...

Title 経尿道的前立腺摘除術の術後出血に対するトロンビン局 所灌流

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

Title 経尿道的前立腺摘除術の術後出血に対するトロンビン局 所灌流
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
経尿道的前立腺摘除術の術後出血に対するトロンビン局
所灌流療法
光林, 茂; 栗田, 孝; 片岡, 喜代徳; 井口, 正典; 門脇, 照雄
泌尿器科紀要 (1986), 32(9): 1371-1377
1986-09
http://hdl.handle.net/2433/118902
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
1371
泌 尿 紀 要32巻9号
1986年9月
経尿道的前立腺摘除術の術後 出血に対する
トロ ン ビ ン局 所 灌 流 療 法
近畿大学 医学 部泌尿器科学教室(主 任 :栗 田 孝教授)
光
林
茂
栗
田
孝
泉 大津 市 立 病 院 泌 尿 器 科(部 長 ・片 岡喜 代 徳)
片
岡
喜 代 徳
市 立 貝 塚 病 院 泌 尿 器 科(部 長:井
井
口
正
口正 典)
典
済 生 会 富 田林 病 院 泌 尿 器科(部 長:門 脇 照 雄)
門
THE
脇
MANAGEMENT
OF
TRANSURETHRAL
LOCAL
雄
BLEEDING
PROSTATIC
IRRIGATION
Shigeru
照
OF
FOLLOWING
RESECTION
THROMBIN
MITSUBAYASHI and
BY
SOLUTION
Takashi
KURITA
From the Department of Urology, Kinki University School of Medicine
(Director: Prof. T. Kurita)
Kiyonori
KATAOKA
From the Department of Urology, Izumiohtsu Municipal Hospital
(Chief: Dr. K. Kataoka)
Masanori
IGUCHI
From the Department of Urology, Kaizuka Municipal Hospital
(Chief : Dr. M. Iguchi)
Teruo
KADOWAKI
From the Department of Urology, Saiseikai Tondabayashi Hospital
(Chief: Dr. T. Kadowaki)
The clinical value of local irrigation
bleeding
following transurethral
units of thrombin
designed
in 500 ml of saline
three-way
balloon
catheter
while sterile saline was irrigated
The hemostatic
of thrombin
prostatic
resection.
was irrigated
in 30 patients with urethral
solution consisting
in 20 patients
through
the
of 25,000
especially
at a speed of 8.3 ml/min for five hours after the operation
in the same manner
effect of thrombin
was studied
A thrombin
solution
in 10 patients
was evaluated
as a control.
as excellent
in 2 patients
(10
%), good in 5 (25%), moderate in 6 (30%), and poor in 2 (10%) with 5 drop outs (25%)
in the thrombin irrigating group. In the control group, the effect of irrigation was evaluated
as good
in 1 patient
(10%), moderate
in 4 (40%), poor in 2 (20%), and unable
mated in 2 (20%) with 1 drop out (10%). Therefore
to he esti-
the rate of overall effectiveness
was 65%
1372
泌 尿 紀 要32巻9号.1986年
in the thrombin
irrigating
group and 50% in the control
blood loss was 0.58 ml/g • hour and 0.62 ml/g • hour,
group and volume
respectively.
Though
patients in both groups showed a moderate elevation of fibrinogen
adverse effect considered to be caused by thrombin irrigation. .
The local irrigation
ment of bleeding
Key
of the thrombin
following
words
:
Transurethral
prostatic
prostatic
irrigation,
緒
solution
transurethral
of postoperative
almost
in serum,
is a useful method
and safe in the manage-
resection.
resection,
Three-way
balloon
言
投
泌 尿器 科 領 域 に お い て も80歳 以 上 の高 齢 者 の 手術 が増
加 して い る1β).高 齢 老 の 手術 で 頻 度的 に最 も重 要 と
考 え られ る疾 患 は前 立腺 肥 大 症 であ ろ う.前 立 腺 肥 大
catheter,
A:ト
与
方
ロ ン ビ ン局 所 灌 流 施 行 群(n・
TUR-P施
行 後,切
除前立腺床及び 膀胱頸部 に ト
す な わ ちballoonの
約1.5cm遠
位側に薬剤流出 口
の 作 製 さ れ たthree-wayballooncatheter(20F,
22F)を
使 用 し た(Fig.1).balloon内
30・nl注
入 し,局
急 速 に 普 及 し,手 術
つ手 術 操 作}こ習熟 す れ ば,TUR-P
は本 疾 患 の 外 科 的 治療 法 と して 最 も優 れ た術 式 で あ る
×5,計25,000単
こ とに 異 論 の 余 地 は な い と思 わ れ る.当 科 で は術 前 に
8.3m豆/minの
経 直 腸 的 前 立 腺超 音 波 断 層 検 査 を 施 行 し3),超 音 波 診
断を 行 な うと と もに,推 定 前 立 腺 腺 腫重 量 を評 価 し,
術 式 選 択 の 一 助 と してい る.す なわ ち推 定 前 立 腺 重 量
り5時
(Fig.2)に
前,灌
流 開 始 後1時
時,術
後1病
間,2時
日,2病
間,3時
しぽ しぽ 電 気 凝 固 に よ る止 血 を 困 難 に
牽 引 や 頻 回 の膀 胱 洗 浄
患 者 に 与 え る ことに な る.そ の結
よ る出 血 量 の増 加 を招 来 し,種 々の
間,灌
日 の 計7回,各
回 われ わ れ はTUR-P
B:対
照 群(n=10)
TUR-P終
了 後,一
般 の 膀 胱 灌 流 用three-way
ballooncatheter(20F,22F)を
ballooncatheterの
mllminの
に5時
膀 胱 内 に 留 置 し,
牽 引 と 同 時 に 生 理 食 塩 水 を8.3
速 度 で,ト
ロ ン ビ ン局 所 灌 流 施 行 群 と 同 様
間 持 続 灌 流 を 施 行 し た.血
尿 の判 定 法 は トロ ン
ビ ン局 所 灌 流 施 行 群 と 同 様 で あ る.ま
LAMBERTCo,Ltd)加
酔 は 腰 椎 麻 酔 の み と し,術
生 食 を 切 除 前 立 腺床 及 び
膀 胱 頸 部に 持続 的 に 灌 流 す る止血 方 法に つ い て若 干 の
成
象
績
ま で の1年
聞
著 効5時
間 以 内に 血 尿 比 色表 に よる 肉眼 的 判 定 で
に 近 畿 大 学 医 学 部 付 属 病 院 泌 尿 器 科 及 び そ の 関 連3施
3段 階 以上 改善 され た もの.有 効12段
設 泌 尿 器 科 にTUR-Pを
られ た も の.や
うち,前
目的 ど して入 院 した 患 者 の
立 腺 切 除 重 量 が10g以
均71.3歳
で あ った,切
上 で あ った 無 作 為 に
齢 は52歳
か ら86歳
ま で,平
除 標 本 の 病 理 組 織 学 的 診 断 は1
例(caseNo4)にlatentcanccrが
他 は す べ てbenignhyperplasiaで
尿剤
止 血 効 果 判 定法
よ り1985年12月
抽 出 し た30痕 例 で あ る.年
た 両 群 と もに麻
後 の 全 身 性 止 血 剤,利
は 局 所 灌 流 施 行 中 は 一 切 の 使 用 を 控 え た.
検 討 を 加 え た の で報 告 す る。
対 象 症 例 は1984年12月
流終了
ス ポ ッ ト尿 中 の
後 の 出血 に 対 し,局 所 用 ト ロ ン ビ ン(WARNER
対
流 開 始直
ヘ モ グ ロ ビ ン濃 度 を 測 定 し た.
脈性 出血 は と も か く,静 脈 洞 開放 に よる漏 出性 出血
術 後 合 併 症 の 遠 因 とな る.今
尿 の時 間 的推 移 は 血 尿 比 色表
よ る 肉 眼 的 判 定 と と も に,灌
第1選 択 手術 と して い る.
果tenesmusに
溶 解 し,
了後病室帰室時よ
間 持 続 灌 流 を 施 行 し た.ballooncatheterの
牽 引 は 一 切 行 な わ ず,血
TUR-Pを
とい ったstressを
位(1via1)
位 を 生 理 食 塩 水500mlに
速 度 でTUR-P終
下 の前 立 腺 肥 大 症に 対 して は 原 則 と し て
し,術 後ballooncatheterの
に 蒸 留 水を
所 用 ト ロ ン ビ ン5,000単
が50g以
術 中 止血 操 作 は電 気 凝 固 に よ る が,動
・20)
ロ ン ビ ン 加 生 食 を 局 所 灌 流 す る 目 的 で 改 良 を 加 え た,
道的 前 立 腺 摘 除 術(TUR-P)が
(oozing)は
Local
法
症 の根 本 的 治 療法 は 手術 療 法 以 外 に な い が,近 年 経 尿
TUR-Pの
was no
Thrombin
近 年 のわ が 国 の 平 均 寿 命 の延 び は 著 し く,そ の結 果
適 応 を 誤 らず,か
all of the
there
見 ら れ た が,
あ っ た.
の.無 効:5時
や 有 効:1段
階 の改 善 が 見
階 の 改善 が 見 ら れ た も
間 の局 所 灌 流 施 行 中に 中等 度 以 上 の血
尿 が持 続 し,そ の程 度 が 変 化 しな いか,逆 に 増 悪 した
もの.dropped・out頻
回 の膀 胱 洗 浄 を要 す る膀胱
タ ンポ ナ ー デ のた め に,ballooncatheterの
全身 性 止 血 剤 の投 与,TU-coagurationな
牽引や
ど の外科
1373
光 林 ・ほ か:経 尿 道 的 前 立 腺 摘 除術 ・ トロ ソビ ン
へ
\
膀胱
r
/
1
■
←
0 →
前立 腺 床
い 0 峠
屈
一
●
畢
/l
Fig.1.
Especjallydesignedthree吻wayballooncatheter
淡
_・lh-'
ヒ
5
4
3
2
1
Fig.2.Gradingofmacroscopichematuria
的操 作 を余 儀 な くされ た も の.判 定 不 能:灌 流 当 初 よ
り終 了 ま でgrade1の
淡 微 血 尿 で あ った も の と し
た.
法に よ り検 討 した.す な わ ちTUR-Pに
方
使用 した灌
流 液 の量 とそ の ヘ モ グ ロ ビ ン濃 度 よ り全 ヘ モ グ ロ ビ ン
成績 はA群 では 著 効2,有
2,droppcdout5,一
4,無
Pの 術 中,術 後 の 推 定 出血 量 をMackenzieら4)の
効2,判
効5,や
効
量 を 計 算 し,術 前 の血 中 ヘ モ グ ロ ビン量 よ り術 中 推定
や有効
出血 量 を 換 算 した.術 後 の 推定 出血 量 も同 様 に 灌 流液
や 有 効6,無
方B群 で は 有 効1,や
定 不 能2,droppedout1で
あ り,
やや有 効 以上 の有 効 率 は そ れ ぞ れ65%と50%で
あっ
た.前 立 腺 切 除 重 量 に つ い て検 討 す る と10.Ogよ
38.Ogま
で,A群
の 平均 は19.39で
B群 の平 均 は15.89で
あ った.ト
り
あ るの に 対 し,
ロ ン ビ ンの 局所 止
を含 め た 蓄 尿 量 と そ の ヘ モ グ ロ ビ ン濃 度 よ り計 算 し
た.施 設 に よ るヘ モ グ ・ ビ ン濃 度 測 定 の誤 差 の た めに
術 中 推 定 出血 量 の 評 価 が 可 能 で あ った 症 例 はA群10
例,B群7例
であ った が,切 除 重 量1g当
術 中 推 定 出血 量 はA群 で は10.5ml/g,B群
血 効果 を 検 討 す るに あ た り,い か に 腺 腫 を 残 さ ず に切
ml/gで
除 で きた か とい う問 題,つ
例 はA群13例,B群8例
ま りTUR-Pの
習熟 度 が
あ った.ま
りの 平均
で は9.8
た術 後 の推 定 出血 量 の評 価 可 能症
で あ り,切 除 重 量Ig,1時
微 妙に 影 響 す る と思 わ れ,推 定 前 立 腺 重 量 が 真 の 前立
間 当 りの平 均 術 後 推 定 出 血 量 はA群 で は0.58ml/g・
腺 重量 を 表 す と い う大 胆 な仮 定 の も とに 前 立腺 切 除 率
hour,B群
な る もの を計 算 し た が,A群
1,2).
で は91・7%,B群
では
69.7%と 母 集 団に 若 干 の差 を生 じた ・ また 輸 血 を 必 要
と した症 例 はA群7例,B群3例
の 計10例 を数 え,や
は り切 除 重 量 との 間 に 相 関 が 見 ら れ た ・ 次 にTUR一
で は0.62ml/9・hourで
あ った(Table
副作 用 に つ い ては あげ て 論 ず べ ぎ もの は認 め なか っ
た.血 液 凝 固機 能 検 査 と して,局 所灌 流 施行 前 と施 行
後1∼2日
の 出血 時 間,プ
ロ トロン ビ ン時 間,部 分 ト
1374
泌 尿 紀 要32巻9号1986年
Table1,A:Resultsofthrombinirrigatinggroupin20consecut三vecases
Case
切 除 〔9)推定(9) 切 除 率
重量
(%)
氏名
年齢 重 量
1
M,M.
82
20.0
18.3
2
CS.
75
20,0
220
3
YB.
4
M,K,
68
78
12,0
11.0
14.0
5
M.K.
16,0
6
7
D.K,
63
79
M.T,
8
No
手 術 〔mdn) 術 中推 定 出血 量
輸血量(mの
術中 術後
術 後推 定 出血 量
(m2}(m919)
時間
(m2}〔mEig・ 励1
止血効果
109,3
80
186.8
9,3
42.3
O,42
著
効
909
65
40
162.6
8,1
11.4
0,11
著
効
34.0
0.57
有
効
78,6
25
1059
9.6
25.4
0,46
有
効
33.3
48,0
107
13.4
42.7
0.53
有
効
10,0
10.0
100,0
40
有
効
65
16.0
16.1
99,4
60
有
効
K.K.
63
10.0
25.0
34
213,6
260
260一
9
H.M.
60
220
22.0
40,0
100.0
120
やや有効
to
S、Y.
78
18.0
12.0
150.0
120
や や有効
ll
t2
K.A.
75
69
11.0
35,5
108
1019
Y,H.
36、0
98,6
50
105
13
S,O.
52
20.0
21.0
95,2
42
14
K,0.
83
20,0
21.6
50
15
Y.M
73
11.0
25,5
92.6
43.1
87
16
17
H.H.
18.0
17.0
10.2
176,5
C.H.
77
74
220
18
T.M.
65
38.0
33.0
19
T.O.
80
34,0
20
K.S.
61
26.0
平 均
71.O 19.3
26.20.52
や や有効
やや 有効
5t3.414.5
17.6
0.10
359
0,36
79,07,2
23.7
0.43
312.517,4
24,0
1.33
773
100
95
118B7,0
13B
0,81
115.2
100
314.68.3
78,6
1.03
44.8
759
160
354310,4
28.9
0.85
23.0
113.0
120
21.0
91.7
80.O
一
236.210,5
〇
260
やや 有効
や や有効
260
無
効
無
効
droppedout
droppedout
650
260390
-390
drQppedout
dr◎ppedout
droppedout
有効率65%
,58
Tab量e2.B言Resultsofcontrolgroupin10consecutivecases
Case
No,
切除(9) 推 定(9) 切 除 率 手術〔mln)術 中 推 定 出血 量
氏名
年齢
21
H.T.
60
120
22
MS.
79
20.0
23
LT.
56
10.5
24
Y.T.
84
15.0
25
M.N.
84
26
M.K.
27
M.W.
28
29
輸血 量(mの
術後
止 血効 果
16.0
75,0
65
129.3
10.8
34.1
0.57
有
24.7
81.0
85
229.5
11.5
43.4
0.43
23,0
45.7
50
84.8
8.1
126
0,24
15.5
968
38
116.4
78
61.6
0.82
11.0
20.0
55,0
45
339
0,62
75
15.0
25.0
60.0
85
67
10,0
23.0
43.5
75
やや有効
やや有効
やや有効
やや有効
無
効
無
効
K.N.
71
28.0
36.4
76.9
25
Y.K.
57
10.0
10.0
86
26.O
32.3
80.5
55
22.6
69.7
60.8
7f.9158
100D
(m£)(m2/9)
(m2)〔 雌19・hur}術 中
間
平 均
重量
術 後 推 定 出血 量
(%)時
Y.1.
30
重量
128.1
8.5
64.8
086
260
276.8
9.9
30.6
0.22
260130
309,4
11.9
31.8
1.22
390390
一
〇.62
判定不能
判定不能
85
182.09.8
効
droppedout
有効率50%
Tab!e3.Hemostaticanalysis
A:ト
施 行 前
出
血
時
間
B:生
ロン ビ ン加生 食灌 流群
施 行 後
施 行 前
食 灌 流群
施 行 後
2分5秒 ±50秒
2分8秒 ±51秒
1分30秒 ±37秒
2分0秒 ±42秒
プロトロンヒン時間
12.0秒 ±1.0秒
12.1秒 ±1.3秒
11.3秒 ±4、9秒
10,8秒 ±0,3秒
部分トロンボプラスチン時間
31.2秒 ±4.5秒
31.2秒 ±3.5秒
28.5秒 ±3.3秒
32.2秒 ±3.8秒
フィブリノーゲン
280.2±94,Bmgld2
418.1±121.Bmg!dO
279.q±63.9mgld2
421.B±132.2mg/dl
血
25.3±8.2×104
24.7±6.2×le4
20.6±8.4×IO4
小
板
22.7±8.2×104
(Mean±SD)
ロ ソ ポ プ ラ ス チ ン 時 間,フ
つ い て 検 討 し た が,両
ィ ブ リ ノ ー ゲ ン ,血
小板 に
考
群 と も に フ ィ ブ リ ノー ゲ ン値 が
局 所 灌 流 施 行 後 有 意 に 上 昇 し て い た(Table3).
ト ロ ン ビ ン は1938年Seegersら5)に
製 さ れ,フ
察
よ り初 め て 精
ィ ブ リ ノー ゲ ンー フ ィブ リ ン変 換 の 引 き 金
光 林 ・ほ か:経 尿道 的 前立 腺 摘 除 術 ・トロ ソ ビ ン
1375
塊儲脚 ㍗ 欄 瞭
Y
activeX皿PTA(X)
activeX【PTC(区)
\ 丁/Ca'+
actlveX
tissuefactor
AHG(皿)
(ahpoptoteln>factorV∬
Ca2+plateletmernbrane
\6・a・+
llpoproteln
STUARTfactor(X)
STUARTfacto「(X)
tissuefactor+V皿(c㎝plex)
\ で!鯉
Ca2+
actlveX
activeX
factorVplateletmembrane
factorVtbssuefactor
Ca2+1,POPt。teln
Ca2+llp◎proteln
prothro
mblnactlvato「
prothromblnactivator
一一一一勝prothrombln(E)
Y
1Ca2+
thr㎝bln
flレlnqgen(1)
fihrlnfibrInstab日izingfactor(粗)
Fig.3。Schemaofb星oodc夏ottingsystem
であ る と とも に
皿 因 子,X皿
す る 活 性 化 作 用 も 有 し,血
因子 な ど各 因子 に 対
液凝固系 で 重 要 な 役 割 を
演 じ る 蛋 白 分 解 酵 素 で あ る.今
回わ れ わ れ が 使 用 し
mo19>,Bandlcrら20)がTUR-P及
び 恥 骨 上 式前 立
腺 摘 除 術 後 の"troublesomeoozing"に5,000単
又 は10,000単
位 の ト ロ ン ビ ンを10m豆
位
又 は30mlの
た局 所用 トロ ンビ ンは ウ シ血 漿か ら 分 離 し た プ ロ ト
生 理 食 塩 水 に 溶 解 し た 溶 液 を 作 製 し,Palomoは
ロ ン ビ ンにCa塩
three.wayballooncatheterを
と 肺 臓 性 トロ ン ボ プ ラ スチ ンを 作
用 さ せ て 精 製 し,無
菌 的 に 凍 結 乾 燥 し た も の で あ る.
Foleycatheterを
使 用 し,他2者
正常 血 漿中 に は そ の前 駆 体 であ る プ ロ トロ ンビ ンと し
液 を 注 入 す る 方 法 に よ り,入
て 約10mg%存
痛 の 軽 減,intensivcnursingcareの
在 し,プ
ロ ト ロン ビ ンか ら の トロ ン
ビ ンの 生 成 に っ い て は 単 にCa2+や
チ ン(tissuefactor)が
トロ ン ボ プ ラ ス
関 係 す る だ け で な く,血
液 中
の諸因 子 が 複 雑 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ て い る
(Fig.3).一
(ATIII)や
α2一マ ク ロ グ ロ ブ リ ン(α2MG)な
の 血 液 凝 固 阻 止 因 子 の 存 在 が 知 られ,い
固機 序 を 複 雑 に し て い る が,大
所 投 与 は,ト
り,出
ど
っ そ う血 液 凝
過 剰 の トロ ン ビ ンの局
ロ ン ビ ン生 成 過 程 を 省 略 す る こ と に よ
血 部 位 で 迅 速 に フ ィ ブ リ ン血 栓 を 形 成 さ せ,局
られ る.
目的 でFoleycatheterを
改 良 し たFoley-Hendri考 案 し,TUR-P470症
例 の
術 後 出 血 に 極 め て 有 効 で あ っ た と述 べ て い る.一
邦 で は1957年
デ ル を 作 製 し,ト
度 を 検 討 し,そ
石,出
肝
臓 の 実 質 性 出 血 や 骨 髄 出 血 に 使 用 し,局
所止血剤 とし
て の 有 用 性 を 報 告 し た の に 端 を 発 し,内
科 領 域 では 主
と し て 消 化 管 出 血7,8)や
ロン ビ ン溶液 の膀 胱 内注 入 の 有効 濃
の 結 果 を も とに 各 種 原 因 の膀 胱 出 血 症
胱 の 結 核,癌,乳
血 性 膀 胱 炎 の う ち,5単
位/mlの
頭 腫,結
濃 度 の トロ
気 道 出 血9・10)に 対 し て 使 用 さ
た 外 科11・12),婦 人 科12,!4),耳
鼻 科15,16),整
形外
た と 述 べ て い る.1959年
に お け る,創
楠 ら23)は 種 々 の 泌 尿 器 科 手 術
面撤 布及 び術 後 の膀 胱 洗 浄 液 と して の ト
ロ ン ビ ン の 止 血 効 果 を 検 討 し て い る が,恥
腺 摘 除 術,腹
式 前 立 腺 全 摘 除 術,膀
後 に ト ロ ン ビ ン5単
位/mlの
骨 後 式前 立
胱 部 分 切 除術 の術
ト ロ ン ビ ン溶 液100ml
科 領 域17)に お け る 手 術 時 の 結 紮 不 可 能 な 小 血 管 や 毛 細
に よ る 膀 胱 洗 浄 に よ り 出 血 は 対 照 に 比 し,73.3%減
血 管 か ら のoozingに
し た と 報 告 し て い る.1982年
る.泌
方 本
鮫 島22)は 家 兎 を 用 い た 実 験 的 膀 胱 出 血 モ
ン ビ ン溶 液 の 注 入 が 出 血 性 膀 胱 炎 に 極 め て 有 効 で あ っ
ト ロ ン ビ ン の 臨 床 応 用 は1939年Seegersら6)が
れ,ま
開放につなが
は ト ロ ン ビ ン溶 液 を 前 立 腺 床 に よ り効 率 よ く 注 入 す る
例 に 臨 床 応 用 し て い る.膀
所 止 血 を は か る 目的 に 最 も か な っ た 方 法 で あ る と考 え
院期 間 の短 縮 や患 者 の 苦
る 良 好 な 結 果 を 報 告 し た.翌1946年Hendrickson2J)
cksonbagcatheterを
方 血 液 中 に は ア ン チ ト ロ ン ビ ンIII
は
使 用 し て 前 立 腺 床 に ト ロ ン ビ ン溶
有 効 で あ る こ と が 知 られ て い
尿 器 科 領 域 で は1945年O℃onor1s),palo一
Foleycatheterよ
少
米 川 ら24)はTUR-P後,
りわ れ わ れ と 同 じ50単
位/mlの
濃
1376
泌尿 紀 要32巻9号1986年
度 の トロ ン ビ ン溶 液 で膀 胱 内灌 流 を 施 行 し,平 均 止血
た.こ れ は 出 血凝 固 に よる フ ィブ リ ノー ゲ ンの消 費に
日数1ま約1/3に
対 す る生体 のreactionと
短 縮 され た と述 べ て い る が,よ
果 的 に 前 立腺 床 の灌 流 が可 能 なcatheterの
り効
考 案 が望
ま しい と思 わ れ る.
液 凝 固 系 へ の影 響 は 無視 し うる もの と推 察 され た.
わ れ わ れ はTUR-P後
の 出血 に 対 し,50単
位/ml
結
とい う比 較 的 高 濃 度 の トロ ン ビ ン溶 液 に よ る局 所 止血
TUR-Pを
効 果 を 局所 灌 流 用 に 改 良 し たthree-wayballoon
catheterを
考 え られ,両 群 の上 昇 率 に
差 を 認 め な い こ と よ り,局 所 用 トロ ン ビ ンの 全 身 の血
使 用 して検 討 した,ト
ロン ビソ局所灌流
施行 群 は対 照 と したballooncatheter牽
引 と生 食 灌
流 併 用 群 に 比 し,肉 眼 的判 定 に よ る有 効 率 に お い て15
語
施 行 し,そ の切 除 重量 が10g以
った20症 例 に 対 して,ト
上 であ
ロ ン ビ ソ加 生 食 を 切 除前 立 腺
床 及 び 膀 胱 頸 部 に 局所 持 続 灌流 させ る方 法 に よ り,術
後 の 止 血 効果 を検 討 した.
%優 れ た 成 績 で あ った.し か しなが ら今 回 の検 討 症例
有 効 率 で は トロ ン ビ ン加 生 食 灌 流 群 は65%で
数 は30例 と甚 だ 少 数 で あ る こ と も考 え,こ の15%の 優
に 対 し,生 食 の みに よる 灌 流 とballooncatheterの
越 を ど う評 価 す る か は 諸氏 異 論 の あ る と ころ と思わ れ
牽 引 を 併用 した群 は50%で
るが,ballooncatheterの
る症 例 が増 加 した.
牽 引 に よ る外 尿 道 口狭窄
発 生 の 可能 性 も否 定 で ぎ な い と 思 わ
文
れ,患 者 に 苦 痛 を与 え る こ とな く簡 単 に 行 な え るわ れ
わ れ の方 法 は 有 用 で あ る と考 え る.ま た20例 中5例 に
droppedout症
1)鍬
例 を経 験 した こ と よ り,本 法 に も 限
手 術 経 験.西
2)峰
ml/g・hourと
照 群 の 平 均 はo.62
さ した る有 意 差 は 認 め な い が,前 者 は
え られ,droppedout症
洋:80歳
以 上 の高 齢 者 の前
間(1970∼1974)の
衛 ・阿 部 礼 男:80歳
例 を 多 く含 ん だ結 果 と考
例 を除 外 した 平 均 は そ れ ぞ
れ0.39ml/9・hourと0.54ml/・hourで
あ った.
3)高
田 昌 彦 ・植 村 匡 志 ・永 井 信 夫 ・金 子 茂 男 ・郡
健 二 郎 。秋 山 隆 弘 。栗 田
孝:前
立腺 疾 患 に お け
る 経 直 腸 的 超 音 波 断 層 法1900例
文 集43:341∼342,1983
の 経 験.日
4)MackenzieAR,1.evineNandScheinmen
HZ:Operative1)loodlossintransurethral
た が,術 後 推 定 出 血 量 の評 価 に 及 ぼ す影 響 は不 明 で あ
prostatectomy.Jurol122:47∼48,1979
5)SeegersWH,SmithHP,WarnerEDand
る.
最 後 に 合 併 症 は 術 中,術 後 を通 じて特 に 問 題 に な る
もの を認 め ず,ま た トロ ン ビ ソの全 身 血 液 へ の 流 入に
起 因す る と考 え られ る 副作 用 も認 め な か った.陶 山25)
BrinkhousKMThepurificationofprothrombin.JBiolChem123:751∼754,1938
6)SeegersWH,WarnerED,BrinkhousKM
は局 所 用 ト ロ ンビ ンの 生体 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て,
andSmithHP:Theuseofpurifiedthrom-
犬,家 兎,モ
binasanhemostaticagent.Science89=86,
ルモ ッ トを用 い た種 々 の詳 細 な 実 験 を 行
の血 管 内 注 入 で はprokgI単
上 で は危 険 を 伴 うこ とが あ り,0.1単
例 は なか った と 述 べ,犬
位以
位 以 下 で は 死亡
の腹 腔 内注 入 で はpr。kg
100∼200単 位 注 入に よ って も死 亡 例 は な か った と述ぺ
1936
7)DalyBM,JohnstonCGandPenberthy
GC=Themanagementofpatientswith
bleedingfromt紅eupPergastrointestinal
てい る,わ れ わ れ の局 所 灌 流 施 行 前 後 の 血 液 凝 固機 能
tractwithbufferandthrombinsolution.
検 査 では,出 血 時 間,プ
AnnSurg129:832∼839,1949
ロ トロ ソ ビ ソ時 間,部 分 トロ
ンボ プ ラ ス チ ン時 間,血 小板 の値 に 有 意 差 は な か った
が,フ
ィブ リ ノー ゲ ン値 は トロ ン ビ ン局 所 灌 流 施 行
群,対 照 群 と もに 局 所 灌 流 施 行後 約50%の
上昇を認め
日
泌 尿41.937∼941,1979
前立 腺 切除 率 は 両 群 の 平均 に おい て若 干 の 相違 を 生 じ
な っ て い る.犬
以上 の高齢
老 の 前 立 腺 肥 大 症 手 術 に 対 す る 臨 床 的 検 討.西
術 後 推 定 出血 量 の検 討 で は トロ ソビ ン加 生食 灌 流 群
母 集 団にdroppedout症
滋 ・計 屋 紘 信 ・高 野 真 彦 ・居 原
日泌 尿37:245∼249,1975
山 浩 忠 ・姉 崎
を施 行 した も のは1例 のみ で あ った.
の平 均 はo.58ml/9・hour,対
寿 ・垣 本
立 腺 肥 大 症 に 対 す る 最 近5年
牽 引 や 全 身 性 止血 剤 の併 用ec
よ り膀 胱 タ ンポ ナ ーデ は解 消 され,TU-c・agulation
塚
献
健 ・中 野 信 吾 ・金 武
界が あ る とい わ ざ るを え な いが,か か る症 例 の大 部分
はballooncatheterの
あ り,術 後 管 理 が 容易 とな
副作 用 は 全例 に 認 め られ なか っ た.
発 生 の懸 念 や 術 後 のdiaphragmaticbladderneck
contractureの
あ るの
8)LinscheerWGandFazioTL:Controlof
uppergastrointestinalhemorrhagebyendoscopicsprayingofc!ottingfactors.Gastro・
超 医論
1377
光 林 ・ほ か:経 尿 道 的 前 立 腺摘 除 術 ・トロ ソ ビソ
enterology77=642∼646,1979
孝 修
9)KosugiT,MorimitsuT,MatsuoOand
MiharaH:Fibrinolyticenzymeintracheo-
血 効 果.医
bronchialsecretionofrats.Laryngoscope
諭 ・血 疾 お よ び 喀 血 患 者 に 対 す る 気 管 支 鏡
下 ト ロ ン ビ ン注 入 療 法 の 検 討.日
学 と 薬 学8:299∼304,1982
ingtransurethralresection.IUro153:
590∼593,1945
20)BandlerCG,RoenPRandSteptRThc
bininliverpuncture.Lancet1;523∼525,
useofthrombin(topical)intransurethral
1949
resectionoftheprostate.AmJsurg70:
黒 義 彦:局
所 止 血 剤 ト ロ ン ビ ン の 外 科 的 応 用.
久 井 伸 一:トPン
ビ ソ局 所 用5000単
部 へ の 使 用 経 験 に つ い て.日
位 の 子宮 膣
Urol55:613∼616,1946
22)鮫
勉:産
婦 人 科 領 域 で の各 種 手 術
時 に お け る ト ロ ン ビ ン局 所 用 投 与 に よ る 止 血 効
果
agentsinsurgeryoftheprostategland。I
赤 医 学33:169∼
171,1981
村 哲 朗 ・大 野
337∼340,1945
21)HendricksonFC:Topicaluseofclotting
日外 会 誌57:735∼736,1956
14)千
23)楠
24)米
1958
17)藤
田 敏 博 ・浅 田 莞 爾 ・西 村 典 久 ・安 部 治 郎 ・清 水
隆 光
尿 器 科 領 域 に 於 け る 凝 固 酵 素
川 幸 彦
験.薬
25)陶
山
ト ロ ン
尿 紀 要3:138∼142,1957
・生 駒 文 彦:泌
・狩 場 岳 夫
道 的 手 術 後 に 於 け る
ロン ビ ン局 所 用 の 耳 鼻 咽 喉科 領域
に 対 す る 使 用 経 験 。 耳 鼻 臨 床51'726∼727,
博:泌
ン ビ ン の 使 用 経 験.泌
surgery.]Laryngoscope56:48∼53,1946
川 内 勝 治:ト
島
ビ ソ の 応 用.泌
産 科 と 婦 人 科50:129∼132,1983
15)FoxSL:Theuseofthrombininrhinologic
16)大
人 工 股
53:584∼589,1945
胸 疾 会 誌20:
11)FricdrichLandPoliczerM;Useofthrom-
13)津
晃:全
19)PalomoA=Evaluationofthrombinfo110w-
251∼254,1982
12)石
・島 津
ト ロ ン ビ ン局 所 使 用 に よ る 止
hemostaticaidinprostaticsurgery.IUrol
下 美 登 里 ・ 白 木 る い 子 ・和 穎 房 代 ・渡 辺 晴 雄 ・
北村
一田 中 直 史
18)o'ConorvJ:Thrombin(topica1),asa
90;1045∼1051,1980
10)木
・斧 出 安 弘
関 節 置 換 術 に お け る
尿 器 科 領 域 に 於 け る ト ロ
尿 紀 要5:275∼278,1959
。佐 藤 英 敏
・豊 嶋
穆:経
尿
ト ロ ン ビ ン膀 胱 潅 流 の 使 用 経
理 と 治 療10:585∼587,1982
弘
・局 所 用 止 血 剤
す 影 響 に つ い て.日
ト ロ ン ビ ン の 生 体 に 及 ぼ
血 会 誌23:862∼878,1960
(1986年5月1日
迅 速 掲 載 受 付)
Fly UP