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原油市場他:イラクにおける武装勢力の北部諸都市掌握とバグダッドへの

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原油市場他:イラクにおける武装勢力の北部諸都市掌握とバグダッドへの
更新日:2014/6/15
調査部:野神 隆之
原油市場他:イラクにおける武装勢力の北部諸都市掌握とバグダッドへの進撃で、同国
からの石油供給懸念が市場で増大し、原油価格が上昇、ほぼ 9 ヶ月ぶりの高値に
(IEA、OPEC、米国 DOE/EIA 他)
① 米国では原油精製処理量が横這いとなった結果ガソリンの生産が必ずしも堅調に伸びていたわけ
ではないが、輸入が増加したことで需要の増加を賄う格好となった結果、当該製品在庫は維持され、
量としては平年並みとなっている。また、留出油生産も大きく増加しているというわけではないもの
の、需要も前月比でほぼ同水準となった結果、留出油在庫は微増となっている。他方、4 月下旬には
週間統計史上最高水準に到達した原油在庫についてはその後米国への原油輸入が低下したことと
併せて減少傾向となったが、平年を超過する状況は続いている。
② 2014 年 5 月末の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州で
は精製利幅の確保が困難であることから製油所が稼働を低下させていることにより、また、日本にお
いても製油所が春場のメンテナンス作業等を実施している影響で、両地域において当該在庫は増
加となったものの、米国で減少となったことで相殺された結果、OECD 諸国全体では微減となった
が、量としては平年幅を超過する状態は維持されている。製品在庫については、欧州ではほぼ横這
いとなっている一方で、日本では製油所のメンテナンス作業の影響で石油製品生産が低下している
ものの需要も盛り上がりを欠く展開となっていることで石油製品在庫が増加したと見られる他、米国で
も暖房需要が低下したこともありプロパン/プロピレン等の製品在庫が増加したことから、OECD 諸国
全体としても石油製品在庫は増加となったが、量としては平年幅の下方付近に位置している。
③ 2014 年5 月中旬から 6 月中旬にかけての原油市場においては、6 月上旬までは米国でのクッシング
での原油在庫減少や市場での減少観測、リビアでの政情不安、米国での非農業部門雇用者数増
加、中国からの輸出増加等が、原油価格に上方圧力を、欧州経済不振を示す経済指標類の発表と
欧州金融当局による追加金融緩和実施に対する市場での観測の増大に伴うユーロ下落と米ドル上
昇が原油価格に下方圧力を、それぞれ加える中、ウクライナ情勢の動向などにより原油相場は上下
に変動したものの、概ね WTI で 1 バレル当たり 101~105 ドルの範囲内で推移していたが、6 月中旬
に入り、イラクにおいて武装勢力が北部の諸都市を掌握したうえ、バグダッドに向け進撃し始めたこと
により、同国からの石油供給途絶懸念が市場で増大したことから、原油相場は 105 ドルを超えて上
昇、6 月 12 日及び 13 日は終値ベースで 2013 年 9 月 18 日以来の高値に到達した。
④ これまで、イラン、リビア及びウクライナを巡る地政学的リスク要因に伴う市場での石油供給途絶懸念
が原油相場に下限を、米国での豊富な原油在庫などの要因が相場の上限を、それぞれ設定する格
好となっていたが、イラクでの武装勢力のバグダッドへの進撃と同国原油生産に対する影響への不
安感が市場で増大してきているといった、新たな材料が加わったことから、少なくともこの武装勢力の
活動沈静化の兆しが見えてくるまでは、以前と比べて原油相場の変動範囲が切り上がる可能性があ
るので、注意が必要であろう。
–1–
Global Disclaimer(免責事項)
本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
1.
2014 年 6 月 11 日開催の OPEC 総会で原油生産上限を据え置き
2014 年 6 月 11 日に石油輸出国機構(OPEC)はオーストリアのウィーンで通常総会を開催し、2011 年
12 月 14 日開催の通常総会時に導入した全 12 加盟国で合計日量 3,000 万バレルの原油生産上限を据
え置きとする旨決定した(表 1 参照)。総会前の OPEC 事務局による見通し(総会開催前の 2014 年 5 月
13 日発行の OPEC の月刊オイル・マーケット・レポート(MOMR:Monthly Oil Market Report)に基づく)で
は、2014 年の世界石油需要は前年比で日量 114 万バレル増加するものの、他方で非 OPEC 産油国の
石油供給量も前年比で日量 138 万バレル増加するとしており、2014 年全体の対 OPEC 原油需要(世界
石油需要から非 OPEC 産油国石油供給と OPEC 産油国の NGL 供給を差し引いたもの、なおこれには
世界の石油在庫変動も含まれる)が日量 2,980 万バレルと、現行の原油生産上限からそうかけ離れてい
ない(図1 参照)こと、また、2013 年12 月4 日開催の前回総会以降今次総会直前まで、サウジアラビアの
ヌアイミ石油鉱物資源相がしばしば適正であるとしてきた水準である、ブレント原油価格で 1 バレル当た
り 100 ドルを超過する水準であったこと(図 2 参照)もあり、ヌアイミ氏は 6 月 11 日の総会前に、「市場は
良い状況あり、供給も需要も価格も良い。100ドル、110ドル、95ドルはいい価格である。」旨明らかにして
おり、同氏が世界石油市場の現状に満足していることを示していたうえ、他の OPEC 産油国についても、
アンゴラ(バスコンセロス石油相)、イラク(ルアイビ石油相)、エクアドル(メリザルデ非再生天然資源相)、
クウェート(オメール石油兼議会担当相)、ナイジェリア(アリソン・マドゥエケ石油相)、ベネズエラ(ラミレス
石油・鉱業相)、UAE(マズルーイ エネルギー相)、リビア(シャクマク石油相)、イラン(ザンギャネ石油
相)、と、その大半が、総会前に足元の原油価格を含む石油市場に不満はなく、原油生産上限据え置き
に対して事実上異論がない旨示唆していたことから、今次総会では原油生産上限は据え置きになったと
見られる。ただ、世界経済は回復していく方向であると OPEC は見ている(MOMR によると、OPEC 事務
局は 2014 年の世界経済成長率を 3.4%と 2013 年(2.9%)から加速すると予測している)が、それらに対
する下振れリスクも依然として存在していることから、今後石油市場の秩序を脅かすかもしれないような
展開が発生した場合に対し、各加盟国は石油市場の安定性確保のために確固たる行動を行う旨今次総
会で確認した。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
表1 OPEC加盟国原油生産上限、生産量及び減産遵守率(日量千バレル)
2 0 0 9 年1 月1 日以降
の生産目標
( 推定)
アルジェリア
アンゴラ
エクアドル
イラン
クウェート
リビア
ナイジェリア
カタール
サウジアラビア
UAE
ベネズエラ
OPEC11ヶ国合計
イラク
OPEC12ヶ国合計
1,203
1,517
434
3,336
2,222
1,469
1,673
731
8,051
2,223
1,986
24,845
-
2 0 1 1 年1 2 月1 4 日
O P EC総会
以降の生産上限
30,000
2 0 1 3 年1 2 月4 日
O P EC総会
以降の生産上限
2 0 1 1 年1 1 月生産量
( I EA) ①
30,000
1,180
1,710
500
3,609
2,770
550
2,100
735
10,000
2,520
2,341
28,015
2,675
30,689
2 0 1 4 年5 月生産量
( I EA) ②
1,120
1,625
560
2,800
2,780
240
1,900
700
9,750
2,650
2,500
26,625
3,365
29,990
増産量
( ②- ①)
原油生産能力
( I EA)
△ 60
△ 85
60
△ 809
10
△ 310
△ 200
△ 35
△ 250
130
159
△ 1,390
690
△ 699
1,170
1,700
560
2,900
2,900
1,000
2,000
730
12,400
2,900
2,600
30,860
3,450
34,310
余剰生産能力
( 2 0 1 4 年5 月現在)
50
75
0
100
120
760
100
30
2,650
250
100
4,235
85
4,320
注:四捨五入の関係で個々の数字の総和が合計と一致しない場合がある。
出所: OPEC 、 IEAデータ等をもとに推定
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
なお、次回総会(通常総会)は 2014 年11 月27 日にオーストリアのウィーンに於いて開催される予定で
ある。また、今次総会では、バドリ事務局長が 2015 年 1 月 1 日から 6 月 30 日まで引き続き OPEC 事務
局長を務めることも決定された。従来サウジアラビアのモネーフ(Moneef)OPEC 元理事、イランのノザリ
(Nozari)元石油相、イラクのガドバン(Ghadhban)元石油相がバドリ事務局長の後任候補とされてきたが、
これまでこの 3 者に関して加盟国間での調整がつかなかった結果、2012 年 12 月 31 日で任期満了の予
定であったバドリ氏が 2014 年 12 月 31 日まで暫定的に事務局長職を延長することとなっていた。今回の
総会に際し、6 月 10 日には、さらにナイジェリアからアリソン・マドゥエケ(Alison-Madueke)石油相が事務
局長に立候補する意向を明らかにした(同氏は 6 月 10 日になって初めて意向を伝えた模様であり、イラ
クのルアイビ石油相は同氏の表明に驚いた旨伝えられる)が、今回の総会においては、これらの 4 者の
後任候補間での調整もつかなかったものと見られ、結果的にはバドリ氏の 6 ヶ月間の事務局長職延長に
繋がったものと考えられる。
今次総会においては、直前に原油価格が大きく変動するなど石油市場に新たな展開が発生するとい
ったことでない限り、日量 3,000 万バレルの原油生産上限の据え置きが決定されるという見方が市場関
係者の太宗を占めており、実際総会直前に原油相場が急変したということもなく、総会では市場の事前
予想通り日量 3,000 万バレルの原油生産上限据え置きが決定された。このようなことから、OPEC 総会の
結果による当日の原油相場への影響は限定的であり、この日は前日(6 月 10 日)夜に世界銀行が 2014
年の世界経済成長率を下方修正する旨発表したこと、及び 6 月 11 日に発表された米国エネルギー省
(EIA)による同国石油統計でクッシングの原油在庫が減少はしたものの減少を示した過去 9 週間で最低
水準となった旨示されたことが、原油相場に下方修正を加えた反面、武装勢力がイラク北部の諸都市を
陥落させたうえ、製油所を侵攻するなど伝えられたことから同国からの石油供給途絶懸念が発生したこと
に加え、EIA から発表された米国石油統計で原油在庫が市場の事前予想を上回って減少していた旨判
明したことが、原油相場に上方圧力を加えた結果、原油価格(WTI)は前日終値比でほぼ横這いで通常
取引を終了した(後述)。
2.
原油市場を巡るファンダメンタルズ等
2014 年 3 月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比で 0.8%程度増加の日量 868 万バレルと速報
値(同 882 万バレル、前年同月比 2.3%程度の増加)から下方修正された(図 3 参照)。3 月のガソリン需
要(速報値)の算出の際に同国のガソリン輸出量が 2013 年 12 月~2014 年 1 月時点の確定値(この時の
–4–
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
ガソリン輸出量は日量 53~58 万バレル程度、平均すると同 56 万バレル程度であった)が暫定的に利用
されたと見られるものの、実際の 3 月のガソリン輸出量(確定値)が日量 39 万バレルと、暫定値を日量 17
万バレル程度下回っている旨判明したことから、その分を確定段階でガソリン需要に計上した(つまり、
本来国内需要に計上すべき量が暫定段階では輸出に計上されたものを最終的に国内需要に振り替え
直した)とすれば、ガソリン需要が速報値から確定値に移行する段階で上方修正されるはずであるが、そ
れに反して下方修正されている。1~2 月は米国に訪れた厳しい寒波の影響で外出が手控えられた結果
人々の自動車による移動が不活発であったものの、3 月においても、貨物輸送(物流)は比較的堅調で
あったとされる(後述)が、自動車の運転距離数自体は前年同月比で 0.2%の伸びにとどまっていたこと
が、同月のガソリン需要の伸び悩みに反映されているものと見られる。他方、5 月の同国ガソリン需要(速
報値)は日量 914 万バレルと前年同月比で 1.8%程度の増加となっている。5 月の同国非農業部門雇用
者数が前月比で21.5万人の増加と、同年2月以来連続して、堅調な雇用市場の回復を示していると市場
に認識されるところの前月比 20 万人超の雇用者数増加となっていることから、通勤を含め自動車の利用
が上向いていることが示唆される。他方、米国では既に 5 月 26 日の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デ
ー)に伴う連休(24~26 日)を過ぎたことにより、夏場のガソリン需要期に突入しているが、一部製油所が 5
~6 月においてメンテナンス作業を実施した他、複数の製油所において荒天で装置が被害を受けたりし
たことなどにより想定外の装置停止が発生したりしたことから、原油精製処理量はほぼ横這いとなった
(図 4 参照)ため、製油所でのガソリン生産量も堅調に伸びたわけではなかった(図 5 参照)が、ガソリン
輸入が増加したことで需要を賄った結果、ガソリン在庫は比較的限られた範囲内で推移し、量としては平
年並みの状態となっている(図 6 参照)。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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2014 年 3 月の同国留出油需要(確定値)は前年同月比で 7.3%程度増加の日量 405 万バレルと速報
値である同380 万バレル(前年同月比0.8%の増加)から相当程度上方修正されている(図7 参照)。これ
は EIA が 2013 年 11 月~2014 年 1 月時点での輸出量(確定値)をもとに算出した数値(日量 115~126
万バレル、平均同 123 万バレル)を暫定的に 3 月の輸出量として使用したと見られる一方で、3 月の輸出
量の確定値が日量 99 万バレルと暫定値を日量 24 万バレル程度下回っていたことにより、この分が国内
需要に繰り入れられたと見られることに加え、2014 年 3 月においても米国北東部でしばしば気温が平年
を下回ったことにより暖房油需要が堅調であったことうえ、そのような寒冷な気候であっても 1~2 月に比
べると寒さは厳しくなくなってきていたこともあり、消費者による財の購買行動や物流への支障が低下し
たことから、物流活動が活発になった結果軽油需要が増加したものと考えられる。また、2014 年5 月の留
出油需要(速報値)は日量 410 万バレル(前年同月比 8.6%程度の増加)であったが、これについては、
米国での経済回復に伴う物流部門向け軽油需要の増加が影響している可能性がある。他方、製油所で
の原油精製処理量が横這いとなっていることもあり、留出油生産も大きく増加しているわけではなかった
(図 8 参照)ものの、前月比では需要は同水準であったことから、留出油在庫は微増となっており、量的に
はこの時期としては平年並みとなっている(図 9 参照)。
–7–
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2014 年3 月の米国石油需要(確定値)は、ガソリン需要及び「その他の石油製品」が速報値から確定値
に移行する際に下方修正された一方で、留出油については上方修正されたこともあり、双方で修正幅を
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打ち消しあった結果、日量1,853 万バレル(前年同月比 0.3%程度の増加)と速報値(日量 1,852 万バレル、
前年同月比 0.2%程度の増加)とほぼ同水準となった(図 10 参照)。また、2014 年 5 月の米国石油需要
(速報値)は日量 1,902 万バレルと前年同月比で 2.6%程度の増加となっているが、これは、ガソリン及び
留出油の需要が前年同月比で増加していることが影響している。他方、4 月 25 日には 3.99 億バレルと
1982 年後半以降の週間統計史上最高水準に到達した米国での原油在庫は、その後 5 月において輸入
が低下傾向を辿った(特にサウジアラビアやコロンビアからの輸入が減少している)ことから、同国の国内
原油生産は 5 月から 6 月にかけ若干増加した(例えば 5 月 9 日の週は日量 843 万バレルであったが、6
月 6 日の週は日量 846 万バレルとなっている)ものの、原油在庫は減少傾向となったが、量としては平年
幅の上限を超過している状態は維持されている(図 11 参照)。なお、原油在庫が平年幅を超過、ガソリン
と留出油在庫が平年並みとなっていることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及
び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過する状態となっている(図 12 及び 13 参照)。
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2014 年 5 月末の OECD 諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州では
製油所での精製利幅の確保が困難であることにより製油所の稼働を低下させていることから増加となっ
た他、日本においても製油所が春場のメンテナンス作業等を実施している影響で当該在庫は増加となっ
たものの、米国で減少となったことで相殺された結果、OECD 諸国全体としては微減となったが、量とし
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ては平年幅を超過する状態は維持されている(図 14 参照)。製品在庫については、欧州ではほぼ横這
いとなっている(製油所での原油精製処理量低下により石油製品の生産も減少していると推定されるが、
他方で米国やロシアから製品が輸入されてきていることが一因であると考えられる)一方で、日本では製
油所のメンテナンス作業の影響で石油製品生産は低下しているものの需要も盛り上がりを欠く展開とな
っている(3 月末までの消費税増税前の駆け込み需要の反動が 4 月以降に出ていることも一因であると
推定される)ことで石油製品在庫が増加したと見られる他、米国でも増加した(暖房用需要が低下したこと
もありプロパン/プロピレンの在庫増加が顕著である)ことから、OECD 諸国全体としても石油製品在庫は
増加となったが、量としては平年幅の下方付近に位置している(図 15 参照)。なお、原油在庫が平年幅
の上限を超過している一方で石油製品在庫が平年幅の下方付近に位置する水準となっていることから、
原油と石油製品を合計した在庫は平年並みの量となっている(図 16 参照)。また、2014 年 5 月末時点で
の OECD 諸国推定石油在庫日数は 57.7 日と 4 月末の推定在庫日数である 57.5 日から若干増加してい
る。
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
シンガポールでのガソリンやナフサといった軽質製品の在庫量は、5 月14 日は 1,200 万バレル程度で
あったが、6 月 4 日までは概ね 1,100 万バレル台後半から 1,200 万バレル強の水準で推移したものの、6
月 11 日には 1,100 万バレルを割り込む水準へと減少した。ただ、それでも当該在庫はこの時期としては
必ずしも低い水準とは言えない(例年この時期シンガポールの軽質製品在庫はしばしば 1,000 万バレル
を割り込んでいた)。一方、西アフリカ諸国(ナイジェリアと見られる)でのガソリン輸入が旺盛となった(ナ
イジェリアでは政府とガソリンを輸入する企業との間での輸入ガソリンに対する補助金の支払いに関して
紛争が発生したことから 2014 年第一四半期においてガソリン輸入が遅延、2~3 月は国内でガソリン供給
が不足気味となった結果、政府が備蓄を放出して対応したと伝えられるが、4 月 28 日には政府備蓄の再
充填分も含め 6 月末までに 185 万トンのガソリン輸入許可をガソリン輸入企業に与えた旨報じられてい
る)ことから、欧州でガソリン製造のために混入されるナフサの需要が堅調となり、その結果欧州からアジ
ア地域に向けたナフサの流れが低下するとの観測が市場で発生したものの、その後はインドでの製油
所の春場のメンテナンス作業の終了と石油製品の生産再開による供給増加もあり、市場での需給逼迫感
が後退した(但し 6 月 4 日に韓国で GS Caltex の麗水(Yeosu)製油所(原油精製処理能力日量 76 万バレ
ル)の水素化分解装置(処理能力日量6万バレル)が予定外の修理実施で停止した(停止期間は10日間
と伝えられる)ことから当該製油所からの石油製品の生産に支障が発生するとの懸念が市場で発生した
ことがナフサ価格に対して上方圧力を加える場面も見られた)ことから、シンガポール市場でのナフサ価
格は原油価格に比べて当初は堅調になる場面も見られたが、その後は軟調に推移した。また、ガソリン
については、シンガポールでの軽質製品在庫が減少を示した場面でも当該在庫が低水準であるという
印象を市場に与えたわけでもなかったことから、需給が大きく引き締まってきているとの認識は市場で低
かったこともあり、シンガポール市場でのガソリン価格は概ね原油価格と連動する格好で推移した。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
シンガポールの中間留分在庫は 5 月 14 日の 1,150 万バレル弱の量が 6 月 11 日には 1,100 万バレ
ル強と若干ながら減少傾向を示した。ただ、欧州での軽油需要が盛り上がらない(これについては欧州
での債務危機後の景気回復が緩慢であることが影響している他、自動車の燃費改善(欧州ではディーゼ
ル車が相当程度普及している)も軽油需要を抑制しているとの指摘もある)ことにより、アジアから欧州へ
の中間留分の流れが低迷していることに加え、経済が減速気味である一方で精製能力が追加されつつ
ある中国からの軽油輸出も見られることから、アジア市場での需給緩和感が醸成されているうえ、当該地
域における春場の製油所メンテナンス作業が峠を越えるとともに製品の生産が活発化、その結果中間留
分の供給がこの先堅調になっていくとの観測が市場で発生している結果、例えば軽油価格は原油価格
に比べて軟調になる傾向を示している。
シンガポールの重油在庫は 5 月 14 日の 2,000 万バレルを割り込む状態から 5 月 28 日には 2,300 万
バレルを超過する水準にまで上昇、その後減少したものの、6 月11 日においても 2,100 万バレル台後半
と、5月14日に比べれば、やはり増加となっている。ただ、それにもかかわらず、3~4月にかけて重油が
西側諸国から相対的に価格に高いアジア地域に流入したこともありアジア地域での重油価格を押し下げ
た結果、西側諸国からアジア地域への重油が流入しにくくなったことにより、6 月の西側諸国等からアジ
ア地域への重油の流れが低迷するとの観測が市場で発生し、重油価格を下支えした一方で、原油ととも
に上昇してきた重油価格により市場で割高感が発生し船舶燃料向け需要に影響が発生したとされたこと
が価格に下方圧力を加えたこともあり、重油価格は 5 月半ばから 6 月半ばにかけての大部分を通じ原油
と概ね連動する形で推移した。
3.
2014 年 5 月中旬から 6 月中旬にかけての原油市場等の状況
2014 年 5 月中旬から 6 月中旬にかけての原油市場においては、6 月上旬までは米国でのクッシング
での原油在庫減少や市場での減少観測、リビアでの政情不安、米国での非農業部門雇用者数増加、中
国からの輸出増加等が原油価格に上方圧力を、欧州経済不振を示す経済指標類の発表と欧州金融当
局による追加金融緩和実施観測の市場での増大に伴うユーロ下落と米ドル上昇が原油価格に下方圧力
を加える中、ウクライナ情勢の動向などにより原油相場は上下に変動したものの、概ね WTI で 1 バレル
当たり 101~105 ドルの範囲内で推移していたが、6 月中旬に入り、イラクにおける武装勢力が北部の諸
都市を掌握したうえ、バグダッドに向け進撃し始めたことにより、同国からの石油供給途絶懸念が市場で
増大したことから、原油相場は 105 ドルを超えて上昇、6 月 12 日及び 13 日は終値ベースで 2013 年 9
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
月 18 日以来の高値に到達した(図 17 参照)。
5 月 19 日には、5 月 21 日に EIA から発表される予定の同国石油統計(5 月 16 日の週分)でクッシング
の原油在庫が減少しているとの観測が市場で発生したことに加え、5 月 19 日にウィリアム米国サンフラン
シスコ連邦準備銀行総裁が現在の経済情勢を考慮すれば 2015 年後半まで金利引き上げを実施するべ
きでない旨発言したことで、当初見込み(3 月 19 日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者
会見ではイエレン米国連邦準備理事会(FRB)議長は 2015 年春には金利引き上げを実施する可能性が
ある旨示唆していた)よりも同国での金利引き上げが遅延するとの観測が市場で発生したことから、米ド
ルが下落したことにより、この日の原油価格は前週末終値比で 1 バレル当たり 0.59 ドル上昇し、終値は
102.61 ドルとなったが、翌 20 日には、この日ニューヨーク商業取引(NYMEX)の 6 月渡し WTI 原油先物
契約取引期限を控え持ち高調整が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり
102.44 ドルと前日終値比で 0.17 ドル下落した(なお、この日を以て NYMEX での 6 月渡し WTI 原油先物
契約取引は終了したが、7 月渡し契約のこの日の終値は 1 バレル当たり 102.33 ドル(前日終値比 0.22 ド
ル上昇)であった)。5 月 21 日には、この日 EIA から発表された同国石油統計(5 月 16 日の週分)で原油
在庫が前週比で 723 万バレルの減少と市場の事前予想(同 30 万バレル程度の減少~80 万バレル程度
の増加)に反して、もしくは事前予想を上回って減少している旨判明したことに加え、5 月 21 日に発表さ
れた FOMC 議事録(4 月 29~30 日開催分)で、当該 FOMC において、この先の金融緩和策の解除に
向けた議論がなされたもの、具体的な方針について決定されたわけではなかった旨判明したことにより、
市場における金融緩和策縮小加速懸念が後退したことから、米国株式相場が上昇したこと、5 月 16 日以
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降リビア各地で衝突が頻発していることから、同国からの石油供給途絶長期化に対する懸念が市場で増
大したことにより、この日の原油価格は前日終値比で 1 バレル当たり 1.63 ドル上昇、終値は 104.07 ドルと
なった。5 月 22 日には、前日の原油価格上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことに加え、5
月 22 日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(5 月 17 日の週分)が 32.6 万件と前
週比で 2.8 万件の増加となった他市場の事前予想(31.0 万件)を上回ったことから、この日の原油価格の
終値は 1 バレル当たり 103.74 ドルと前日終値比で 0.33 ドル下落したが、5 月 23 日には、この日米国商
務省から発表された 4 月の同国新築住宅販売戸数が年率 43.3 万戸と 3 月の同40.7 万戸から 6.4%の増
加となった他市場の事前予想(同42.5 万戸)を上回ったことに加え、5 月25 日のウクライナ大統領選挙投
票日を控え、依然として同国内で暫定政権支持派と親ロシア派両勢力との間での衝突が発生していると
伝えられるなど、同国情勢に対する不安感が市場で増大したことから、この日の原油価格は前日終値比
で 1 バレル当たり 0.61 ドル上昇し、終値は 104.35 ドルとなった。
5月26日は、米国では戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)に伴う休日により、NYMEXでの原油先
物契約に関する通常取引は実施されなかったが、5 月27 日には、5 月23 日の原油価格の上昇に対する
利益確定が市場で発生したこと、翌 28 日には、5 月 29 日に EIA から発表される予定の同国石油統計(5
月 23 日の週分)で原油在庫が増加を示しているとの予想が市場の一部に発生したことに加え、5 月 28
日に独連邦雇用庁から発表された 5 月の雇用統計で失業者が市場の事前予想(前月比 1.5 万人減少)
に反し前月比で 2.4 万人増加していた旨判明したことで、欧州中央銀行(ECB)による追加金融緩和策が
より間近に迫るとの観測が市場で増大したことにより、ユーロが下落した反面米ドルが上昇したことから、
原油価格は 5 月27~28 日の 2 日間で併せて 1 バレル当たり 1.63 ドル下落し、5 月28 日の終値は 102.72
ドルとなった。5 月 29 日には、この日 EIA から発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が前週
比で 153 万バレル減少していたことに加え、ガソリン在庫が前週比で 180 万バレルの減少と市場の事前
予想(同 20 万バレル程度の減少~28 万バレル程度の増加)に反し、もしくは事前予想を上回って減少し
ている旨判明したことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 103.58 ドルと前日終値比で 0.86
ドル上昇したものの、5 月 30 日には、この日米国商務省から発表された 4 月の同国個人消費支出
(PCE:Personal Consumption Expenditures)が前月比で 0.1%の減少と 2013 年 4 月(この時は同 0.2%の
減少)以来の減少を示した他、市場の事前予想(同0.2%の増加)を下回ったことから、この日の原油価格
は前日終値比で 1 バレル当たり 0.87 ドル下落し、終値は 102.71 ドルとなった。
6 月 2 日には、この日英金融情報サービス会社マークイットから発表された 5 月のユーロ圏製造業購
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買担当者指数(PMI)(改定値)(50 が当該部門拡大と縮小の分岐点)が 52.2 と 5 月 22 日に発表された速
報値(52.5)から下方修正されたうえ、同日独連邦統計庁から発表された 5 月の同国消費者物価指数
(CPI)(EU 基準)が前年同月比で 0.6%の上昇と 2010 年 2 月(この時は同 0.5%の上昇)以来の低水準と
なった他市場の事前予想(同 1.0%の上昇)を下回ったことで、ECB による追加金融緩和策の実施がより
間近に迫るとの観測が市場で増大したことにより、ユーロが下落した反面米ドルが上昇したことから、この
日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 102.47 ドルと前週末終値比で 0.24 ドル下落したが、翌3 日には、
この日米国商務省から発表された 4 月の同国製造業受注が前月比で 0.7%の増加と 3 ヶ月連続の増加
を示すとともに市場の事前予想(同 0.5%の増加)を上回ったことに加え、6 月 4 日に EIA から発表される
予定の同国石油統計(5 月 30 日の週分)でクッシングの原油在庫が減少しているとの観測が市場で発生
したことから、この日の原油価格は前日終値比で 1 バレル当たり 0.19 ドル上昇し、終値は 102.66 ドルと
なった。果たして 6 月 4 日には、この日 EIA から発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が前
週比で 32 万バレル減少していた他米国全体の原油在庫が前週比で 343 万バレルの減少と市場の事前
予想(同 10~200 万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したことが、原油相場に上方圧
力を加えたものの、6 月4 日にウクライナのポロシェンコ(Poroshenko)次期大統領が、6 月6 日にフランス
で開催される予定のルマンディー上陸作戦 70 周年記念式典の際にプーチン露大統領と会談する可能
性がある他、ウクライナ国内和平のために地方自治権の拡大や恩赦の実施等を検討している旨示唆し
たことにより、同国情勢の改善に対する期待が市場で増大したことに加え、6 月 4 日に EIA から発表され
た同国石油統計で留出油在庫が前週比で 201 万バレルの増加と市場の事前予想(同 100 万バレル程度
の減少~70 万バレル程度の増加)に反して、もしくは市場の事前予想を上回って増加している旨判明し
たことが、原油相場に下方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 102.64 ド
ルと前日終値比で 0.02 ドルの下落にとどまった。6 月 5 日には、翌 6 日に米国労働省から発表される予
定の同国非農業部門雇用者数に関する統計を控えて市場で持ち高調整が発生したことから、この日の
原油価格は前日終値比で 1 バレル当たり 0.16 ドル下落し終値は 102.48 ドルとなったものの、6 月 6 日に
は、この日米国労働省から発表された 5 月の同国非農業部門雇用者数が前月比で 21.7 万人の増加と 4
ヶ月連続で堅調な景気回復を示す水準と認識される同 20 万人増加を超過した他、一部市場の事前予想
(同 21.5~21.8 万人増加)を上回ったことで、米国の経済成長加速に伴う石油需要増加に対する期待が
市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 102.66 ドルと前日終値比で 0.18 ド
ル上昇した。
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6 月 9 日には、6 月 6 日に米国労働省から発表された 5 月の同国非農業部門雇用者数統計に伴う、米
国経済成長加速及び石油需要増加に対する市場での期待増大の流れを引き継いだうえ、6 月 8 日に中
国税関総署から発表された 5 月の同国輸出額が前年同月比で 7.0%の増加と市場の事前予想(同 6.6~
6.7%の増加)を上回ったこと、6 月 9 日にリビアの最高裁判所がマイティグ(Maiteeq)氏を首相に選出し
た国民議会での手続きが違憲であるとの判断を示したことにより同国の政情の先行きに関する不安感が
市場で増大したことから、この日の原油価格は前週末終値比で 1 バレル当たり 1.75 ドル上昇し、終値は
104.41 ドルとなった。6 月 10 日には、6 月 9 日の原油価格上昇に伴う利益確定の動きが市場で発生した
うえ、6 月 10 日に仏国立統計経済研究所(INSEE:Institut National de la Statistique et des Etudes
Economiques)から発表された 4 月の同国鉱工業生産指数(2010 年=100)が 98.5(前月比で 0.3%の増
加)と市場の事前予想(同 0.4%の増加)を下回ったこともあり、ECB による金融緩和策が継続する(ECB
は 6 月 5 日に開催した理事会において、政策金利を 0.1%引き下げ、年率 0.15%とするとともに、民間金
融機関の ECB への預金預け入れ金利をマイナス 0.1%とし、主要国及び地域としては初めてマイナス金
利を導入する旨決定していた)との見方が市場で強まったことから、ユーロが下落したことに加え、6 月 6
日に米国労働省から発表された 5 月の同国非農業部門雇用者数に関する統計に対し、米国金融当局に
よる金利引き上げの実施が当初見込みよりも加速するとの観測が市場で発生したことから、米ドルが上
昇したことが、原油相場に下方圧力を加えた一方で、6 月11 日に EIA から発表される予定の同国石油統
計(6 月6 日の週分)で原油在庫が減少しているとの観測が市場で増大したことが、原油相場に上方圧力
を加えたことから、この日の原油価格の終値は 1 バレル当たり 104.35 ドルと前日終値比で 0.06 ドルの下
落にとどまった。また、6 月 11 日も前日(6 月 10 日)夜に世界銀行が 2014 年の世界経済成長見通しを
2.8%の成長と 1 月 14 日発表時点(この時は 3.2%の成長)から下方修正した旨発表したことに加え、6 月
11 日に EIA から発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が前週比で 19.8 万バレルの減少と過
去 9 週間の中で減少幅が最小である旨示したことから当該地域での原油在庫減少度合いが低下しつつ
あるとの認識が市場で発生したことが、原油相場に下方圧力を加えた一方で、この日国際テロ組織「ア
ルカイダ」系の武装勢力がイラク北部バイジ(Baiji)の製油所を侵攻し当該製油所を制圧したと報じられた
他、北部の複数の都市が陥落するなど、暴動が拡大しつつあることを示唆する情報が流れたことで、同
国からの石油供給途絶に対する懸念が市場で発生したことに加え、6 月 11 日に EIA から発表された同
国石油統計で原油在庫が前週比で 260 万バレルの減少と市場の事前予想(同 120~200 万バレル程度
の減少)を上回って減少している旨判明したことが、原油相場に上方圧力を加えたことから、この日の原
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油価格の終値は 1 バレル当たり 104.40 ドルと前日終値比で 0.05 ドルの上昇にとどまった。しかしながら、
6 月 12 日には、この日現在においてもイスラム教スンニ派武装勢力がイラク北部の一部都市を制圧した
後、バグダッドに向け南下を続ける一方で、クルド軍が北部油田都市キルクーク(Kirkuk)を掌握するなど、
同国情勢の混乱が大きくなりつつある旨報じられたことで、同国からの石油供給途絶可能性に対する懸
念が市場で増大したこと、翌 13 日においても、イラクにおけるスンニ派武装勢力の北部諸都市制圧及び
バグダッドへの南進の動きに伴う、同国からの石油供給途絶可能性に対する市場の懸念増大の流れを
引き継いだことで、原油価格は 6 月 12~13 日の 2 日間で併せて 1 バレル当たり 2.51 ドル上昇、6 月 13
日の終値は 106.91 ドルとなった他、6 月 12 日夜の時間外取引では 107.68 ドルと 2013 年 9 月 19 日の
取引日(この時は 108.99 ドル)以来の高値に到達した。また 6 月 12 日及び 13 日の終値(6 月 12 日の終
値は 1 バレル当たり 106.53 ドル)も終値ベースとしては 2013 年 9 月 18 日(この時は 108.07 ドル)以来の
高値であった。
4.
今後の見通し等
原油市場における地政学的リスク要因上の注目点は、当面はイラク情勢ということになろう。イラクにつ
いては、6 月 8 日以降バグダッドや中部及び北部でテロ行為が頻発した他、6 月 10 日には国際テロ組織
「アルカイダ」の流れをくむ過激派組織「イラクとレバントのイスラム国(ISIL:The Islamic State of Iraq and
the Levant)」(「イラクとシャームのイスラム国(ISIS:The Islamic State of Iraq and al-Sham)」等と言われる
こともある)がイラク北部にある同国 2 番目の大都市であるモスル(Mosul)を掌握した後南進を続け、バイ
ジの製油所やティクリート(Tikrit)等も制圧した旨伝えられ(但しバイジの製油所については 6 月 12 日時
点においてイラク政府が支配している旨同国のルアイビ石油相が発言する旨の報道もなされるなど情報
は錯綜している)、さらに武装勢力はバグダッドに向かいつつある(ただ、バグダッドの北 125 キロメート
ルの地点に位置する都市サマラ(Samara)においては武装勢力の進出は阻止されたとされる)。また、前
述の通りキルクーク油田のある都市キルクークがクルド軍によって掌握されている。このように、イラクは
北部において中央政府による統制がとれているとは言い難い状況に陥っている。ただ、同国の石油生
産の中心地は南部であり、同国での原油生産及び輸出に占める北部の占める割合は限定的である(ク
ルド地域での原油生産量を含めない場合には 2 割程度、含めた場合には 4 分の 1 程度と推定される)。
また、3 月 2 日にキルクーク~ジェイハン(トルコ)パイプラインが爆破された結果現在イラク北部からトル
コ経由地中海方向の原油輸出はクルド地域からトルコへのそれを除き事実上停止していると見られる。こ
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のため直近では同国の原油生産及び輸出が大きく影響を受けている、という状況ではない。しかしなが
ら、武装勢力等に対してイラク政府が有効に対処できていないように見受けられる部分があることから、
今後バグダッドに武装勢力が侵攻し政府機能に支障が発生したり、さらに進撃を続ける結果、南部の油
田群の操業が影響を受けたりすることにより、同国からの石油供給が途絶する、という懸念が市場で相対
的に増大しており(但し南部油田地帯の治安体制は北部に比べると格段に良好であるとされることにより、
この地域が容易に混乱に陥る可能性は絶対的にはそれほど高くないとも市場では考えられている)、こ
れが原油相場を押し上げる格好となっている。その背景としては、イランが 2012 年の欧米諸国による制
裁により現在同国の原油生産量が 2014 年 5 月時点で日量 280 万バレルと制裁実施前(2011 年 11 月に
日量 361 万バレル)から比べると日量 80 万バレル程度の減産、リビアが国内での抗議勢力による石油タ
ーミナルの封鎖等で 2012 年 11 月の原油生産量日量 145 万バレルから 2014 年 5 月は日量 24 万バレ
ルと日量 121 万の減産となっている、というように、これら OPEC 産油国からの原油供給が既に低下して
いる、といった現状があることが挙げられる。そして、このような原油生産量の低下をサウジアラビアとイラ
クの原油生産(加えて米国のシェールオイルの生産)で穴埋めしている状況にあった。このような中で、
イラクの原油生産に支障が発生するようであれば、2014 年後半に対 OPEC 原油需要が増加すると予想
されている中、サウジアラビアの余剰生産能力(2014 年 5 月現在日量 265 万バレル)への依存がさらに
高まることになる結果、OPEC 産油国の余剰原油生産能力が減少、更なる地政学的リスク要因への対処
が容易でなくなる確率が相対的に高まる、と市場は認識している。このようなことから、イラクについては、
武装勢力の進撃が抑制されるといったように、同国の政情安定化に向けた動きの兆候が見られるといっ
た展開になってこないと、原油相場に下方圧力が加わりにくい(つまり少なくとも原油相場を下支えする)
他、武装勢力がさらに進撃した結果バグダッドが混乱するなど、状況が悪化するようであれば、原油相場
に上方圧力を加えてくる場面が見られることもありえよう。
一方、イランについては、6 月 2 日に国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が開催されたが、その場
において、IAEA は、イランが起爆装置に関する説明を行うなど核兵器開発疑惑の解明に向けて努力す
る姿勢を示していることを評価するなど、一定の進展はみられる。ただ、6 月 9~10 日に米国国務省幹部
とイラン外務省幹部がスイスのジュネーブでウラン濃縮問題について協議を行った(また以降もフランス
政府幹部と協議したと伝えられる)ものの、依然として両者間に相当程度意見の隔たりが見られる旨明ら
かになっている。このような中、6 月16~20 日には当該問題につきイランと西側諸国等(国連安全保障理
事会常任理事国5 ヶ国にドイツを加えた 6 ヶ国)との間での協議がオーストリアのウィーンで開催される予
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
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定であるが、6 月 9 日にはイラン政府のアラグチ外務次官が 7 月 20 日の最終合意の期限までに協議が
まとまらなければ 6 ヶ月間の延長もありうる旨発言したことと併せて考えると、次回交渉で両者間で最終合
意に向け大きく協議が前進するという展開は考えにくく、イランからの原油増産への道程はまだ長いとの
市場の認識から、この面では原油相場を下支えしていくものと考えられる。
また、5 月 16 日に元軍将校であるハフタル氏(2011 年のカダフィ大佐追放のための内戦で活躍)が指
導する民兵組織(非正規軍)が同国東部の都市であるベンガジでイスラム武装勢力(2012 年のベンガジ
米領事館襲撃事件を引き起こしたとされる過激派「アンサール・シャリア」)と衝突した他、5 月 18 日にはト
リポリでも国民議会(国会)議事堂を襲撃したと伝えられる(ただ、ハフタル氏はマイティグ首相を認めな
い方針であると伝えられるが、ハフタル氏は議事堂襲撃には関与していない旨同国のマルガニ法相が
発言するなど情報が錯綜している)。そのような中5月19日にはトブルクにあるリビア空軍が、ハフタル氏
の民兵組織に合流する旨発表する一方で、5 月 20 日は同国の選挙管理委員会が 6 月25 日に改めて議
会選挙を実施する旨発表したものの、5 月21日にもトリポリ市内で爆発や衝突が発生している。また、リビ
アのマイティグ新首相の内閣は議会のイスラム系勢力の支持により 5 月 25 日に信任されたが、ハフタル
元将校を支持する民兵組織がベンガジでイスラム系勢力の民兵基地を空爆する一方で、6月9日に同国
最高裁判所がマイティグ首相を選出した国民議会の手続きが違憲であるとの決定を下すなど、同国情勢
は混乱の度合いを強めつつある(このようなことから、5月19日には大手国際石油会社Totalが同国内で
の従業員を削減した旨明らかにしており、同日アルジェリア国営石油会社 Sonatrach もリビアに勤務する
50 名の従業員に帰国を指示した他、5 月 16 日にはアルジェリアが、5 月 19 日にはサウジアラビアが、そ
れぞれトリポリの大使館を閉鎖、5 月 27 日には米国政府が自国民に対してリビアへの渡航自粛を勧告し
たと伝えられる)。このようなこともあり、5 月 29 日に同国国営石油会社 NOC から同国原油生産量が日量
15.5 万バレルである旨発表されるなど同国の原油生産は低迷しているが、不安定な政情が収まる兆候
が見られないことから、原油生産の低迷状態は当面継続するものと考えられ、この面でも原油相場は下
支えされるものと考えられる。
ウクライナについては 5 月 25 日に大統領選挙が実施され、親欧米派のポロシェンコ元外相が当選し
た。そしてその選挙がロシアにより妨害されることもなかった他、ロシアのラブロフ外相は 5 月26 日にウク
ライナでの大統領選挙結果を尊重する旨明らかにした。また、5 月 30 日には、米国防当局筋の談話で、
ウクライナ東部国境近くに駐在しているロシア軍の大部分が撤収したと伝えられる。さらに、6 月 6 日にフ
ランスで行われた第二次大戦時のノルマンディー上陸作戦 70 周年記念式典に際し、ロシアのプーチン
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
大統領とポロシェンコ次期大統領が会談、6 月 7 日にはポロシェンコ大統領が就任し、6 月 8~9 日にお
いて、ウクライナとロシア等との間でウクライナ政府と親ロシア派勢力の和平に向けた協議を実施、ウクラ
イナ側はある程度議論の進展が見られた旨明らかにしている。ただ、同国の東部諸州(ドネツク州及び
ルガンスク州)ではウクライナ政府と親ロシア派との間での戦闘は続いている(6月13 日にはウクライナ政
府軍が同国東部ドネツク州マイルポリを包囲した旨伝えられている)ことから、事態が急速に改善し始め
ているとも考え難い状況にある。このようなことから、ウクライナ情勢を巡る西側諸国とロシアとの対立の
激化による、ロシアからの石油供給途絶に対する市場の懸念は以前に比べて低下してきているとは考え
られるものの、根本的な解決に向けた動きが出てくるまでにはなお時間を要するものと見られることから、
この面では原油相場に対して上方圧力を加えるわけではないものの、かといって下落させる余地もまた
限られると思われる。
他方、今後発表される予定の米国での経済指標類の内容によっても原油相場が影響を受ける場面も
想定される。ただ、これについては、経済が改善されつつあることを示唆する指標類が発表されれば、
石油需要の増加加速観測から原油相場に上方圧力を加える反面、米国金融当局による金利引き上げ開
始時期の前倒しといった見方が市場で発生することで、原油相場に下方圧力を加えることになり、また、
経済が減速しつつあることを示唆する指標類が発表されれば、石油需要の増加減速観測から原油相場
に下方圧力を加える反面、米国金融当局による金利引き上げ開始時期の後ろ倒しといった見方が市場
で発生することで、原油相場に上方圧力を加えることになることから、一つの経済指標類で上下双方に
原油相場に圧力が加える結果、価格に上昇もしくは下落の傾向が生じにくく、むしろこれらは相場を攪乱
的に変動させる形で作用していくと思われる。また、米国では 7 月 8 日夕方のアルコアより 2014 年 4~6
月期を中心とする業績が発表され始める予定であることから、その業績が株式価格を通じて原油相場に
影響を及ぼすこともあり得よう。中国での経済指標類については、一時に比べて経済が安定しつつある
ことを示すものが散見されるようになってきている。このようなことに加え、仮に経済がさらに減速を示す
ことを示唆する指標類が発表されても、中国政府による景気刺激策実施に対する市場の期待が高まるこ
とから、この面で原油相場に継続的に下落圧力が加わる可能性はそれほど高くないものと考えられる。
石油需給面では、引き続き当面米国等では夏場のドライブシーズンに伴うガソリン等自動車用燃料需
要期であり、この面では市場では季節的に石油需給の引き締まり感が感じられ、その結果原油相場を下
落しにくくするものと考えられる。また大西洋圏では既にハリケーン等の暴風雨シーズンに突入している
(暴風雨シーズンは例年 6 月 1 日~11 月 30 日である)。ハリケーン等の暴風雨は、進路やその勢力によ
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
っては、米国メキシコ湾沖合の油田関連施設に影響を与えたり、また、湾岸地域の石油受入港湾施設や
製油所の活動に支障を与えたり(実際に製油所が冠水し操業が停止することもあるが、そうでなくても周
辺の送電網を切断することにより、製油所への電力供給が停止することを通じて操業が停止するといっ
た事態が想定される)、さらには、メキシコの沖合油田操業活動や原油輸出港の操業等が停止すること
により米国での原油輸入に影響を与えたりする(米国メキシコ湾岸地域はメキシコから日量 80 万バレル
超程度(2013 年)の原油を輸入している)。現時点で予測機関から発表されている予測では、2014 年の
大西洋圏でのハリケーンシーズンは平年よりも不活発な暴風雨の発生が予想されている(表 2 参照)こと
もあり、この面では必ずしも市場を神経質にするというものではない。それでも、このような予報に反して
ハリケーン等の活動が活発化する場合もありうることから、今後のハリケーン等の実際の発生状況やその
進路、そしてその予報等に留意すべきであろう。実際メキシコでは、石油輸出港である Cayo Arcas(石油
積出能力 101 万バレル)及び Dos Bocas(同日量 11 万バレル)が荒天で 6 月 4 日に操業を停止、Cayo
Arcas は 6 月 6 日に操業を再開、Dos Bocas も 6 月 7 日に操業を再開したと伝えられるが、この場合メキ
シコからの主要原油輸出先である米国メキシコ湾岸地域の原油在庫にこの先影響が出てくる恐れがあり、
それが原油相場に反映される場合もあるので注意が必要であろう。
表2 2014年の大西洋圏でのハリケーン等発生個数予想(2014年6月15日現在)
熱帯性低気圧( 命名される もの)
2014年4月10日 コロラド州立大学
2014年5月23日 米国海洋大気庁(NOAA)
2014年6月2日 コロラド州立大学
平年(1981~2010年平均)
う ち 強い勢力 * のハリケー ン となる もの
う ち ハリケー ン となる もの
9
3
1
8-13
3-6
1-2
10
4
1
12.0
6.0
3.0
*:カテ ゴ リー 3(風速時速111マイル(時速178k m))以上のハリケー ン
出所:機関資料をも とに作成
全体としては、これまで、イラン、リビア及びウクライナを巡る地政学的リスク要因に伴う市場での石油
供給途絶懸念が原油相場に下限を与える反面、同じ政学的リスク要因について、それらが極度に悪化
する方向に向かう可能性もまた低い(リビアについては状況は悪化しつつあるが、同国の原油生産量は
既に日量 15.5 万バレル程度にまで低下しており、更なる低下余地はそれほど大きくない)と市場が認識
していることに加え、米国での原油在庫が豊富であることが、相場の上限を、それぞれ設定する格好とな
っていたが、夏場の米国等でのドライブシーズンに突入し季節的に石油需給に引き締まり感が発生しや
すい中で、イラクでの武装勢力のバグダッドへの進撃と同国原油生産に対する影響への市場での不安
感の増大といった、地政学的リスク要因面での新たな材料が加わったことから、イラクにおける武装勢力
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
の活動沈静化の兆しが見えてくるまでは、以前と比べて原油相場の変動範囲が切り上がる可能性がある
他、イラク情勢等が極度に悪化した場合には原油相場が上振れするリスクが存在する、ということにつき、
この先当面留意する必要があろう。そのような中で米国等から発表される経済指標類等により原油相場
は変動していくものと考えられる。
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