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ボール修正靴型と履き心地評価
ボール修正靴型と履き心地評価 Digital Human Research Center ー婦人靴を中心にー 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センター 河内まき子 1 Digital Human Research Center 内容 ベース靴型のどこをどのように修正したか、 その理由はなぜか 修正靴とベース靴を誰がどのように比較評 価したか、その結果はどうだったか 修正靴の長所、短所は何か 修正靴を良いと評価した人の足の形と修正 靴型の形に関係があるか 2 ベース靴型の選定 Digital Human Research Center 足長サイズ23cm、ヒール高6cm 実際にそのサイズの靴を履いている人に評 価してもらう 婦人靴 N� 靴A� 19� 靴B� 16� 靴C� 17� 靴D� 5� 靴A 右足長 226.9� 223.7� 225.5� 226.4� 靴B 右足囲 左足長 228.9� 225.8� 224.8� 223.1� 227.6� 225.5� 230.1� 225.1� 選定 靴C 左足囲 227.2� 223.3� 225.5� 229.9� 靴D 3 ボール部位置のずれ Digital Human Research Center 男女とも、靴によらず、靴の外側ボール位 置は足の外側ボール位置より前方にある 4 ボール部修正 Digital Human Research Center ボール線角度が足と同じになるよう、外側 ボールを12mm後方に下げる ベース 61.8 女性394名の平均 修正 68-69.5 8つの靴型 5 Digital Human Research Center ボール部修正 ボール外側部側面と靴底 に肉盛り 足囲はベース靴型と一致 するよう、靴型の上面を けずる 靴内にスペーサを入れ、 靴底形状はベース靴型と 同じにする ベース靴 修正靴 6 履き比べ店舗実験(婦人靴のみ) Digital Human Research Center 18サイズ=足長サイズ6 (22∼24.5cm) 足囲サイ ズ3 (C、D、E) 実験内容 ‒ ベース靴と修正靴の見た目 に差があるかを調べるアン ケート ‒ ベース靴、修正靴それぞれ 最も好きなサイズを選び、 履き比べをして、履き心地 が最も好きな靴を決定 ‒ 足の形状計測 参加者 女性123名 日本皮革産業連合会の ショールームにて実験 7 結果 Digital Human Research Center 見た目:差があるとは言えない 履き心地:修正靴の方が好きな人が多いが、 有意差はない 見た目が良い方の靴(人) 靴 ベース靴 同じ 修正靴 タイプ1 33 63 27 タイプ2 24 72 27 タイプ3 28 73 22 履き心地が好きな方の靴 ベース靴 修正靴 人 52 71 タイプ1 タイプ2 % 42 58 タイプ3 いずれも有意差なし 8 どこが良いか?:15分歩行後の評価 Digital Human Research Center 日常生活程度の歩行後の評 価結果 ‒ 女性9名が評価 ‒ ベース靴、修正靴とも18 サイズのうち最も足に 合ったサイズを使用 ‒ 店頭を想定した短時間試 履き評価 ‒ 歩行後の評価 • 駅の階段の上り下りを含 む1.25kmのルート ‒ 評価理由を質問 9 歩行後の方が評価がはっきりする 4名で結果が逆転 修正靴は前滑り感、ヒールのぐらつき感が 小さいが、履き口の親指付近がきつい 好きな方の靴 Digital Human Research Center ID 開始時 終了時 1 修正 終了時のコメント 修正 修正の方が足裏の納まりがよい。ベースは踵とボール部だけが靴底に触れている 2 ベース 修正 長く履くなら修正。前すべり・ボール部裏の疲れが少ない感じがする 3 ベース 修正 修正が歩きやすく、前すべり感がないので良い。ただし、大きい方の左足の履き 口親指付け根が当たる ベース 前足部は修正が良いが踵がゆるくて脱げそうになるので、全体とすればベースが 良い 4 修正 5 ベース 修正 ベースは足が前にすべる。親指側面に圧迫感がある 6 ベース ベース ベースの方が足全体のフィット感がある。修正の方が踵が動く 7 ベース ベース 安定感では修正が良いが、履き口親指付根の痛みがベースより強いので、足の痛 さを考えるとベースを選ぶ 8 ベース ベース 修正はヒールの安定感は高いが、履き口親指付根がきつい 修正の方が足にフィットしている感じがある。ベースはヒールが不安定な感じが 9 修正 修正 する 10 ボール修正靴を好む人の足の特徴 Digital Human Research Center 裸足で足形状を測った人98名の左足 相同モデル化 ‒ どの足も同数(295個)、同相の、ランド マークに基づいて定義されたデータ点から構 成される データ点の座標値を使い主成分分析 ‒ 互いに無相関で、形状の個人差を効率良く表 現する軸を計算する ランドマーク 計測した形状データ 相同モデル 11 Digital Human Research Center 主成分分析の結果 軸の意味を解釈するために、各軸上の両端 の位置(各軸の得点が 3標準偏差)にある 仮想形状を計算する ベース靴を好んだ群と修正靴を好んだ群で 主成分得点に有意差があるかを検定 サイズ 甲高 vs 扁平 有意差! 細い vs 太い ボール角度と 足首外倒れ 12 靴の好みによるPC03得点の差 修正靴を好む人の方が、PC03の得点が小 さい傾向がある ‒ 修正靴を好む人は青い足に近い 20" 15" 人数� Digital Human Research Center PC03得点のヒストグラム� 修正靴が好き� ベース靴が好き� 10" 5" 0" 13 修正靴を好む人の足の特徴 修正靴を好んだ人は青い足に近い Digital Human Research Center ‒ 足が細く、薄べったい傾向がある ボール断面 第3主成分軸上で+の端にある形状(得点が+3標準偏差)と -の端にある形状(得点が-3標準偏差) 14 修正靴型とそれを好む人に共通した特徴 ボール外側部の厚みが小さい Digital Human Research Center ‒ 前滑りが小さい ‒ 口回り線親指付根がきつい PC03の 3SD形状 15 Digital Human Research Center まとめ 足のボール外側部は靴よりも後方にあるこ とから、ベース靴型のボール外側位置を足 に合わせるような靴型修正をした 適切なサイズのベース靴と修正靴を123名の 女性が評価した。修正靴が好まれる傾向が あったが、有意差はなかった 修正靴は前すべり感とヒールぐらつき感が 小さい点が良いと評価されたが、履き口が きついという短所があった 修正靴は細身でうすい足の人に好まれる傾 向があった。ボール外側部が薄いという修 正靴型の形状に、このような足の人の前滑 16 りを止める効果があるためと思われる