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第2章 子どもがのびのびと健やかに育つまち

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第2章 子どもがのびのびと健やかに育つまち
第2章
子どもがのびのびと健やかに育つまち
第1節 多様な生涯学習の推進
現 状 と 課 題
幼稚園の教育
幼稚園は、保育所と並び、子どもたちが集団での生活を経験する最初の場です。子どもた
ちは、家族以外の友だちや先生とのふれあいや遊び、体験を通して人間形成の基礎を培いま
す。
現在、幼稚園は、少子化の進行などを背景として、入園児童数が減少傾向にある一方で、
預かり保育や未就園児を対象とした親子行事を実施するなど、地域に根ざした子育て支援の
新たな役割を担っています。
今後は、幼児期の教育の場としての役割を基本としながら、子どもの育ちや子育てを支え
る場として、地域の人々との関わりをより一層深め、特色ある保育・教育を推進することが
必要です。
学校教育
子どもたちは、その生活のかなりの部分を学校で過ごしており、そこでの「学び」と、友
だちや先生、地域の人たちとのふれあいは、子どもの育ちにとって非常に大きな意味を持ち
ます。
しかし、いま、子どもを取り巻く社会環境が大きく変化する中、子どもの豊かな心や主体
的に生きる力が身につきにくくなっているといわれています。
そのため、学校は、基礎的な知識や考え方の修得と人間関係の形成という役割を基本とし、
子どもの主体的に行動する力や思いやりのある豊かな心を育む教育を推進していくことが求
められています。
また、国際化や情報化など社会の変化に対応した新しい教育が求められると同時に、児童
生徒の心の問題やいじめ・不登校の問題などを的確に把握し、対応していくことも必要です。
さらに、地域の中で子どもの育ちを支えていく場としての役割も強く求められており、家
庭や地域社会、幼稚園や保育所などの関係機関との連携を一層強化し、地域に開かれた学校
づくりを進めることも必要とされています。
社会教育
子どもの頃に、さまざまな人とのふれあいの中で、育ちに応じた経験や体験を重ねていく
ことは、生涯にわたる豊かな感性や創造力などを培い、思いやりの心や判断する力などを育
てるために大切なことです。
しかし、小学生を対象としたアンケート調査で、体験してみたいボランティア活動として、
「地域の人との交流活動」「福祉活動」「緑化・美化活動」などが多くあげられている一方で、
半数以上が「実際に参加したことがない」と答えています。
そのため、社会体験やボランティア活動などさまざまな活動に参加できる機会を提供し、
子どもが学び、遊び、育つための環境づくりを行うとともに、社会教育に関する各種団体や
指導者・ボランティアの支援、育成を図りながら、市民の自主的な活動を広げていくことが
必要です。
問 :これまで、ボランティア活動に参加したことがありますか?
また、これからもやりたいと思いますか?
ある。またやりたい,
34.3
無回答, 1.3
ない。やりたくない,
18.8
ない。けれどやってみ
たい, 33.5
ある。もうやりたくない,
12.1
子どもアンケート(
小学5年生用)
問 :やってみたいボランティア活動は何ですか?(複数回答)
%
39.2
お祭りの手伝いなど
赤ちゃんや小さい子どもの世話など
28.4
花を植えたり、公園をそうじするなど
26.6
廃品回収などのリサイクル活動など
23.0
お年寄りの手助け
21.3
18.6
エスプなどの行事やイベントの手伝いなど
外国人との交流など
13.2
障害のある人の手助けなど
12.4
その他
1.7
16.6
ボランティア活動をしたいとは思わない
無回答
2.8
子どもアンケート(小学5年生用)
スポーツ
子どもの健やかな成長にとって、スポーツ活動を通して元気な体をつくることは、生涯に
わたり健康に過ごすために必要なことです。
しかし、近年の傾向として、子どもの体格は向上している一方で、都市化の進行や遊びの
変化などにより、体力の低下が目立つといわれています。
そのため、子どもから大人まで楽しみながら、スポーツを通して体力の向上と健康の増進
を図る取り組みをより一層進めるとともに、地域の中での指導者の育成にも力を入れて、子
どもの心身のバランスのとれた成長を図っていくことが求められています。
施 策 の 方 向
1
幼稚園の教育の充実
幼児教育の振興を図るため、私立幼稚園の健全経営を支援し、運営費などについて助成を
行います。
また、地域ぐるみで子どもの育ちや子育てを支える環境をつくるため、就学前児童の保育
を担う保育所との連携をより一層深めながら、幼稚園の子育て支援活動を促進します。
〔 具体的な施策 〕
1)幼稚園の運営支援
〔
具
体
的
事
業
〕
①経済的支援の充実
○幼稚園の運営に対する補助
②幼稚園への入園の促進
○幼稚園就園奨励費助成事業
○満3歳児入園の促進
2)幼稚園の子育て支
援機能の促進
①幼稚園と保育行政の連携強化
○情報交換の促進
○合同での事業開催などの促進
②幼稚園の子育て支援活動の促進
○預かり保育や未就園児の親子行事、子育て相談事業
などに関する情報提供の促進
2
学校教育の充実
子どもたちの無限の可能性を引き出し、「生きる力」を育む教育を推進するために、国際
化や情報化社会に対応した特色ある教育と子どもたちの豊かな心を育む教育活動を充実し
ます。
また、子どもたちの学習を支える環境づくりを充実させるとともに、子どもたちの心を支
える相談・指導体制の充実を図ります。
さらに、地域の人材・資源の活用と関係機関との連携強化を図りながら、地域に開かれた
創意と活力ある学校づくりに努めます。
〔 具体的な施策 〕
1)学習内容の充実
〔
具
体
的
事
業
〕
①特色ある教育課程の編成と実施
○「総合的な学習の時間」の一層の充実
○国際理解教育の推進
○情報化に対応した教育の推進
○個々の障害児のニーズに応じた教育支援体制の整備
②豊かな心を育む教育活動の充実
○道徳教育や福祉教育、環境教育の推進
2)学習環境の整備
①施設環境の充実
○施設改修の計画的な実施
○各種設備・備品の計画的な更新
②学習指導環境の充実
○少人数指導の実施
3)児童・生徒の心の
問題への対応
①指導の充実
○生活指導や進路指導の充実
②学校不適応対策の強化
○けやき教室の実施
③相談・カウンセリングの充実
○スクールカウンセラーや心の教室相談員の配置
4)地域と学校の連携
の強化
①地域の意見を反映させる仕組みづくり
○学校評議員制度の効果的運営
②地域の人材の活用
○学校ボランティアの活用
③地域で学ぶ活動の促進
○ふるさと体験学習の推進
④幼稚園や保育所との連携強化
○就学時指導での連携強化
3
社会教育の充実
子どもの心と体を豊かに育む場として、市内にある生涯学習施設を拠点としながら、子ど
もの年齢に応じた体験学習の情報提供や企画事業の充実を図るとともに、子どもの育ちを支
える各種団体や指導者・ボランティアの育成と活動の支援を行いながら、多彩な社会教育活
動の充実を図ります。
〔 具体的な施策 〕
1)人材・団体の育成
支援
〔
具
体
的
事
業
〕
①人材の育成
○指導者やボランティアの育成
○ジュニアリーダーなど子どものリーダーの育成
②団体の活動の支援
○団体の活動の情報提供
○活動費の援助
○活動の側面的支援
2)活動の場の提供の
充実
①社会教育の活動拠点づくり
○ふれあいエスプ塩竈や公民館、市民図書館、市民交
流センターの運営と活用促進
②社会教育活動の促進
○生涯学習施設での各種企画事業
○ボランティア団体との事業共催の促進
○団体ネットワーク化の促進
③総合的な生涯学習の推進
○「生涯学習基本構想」に基づく事業実施
4
スポーツの振興
本市の生涯スポーツ計画である『あおぞらスポーツプラン』に基づき、子どもがスポーツ
を通して楽しみながら健康・体力の増進を図るために、さまざまなスポーツに親しむ機会と
活動の場を充実するとともに、各種スポーツの指導者の育成や団体の活動支援を図ります。
〔 具体的な施策 〕
1)指導者・団体の育
成支援
〔
具
体
的
事
業
〕
①スポーツ指導者の育成
○各種スポーツ講習会の開催
○指導者講習会の開催
②スポーツ団体の活動の支援
○各種スポーツ少年団の活動支援
○スポーツ関連のNPO団体の活動支援
2)スポーツをする機
会の提供の充実
①体育施設の活用促進
○体育館やグラウンド、プール、スポーツ公園などの
管理運営と活用促進
②企画事業の充実
○各種スポーツ大会や競技会、スポーツイベントなど
の充実
○子どもへのスポーツ教室の開催
③スポーツ観戦機会の提供
○プロ・アマの各大会などの開催誘致の促進
④総合的なスポーツの振興
○「あおぞらスポーツプラン」に基づく事業実施
第2章
子どもがのびのびと健やかに育つまち
第2節 子どもが健全に育つ環境づくり
現 状 と 課 題
非行防止活動
思春期の子どもたちは、これから社会に巣立つために、精神的にも肉体的にも大きく成長
する最も大切な時期にあり、豊かな社会環境の中で過ごしていくことが必要です。
しかし、現在の社会においては、インターネット上での有害情報の氾濫や携帯電話を使っ
た凶悪犯罪の多発、子どもが自由に出入りできる深夜営業の店の増加など、必ずしも青少年
を健全に育成する環境にあるとはいえません。
また、都市化の進展や地域コミュニケーションの希薄化により、青少年を健全に育成する
地域の力が低下しているとも指摘されています。
このため、今後は青少年相談センターを中心に、学校や教育委員会、関係団体など、地域
での連携をより一層強化しながら、青少年健全育成の啓発を進めていくとともに、環境浄化
や非行防止活動についての働きかけを地域ぐるみで進めていくことが必要です。
問 :自分を取り巻く社会についてどのように 感じていますか?
①子どもでも、大人や社会に対して意見を言うことができる
中
44.3
高
0.0
28.3
47.5
15.8
28.5
11.6
13.2
10.7
0.2
0.2
②近所の大人に、声をかけられるとうれしい
24.9
中
高
40.2
21.9
20.9
38.0
13.8
21.1
18.6
0.4
0.1
③人と会って話をするよりも電話やメールの方がいい
中
11.3
高 6.8
17.2
39.9
12.8
31.5
43.6
36.2
0.6
0.6
④電車やバスの中で自分たちの 会話が迷惑になることもある
中
38.7
高
31.6
27.5
13.3
32.8
15.8
22.9
15.9
1.0
0.0
⑤パソコンがあればその場で充分にいろいろな体験ができる
中
33.2
高
31.6
27.9
20.4
31.6
14.8
23.1
17.1
0.4
0.0
⑥大人になっても、親から生活の援助を受けるほうが 楽でいい
中
12.0
高
8.1
26.1
28.1
18.8
33.8
25.8
46.5
0.8
0.0
⑦目標になる大人が少なくなっている
中
高
そう思う
51.3
29.0
53.1
28.5
どちらかといえば
そう思う
どちらかといえば
そう思わない
11.8
7.9
10.7
7.6
0.2
そうは思わない
無回答
子どもアンケート(中学2年生用・高校2年生用)
次世代の親になるための学習
子どもたちは、将来大人となり社会的な役割を担っていくとともに、親として子どもを健
やかに育てる大切な役割を担っていきます。
しかし、現在の思春期を迎えた子どもたちは、性に関する歪められた情報の氾濫や、核家
族化・少子化により乳幼児とふれあう機会が減少するなど、子どもを産み育てることの意義
や子どもや家庭の大切さへの理解が失われつつあるといわれています。
さらに、思春期の子どもたちは、さまざまな悩みを抱える最も多感な時期にありますが、
家族や周囲の大人とのコミュニケーション不足などにより、誰にも相談できずにひとりで悩
みを抱え込み、心の病に発展するようなケースも生じています。
こうしたことから、それぞれの年齢に応じた性に関する正しい知識・情報の提供や意識の
啓発を行うとともに、乳幼児とふれあう機会を広げながら、思春期から生命の尊さや親にな
るための意識啓発に結びつけていくことが重要です。
また、子どもの悩みを的確に受けとめ、「専門(プロ)のカウンセラー」などによる適切な
カウンセリングが実施できるような相談体制の整備を一層充実することが望まれています。
問 :これまで、乳幼児や児童(
小学生ぐらいまで)
の子どもの世話を
したことがありますか?
無回答, 5.4
ある(ボランティアな
どで)
, 18.0
ある(兄弟姉妹や親
戚の子ども),47.3
ほとんどない, 26.8
その他, 2.5
子どもアンケート(
高校2年生用)
問 :何でも気軽に相談できる相手として、家族や親戚、友達、先輩以外に
どのようなところで(人に)相談にのってもらいたいですか?(複数回答)
%
専門(プロ)のカウンセラー
26.6
学校の先生
24.9
青少年相談センターの相談員
6.9
医師など病院関係の人
5.6
社会福祉事務所の家庭児童相談員
5.1
エスプなどの相談ボランティア
2.4
地域の児童委員
2.0
その他
1.2
とくに必要ない
無回答
58.1
1.2
子どもアンケート(中学2年生用)
子どもの目から見たまちづくり
子どもたちの福祉や健全育成の充実を図る上では、まず、第一に“子どもたちの育ちにと
ってよりよい環境づくり”を目指すことが基本になります。この基本にたって、はじめて、
子どもにとって豊かなまちづくりが実現できます。
平成6年4月、わが国が批准した「児童の権利に関する条約」にも、子どもの権利や自由
を尊重し、すべての子どもの幸せを目指し、これらが最大限尊重される社会づくりを実現す
ることが社会の責務としてうたわれています。
このため、家庭や地域、行政など社会のあらゆる分野において、子どもの最善の利益を尊
重するという意識の啓発を行っていくとともに、子どもたちがまちへの愛着を持ちながら、
自覚と責任を持って塩竈の未来を担うことができるよう、子どもの視点を大切にすることも
重要です。
施 策 の 方 向
1
非行防止活動の促進
未来を担う青少年が、豊かな社会環境の中で健全に過ごしていくことができるよう、青少
年の生活実態や取り巻く地域環境などの現状を踏まえた上で、家庭、学校、地域の関係機関、
団体などがそれぞれの役割を担い、緊密に協力、連携しながら、地域ぐるみで青少年の健全
育成の取り組みを進めます。
〔 具体的な施策 〕
1)地域での働きかけ
の促進
〔
具
体
的
事
業
〕
①子どもへの指導の充実
○青少年指導員の配置
○街頭巡回指導の実施
○非行防止に関わる教育の推進
②環境浄化の促進
○有害図書排除への働きかけ
○深夜営業への未成年立入規制の働きかけ
○未成年へのタバコ・酒の販売防止の働きかけ
③非行防止広報活動の充実
○各種キャンペーンなどの実施
○啓発パンフレットなどの配布
○広報などの情報提供の充実
2)地域での体制づく
りの促進
①青少年相談センターを核とした取り組みの強化
○青少年相談センターの機能充実
②関係団体の活動支援と連携強化
○青少年育成塩釜市民会議との連携強化
○保護司会・更生保護女性会との連携強化
③専門機関との連携強化
○学校や警察、各施設などとの情報交換と連携体制づ
くり
○中央地域子どもセンターとの連携強化
2
次世代の親になるための学習の充実
これから親になる世代が、健全な生活を送る中で、人に対する優しさや思いやりの心を持
って豊かな家庭を築けるよう、幼児期からの生活習慣指導と年齢に応じた保健教育を充実す
るとともに、思春期における性に関する正しい知識や情報の提供、相談体制を充実し、中・
高校生などが乳幼児とふれあう機会の提供を行いながら、次世代の啓発を図ります。
〔 具体的な施策 〕
1)親になるための学
習機会の提供
〔
具
体
的
事
業
〕
①乳幼児とふれあう学習機会の充実
○中高生の保育所などでの乳幼児保育体験学習
②性・生命についての学習機会の充実
○学校での性に関する正しい知識普及の充実
○性や生命を考える講習会などの開催
2)健全な生活を送る
ための学習機会の
提供
①児童・生徒への生活・保健教育の充実
○学校などでの生活習慣指導の充実
○子どもの年齢や発達に応じた保健教育の充実
②思春期保健対策の充実
○保健センターなどでの思春期相談の充実
○学校での思春期の保健養護相談・指導の充実
③青少年の相談・指導の充実
○青少年相談センターでの相談指導の充実
○青少年相談員の配置
○臨床心理士によるカウンセリングの実施
3
子どもの目から見たまちづくりの推進
家庭や地域、学校、行政など社会のあらゆる分野において、「子どもにとって大切なこと
は何か」を常に念頭においた取り組みが進められるよう、子どもの基本的な権利についての
意識啓発、普及を行います。
また、子どもも一人の市民として、まちづくりに参加できるよう、ふるさと塩竈を学ぶ機
会の充実や子どもたちの意見を聞く機会の充実を図りながら、まちづくりへの反映に努めま
す。
〔 具体的な施策 〕
1)子どもの権利につ
いての意識啓発
〔
具
体
的
事
業
〕
①情報提供の充実
○「児童の権利に関する条約」の普及啓発
○「児童福祉週間」などの広報活動の充実
②学習機会の充実
○子どもの権利についての講座や講習会、研修会など
の開催
2)子どもの意見を反
映させる仕組みづ
くりの促進
①まちづくりについての子どもの学習機会の充実
○子ども版「塩竈学」の実施
○子ども版「まちづくり出前講座」の実施
②まちづくりについて子どもが意見を発表する機会の充
実
○「塩竈こどもゆめ議会」などの企画促進
○青少年の主張などの取り組みの推進
○まちづくりの作文や絵画、標語などの募集
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