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こちら - 東京学芸大学
2008/08/27 説明文におけるリーダビリティ得点と読み手要因との関係 近藤 南 ( カ ウ ン セ リ ン グ N05-5023) Key words:リ ー ダ ビ リ テ ィ ・ 文 章 理 解 ・ 先 行 知 識 ・ 興 味 ・ ワ ー キ ン グ メ モ リ 【問題と目的】 私たちは、日常的に様々な説明文を読む必要が ある。新しいものを扱う時には説明書を読み、あ 課 題 :リ ー ダ ビ リ テ ィ 得 点 を そ ろ え た 文 章 6 種 類 手続き: ① .ワ ー キ ン グ メ モ リ を 測 る テ ス ト を 実 施 ( RST) る制度に変更があれば政府の刊行物を読むなどの ② .文 章 内 容 へ の 興 味 の 程 度 の 判 断 機会がある。しかし、それらを正確に理解できな ③ .読 解 課 題 の 実 施 い場合も多く、それが社会問題を引き起こすこと a 興 味 最 高 あ る い は 興 味 最 低 の 刺 激 文 章( 1 番 目 ) さえある。 のどちらかの読解 説 明 文 に つ い て Harrison(1980)は 、「 読 み や す さ 」は 、 「 文 章 そ の も の が 持 つ 要 素 」と「 読 者 側 の 要素」の2つによって決まるとしている。ここで b テキスト中の未知語を尋ねる質問紙の実施 ( 参 加 者 の 先 行 知 識 の 程 度 を 調 べ る た め 。) c 文章内容についての理解度テストの実施 言う「文章そのものが持つ要素」には、その文章 ④ .刺 激 文 章( 2 番 目 )に つ い て も ③ と 同 様 に 行 う 。 の 内 容 、文 体 、デ ザ イ ン 、構 造 な ど が あ て は ま り 、 ⑤ .ア ン ケ ー ト の 実 施( 課 題 テ キ ス ト の 難 し さ の 印 「 読 者 側 の 要 素 」に は 、事 前 の 知 識 、読 む ス キ ル 、 象 を 評 定 し て も ら う etc) 興味、動機などがあてはまる。 結果の予測:理解度テストの結果について 「文章そのものが持つ要素」については、リー ダビリティ公式により測定可能である。この公式 10 は、 「 文 章 そ の も の が 持 つ 要 素 」を 様 々 な 変 数 を 利 8 用 し て 、ス コ ア や 相 当 学 年 を 算 出 す る も の で あ る 。 6 日本語では代表的なものに、最近発表された柴崎 4 ら (2007)の 小 学 校 の 学 年 を 予 測 す る リ ー ダ ビ リ テ ィ 公 式 や テ キ サ ス 大 学 が HP で 公 開 し て い る 2 TxReadability( 1998)な ど が あ る 。こ れ ら に よ り 、 0 大・高・多 小・低・少 WM 文章の難易度を正確に測定することが可能である 興味 未知語 が、どちらの公式も読み手の心理面に関しては考 慮されていない。 ≪実験Ⅱ≫ ま た 、「 読 者 側 の 要 素 」 に つ い て は 、 具 体 的 に 、 課題:リーダビリティ得点が難・中・易の文章そ 読み手の年齢、読みの経験、興味、先行知識、読 れぞれ数種類 解力、語彙力、ワーキングメモリなどが挙げられ 手続き: る。今回は、この中でも直接読み手に働きかける ① .参 加 者( 先 行 知 識 な し )に 難 ま た は 中 ま た は 易 ことのできる興味、先行知識と「文章そのものが の刺激文章を読解してもらう。 持つ要素」の関係について検討する。また、さま ② .理 解 度 テ ス ト を 実 施 す る 。 ざまな要因と相関の高いワーキングメモリについ ③ .ア ン ケ ー ト を 実 施 す る 。 ても同様に検討する。 本研究では、 「 読 者 側 の 要 素 」で あ る 興 味 や 先 行 知識を高めることで、リーダビリティ公式により 難しいと判断されたテキストも読みやすくなるの で は な い か と 仮 定 し 研 究 を 行 う 。こ の 研 究 に よ り 、 説明文を理解しやすくするには、読者側にどの程 度の興味や先行知識・ワーキングメモリが必要な のか、また文章側に対してどのリーダビリティス コアが最も理解に効果的かを明らかにしたい。 【方法】 対 象 :大 学 生 ≪実験Ⅰ≫ 約 100 名 【参考文献】 ・ Harrison,C 1980 Readability in the classroom Cambridge University Press ・坂 井 純 子 1999 文 章 に 対 す る 興 味 が 文 章 理 解 に 及 ぼ す 影響 東 京 学 芸 大 学 平 成 10 年 度 卒 業 論 文 ・ 柴 崎 秀 子 、 沢 井 康 孝 2007 日本語教科書コーパスを 応用した日本語リーダビリティ構築のための基礎研 究 電子情報通信学会 ・ TxReadability http://www.utexas.edu/research/accessibility/resource/readabi lity/manual/about-Japanese.html ( KONDO Minami)