモーションを BT t VXR
2012 年 11 月 27 日 現地感覚を意識したプロモーションを サンフランシスコ事務所 仲谷 隆造 1.はじめに 博多一風堂のニューヨーク店(Ippudo NY)が、
2010 年の全米人気トップ・レストランに選ばれた。
アメリカの大手クチコミサイトのイェルプ(Yelp, Inc.)がランク付けしたもので、年間 2,000 件近
い高評価のレビューを獲得して第1位に選出さ
れたものである。2011 年も第 3 位を維持し、2012
年の結果が待たれるところだが、現在も入店する
ためには長い行列を覚悟しなければならない程
の人気である。 イェルプは月間の利用者が 84 百万人、2006 年
のサービス開始以来、累積で 33 百万件ものレビ
ューが掲載され(2012 年 9 月 30 日現在)、アメリ
カでは誰もが拠り所にするクチコミサイトであ
出典:Yelp, Inc.
る。レストランガイドのミシュラン(Michelin)
やザガット(Zagat)に評価されるだけでなく、福岡発の食ビジネスがアメリカ
で人々の自発的な書き込みを集め、無数のレストランの中で並みいる有名店を
押しのけてトップに君臨していることは特筆すべきことである。 一風堂をはじめ、福岡からニューヨークに進出した「秀ちゃんラーメン」や
「Hakata Tonton」等の人気店の影響もあり、「Tonkotsu Ramen」という言葉が
アメリカで広まり、ニューヨークでは「Hakata」という名前が聞かれるように
なった。福岡発ビジネスの海外進出を図る上で、この好機を逃してはならない。
2011 年 2 月のレポートでは、イタリア食材のマーケット「Eataly」を事例に、
福岡の高品質な食をクールに、料理全体を総合的に、アメリカ経由で世界に認
知させることを提案した。今回はその実践としてニューヨークで行っている活
動を紹介し、他のビジネスでも共有するべきアメリカでのプロモーション活動
の注意点を紹介したい。 2.ニューヨークにおける食のプロモーション 10 月から 12 月までの 3 ヶ月間、ニューヨークのレストラン 11 店舗と、福岡
から輸出している 4 食品を紹介する活動「Eat Hakata-style in New York City」
1
を実施している。前述の Eataly のような旗艦店舗を常設することは容易でない
が、賛同さえ得られればニューヨークで既に出店している福岡関連のレストラ
ンをグループとして紹介することは可能である。福岡発の食品を一緒に紹介す
ることで、アメリカ市場への進出を後押しする試みである。 (1)活動の概要
専用ウェブサイト(Hakatastyle.com)に店舗や商品のレビューを書くか、
フェイスブックページ(EatHakataStyleNYC)の「いいね」ボタンを押すと
抽選で T シャツが当たる。またツイッターで「#hakatastyle」をつけてつぶ
やくと、福岡の食品の詰め合わせが抽選で当たるという活動である。 きっかけは、昨年からニューヨークにコーディネーターを配置したこと
と、ニューヨークの日系情報誌から福岡の食を紹介する企画を提案されたこ
とである。前述の一風堂、秀ちゃん、Tonton の3店舗に加え、
「うどんのウ
エスト」のグループやその暖簾分けしたレストランなどを含めると、マンハ
ッタンとその近郊に 11 店舗もの福岡にゆかりのあるレストランが確認でき
た。そこで、それらを紹介する地図の作成から着手した。 ちょうど Tonton などの来店客から「Hakata」
とは何かという声が聞かれるようになっていた
ため、これらのレストランを福岡の宣伝塔として
英語情報紙「フクオカ・ナウ」を毎月送付し始め
た。将来的には新潟の酒のように共通ラベルを貼
った販売など、より積極的な共同事業を展開した
いが、まずは 11 店舗のスタンプラリーを、との
アイデアもあり、店舗側の負担を配慮して、人々
にレビューを書いてもらうだけの情報の発信と
拡散を支援する活動から手掛けたのである。 2
(2)英語表現と見た目には細心の注意を
日本でもアルファベットや英語の表記は日常的に使うため、不用意に英
語を使ってしまうことが多いが、アメリカでの活動では大いに注意が必要で
ある。例えばこの活動の名称は、動きを促すような動詞(Eat)から始める
ことが重要なのである。英語でビジネスの表現をする時は、単に正しい英単
語かどうかだけでなく、現地の感覚とマーケティングやブランディングの思
考を伴わないと意図した表現にならないのである。
① Western ではなく Southwestern ここでは福岡の食を South Western Japanese Cuisine(日本の西南地方
の料理)と紹介している。アメリカでは健康志向を背景に、様々な味覚の
多くの日本食レストランが軒を並べている。その中でも一風堂をはじめと
した福岡発の日本食のグループは別格だということを、また中華料理に北
京料理や広東料理があるように、日本食にも「Hakata-style」という個別
のカテゴリーがあることを定着させようとするものである。敢えて
Western(西部)ではなく、Southwestern (西南部)なのは、アメリカに
おける Southwest を意識した。アリ
ゾナ、ニューメキシコ、コロラド、
ユタを中心に、ネバダやカリフォル
ニアも含むことがあるが、主にスペ
インの影響が色濃く残る地域であ
る。福岡は日本の中でもラーメンや
明太子といった食文化を持つこと
から、アメリカでもスパイシーなイ
Southwestern United States
メージの Southwest に重ね合わせ
出典:Wikipedia た。日本の Soul Food という紹介の
仕方もあるのだが、これは Southern
(南部)のアフリカ系アメリカ人の料理であり、福岡の食を表現するなら
Southwestern の方が相応しいのではないか。 ② Fukuoka ではなく Hakata もともと博多一風堂や Hakata Tonton 等で浸透し始めた「Hakata」人気
にあやかるのが目的である。高級ステーキの代名詞となった Kobe Beef(神
戸ビーフ)のように英語の世界で Hakata を定着させたい。今回紹介してい
る 4 商品の企業(喜多屋、西吉田酒造、高橋商店、紅乙女酒造)の住所は
いずれも博多ではないように、博多限定の活動ではない。博多=所在地で
はなく、Hakata はブランド名であり、英語は使い分ければ良いのである。 3
また以前レポートした通り、Fukuoka という英語綴りは大きな問題を抱
えている。最近カナダ・モントリオールでは、空手の型「普及」に因んだ
「Fukyu」というレストランが、発音すると不適切な名称だということで裁
判所命令で名称変更させられた事例もある。 ③ 見た目が大事 色も現地の人が連想するイメージを意識しなければならない。そこでイ
メージカラーはラーメン店で一般的な組み合わせの赤と黒にした。また福
岡の食というアメリカ人にとって新しい分類をどのように表現したいかと
いう議論を重ねた結果、屋台を象徴的に扱うことにした。11 店舗には、期
間中にポスター掲示を協力してもらっているのだが、中には「普通はポス
ター掲示を断るが、このデザインなら貼っても良い」という許しを得た店
舗もある。プロモーション活動においてデザインの比重は極めて大きい。 (3)あげたいものよりも、まずは喜ばれるものを
食の詰め合わせの景品は、一風堂、
秀ちゃんラーメン、ピエトロ、鶴味噌
からの協賛を得て、アメリカでは通常
買えない商品も含めて魅力の高いもの
となった。 他の景品として、当初は箸など福岡
/日本の物産も検討したのだが、ロゴ
入りの T シャツに決定した。T シャツ
はアメリカでは極めて人気が高いだけ
でなく、着てもらえれば宣伝効果があり(実際に着てくれる人も多い)、安
価に素早く制作できるため、展示会や企業訪問などのギフトとしても定番の
アイテムである。日本からの訪問者は、よく特産だからという理由でお土産
にアメリカ人が使わないものを持ってきてしまうのだが、この手法はあまり
効果的ではない。まずは受け手のアメリカ人が素直に喜んでくれることから
始めるべきである。 (4)効果的な情報解析を
フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアのお陰で、情報の
発信や拡散は誰もが手元で出来るようになったのだが、これらの効果は魅力
的なコンテンツと豊富なネットワーク次第であり、また時間と人手をかけな
ければ成果はあがらない。 今回の活動では、コンテンツの面では魅力的なレストランや商品はある
4
ものの英語情報は限られている。そしてネットワークは一から立ち上げなけ
ればならない。マスメディアを使う予算もなければ、期間は3か月限定で人
手も足りていない。以上から、もともと大きな成果は期待できないのだが、
少しでも効果をあげるためにツイッター情報解析サービスを活用すること
にした。 ① 準備段階 新規にツイッターのアカウントを作成したため、直接届く範囲(1 次リ
ーチ)が限られている。そこで、フォロワー(2 次リーチ)の多いユーザ
ーを狙って情報発信することにした。まずツイッターで「Ramen」、
「Hakata」、
「Ippudo」などのキーワードでつぶやいている人をリスト化し、ニューヨ
ーク在住、ニューヨーク在住者に影響力が強い(フォロワーが多い)
、グル
メ関連で影響力が強い(フォロワーが多い)ユーザーを抽出し、その上位
に直接的なコンタクトを働きかけている。 ② 情報還元 ツイッター情報解析サービスを活用することにより、ツイッターでつぶ
やいた人の年齢や性別等の属性を高い確立で推定することができる。今回
の活動で各店舗や商品に関するツイートを数多く獲得できれば、それらの
情報の解析結果を店舗や食品会社に還元し、どのような層の人にどのよう
に評価されているか、アンケート結果のような情報を還元することができ
る。ツイッターはフェイスブックと違い、友人関係などに影響されない、
より素直な声を反映しやすいことから有効な利用法だといえる。 3.最後に 以上、現在進行中の食に関する小さなプロモーション活動を例として、細か
な内容を紹介したのだが、日頃、IT やモノづくりといった他の業種の企業の展
示会出展等を手伝う際も、これまで記載した内容と共通する「現地の感覚をも
っと取り入れるべき」ということをお伝えすることが多い。日本で考えている
と、日本人というほぼ均一な相手方に囲まれているため、いざアメリカに出た
時に相手方が自分とどれだけ感覚が異なるかを想定しにくいと思われる。また、
そもそも日本ではアメリカのマーケットでは具体的に何が好まれるのか、細か
なところまでは判断できない。そのため、アメリカに出るなら現地のパートナ
ーが欠かせないのである。 また、この活動のきっかけをつくったのは、ニューヨークで行われた福岡つ
ながりのネットワーキングイベントである。このような機会が新しい取り組み
を生み出すことから、ロサンゼルスでも定期的な福岡つながりのネットワーキ
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ングの開催を始め、Forbs 誌で全米ベスト・スパの一つにも選ばれた利楽園の山
本社長をゲストに招いた。このように福岡発でアメリカで活躍しているビジネ
スはまだたくさんある。これらを積極的に紹介し支援していくことが、より充
実した福岡のネットワークをつくり、アメリカでの福岡の認知度を上げること
にもつながると考えている。 6
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