日本のゴミ

最優秀賞
日本のゴミ
トラン ティ タン フェン
TRAN THI THANH HUYEN
来日直後、私は、日本語は勿論、日本の法律
いのでしょうか。そんなことはありません。私
や地震への対処方法など色々勉強しましたが、
が住んでいる姫路市には、世界遺産の姫路城が
不思議に思ったのはゴミについての勉強会でし
あります。私は姫路に来た頃は、姫路城は幕の
た。ゴミは捨てたらいいだけだと思っていた私
ような物で覆われており見ることができません
にとって、わざわざ勉強する意味が分かりませ
でした。修理が行われていたのです。修理が終
んでした。
わった今は、美しい姿を見ることができますが、
ある日、収集場所にゴミを持って行ったとこ
この「平成の修理」の事業費は28億円もかかっ
ろ、きれいな自転車、テレビ、冷蔵庫などが置
たそうです。
かれていました。最初はこれらがゴミだとは気
私は気づきました。私は働いている工場もそ
づかず、売っているのかと思い、自分のゴミは
うですが、日本の工場では産業用ロボットが多
持ち帰ってしまいました。日本人に確認したと
く導入されていますから、新品を製造するコス
ころ、まだ使えそうであるのにもかかわらず、
トは低いのでしょう。一方、修理は作業の態様
これらはゴミとして捨てられているということ
が様々ですから、ロボットで行うことはできず
が分かりました。ひょっとしたら壊れているの
人間の手で行うことになります。日本の人件費
かも知れませんが、ベトナムにいる私の父が修
は高いですから、修理代も高くなり、文化財の
理したら、きっとまた使えるようになるに違い
ような新品に替えられない物を除いては修理し
ないと思いました。
ようとしないでしょう。
私の父の仕事は修理屋です。自転車、
バイク、
ところで私は、日本のゴミに関して、もう一
テレビなど、何でも直します。ベトナムでは、
つ驚いたことがありました。瓶、缶、新聞紙な
新品はとても高価であるのに対し、修理代は安
ど、リサイクルに備えて分別されていることで
いので、ゴミとは、絶対に修理できないほど完
す。この点に関しては、燃えるゴミと燃えない
全に壊れてしまった物だけです。
ゴミの分別すら行っていないベトナムの方が無
日本は資源の少ない国なのに、どうして修理
駄が多いと気づかされました。
しないで捨ててしまうのか不思議に思いまし
しかし、資源に限りがあることを考えると、
た。この前、修理屋で自転車の修理代を尋ねた
修理できるのに捨ててしまうのは、勿体ない話
ところ、新品を買う倍もかかると言われ、その
です。日本のゴミをベトナムに送って修理でき
理由が分かりました。日本人の同僚も、
「普通、
たら、日本はゴミが減りますし、ベトナムは生
修理をするより新品を買う方が安いから、修理
活が豊かになるので、両国にとっていいことな
しようとしないんだよ。」と教えてくれました。
のになあと残念に思います。
それでは日本では、修理することは決してな
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