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雨水流出抑制のてびき
雨水流出抑制のてびき - 水害に強いまちづくりの実現をめざして - 練馬区 1 練馬区の治水対策 練馬区の治水対策は、昭和57年頃から雨水の流出を抑える「流域対策」として雨水 流出抑制施設の整備を進めてきました。また、平成2年6月に「練馬区総合治水計画」 を策定し、雨水流出抑制対策の指導および助成事業などを実施してきたところです。 しかし、近年東京都区部では時間50ミリを超える局所的な集中豪雨が頻発してお り、平成17年9月4日に発生した時間100ミリを超える集中豪雨では、石神井川稲荷橋 付近の溢水や内水はん濫により、床上浸水418件、床下浸水284件におよぶ甚大な被 害が発生しました。また、平成22年7月5日には、時間90ミリを超える集中豪雨で床上 浸水74件、床下浸水65件の被害が再び発生しました。 このような状況から、東京都では平成19年8月に「東京都豪雨対策基本方針」を、ま たこの方針を踏まえ関係区市では、平成21年3月に神田川流域(他1流域)、同年11月 に石神井川流域、白子川流域(他3流域)について、「豪雨対策計画」を策定しました。 これらの方針・計画を踏まえ、練馬区では平成24年3月に「練馬区総合治水計画」を 改定しました。 治水対策におけるこれまでの動き 昭和61年 東京都における総合的な治水対策のあり方について 平成2年 練馬区総合治水計画 策定 東 京 都 練馬区・区民・事業者 河川・下水道の整備 流 域 対 策 雨水流出抑制施設の整備 局所的集中豪雨による水害の増加 平成19年 東京都豪雨対策基本方針 策定 平成21年 流域別豪雨対策計画 策定策定 平成24年 練馬区総合治水計画 改定 河川・下水道の 整備要請 流域対策 家づくり・ まちづくり対策 1 避難方策 2 雨水流出および浸水被害への対応 市街化の進展により自然地における雨水浸透など雨水流出抑制機能が失われ、雨水の 多くが河川や下水道に短時間に集中することが、水害発生の大きな要因となっています。 そこで、公共施設や開発事業などの施設整備にあわせて貯留浸透能力を回復するととも に、浸透能力の高い土地利用を保全していくなどの「流域対策」と、洪水発生時の浸水被 害を減少させる「家づくり・まちづくり対策」を、区と区民・事業者が協力し雨水流出抑制対 策をさらに推進していくことが必要です。 むかし 降った雨のほとんどは、自然の土 の中に帰っていきました。 い ま 道路も駐車場もアスファルトで被われている ため、降った雨水は下水道や河川へ一気に集 中します。 3 流域対策の目標と取組 整備目標 時間5ミリ降雨相当の雨水流出抑制対策を目指します。 練馬区の流域対策では、平成33年度までに流域別の「豪雨対策計画」で示された時間5ミ リ降雨相当にあたる約55.5万m3の雨水流出抑制対策を目標とします。 平成26年度末時点で、およそ44万m3の雨水流出抑制施設が設置されています。 水害を未然に防ぐためには、区民のみなさま一人ひとりが水害に対する意識を持つこと が重要です。ご理解とご協力をお願いします。 また、設置した施設を維持管理し、機能の低下を防ぐことや、雨水の流出を増やさないた めに、みどりや農地を保全していくことも重要です。 2 3 ■ 雨水流出抑制施設の種類 ○浸透施設(雨水を地下に浸透させる施設) 〔浸透トレンチ・浸透ます・浸透側溝・透水性舗装・緑地〕 ○貯留施設(雨水を一時的に貯留する施設) 〔校庭貯留・公園貯留・棟間貯留・屋上貯留・地下貯留〕 4 5 対象となる事業 (1) 『まちづくり条例』が適用となる、開発区域500平方メートル以上の開発事業 ※ 開発区域は、まちづくり条例での区域です。宅地開発係にご確認下さい。 (2) (1)以外の事業(開発区域300㎡~500㎡未満)も対策をお願いします。 ※ 個人事業者は、雨水浸透施設助成制度をご活用下さい。 (3) 特定事業者(国、地方公共団体、公有地における事業者、公社等)による、 すべての新築、改築、新設、改修工事 6 対象面積 (1) 雨水流出抑制での対象面積は、土地利用面積(敷地面積)を指します。 ※ 宅地開発事業の場合、道路・ごみ集積場は対象敷地面積から除きます。 ※ 提供公園部分は、公園係と別途協議をしてください。 (2) 増築行為の場合、建築面積を建ぺい率で割った面積以上を敷地面積とします。 7 単位対策量 白子川 流域 単位対策量(㎥/㎡) 民 間 事 業 者 特 定 事 業 者 (国、地方公共団体、 公有地における事業 者、公社等) 石神井川 流域 まちづくり条例 開発区域500㎡以上 0.06 その他 0.03 建物、公園 等 1ha以上 0.095 神田川 流域 0.06 0.03 0.02 車道 歩道 8 雨水流出抑制必要量 雨水流出抑制必要量は、敷地面積に単位対策量を乗じて算出します。 雨水流出抑制必要量(㎥)= 対象面積(㎡)×単位対策量(㎥/㎡) 5 9 雨水流出抑制施設による対策 次に示す(1)~(4)の対策を組み合わせ、対策量の合計が前ページで算出した必要量 を上回るよう、雨水流出抑制施設を設置します。 (1) 浸透域 浸透域による対策量(㎥)= 浸透能力(㎥/㎡)×面積(㎡) 敷地内の緑地等(屋上緑化等を除く。)は浸透域として評価することができます。 ただし、グラウンド、歩道および駐車場等に利用されている裸地(砂利敷を含む)等は 浸透能力が低いため、浸透域としては評価できません。 浸 透 域 浸 透 能 力 畑 地 0.13 林 地 0.06 芝 地・植 栽 地 0.05 草 0.02 地 ㎥/㎡ (2) 透水性舗装 透水性舗装による対策量(㎥)= 貯留量(㎥/㎡)×舗装面積(㎡) 駐車場等の透水性舗装は、浸透量ではなく貯留量として評価します。 したがって、一定以上の厚さが必要です。(8ページ構造図参照) (3) 浸透施設 浸透施設による対策量(㎥)= 貯留・浸透量 (㎥/個,m)×数量 浸透施設を設置する場合は、次頁の構造図および貯留・浸透量一覧を参考にしてください。 表にない構造や、既製品を使用しても構いません。 (4) 貯留施設 貯留施設による対策量(㎥)= 貯留面積(㎡)× 貯留水深(m) 【貯留施設放流量基準】 貯留施設からの排水量は、放流量基準(下表)を下回るようにしてください。 対象流域は、10ページ河川流域図参照 対象流域 白子川 石神井川 神田川 放流量(mm/hr) 16.5 18.0 24.0 6 10 施設の構造等 (1) 浸透ます 型番 ます径 ます深さ 土被り 砕石高さ 砂高さ 施設幅 設計水頭 比浸透量 h1 h3 h2 h2+h3 φ h W K 2 単位 mm mm mm mm mm mm mm m PⅠ PⅡ PⅢ PⅣ PⅤ PⅥ PⅦ 150 200 250 300 350 400 500 400 400 500 500 600 600 800 100 100 100 100 100 100 100 390 390 510 510 630 630 880 25 25 30 30 35 35 50 300 400 500 600 700 800 1,000 415 415 540 540 665 665 930 2.066 2.679 4.010 4.722 6.384 7.196 11.582 断面図 単位浸透量 空隙貯留量 Q V 3 平面図 貯留・浸透量 Q+V 3 3 m /(個・hr) m /個 m /個 0.234 0.304 0.455 0.535 0.724 0.816 1.313 0.016 0.028 0.057 0.083 0.139 0.182 0.397 0.25 0.33 0.51 0.61 0.86 0.99 1.71 〔注意点〕 ・ 原則、蓋は穴なしタイプを使用 h1 管口フィルター ・ 雨トイ等を直接接続する浸透ますには、 トレンチ管の管口に管口フィルターを使用 bh D h2 めの装置で金網等のもの) ・ 浸透ます間の距離は、接続するトレンチ 透水性シート 単粒度砕石 単粒度砕石(4号) h33 W (トレンチ管へのごみの流入を防止するた φ φ a 2 管径の120倍を超えない範囲内に設置 (例:150mmの場合18m以内) ・ 市販のコンクリート製多孔浸透ます、 ポーラスコンクリート製浸透ます、樹脂 製浸透ます等いずれを使用しても構い ません。ますの高さは現場状況にあわ せて調整してください。 単粒度砕石(4号) 単粒度砕石 しゃ断層用砂 W W (2)浸透トレンチ 型番 TⅠ TⅡ TⅢ TⅣ TⅤ TⅥ 管径 土被り 砕石高さ 砂高さ 施設幅 D mm H1 mm H2 mm H3 mm L mm 75 100 125 150 200 200 150 150 150 150 200 250 280 325 375 420 560 700 20 25 25 30 40 50 250 300 350 400 550 750 設計水頭 比浸透量 H2+H3 K 単位浸透量 空隙貯留量 Q V 貯留・浸透量 Q+V mm m2 m3/(m・hr) m3/m m3/m 300 350 400 450 600 750 1.940 2.162 2.383 2.605 3.270 4.002 0.220 0.245 0.270 0.295 0.371 0.454 0.027 0.039 0.054 0.070 0.128 0.204 0.24 0.28 0.32 0.36 0.49 0.65 断面図 排水設備への接続 雨水 トレンチ延長 H1 浸透施設 排水設備 100mm 以上 D 排水管 H2 単粒度砕石 H3 透水性シート 浸透トレンチ管 汚水と合流 しゃ断層用砂 雨水浸透ます 単粒度砕石 L L 〔注意点〕 ・有孔管の勾配は、1%を標準とする ・有孔管は、穴がない面を下にして設置 ・ます同様、有孔管の材質は指定しません 雨水浸透ます トラップ ます しゃ断層用砂 排水管(オーバーフロー)の管底は、 トレンチの砕石上端よりも高い位置 に接続すること 7 (3) 貯留浸透施設 プラスチック製貯留浸透施設の構造概念図 (4) 浸透側溝 貯留・浸透量 m3/m 透水シート 0.51 単粒度砕石 しゃ断層用砂 (5) 透水性舗装 透水性舗装の標準構造 表層 路盤 フィルター層 単位:mm 区 分 表層 開粒度アスファルト 混合物 路盤 クラッシャラン RC-30、C-30 Ⅰ Ⅱ 50 50 100 150 フィルター層 しゃ断層用砂 舗装厚 貯留量 m3/m2 200 250 0.02 0.05 50 50 区分Ⅰ:主に歩道や自転車道など 区分Ⅱ:主に自動車交通の少ない道路、駐車場など (6) 貯留施設 地下貯留施設の構造概念図 敷地外 敷地内 宅内ます 公共 汚水ます 道路 オーバーフロー管 下水道 貯留槽 水中ポンプ 8 11 浸透施設の設置に適さない区域 雨水浸透により、現状の法面や擁壁の安全性が損なわれるような場所、すなわち下図に 示すような傾斜地近傍箇所は、浸透施設の設置を避けてください。 12 雨水浸透施設の設置位置 ・盛土地形の場合には、浸透施設は現地盤高以下に設置すること。 ・浸透施設の設置場所は建物等への影響を考慮して、基礎から30cm 以上あるいは浸透 ・施設の掘削深に相当する距離を離して設置すること。 ・地下埋設物がある場合には、地下埋設物から原則として30cm 以上離して設置すること。 ・地下水位面は、浸透施設底面より50cm以下にあること。 ・浸透施設は相互干渉するので、1.5m 以上離して設置すること。 地下埋設物 (ガス管など) 30㎝以上 掘削深 雨水浸透ます 隣接する浸透施設 30㎝以上または 掘削深以上 50cm以上 地下水位面 9 10 13 手続きの流れ 事 前 調 査 ・ 雨水流出抑制施設設置協議の対象であるかどうかの確認 事 前 相 談 ・ 雨水流出抑制必要量の算出および施設による対策量の検証につ いて (配布資料) ① 雨水流出抑制のてびき ② 雨水流出抑制施設設置計画書様式 計画書の提出 【提出書類】 ・ 雨水流出抑制施設設置計画書 2部 ・ 添付書類 2部 ※ 事前届出(まちづくり条例第70条1項)の後に提出してください。 ( 1週間程かかりますのでご注意ください。 ) 確認書の発行 ・ 書類審査後、雨水流出抑制施設設置計画確認書を発行します。 まちづくり条例 事前協議申請 ・まちづくり条例の事前協議書に、雨水流出抑制施設設置計画確認 書を添付して申請してください。 ※開発区域500㎡以上の事業のみ対象 雨水流出抑制 施設設置工事 ・ 計画書に基づき、雨水流出抑制施設を施工してください。 雨水流出抑制 施設工事完了 ・ 工事完了後、完了検査を行いますので当係までご連絡ください。 完 了 確 認 【完了確認時に用意するもの】 ① 竣工図 ※計画の変更があった場合 ② 工事写真 ※提出の必要はありません。 ③ 雨水流出抑制施設設置計画確認書(原本) ④ 工事完了確認調書(まちづくり条例第77号様式) 11 14 提出書類について 事前協議申請(練馬区まちづくり条例第73条)に先立ち、雨水流出抑制施設設置計画書を 提出してください。 内容を確認し、雨水流出抑制施設設置計画確認書を発行します。(約1週間) 提出書類 1 雨水流出抑制施設設置計画書 第90号様式または第1号様式 必要に応じ、第2号様式~第4号様式 ※2 ※1 (2部) の添付をお願いします。 2 添付図書(縮尺は自由ですが、A4に折りたたんで下さい。) (2部) (1) 案内図(住宅地図程度) (2) 施設平面図 各施設を色分けし、寸法を表示して下さい。 (浸透域は緑色、透水性舗装は青色、浸透施設・貯留施設は赤色) (3) 施設構造図 (ア) 透水性舗装、浸透施設、貯留施設の構造図を作成して下さい。 ※透水性舗装および浸透施設については、7~8ページのコピーを可とします。 (イ) オーバーフロー、トラップ等を含んだ排水設備への接続図を作成して下さい。 (4) 求積図 開発区域、敷地面積、浸透域、透水性舗装の求積図を添付して下さい。 植栽地面積は、緑被面積(地上部)の記入および緑化計画図の添付を可とします。 透水性舗装面積は、CADによる面積計算の算出でも可とします。 ※1 第90号様式、第1号様式について ・ 開発区域500㎡以上の場合 第90号様式(規則別表第2関係) ・ 開発区域300㎡以上500㎡未満の場合 第1号様式(要綱第5条関係) ・ まちづくり条例が適用とならない特定事業者の場合 第1号様式(要綱第5条関係) ※2 次の場合、第2号様式~第4号様式を作成してください。 ・ 定型外の浸透ます、浸透トレンチを使用する場合 第2号様式(要綱第8条関係) ・ 開発区域に複数の建築物を建築する場合 第3号様式(要綱第8条関係) ・ 貯留施設を設置する場合 第4号様式(要綱第8条関係) 練馬区ホームページで、計画書様式(Excel形式)がダウンロードできます。 ≪掲載ページ≫ トップページ⇒暮らしのガイド⇒住まい・交通・道路⇒総合治水⇒雨水流出抑制施設の指導 ≪アドレス≫ http://cms.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/sumai/chisui/yokusei.html 12 平成28年(2016年)4月発行 お問い合わせ先 練馬区 土木部 計画課 総合治水係 〒176-8501 練馬区豊玉北6-12-1 練馬区役所 13F TEL 03-5984-2074 (直通) FAX 03-5984-1237