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生涯学習論特殊講義Ⅰ 永 井 健 夫
生涯学習論特殊講義Ⅰ 永 井 (生涯学習論の展開過程) 1 年 2 単 位 健 火曜日 1時限 夫 前 期 授業のねらい この講義では、生涯学習の主張や考え方がどのように生成・発展してきたか、その過程を振り返ることをとおし て、生涯学習の本質的な意味を探ってゆく。もともと、人の社会的・文化的な諸活動と学習とは互いに切り離せな い関係にあり、太古の昔からいずれの年齢段階の人も常に学び続けてきた。にもかかわらず、わざわざ「生涯」が 付されて成り立っているのが「生涯学習」であるが、この言葉が成立した背景には、現代的な状況や困難に対する 人類的な危機感がある。つまり、生涯学習とは、学習機会の生涯的拡大を意味する用語であるだけではなく、今日 の社会的・文化的問題に対する課題意識や批判的アプローチへの関心を象徴する言葉でもある。この講義の履修者 は、歴史的・社会的文脈に即して生涯学習の意義や可能性について考えるよう努めてほしい。 (下記の授業内容・ 授業方法は、履修者の人数や関心テーマに応じて変更する場合がある。 ) 授業方法 関連文献や資料をもとに解説を進め、随時、見出された論点をめぐって意見交換を試みる。 授業計画 1 類縁概念との関係―生涯教育、成人教育、社会教育と生涯学習― 2 国際成人教育会議(第1回・第2回)の議論 3 成人識字教育の世界的状況 4 出発点としての成人教育推進国際委員会(1 9 6 5年) 5 Lengrand の生涯教育論 6 国際成人教育会議(第3回)の議論 7 学習社会論とフォール(Faure)報告 8 OECD のリカレント教育論 9 Gelpi の生涯教育論 1 0 Freire の識字教育論 1 1 Illich の脱学校論 1 2 国際成人教育会議(第4回・第5回)の議論 1 3 日本の教育政策・社会政策への影響 1 4 消費社会と生涯学習 1 5 生涯学習論の課題 評価方法 授業への参加状況とレポートの達成度によって総合的に評価する。 テキスト 指定しない。 参考文献 必要に応じ、適宜、紹介する。 ―8 5― 生涯学習論特殊講義Ⅱ 永 井 (成人の学習と社会) 1 年 2 単 位 健 火曜日 1時限 夫 後 期 授業のねらい 生涯学習は、乳幼児から高齢者まで、全生涯段階の人々がその活動主体となる。その一方、社会の運営に関して 最も主要な責任を担うのは成人層である。つまり、社会の維持・発展との関係で生涯学習の意義を探ろうとする場 合、その主要な活動主体としては、第一に成人学習者に注目する必要がある。そこで、この講義では、成人期の学 習の特質や社会的意義について説明する諸理論を検討したうえで、それらが提起する主張や観点を手がかりとして、 成人の学習活動と社会や組織の在り方との相互関係について検討してゆく。 (下記の授業内容・授業方法は、履修 者の人数や関心テーマに応じて変更する場合がある。 ) 授業方法 関連文献や資料をもとに解説を進め、随時、見出された論点をめぐって意見交換を試みる。 授業計画 1 成人期の状況 2 成人の発達論・社会化論 3 アンドラゴジー論 4 変容的学習論 5 省察的実践論 6 学習社会論 7 組織的学習論 8 社会的学習理論 9 学習する組織・コミュニティ・都市 1 0 身体と学習 1 1 生活史と学習 1 2 生涯学習と市民性形成 1 3 持続可能社会と消費者学習 1 4 学習の個人性と社会性 1 5 「生涯学習社会」の課題 評価方法 授業への参加状況とレポートの達成度によって総合的に評価する。 テキスト 指定しない。 参考文献 必要に応じ、適宜、紹介する。 ―8 6― 演習Ⅰ・Ⅱ(生涯学習論) 1・2年 永 井 4・4単位 火曜日 2時限 健 夫 通 年 授業のねらい 生涯教育・生涯学習の考え方は、伝統的な教育制度や社会システムが複雑な現代的状況に十分に対応できないこ とへの危機感を背景に生成・発展してきた。ゆえに生涯学習には、教育、社会、文化のオールタナティヴな在り方 を探る試みという側面がある。この点を踏まえるなら、 「生涯学習論」としての考察・探究に取り組むという場合、 その題材は必ずしも狭い意味での「教育」である必要はなく、現代人が生活し社会・文化を営むことに関わる事 象・現象であれば何でもよい。必要なことは、注目する問題が人々の生き方や社会・文化にとってどのような意味 があり、その問題に対して諸個人や社会の制度・組織がどう対処すべきか、という関心を持つことである。この演 習の履修者は、そうした問題関心を深めることに努めてほしい。 授業の方法 生涯学習に関する論文集や専門誌などから各自の関心に基づいて論稿を選択し、それを素材とする報告・意見交 換を行なう。合わせて、修士論文の構成方法や研究の進め方について教員が助言・指導を行なう。 授業計画 1 問題関心と執筆計画の確認① 2 問題関心と執筆計画の確認② 3 関連文献を素材とした論文執筆方法の理解① 4 関連文献を素材とした論文執筆方法の理解② 5 関連文献を素材とした論文執筆方法の理解③ 6 修論計画発表会に向けた執筆計画の検討① 7 修論計画発表会に向けた執筆計画の検討② 8 関連文献の読解と意見交換① 9 関連文献の読解と意見交換② 1 0 関連文献の読解と意見交換③ 1 1 関連文献の読解と意見交換④ 1 2 関連文献の読解と意見交換⑤ 1 3 執筆テーマに関連する視聴覚資料の検討と意見交換① 1 4 執筆テーマに関連する視聴覚資料の検討と意見交換② 1 5 夏季休暇と後期に向けての課題の確認 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0 2 1 2 2 2 3 2 4 2 5 2 6 2 7 2 6 2 7 2 8 2 9 3 0 問題関心と執筆計画の再確認① 問題関心と執筆計画の再確認② 関連文献の読解と意見交換⑥ 関連文献の読解と意見交換⑦ 関連文献の読解と意見交換⑧ 関連文献の読解と意見交換⑨ 関連文献の読解と意見交換⑩ 研究の進捗状況の報告と意見交換① 研究の進捗状況の報告と意見交換② 関連文献の読解と意見交換⑪ 関連文献の読解と意見交換⑫ 関連文献の読解と意見交換⑬ 関連文献の読解と意見交換⑭ 関連文献の読解と意見交換⑮ 執筆テーマに関連する視聴覚資料の検討と意見交換③ 研究成果の報告と意見交換① 研究成果の報告と意見交換② 授業の内容 生涯学習論の検討対象となりうる題材は広範にわたるため、内容を絞り込むことは難しい。そうでなくとも、こ の演習の最も主要な目的は履修者の修士論文の完成であり、そのテーマは各自が決めるべきものであるので、演習 で取り組む内容を予め具体的に定めることはしない。とはいえ、どのようなテーマ設定がありうるか、参考までに 示しておくと、例えば次のようなものが考えられる: ・市町村合併と社会教育行政 ・地域振興と住民の学習活動 ・情報化と人々の認識パターンの関係 ・生涯学習の場としての大学の課題 ・図書館を拠点とした地域学の展開 ・学習活動が支える高齢者の健康 ・多文化社会における学習支援策 ・職業能力開発をめぐる政策動向 ・環境問題と消費者教育 ・経済のグローバル化と金銭教育 etc. 評価の方法 授業への参加状況とレポートの達成度によって総合的に評価する。 テキスト・参考文献 必要に応じ、適宜、紹介する。 ―1 1 9―