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Sakaiにおけるi18nとl10n ~現状と課題~
Sakai におけるi18nとl10n ~現状と課題~ 名古屋大学情報連携統括本部情報戦略室 出口 大輔 Sakaiとは? 世界中の機関(大学や営利団体など)が参加する 教育関連ソフトウェアの開発プロジェクト ◦ 2005年3月にVersion1.0をリリース ◦ 2012年にSakaiとJasigが合体しApereo Foundationへ 開発状況 ◦ 開発環境:JAVA ◦ ソースコード ◦ ファイル数:10万以上 ◦ リビジョン:315963 ※GCCは約22万リビジョン程度 2 Sakai の開発環境とi18nの実装 Sakai 10 (2014年6月リリース,現在10.2) ◦ 開発言語: Java 6+ (Java 7でテスト済み) ◦ サーバー環境: Apache Tomcat 7 ◦ データベース: MySQL 5.5+,Oracle i18nの実装 ◦ 翻訳対象をJavaのプロパティファイルに記述 ◦ java.util.ResourceBundle を利用してロケールに応じて プロパティファイルを変更 各国語への対応(l10n)をソフトウェア本体の開発から分離 5 Javaプロパティファイルを用いた翻訳 例) 「chat.properties」 を日本語に翻訳する場合 ◦ 「chat_ja.properties」を作成 ◦ 内部のリソースを日本語に翻訳 Javaプロパティファイルの仕様と問題点 ◦ キーと値を「=」で区切ったテキストファイル ◦ 例) hello.world=Hello World! ◦ 利用可能な文字コードはISO-8859-1(Latin-1)のみ ◦ 日本語や中国語はUnicode エスケープシーケンスで記述が必要 ◦ hello.world=こんにちは世界! ◦ hello.world=¥u3053¥u3093¥u306b¥u3061¥u306f¥u4e16¥u754c! 6 Sakaiの翻訳体制 Sakai i18n ワーキンググループが取りまとめ ◦ Sakai全体で合意のとれた翻訳方法は無い ◦ 複数の翻訳フレームワークが提案されている ◦ https://confluence.sakaiproject.org/display/I18N/How+to+Translate+Sakai 翻訳体制の変化 ◦ 2013年以前: 各国で独自に翻訳作業を実施 ◦ 特定の翻訳者が専用エディタを用いて翻訳 ◦ ResourceBundle Editor, OmegaT, Benten, etc. ◦ 2013年以降: コミュニティ翻訳への取り組みが開始 ◦ Transifex: 日本,スペイン ◦ Crowdin: フランス,トルコ,? 7 Transifex とは? Webを利用した翻訳プラットフォーム ◦ WEBが利用できれば翻訳可能 ◦ オフライン翻訳にも対応 ◦ 翻訳ワークフローの自動化が可能 多様な言語をサポート ◦ 英語,フランス語,日本語,他 複数のフォーマットをサポート ◦ Gettext (.po), Java property files Windows resource files (.resx), etc. オープンソースプロジェクトは無料 8 Transifexを利用しているOSS 9 Transifex の利点(1) コラボレーション機能 ◦ Transifex上で全てのリソースを管理可能 ◦ 翻訳者間で翻訳を常に最新に保つことが可能 ◦ WEBインタフェースを利用した同時翻訳が可能 複数ロール ◦ 翻訳者 ◦ レビューア ◦ コーディネータ ◦… 10 Transifex の利点(2) 便利な翻訳ツール ◦ 翻訳メモリ ◦ リソース間で翻訳を共有可能 ◦ 翻訳の一貫性を保つことが可能 ◦ 用語集 ◦ バージョン管理 翻訳メモリ 用語集 11 翻 訳 対 象 オリジナル 翻訳 翻 訳 メ モ リ 12 翻訳メモリおよび用語集 Sakaiとしてオーソライズされた翻訳メモリは無い ◦ 個々の翻訳者もしくは各国チームが独自に構築 ◦ JaSakaiでは2012年から翻訳メモリ構築を模索 TMXプロジェクトにて共通翻訳メモリを開発中 ◦ 常盤先生が代表を務める科研費のプロジェクト ◦ 大学向OSSの翻訳に適用する共通翻訳メモリの開発と国際コミュ ニティへの貢献 ◦ 日本の翻訳の取り組みを海外へ発信 13 Sakaiの翻訳における課題 継続的な翻訳体制の構築が困難 ◦ 個人頼みの翻訳体制の限界 コミュニティ翻訳の重要性 ◦ ソフトウェア開発と翻訳の明確な分離が必要 新規翻訳者の開拓(ソフトウェアは分からなくても翻訳は可能) 翻訳の質と一貫性の担保が困難 ◦ 翻訳者の数が増えるに連れ問題が顕在化 翻訳ワークフローの整備が重要 ◦ レビュープロセスの徹底 ◦ 用語集や翻訳メモリの整備 Sakai全体での翻訳ワークフローの合意が必要 14