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企業年金用語集 - ジェーシービー企業年金基金

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企業年金用語集 - ジェーシービー企業年金基金
企業年金用語集
-
用語集
索引
-
【あ行】
-あ-
アキュムレーション(Accumulation)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
アクチュアリー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
アクティブ運用(積極運用)
アクティブ・リスク(超過リターンの標準偏差)
預り証方式
アセット・アロケーション(資産配分)
アセット・アロケーション効果(資産配分効果)
アセット・ミクス(資産構成)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
アナリストレーティング
アモチゼーション(Amortization)
アルファ(α)値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
-い-
イールドカーブ(利回り曲線)
5つのP・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
一般勘定
インカム・ゲイン
インデックス(指数)
インデックス運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
インハウス運用(自家運用)
インフォメーション・レシオ(IR・情報比)
-う-
ウォール・ストリート・ルール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
運営管理機関
運用ガイドライン(運用指針)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
運用機関構成
運用指図者
運用指針
運用スタイル(投資スタイル)
運用の基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
運用プロセス
運用報酬
-え-
エクイティ(1)
エクイティ(2)
S字カーブ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
エマージング国・地域(新興成長国・地域)
エマージング・マーケット投資
エリサ(法)
円建て外債
円転義務
エンハンスト・インデックス運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
-お-
大型株
オーバーレイ・マネジャー(ポートフォリオ・オーバーレイ・マネジャー)
オプション
オルタナティブ投資(代替投資)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
【か行】
-か-
カーブアウト
外貨滞留
外貨建て債券
外国債券(外債)
解散(厚生年金基金)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
会社型投資信託
外需関連株
買手責任
回復計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
乖離率
カウンターパーティーリスク
格付機関
確定給付型年金(=DB)
確定給付企業年金(法)
確定拠出型年金(=DC)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
確定拠出年金(法)
確定年金
掛金
掛金シェア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
掛金収入現価
掛金の休日(コントリビューション・ホリディ)
下限予定利率
過去期間代行給付現価
過去勤務期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
過去勤務債務(=PSL)
加算型
カストディ
カストディアン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
株主議決権
為替ヘッジ
為替リスク
為替レート
カントリー・リスク
元本確保型商品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
-き-
幾何平均
企業会計基準
企業型年金(企業型確定拠出年金)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
基金型企業年金(企業年金基金)
基準価格
基礎率
期待収益率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
基本方針
基本ポートフォリオ
規約型確定給付企業年金
規約上掛金(率)
キャッシュバランスプラン(=CBプラン)
キャッシュバランスプラン類似制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
キャッシュ・フロー
キャッシュ・マネジメント
キャピタル・ゲイン(ロス)
給付現価
給付減額
給付現価交付金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
給付シェア
給付専用ファンド
給与現価
強行規定
共済型
共分散
業務委託報酬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
許容繰越不足金
記録関連業務
金額加重収益率
銀行勘定貸し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
勤務費用
金融持ち株会社
-く-
クーポン
クオンツ運用(システム運用)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
クラスアクション(集合代表訴訟)
グラフ分析
グループ区分
グロース運用(成長株投資)
クローゼット・インデックス・ファンド
グローバル・カストディ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
クロス取引
クロス売買
-け-
継続基準
契約型投資信託
契約法理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
ゲート・キーパー
決算
現価(=現在価値)
原始数理債務
現金主義会計
現代投資理論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
現地決済方式
現物移管
権利義務の移転・承継
-こ-
厚生年金基金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
公的年金等控除
合同運用
合同口
効率的な市場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
効率的フロンティア(有効フロンティア)
高利回り債
コーポレート・アクション
小型株
国民年金基金
国民年金基金連合会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
個人型年金(個人型確定拠出年金)
個人型年金運用指図者
個人別管理資産
コモン・ロー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
固有報酬
コントリビューション・ホリディ
コンプライアンス
【さ行】
-さ-
サービサー
サープラス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
再委任
財政運営
財政運営基準
財政決算(=決算)
財政検証
財政再計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
財政方式
最低責任準備金
最低積立基準額
最低保全給付
債務不履行・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
最良執行
先物取引
サバイバーシップバイアス
サブ・カストディ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
サムライ債(サムライ・ボンド)
算術平均
-し-
シェア(変更)
ジェンセンの測度(ジェンセンのα)
自家運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
時価評価
時間加重収益率
時間分散効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
直投(じきとう)
事業主
時系列相関
自行為替
自己執行義務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
資産管理機関
資産構成
資産配分
資産配分効果
市場インデックス
市場感応度
システマティック・リスク
システム運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
事前積立方式
実現損益
実施事業所
実務ガイドライン
指定基金
指定年金数理人
品貸し料
シニア債(Senia bond)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
支払保証事業
私募投信
シミュレーション型ALM
事務費掛金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43
シャープ・レシオ(シャープの測度)
社債担保証券
ジャンク債
収支相等の原則
終身年金
修正総合利回り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
受給待期者
受託者責任
受託者責任ガイドライン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
ジュニア債(Junior bond)
商業用モーゲージ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
(証券)投資信託
証券保管振替機構
商事信託
情報の非対称性
情報比・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
助言
信託報酬
信託法理
信託法リステートメント
信認関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
-す-
推計誤差
スウィング・マネジャー
数理債務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
数理上掛金(率)
数理的評価
スタイル・インデックス
ストック・オプション
ストレス・テスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
スパゲティ・チャート
スワップ取引
-せ-
正規分布(標準偏差)
政策アセット・ミクス(政策的資産構成割合)
誠実運用義務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
成長株投資
政府負担金
生命表
セーフハーバー
責任準備金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
セキュリティーズ・レンディング
セクター効果
絶対評価
設立事業所
善管注意義務
戦術的資産配分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
選択一時金
-そ-
相関関係
総幹事会社
総合収益
総合設立
総合利回り・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
相対評価
属地主義
ソフトダラー
ソブリン格付
ソルベンシ―・マージン比率
損害賠償責任・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
【た行】
-た-
第一特約
代議員会
代行型
代行部分
代行部分過去給付現価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
代行返上
代行保険料率
退職給付会計
退職給付債務
退職給付信託・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
退職給付引当金
退職所得控除
大数の法則
第二特約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
滞納処分
タクティカル・アセット・アロケーション
脱退一時金(退職一時金)
単独運用
単独設立・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
-ち-
注意義務
忠実義務
中小企業退職共済(中退共)
中途脱退者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60
直投(ちょくとう)
-つ-
通算企業年金
つなぎ年金
積立上限額(に係る財政検証)
積立水準・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
積立水準の回復計画
積立比率
積立比率の回復計画
-て-
ディスクロージャー(情報開示)
ディスクローズ資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
定性評価
定量評価
適格退職年金
適格要件
適用事業所
デフォルトリスク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
デュアレーション
デュー・ディリジェンス
デュレーション
デリバティブ(派生商品)
転換社債・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
店頭取引
-と-
統合レポート
投資一任契約
投資教育
投資顧問業者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
投資パフォーマンス基準(IPS)
登録債
トータル・リターン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
特別掛金
特別法人税
特例掛金
特化型運用
トップダウン・アプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67
トラッキング・エラー
トランジッション・マネジメント
取引執行コスト(取引コスト)
トレードオフ
トレーナーの測度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
【な行】
-な-
内需関連株
-に-
二重通貨建て外債
任意規定
-ぬ-
-ね-
値洗い
年金ALM(Asset Liability Management)
・・・・・・・・・・・・・・・・69
年金規約
年金給付利率
年金現価
年金現価率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
年金指定単(契約)
年金受給権
年金信託(契約)
年金数理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
年金数理人
年金投資一任(契約)
年金特定信託(契約)
-の-
【は行】
-は-
バイアウト投資・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
バイ・アンド・ホールド
ハイ・イールド債
売買回転率
ハイブリッド型年金(混合型年金)
バスケット注文(取引)
パッシブ運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
発生主義会計
パフォーマンス評価
パラメータ
バランス型運用
パリティ価格
バリュー・アット・リスク(VaR)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74
バリュー運用(割安株投資)
-ひ-
非継続基準
ヒストリカルデータ方式
評価損益・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75
標準掛金
標準掛金収入現価
標準偏差(ボラティリティ)
標準報酬月額
ビルディング・ブロック方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
-ふ-
ファイア・ウォール
ファンド・オブ・ファンズ
フィデューシャリー・デューティ(受託者責任)
賦課方式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
複合効果
複合ベンチマーク
含み損益
浮動株
不当差別
不動産流動化証券(投資)
不法行為・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
プライベート・エクイティ
プラスアルファ部分
不利益変更
プリンシパル取引
フルインベストメント
プルーデント・マン・ルール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
プロセス責任
分散
分散投資・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
分別管理義務
-へ-
ベアリング証券の破綻
閉鎖型適格退職年金
ベイズ修正
ベータ(β)値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81
ヘッジ
ヘッジ・ファンド
別途積立金
変更計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82
ベンチマーク
ベンチマーク比較
ベンチマーク・リスク
ベンチャー(企業)
ベンチャーキャピタル
ベンチャー投資・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
ベンチャー投資事業組合(ベンチャーキャピタル・ファンド)
-ほ-
ポイント制
ポータビリティ
ポートフォリオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
ポートフォリオ・オーバーレイ・マネジャー
ホームアセットバイアス
簿価評価
補完ファンド
保険料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
保護預り先
保証期間
保証利率
保振機構
補足掛金
ボトムアップ・アプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86
ボラティリティ(資産価格の変動(ぶれ)の平均値)
【ま行】
-ま-
マーケット・インパクト・コスト
マーケット・タイミング
マスタートラスト
マネージド・フューチャーズ(商品・金融先物ファンド)
・・・・・・・・・・87
マネジャー・ストラクチャー(運用機関構成)
-み-
ミーティング
未実現損益・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88
未収収益
ミスフィット・リスク
未認識勘定
-む-
無リスク資産
-め-
銘柄選択効果
メザニン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
メザニン債(Mezzanine bond)
免除保険料率
-も-
モデル・ポートフォリオ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
モンテカルロ・シミュレーション
【や行】
-や-
約定基準
約定照合
-ゆ-
優越的な地位
有価証券貸付・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
有期年金
有効フロンティア
優先債
ユーロ債
ユーロ市場
ユーロ・マネー
ユニバース比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
-よ-
予測給付債務
(=PBO(Projected
Benefit
Obligation)
)
予定利率
401(K)プラン
【ら行】
-ら-
ランダムウォーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
-り-
利益相反
利源分析
利差損益
理事会
リスク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
リスク許容度
リスク調整後リターン
リスク・バジェッティング
リスクフリー・レート
リスク・プレミアム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
リスクモデル
リターン
利付債
リバランス
流動化証券・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
-る-
-れ-
レコードキーパー
劣後債
レバレッジ
連合設立
-ろ-
ロング・ショート戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
【わ行】
-わ-
ワラント債
割引債
割引率
割安株投資
【アルファベット】
AIMR
ALM・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
BCCI事件
CBプラン(=Cash Balance Plan キャッシュバランスプラン)
CB(=Convertible Bond 転換社債)
CBO(=Collateralized Bond Obligations 債券担保証券)
・・・・・・・・・・99
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
DB(=Defined Benefit Plan
確定給付型年金)
DC(=Defined Contribution Plan 確定拠出型年金)
ETF(=Exchange Traded Funds 投資信託)
GIC(=Guaranteed Investment(または Interest, Income)Contract 元本確保型商品)
IMRO
IPS(=Investment Performance Standards)
・・・・・・・・・・・・・・100
JBネット(=Japan Bond Settlement Network)
LBO (=Leveraged Buy Out)
PBO(=Projected Benefit Obligation 予測給付債務)
PLAN-DO-SEE
PSL(=Past Service Liability
過去勤務債務)
REIT(=Real Estate Investment Trust、リート)
S T P ( = Straight Through Processing 、 ス ト レ ー ト ・ ス ル ー ・ プ ロ セ ッ シ ン
グ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
TAA(=Tactical Asset Allocation、タクティカル・アセット・アロケーション)
TOB(=Takeover bid 株式公開買付)
用
語
解
説
(五十音順、アルファベット順)
【あ行】
-あ-
アキュムレーション(Accumulation)
債券の取得価格(簿価)が額面金額を下回っている場合、償還日に償還差益(簿価と額面の
差額)が一度に発生することになる。期間収益安定化の観点からこの償還差益を期間按分して
簿価を平均的に引き上げていく経理処理方法。
年金信託の年金経理では、簿価そのものを引き上げるのではなく、期間按分した償還差益を
未収収益として計上する。
(例)取得価格95円、残存期間5年(途中で売却をしないと仮定)
⇔アモチゼーション
100 円
99 円
98 円
97 円
96 円
95 円
2002.4.1
2003.3 末
2004.3 末
2005.3 末
2006.3 末
(取得)
2007.3 末
(償還)
当期の未収
収
益
1円
1円
1円
=期末未収収益のうち、当期の未収収益を表す。
1
1円
1円
アクチュアリー
確率論・統計学などの高度な数理的手法を活用して、主に保険や年金、金融等の多彩なフィ
ールドで活躍する数理業務の専門家。資格を得るためには、日本アクチュアリー会が実施する
資格試験の合格と研修の受講が必要。専門職としてのアクチュアリーは英国、米国をはじめと
して広く海外でも制度化され、活躍の場を与えられている。
アクティブ運用(積極運用)
アクティブ運用とは、市場には非効率な面が残されており、適切に情報を収集し分析すれば
市場平均(日経平均株価・TOPIX等)以上の運用パフォーマンスを実現することが可能で
あるとの信念のもと、市場平均を上回る超過収益の獲得を目指す運用スタイル。
⇔インデックス運用、パッシブ運用
アクティブ・リスク(超過リターンの標準偏差)
アクティブ運用の場合、ベンチマークとは異なる銘柄構成で運用を行うため、必然的にベン
チマークのリターンから乖離することになる。この乖離のぶれ、すなわちリスクのことをトラ
ッキング・エラーあるいはアクティブ・リスクという。
=トラッキング・エラー
預り証方式
信託銀行等が外国有価証券を売買する場合、国内の証券会社を通じて発注を行い、その証券
会社が発行する「預り証」を保管する方式。実際の発注証券会社と契約した現地保管機関(カ
ストディアン)が発注証券会社名義の口座で保管している(通常は混蔵保管だが、通常顧客勘
定と自己勘定が区別されている)。現地決済方式に比べ信託銀行等の事務は簡便である反面、
証券会社の倒産リスクの問題がある。
関連語:カストディ、保護預り先
⇔現地決済方式
アセット・アロケーション(資産配分)
運用資産ごとのリターン、リスク、そして相関係数を勘案し、複数の運用資産を組み合わせ
る際の資産配分のこと。投資の対象になる資産が株式、債券、現金など複数ある場合に、運用
資金を各種資産にどれだけ配分するかを決定すること。
アセット・アロケーション効果(資産配分効果)
複数の資産に投資されている場合のファンド全体のパフォーマンス要因分析により分解さ
れる効果のひとつ。アセット・アロケーション効果は、政策アセット・ミクス(基本ポートフ
ォリオ)と実際の資産構成割合の違いによる効果。
関連語:複合効果、銘柄選択効果
2
アセット・ミクス(資産構成)
資金が必要となる時期、その量を考えて、それらと投資対象商品の特徴とを見比べて、各商
品(株式、債券、現金等の資産クラス)への投資額を決めること。また、ポートフォリオの意
味でも用いられる。
アナリストレーティング
証券会社や運用機関等の証券アナリストが、企業の理論上の投資価値を算出するなど個別企
業のファンダメンタルズ分析を行い、当該企業の株価パフォーマンスを予想し、見通しを3も
しくは5段階評価で格付けしたもの(例:強気・中立・弱気)。なお、当該パフォーマンス予
想は、将来の一定期間につき(例:6ヶ月から1年)、市場平均のベンチマーク(例:TOP
IX)との対比において示されるのが通例である。
アモチゼーション(Amortization)
債券の取得価格(簿価)が額面金額を上回っている場合、償還日に償還差損(簿価と額面の
差額)が発生することになる。
この償還差損を期間按分して、簿価を平均的に引き下げていく経理処理方法。
(例)取得価格105円、残存期間5年(途中で売却をしないと仮定)
⇔アキュムレーション
3
105 円
2002.4.1
104 円
2003.3 末
103 円
2004.3 末
102 円
101 円
2005.3 末
2006.3 末
(取得)
未収償還差損 1 円
100 円
2007.3 末
(償還)
1円
1円
1円
1円
=平均的に償却した償還差損のうち、当期のものを表す。
アルファ(α)値
投資収益率が、どれだけ市場平均(ベンチマーク)の収益率を上回っているのかを示す指標。
対ベンチマークの超過収益率をアルファ値と考えると、アルファ値がプラスで高かった場合、
ベンチマークの収益率を上回り、それだけリターンが高かったことを意味する。
-い-
イールドカーブ(利回り曲線)
債券の残存年数(満期までの期間)と利回りの関係を表す曲線のこと。債券市場の金利の期
間構造を表すものとして広く用いられている。
4
5つのP
運用評価におけるポイント「フィロソフィー(Philosophy)=投資哲学」、
「ピープル(People)
=人材」、
「プロセス(Process)=投資プロセス」、
「ポートフォリオ(Portfolio)=ポートフ
ォリオの構成」、「パフォーマンス(Performance)=運用効果」のこと。
「フィロソフィー」の観点による評価とは、運用機関としての運用哲学、組織理念が明確で、
かつ一貫しているかどうかということ。そして、これが人材や、運用プロセスにどのように反
映されているかをチェックすることが重要である。
「ピープル」は、質的、量的に十分な人員を配置しているかどうかということである。専門
知識や経験豊かな者が必要な数だけいることが重要だが、ファンド・マネジャー、運用責任者
の交代頻度が高くないかといったことにも留意する必要がある。
「プロセス」は、資産運用の意思決定をどのように行っているかということ。運用方針を決
定する組織や基準が明確で効率的か、リスク管理は適正に行われているか等が重要である。
「ポートフォリオ」は、パフォーマンスの源泉である資産の種類や銘柄構成等がどのように
なっているか分析すること。
「パフォーマンス」は、運用結果の検証。運用結果を、市場ベンチマーク対比の運用利回り
や、類似ファンドの複数のデータを集めたユニバースと対比して評価される。
関連語:パフォーマンス評価、定性評価、定量評価
一般勘定
一般勘定とは、生命保険会社の商品で、個人保険や企業年金資産等を合同して一つの勘定で
運用する勘定。一般勘定は、元本と一定の利率の保証(保証利率)がされており、生命保険会
社が運用のリスクを負うもの。また運用の結果次第では配当がある。なお、近年解約時に手数
料を徴収する一方、保証利率が高いというメリットを有した「解約控除付一般勘定」が導入され
ている。
関連語:第一特約、第二特約
インカム・ゲイン
有価証券を保有することから得られる利子・配当所得。預貯金や債券の利息、株式の配当、
不動産からの賃料収入などがこれに当たる。
⇔キャピタル・ゲイン(ロス)
インデックス(指数)
年金資産運用におけるインデックスとは、収益率を指数化して表したもののこと。一般に、
基準となる特定日の終値をもとに(基準日の指数を 100 とする)、翌営業日以降の終値につい
て基準日からの収益率を求め、さらに基準日の指数に収益率を乗じることで当該日の指数を算
出する。
例えば、東証一部上場の全銘柄を対象とするTOPIXや、その代表銘柄225種を対象と
5
する日経平均株価(日経225)等がある。
インデックスの利用方法としては、「収益率を求めたい日の指数」を「計算の期初となる日
の指数」で除して、1で減じて、100 を乗ずることで、%表示の収益率が求められる。
(計算例)2005 年 3 月末指数 125.963
・・・(計算の期初となる日の指数)
2006 年 3 月末指数
・・・
(収益率を求めたい日の指数)
123.664
{(123.664÷125.963)-1}×100≒ -1.83 (%)
東京証券取引所や幾つかの証券会社・総合研究所等が、国内株式や国内債券といった証券市
場全体の収益率推移を表すインデックスを開発しており、一般にも公表されている。
関連語:インデックス運用、ベンチマーク
インデックス運用
TOPIX(東証株価指数)や野村BPIといった市場のインデックス(指数)の動きに連
動する運用成果を目標とする運用手法。この運用手法は、市場が効率的であることを前提に、
コストを支払って情報の収集・分析を行い機動的に運用しても、継続的に市場に勝ち続けるこ
とは困難であるという考え方に立っている。パッシブ運用の中の代表的運用スタイル。
関連語:パッシブ運用
⇔アクティブ運用
インハウス運用(自家運用)
インハウス運用(自家運用)とは、年金資産運用を外部の信託銀行や投資顧問会社等に委託
せずに年金基金が自ら行うこと。2000年6月の規制緩和により資産規模規制(500億円)
が撤廃されるとともに、運用対象資産が拡大された。なお、インハウスを行う場合の具体的な
体制要件等は次のとおり。
(体制要件)
インハウス運用を行う場合は、運用の基本方針において、インハウス運用における管理体
制、運用実績の評価方法、政策的資産構成割合その他の必要な事項を規定する必要があるこ
と。
また、株式を除く有価証券の売買、株式のインデックス運用、有価証券貸付、債券オプション
の取得または付与等を行う場合は、運用基本方針において、インハウス運用に関する事項を規
定していることのほか、インハウス運用業務に係る運用執行理事を置いていること、インハウ
ス運用の執行に係る事務を適格に遂行することができる専門的知識及び経験を有するもの
(注:運用方法により異なる。)を置いていること等の整備が必要である。
インフォメーション・レシオ(IR・情報比)
リスクを加味した超過収益(いわゆるアルファ)の尺度で超過収益獲得の効率性を示す数字
として用いられている。この尺度は、対ベンチマークの超過収益率を超過収益率の標準偏差(い
わゆるトラッキング・エラー)で割って計算する。
6
例えばトラッキング・エラーが 4%、超過収益が 2%のファンドの情報比は 2%÷4%=0.5 とな
る。
この数値が大きいほど、リスク 1 単位あたりの超過収益が高いことを示し、アクティブ運用
の効率が高いということになる。
-う-
ウォール・ストリート・ルール
ウォール・ストリート・ルールとは、「投資先企業の経営に関して不満があれば、その企業
の株式を売却することで不満は解消される」という考え方。米国で最初に誕生したコーポレー
ト・ガバナンス(企業統治)の方式であり、投資家としての意見を、株式市場を通して間接的
に経営者に伝えるということを意味する。
企業(株式会社)は市場で株式を発行して資金調達をするわけであるが、市場では、その企
業についての評価をすることになる。すなわち、企業の評価は結果的には株価として表れる。
株価が低いということは、市場での評価が悪いことの表れであり、これは企業経営者に対する
市場(投資家)からの暗黙のメッセージだととらえることができる。要するに、「市場が企業
に対して監視、監督を行っているのだ」という考え方である。これをマーケット・ガバナンス
という。
しかしながら、1980年代の米国では、年金基金のような機関投資家の資産規模が増大し、
また証券投資理論の発展やエリサ法による分散投資の義務付けによって、株式の長期保有かつ
分散投資が基本となると、機関投資家は投資先企業に対するサイレント・パートナー(物言わ
ぬ安定株主)の関係ではいられなくなり、議決権行使を行い株主として企業経営にかかわりを
持つ動きが出てきた。(米国の労働省は、1988年、エイボンレターで株主の利益の観点か
ら議決権を行使することは企業年金の受託者責任の一環であるとして、それまで禁じていた議
決権行使を解禁とした。
)ウォール・ストリート・ルールの後退である。
関連語:エリサ(法)
、受託者責任ガイドライン
運営管理機関
確定拠出年金において、制度の運営管理を行う専門機関。厚生労働省と金融庁の承認を受け
る。運営管理機関の業務は「運用関連業務」と「記録関連業務」の2業務に分けられる。
「運用関連業務」は、確定拠出年金の加入者が運用方法を選定する上で必要となる各種情報
の提供であり、資産運用の専門性を有する金融機関が主に行っている。一方、「記録関連業務」
は、確定拠出年金の加入者の属性やそれまでに行ってきた運用実績の管理(口座管理)などが
中心であり、膨大なシステム投資が必要であるため、共同で設立した事務処理会社にアウトソ
ースするケースが多い。
関連語:記録関連業務、資産管理機関
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運用ガイドライン(運用指針)
資産構成割合および許容幅、運用手法、運用成績の評価方法等、年金運用責任者が各運用機
関に対して運用を行うにあたって遵守すべき事項を示した指針のこと。運用ガイドラインは各
運用機関と協議の上、各運用機関に対し個別に示されるが、事業主(法人)及び基金全体の運
用の基本方針と整合的でなければならないとされている。2000年3月(施行は同6月)に
行われた厚生年金保険法の改正により、「基本方針」と「運用ガイドライン」の区分が明確化
され、
「基本方針」に定める事項、
「運用ガイドライン」により運用機関に示す事項がそれぞれ
規定された。
運用ガイドラインに記載する事項は以下のとおり。
・資産構成に関する事項
・運用手法に関する事項
・運用業務に関する報告の内容及び方法に関する事項
・運用機関の評価に関する事項
・運用業務に関し遵守すべき事項(例:デリバティブの利用方法)
関連語:運用の基本方針
運用機関構成
⇒マネジャー・ストラクチャー
運用指図者
確定拠出年金において、掛金の拠出を行わず、運用の指図のみを行う人を指す。企業型では
60歳になり加入者でなくなった人、あるいはその企業型制度で障害給付金の受給権を持つ人
が該当し、個人型では加入者資格のなくなった人のほか、希望により運用指図者となることも
できる。
運用指針
⇒運用ガイドライン
運用スタイル(投資スタイル)
投資の基本哲学、戦略、手法の相異等に基づき類型化された資産運用の形態。代表的な例と
しては、アクティブ(積極的に市場予測を立てて超過収益をねらう運用手法)とパッシブ(市
場予測に基づかない運用手法。インデックス運用など)、株式アクティブ運用における超過収
益の源泉の違いによる成長株(グロース)型、割安株(バリュー)型等がある。
また、アプローチ方法の違いを運用スタイルと称することもある。トップダウン・アプロー
チとボトムアップ・アプローチがその例で、システム運用とリサーチ・アクティブ運用という
分類もある。
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運用の基本方針
事業主(法人)及び基金の資産運用にあたっては、母体企業のリスク負担能力や事業主等の
成熟度、資産規模や運用管理体制など自らの実状を踏まえ行う必要がある。このため、資産運
用の目的、資産構成に関する事項など事業主等の資産運用に関する基本的な事項について、事
業主等の関係者が意思統一等を行うことを目的として文書化された方針のことを「運用の基本
方針」という。運用基本方針の作成は、法令(厚生年金保険法第136条の4、確定給付企業
年金法施行令第45条)上義務化されている。
関連語:運用ガイドライン
運用プロセス
運用機関による運用の全過程を通じた業務フローや意思決定メカニズム等を指す。例えばア
クティブ運用の場合、事業主(法人)及び基金から提示のあった運用ガイドライン等を遵守し
ながら、①日々の情報収集やファンダメンタルズ分析等に基づき投資戦略を策定し(例:銘柄
選択、セクター配分、債券デュレーション調整、戦術的資産配分等)、②取引証券会社を評価・
選定した上で売買取引を執行、ポートフォリオを構築するとともに、③リスクを管理し(例:
ベンチマークとの乖離管理等)、定期的にパフォーマンス評価を行い(例:要因分析等)、事業
主等に対して随時報告することになる。この一連の業務フローや意思決定メカニズム等が運用
プロセスである。
運用報酬
事業主(法人)及び基金が運用機関に資産運用を委託することによって運用機関に支払う報
酬。委託された資産の管理・運用にかかる費用で、その報酬率は、運用スタイルや運用対象資産
により異なり、一般的には残高逓減方式が用いられている。
-え-
エクイティ(1)
自己資本のことであり、株式を意味する。例えば、代替投資の一つであるプライベートエク
イティは未公開株式のことを表す。
エクイティ(2)
衡平法とも呼ばれ、英国で15世紀以来500年続いた二種類の裁判所(エクイティ裁判所
とコモン・ロー裁判所)の内、エクイティ裁判所で適用された判例法。沿革的には、コモン・
ローが紛争の種類、手続、解決方法等の点において硬直化したため、大法官裁判所(後にエク
イティ裁判所)が個別的に救済を図るために設けられた。現在では、コモン・ローとエクイテ
ィの裁判所は統一したが、両者はなお別の法体系として存在している。エクイティの分野とし
て発達したものは、信託、特定履行、差止命令などがある。
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関連語:コモン・ロー
S字カーブ
退職給付制度の給付の特徴をあらわす用語。従業員の勤続期間が長期になるにつれて退職金
が急激に上昇し、その後緩やかになるタイプの設計が多くなっている。この支給額を勤続年数
別にグラフにするとS字形が右に傾いたような形になることからS字カーブといわれる。
エマージング国・地域(新興成長国・地域)
アジアといった新興経済国、市場経済に移行しつつある旧東欧諸国、中南米諸国など新興成
長国、地域のこと。これらの国、地域は規制緩和や市場の整備等により、極めて高い成長が期
待される一方、決済システムの未整備や政治が不安定であるといったリスクを抱えている。
エマージング・マーケット投資
新興成長市場や成長段階の初期に位置する国や地域へ投資を行う手法。現状では、中南米、
東南アジア、東欧諸国などが代表的なエマージング・マーケットにあたる。投資にあたっては、
急速な経済成長に伴い高いリターンが期待される反面、政治的安定性や急激な資本移動等によ
るリスク(いわゆるカントリー・リスクなど)も大きいことに注意が必要である。
ハイリスク・ハイリターンの投資対象と位置付けられることが多い。
エリサ(法)
米国において1974年に制定された企業年金制度や福利厚生制度の設計や運営を統一的
に規定する連邦法。Employee Retirement Income Security Act(従業員退職所得保障法)の
頭文字をとってERISA(エリサ)と呼ばれている。企業年金については、制度に加入して
いる従業員の受給権を保護することを最大の目的としており、①加入員や行政サイドに対する
情報開示、②制度への加入資格や受給権付与の最低基準、③年金資産の最低積立基準の設定、
④制度の管理・運営者の受託者責任、⑤制度終了保険、などが規定されている。
関連語:確定給付企業年金(法)
、プルーデント・マン・ルール
円建て外債
払い込み・利払い・償還が円貨で行われる外国債券のこと。サムライ債(サムライ・ボンド)
、
ユーロ円債(発行通貨の国内市場以外の市場で発行される債券の円建てのもの)などが含まれ
る。
関連語:サムライ債(サムライ・ボンド)
円転義務
外貨建資産を売却する場合に必ず円に替えなければならないという義務。例えば、米国債(ド
ル債)から英国債(ポンド債)に資産を入れ替える際に、必ず一旦ドルを円に替え、その後円
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をポンドに替えることが義務づけられ、その度ごとに為替取引に伴う手数料負担が生じていた。
1998年4月、外為法の改正にあわせ、円転義務は廃止されている。
エンハンスト・インデックス運用
ベンチマークからの乖離リスクであるトラッキング・エラーを0.5~2%程度に抑え、ベン
チマークのリスク、リターン特性をある程度維持した上で安定的な超過リターンを狙う運用手
法。したがって組入れ銘柄は従来のアクティブ運用と比べると多くなり、スタイルの偏りも少
なくなる。インデックス運用とアクティブ運用の中間的な運用スタイルであるミドル・リスク
型運用手法のこと。
Enhance とは、
「質や能力などを高める、増す」という意味で、インデックスの質を高める運
用行うスタイルといえる。
-お-
大型株
東証一部銘柄のうち、時価総額と流動性が高い上位 100 銘柄(TOPIX100)を指す。また、大
型株についで時価総額と流動性が高い 400 銘柄(TOPIX Mid400)を中型株、大型株・中型株
に含まれない全銘柄(TOPIX Small)を小型株と呼ぶ。従来、東証では発行済株式数の規模に
より、大型株・中型株・小型株を区分していたが、必ずしも実態を反映していないこともあり、
平成 17 年度に基準を変更した。
大型株と小型株では株価の動きが異なる傾向がある。
オーバーレイ・マネジャー(ポートフォリオ・オーバーレイ・マネジャー)
事業主(法人)及び基金の資産全体について、資産構成割合や為替リスクを横断的にコント
ロールする役割を有する運用機関。事業主等と契約している複数の運用機関には、その資産の
運用に専念させる。全体の調整(為替オーバーレイであれば、事業主等の資産全体の為替ヘッ
ジ)はその分野の専門性の高い運用機関に集中して行うことで、全体として効率的な運用を行
う手法。
関連語:スウィング・マネジャー
オプション
ある商品をあらかじめ定められた期日または期間にあらかじめ定められた価格(行使価格と
いう)で、買い付けまたは売り付けることができる権利のこと。
買う権利のことをコール・オプション、売る権利のことをプット・オプション、そしてオプ
ションの代金(オプション料)をオプション・プレミアムと呼ぶ。
オプションの買い手はオプションを行使する権利を有するものの、行使する義務はない。一
方、オプションの売り手は買い手の権利行使に対してある商品を特定の条件で売買する義務を
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負う。
したがって、損益の面では、オプションの買い手の利益は無限となる可能性があり、損失は
限定(プレミアム代金のみ)される。一方、売り手はその逆となる。
オルタナティブ投資(代替投資)
国内株式、国内債券、外国株式、外国債券等、主として取引所に上場され流動性が高く、従
来からの投資対象とされてきた伝統的資産以外の資産に投資すること。伝統的資産の収益率と
の低い相関関係や市場の非効率性を利用して超過収益を得ることを目的に投資される。代替資
産をポートフォリオに組み入れることにより、リスク分散効果が期待できる。
プライベート・エクイティやLBO、ヘッジ・ファンドがその典型的な例である。
【か行】
-か-
カーブアウト
複数の資産からなるポートフォリオから特定の資産を切り取り、顧客に当該資産のパフォー
マンスとして提示すること。例えば、バランス型運用のポートフォリオから株式のみを切り取
り、株式のパフォーマンスとして提示することなどが典型である。投資パフォーマンス基準で
は、カーブアウトする場合は、一定のルールにより現金および現金相当資産(以下「現金等」
という)を含んでいなければならないとされている。これは、現金等を全く含まない株式資産
のみからなるポートフォリオ運営は実務上考えられないため、現金等を配分せず株式のみカー
ブアウトし、株式のパフォーマンスとして提示することは顧客をミスリードすることになるか
らである。
外貨滞留
外貨建資産の取引において、売却した資金を他の資産を購入するまでの間、円に転換しない
で、外貨のまま現地保管機関(カストディアン)の口座に滞留させることをいう。
関連語:カストディ
外貨建て債券
払い込み・利払い・償還が円以外の通貨(外国通貨)で行われる債券のこと。代表的なもの
は、米ドル建て、ユーロ建て、豪ドル建て、英国ポンド建てなどがある。外国の発行者が日本
国内で発行するものをショーグン債(ショーグン・ボンド)という。
外国債券(外債)
外国政府、外国法人、国際機関などが発行する債券。一般には、発行者・発行市場・通貨の
いずれかが外国であるものも、外債と呼ばれる。従って日本企業が国外で発行した債券は外国
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債券(外債)と呼ばれる場合がある。
大きく分けて、円貨建て外債、外貨建て外債、二重通貨建て外債に分けられ、サムライ債や
ユーロ円債は円建て外債に、外国政府等により発行される通常の各国通貨建て債券は外貨建て
外債に分類される。
関連語:円貨建て外債、外貨建て債券、二重通貨建て外債
解散(厚生年金基金)
厚生年金基金の解散には、①代議員会で定数の4分の3以上による議決(任意解散)②当該
基金を設立している企業の破産などで基金の事業継続が不能③厚生労働大臣の解散命令によ
るもの、という3つのケースがある。
母体企業が存続するまま、厚生年金基金を解散する場合には、上記①の任意解散によること
になる。また、母体企業自体が倒産等(清算、合併、営業譲渡など)により消滅してしまう場
合には、上記②に当たることになる。
なお、①と②の場合は、厚生労働大臣の認可が必要となる。
会社型投資信託
投資信託自体が法人格をもち、一般事業会社と同様に、株式を発行して一般の投資家から調
達した資金で証券投資を行うもの。米国のミューチュアルファンド、英国のインベストメント
トラストは、会社型投信の形態が採られている。わが国において一般的な契約型投信との主な
違いは、毎年株主総会が開かれ、株主である投資家の意見の反映、監視ができる仕組みとなっ
ていることである。
関連語:(証券)投資信託、契約型投資信託
外需関連株
自動車・精密・電機産業など海外事業の収益が重要な業種の銘柄をいう。海外景気や為替の
変動に影響される傾向が強く、円安などが買い材料となる。
買手責任
一般的な経済取引における民商法の基本原則は「買手が注意する」(買主は自らの危険負担
において買う)である。しかし、金融取引の場合には、一般に、「買手が注意する」ことに加
え、「売手も注意する」ことが必要である。その理由は、第1に、金融取引の対象は将来のリ
スク・リターンという形のないものであること、第2に、金融技術の高度化に伴い情報の非対
称性が拡大し、商品に内在するリスクが買手側からは理解しづらくなっているためである。し
たがって、買手責任を問う前提として、運用機関が金融商品のリスク・リターン特性等に関す
る十分な情報開示と説明を尽くすことも求められてきている。
関連語:情報の非対称性
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回復計画
⇒積立水準の回復計画
⇒積立比率の回復計画
乖離率
実際の転換社債(CB)の時価とパリティ価格(転換社債を株式に転換したときの価値を示
す尺度)との価格差(乖離幅)をパリティ価格で割った指標である。これは転換社債の時価が
株価の水準に比べてどれだけ割高か、あるいは割安なのかを示す指標で、乖離率がプラスの場
合(順乖離)、転換社債は株式に比べて割高といえ、乖離率が逆にマイナスの場合(逆乖離)、
株式に比べて割安といえる。
乖離率(%)=(市場価格-パリティ価格)/パリティ価格×100
関連語:CB(転換社債)、パリティ価格
カウンターパーティーリスク
取引相手の事務ミスや倒産等により取引執行ができなくなる場合のリスク。信用力に応じて
取り引きの内容、回数、金額について制限を設けて管理することが一般的である。
格付機関
「格付」とは、格付の対象となる債券等の元本、利息が約束通りに支払われる確実性の程度
を、利害関係のない第三者が判断(評価)し、その結果を簡潔な記号で表示し、投資家に提供
される情報。この判断(評価)を行うところが格付機関である。格付会社は、債務の返済の確
実性について発行体の財務基盤の安定性や収益構造の安定性などを定性及び定量の両面から
評価を行う。
代表的な格付機関としては、ムーディーズ(Moody’s)、スタンダード・アンド・プアーズ
(S&P)、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)等がある。同じ考え方で信託
銀行を含む銀行には銀行預金の支払能力格付があり、生命保険会社には保険財務力格付(保険
金支払能力格付)がある。
確定給付型年金(=DB)
年金制度に加入する者の加入年数や給与などによって、将来の年金額が約束された年金の総
称。年金資産を一括して運用し、運用のリスクは保険者(年金の管理運営者)が負うこととな
る。確定給付型の企業年金には、厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型、規約型)、適格
退職年金がある。
確定給付企業年金(法)
2002年4月に施行された確定給付企業年金法は、確定給付型の企業年金について、積立
義務、受託者責任、情報開示などの受給権保護のための統一的な基準を設けるとともに、確定
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給付型の企業年金の再編を行うためのものである。
新たな確定給付企業年金には、労使が合意した年金規約に基づいて、事業主と信託会社、生
命保険会社等が契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行う「規約
型企業年金」と母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金資金
を管理・運用し、年金給付を行う「基金型企業年金」の2種類がある。
確定給付企業年金を実施する事業主は、労使の合意に基づいて制度の内容を規定した年金規
約を作成し、厚生労働大臣の承認または基金の設立の認可を受けなければならない。
なお、この法律の中で、厚生年金基金については代行返上を認めるとともに、適格退職年金
については、2012年に廃止となるため、それまでに他の企業年金制度等へ移行しなければ
ならないとされている。
確定拠出型年金(=DC)
給与の一定割合や定額などの方法で掛金額をあらかじめ設定し、年金額は運用実績によって
変動する年金のこと。確定拠出型年金には、企業型年金と個人型年金の2つの型が設けられて
いる。年金資産残高は個々の加入者ごとに記録管理されており、運用指図は加入者本人が行う
ことから、運用リスクは加入者が負うこととなる。
確定拠出年金(法)
確定拠出年金は、2001年10月に施行された確定拠出年金法により導入可能となった制
度である。
確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合
計額を基に給付額が決定される年金であり、積立期間中の運用の結果により将来の給付額が変
動する仕組みとなっている。
また、加入者が離転職した場合等は、他の確定拠出年金に個人ごとに管理された資産を移管
できることが可能である。
確定拠出年金には、(1)事業主が労使合意に基づいて実施し、60歳未満の従業員が加入
者となる「企業型年金」と、(2)自営業者等及び企業年金の対象となっていない60歳未満
の従業員等が国民年金基金連合会に申し出ることによって加入者となる「個人型年金」の2種
類がある。
なお、拠出金についてはいずれも法令上の拠出限度額の範囲内で、事業主が拠出した掛金は
損金に算入でき、従業員等が拠出した掛金は所得控除が認められている。
確定年金
一定の期間、本人の生死に関係なく支給される年金。
掛金
企業年金に加入する加入員と事業主が将来受け取る年金および一時金に要する費用として
15
負担し、企業年金が徴収する。
→標準掛金
参照
→補足掛金
参照
→特別掛金
参照
→特例掛金
参照
→事務費掛金
参照
掛金シェア
掛金シェアとは、各運用機関への掛金の配分割合のこと。基金制度発足以降1990年4月
に運用拡大が実施されるまでは「掛金シェア=給付シェア」となっていた。1990年4月に
投資顧問の参入が認められた際に、シェアの考え方も大幅に変更され、運用拡大を実施する基
金については、各運用機関の給付シェアは毎年1月末の資産残高の割合によることとされる一
方、各運用機関の掛金シェアの決定は基金の自由裁量とされ、しかも掛金シェアの変更を毎年
行うことができるようになり、給付シェアとはリンクしないことになった。
1995年4月には、運用拡大を実施していない基金であっても、基金の設立から3年を経
過(第1回の財政再計算を終了)していれば、給付シェアと掛金シェアを分離することができ
るようになり、さらに1997年4月からは、掛金シェア、給付シェアについての規制が完全
になくなった。
また、広義に「シェア変更」という場合には、上述のシェア(狭義)の変更のみならず、各
運用機関の運用委託資産残高の変更や運用機関の入れ替え(解約と新規契約)も併せて意味す
るが、このような場合には、資産の移受管が伴うことになる。
掛金収入現価
将来入ってくる掛金総額の現時点における価額(将来にわたって毎年発生する掛金をそれぞ
れ現時点の価値に割引く計算を行い、合算した価額)。
掛金の休日(コントリビューション・ホリディ)
事業主(法人)及び基金の資産運用の成功により、積立余剰となった結果、一時的に掛金を
止めること。
下限予定利率
厚生年金基金及び確定給付企業年金で用いる予定利率の下限のこと。毎年、厚生労働省より
示され、10 年国債の応募者利回りの 5 年平均または 1 年平均のいずれか低い率に基づき定めら
れる。
過去期間代行給付現価
厚生年金基金について、過去の加入員期間に係る代行相当額(政府負担金部分を除く)の
16
現価を、全基金統一の方法(予定利率 3.2%、予定死亡率は平成 16 年改正死亡率)で算定し
たもの。最低責任準備金がこの過去期間代行給付現価の 1/2 を下回る場合は、下回った額に
応じて国から「給付現価交付金」が交付され、1.5 倍を上回った場合は、上回った部分に対し
て免除保険料率が調整される。
過去勤務期間
厚生年金基金や確定給付企業年金などの年金制度ができる前に入社した従業員に対して、
制度発足以前に勤務していた期間の一定期間を年金受給資格期間に含める場合、その期間を
過去勤務期間という。 なお、この場合の過去とは年金制度ができる前の意味。
また、過去勤務期間を加入期間に含めることを「過去勤務期間の通算」という。
過去勤務債務(=PSL)
確定給付型年金(厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型、規約型)、適格退職年金)に
おいて、数理債務(厚生年金基金の場合は、数理債務+最低責任準備金)と実際の保有資産額
を比較した不足額のうち、償却する予定のあるもの。年金制度発足前の過去の勤務期間に応じ
た給付債務の意味で使用される場合もある。退職給付会計基準では、退職給付水準の改定や新
たな企業年金制度の採用などに起因して発生した退職給付債務の増減額を示す。
加算型
代行型、共済型とともに、厚生年金基金の給付形態による区分の1つで、最も多く採用され
ている形態である。厚生年金保険の老齢厚生年金と同じ方式で設計された基本部分と、企業独
自の体系により設計された加算部分とからなる給付形態をいう。基本部分の年金(基本年金)
は、厚生年金保険の老齢厚生年金(物価スライドおよび再評価部分を除く)を代行した部分に
企業の実情に合った給付を一定の割合で上乗せした設計であるが、加算部分の年金(加算年金)
は基金独自の給付部分であり、弾力的な設計が認められている。
関連語:代行型、共済型
カストディ
機関投資家の代理人として、有価証券の保管・管理等を行う業務を総称していう。有価証券
の保護預り業務を指していう場合もあるが、一般にはそれにとどまらず、保管した証券から発
生する利子、配当金の受領、売買代金の授受あるいは当該証券に係る各種権利関連情報の伝達
等の業務を含めていう。この業務を取り扱っている機関をカストディアンという。国内におい
てこのカストディ機能が利用される場合もあるが、典型的には例えば、日本の投資家が海外の
市場で有価証券を購入した場合、購入した有価証券は日本国内に持ち込むことなく、現地の銀
行に保管・管理を依頼するという形でこのサービスが利用される。
関連語:カストディアン
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カストディアン
⇒カストディ
株主議決権
株主が株主総会の決議に加わる権利のこと。利益配当請求権などと並んで株主の重要な権利
の一つである。事業主(法人)及び基金の資産運用に関し、従来、運用機関が株主議決権を行
使することは稀(正確には、ほとんどの場合白紙委任するのが実態)であった。しかし、年金
資産の価値を維持し、より高い運用収益を確保するために、株主議決権をいかに適切に行使す
るかということも受託者責任の観点から議論されるようになってきている。
為替ヘッジ
為替先物などを使うことにより、為替リスクをヘッジ(回避)すること。
一般的には先渡し取引(為替予約)や先物・オプション取引を行うことで実施される。ただ
し、これらのヘッジ取引を行うにはコスト(ヘッジコスト)がかかることもある。
関連語:為替リスク
為替リスク
海外投資を行う場合、現地通貨での投資となるため、為替変動により邦貨ベースでの価値が
変化する。これを為替リスクという。
関連語:為替ヘッジ
為替レート
ある国の通貨と他国の通貨との交換比率。「変動相場制」のもとでは、外国為替市場における
取引(需給のバランス)によって決まるが、その時々の景気、金利、政治状況などに関する市
場参加者の見方を反映して日々変動する。
カントリー・リスク
投資している国の経済や政治等の不安定性に伴う有価証券市場の混乱及び下落に直面する
危険性を指す。一般に先進国は低く、エマージング・マーケットに属する発展途上国は高いと
みなされているが、そのリスクの大きさに応じて高いリスク・プレミアムが存在すると考えら
れている。
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関連語:エマージング国(地域)
、エマージング・マーケット投資
元本確保型商品
元本の全部もしくは一部が、法律などによって保証されている確定拠出年金向けの金融商品
のこと。確定拠出年金では、運営管理機関は投資メニューとして最低一つ以上は元本確保型の
商品を提示しなければならない。具体例としては、預金保険がついた銀行の普通預金・貯蓄預
金や、郵便局の定額貯金など。なお、公社債投信や外国銀行の円預金は元本確保型商品ではな
い。
-き-
幾何平均
幾何平均の持つ意味は、再投資を前提とした複利の計算にある。幾何平均を公式的に表せば、
以下の関係を満たす Rg と定義される。
(1 + R ) = (1 + R )(1 + R ・・・
)
(1 + R ・・・
)
(1 + R )
g
1
2
t
n
※Rtは各期の1期間あたりの収益率
幾何平均は、過去の収益率を表すものとして、算術平均より優れている。幾何平均の積み重
ねが過去の実際のパフォーマンスと一致する。たとえば、1 年目の収益率が 100%、2 年目が-
50%であったとする。幾何平均は、(1+Rg)2=(1+100/100)(1-50/100)=1であるから、
R g = 0 となる。期初に 100 の資金でスタートした場合、2 年目末の資金残高も 100 で、幾何平
均による結果と一致する。算術平均による結果では、
(100-50)/2=25%となり、運用の結果
を正しく表すことができない。
一方、算術平均は、これからの投資のパフォーマンスを考えるときに優っている点がある。
たとえば、ある投資案件の収益率が 100%か-50%のいずれかで、それぞれの生起確率は 0.5
ずつであるとする。その場合の期待収益率は、
(100-50)/2=25%である。一方、幾何平均で
は 0 となり、この状況を正しく表すことができない。
企業会計基準
2000年度から導入された新しい企業会計全般にわたる基準で、企業会計においては、
従来、退職給付に係る債務については退職一時金に係る部分のみが「退職給与引当金」とし
て貸借対照表に計上され、企業年金に係る部分は計上されていなかったが、新基準(退職給
付会計)では、企業年金に係る部分についても、企業会計の手法で算定した債務額と年金資
産の差額を「退職給付引当金」として貸借対照表に計上することになった。
投資家への情報開示のため、共通尺度により企業間で比較することとされており、その共
通尺度は次のとおりとなっている。費用は1年経過したことによる債務増加分(退職給付費
用)とする。債務評価はこれまでの勤務期間により発生した退職給付債務(発生給付評価方
式)で、割引率は、現に保有する資産とは別に長期国債等を基準に決定する。資産は時価評
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価する等。
関連語:財政運営基準
企業型年金(企業型確定拠出年金)
厚生年金保険の適用事業所である事業主が単独または共同で実施。原則として、制度を実施
する事業所に雇用される60歳未満の被用者年金被保険者等は全員が対象となる。掛金は事業
主が全額拠出し、損金算入することができ、加入者は拠出できない。実施するには労使合意が
必要である。拠出限度額は企業が既に企業年金(厚生年金基金、適格退職年金)を適用してい
るかどうかで違う。
企業年金がある場合は年間
27 万 6,000 円(毎月
2 万 3,000 円)、
企業年金がない場合には、年間 55 万 2,000 円(毎月 4 万 6,000 円)となる。
拠出限度額(年額)
企業年金がある企業
27万6千円
企業年金がない企業
55万2千円
関連語:確定拠出年金法、個人型年金(個人型確定拠出年金)
基金型企業年金(企業年金基金)
確定給付企業年金制度における制度運営方法の1つで、母体企業から独立した法人である基
金(企業年金基金)を設立し、その基金が制度を運営する。
制度の仕組みは、厚生年金基金に準じており、代議員会が議決機関で理事会が執行機関。設
立には 300 人以上の加入者など一定の要件を満たしたうえで厚生労働大臣の認可を受ける必要
がある。
なお、基金型企業年金は、厚生年金基金が代行返上する場合の受皿の中心となっている。
関連語:規約型確定給付企業年金
基準価格
年金投資基金信託の中で基準価格制を用いている合同口の受益権一口あたりの時価を示す
価格。合同運用口の各ファンド内の時価総額等を総口数で割った値であらわされる。
基礎率
確定給付型年金(厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型、規約型)、適格退職年金)に
おいて、掛金の算出などの財政計算をする際に、将来の状態を推計する計算の基礎となる各種
の比率数値のこと。主に過去の実績による統計数値が用いられるなど、偶然性が極力排除され
たものでなければならない。主な基礎率には、
「予定利率」、
「予定死亡率」、
「予定脱退率」、
「予
定昇給指数」
、「新規加入員の見込み」等がある。
20
期待収益率
資産運用を行う上で見込まれるリターン。投資する資金(あるいは期初の価格)に対してど
れくらいの収益が見込めるかを示したもの。ヒストリカルデータ方式・ビルディングブロック
方式・シナリオアプローチ方式という3つの推計方法がある。
基本方針
⇒運用の基本方針
基本ポートフォリオ
⇒政策アセット・ミクス
規約型確定給付企業年金
確定給付企業年金制度における制度運営方法の一つで、労使が合意して作成した年金規約を
もとに母体企業(事業主)が運営する。年金規約は厚生労働大臣の承認が必要。適格退職年金
と似た仕組みだが、受給権保護を強化するため、積立基準や受託者責任の明確化等がなされて
いる。適格退職年金が廃止された後の有力な受け皿のひとつとされている。
関連語:基金型確定給付企業年金
規約上掛金(率)
規約に定める掛金(率)のこと。
⇒数理上掛金(率)
キャッシュバランスプラン(=CBプラン)
平成 14 年 4 月より厚生年金基金の加算部分および確定給付企業年金の給付設計において認
められた、「確定給付型年金」と「確定拠出年金」の両方の特長を併せ持つ給付設計。加入者
ごとに仮想個人勘定を設け、例えば毎月の給与に一定割合を乗じた額(拠出クレジット)と客
観的な「指標」に基づく利率(再評価率)による利息額(利息クレジット)の累積額に基づい
て、年金額を算定する。
①拠出クレジット = 基準給与 × 一定率(または一定額)
②利息クレジット = 前期末仮想口座残高 × 再評価率
③年金給付額 = 原資(①と②の累積額)÷ 規約で定める数値(年金現価率)
年金資産の運用に関して他の確定給付型企業年金との違いはなく、運用リスクは企業が負う
こととなる。また、退職給付会計上は、予測給付債務(PBO)に基づく会計処理が必要とな
る。
なお、再評価率とは、キャッシュバランスプランを採用している場合に、仮想口座残高(=
年金原資)の計算過程における利息クレジットの計算に用いる利率である。客観的な指標(0
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以上)に基づくこととされており、具体的には次のいずれかとなる。
①定率
②国債利回りその他の客観的な指標であって、合理的に予測することが可能なも
の(注)
③①と②を組み合わせたもの
④②または③にその上限または下限を定めたもの
(注)例えば、「総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数」、「厚生労働省にお
いて作成する年平均の賃金指数」が該当する。
キャッシュバランスプラン類似制度
厚生年金基金の加算部分および確定給付企業年金の給付設計において、支給開始時点までは
従来方式の給付設計としつつ、年金給付利率を規約に定めた指標利率(例えば国債利回り等)
に連動させて年金を増額する給付設計のこと。
キャッシュ・フロー
現金の流出入の状況のこと。事業主(法人)及び基金の場合、掛金と給付金が典型的な例で
ある。
キャッシュ・マネジメント
各運用機関で実際に有価証券等の投資に回されずに残った現金(余資)を毎日回収し、まと
めて短期運用を行ったり、逆に、各運用機関が何らかの理由により資金不足になった場合には、
貸付を行うサービスをいう。
キャピタル・ゲイン(ロス)
キャピタル・ゲイン(ロス)とは、債券や株式などの有価証券の価格変動によって生じた、
投資元本の値上がり益(値下がり損)をいう。
⇔インカム・ゲイン
給付現価
将来発生する給付総額の現時点における価額(将来にわたって毎年発生する給付をそれぞれ
現時点の価値に割引く計算を行い、合算した価額)。
給付減額
確定給付型年金において、加入者や受給者の年金給付水準を引き下げること。厚生年金基金
および確定給付企業年金では、給付設計の変更にあたっては、給付水準が下がらないことを原
則としているが、労使の合意、既得権・期待権への配慮など、ある一定の要件を満たしている
ことを条件に、給付減額が認められている。
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給付現価交付金
厚生年金基金に対して政府から支給される交付金(平成18年度以降)。最低責任準備金が
過去期間代行給付現価の 1/2 を下回った場合、過去期間代行給付現価の 1/2 と最低責任準備金
との差額のうち 1/5 が交付される。また、最低責任準備金が過去期間代行給付現価の 1/4 を下
回った場合は、過去期間代行給付現価の 1/2 と最低責任準備金との差額が一括して交付される。
給付シェア
基金が年金等給付を行う際の各運用機関の負担割合のこと。
給付専用ファンド
年金給付に必要な流動性資金を一元的に管理するために、各運用ファンドとは別に設定した
資金デリバリー用のファンド。従来の方法では、掛金の入金や年金給付などが発生するつど、
各運用機関の運用ファンドで資金の出入りが発生し、長期運用を前提としている年金資産にと
って運用効率が妨げられていたために、開発された商品。
給与現価
従業員が将来にわたって受け取る給与総額の現時点における価額(将来にわたって毎年発生
する給与をそれぞれ現時点の価値に割引く計算を行い、合算した価額)。
強行規定
当事者の意思によって異なる法律効果を生じさせることができない法規ないし規定をいう。
例えば法律のある条項が強行規定である場合、当事者がこれと異なる契約をしたとしても無効
となる。公の秩序に関する法規は一般的に強行規定であることが多いが、具体的には個々の規
定の趣旨等に照らし判断される。
⇔任意規定
共済型
加算型、代行型とともに、厚生年金基金の給付形態による区分の1つ。旧共済組合の年金制
度に類似した給付設計であるところから共済型と呼ばれている。この給付設計は、給付額の計
算の基礎として、企業独自の設計による最終給与あるいは最終の一定期間の平均給与を用いて
代行部分とプラスアルファ部分を一体として算定することから、融合型とも呼ばれている。
関連語:加算型、代行型
共分散
共分散は、2つの資産(銘柄)の共変動性を表す尺度で、それぞれの収益率の期待値からの
差の積の平均として計算される。共分散も分散と同様2つの資産の平均からの乖離を掛け合わ
せているため単位は%の2乗となり無名数の指標である。プラスの値とプラスの値の積はプラ
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ス、マイナスの値とマイナスの値の積もプラスなので、同一方向に変化する傾向のある2つの
資産間では共分散の値が正となり、逆であれば負の値となる。共分散は、異なる資産の間の共
変動性が正か負かを表すのに便利であるが、共変動性の大きさを相対的に比較するのは困難で
ある。そこでそのような問題を回避するため、共分散をそれぞれの標準偏差で割って標準化し
た相関係数が一般的に用いられる。相関係数はその計算定義から-1から+1までの値で2つ
の資産の共変動性を相対的に比較することができる。
業務委託報酬
事業主(法人)及び基金が業務の一部を運用機関等に委託した場合に支払う報酬のこと。業
務委託の形態はⅠ(A)型、Ⅰ(B)型、Ⅱ型の3種類があり、委託形態別、給付形態別に「基
礎報酬(定額部分+加入員数比例部分)+変動報酬(加入員数比例部分+年金受給者数比例部
分)」という報酬体系がとられている。
関連語:固有報酬、信託報酬
許容繰越不足金
厚生年金基金および確定給付企業年金が決算時に行う継続基準の財政検証における基準額
のこと。保有資産額が責任準備金に対して一定水準以上下回った場合に、掛金を再計算する必
要があるが、この「一定水準」のことを示す。不足金(責任準備金 - 許容繰越不足金)を超
えた場合には、変更計算(厚生年金基金)、財政再計算(確定給付企業年金)を実施する必要
がある。
記録関連業務
確定拠出年金制度の実施にあたり、運営管理機関が行う業務のうち、加入者の個人別資産残
高の記録・管理・提供、加入者からの運用指示のとりまとめ、加入者からの受け取り申請の受
け付け、受給権の裁定などを行う業務のことをいう。 また、レコードキーピングともいい、
システム整備に多額の投資が必要なことから、金融機関は共同でレコードキーピング専門の会
社を設立している。
関連語:運営管理機関、レコードキーパー
金額加重収益率
年金資産の運用成果を評価する評価基準の一つ。内部収益率(IRR:Internal
Rate
of
Return)とも呼ばれ、期初の元本と期中に追加されたキャッシュ・フローを全て収益率(R)
で運用したものが期末の時価総額となるとき、この収益率(R)を金額加重収益率という。こ
の収益率は、キャッシュ・フローも含めたファンド全体の収益率を測定するのに適している。
しかし、金額加重収益率はキャッシュ・フローとそのタイミングの影響を排除できないため、
計算効果が本来の運用能力とは違ったものとして計算されることがあるため、キャッシュ・フ
ローの裁量権を持たないファンド・マネジャーの評価には適さない。
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計算式は次のとおり。
金額加重収益率(内部収益率)
Vn = V0 ×(1+rtn)+ΣCi×(1+r)tn-ti
r:金額加重収益率
V0 :期初の元本
Vn :期末時価総額
Ci:期中に発生するキャッシュ・フロー(流入はプラス、流出はマイナス)
ti:キャッシュ・フローの発生時点
tn: 期間全体の長さ
関連語:時間加重収益率
銀行勘定貸し
信託銀行が信託勘定で生じた余裕金を銀行勘定を用いて短期運用を行うこと。信託銀行は、
信託を受けた顧客の財産である「信託勘定」と顧客の預金取引や融資取引などを行う「銀行勘
定」があり、信託勘定において余裕金が発生した場合、銀行勘定に対して一時的にそこで短期
運用を行うことを銀行勘定貸しという。
勤務費用
企業会計の退職給付会計上、企業の損益計算書に費用計上される「退職給付費用」の計算要
素のひとつ。当期分の労働の対価として発生した退職給付の現在価値のこと。
金融持ち株会社
一つまたは複数の銀行、証券、保険その他非銀行子会社を傘下におさめることを目的として
設立された持ち株会社。自らは金融サービス業務を直接営むことはなく、純粋な持ち株会社と
してのみ機能し、グループ全体の政策立案・調整を実施する。
-く-
クーポン
クーポンとは、債券の券面に付属して、あらかじめ定められた期日(利払期日)ごとに支払
われる利息債権を示す無記名証券。このクーポンを持つ債券を利付債、持たない債券を割引債
という。たとえば、クーポン5%の債券とは、額面 100 円に対して年間5円の利息が償還まで
確実に入ってくるということ。
関連語:利付債、割引債
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クオンツ運用(システム運用)
企業業績やマクロ経済指標などのヒストリカルデータを計量分析することにより、投資価値
や投資タイミングを判断し、ベンチマークを上回る超過収益の確保を狙った資産運用の手法の
ことである。計量分析にあたっては、コンピューターを駆使し回帰分析等の統計処理による計
量モデルを用いることが通例である。システム運用と同義で用いられることが多い。
クラスアクション(集合代表訴訟)
共通点を持つ一定範囲の人々(class)を代表して、一人または数名の者が、全員のために、
原告として訴えまたは被告として訴えられるという米国の訴訟形態のことをさす。判決の効力
は、メンバーとされた者が当該訴訟からの除外の申し出をしない限り、勝訴でも敗訴でも class
のメンバー全員に及ぶ。証券取引違反や独占禁止法違反による損害賠償を求める訴訟のほか、
人種差別差し止め訴訟等でも利用される。
グラフ分析
資産と負債が時系列でみてどのような確率分布をもって増加していくのかをビジュアル(視
覚的)に表現した分析手法。これを用いることにより、事業主(法人)及び基金が直面するリ
スクである積立不足のリスクが明快になる。グラフ分析は、資産と負債との関係を視覚的に把
握できることが特徴である。
グループ区分
画一的な給付設計が困難な場合に、同一の厚生年金基金または確定給付企業年金内において、
給付設計を異にするグループの区分を設けること。
画一的な給付設計が困難な場合とは、企業の労働協約、就業規則、給与規程、退職金規程等
により、定年年齢、給与、退職金等の労働条件に差異がある場合等が考えられる。
総合型の厚生年金基金については、企業別によるグループ区分を原則とするが、各企業の労
働協約、就業規則、給与規程、退職金規程等に照らして、加入者の労働条件の類似性が客観的
に認められる場合には、企業別によらない区分を設けることもできる。
グロース運用(成長株投資)
企業収益の成長性等に主眼をおいて選定された株式を投資対象とする運用手法のことで、成
長株投資ともいう。製品競争力、商品開発力、業態等からみて、当該株式発行会社の一株当た
り利益が伸びると予想される銘柄に投資する運用手法である。
グロース株で構成された投資信託をグロース株ファンドという。
⇔バリュー運用(割安株投資)
クローゼット・インデックス・ファンド
同じようなスタイルのアクティブ・マネジャーを多数採用すると、各アクティブ・マネジャ
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ーがおのおの分散投資を行った結果、事業主(法人)及び基金全体のポートフォリオが、イン
デックス・ファンド(パッシブ・ファンド)と同じような構成になってしまう状態のことをい
う。その結果、非常にコストの高いインデックス・ファンドが形成されてしまうことがある。
グローバル・カストディ
事業主(法人)及び基金が国際分散投資を行う場合、世界各国における有価証券の保管・管
理を一元的に提供するサービス。事業主等の窓口となるカストディ(メイン・カストディ)が
構築した世界各国を網羅したカストディ網(サブ・カストディアン)によって、国際分散投資
を行う事業主等に対して、外国市場での有価証券の決済及び保管・管理を行うサービスを一括
して提供する。
関連語:カストディ、カストディアン
クロス取引
株式の大量売買の処理方法の一つ。証券会社が同時期・同一銘柄について、同量・同値の売
り注文と買い注文を一つにまとめて売買を成立させるもので、機関投資家などからの注文にお
いて行われる。この取引を行うことによって、市場インパクトを抑える等のメリットがある。
クロス売買
⇒クロス取引
-け-
継続基準
厚生年金基金および確定給付企業年金が決算時に行う財政検証基準の1つ。企業年金が今後
とも存続するという前提の下で、保有資産額が将来にわたり財政の均衡を保つために必要な責
任準備金に見合って保有されているかどうかを検証する。保有資産額が責任準備金に満たなく、
かつ、不足金が許容繰越不足金を超えた場合には、変更計算(厚生年金基金)
・財政再計算(確
定給付企業年金)を行い、掛金率の見直しを行う必要がある。ただし、決算において継続基準
を満たさなかったとしても、財政再計算を行う厚生年金基金については、変更計算を行う必要
はない。
契約型投資信託
契約型投資信託とは、委託会社(運用機関)と受託銀行の間の信託契約に基づいて信託され
た財産の受益権を投資家が購入する形態の投資信託であり、日本の投資信託の主流となってい
る。
関連語:(証券)投資信託、会社型投資信託
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契約法理
契約法理とは、英米法において、信託法理に対置されるものとして、「契約当事者は対等の
関係にあり、各々が自己の利益を追求することが許されている関係」を前提とした法理のこと。
道徳的・倫理的要素よりも当事者間の合意が重視され、当事者間で合意した契約を破棄した場
合には損害賠償が請求され得る。逆に言えば、自己の利益追求に有利であれば契約に定める違
約金を支払った上で契約を破棄することも法律的には許される。
関連語:信託法理、フィデューシャリー・デューティ
ゲート・キーパー
ヘッジファンド投資の仲介、ファンド分析などの業務を行う。または、ファンドオブファン
ズを運営するマネージャーのこと。その場合は、各ヘッジファンドの分析・選別、最適な資産
配分の決定、運用のモニタリング等を行う。
関連語:ファンド・オブ・ファンズ
決算
→財政決算
参照
現価(=現在価値)
将来支給する年金額や一時金額、または将来収入として入ってくる掛金額の「現在時点にお
ける価額」のこと。基本的には、割引率による割引計算で算出するが、企業年金では死亡率、
脱退率等も現価計算に必要な場合がある。
原始数理債務
厚生年金基金において、給付現価と特例掛金収入現価の合計額から標準掛金収入現価および
政府負担金現価を控除したもの。なお、この原始数理債務から代行部分過去給付現価を控除し
たものが数理債務である。
原始数理債務=給付現価+特例掛金収入現価
-標準掛金収入現価-政府負担金現価
=代行部分過去給付現価+数理債務
現金主義会計
現金主義とは、現金の収支により費用と収益を計上すること。発生主義会計以前の会計では
よく使われていたが信用取引が発達し、現金の収支と物の消費のタイミングが一致しなくなっ
たことから、企業の努力と成果をきちんと表示することができなくなったため徐々に発生主義
に変わられつつある。
⇔発生主義会計
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現代投資理論
ポートフォリオの選択や資産運用に関連した問題を取り扱う理論体系もしくは理論の総称
で、英文名の Modern Portfolio Theory をもとに MPT とも呼ばれる。H.Markowitz(ハリー・
マコーヴィッツ)が提唱した不確実な状況下での証券選択問題を、収益率の期待値とリスク(標
準偏差で表す)をパラメータとする期待効用という概念を導入して、それを最大化する問題と
して定式化したことに始まるといわれている。W.Sharpe(ウイリアム・シャープ)等によって
考え出された CAPM(Capital
Asset
Pricing Model=資本資産評価モデル)や S.Ross(ス
テファン・ロス)の APT(Arbitrage Pricing Model=裁定価格理論)が有名である。
現地決済方式
外国有価証券の売買において、信託銀行(特金信託の場合を含む)等が現地(海外)にある
証券会社と直接外国証券の売買を行い、契約した現地保管機関(カストディアン)を通じ、約
定を行った現地の証券会社と売買代金の決済および現物の授受を行う方式。現地での証券の保
管は信託銀行等の名義で現地保管機関が行う。
関連語:カストディ
⇔預り証方式
現物移管
年金信託のシェア変更等に際して、現金ではなく株式、債券等の有価証券現物のまま行われ
る資産の移管方法。現物移管を行うことにより、売買手数料の削減やマーケット・インパクトを
回避できるというメリットがある。
基金と信託銀行間で締結する信託契約については、金銭信託とする要件が従来は課せられて
いたが、年金信託契約と年金指定単契約については、厚生年金基金令の改正により2000年
6月からそれぞれ金銭信託の要件が撤廃された(これにより現物移管が可能となった)。
なお、現物移管については、事業主(法人)及び基金が信託銀行に対して単独運用(直投)
で委託している場合だけに限り、合同運用で委託している場合には現物移管はできないことと
されている。
単独運用(直投)の場合は、株式、債券等の持分が事業主等ごとに明確に区分されているのに
対して、合同運用の場合は、事業主等と契約した信託銀行は「受益権」を持っているに過ぎず、
株式や債券等の現物を直接保有しているわけではないため、事業主等ごとにその現物資産の持
分が明確に区分されていないこと等がその理由である。
権利義務の移転・承継
企業年金の間で、加入者記録および年金原資の移受換により、年金に関する権利義務を
移転・承継すること。
29
-こ-
厚生年金基金
適格退職年金とならび、わが国の企業年金制度の中核をなしてきた企業年金制度。
厚生年金保険法等に定められた要件を満たし、設立認可を受けることで、企業が拠出する掛
金は全額損金に、また、加入員の掛金は社会保険料控除になるなど、公的年金と同様の税制上
の優遇措置が認められる制度として 1966 年に発足した。
制度の仕組みは、企業が「基金」という特別法人を設立し、その基金が主体となって制度を
運営・管理する。
また、年金給付については、厚生年金の一部を国に代わって支給する「代行部分」に一定水
準以上の上乗せ(プラスアルファ部分)を行うほか、プラスアルファ部分の一定割合以上につ
いて終身年金が義務付けられるなど、手厚い老後所得を保障する制度。
公的年金等控除
年金に対する税制控除の1つで、公的年金や一定の企業年金などが対象となる。
これらの年金所得から公的年金等控除を差し引き、さらに老年者控除や配偶者控除、扶養控
除など該当する各種所得控除を差し引いた残りの額が課税の対象になる。公的年金等控除は定
められた計算式に基づいて算出され、定額控除と定率控除の2つがある。公的年金等控除の控
除額は受給者の年齢、収入額によって異なるが、65歳以上は給与所得控除に比べると高いも
のとなっている。
合同運用
複数の契約の資金を同一の勘定でまとめて運用する手法。生命保険会社の商品では一般勘定、
特別勘定第1特約が、信託銀行では年金信託や年金指定単の年金投資基金信託(年投口)がこ
れにあたる。合同運用では、各契約ごとの資金は少額であってもこれをまとめて相当の規模で
運用するため、多数の資産や銘柄に投資することができ、リスク分散が可能となるというメリ
ットがある。
合同口
事業主(法人)及び基金の資産運用は、信託銀行や生命保険、投資顧問会社に運用を委託する
方法と事業主等自らが行うインハウス(自家)運用がある。このうち信託銀行と生命保険会社
に運用を委託する場合には、複数の事業主等の資産を合同で運用する仕組みがあり、この合同
運用の資産の受け皿となるのが合同口である。
信託銀行の合同口(正式には「年金投資基金信託」という。)には、株式や債券といった価格
変動のある資産を運用対象とする基準価格制年投口、具体的には、公社債口、株式口、外貨建証
券口、短期公社債口の4つと、原則として価格変動のない資産を運用対象とする積数制年投口、
具体的には貸付金口、動産信託受益権口、不動産信託受益権口、金銭債権信託受益権口の4つ
がある。
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生命保険会社の合同口には特別勘定第一特約があり、複数の資産、例えば、株式、債券、外国
株式等をまとめて運用する「総合口」と株式だけといった一つの資産のみで運用している「投
資対象別口」
(株式口、公社債口等)の2種類の合同口がある。
なお、特別勘定第一特約は、各事業主等の持分を管理する仕組みとして「ユニット価格方式」
という方式を用いており、ユニット価格は各口の単位あたりの時価を示すもので、各口の時価
総額を総ユニット口数で除して求めることができる。
関連語:基準価格
効率的な市場
すべての証券の価格が入手可能なすべての情報を反映して成立している場合、「市場は効率
的である」という。効率的な市場のもとでは、証券価格は新しい情報に対してすばやく反応し
てしまうので、投資家は証券の取引により市場平均(市場ベンチマーク)のリターンを上回る
収益(つまり超過収益ないしはアクティブ・リターン。アルファ・リターンともいう)を持続
的に得ることはできない。市場が効率的であるためには、多くの投資家が存在して、すべての
投資家が情報を入手することができ、取引コストなしに証券を取引できることが条件である。
効率的フロンティア(有効フロンティア)
有効フロンティアともいう。複数の資産を、同じリターンならリスクの最も小さいもの、同
じリスクならリターンの最も高いものとなるように最も効率的に組み合わせたものを、X軸
(横軸)にリスク、Y軸(縦軸)にリターンをとったグラフ上に描いた曲線。この曲線が左上
方にあるほどリスクが低く、リターンが高くなり、より効率的な投資ができることになる。
高利回り債
⇒ジャンク債
コーポレート・アクション
社債、株式等有価証券の配当、株式分割、株主割当増資、第三者割当増資、会社合併等とい
った、有価証券発行企業の財務上の意思決定をいう。これらは、有価証券の価値(株数、価格
等)に影響を及ぼすことから、資産管理機関は適切に情報収集等の管理業務を行うことが求め
られる。
小型株
東証一部銘柄のうち、時価総額と流動性によって区別された大型株・中型株の分類に含まれ
ない全銘柄(TOPIX Small の算出対象)を小型株と呼ぶ。小型株は、大型株に比べて価格変動
が大きい傾向がある。
国民年金基金
自営業者などの国民年金の第1号被保険者が国民年金の上乗せ給付制度として任意に加入で
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きる制度として、平成3年に創設された公的な制度。職業別に設立される「職能型基金」と各
都道府県別に設立される「地域型基金」がある。
給付は、基本給付、ボーナス給付及び各基金の独自給付で構成されている。
基本給付は、一口目は年金月額が3万円で、2つあるタイプの中から各加入者が自らの希望
により選択し、2口目以降は年金月額が1万円で、5つあるタイプの中から選択する。
掛金は、選択した年金と加入時の年齢によって決まり、月額 68,000 円まで拠出できる。この
掛金は全額社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税が軽減される。 所得が高い人が利
用すれば節税効果が大きい制度。
関連語:国民年金基金連合会
国民年金基金連合会
各国民年金基金が共同で設立した公法人。国民年金基金を途中でやめた人や解散基金の加入員
に対する年金原資を一元的に管理するほか、遺族一時金の給付、国民年金基金の資産の運用等
を行っている。また、国民年金基金連合会は、確定拠出年金制度おける個人型年金制度の実施
主体となっており、規約作成、加入申し込みの確認などの業務を行っている。
関連語:国民年金基金
個人型年金(個人型確定拠出年金)
国民年金基金連合会が主体となって実施、第1号被保険者で国民年金の保険料を満額納めて
いる人や、60歳未満の厚生年金保険の被保険者で、厚生年金基金、適格退職年金、企業型年
金等の加入対象で無い人が対象となる。公務員と専業主婦は加入できない。加入するかしない
かの意思決定、掛金額の設定、加入後の拠出継続・停止の判断、拠出額の変更等は加入者自身
が自分の判断で行う。企業年金が無い企業の従業員の拠出限度額は、年間
21 万 6000 円(毎
月1万 8000 円)、自営業者の拠出限度額は年間 81 万 6000 円(毎月6万 8000 円、年間・月間
とも国民年金基金の掛金も記載限度額に含まれる)となっている。)
拠 出 限 度 額 (年額)
企業年金がない企業の従業員 21万6千円
自 営 業 者
81万6千円
関連語:確定拠出年金法、個人型年金(個人型確定拠出年金)
個人型年金運用指図者
個人型の確定拠出年金において、掛金の拠出を行わず、運用の指図のみを行う人を個人型運
用指図者という。60歳になり加入者でなくなった人、企業年金制度(厚生年金基金・確定給
付企業年金)のある企業に勤めた人等が個人型運用指図者となる。
個人別管理資産
確定拠出年金で加入者個人の年金積立金につけられた名称。
32
具体的には確定拠出年金の加入者および運用指図者が積立、運用する資産のことをいい、個
人別管理資産がなくなると老齢給付は終了する。確定拠出年金では、個人ごとに年金資産が管
理されることが、従来の年金制度と大きく異なる特徴。
コモン・ロー
普通法とも呼ばれ、エクイティ(衡平法)と対比される英米法系に属する判例法。英国にお
いて中世より国王裁判所(後にコモン・ロー裁判所)によって各地のゲルマンの慣習を基礎に
して国内の共通の法として歴史的に集積されてきた法体系。
関連語:エクイティ
固有報酬
信託銀行が受託した年金資産の管理・運用の対価として支払われる報酬。固有報酬は一般的
に残高逓減方式がとられ、信託財産から引き落とされる。
関連語:業務委託報酬、信託報酬
コントリビューション・ホリディ
⇒掛金の休日
コンプライアンス
運用機関等の組織内における法令等の遵守やリスク管理に関する内部的ルールないしはそ
の体制を指す。金融監督庁による「法令等遵守態勢の確認検査用チェックリスト」によれば、
①経営の最重要課題の一つとして、コンプライアンスを位置づけるとともに、その実践に係る
基本方針・遵守基準は、具体的な行動指針や基準を示すものとして取締役会において策定し、
その内容を役職員に周知徹底させ、②具体的な実践計画(コンプライアンス・プログラム)を
策定し、その進捗状況や達成状況をフォローアップすること等が規定されている。
【さ行】
-さ-
サービサー
「特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律」上、特定目的会社(SPC)は特定
資産(不動産、貸付債権、リース・クレジット債権等)を流動化するための単なる「器」にす
ぎず、自らは不動産の開発・再開発、賃料・地代の収受等の資産の運営・管理を行うことがで
きない。そのため、第三者に資産の運営・管理・処分の業務を委託することが義務づけられて
いる。このような業務委託を受ける第三者をサービサーという。
33
サープラス
資産額から負債額を引いた剰余金のことである。このときの負債は、一般的に割引率が市場
の実勢に応じて変動するため金利水準によって変化するものを想定する。具体的には、新会計
基準(退職給付会計)および非継続基準にもとづいた負債が挙げられる。
「年金資産-(数理債務-未償却過去勤務債務残高)」で定義され、毎期決算ごとに財政検証
により把握される。
再委任
運用機関が事業主(法人)及び基金から委任された有価証券の価値等の分析に基づく投資判
断等の権限の全部又は一部を他の運用機関に再び委任することをいう。資産運用の高度化や専
門分化等に伴い再委任を行うケースが増加しているが、責任の所在が曖昧にならないよう事業
主等と再委任元の運用機関の間で明確化しておくことが必要になる。なお、投資顧問業法につ
いては1998年の改正により再委任に関する規定が整備されたが、再委任先の業務の運営に
関する業務改善命令も、金融庁が再委任元の投資顧問業者に対して行うことができるなどの規
定(投資顧問業法第37条、第39条)が設けられている。
財政運営
将来にわたって財政の均衡が保たれるように、決算を基にして、財政検証を行い、必要に応
じて適切な措置を実施し、財政の健全性を保つこと。
財政運営基準
企業年金が財政運営を行う際に、準拠するルール。厚生年金基金は厚生年金基金財政運営基
準、確定給付企業年金は確定給付企業年金法の政省令・通知等に、それぞれ基づき運営されて
いる。
財政決算(=決算)
厚生年金基金および確定給付企業年金の財政運営に支障がないかを検証するために、毎年度
末に、基礎率を見直さず予測と実績の乖離を検証し、掛金の見直しの要否を判定する。決算に
おける財政検証で基準を満たさなかった場合には変更計算(厚生年金基金)、財政再計算(確
定給付企業年金)を行って掛金を再算定する。
厚生労働大臣に提出する決算に関する書類は、厚生年金基金の場合には、代議員会の議決を
得た上で事業年度終了後 6 ヶ月以内に、確定給付企業年金の場合には、事業年度終了後 4 ヶ月
以内に、それぞれ提出する。
財政検証
厚生年金基金および確定給付企業年金の財政運営に支障がないかをチェックする検証であ
る。財政検証で基準を満たさなかった場合には変更計算等を行って掛金を見直しする。財政検
34
証には、
「継続基準の財政検証」、
「非継続基準の財政検証」
、
「積立上限額に係る財政検証」の 3
つがある。
財政再計算
厚生年金基金においては、5 年ごと(初回は 3 年後)に、基礎率の見直しを行った上で掛金
を再計算すること。
確定給付企業年金においては、少なくとも 5 年ごとに基礎率の見直しを行った上で掛金を再
計算することと、給付設計の変更、加入者数の大幅な変動、継続基準への抵触等に伴い掛金を
再計算すること。
厚生年金基金の財政再計算報告書は、代議員会の承認を得た上で基準日の翌日から起算して
8 ヶ月以内に提出する。
確定給付企業年金の財政再計算報告書については、掛金に係る規約変更を要する場合は、規
約変更の認可(承認)申請書または届書に併せて提出する一方、規約変更を要しない場合は、
翌事業年度の決算報告書に添付して提出する。
財政方式
年金制度において、将来的に支給することとなる年金や一時金などの財源をどのように準備
するか、そして掛金をどのように定め、積立を行っていくかという手法。
→賦課方式
参照
→事前積立方式
参照
最低責任準備金
厚生年金基金は厚生年金保険の給付の一部を代行しており、国に代わって代行給付を行う。
仮に厚生年金基金が解散した際には、代行給付の支給を企業年金連合会に移転することになる
が、その際に企業年金連合会が徴収する金額のことを最低責任準備金という。最低責任準備金
は厚生年金基金が代行返上する際には国へ返還される金額ともなっている。
最低積立基準額
厚生年金基金および確定給付企業年金の非継続基準の財政検証において用いられるもので、
これまでの加入期間に応じて発生したとみなされる給付(最低保全給付)を確保するために必
要な積立額である。純資産額が最低積立基準額(平成 18 年度決算までは最低積立基準額の 0.9
倍)を下回り、かつ、経過措置に該当しなければ、非継続基準上不健全な財政状態と判断され、
積立水準の回復計画を策定するか、積立比率に応じて必要な掛金を設定し、徴収する必要があ
る。
最低保全給付
万一、厚生年金基金または確定給付企業年金が基準日に解散した場合、過去の加入期間に応
35
じてどれくらいの給付が発生しているのかを把握するものであり、加入員(確定給付企業年金
では加入者)・受給者・受給待期脱退者の受給権確保の観点から導入された概念である。非継
続基準の財政検証では、最低保全給付に見合う積立金(最低積立基準額)を保有しているかどう
かの検証を行う。
債務不履行
債務者が債務の本旨に従った債務の履行をしないことをいう。不法行為と並んで損害賠償責
任が生じる。債務不履行には、履行遅滞・履行不能および不完全履行の3種がある。どの場合
にも、債務者の責任が生ずるためには、債務不履行が債務者の責めに帰せられる事由に基づく
ことを必要とするが、その証明責任は債務者にあり、債務者はその責めに帰することができな
い事由に基づくことを証明しないかぎり責任を負うのが原則である。
最良執行
運用機関が有価証券の売買執行を行うにあたって、売買委託手数料や税金のみならずマーケ
ット・インパクト・コスト等の「把握しにくいコスト」を含め総取引コストを最小限に押さえ
るという義務。取引コストは運用パフォーマンスの劣化要素(ネットの運用パフォーマンスは
運用パフォーマンスから取引コストを差し引いたものであるため)であり、最良執行は受託者
責任の一部を構成する。株式の取引所集中義務の撤廃や自己勘定取引の拡大等に伴い取引チャ
ネル・手法が多様化していることに伴い、最良執行の確保の重要性が増している。
関連語:取引執行コスト
先物取引
将来の一定の時期に、特定の商品をあらかじめ合意した価格で取引する契約のことを先渡契
約といい、その中で特に反対売買が可能なように標準化されたものの取引を指す。
先物取引に必要な証拠金の額は現物の売買額に比して小さいため、少ない資金で大きな投資
効果(レバレッジ効果)を得ることができる。
運用手法としては、単純売買取引(スペキュレーション=投機的取引)、ヘッジ取引、裁定
取引(アービトラージ=異なる市場間における同一あるいは同種の商品の価格差を利用して、
無リスクあるいは最小のリスクで利益を確定する取引)の3つの方法がある。
サバイバーシップバイアス
ヘッジ・ファンドでは、途中で廃止になったり、パフォーマンスが悪いためにデータを調査
機関に提供しなくなったファンドなどが除かれ、結果的にパフォーマンスが良い、最後まで生
き残ったファンドのみで投資形態別の過去のリスク・リターン特性が計測され、実態が十分に
反映されず、過去のパフォーマンスが過大評価されてしまっているケースがある。これをサバ
イバーシップバイアスという。
関連語:ヘッジ・ファンド
36
サブ・カストディ
⇒グローバル・カストディ
関連語:カストディ、カストディアン
サムライ債(サムライ・ボンド)
外国債券(外債)のうち、非居住者により日本国内で発行され、発行時に日本円で払い込ま
れる円建て債券。利払いは外貨、償還が円のリバース・デュアル債や、利払いは円、償還が外
貨の順デュアル債などがある。日本法を準拠法とし、証券取引法に則った開示書類を作成、原
則として債券管理会社を設置する。
算術平均
年ごとの運用収益率を年利ベースの平均値として算出する方法で、各期の収益率(リターン)
を単純に平均したもの。簡単に計算できるのがメリットであるが、各期の変動幅が反映されな
いというデメリットがある。たとえば、証券 A の収益率が 1 年目5%、2 年目-3%、3 年目1%、
証券 B の収益率が 0.5%、1%、1.5%である場合、算術平均はともに1%となり、収益率のぶ
れは反映されない。算術平均は、ある投資案件の期待収益率を算出する場合などに利用される。
関連語:幾何平均
-し-
シェア(変更)
シェアとは、各運用機関への掛金の配分割合(=掛金シェア)を指す場合と、事業主(法人)
及び基金が年金等給付を行う際の各運用機関の負担割合(=給付シェア)を指す場合の2つの
意味がある。1997年4月の規制の緩和を受けて、これらのシェアを事業主等の裁量で判断
し決定できるようになった。
シェア変更という場合、狭義にはこれらシェアの変更を意味するが、広義では一般的に、各
運用機関の運用委託資産残高の変更や運用機関の入れ替え(解約と新規契約)も併せて意味す
る。
ジェンセンの測度(ジェンセンのα)
パフォーマンスの評価尺度の一つで、「ジェンセンのα(アルファ)」と呼ばれている。実現
されたポートフォリオのリターンと期待リターンの差、あるいは、ポートフォリオのとったリ
スクから期待されるリターンに対する超過リターンと定義することができる。リスク尺度は、
トレーナーの測度と同じベータ(β)値を用いる。
計算式は以下のとおり。
ジェンセンの測度=(ポートフォリオのリターン)-(ポートフォリオの期待リターン)
θj = RA - { Rf+βA(RM-Rf) }
37
θj : ジェンセンのアルファ
RA : ポートフォリオの収益率
Rf : 安全資産の収益率
RM : 市場全体のポートフォリオの収益率
βA : ポートフォリオのベータ値
関連語:シャープの測度、トレーナーの測度
自家運用
⇒インハウス運用
時価評価
資産取引に関し十分な知識と情報を有する売り手と買い手が、自発的に相対取引するときの
価格をもとに行なう評価である。また、時価基準による財政運営、パフォーマンス評価を適正
に行なうためには、時価評価のみにとどまらず、発生主義による会計処理が求められる。
⇔簿価評価
時間加重収益率
運用機関の意思によってコントロールできない運用期間中のキャッシュ・フロー(事業主(法
人)及び基金の掛金や給付による資金の増減が典型)の影響を排除して、運用機関の運用能力
を評価するのに適した投資収益率の計算方法。算出方法には厳密法のほか、厳密法の近似値を
求める簡便法として、内部収益率リンク法に基づく修正ディーツ法、修正BAI法など様々な
方法がある。精度が最も高いのは厳密法であるが、日次ベースでの時価評価が必要になるなど
事務負担が大きいため簡便法が採用されることが多い。
計算式は次のとおり。
(厳密法)
V1
V2
Vn
R=
×
×・・・・・・×
V0 (V1+C1)
(Vn-1+Cn-1)
1
Tn
-1
V0:期初時価総額
Vn:期末時価総額
C1~Cn-1:期中に発生するキャッシュ・フロー(流入時はプラス、流出のときはマイナスの値)
V1~Vn-1:それぞれのキャッシュ・フロー発生直前の時価総額
Tn:測定期間の長さ
(簡便法)
(1+r1)(1+r2)・・・・・・・・・(1+rn)=(1+r)tn
r={(1+r1)(1+r2)・・・・・・・・・(1+rn)
}1/tn-1
38
r:時間加重収益率
rⅠ:単位期間iにおける内部収益率
tn:期間全体の長さ
関連語:金額加重収益率
時間分散効果
投資期間が長期間になるほど、ポートフォリオのリスクが軽減する効果のこと。時間分散効
果はリスクの定義により、その効果があるとする見方と、ないとする見方に分かれる。前者は、
リスクを年率の平均リターンの標準偏差や、一定の条件の下でのショートフォール・リスク(積
立不足になるリスク)として捉えた場合であり、後者はリスクを累積リターンの標準偏差とし
て計測した場合である。
直投(じきとう)
⇒単独運用
⇔合同運用、合同口
事業主
通常、事業主とは事業が法人組織の場合はその法人、そうでない場合はその代表者を指す。
被用者年金制度の運営に関しては、事業主は一般的に次の義務を負っている。
①届出義務
被保険者資格取得届、標準報酬月額算定基礎届、資格喪失届など。
②被保険者への通知・交付義務(標準報酬の決定・改定の通知等、年金手帳の交付など)。
③保険料の負担義務。
④保険料の納付義務。
時系列相関
共分散や相関係数は異なる2つの資産(銘柄)の共変動性を測る尺度であるが、時系列相関
は、同じ資産(銘柄)の収益率がその前後の期の収益率と何らかの関係があるかを測定したも
のである。例えば前期の株式の収益率が良好だった場合今期の株式の収益率も良好となる関係
にあれば、正の時系列相関があり、逆であれば負の時系列相関があることになる。また、コイ
ンを投げて表が出た場合、もう一度コインを投げて表が出るか裏が出るかは、はじめにコイン
の表が出たこととは関係なく、50%の確率で表か裏が出る。このような場合が系列相関のな
いケースである。有価証券の収益率も時系列相関が無いものと仮定するのが一般的である。そ
の場合、今期の収益率は前後の期の収益率とは何の関係も無く、独立に決まる。
関連語:ランダムウォーク
自行為替
外貨建証券を運用する場合、その証券を売買する際、当該取引にあたって円転や他通貨への
39
為替取引が発生するが、その為替取引を行うにあたって資産管理を行っている信託銀行(自行)
自身を相手方として行う為替取引をいう。なお、自行以外の銀行(他行)を相手方として行う
取引を他行為替という。
自己執行義務
受託者自らが信託事務を処理する必要があり、みだりに他人に信託事務を代わって行わせて
はならないという義務であり、信託における義務の一つである。しかし、運用や管理が高度化
した今日では、受託者がすべての信託事務を処理することは困難あるいは不適当な場合があり、
履行補助者(信託事務の処理に意思決定権限のない補助者)や代人(独立の所見をもって事務
を処理する者)を受託者の責任において利用することも一定の条件の下に認められている。
関連語:受託者責任
資産管理機関
確定拠出年金制度の実施にあたり、加入者の年金資産の管理や、運用管理機関がとりまとめ
た運用指示にもとづいて運用商品の売買、年金・一時金の支払いなどを行う機関。主に信託銀
行が受けもっている。
関連語:運営管理機関
資産構成
⇒アセット・ミクス
資産配分
⇒アセット・アロケーション
資産配分効果
⇒アセット・アロケーション効果
市場インデックス
⇒インデックス
市場感応度
⇒ベータ(β)値
システマティック・リスク
現代ポートフォリオ理論において、個別証券の市場全体に対する相対的なリスクのことで、
通常、ベータ値(β)として表される。投資家が分散投資を行うことによって消去可能なアン
システマティック・リスクに対して、分散することによっても消去不可能なリスクのことであ
40
り、ベンチマーク・リスク、市場関連リスクともいう。
システム運用
⇒クオンツ運用
事前積立方式
年金制度において、加入者である(勤務している)間に、年金給付に必要な原資の積立を
行う財政方式。
実現損益
実現損益とは、運用した結果、実際に得られた収益(被った損失)のこと。例えば、利息な
どの形で現金として受け取ったもの、あるいは有価証券等を売却していったん現金化した等の
場合の元本分を除いた部分をいう。評価損益や未収利息は含まない。
実施事業所
厚生年金保険に加入している会社を適用事業所といい、そのうち規約型または基金型の確定
給付企業年金に加入する適用事業所を実施事業所という。
なお、企業型確定拠出年金の場合も実施事業所という。
実務ガイドライン
金融商品の運用に関する留意点などをコンパクトにまとめたもの。連合会では、デリバティ
ブの利用に関する実務ガイドラインを定めている。
指定基金
厚生年金基金制度において、年度末の保有資産(純資産額)が最低責任準備金の 9 割を 3 事
業年度連続して下回っているため、厚生労働大臣の指定により早期の財政の健全化を図るよう
指導された基金。
指定された基金は、指定日の属する年度の翌年度を初年度とする5カ年の健全化計画を策定
し提出する。
指定年金数理人
厚生年金基金は、継続して財政の検証を行う年金数理人を個別に指定することが義務づけら
れており、その指定された数理人を指定年金数理人という。
品貸し料
⇒セキュリティーズ・レンディング
41
シニア債(Senia bond)
社債を責任財産として発行される資産担保証券「CBO」を発行する際に担保となる社債は
信用力(発行体破綻時の償還の優先順位)に応じて、信用力の高いものから、シニア債(優先
債)・メザニン債・ジュニア債(劣後債)と3つのグループに分類されている。シニア債は、
信用力は高いが、利回りは低い。
=優先債
支払保証事業
解散に至った厚生年金基金の年金資産の積立額が保証限度額を下回っている場合に、解散基
金の加入員に一定の年金給付を保証する制度で、企業年金連合会が全厚生年金基金の参加のも
とに実施している共済事業。保証限度額は、解散時責任準備金のうち、最低責任準備金の 1.3
倍とそれを上回る部分の 5 割相当との合計額となっている。
なお、この支払保証事業は、個別基金の適切なる運営と自助努力を前提としていることから、
基金運営にあたる者がその任務を怠ったと認められるとき、または基金の事業管理、執行が適
正を欠いたと認められたときには保証額の全額、また一部を減ずることができるものとされて
いる。
私募投信
私募投信とは、2名以上50名未満の少数投資家あるいは特定の機関投資家のみを対象とし
た投資信託のことであり、顧客のニーズに合致した自由な商品設計が可能であるという特色が
ある。よって、投資信託会社が私募投信を設定し、その運用に対して投資顧問が運用指図権の
外部委託(再委託)の形態を整えれば、実質的には投資顧問の合同運用と類似の運用スキーム
を作り出すことが可能となっている。これまで委託する資産規模が足かせとなっていた中小の
事業主等にとっては、投資顧問による合同運用の道が開けたことによって、売買コストの低減
や、分散投資範囲の拡大など、新たなメリットといえる。
関連語:(証券)投資信託
シミュレーション型ALM
年金債務および年金資産について、それぞれインフレ率・運用方針等の前提条件をたて、将
来にわたり複数のシミュレーションを実施するALMのことをいう。具体的なプロセスは、リ
ターンとリスクの組合せで最も効率的なものの集まりである効率的フロンティア近辺から、幾
つかのリターンとリスクを組合せ、それらに対応する複数の資産構成のポートフォリオ(ロー
リスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターン等)を選び、シミュレーション手法によっ
て、一定期間運用していった場合の資産額の将来の値を求める。これに一定の基礎率に基づい
た負債額のシナリオを重ね合わせることによって、財政運営基準上の関心事である掛金率など
の将来推移を検証する。
42
事務費掛金
厚生年金基金および確定給付企業年金において、年金支給のための掛金とは別に、事業を管
理・運営するために必要とする費用を賄うために徴収する掛金であり、事務局の役職員の給与
や諸手当、旅費、事務所経費、代議員会・理事会開催のための会議費などに充てられる。
シャープ・レシオ(シャープの測度)
一般的に、リスクとリターンはトレードオフの関係にあると考えられていることから、同じ
収益率を獲得するのに低いリスクでそれを達成する方がより優れているといえる。そこで「リ
スク1単位あたりの超過収益率」を計算することでパフォーマンスの優劣を評価しようと考え
出されたのがシャープの測度であり、この数値が高いほどパフォーマンスの効率が良いとされ
る。
(Rp-Rf)
Rp:ポートフォリオのリターン
シャープレシオ=
Rf:無リスク資産のリターン
σ(Rp)
σ(Rp):Rpの標準偏差
関連語:リスク調整後リターン、ジェンセンの測度、トレーナーの測度
社債担保証券
=CBO
ジャンク債
格付け機関によって、一定水準以下(通常は「BB格」以下)の「投機的」格付けとされた
債券。ハイ・イールド債ともいう。信用力が低いために利回りは比較的高いものの、デフォル
ト(債務不履行)の可能性が高いこと等から流動性が限られ、価格変動が大きいという性質を
有する。
収支相等の原則
年金数理の基本原則の 1 つであり、年金財政では、「収入の総額=支出の総額」と財政のバ
ランスが等しくなることを目的とする。年金制度における収入は掛金や運用収益であり、支出
は年金等の給付となる。収入や支出の総額には、将来の発生時点の異なる収入や支出を含むた
め、年金制度における収支相等の原則は、「収入総額の現在時点の価値(現在の保有資産+将
来における掛金総額の現在価値)=支出総額の現在価値」という関係が成り立つことを指す。
終身年金
被保険者が生存している限りは年金を支払うというもので、最も老後保障に適した年金とい
える。ちなみに、年金規約で決めた期間は生存する限り支払われる年金を「有期年金」といい、
一定期間生死にかかわりなく支払われる年金を「確定年金」という。有期年金は保証期間がな
43
く確定年金は保証期間があるが、一般的に確定年金を有期年金と呼ぶことが多い。
修正総合利回り
年金資産の運用成果を評価する評価基準の一つ。従来の簿価ベースの平均残高(平残)利回
りに時価の概念を導入し、総合利回りよりも更に時価をベースにした収益率。
分母の平均残高に前期末の未収収益と評価損益を加えることにより、時価ベースの収益率に
近くなるように修正された利回り計算方法で、算出が比較的容易であり、時価ベースの資産価
値の変化を把握する指標として広く普及している。しかし、修正総合利回りは、金額加重収益
率と同様の理由(キャッシュ・フローの影響を排除できない)でファンド・マネジャーの評価
には適さない。
計算式は次のとおり。
修正総合利回り(年率)=
365×100
実現損益(インカム+キャピタル)-前期未収+当期未収-前期末評価損益+当期末評価損益
期中元本(簿価)平残+前期未収+前期末評価損益
×
期中日数
総合収益
修正総合利回り=
期中平均残高
関連語:金額加重収益率
受給待期者
年金を受ける権利と金額は決定しているが、受給開始年齢に至っていない受給権者のことを
いう。年金の裁定は、退職時に行う退職時裁定と、受給開始年齢(たとえば60歳)が来てか
ら行う支給時裁定がある。退職時裁定は退職したときに受給権が確定するが、支給時裁定は受
給開始年齢になるまで受給権が確定しない。
受託者責任
一般的には、他者の信認を受けて裁量権を行使する者が負う責任と義務をいう、企業年金で
は、管理運営にかかわる者(受託者)がその任務の遂行上、当然果たすべきものとされている
責任と義務のことをいう。
受託者責任という概念は英米における信託法理から発展したものであり、一般的に忠実義
務・注意義務・自己執行義務・分別管理義務等があるとされているが、なかでも忠実義務と注
意義務の2つが重要。
「忠実義務」は加入者や受給者の利益のためだけに忠実に職務を遂行する義務で、いかなる
場合においても、受託者は年金制度の加入者や年金受給者の利益に反する行動をしてはならな
いというもの。また、「注意義務」はそれぞれの立場にふさわしい専門家(年金基金の理事や
運用機関=受託者など)がその地位や職責にふさわしい一般的な知識にもとづいて払うべき注
44
意義務(善管注意義務:善良なる管理者の注意義務)のこと。
厚生労働省で定めた「資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」においては、
(1)資産運用関係者の役割や義務、(2)運用に当たっての留意事項、(3)情報開示の重要性、な
どが規定されている。
関連語:忠実義務、注意義務、自己執行義務、信託法理、信認関係、フィデューシャリー・デ
ューティ
受託者責任ガイドライン
厚生省(当時)から1997年4月に厚生年金保険法の規定を具体化したものとして「厚生
年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」(いわゆる「受託者責任ガ
イドライン」)が通達として示された。この受託者責任ガイドラインには、①基金役員の役割
と責任、②運用機関と基金・役員との関係、③企業と基金の関係、④情報開示の重要性、等、
基金の理事が資産運用にあたって遵守すべき基本的なルールが整備されている。
その後、厚生年金基金関係者が対象であった受託者責任ガイドラインは、確定給付企業年金
法の施行に伴い、事業主(法人)及び基金、運用機関など受託機関が負うことが明確に規定さ
れた。
しかしながら、受託者責任の具体的内容は必ずしも理解し易いものではなく、また、その事
例についても、わが国では訴訟に至ることはまれであり、判例の積み重ねに期待することも難
しいのが実情である。
そこで、連合会の受託者責任研究会において、主に資産運用に関して、受託者責任の内容を
明らかにするため、1998年に「受託者責任ハンドブック(理事編)」
、2005年3月に「厚
生年金基金
受託者責任ハンドブック(理事編)<改訂版>」及び「確定給付企業年金
受託
者責任ハンドブック(事業主・理事編)」を発刊した。当ハンドブックでは、注意義務、忠実
義務、情報開示の3点に分け、受託者責任ガイドラインに沿ってそのポイントや留意点をわか
り易く解説すると共に、具体的な想定事例を取り上げて説明している。
また、受託者責任は事業主等のみならず、運用機関も負っていることから、同研究会におい
て2000年に「受託者責任ハンドブック(運用機関編)」を発刊した。このハンドブックで
は、事業主等の資産運用・資産管理プロセスを分解し、各プロセスの中で受託者責任の観点か
らみて主要な43項目を抽出し、基本的な考え方、運用機関として行うことが期待される事項
等を整理している。
関連語:エリサ(法)
ジュニア債(Junior bond)
社債を責任財産として発行される資産担保証券「CBO」を発行する際に担保となる社
債は信用力(発行体破綻時の償還の優先順位)に応じて、信用力の高いものから、シニア
債(優先債)・メザニン債・ジュニア債(劣後債)と3つのグループに分類されている。
ジュニア債は、信用力は低いが、利回りは高い。シニア債やメザニン債は投資家に販売さ
45
れることが多いが、ジュニア債は対象資産の保有者が持ちつづける場合が多い。
=劣後債
商業用モーゲージ
商業用の土地・建物を担保とした貸付けを多数集めて証券化したものをいう。米国債に比べ
利回りが高いという魅力がある反面、金利動向や景気動向によって、元本償還の進み具合等が
変動するため、将来の収益が確定しないというリスクがある。
(証券)投資信託
投資信託とは、不特定多数の投資家から集めた資金を一つにまとめ運用の専門家が証券・金
融市場などで運用し、その成果を投資家に還元する仕組みの金融商品である。
運用対象は、国内の株式、国債、社債などの公社債ばかりでなく、デリバティブ、為替市場、更
にはアジアや欧米など世界中の金融・証券市場にまで広範囲にわたっている。個人が自分の注
目する金融市場に気軽に、それほど大きな資金でなくても投資することができ、しかも、運用
を専門家に任せることができるということが、投資信託のメリットといえる。
投資信託は、運営の仕組みから契約型と会社型に、資金追加及び期日の有無でオープン・エ
ンド型とクローズ・エンド型に分けられる。
関連語:契約型投資信託、会社型投資信託
⇔私募投信
証券保管振替機構
⇒保振機構
商事信託
営業として信託が引き受けられる時にはその引受は商行為にあたり(信託法第6条)、その
ような引受を営業信託又は商事信託と呼ぶ。商事信託は信託業法もしくは金融機関ノ信託業務
ノ兼営等ニ関スル法律(兼営法)の適用を受けるため、商事信託の受託者となるにはこれらの
法令による免許が必要であり、実務上もこれらの法令による規制を受ける。これとは別に商行
為ではなく無償にて引き受けられた信託を非営業信託又は民事信託という(信託法第35条)
が、今日わが国では商事信託が圧倒的割合を占めている。
情報の非対称性
ある事柄(商品やサービス)について、その性格上、当事者間で情報知識に格差が生じてし
まう性質をいう。特に、金融取引のような専門性が高い分野においては、その商品について消
費者(投資家)が供給者(運用機関)と同程度の情報を取得し理解するのは非常に困難であり、
このような問題が生じてくる。
関連語:買手責任
46
情報比
⇒インフォメーション・レシオ
助言
有価証券の価値や投資判断に関する情報を提供すること。事業主(法人)及び基金から運用
を委託された運用機関が投資判断を行う際に外部の運用機関に助言を求める場合であるが、一
口に助言といっても実態的には多様な形態が見られる。例えば、運用判断を関係会社の投資顧
問会社が提供する助言に事実上全面的に依存する場合は実質的には再委任に類似しており、そ
の態様等に応じた責任関係の明確化等の対応を図ることが必要となる。
信託報酬
信託の引き受けに対する対価として受託者に対して支払われる報酬。
一般に年金資産の管理・運用に対する報酬である「固有報酬」と業務委託契約に関する報酬
である「業務委託報酬」に分かれている。
関連語:業務委託報酬、固有報酬
信託法理
英米法において、契約法理と対置されるものとして発展した法理を指す。信託は、財産を有
する者(委託者)が、自分以外の他人(受託者)に財産権(信託財産)の名義や管理・処分権
を帰属させ、一定の目的(信託目的)に従って、委託者本人又は他の第三者(受益者)のため
に、受託者をしてその財産権を管理・処分させる法律関係である。受託者には広範な裁量権が
与えられるが、それは委託者との信認関係に根拠を置くものである。したがって受託者の義務
については、受益者の利益を専一に考えるという忠実義務や、財産権の管理・処分にあたって
は専門家としての注意義務などが求められる。
こうした信託の特殊性に基づく法理を信託法理という。英米においては、沿革的に判例の積
み重ねにより信託法理は契約法理とは異なるものとして発展を遂げたが、今日では弁護士・医
師・会計士など専門的能力をもって広範な裁量権を行使する者についても信託法理が適用され
ている。
関連語:契約法理、受託者責任、信認関係、フィデューシャリー・デューティ
信託法リステートメント
米国において契約、信託、不法行為など判例を中心として発達した法分野について、重要な
47
判例を基に条文の形で体系化し、これに説明と例を付したものをリステートメント(原義は「再
表現」)という。リステートメントは裁判官・弁護士・学者等によって構成される民間団体で
あるアメリカ法律協会が作成する。厳密にはリステートメント自体には法的拘束力はないが、
訴訟当事者や裁判所によって引用されることが多く、実務上は大きな影響力を有する。信託に
ついては1935年、1957年、1990年と三次にわたってリステートメントが出されて
いる。
信認関係
狭義には信託における受益者と受託者の間に存在する信頼関係を指す。信託においては、受
託者は信託財産の名義移転を受けるとともに広範な管理・処分権限を有するが、これは受託者
が自らの利益を考慮せず受益者の利益を専一に考え権限を行使するとともに専門家としての
最善の注意義務を払うという信認関係があって成り立つものである。信託法理や信託受託者の
義務の根拠となる重要な概念である。
関連語:受託者責任、信託法理、フィデューシャリー・デューティ
-す-
推計誤差
将来の不確実な現象(例:資産の中長期的な期待リターンやリスク)を予測する際に、不可
避的に生じ得る読み間違いの程度や範囲をいう。現代投資理論においては、資産リターンの分
布を期待値(平均)とリスク(標準偏差)によって記述することもあり、期待リターンやリス
ク・プレミアムの推計では、過去データの平均を用いることが少なくない(ヒストリカルデー
タ方式)。この場合、過去の実績としての平均を求めるのは容易であるが、本来の平均ないし
真の平均を求めるのは、資産のリターンの変動が大きいわりに十分なデータ期間を取れないた
め困難である。
前者の推計値と後者の真の平均の差ないしその分布が推計誤差に相当する。以下、統計学上
の例を挙げる。1 から6の目が出るさいころの各目の出る確率が等しいのであれば、さいころ
の目の期待値つまり真の平均は 3.5 である。ところが、実際にさいころを振ってその平均から
目の期待値を推計してみると、さいころを 45 回振ってようやく、そのときまでのさいころの
目の平均が「3と4の間」にある確率が 95%に達する。
このように、実データからその背後にある真の平均をある程度正確に求めるには、かなり多
くのデータが必要になる。さいころの問題であれば、手間をかけて振れば問題は解決できるが、
資産のリターンのような経済事象ではそれが困難である。そこで、ビルディング・ブロック方
式等、より主観的かつ定性的な推計方式も併せて活用することが正当化されるのである。
スウィング・マネジャー
スウィング・マネジャーとは、事業主(法人)及び基金の政策アセット・ミクスを維持する
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ために、事業主等からの指示に従って資産配分の変更を実施するマネジャーのことである。事
業主等は、スウィング・マネジャーに、それぞれの資産(例えば、国内債券、国内株式、外国
債券、外国株式の4資産)をパッシブ運用で運用するバランス型運用を委託し、事業主等が、
全体の資産構成割合が政策アセット・ミクスから想定以上に乖離していると判断した場合、こ
のマネジャーにどの資産のウエイトを上げ、どの資産のウエイトを下げるのかを指示すること
で、全体の資産構成割合を政策アセット・ミクスに近づけることができる。よって、スウィン
グ・マネジャーが運用するファンドのことを、構成比調整ファンドという(補完ファンド)
。
関連語:オーバーレイ・マネジャー、補完ファンド
数理債務
厚生年金基金制度においては、プラスアルファ部分の債務のことであり、原始数理債務から
代行部分過去給付現価を控除したものである。
確定給付企業年金においては、確定給付企業年金全体の債務のことであり、給付現価と特例
掛金収入現価の合計額から標準掛金収入現価を控除したもの。
数理上掛金(率)
企業年金が年金数理の考え方に基づき、財政計算において給付を過不足なく賄うために算出
された掛金(率)。原則、規約上掛金の基礎となる。
⇒規約上掛金(率)
数理的評価
厚生年金基金および確定給付企業年金制度における資産の評価方法の一つで、中長期的な観
点から「基準収益」を設定し、それと時価ベースの収益との差額について、一定の平滑化期間
にわたって繰り延べて計上することで、時価の短期的な変動をある程度緩和しつつ、評価額を
時価にリンクさせる方式。
基準収益の取り方によって、「時価移動平均方式」「収益差平滑化方式」
「評価損益平滑化方
式」の 3 つの方式がある。
スタイル・インデックス
スタイル・インデックスとは、例えば、株式投資のスタイルであるバリュー(割安)やグロ
ース(成長)・大型株・小型株などのスタイル運用を行う場合に、その運用スタイルの目標と
なる基準指標。日本株式には4つのスタイル・インデックスがつくられている。
ストック・オプション
ストック・オプションとは、1997年の商法改正に伴い一般の株式会社で導入できること
になった制度で、一定の業績が上がったときなどに、企業が取締役または従業員に対し、自社
の株式を将来において予め設定された価格(権利行使価格という)で購入する権利を付与する
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制度のこと。株価に連動するインセンティブ(誘因)であるため、ストック・オプションを行
使して取得した株式の株価が上昇したときに売却すれば、大きな差益を市場から受けることが
できる。また、ストック・オプションには、自己株式方式と新株引受権方式の2種類がある。
ストレス・テスト
金融市場では株価の大幅な下落など通常の市場環境では考えられないような大幅な変動が
起こることがあるが、そうした不測の事態が生じた場合の損失の程度や回避策をあらかじめシ
ミュレーションしておくリスク管理手法。具体的には、発生確率が低いと見られるリスク・シ
ナリオを幾つか用意するとともに、ヒストリカルデータから同種の異常な環境下(株価低迷期
等)のものを抽出し、その発生確率や変動パターンを当該シナリオに当てはめて現状のポジシ
ョンが抱える潜在的なリスク量を計測する。
スパゲティ・チャート
複数の運用機関の一定期間のパフォーマンスを示したグラフ。もし、運用能力の高い(低い)
社があり、常に上位(下位)に位置づけられているのであれば、このグラフは振れのない横線
に近いものとなるはずだが、実際には、まるで皿に盛ったスパゲティのように、それぞれの線
が入り組み辿って行けないほどになってしまう。これは、過去の短期的な相対的順位は運用評
価には何の役にもたたないことを意味しているともいえる。
スワップ取引
同じ現在価値をもつ将来発生するキャッシュ・フローを2者間で交換する相対取引で、先渡
取引の一種である。
相場観に基づいて債券の売買と同様の効果を狙うスワップ・トレーディングや、金利リスク
や為替リスクを回避するためのヘッジ手段などとして用いられる。
-せ-
正規分布(標準偏差)
正規分布は、左右対称の釣鐘型をした確率分布で、山のピークである(平均)期待収益率と
散らばりである標準偏差の2つの情報だけで分布の特定ができる。この標準偏差の値が大きい
ほど分布の裾野が広がり、逆に標準偏差の値が小さいほど分布の裾野が狭くなる。正規分布の
特性は、期待値から左右1標準偏差の間の値となる確率が約68%、2標準偏差の間の値とな
る確率が約95%、3標準偏差の間の値となる確率が約97%となることである。将来の投資
は不確実ではあるが確率分布を仮定することにより、どのような値がどのような確率で発生す
るかを事前に想定することができる。証券投資理論では正規分布を仮定する。
政策アセット・ミクス(政策的資産構成割合)
事業主(法人)及び基金が中長期で維持すべき基本的な事業主等全体としての資産配分のこ
50
とで、(長期)基本ポートフォリオとも呼ばれる。所定の資産・負債の特性や課せられた制約
のもとで、運用目標を達成するために、事業主等が運用の基本方針(事業主等が主体的に運用
を行っていくための枠組みを設定するもので、各事業主等が成熟度、リスク許容度等個別の要
因に応じ自らの責任で策定するもの)を資産配分という形式で具現化したものである。具体的
な策定プロセスは、ALMの結果などを踏まえ、各事業主等が効率的フロンティア近辺からリ
スク許容度の大小に応じ決めることになる。あくまでも中長期的な観点から策定されるもので
あり、直近の市場動向などに安易に左右されるべきものではない。
関連語:基本ポートフォリオ
誠実運用義務
団体年金特別契約勘定特約の協定書に盛り込まれた義務である。その内容は、①生命保険会
社の運用力を信頼し、損失も含めて運用実績が全て自らに帰属する特別勘定特約の付加を選択
するという顧客の本意に従い、②生命保険会社は、特別勘定を活用する保険契約という特徴・
性格を踏まえ、③誠実に注意深く当特別勘定の適正な運営を行うことにより、④当特別勘定特
約を選択した顧客の利益を図る、とういうことを意味するとされる。
成長株投資
⇒グロース運用(成長株投資)
政府負担金
厚生年金基金は厚生年金保険の一部を代行しており、厚生年金基金において免除保険料率の
算定の基礎となった給付と厚生年金保険の代行給付との差額を調整するために、国から厚生年
金基金に交付されるものである。
生命表
一定期間におけるある人口集団の死亡と生存の状況を、死亡率や生存率、死亡数、生存数、
定常人口、平均余命などの指標を用いて一覧表にまとめたもの。
わが国では、明治 24 年~31 年の死亡状況に基づいた第1回生命表が明治 35 年に公表され
ており、現在では 5 年毎に最新のものが公表されるとともに、毎年簡易生命表が公表されてい
る。
セーフハーバー
文字どおりには「安全港」と訳される。それに従って行動する限り法令違反を問われること
がないという効果を明確化したもの。米国の「セーフハーバー・ルール」は、技術革新が活発
で規制の枠組みを一義的に定めることが困難な金融分野において、そのルールの存在によって、
法令違反を問われることがないかどうかが事前に類型して提示されるので、取引の法的安定性
が確保される。なお、セーフハーバー・ルールは、同ルールの裁判での援用も可能とされてい
51
る。
責任準備金
厚生年金基金制度および確定給付企業年金において、継続基準における財政上の負債を表し
たもので、厚生年金基金では代行部分とプラスアルファ部分に区分して算定後合算する。
算出は、厚生年金基金では、プラスアルファ部分の数理債務+最低責任準備金-補足掛金の
収入現価。確定給付企業年金は、数理債務-補足掛金の収入現価。
セキュリティーズ・レンディング
セキュリティーズ・レンディングとは、運用機関が保有している有価証券(株式並びに債券)
を証券会社等に貸付け、品貸し料を収受する行為を指す。
事業主(法人)及び基金が保有する有価証券を単にそのまま保管しているだけでは、利息や
配当といったインカム・ゲインしか得られないが、しかし、当面売却する予定のない有価証券
については、それを貸し出すことによって追加収益が得られることになり、トータル・リター
ンの向上につなげることができる。受け取った品貸し料は、予め合意した配分比率によって事
業主等と運用機関との間で配分することとなる。
セクター効果
マクロ経済分析、バリュー分析などにより、セクター(業種)間に生じる価格の不均衡を利
用し、そのウエイトを変更することで得られた効果。
絶対評価
パフォーマンス評価をする際の基準の一つ。評価をパフォーマンスの数値そのもので評価す
ること。
⇔相対評価
設立事業所
厚生年金保険に加入している会社を適用事業所といい、厚生年金基金に加入する適用事業所
を設立事業所という。なお、設立事業所の名称は基金規約の別表に記載することになっている。
善管注意義務
「善良な管理者の注意義務」の略で、受託者が事務等の管理を行う場合には、当該職業又は
地位にある人として通常要求される程度の注意義務を払うこととされている。ちなみに、民法
第644条には「受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理すべき
である」旨規定されている。年金資産の運用に関しては、信託法第20条は信託受託者の善管
注意義務を規定しており、また、投資顧問会社については、民法第644条の善管注意義務が
類推適用されると考えられている。
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関連語:注意義務、プルーデント・マン・ルール
戦術的資産配分
⇒TAA
選択一時金
企業年金制度は基本的には年金を給付する制度だが、日本では退職金制度を振り替えた制度が
多く、従業員は必ずしも年金での受け取りを希望せず、一時金での支払いを望む場合がある。こ
うしたニーズから、年金受給権を得た人について、合理的な理由に基づいて本人が希望すれば、
年金原資を一時金で受け取れるよう年金規約に定められている。これを「選択一時金」という。
-そ-
相関関係
2つの資産の収益率相互の連動性の関係をいい、相関係数(マイナス1からプラス1の範囲
で動く)によって表される。2つの資産の収益率が同じような動きを示す時は正の相関関係と
いい、逆の動きを示す時は負の相関関係(逆相関ともいう)という。また、全く関係なくバラ
バラに動く場合は、無相関という。相関係数が低い資産を組み合わせると互いにリスクが相殺
されることから、単一の資産に比べて、同じ収益率をより低いリスクで狙うことが可能になる。
総幹事会社
企業年金制度を実施する場合は、金融機関に対して資産運用や事務などを委託するが、資産
運用については複数の金融機関に委託するのが一般的。そのため、複数の金融機関を取りまと
め、各金融機関のシェアに応じて掛金を送金したり、給付の指図をする会社として、委託金融
機関の中から総幹事会社を任命することになっている。
総合収益
⇒総合利回り
総合設立
単独設立、連合設立とともに厚生年金基金の設立形態の1つ。
基金を設立しようとする企業に対し、強い指導力を持つ組織団体または当該企業で構成され
ている健康保険組合を中心に、複数の企業が共同で厚生年金基金を設立する形態をいう。
人数要件は 5,000 人以上(平成17年4月以降の新規設立)
。
なお、上記組織団体または健康保険組合の運営状況が健全かつ良好であることが必要。
関連語:単独設立、連合設立
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総合利回り
利息、配当金や売買実行により発生する損益など、簿価の変動を伴う利益と未収収益(実現
収益)のみを運用元本平均残高で除したもの。
総合利回り=(収益受入金+当期未評価損益-前期末評価損益)/元本平均残高×100(%)
相対評価
パフォーマンス評価をする際の基準の一つ。パフォ-マンスの数値そのものを評価するので
はなく、他の何かと比較評価する方法である。市場のベンチマークと比較するベンチマーク比
較、類似の目的をもったファンドと比較するユニバース比較といった方法がある。
関連語:ベンチマーク比較、ユニバース比較
⇔絶対評価
属地主義
法律の効力が及ぶ範囲が、当該法律が施行されている地域に属しているものに限定され、地
域外のものには一切効力が及ばない考え方のことをいう。
ソフトダラー
サービスとフィーが対応関係にないサービスあるいはそれを受けること。狭義のソフトダラ
ーは、運用機関が証券売買等の発注先である証券会社が提供する売買執行以外のサービス
(例:情報サービス、各種物品の提供)を売買委託手数料の中で支払う仕組みを指す。また、
広義には、事業主等の顧客が運用機関に証券売買等の発注証券会社を指定し、その売買手数料
の一部を一種の「キックバック」として使う(例:現金や事業主等の運営上必要なサービスを
対価なしで受ける)ディレクテッド・ブローカレッジを含めることがある。ソフトダラーを用
いるとその部分だけみれば「対価」が支払われていないため一見得したようにみえるが、把握
することが難しいコストを含めた執行コストの増加分が提供を受けた情報サービスや物品等
の価値を上回れば、事業主等に「損失」を与えることになる。
ソブリン格付
ソブリン格付とは、①国(政府)、②中央銀行や特殊銀行など政府から密接な支援を受けて
いる機関、および③国際機関が発行する債券に対して行われる評価のこと。
ソルベンシ―・マージン比率
ソルベンシ-・マージン比率とは、生命保険会社が大災害による保険金支払いの急増や、株
価暴落による資産価値の下落といった予測を超える事態がおきても、契約どおりに保険金が支
払える「支払余力」(ソルベンシー・マージン)を有しているかどうかを示す指標である。
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損害賠償責任
法律上の義務として、他人に与えた損害を補填する責任。損害賠償責任が生じる原因として
最も重要なものは、債務不履行と不法行為である。損害賠償の方法としては、金銭賠償が原則
であり、例外的に原状回復が認められる(例:民法第417条)。
【た行】
-た-
第一特約
生命保険会社が、企業年金資産を一般勘定から分離して特別勘定で合同運用を行う商品であ
り、一般勘定(厚生年金保険契約)に特約を付加する形態をとる。第一特約には、複数の資産
で運用する総合口と資産タイプ別の合同運用口が設定されている。どの合同運用口にどの位の
割合で投資するかについては、生命保険会社と協議して決めることになる。
公社債や株式などの価格変動に伴う運用リスクは、一般勘定とは異なり、事業主等が負担す
ることになる。
関連語:一般勘定、第二特約
代議員会
厚生年金基金及び基金型企業年金の運営方針などを決める議決機関をいう。
代議員の半数は母体企業が指名し(選定代議員)、他の半数は加入員(者)が選挙する(互選
代議員)。任期は3年以内で、年2回の定期代議員会と臨時の代議員会がある。
代議員会では、年金規約の変更、予算・決算の承認、基金の解散等を決めることとされてい
る。
関連語:理事会
代行型
加算型、共済型とともに、厚生年金基金の給付形態の1つ。国の老齢厚生年金と同じ方式の
給付設計だが、代行部分より支給率を高くして国よりも給付が厚くなるように設計されている。
加算型のように加算部分はない。老齢厚生年金と計算方法が同じため、給付設計が画一的でわ
かりやすい反面、企業の退職金を移行しづらい面がある。 なお、1975 年 8 月以降は代行型の
新規設立は認可されていない。
関連語:加算型、共済型
代行部分
厚生年金基金が国に代わって給付する部分。老齢厚生年金の報酬比例部分のうち賃金の再評
価分と物価スライド分を除いた部分について代行することとなっている。厚生年金基金に加入
していた人の場合、受給時に代行部分相当額は基金から給付され、残りは国から受け取ること
55
になる。企業は代行部分に関する保険料を納める義務を国から免除される(免除保険料)代わ
りに、年金を給付する義務を国から請け負うことになる。
代行給付の予定利率は長らく年 5.5%に固定され、運用環境が悪化した 1990 年代は厚生年金
基金の財政悪化の一因となった。なお、平成 17 年度からの予定利率は 3.2%となっている。
代行部分過去給付現価
厚生年金基金において、決算時点までに発生したと考えられる代行部分の給付現価(政府負
担金を除く)。代行部分の総給付現価(政府負担金を除く)から代行部分の将来期間に係る給
付現価を控除したものであり、財政決算においてプラスアルファ部分の債務である数理債務を
算定する際に必要となる額である。
代行部分過去給付現価=代行部分の総給付現価(政府負担金を除く)
-代行部分の将来期間に係る給付現価
数理債務=原始数理債務-代行部分過去給付現価
代行返上
厚生年金基金は老齢厚生年金の給付の一部を代行しているが、この代行部分を政府に返上し、
同時にプラスアルファ部分を確定給付企業年金へ移行することが、平成14年4月1日に施行
された確定給付企業年金法によって可能になった。
厚生年金基金から基金型、または規約型の確定給付企業年金へ移行する場合は、厚生年金基
金は解散または消滅したものとみなされ、代行部分の過去期間分にかかわる積立金(最低責任
準備金相当額)を政府へ返上することで、代行給付の支給義務を免れる。
代行保険料率
厚生年金基金制度において、免除保険料率決定の基礎となる保険料率。
→免除保険料率
参照
退職給付会計
退職給付に係る企業会計基準の1つ。
退職給付会計では、退職給付の支給方法や積立方法の違いに関係なく、一定期間の労働対価
等の事由に基づき、企業が将来負担すべき退職給付額のうち、期末までに発生した将来の退職
給付の現価相当額を「退職給付債務」として認識する。退職給付制度において、退職給付債務
に対する積立不足を「退職給付引当金」として、母体企業の貸借対照表に負債計上する。同時
に、当期に発生した費用を「退職給付費用」として、母体企業の損益計算書に費用計上する。
退職給付債務
退職給付債務とは、一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後
に従業員に支給される給付のうち、認識時点までに発生しているものをいい、割引計算により
56
計算される。つまり、一定期間の労働対価等の事由に基づき、企業が将来負担すべき退職給付
額のうち、期末までに発生した将来の退職給付の現価相当額である。なお、現在の会計基準で
は、退職給付債務は予測給付債務(PBO)の考えに基づいて計算される。
→予測給付債務
参照
退職給付信託
企業が保有する株式を信託契約に拠出することをいい、新しい退職給付会計の導入に伴い発
生する積立不足を圧縮するために行われるスキームで、わが国では初めてソニーが実施したの
で、「ソニー方式」とも呼ばれる。
積立不足の圧縮を行うのであれば、通常は企業が保有している持ち合い株を売ることが考え
られるが、そうするとその株を発行している企業の支配権を失うとか、市場で売られることで
株価が下がってしまうなどの問題が生じる。
そこで、将来の年金・退職金支払に使途を限定することを条件に信託契約に株を移すという
もの。退職給付信託の財産は退職給付債務から差し引くことができるので、退職給付債務を減
らすことが可能になる。
これにより、持ち合い株を事実上手放さずに積立不足を圧縮する事ができるが、株価が下が
れば株式を追加信託しなければならない。
退職給付引当金
企業年金制度の会計処理のうえで、設立企業の貸借対照表に、企業年金の積立不足として負
債計上されるもの。
退職給付債務から未認識債務等と年金資産を控除して算出する。
退職所得控除
退職所得の課税額の計算では、勤続年数に応じた金額が給付額から控除できるが、これを退
職所得控除という。
ここでいう退職所得とは、退職手当、企業年金の退職一時金(脱退一時金)と選択一時金。
なお、退職所得については、その年の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した
残額の2分の1が課税対象額となり、また、長期勤続者ほど退職所得控除も大きくなるなど、
手厚い優遇となっている。
大数の法則
年金数理の基本原則の 1 つであり、数学を用いた確率・統計的な法則である。例えば、サイ
コロを振って1の目がでる確率は、サイコロを振る回数が多くなるにつれて 1/6 に近づく。年
金制度においては、将来の掛金や給付の見込みを行う際に、勤続年数・年齢別の給与水準や、
年齢別の脱退者の発生状況等をサンプルとして数理統計的手法を用いて計算するが、その際の
信頼性を裏付けているものである。
57
第二特約
運用拡大に対応して開発された生命保険会社の商品であり、一般勘定から分離して特別勘定
で各事業主等ごとに個別に独立して運用が行われる。
資産配分について生命保険会社との協議に基づき指示することができる。
関連語:一般勘定、第一特約
滞納処分
保険料を期日までに納付しない事業主に対し行う法的な手続きをいう。
公的年金制度では、厚生年金保険法等の規定に基づいて、保険料などを期限までに納付しな
い場合には、まず、督促状を出す。
そのうえで、なおその指定期限内に納付しなければ、滞納者の財産を差し押さえて売却、保
険料に充当するなどの強制処分を行うことができる。
厚生年金基金の場合は、国税滞納処分の例にもとづく権能が与えられている。この場合、次
の順序で滞納処分を行う。
① 納付義務者である事業主の居住地、またはその者の財産所在地の市町村に対して滞納処分の
請求をする。市町村がそれを受けて、市町村民税の例によって処分した場合は、基金は当該
徴収金の 100 分の 4 に相当する額を当該市町村に交付する。
② 滞納処分の請求を当該市町村に対して行ったにもかかわらず、当該市町村が 30 日以内に処分
に着手せず、かつ 90 日以内に処分を終了しない場合は、基金はみずから滞納処分を実施する
旨、厚生労働大臣に許可申請を行う。
① 基金は厚生労働大臣、または都道府県知事から滞納処分の認可書を受け取ったとき、政府管
掌の厚生年金保険の滞納処分と同じように、国税滞納処分の例に基づいて処分する。
タクティカル・アセット・アロケーション
⇒TAA
脱退一時金(退職一時金)
企業年金制度から脱退したときに支給される一時金のことをいう。勤続期間が不足して、年
金の受給資格を得られない退職者は、退職時に年金の代わりに一時金を受けることになる。
税法上は、退職所得として扱われる。確定給付企業年金では、加入者期間が3年以上で退職
した場合、老齢給付金の受給要件を満たしてない人に脱退一時金が支給される。また、企業型
確定拠出年金では、死亡や障害の理由を除き、原則として60歳になるまで給付金を受け取る
ことができない。しかし、個人別資産が 1 万 5 千円以下の場合は、ある一定の条件を満たせば、
脱退一時金を受け取ることができる。
単独運用
運用機関が事業主(法人)及び基金から委託された資金を他の資金と分離独立して個別に、
58
債券とか株式に直接投資して運用する方法。運用スタイルに基金等独自のニーズを反映させた
い場合に有用。
=直投
⇔合同運用
単独設立
厚生年金基金の設立形態の1つで、1つの企業で厚生年金基金を設立する場合をいう。原則
として、その企業に属しているすべての適用事業所を含めて1つの基金を設立することとなる。
人数要件は 1,000 人以上(平成17年4月以降の新規設立)
。なお、厚生年金基金の設立形態
には、その他に連合設立、総合設立がある。
関連語:連合設立、総合設立
-ち-
注意義務
ある行為をするにあたって一定の注意を払うという義務であり、忠実義務と並んで受託者責
任の本質的な義務の一つである。なお、わが国は、民法で注意義務の内容としては、「自己の
財産におけると同一の注意」(第659条。無償寄託)、「善良な管理者の注意」(第644条。
委任)に分かれるが、運用機関が払うべき注意義務は後者の善管注意義務とされている。
関連語:受託者責任、善管注意義務、忠実義務
忠実義務
英米法の信託法理に由来するもので、「他人のために財産の管理・処分を任された者は、専
らその他人(受益者)の利益のために行動し、自己の利益を図ってはならない」という義務。
受託者責任の最も本質的な義務である。わが国の基金の資産運用に関する実定法上の規定とし
ては、厚生年金保険法第120条の2に厚生年金基金の理事の義務として規定され、厚生年金
保険法第136条の51に運用機関の義務が規定されている。また、確定給付企業年金法にお
いて、新たな企業年金に関する理事及び運用機関の受託者責任が同法第69条~72条に規定
されている。その他、投資顧問業法第21条および第30条の2に規定がある。また、信託法
第22条は解釈上忠実義務を定めた規定であるとされている。
関連語:受託者責任、善管注意義務、注意義務
中小企業退職共済(中退共)
中小企業の従業員のための退職金共済制度。確定給付企業年金法で適格退職年金の廃止が決
まったが、適格退職年金から中小企業退職共済(中退共)にも移行できるようになっている。
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中途脱退者
厚生年金基金や確定給付企業年金に加入している人が、その企業を短期間(原則として20
年未満)でやめた場合、企業年金の受給資格を満たさない場合がある。このように厚生年金基
金や確定給付企業年金の年金受給権を得ないで退職した人を中途脱退者という。中途脱退者は、
転職先の企業に企業年金制度があれば、そこに退職した企業の年金資産を移換することができ
る場合があり、また、転職先に移換できない場合や転職しない場合等は企業年金連合会に移換
して、将来年金を受けることもできる。
直投(ちょくとう)
⇒単独運用
-つ-
通算企業年金
厚生年金基金または確定給付企業年金の元加入者が脱退一時金相当額を企業年金連合会に
移すことにより支給される保証期間付終身年金(企業年金解散に伴う残余財産分配金も対象)。
平成 19 年 3 月時点の予定利率は 2.25%。
支給開始年齢は原則 65 歳(厚生年金と同様の経過措置あり)、保証期間内(原則、支給開始
年齢から 80 歳まで)に限り、死亡した場合には死亡一時金(支給開始前でも可)が、また、
年金に代えて一時金を希望した場合には選択一時金が支給される。
つなぎ年金
退職したときから公的年金の支給が開始されるまでの間、所得保障のために支給する企業年
金を「つなぎ年金」という。
これには、年金支給を公的年金の支給開始年齢までとするもの、②公的年金の支給開始時に
年金額を減額改定するものがある。
具体的には、①60歳定年制の会社では60歳から65歳までの5年間年金を支給する。②
退職したときから65 歳までは、公的年金の支給開始前における所得保障いった意味合いで高
く年金額を設定し、65歳以降は減額して支給するという方法もある。
積立上限額(に係る財政検証)
厚生年金基金制度では、原始数理債務または最低積立基準額のいずれか大きい額を 1.5 倍と
した額であり、確定給付企業年金制度では、数理債務または最低積立基準額のいずれか大きい
額を 1.5 倍とした額である。各事業年度の決算において、積立金が積立上限額を上回っている
場合には、上回った額を基準として掛金の控除を行う。
60
積立水準
財政的に積立てておくべき金額の基準のこと。
積立水準の回復計画
厚生年金基金が非継続基準に接触した場合、積立水率を回復させるための方法の 1 つ。該当
した事業年度の翌々事業年度から 7 年以内(平成 18 年度決算までは 10 年以内)に純資産額が
最低積立基準額(平成 18 年度決算までは最低積立基準額の 90%)または最低責任準備金の 105%
のいずれか大きい額を上回ることが見込まれるような積立計画(積立水準の回復計画)を作成
し、基準日の翌々日から 1 年以内に実施する。
(注意)
積立水準の回復計画を実施中、あるいは、純資産額が最低積立基準額の 90%以上(平成 18
年度決算までは 80%以上)かつ最低責任準備金の 105%以上であり、前 3 事業年度において、
純資産額が最低積立基準額の 100%(平成 18 年度決算までは 90%)または最低責任準備金の
105%のいずれか大きい額以上である年度が 2 年度以上ある場合には、積立水準の回復計画(掛
金の見直しを含む)を策定する必要はない。
積立比率
確定給付企業年金において、最低積立基準額に対する積立金(平成 18 年度決算までは最低
積立基準額の 90%)の割合。
積立比率の回復計画
確定給付企業年金が非継続基準に接触した場合、積立比率を回復させるための方法の 1 つ。
該当した事業年度の翌々事業年度から 7 年以内(平成 18 年度決算までは 10 年以内)に積立金
が最低積立基準額(平成 18 年度決算までは最低積立基準額の 90%)を上回ることが見込まれ
るような積立計画(積立比率の回復計画)を作成し、基準日の翌々日から 1 年以内に実施する。
(注意)
積立比率の回復計画を実施中、あるいは、積立金が最低積立基準額の 90%以上(平成 18 年度
決算までは 80%以上)であり、前 3 事業年度において、積立金が最低積立基準額の 100%(平
成 18 年度決算までは 90%)である年度が 2 年度以上ある場合には、積立比率の回復計画(掛
金の見直しを含む)を策定する必要はない。
-て-
ディスクロージャー(情報開示)
企業が一般投資家や広く世間に対して、自社の活動状況や経営内容に関する情報を公開する
こと。
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ディスクローズ資料
運用機関から四半期ごとあるいは決算時に提出される資料。市場動向や運用実績をはじめ、
運用機関の投資行動を把握する資料の一つとなる。
定性評価
運用機関の評価をする際の基準の一つ。過去の運用成績等数値や実績の評価を中心とするの
ではなく、運用機関の投資哲学や人材、意思決定プロセスなどを評価の対象とする方法。定性
評価は一般に5つのPを基準に考えるとよいといわれている。
関連語:パフォーマンス評価、5つのP、定量評価
定量評価
定量評価とは、過去の運用機関の運用実績等の数値を評価の対象とし、運用機関のパフォー
マンスを数値的に捉え、客観的にパフォーマンスの「良かった」運用機関と「悪かった」運用
機関とを比較して選別すること。
関連語:パフォーマンス評価、定性評価
適格退職年金
厚生年金基金と並ぶ従来の代表的な企業年金制度の1つで、昭和37年に発足した。略して
適年という。
企業が生命保険会社や信託銀行等、外部機関と契約し、年金原資を外部機関に積み立てるな
どの法人税法で定める一定の条件を満たし、国税庁長官に承認を受けることで、事業主が負担
する掛金は全額損金として扱われるなどの税制上の優遇措置を受けられる。退職金の原資を社
外積立によって平準化できることや、厚生年金基金に比べ少人数で設立できるメリットがあっ
た。
ただし、確定給付企業年金法の成立により、平成14年4月からの新規発足はできなくなり、
既存の制度も平成24年3月までに新制度に移行しなければならない。
関連語:適格要件、閉鎖型適格退職年金
適格要件
適格退職年金契約が有効となる税法上の要件のことをいう。法人税法施行令附則第 16 条第二
1 項で、適正な年金数理に基づく拠出と給付、不当差別の禁止、受益者保護のための給付減額
の制限、要留保額の受益者帰属等の16の要件が定められている。
関連語:適格退職年金
適用事業所
厚生年金の適用対象となる事業所のことをいう。すべての法人事業所は、事業主や従業員の
意思に関係なく強制的に厚生年金に加入しなければならない。適用事業所に勤める従業員は、
62
自動的に厚生年金の被保険者になる。
なお、5人未満の個人事業所と5人以上でもサービス業の一部や農業・漁業などの個人事業
所は、強制適用の扱いを受けない。
デフォルトリスク
デフォルト(default)=債務不履行。信用リスクともいう。発行体の経営状態の悪化、債務
不履行で、債券投資の元本・利息の不払いが起こる可能性のこと。
このリスクを判断する指標として、格付機関の評価「格付」があり、最も安全度が高いもの
を AAA(トリプル A)、低いものを D などの記号で表している。
関連語:格付機関
デュアレーション
⇒デュレーション
デュー・ディリジェンス
買主あるいは投資家が物を購入したり、投資する場合、その物や投資対象のリスクを把握する
ために当然行わなければならない調査のこと。つまり、将来の支出に関することと収入に関す
ることをいろいろな角度から検証することである。例えば、不動産投資を行う際には、不動産、
ローン(貸付金)の評価・精査を指し、このデュー・ディリジェンスの精度の高さが投資の成
否を決める場合もある。
デュレーション
債券や年金債務等において、各期のキャッシュ・フローの現在価値を比重とした加重平均残
存年数である。デュレーションが長いほど、各期のキャッシュ・フローの現在価値の総和(例:
年金債務額あるいは債券価格)の変動性が大きくなるという性質を有している。なお、金利変
動に対する価格(価額)感応度を表す場合、修正デュレーション(デュレーションを1+割引
率で割ったもの)が用いられることが多い。
デリバティブ(派生商品)
金利・為替・株価等の価格変動に基づいて行う取引やその商品をいう。その価値が金利・為
替・株価等の原資産取引の価格から派生して決まるため、派生商品(デリバティブ)と呼ばれ
る。取引形態としては、先物、オプション、スワップ等がある。もともと原資産の価格変動リ
スクのヘッジ(回避)を主な目的として登場したが、比較的小額の資金で多額の取引が行える
ことから、デリバティブ自体を対象とする投機や裁定を目的とした取引も行われている。また、
デリバティブの要素を組み入れた運用商品も開発されているが、その利用にあたっては、商品
内容や仕組みに対する十分な理解やリスク管理が必要である。
63
転換社債
⇒CB
店頭取引
店頭取引とは、日本証券業協会の定めたルールに基づいて主として個々の証券会社の店頭で、
証券会社と投資家の間で価格を決めて行われる取引のことである(これを「相対取引」という)。
なお、店頭取引売買は、日本証券業協会の登録原簿に登録されたいわゆる店頭登録企業の株式
売買の大部分を、専門業者である(株)ジャスダックに委託して売買を成立させている。
-と-
統合レポート
事業主(法人)及び基金が複数の運用機関を採用している場合において、それぞれの運用状
況等を統一した基準でレポートにまとめ提供するサービス。1997年4月より信託銀行各社
が統合レポートサービスの提供を開始、2001年4月より生命保険各社も統合レポートサー
ビスの提供を開始し、現在では、信託資産と保険資産を含めた統合レポートの提供が可能とな
っている。
投資一任契約
投資一任契約は、事業主(法人)及び基金が投資顧問会社に対して有価証券の価値の分析等
に基づく投資判断を一任するとともに、当該投資判断に基づき当該事業主等のために投資を行
うのに必要な権限を委任する内容の契約となっている。投資顧問会社による運用は、通常、各
事業主等の資金が個別に独立して運用が行われる。従来は合同運用が認められていなかったが、
2000年11月に「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律施行規則」の一部改正
がされ、法令上、合同運用が可能となった。ただし、現在のところ商品化はされていない。
関連語:合同口
投資教育
確定拠出年金制度において、資産の運用を加入者が適切に行うための情報提供など、投資に
かかわる教育を行うことをいう。確定拠出年金の場合、加入者が自己責任によって運用商品を
選択し、その運用結果によって給付額が決まる。当然、加入者は十分な情報や知識をもち、適
切な判断のもとに資産を運用しなければならない。そこで、企業型確定拠出年金では事業主に、
個人型確定拠出年金では国民年金基金連合会に、加入者に対する情報提供を通じて投資教育を
行う義務が課せられている。具体的には、次のような事項について行う。
①確定拠出年金制度の具体的な内容について
わが国の年金制度の概要、確定拠出年金の位置づけ、確定拠出年金制度の概要などについて
(加入資格、拠出限度額、運用商品の範囲、預替えの機会、給付の種類、受給要件、給付開始
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時期、受取方法、資産の移換、税制、運営管理機関と資産管理機閑の役割・行為準則、などが
含まれる)。
②金融商品の仕組みと特徴について
これには預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品などのそれぞれの性格や特徴、
種類、期待できるリターン、考えられるリスク、価格に影響を与える要因、などが含まれる。
② 資産運用の基礎知識について
これには資産を運用するときの留意点、リスクの種類と内容、リスクとリターンの関係、長
期運用の考え方とその効果、分散投資の考え方とその効果、などが含まれる。
投資顧問業者
投資家が有価証券を運用するにあたり、投資家に投資に関する情報を提供し、銘柄の選定
や売買のタイミングについて助言を行なう専門業者のこと。投資顧問業者は、投資顧問業法(有
価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律)の規定により、内閣総理大臣の登録を受ける
ことになっている。
投資顧問会社の業務内容には、投資助言業務と投資一任業務がある。前者は株の売買等につ
いての投資助言(アドバイス)のみを行なう業務であり、この場合、投資に対する最終的な判
断を下すのは投資家自身である。後者の投資一任業務は、投資家から投資判断の一任を受け、
投資顧問業者の自由裁量で運用を代行することができる業務である。投資一任業務を行なう業
者は、登録に加え、内閣総理大臣の厳重な審査に基づく認可を受ける必要がある。
投資パフォーマンス基準(IPS)
運用機関等が既存顧客および見込顧客に対して自社の運用パフォーマンスを提示する際の
基準。狭義には日本証券アナリスト協会が1999年6月に自主的なガイドライン(SAAJ
-IPS)として策定(2002年4月に日本版GIPSとして改訂)した基準を指す。その
目的は、真実に即した公正な表示と十分な開示、パフォーマンス・データの正確性と一貫性の
確保、共通の基準に基づくデータの提示を通じ、顧客をミスリードすることを避けるとともに、
運用機関間のパフォーマンスの比較可能性を高め公正な競争を促進することにある。SAAJ
-IPSは、米国のパフォーマンス報告基準(AIMR-PPS)やグローバル投資パフォー
マンス基準(GIPS)との整合性等に配慮しつつ策定されたもので、2000年4月以降、
運用機関等はこの基準に準拠表明することが可能となっている。
なお、2006年1月1日付にてSAAJ-IPSは世界共通の「グローバル投資パフォー
マンス基準(GIPS)
」に一本化された。
登録債
債券の現物を発行せずに、登録機関(銀行)の帳簿に、社債権者の住所、氏名を記載して権
利者を管理している債券を登録債という。売買等によって債券の権利者に変更が生じた場合に
は、登録名義の変更を行うことによって第三者に対して権利を主張(対抗)することができる。
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トータル・リターン
⇒総合利回り
特別掛金
厚生年金基金および確定給付企業年金制度において、過去期間分の債務に対して年金資産の
不足金を償却するための補足掛金の1つ。
標準掛金が加入者一人一人に割り当てられるのに対し、特別掛金は厚生年金基金、確定給付
企業年金全体で徴収する掛金の額を定めることができる。
特別掛金の償却期間は、未償却過去勤務債務を 3 年で償却した場合の掛金率を上回らない範
囲で、基準日から起算して 20 年以内の日とすることができる。
→補足掛金
参照
特別法人税
企業年金の年金積立金に対し、法人税法上課税される税金。
企業年金制度では掛金を拠出した時点で各従業員の年金支給額が確定していないため、実際
の給付時まで課税を繰り延べることとされている。
その遅延利息に相当するものとして、年金積立金に対して特別法人税が課税される。
厚生年金基金の場合は、国の厚生年金を代行していることから、代行部分の 3.23 倍に相当す
る額までの積立金は非課税とされ、それを超える部分に 1.173%の特別法人税が課税される。
確定給付企業年金、確定拠出年金の場合は、積立金の全額に、一律 1.173%の特別法人税が課
税される。なお、平成17年度から3年間(平成20年3月31日まで)は、特別法人税の課
税は凍結されている。
特例掛金
厚生年金基金および確定給付企業年金制度において、次回の財政再計算までの間に予想され
る積立不足を償却するための補足掛金の1つ。
→補足掛金
参照
特化型運用
事業主(法人)及び基金が特定の資産(例えば、国内株式のみ)に限定して運用機関に運用
を委託する運用スタイル。事業主等で政策アセット・ミクスやスタイル配分に関する投資政策
を定め、リスク管理の体制が整っていることが条件となる。個々の資産、スタイル別に最も優
れていると期待される特化型マネジャーを採用することで、事業主等全体の期待収益率を高め
ることができる。
関連語:バランス型運用
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トップダウン・アプローチ
経済成長率、物価、金利、為替動向等のマクロ分析からスタートして、最初に国別資産配分
や業種配分など投資の枠組みを決定し、その後個別組み入れ銘柄を決定していく運用手法。
トラッキング・エラー
アクティブ運用あるいはパッシブ運用におけるポートフォリオのベンチマークからの乖離
度合いを測るリスク尺度。通常は当該ポートフォリオのリターンとベンチマークのリターンの
差異の年率標準偏差で測定する。例えば、トラッキング・エラーが3%という場合、ポートフ
ォリオのリターンとベンチマーク・リターンの差異の分布が正規分布に従うとすれば、前者の
リターンが後者のリターンに対して±3%の範囲内で推移する確率は約68%(統計学上、1
標準偏差に収まる確率)と推計される。
=アクティブ・リスク
トランジッション・マネジメント
資産構成や運用機関等を変更する際に、多様な取引手法を活用して、変更期間中も適切な資
産構成割合を維持しつつ、取引手数料・市場インパクトなどのトータル・コストの最小化を目
的として行う一連の取引、サービス。
取引執行コスト(取引コスト)
有価証券の売買に伴って発生する費用。通常、コストとは売買委託手数料や税金等のような
「把握しやすいコスト」のみを考えがちであるが、実際の運用にあたって発生するコストには、
例えば、株式の売買の場合には、マーケット・インパクト・コスト(自らの売買により不利な
値動きが生ずるコスト)、タイミング・コスト(ファンド・マネージャーが投資判断をしてか
らトレーダーが注文を出すまでの間に値動きするコスト)、機会損失コスト(投資判断したが
約定できなかった場合のコスト)、などのコストがある。
「把握しやすいコスト」に比べ「把握
しづらいコスト」のほうがはるかに大きいという調査結果もあり、「把握しづらいコスト」を
含めた最良執行をいかに確保するかが重要となっている。
関連語:最良執行
トレードオフ
言葉そのものの意味は、あちらを立てれば、こちらが立たず、という関係をいう。
資産運用においては、まさにリターンとリスクがこの関係にあるといえる。高いリターンを
追求すれば、リスクも高くなる、つまり大きく稼ごうとすると、もうけが大きくなることもあ
るかもしれないが、損が出た場合には、その損も大きくなるということになる。逆に、慎重に
慎重を重ねた運用を行えば、損をしても小さいが、あるいは損は出ないが、もうけも小さい、
つまりリスクの低い運用では低いリターンしか得られないということである。通常、高いリタ
ーンを追求するためには高いリスクが必要だということからわかるように、リスクはリターン
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の源泉といえる。
トレーナーの測度
トレーナーの測度はパフォーマンス評価尺度の一つで、単位リスク当たりの超過収益を表す。
シャープの測度がリスク尺度にリターンのぶれの大きさ(標準偏差)を用いるのに対して、ト
レーナーの測度では、システマティック・リスクであるベータ(β)値を用いている。この数
値が高いほどパフォーマンスの効率が良いとされる。
計算式は以下のとおり。
トレーナーの測度=(ポートフォリオのリターン-無リスク資産の利子率)÷ポートフォリオのβ値
関連語:ジェンセンの測度、シャープの測度
【な行】
-な-
内需関連株
建設・不動産・通信などの、国内需要の高まりで収益が上昇する業種の銘柄をいう。広
義では、電力・小売業も含まれる。主に国内景気の回復、円高などが買い材料となる。
-に-
二重通貨建て外債
払い込み・利払い・償還に、異なる二種類の通貨が使われる債券のこと。払込みと利払いの
通貨が円で、償還の通貨が異なるデュアル・カレンシー債(二重通貨債)や、払込みと償還が
円で、利払いの通貨が異なるリバース・デュアル・カレンシー債(逆二重通貨債)などがある。
任意規定
当事者の意思によって異なる法律効果を生じさせることができる法規ないし規定をいう。例
えば法律のある規定が任意規定である場合、当事者がこれと違った内容の契約等をしても無効
ではなく、それが当該法規定より優先される。
⇔強行規定
-ぬ-
-ね-
値洗い
有価証券等の資産価値を定期的に時価評価し、それによって生じた評価損益を当事者間で
授受する行為。有価証券貸付の場合は、担保として受け入れている有価証券と貸付けている有
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価証券の両方を時価評価し、前者があらかじめ定めた担保割合に満たない時には追加の担保差
し入れを求めることとなる。
年金ALM(Asset Liability Management)
年金制度における、資産と負債の総合管理。
年金財政の健全性確保および年金資産運用の効率化の観点から、財政運営方針や年金資産運
用の基本方針の策定にあたって、負債および資産の状況の推移を予測、分析したものをベース
に、例えば資産配分と将来の掛金率との関係等を分析し、基金および事業主等の掛け金拠出者
が許容しうるリスク(たとえば掛金率上昇リスク等)を考慮したうえで、最適な選択を行うた
めの情報を提供する手段。
年金規約
年金制度の加入条件、給付内容、財政計画と掛金の拠出、その他運営に必要なことがらを定
めた文書のことをいう。年金規約は、労使合意のうえで企業が作成する。また、個人型確定拠
出年金は、国民年金基金連合会が作成する。適格退職年金規約は労働協約か就業規則であるが、
厚生年金基金、基金型及び規約型確定給付企業年金、企業型確定拠出年金の年金規約は、厚生
労働大臣の認可または承認により発効する。
年金給付利率
退職一時金を企業年金に移行するときに一時金を年金に換算するために使う利率のこと。年
金換算率ともいう。
日本の企業年金は退職一時金から移行している場合がほとんどなので、退職一時金を年金に
換算するときには、年金で受け取る人にメリットを与える意味で、一定の利息を付与すること
が一般的。
予定利率が自由化されるまでは、年金給付利率と予定利率は同じであった。
なお、給付利率を予定利率より高くすると、年金に企業が利子補給を行うという効果が生ま
れる。
年金現価
将来にわたって年金を支給するために、現時点において必要となる原資の金額。
毎年発生する年金額のキャッシュフローを割引率で現時点までに割引くことで計算される(注)
。
(注)一般的な生存者のみに支払う年金の現価については、将来の年金額の算定にあたり死亡
率を考慮している。
(例)今後 3 年間にわたって、生死に関わらず、毎年 100 万円の年金を支給するためには現時
点でいくらの原資が必要となるか?割引率は 2%とする。
69
(回答)
100 万円
(1+0.02)
+
100 万円
(1+0.02)2
100 万円
+
(1+0.02)3
= 980,392 円 + 961,169 円 + 942,322 円
=2,883,883 円
よって、現時点で 2,883,883 円の原資があり、これを毎年 2%で運用できれば、今後 3
年間にわたって毎年 100 万円の年金の支給ができる。
合計 2,883.883 円
÷1.023
942,322 円
961,169 円
980,392 円
÷1.022
÷1.02
現時点
100 万円
100 万円
100 万円
支給開始
1 年目
支給開始
2 年目
支給開始
3 年目
⇒現価(=現在価値)
年金現価率
年金額が 1 円である場合の年金現価のことであり、以下のとおりになっている。
年金現価 = 年金現価率 × 年金額
年金指定単(契約)
⇒年金信託(契約)、年金特定信託(契約)
年金受給権
年金を受けとる権利のこと。法的には加入員(者)
・受給者の財産権と考えられている。加入
員(者)の場合は、規約で定める加入期間を満たすことと、退職という事実が発生することが
受給権の前提になっている。
年金信託(契約)
事業主(法人)及び基金は、加入者、受給者等へ確実に年金を支給しなければならないとさ
れていることから、その年金給付等積立金の管理・運用は①信託会社への信託(運用方法を特
定するものを除く。)
、②生命保険会社または農業協同組合連合会への保険料または共済年金の
払込み、③投資顧問業者との投資一任契約、④自家運用(インハウス運用)のいずれかの方法
70
によらなければならないとされている。(④は厚生年金基金のみ、確定拠出年金は動産・不動
産運用不可)このうち①の信託会社への信託とは、事業主等と信託会社との間で、事業主等が
支給する年金たる給付及び一時金たる給付に要する費用に充てることをその目的とし、信託会
社が受託者として資産の管理・運用を行い、事業主等は委託者兼受益者となる信託契約のこと
をいう。
信託会社の運用には、年金信託契約(いわゆる「年金信託」)
、年金単独運用指定信託(いわ
ゆる「年金指定単」)および年金特定信託契約(いわゆる「年金特金」)の3つの契約がある。
年金信託契約は、当該事業主等のみの資産によって直接に有価証券等の購入・売却が行われ
る直接(「直投」ともいう)投資と、複数の事業主等の資産を合同で運用する合同運用の2通
りがある。また、合同運用には資産タイプ別(株式のみで運用)の合同口と複数資産(株式、
債券、外国株式等)から構成されている合同口の2種類がある。どの合同口をどのくらいの割
合で投資するかは、事業主等が信託会社と協議して決めることとなる。
また年金単独運用指定信託は、1990年に投資顧問会社が厚生年金基金の資産運用に参入
(これを「運用拡大」という。)してきた際にそれに対抗するため、直接投資を中心に開発さ
れた商品。(実態は、厚生年金基金信託契約と同様に合同運用中心で行われた。)
なお、1999年に運用拡大と従来運用の区分が撤廃されたことにより、厚生年金基金信託
と、年金単独運用指定信託を特に区別しておく意味が失われた。現在は両契約を統合すること
も可能である。
関連語:年金指定単(契約)、年金特定信託(契約)
年金数理
年金制度において、財政運営を行う際に基礎となる数学的算定手法の総称。
年金数理は、
「大数の法則」「収支相等の原則」の 2 つの基本原則に基づく。
→大数の法則
参照
→収支相等の原則
参照
年金数理人
受給権の保全および年金財政の健全性を確保すべく、企業年金の主体的な財政運営に資する
ように、年金数理業務を行う専門家を年金数理人という。毎年度の決算や財政再計算等、年金
財政に関する年金数理関係書類には年金数理人が確認の上、署名捺印し、財政上留意すべき事
項があれば、それを付記することが求められる。年金数理人は、①日本アクチュアリー会の正
会員であり、②年金数理に関する業務に 5 年以上(うち、2 年以上は責任者としての業務経験)
従事した者、等の要件を満たさなければならない。
年金投資一任(契約)
⇒投資一任契約
年金特定信託(契約)
投資顧問会社は投資顧問業法上資金の受入れ、有価証券の保管等が禁止されているため、事
71
業主(法人)及び基金が投資顧問会社と投資一任契約を締結する場合は、有価証券の受け渡し、
利息・配当金の受入れ、現物の保管等の資産管理を行うために、信託銀行と年金特定信託契約
を締結しなければならないとされている。
関連語:年金指定単(契約)、年金信託(契約)
-の-
【は行】
-は-
バイアウト投資
バイアウト投資とは、既存企業を買収し、部門や資産を売却することによって買収先
企業の価値を高めるような投資や、事業再編等により企業が手放す事業部門のみを買収し価値
を高めるような投資。投資回収に長期間を要する点と、流動性が低く投資の中断が行いにくい
点に留意する必要がある。
関連語:プライベート・エクイティ
バイ・アンド・ホールド
購入した有価証券を満期まで保有し続ける投資戦略。満期が存在する債券運用で用いられる
ケースが多い。
ハイ・イールド債
⇒ジャンク債
売買回転率
ある期間内に運用資産が売買によってどの程度入れ替わったのかを示す指標。様々な計算方
法があるが、代表的なものは、(売却金額と購入金額の少ない方の金額)÷資産の時価平均残
高で求められる。
ハイブリッド型年金(混合型年金)
確定拠出年金と確定給付年金のそれぞれの特徴を取り入れた年金制度。代表的なものにはキ
ャッシュ・バランス・プランがある。
バスケット注文(取引)
投資家が株式の売買注文を行う場合は、個別の銘柄ごとに価格等の条件を指定することが通
常であるが、機関投資家等の取引においては、多数の銘柄の売買を一度に行う際に、売買執行
の効率化やコスト削減を目的に複数の銘柄をまとめて行う方法をバスケット注文(取引)とい
72
う。
パッシブ運用
⇒インデックス運用
発生主義会計
運用取引、収益、費用を会計処理する際に、実際の入金時点ではなくて、権利、義務が発生
した時点でこれらを認識して会計処理をすること。
有価証券の取引を発生主義で認識する場合は、実際に受け渡しが行なわれる日に認識する
(=受渡ベース)のではなく、取引が成立した日(約定日)に資産として認識する(=約定ベ
ース)。発生主義会計では、収益は実際に払い込まれる前に会計上認識され、取引成立後から
実際に受け渡しが行なわれる間、時価の変動の影響をうける。
⇔現金主義会計
パフォーマンス評価
設定した運用目標に対して、その運用が当初の目的通りに実施され、目標が達成されたかに
ついて検証・評価すること。パフォーマンス評価の方法には、運用成果を定量的に測定し、そ
の要因を分析する「定量評価」と、運用哲学、運用組織、意思決定プロセスなどを評価する「定
性評価」の2つに大別できる。なお、運用機関を評価する場合は、定量・定性の両面から総合
的に評価する必要がある。
関連語:定性評価、定量評価
パラメータ
パラメータそのものの意味は、分析手法の前提条件となる値。事業主(法人)及び基金等の
資産運用でのパラメータとなる値は、次のような場合が考えられる。政策アセット・ミクスを
策定する場合、期待リターンやリスクなどをパラメータとして推定し、事業主等のリスク許容
度を設定して、平均分散アプローチで最適化した資産配分を参考に策定する。
ただし、この場合、パラメータ推計誤差のリスクや煩雑さが問題点といえる
バランス型運用
一つの運用機関が、事業主(法人)及び基金の指示する基本ポートフォリオに対し、資産配
分でも超過リターンの獲得を狙い、かつ、株式等の個別資産でもベンチマークを上回るリター
ンを獲得することを目的に運用するスタイル。
関連語:特化型運用
パリティ価格
転換社債を株式に転換した時にどれほどの価値となるのかを理論的に求めたものがパリテ
ィであり、転換社債の時価が株価に比べて割高になるのか、割安になるのかを示す。
73
パリティ価格は、転換社債の株式的価値を測るための尺度で、その企業の株価から転換社債
の理論価格を計算したもの。
パリティ価格=
株価
×100
転換価格
関連語:乖離率、CB(転換社債)
バリュー・アット・リスク(VaR)
市場リスクの管理手法の一つで、一定の期間と信頼区間のもと、価格・金利や為替などが予
想と反対の方向へ動いた場合に、予想できる範囲で計測した最大の損失額のこと。つまり、下
方リスクをリスクとして捉えている指標といえる。バリュー・アット・リスクの利点は、あら
ゆる資産を同じ基準で計算できることである。また、資産全体のバリュー・アット・リスクを
合算することもできる。しかし、「最大損失額」という言葉から、あたかも「それ以上損する
ことはない」といったイメージを持ってしまう可能性もあるが、必ずしもそうではない。
バリュー運用(割安株投資)
企業の利益や資産額などの一定の基準に対して割安な(過小評価されている)株式に投資す
る手法。PER(Price to Earning Ratio 株価収益率=株価÷一株当たり利益)やPBR(Price
to Book Value Ratio 株価純資産倍率=株価÷一株当たり純資産)の低いもの、配当利回りの
高いものなどが代表的な選択基準であり、例えば、何らかの理由で人気の圏外にあり、株価が
割安な水準に放置されていると考えられる株式を投資対象とすることなどが典型である。
⇔グロース運用(成長株投資)
-ひ-
非継続基準
厚生年金基金および確定給付企業年金が解散、制度終了した場合であっても、過去の加入期
間に応じて発生したとみなされる給付(最低保全給付)が保証されるために必要な積立金(最
低積立基準額)が資産として保有されているか財政決算時に検証するための基準。
→最低保全給付
→最低積立基準額
参照
参照
ヒストリカルデータ方式
過去のデータの平均値などで資産の期待リターンやリスクを推計する方式。過去に起きたこ
とがそのまま将来も同様に起きるわけではないが、過去の長期間のデータには様々な局面のデ
ータが含まれており、将来の見通しについて一定の示唆を与えるのに有効であるという考え方
に基づく。ヒストリカルデータ方式は、過去のデータのみに基づいており恣意性を排除できる
74
ため、より客観的であるが、選ぶサンプル(標本)期間の長さや時期によって結果が大きく変
わる点については注意が必要である。
関連語:ビルディング・ブロック方式
評価損益
評価損益とは、運用収益の中の未実現損益の一つで、キャピタル・ゲイン(ロス)でいえば、
実際に売らないとしても(実現しなくても)、売った場合(実現した場合)に得られるであろ
う収益(被るであろう損失)を、「含み損益」あるいは「評価損益」と呼ぶ。つまり、保有し
ている資産を売ったと仮定した場合の価格(時価)と、その資産を買ったときの価格(簿価)
との差が評価損益となる。
標準掛金
厚生年金基金および確定給付企業年金制度において、将来にわたる財政の均衡を保つ前提で
拠出する掛金。
→補足掛金
参照
標準掛金収入現価
⇒掛金収入現価
標準偏差(ボラティリティ)
標準偏差は、分散の平方根として求めることができる。分散同様、散らばりの程度を表す尺
度で、投資リスクを測定する統計量である。標準偏差の単位は分散の平方根であるため、単位
を%で表すことができ、期待(平均)収益率と比較して用いることが可能で便利である。例え
ば過去の収益率から標準偏差が10%と求められれば、この投資におけるリスクは、過去にお
いて平均収益率から平均的に±10%のブレがあったことになる。このように、散らばりの程
度を%表示された収益率のブレとして捉えることができる。
関連語:分散
標準報酬月額
厚生年金や共済年金では、保険料や年金・一時金などの給付の額を計算するとき、被保険者
の収入をもとにして計算することになっている。
しかし、一人一人の収入は千差万別であるため、計算を簡単にし、多数の被保険者を対象と
する事務を正確に早く行うため、『標準報酬月額』というものを決めている。つまり 6,000 円
から 30,000 円刻みの幅で区分した報酬月額
(1等級から30等級まで分かれている。)を決め、
実際の報酬をその報酬月額のうちのどれかに当てはめて標準報酬月額とする。標準報酬月額に
保険料率を掛けて保険料を計算し、在職中の平均標準報酬月額により年金額を計算する。
厚生年金基金でも基本部分に使われている。
75
報酬の範囲には、月例給与のほか役付手当、通勤手当、残業手当などを加える。標準報酬月
額は年に一度見直される。なお、適格退職年金では拠出基準給与または給付基準給与という。
ビルディング・ブロック方式
資産のリターンをいくつかの構成要素に分解し、個々の要素について予測値を置き、それら
の積み上げを行って将来のリターンを予測する推計方式をいう。リターンを各資産に共通する
ベース部分(例:実質経済成長率やインフレ率)と資産間の安定的な収益率格差(リスク・プ
レミアム)などに分解することでリターンの構造を明らかにするため、経済的な意味付けがし
やすい。ただし、リスク・プレミアム部分については、基本的にヒストリカルデータ方式に基
づき推定するのが一般的である。
関連語:ヒストリカルデータ方式
-ふ-
ファイア・ウォール
文字どおりには「防火壁」であるが、金融の世界では「業務隔壁」と通常訳される。企業や
グループ会社等一定の組織内において異部門間の結びつきから発生し得る潜在的な利益相反
(例:顧客の利益よりもグループ企業の利益を優先する)やインサイダー取引等の不正取引を
未然に防止する観点から設けられる各種の業務隔壁のことである。元々は米国のグラス・ステ
ィーガル法(銀行と証券業務の分離を規定)の改正立法過程において用いられた言葉であるが、
わが国でも金融持株会社の解禁や投資顧問会社と証券会社の兼業が認められるなど業際間の
垣根が低くなることに伴い、その重要性が増している。
ファンド・オブ・ファンズ
運用手法の異なる複数の投資信託を組み合わせて、一つの投資信託としたもの。実質的には
複数の運用会社の投資信託を購入することとなり、リスク分散するメリットがある。外部委託
型投資の一種。
フィデューシャリー・デューティ(受託者責任)
英米法において信認を受けた者が履行すべき義務を指す。「受託者責任」とはこれを翻訳し
た言葉である。元々は信託受託者が信託委託者および受益者に対し負う義務を指す概念である。
英米法においては、広範な裁量権を有し財産の処分・管理を行う信託受託者が受益者の利益を
専一に考え、裁量権の濫用を防止する法理が判例の積み重ねにより形成された。またこの概念
は英米法においては信託受託者以外にも弁護士・医師・会計士などその専門的能力と裁量権を
もって他者のために働く者にまで拡張されている。
関連語:契約法理、信託法理、信認関係
76
賦課方式
年金制度において、その年度に必要な給付額をその年度の掛金で賄う財政方式。
「ある年度の掛金額=ある年度の給付額」という算式が成り立つよう掛金率を決定するため、
積立金を一切保有しない全く運用収益に頼らない財政方式。
社会保険制度として、世代間扶養のしくみが大前提である国民年金・厚生年金保険等の公的
年金制度において部分的に導入されている。
複合効果
複数の資産に投資されている場合のファンド全体のパフォーマンス要因分析により分解さ
れる効果のひとつ。複合効果は、資産構成割合の違いと資産ごとの超過的収益率による複合的
な効果。
関連語:アセット・アロケーション効果、銘柄選択効果
複合ベンチマーク
複数資産に投資を行うポートフォリオ全体の運用成果の基本的な評価基準となる収益率。資
産構成割合にそれぞれの資産のベンチマーク収益率を加重平均して求める。一般的に、ポート
フォリオ全体のベンチマークとして使用されている。
関連語:ベンチマーク比較
含み損益
⇒評価損益
浮動株
株主が安定して保有する株式など、市場で売買される可能性の低い株式を固定株、市場で流
通し、売買される可能性の高い株式を浮動株という。一般に、浮動株が多い銘柄は流動性が高
くなる傾向がある。
不当差別
企業年金では、受給資格や給付額について特定の者を差別することが禁じられている。新た
に設けられた確定拠出年金法、確定給付企業年金法にも不当差別の禁止が書き込まれている。
不動産流動化証券(投資)
不動産を小口・証券化したものに投資することあるいはその手法。例えば、企業が保有する
不動産を特定目的会社(SPC)に譲渡し、その資産を担保に特定目的会社は有価証券を発行し
不動産の利用によるキャッシュ・フローによって、利払い・償還を行う手法などがある。不動
産を所有する企業は余剰資産である不動産をバランスシートから処分することができ資金の
77
固定化を防ぎ財務体質を改善できるメリットがあり、他方、投資家にとっては、通常の不動産
投資に比べ投資対象を小口化できるとともに証券化によって流動性の向上を図ることができ
るメリットがある。なお、今後の課題としては、物件評価の適正化、テナント情報等のいっそ
うの開示、ベンチマークとなる投資インデックスの整備が挙げられる。
不法行為
その行為によって他人に生じた損害を賠償する責任が生じた場合に、その行為を不法行為と
いう。不法行為は契約と並んで最も重要な債権発生行為である。不法行為に債務不履行を含め
る場合があるが、狭義には民法第709条以下で規定されているものを指す。すなわち、同上
は、故意または過失によって、他人の権利を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償
する責任を負うこととされている。
プライベート・エクイティ
未公開企業を対象とした投資手法のことであり、ベンチャー企業への投資とバイアウト投資
に大別される。
関連語:バイアウト投資、ベンチャー投資
プラスアルファ部分
厚生年金基金の給付のうち、国に代わって行う代行部分を上回る給付の部分のこと。制度創
設以来、ながらくプラスアルファ部分は代行給付を3割以上上回ることが認可要件であったが、
2002 年4月からプラスアルファが1割に引き下げられた。
なお、平成17年4月以降に設立する基金は、代行部分よりも5割以上の厚みを増すことに
なっている。
また、プラスアルファ部分は、半分以上が終身年金であることや、65歳以降のプラスアル
ファ部分の終身年金が65歳以降の代行部分の5%を下回らないことが必要。
不利益変更
年金制度や給付額などについて、加入者または受給権者などに不利となる受給資格の変更や
給付の削減をいう。「不利益変更」は、正当かつ相当の事由がないかぎり認められない。厚生
年金基金では年金局長の通達で、また、確定給付企業年金法では省令で給付減額のルールが規
定されている。
プリンシパル取引
証券会社が顧客から注文を受けた場合に、注文を取引所等に取り次ぐのではなく、証券会社
自身が取引相手となり、自己の勘定で取引を行うことをいう。
フルインベストメント
78
余剰資金の発生を抑え、極力有価証券に投資することをいう。まず、給付の支払いなどを毎
月の掛金など流入資金で賄うことができれば、資産を取り崩す必要がなく必ずしも多くの短期
資金をファンドに滞留させる必要はない。その一方で、フルインベストメントを行うためには、
絶えず余剰資金を有価証券の購入に当てなければならないが、取引単位が小さければ取引手数
料は割高となりかえって非効率な運用になってしまうこともある。例えば株式を購入する場合、
単位株制度が設けられており、原則としてある程度のまとまった資金でないと投資することは
できない。また、債券では一般に流通している取引規模(ロット)に満たない取引は、極端に
流動性が落ち、不利な価格で取引しなくてはならない。このように、実際には100%有価証
券に投資することはできず、ある程度の資金がファンドに滞留することとなる。
プルーデント・マン・ルール
「思慮深い投資家の原則」と訳される。エリサ(法)では「当該状況下で、同様の立場で行
動し同様の事項に精通している思慮深い人が同様の性格および目的を有する事業の運営にあ
たり行使するであろう注意、技量、思慮深さおよび勤勉さを用いること」
(第404条(2)
(1)
(B))と規定されている。簡単に言えば「同じような状況の下で同じ専門家としての職責に
ある人であれば通常用いるであろう注意を払うこと」である。なお、類似の趣旨は信託リステ
ートメントにも記載されている。
関連語:エリサ(法)
、善管注意義務
プロセス責任
事業主(法人)及び基金の年金運用責任者に課せられる受託者責任の一つで、資産運用の運
用の結果に対するものではなく、あくまで職務の遂行過程が適正であったかどうかにかかる責
任。
関連語:受託者責任
分散
分散は、期待値からの隔たり(乖離)あるいは期待値の回りの散らばりの程度を表す尺度で、
投資リスクを測定する統計量の一つである。分散は、全ての可能な収益率とその期待値からの
差の2乗を、それぞれの発生確率を乗じて合計したものとして求められる。過去の収益率を使
って分散を計算する場合は、平均値との差の2乗を平均したものとして計算できる。例えば2
0年間の単年度の株式収益率から分散を計算する場合、①まず20年間の平均収益率を求める。
②次に各年度の収益率と平均収益率との差を計算し、③その差を2乗する。④20個の各年度
の平均収益率との差の2乗を合計し20で割ることで求めることができる。分散の単位は、%
表示の値の2乗であり無名数である。散らばりの大きさを比較することはできるが、平均収益
率(期待収益率)からのブレが何%程度なのかを把握することはできない。
関連語:標準偏差
79
分散投資
より多くの金融資産に投資資金を振り分けることによってリスクを分散させること。資産を
一つの手法でまとめて運用するより、株式と債券、国内資産と外国資産等様々な性質の金融商
品に分散して投資する場合、ある資産の運用結果がよくなくても、別の商品の運用結果がよけ
れば、ポートフォリオ全体への影響は小さくなる。これはそれぞれの資産の値動きが分散して
リスクの低減につながり、安定したリターンを追求する手段の一つとなる。
分別管理義務
広義には、業務に伴い預っている顧客資産を自社の資産から明確に分離する義務である。狭
義には信託における義務の一つとして、顧客資産の保全、忠実義務違反の未然防止を目的に、
信託勘定の資産と信託銀行の固有財産(銀行勘定)との間での分別管理のほか、原則として信
託財産相互間においても、各々の資産を分離して管理しなければならないという義務を指す。
-へ-
ベアリング証券の破綻
1995年2月に、イギリスの証券持ち株会社であるベアリングズが、シンガポール現地法
人のデリバティブ取引失敗のために事実上倒産した。日本にもケイマン現地法人の支店があっ
たことから、大蔵省の申し立てにより特別清算手続きに入った。この事件は結局、3月にオラ
ンダのINGがベアリングズを買収することで決着をみた。
閉鎖型適格退職年金
加入者がいない受給者だけで構成される適格退職年金のことで、受給者に給付することだけ
が目的。給付とともに年金資産は減り続け、運用収益が予定利率を下回ると積立金が足りなく
なり、補填が必要になる場合がある。
関連語:適格退職年金
ベイズ修正
推計誤差を減らす為、過去データ等の客観的な観測情報(例:期待リターンの推計における
ヒストリカルデータ方式)から得られた推測に定性判断などの主観的な情報(例:経済ファン
ダメンタルズを織り込んだビルディング・ブロック方式)による修正を加えることである。ベ
イジアン(ベイズ学派)統計学によれば、ヒストリカルデータ方式による期待リターンの推計
のように多数回の同一実験データが得られないときには、経験的確率(事前確率ないし客観的
確率)の算出は困難で、そのため、現時点で利用可能なデータだけで確率(事後確率ないし主
観的確率)を推計しなければならない。後者の主観的確率は、実験(観察)証拠(情報、知識、
経験、勘など)が得られたときの条件付確率として計測される(例:ビルディング・ブロック
80
方式等において、観察証拠としての昨今の世界的なディスインフレ傾向を踏まえて、インフレ
率を単なる過去の平均値よりも低めに見積もることで推計誤差を減らす)。ちなみに、P(Hi)
を事象 Hi の事前確率、P(Hi|A)を事象Aが起こった後の事象 Hi の事後確率(条件付確率)
とすれば、
P ( H i ) × P ( A| H i )
P ( H|
i A)=
Σ P ( H j ) × P ( A| H j )
となる。
ベータ(β)値
投資収益率の市場平均(ベンチマーク)の収益率に対する感応度を表す。市場感応度ともい
う。ベータが1より大きいほど市場の変化に対する感応度が大きく、市場ポートフォリオより
ハイリスク・ハイリターンの傾向があり、また逆に、1より小さければローリスク・ローリタ
ーンになる。ベータを推定する方法にはいくつかの手法があるが、ヒストリカル・ベータ方式
では、過去一定期間の投資収益率を市場全体(TOPIX等)の収益率と回帰分析することで
推定したときの回帰直線の傾きとして計測される。
関連語:市場感応度
ヘッジ
⇒為替ヘッジ
ヘッジ・ファンド
主として富裕な個人や機関投資家向けに十分な絶対リターンを狙う目的で組成された法的
規制を受けない私的な投資商品(私募形式)。
組織形態としてはパートナーシップであり、投資会社とはみなされないため、運用の際に法
的規制を受けず、投資家保護に関する規定も適用されない。情報開示が不十分で、ヘッジ・フ
ァンドの運用の実態は不透明な部分が多い。
株式、債券、為替等の資産に対し、アクティブな運用を行うもので、伝統的な運用手法では
用いられない手法(例:ロング/ショート手法、裁定取引等)を活用し、またデリバティブを
活用して投資元本の何倍ものリスクをとる場合もある。一般的には運用における自由裁量を求
める。現状ヘッジファンド・マネジャーは米国が中心。
別途積立金
厚生年金基金および確定給付企業年金制度において、将来の給付改善、利差損などによる不
足金の発生などに対応するために、積立て留保している積立金。
厚生年金基金および確定給付企業年金は、財政決算で剰余金が生じた場合、別途積立金とし
て積立てることが義務付けられている。
使途としては、「年金経理において決算上の不足金が生じたとき」、「財政再計算時に掛金率
の上昇を抑制するとき」
、
「給付改善準備金および繰入準備金へ繰り入れるとき」の 3 つのケー
81
スに限定されている。
変更計算
厚生年金基金において、財政運営が計画通りに推移しているかどうかをチェックする機能の
一つで、随時、必要に応じて、制度・基礎率変更を検討した上で、掛金を見直しすること。
(注意)
確定給付企業年金において、厚生年金基金における変更計算は財政再計算という。
ベンチマーク
パフォーマンスの評価を行う際に、ポートフォリオの収益率と対比すべき基準として用いら
れる指標。
⇒インデックス
ベンチマーク比較
ベンチマーク比較とは、市場平均に対して運用結果がどうであったか評価する方法である。
資産毎に行うこともでき、また、複数資産を運用している場合には、資産構成割合に応じてベ
ンチマークを組み合わせた複合ベンチマークにより、ファンド全体の収益率を比較し評価する
こともできる。
関連語:相対評価、複合ベンチマーク
ベンチマーク・リスク
⇒システマティック・リスク
ベンチャー(企業)
高度な技術力と専門的な知識を生かして創造的な新事業を行う、高成長の可能性を有する中
小企業。ベンチャー企業への出資者は、出資対象の企業が順調に成長し株式公開に至った場合、
大きな利益を得られるが、一方で、事業の不調や失敗のリスクも高い。
関連語:ベンチャーキャピタル、ベンチャー投資、ベンチャー投資事業組合(ベンチャーキャ
ピタル・ファンド)
ベンチャーキャピタル
ベンチャー企業に資金を提供する機関。独自の基準で新興企業の将来性を評価し、株式の取得
を通じて資金面で事業拡大をサポートする一方で、数年後株式市場に上場した際には値上がり
益を取ることを目的としている。成功すれば多額の値上がり益を享受できるが、投資先企業の
中には上場にいたらず投下資金の回収が不可能になるケースも多く、投資リスクは高い。投資
先選定にあたっては高度の専門性が要求される。
関連語:ベンチャー(企業)、ベンチャー投資、ベンチャー投資事業組合(ベンチャーキャピ
タル・ファンド)
82
ベンチャー投資
ベンチャー企業への投資をいい、通常はベンチャー投資事業組合を通じて行われる。高利回
りが期待できる反面、リスクが高いこと、流動性が乏しいこと、時価評価が難しいこと、適切
なベンチマークがないこと等の難点がある。
関連語:プライベート・エクイティ、ベンチャー(企業)、ベンチャーキャピタル、ベンチャー
投資事業組合(ベンチャーキャピタル・ファンド)
ベンチャー投資事業組合(ベンチャーキャピタル・ファンド)
ベンチャー投資のために、ベンチャーキャピタルが中心となり、投資家から資金を募って組
成するファンド。ベンチャー投資は、このようなファンドを通じて行われるのが通常である。
関連語:ベンチャー(企業)、ベンチャーキャピタル、ベンチャー投資
-ほ-
ポイント制
企業の退職金制度において、従業員の勤務1年毎にポイントを付与し、その累積を退職金と
して支払う方式。
一般に、勤続年数1年につき公平に付与される「勤続ポイント」と、個々の従業員の能力や
貢献度などに応じて付与される「職能ポイント」の合計を退職金に反映するケースが多い。
従来の「退職時の基準給与×勤続年数別支給率」で計算される退職金制度に比べ次のような
特徴がある。
・ 実際の給与に退職金がリンクしないため、給与のベースアップに比例して退職金水準がアッ
プしてしまうことを避けられる。
・ 退職金から年功的要素をある程度排除することが可能となる。
なお、ポイント制の年金を実施するには、職能資格・昇格基準が就業規則等に明記してあ
ることが必要。
また、従業員間に極端な差が生じないよう最低と最高のポイント格差は15倍以内であるこ
と、数理計算ができること等の条件が設けられており、完全な実績主義にはしにくいのが実情。
ポータビリティ
直訳すると「持ち運びができること」になるが、企業年金におけるポータビリティというの
は、「会社を変わった場合でも、それまで積み立てた年金の原資を持ち運べること」をさす。
一般に、会社が変わった場合はその時点で退職扱いとなり、規約に基づいて給付の清算がさ
れる。そして、勤続年数が短いため、一時金としてしか受取れなかったり、あるいは受給資格
そのものが得られないことも多くある。これは従業員にとって不利益であるため、転職先の企
業年金に積立金を移管し、元会社での勤続年数を通算できる制度が求められていた。
83
平成17年10月から、転職先企業の制度の規約と本人の同意を要件に、厚生年金基金、確
定給付企業年金間でポータビリティが確保されるようになった。
なお、ポータビリティが確保されないケースについては、企業年金連合会で引き受け、将来、
年金として受給できる途が開かれている。
また、厚生年金基金や確定給付企業年金から確定拠出年金へのポータビリティも確保されて
いる。なお、確定拠出年金からの移換は、年金原資が個人別口座で管理されているため、確定
拠出年金制度間での移換(企業型どうし及び企業型と個人型相互)に限られて認められている。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、本来「紙ばさみ、書類カバー」を意味する用語。資産運用では所有す
る資産の全体あるいはその組合せのことをいう。リスク分散を考慮して、資産全体を単一資産
のみで運用するのではなく、適切な割合で株式や債券など複数の資産を組合せ、資産運用の効
率性等を高めること。
ポートフォリオ・オーバーレイ・マネジャー
⇒オーバーレイ・マネジャー
ホームアセットバイアス
国際分散投資を前提にした資産配分で、自国(通貨建て)資産への配分比率が海外資産への
配分比率を常に上回る現象をいい、自国バイアスともいう。各国の年金運用における資産配分
に明白に現れている現象で、株式中心の米国と英国では自国株のウエイトが高く、また債券中
心の国でも自国債券のウエイトが圧倒的に高い。
簿価評価
簿価とは帳簿価額の略語。資産の価値を購入したときの価格(簿価)で評価すること。
⇔時価評価
補完ファンド
政策アセット・ミクスの資産毎にアクティブ運用によりカバーされない部分をパッシブ運用
で補完すること。例えば、株式においてスタイル管理上、中小型株のマネジャーにアクティブ
運用を委託している場合に、市場ベンチマーク(例:TOPIX)に合わせるためには大型株
のマネジャーを見つけなければならない。この場合、無理に大型株のアクティブ・マネジャー
を採用することをせずに、市場ベンチマークに合うように大型株のパッシブ・ファンドを保有
することが考えられる。このとき、このパッシブ・マネジャーを補完ファンドもしくは完全化
ファンドと呼ぶ。また、政策アセット・ミクスのリバランスを行うことを目的としたパッシブ
運用によるバランス型ファンドの意味で使われる場合もあり、その場合には、構成比調整ファ
ンドとも呼ばれる。
84
関連語:スウィング・マネジャー
保険料
厚生年金・国民年金・共済年金制度において、給付に要する費用に充てるために拠出する金
額を保険料という。国民年金の保険料は定額で、第1号被保険者は自分で負担するが、第2号
被保険者は雇用者と本人が拠出し、第3号被保険者は配偶者が加入する制度から拠出されるた
め、本人は国民年金の保険料を負担する必要はない。厚生年金、共済組合の保険料は給料に一
定の率を掛けて、労使が折半して納める。なお、厚生年金基金や確定給付企業年金の場合は掛
金と呼んでいる。
保護預り先
預り証方式において、信託銀行等は国内の証券会社を経由して外国証券投資を行うが、信託
銀行等は国内証券会社との間で売買代金および預り証の授受を行う。この預り証を発行する証
券会社を保護預り先という。預り証方式で売買が行われた場合、保護預り先は信託銀行(特金
信託を含む)等の名義で当該証券会社の保護預り口座に預り記帳を行い、預り証を発行する。
関連語:預り証方式
保証期間
受給者の生死に関係なく年金給付が保証される期間のことをいう。たとえば、保証期間が1
0年の制度は、6年目に受給者が死亡したとき、残り4年分の年金が遺族に支給される。保証
期間付終身年金の制度は、保証期間内に受給者が死亡したとき保証期間の残りの年金は遺族に
支払われ、保証期間が過ぎてから死亡したときはそこで給付が終了する。厚生年金基金の加算
年金は保証期間付終身年金が原則で、代行型には保証期間がない。
保証利率
生命保険会社において、企業年金や個人年金等から預かった保険料を運用する際、保険期間
中、最低保証される利率。
保振機構
正式には、財団法人証券保管振替機構という。株券等の有価証券を集中保管し、これら有価
証券の受渡しを券面そのものの授受に代えて、機構に設けられた口座間の振替によって処理を
行っている。有価証券の保有者から証券の預託を受け、機構の名義に書き換えた上で、証券の
売買取引や担保取引の決済に伴う証券の受渡しが必要となった場合は、証券の授受によらず、
機構に設けた口座間の振替によって処理する。主な対象証券は、上場株券と店頭登録株である。
補足掛金
特別掛金および特例掛金の総称。
厚生年金基金および確定給付企業年金において、事業主が標準掛金額に追加して拠出する掛
85
金。標準掛金が将来にわたる財政の均衡を保つ前提で拠出する掛金であるのに対し補足掛金は、
当該標準掛金だけでは財政の均衡が保てないと判断されたときに追加拠出される。
→特別掛金
参照
→特例掛金
参照
ボトムアップ・アプローチ
個別企業の業績や財務指標の分析に基づいて、投資対象銘柄の比較検討を行い、その結果を
積み上げてポートフォリオを構築するというアプローチ。
ボラティリティ(資産価格の変動(ぶれ)の平均値)
ある資産の収益率の変動性または変動率をいう。「ボラティリティが高い」とは、収益率が
一定せず上下の振れが大きくリスクが高いことを意味する。投資理論の世界では、ボラティリ
ティは標準偏差をもって計測する。
【ま行】
-ま-
マーケット・インパクト・コスト
自らの売買行動によって生じる取引価格の変動によるコスト。例えば、ある銘柄に買い注文
を出すと、市場での需給関係が変化し、注文を出す以前よりも取引価格が上昇するといったよ
うに、発注者自身にとって不利な方向(売り注文のときは、価格の下落)へ価格が動く。一般
に大量の銘柄の売買を発注する場合や流動性の低い銘柄の場合には、マーケット・インパク
ト・コストは大きくなる。
マーケット・タイミング
文字どおりには「市場の頃合い」であるが、通常は市場の動向等を見計らい、安い価格で購
入し高い価格で売却することあるいはそれを目的とする投資手法を指す。例えば、市場におい
て相場の上昇が期待されるときには高リスク銘柄を選択し下降相場では逆の行動をとる手法
や、ある銘柄を相場の状況等を見ながら売買する手法などがある。
マスタートラスト
効率的な資産管理を行うために米国において広く普及したものであり、複数の運用機関に分
散して委託されている年金資産を特定の信託銀行が一元的に管理し、有価証券の保管・決済、
資金決済、キャッシュ・マネジメントを行うとともに、統一的に会計報告を行うサービスであ
る。近時では、証券貸付、運用パフォーマンス分析、約定執行のモニター等のリスク管理等の
付加的業務も行っている。
なお、日本におけるマスタートラストサービスへの取組み状況は、その実現に向けてグルー
86
プ会社内で資産管理銀行への資産の集約が進みつつある。また、グループの内外を問わず運用
機関の情報を集約・統合して事業主(法人)及び基金に提供する「情報統合サービス」が同時
に普及してきており、更にグループを横断する形で運用機関各社の取引データを集約し、情報
の統合・分析等が行える段階にまでに信託業界内での標準化が進んでいる。
〔3グループの状況〕
資産管理銀行
主な運用機関
契約方式
開始年月
日本トラスティーサービス
信託銀行
りそな信託
住友信託
三井アセット信託
再信託
2000年10月
資産管理サービス信託銀行
みずほ信託
第一生命
朝日生命
明治安田生命
富国生命
再信託
2001年12月
日本マスタートラスト信託
銀行
三菱UFJ信託
日本生命
明治安田生命
農中信託
共同受託
2002年4月
マネージド・フューチャーズ(商品・金融先物ファンド)
様々な金融商品、農産物、工業、天然資源等の先物、オプション取引に分散投資し、それに
より生じた利益を投資家に分配するファンド。
マネジャー・ストラクチャー(運用機関構成)
「運用機関構成」と訳される。運用資産をどのような種類の運用機関(マネージャー)にど
のように配分するのかという構成(ストラクチャー)の決定及びそのプロセスをいう。マネー
ジャー・ストラクチャーを検討するにあたっては、バランス型と特化型、アクティブ運用とパ
ッシブ運用などについて事業主(法人)及び基金の資産運用の目的・投資戦略・スタイル運用
や事業主等の資産規模・運用管理体制など事業主等の実状を踏まえ行うことが求められる。
-み-
ミーティング
ミーティングとは、運用機関から定期的に運用状況の報告を受けるとともに、事業主(法人)
及び基金と運用機関との間で意見交換を行う場。運用機関のディスクローズ資料から読み取れ
る情報には限界があり、時に運用機関のPLAN-DO-SEEが読み取れない場合がある。
そこで、これを補い運用状況をより正確に把握し評価するために、必要に応じミーティングを
実施し、そこから得た情報を蓄積してその後の評価につなげてゆくことが必要となる。
87
未実現損益
⇒評価損益、含み損益、未収収益
未収収益
未収収益とは、未実現損益の一つで、利益の権利は発生しているものの未だ実現していない
収益のこと。例えば債券の場合、年間利息のうち前回の利払日の翌日から当年度末日までの期
間に対応する利息については、本来当年度中に得られるべき収益なので、経理上この未収利息
も当年度の未収収益として計上する。
関連語:未実現損益
ミスフィット・リスク
ミスフィット(misfit)とは、特定のスタイル(例:成長株)の運用機関を多く持つことで
偏ったマネジャー・ストラクチャー(運用機関構成)となり、市場全体を表すベンチマーク(例:
TOPIX)との乖離が大きくなりやすい状況のことをいう。その結果、収益率がベンチマー
クを大きく上回るかもしくは下回りやすくなる危険性のこと。
未認識勘定
未認識勘定は退職給付会計上の概念で、未認識数理計算上の差異、未認識過去勤務債務およ
び未認識会計基準変更時差異の三つからなる。数理計算上の差異とは、基礎率を使用して算定
した退職給付債務等の額と、より新しい情報に基づく率ないし金額により算定した退職給付債
務等の額との間に生じるずれのことである。退職給付会計上の過去勤務債務は、従来の退職金
規程に基づいて算定した退職給付債務と変更後の退職金規程に基づいて算定した退職給付債
務との差額である。また、会計基準変更時差違は、退職給付会計基準を導入した時に生じる積
立不足のことである。これらの差異は、発生時点ですぐに全額貸借対照表や損益計算書に反映
されるわけではなく、将来の一定期間にわたって費用化される。これらのいまだ費用処理され
ていない残高が未認識勘定に計上され、オフバランスとなる。
-む-
無リスク資産
通常はコール運用、CD、CPなど短期運用商品のこと。
-め-
銘柄選択効果
複数の資産に投資されている場合のファンド全体のパフォーマンス要因分析により分解さ
れる効果のひとつ。資産配分が基本ポートフォリオと一致しているものとして仮定し、各資産
88
の実績の収益率と市場平均収益率の乖離を測定し基本ポートフォリオの比率で加重して求め
る。
関連語:アセット・アロケーション効果、複合効果
メザニン
「メザニン」は英語で中二階の意味。そこから、リスクの度合いがハイリスク・ハイリターン
とローリスク・ローリターンの中間に位置する、ミドルリスク・ミドルリターンをねらう投資
形態をさす。たとえば、格付けが低く高利回りのハイ・イールド債や、返済順位が他の債券よ
り低い無担保の貸出債権である劣後ローン、配当支払いや残余財産分配が普通株より優先され
る優先株などである。
ところで、ある投資案件について、
“リスクの相対的に高い部分”
(劣後部分)と“リスクの
相対的に低い部分”(優先部分)とに分けたとき、優先部分を保有している投資家は、劣後部
分と比較して優先的に元本や金利の返済を受けると同時に、一定金額までは対象投資案件に生
じた損失の影響を受けない。劣後部分の保有者は、優先部分の元本や利息が支払われない限り
元本や金利が支払われず、損失が生じた場合には元本や金利の支払が停止される。このように、
意図的に優先/劣後部分を設けることによって、投資家のリスク許容度に見合った新たな投資
対象として組成しなおすことができる。たとえば、CBO などのように、様々なリスクリター
ンの債券をひとまとめにしたうえで、シニア債(優先債)
・メザニン債・ジュニア債(劣後債)
と3つの債券として組成しなおし、それぞれのリスク許容水準に見合った投資家に販売すると
いうことができる。優先部分(シニア債・優先債)は、信用力が高く、より安全な投資案件と
なり、劣後部分(ジュニア債・劣後債)は信用力が低いが、一般にリスクプレミアムが高く、
ハイリスク・ハイリターンの投資案件となるメザニン部分は、優先部分と劣後部分の中間的な
リスクを負担する部分であり、メザニン債のリスクリターンは、シニア債(優先債)とジュニ
ア債(劣後債)の中間的な水準となる。
メザニン債(Mezzanine bond)
メザニンとは中2階の意味。社債を責任財産として発行される資産担保証券「CBO」を発
行する際、信用力(発行体破綻時の償還の優先順位)に応じて、信用力の高いものから、シニ
ア債(優先債)・メザニン債・ジュニア債(劣後債)と3つのグループに分類されている。信
用力の高いものは、利回りが低く、メザニン債は、信用力、利回りともに中位の債券である。
免除保険料率
厚生年金基金において、加入員である被保険者が、厚生年金保険の費用に充てるために徴収
される保険料率のうち、国に納めることが免除される保険料率。
厚生年金基金が行う老齢厚生年金の報酬比例部分のうち、再評価・物価スライドを除いた部分
(代行部分)の給付により、厚生年金本体において不要となる代行部分に要する費用に相当する
保険料が免除される。個々の基金が代行部分の給付を賄うために必要な保険料率(代行保険料率)
89
に応じて、2.4%~5.0%の範囲内で厚生労働大臣により決定される。
→代行保険料率
参照
-も-
モデル・ポートフォリオ
運用機関等が、顧客向けの説明や提案を目的に作成するポートフォリオのこと。株式等各資
産の中長期的なリスク・リターン特性、年金資金の標準的な負債特性や当該運用機関等の投資
戦略および相場観等が反映される。バランス型運用のモデル・ポートフォリオの典型例として
は、安定型、標準型、成長型などがある。
モンテカルロ・シミュレーション
そもそもは理工学の世界において、解を求めるのには算式が複雑すぎる問題を解くために、
多数のランダムな実験を繰り返すことにより近似的な解を得る方法である。年金財政のシミュ
レーション(シミュレーション型ALM)においては、将来の予測が難しい資産の収益率につ
いて、前提条件に従ってランダムに発生させた値をもとに数百から数千通りの試行を繰り返し、
将来の推計を行う。
【や行】
-や-
約定基準
約定基準とは、有価証券等の取引を発生主義で認識する方法で、取引が成立した日(約定日)
に資産の売買を認識する基準。例えば、株式の売買であれば、約定日の3営業日後が実際の株
券と現金の決済を行う受渡日となるが、約定日をもって売買を認識すること。
約定照合
約定指図どおり約定されているかを確認する行為。例えば年金信託の場合、発注者である運
用担当者と資産管理担当者は区別されており、資産管理担当者へ運用担当者から運用指図書等
が、証券会社の管理セクションから取引報告書が各々送付され、資産管理担当者はその両方に
記載されている約定日、受渡日、銘柄、数量、代金等を照合し、一致した場合のみ当該有価証
券の売買に係る受渡し事務を行う。なお、投資顧問会社の場合には、上記の説明の中の資産管
理担当者の部分は、信託銀行の資産管理部門が担うことになる。
-ゆ-
優越的な地位
相手方に融資を行っているなど取引上対等な関係ではなく優位にあることをいう。全銀協ル
90
ールでは、「取引の一方の当事者(甲)が他方(乙)に対し、乙にとって甲との取引の継続が
困難になると事業経営上大きな支障をきたすため、甲から乙に著しく不利益な要請が行われて
も、乙はこれを受け入れざるを得ないような場合」と定義されている。これが事業主(法人)
及び基金の資産運用で問題になるのは、運用機関(その関係会社を含む)が事業主等の母体企
業に優越的な地位を利用して運用機関の採用を迫ることにより、運用能力本位で運用機関の採
用を行うことを妨げ、事業主等の運用パフォーマンスを劣化させる可能性があるからである。
有価証券貸付
⇒セキュリティーズ・レンディング
有期年金
たとえば、年金給付期間が10年間や15年間などのように限られている年金をいう。この
場合、期間前に本人が死亡すれば年金給付はその時点で終了する。なお、死亡後の残りの期間
分を遺族に支払う制度を確定年金という。
国の年金や厚生年金基金の基本部分のように、受給者が生きている限り支給される年金は「終
身年金」という。年金は終身給付でなければ所得保証の効果は少なく、有期年金は貯蓄の変形
であるとの見方もある。
有効フロンティア
⇒効率的フロンティア
優先債
⇒シニア債
ユーロ債
ユーロ債とは、発行通貨の母国市場以外の市場で発行される債券のこと。発行通貨が、母国
以外の金融機関に預けられたり、または非居住者によって保有されたりするとき、このような
通貨のことをユーロ・マネーという。このユーロ・マネーを対象にした各種の取引市場のこと
をユーロ・マネー市場、あるいはユーロ市場と呼ぶ。ユーロ債は、主として欧州に滞留した外
貨を対象として発行された債券だが、現実には欧州域外からも多くの投資資金が流入している。
関連語:ユーロ市場、ユーロ・マネー
ユーロ市場
ユーロ債取引のように母国国内取引以外に外国金融機関や非居住者によって行われる通貨
取引の場を、発祥の地であるヨーロッパにちなんでユーロ市場という。
関連語:ユーロ債、ユーロ・マネー
ユーロ・マネー
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発行通貨が、母国以外の金融機関に預けられたり、または非居住者によって保有されたりす
るとき、このような通貨のことをユーロ・マネーという。
関連語:ユーロ債、ユーロ市場
ユニバース比較
ユニバースとは、投資対象や運用方針などが類似している複数のファンドのデータを集めた
もののことで、そのユニバースと運用結果との比較である。定量評価の手法のひとつ。
関連語:相対評価、定量評価
-よ-
予測給付債務(=PBO(Projected Benefit Obligation))
退職給付会計において、一定期間の労働対価等の事由に基づき、企業が将来負担すべき退職
給付額のなかで、退職以後に支給される給付(退職給付)のうち、将来の給与水準を考慮して
認識時点までに発生していると認められる債務。
予定利率
企業年金制度における基礎率の一つで、積立金の将来における運用利回りのこと。厚生年金
基金および確定給付企業年金においては、下限予定利率以上で決定する。
予定利率の決定にあたっては、積立金の長期的期待収益率やリスクに留意し、年金数理人や
証券アナリストなどの専門家の助言を得るなど、できる限り多くの情報を参考にする。また、
予定利率は基礎率の中でもっとも財政計画に影響を与える基礎率であることから、保守的な財
政運営に配慮するなど、その設定には十分留意する必要がある。
→下限予定利率
参照
401(K)プラン
米国の確定拠出年金制度のうち、内国歳入法401条(K)項を根拠とする税制適格年金制度。
401(K)の特徴には次のようなものがある。
従業員の給与からの拠出金が主となるが、企業もそれに上乗せ拠出を行うことができる。各
従業員の加入は任意で従業員が自ら運用指図を行い、その結果については自分自身が責任を負
う。従業員の拠出は課税所得から控除、企業の上乗せ拠出は損金算入、資産運用の収益につい
ては給付金受取りまで課税繰り延べなど、税制面で優遇措置がある。
各従業員の持分が明確であり、転職時には転職先の401(K)プラン等に移換することがで
きる(ポータビリティ)。転職先に401(K)プランが導入されていない場合はIRA(個人
退職用積立勘定)に移換することができる。
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【ら行】
-ら-
ランダムウォーク
効率的な市場での証券価格は、現在入手可能なすべての情報を反映しているので、新しい情
報のみを反映して動くことになる。新しい情報はランダムに発生すると考えられるので、証券
価格もランダムで規則のない動きを示し、また、過去の価格変動からまったく独立に(価格の
過去の履歴と関係なく)推移することになる。これをランダムウォークという。このことは、
投資家がすでに利用可能になってしまっている情報を用いて資産運用を行っても、それから得
られる収益率は平均収益率以上にはならないことを示唆している。
関連語:時系列相関
-り-
利益相反
ある取引を行う場合、自己の利益と顧客等他人の利益が対立するような立場に自己がある場
合をいう。例えば、顧客にとって他の証券会社に発注する方が有利であるにもかかわらず、系
列証券会社に優先発注する場合、利益相反行為に該当する。
利源分析
年金制度の財政決算時において、剰余金や不足金の発生要因を分析すること。
剰余金や不足金の発生は、主に計算基礎率と実績との乖離によるが、これらを要因別に分析
し、これらの発生が一時的なものか、継続的なものかを分析し判断する。
利源分析の結果、計算基礎率の見直しが必要な場合には財政運営を修正する。
利差損益
予定利率に基づいて見込んでいた予定運用収益と、実際の運用収益の差のことを「利差」と
いい、プラスの場合(予定運用収益を実績運用収益が上回った場合)を「利差益」、マイナス
の場合(予定運用収益を実績運用収益が下回った場合)を「利差損」という。
企業年金では、あらかじめ設定した目標利回り(予定利率)を達成すべく資産運用を行って
いるが、低金利や株価の下落などのため、実績運用収益が予定運用収益を下回る場合は、利差
損が発生することになる。
理事会
厚生年金基金や基金型確定給付企業年金の執行機関をいう。理事会は、選定代議員から選ば
れる選定理事と、互選代議員から互選される互選理事がそれぞれ同数で構成される。理事長は、
選定理事から理事が選挙して選び、基金の代表者として業務を執行する。常務理事は理事会の
同意のもとに理事長が理事の中から指名する。
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関連語:代議員会
リスク
「リスク」という言葉は、通常「危険」という意味だが、運用では「危険」=運用の失敗と
言うよりも、むしろ収益が予測できない、不確実だ、バラつくということを示す。したがって、
リスクが大きいとは、リターンの振れが大きいということであり、リスクが小さいとは、リタ
ーンの振れが小さいということである。
関連語:リターン
リスク許容度
リスク負担者が投資などのリスクテイク(リスク負担)を行う際に、最大どの程度までのリ
スクを取ることが出来るのかを表す尺度のことである。例えば、5年~20年先などの投資期
間の下、一定の確率の下で許容し得る損失額などをいう。事業主(法人)及び基金のリスク許
容度は、成熟度、資産の積立水準といった事業主等サイドの要因と掛金を拠出する母体企業(設
立企業)の掛金負担能力やリスクテイクの意思などの要因により複合的に決まるので、ALM
分析によるシミュレーション等を行いながら総合的に判断される。なお、現代投資理論ではリ
スク許容度の逆数を表すリスク回避度 λ(ラムダ)には、やや特殊な意味が付与されている。
すなわち、λ は、投資家がリスクを負担する場合、代償としてのリターンをどれだけ要求する
のかを示す尺度であるリスク回避度として定義される。
リスク調整後リターン
⇒シャープの測度
リスク・バジェッティング
資産構成やマネージャー構成などを定量的なリスク尺度を利用しながら管理する手法。従来
のリターンや配分額(シェア)に着目した資産運用と異なり、リスク・バジェッティングでは
リスクに着目し、決められたリスク量を適切に配分することにより、リターンの最大化を行う
ことが特徴として挙げられる。
年金運用におけるリスク・バジェッティングの利用方法としては、アクティブ・リスク配分
を考慮したマネージャー・ストラクチャーの構築、および資産クラスのリスク配分を考慮した
政策アセット・ミクスの構築が考えられる。
リスクフリー・レート
一般に、定期預金、コールなど元本が保証された商品を無リスク資産といい、その利子率をリ
スクフリー・レートと呼ぶ。
関連語:リスク・プレミアム
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リスク・プレミアム
リスクに対する見返りとして各資産が潜在的に有すると考えられる収益率のこと。
関連語:リスクフリー・レート
リスクモデル
リスク資産の期待収益率のリスク(収益のぶれ)をリスク要因(マクロ・ミクロ・テクニカ
ル等のリスクファクター)に分解して、リスク負担とプレミアムの関係を説明するモデルのこ
と。リスクモデルの目的は、ポートフォリオのリスクをコントロールすることであり、ベンチ
マークからのリターン差の標準偏差で表されるトラッキングエラー等をコントロールする。
リターン
投資活動により投資がどう変化したかを「元本」に対しての割合で測る尺度。ただ「元本」
といっても事業主(法人)及び基金においては掛金収入や給付の発生によるキャッシュ・フロ
ーが生じ、収益率の計測期間中でもその値は変化するため、計測期間中の平均値を意味するこ
とになる。
なお、リターンの測定方法には何種類かの方法があるが、計算された条件・仮定により異な
る値を示すことになることから、その目的に応じたリターンを用いる必要がある。
例えば、投資元本に対して資産がどの位増加しているかの判断に用いるリターンは、金額加
重系を用いるべきであり、マネジャーの運用成績を評価する場合は、マネジャーがコントロー
ルできないキャッシュ・フローの影響を排除できる時間加重収益率で行う必要がある。
関連語:金額加重収益率、時間加重収益率、リスク
利付債
額面で発行され、償還期日に額面全額を償還し、その期間中は利払が行われる債券。利付債
には、利率が発行時に決定(確定利付債)しているものと発行後に変動(変動利付債)するも
のがある。
関連語:クーポン、割引債
リバランス
基本ポートフォリオ(事業主(法人)及び基金の場合には政策アセット・ミクス、運用機関
の場合には各モデル・ポートフォリオなどが相当する)の資産配分を維持しようとする行為。
構築された基本ポートフォリオは時間の経過とともに時価の変動により資産構成が変化し、そ
れに伴い基本ポートフォリオのリスク・リターンも変化し最適性を失っていく。そのため、組
み入れた資産の売却や新たな資産の購入等によりポートフォリオを修正(リバランス)し、構
築当初の基本ポートフォリオに戻す必要がある。
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流動化証券
契約当事者間で生じた住宅ローン、リース、クレジットや各種貸付債権等の金融資産から発
生するキャッシュ・フローを裏づけに発行する証券。資本保有者のリスクとは切り離して金融
資産自体のリスクにより資金調達を行うことが可能。
-る-
-れ-
レコードキーパー
直訳すると「記録業者」だが、年金関連用語としては「確定拠出年金における個々人の運用
履歴管理等を行う業者」ということになる。
確定拠出年金の記録関連業務は、加入者個人ごとに管理を行うが、加入者が複数の会社を転
職したり、途中で運用ファンドを変更する場合があり、また、拠出限度額を超えていないかな
どのチェックも必要となるため、システム装備などにかかる投資も巨額のものになる。これに
対応するため、金融機関は共同でレコードキーピング専門の会社を設立している。これらのレ
コードキーピング会社(レコードキーパー)では、各種の照会・運用指図の受付などをインタ
ーネットやコールセンターを通じて行う加入者サービスも行っている。
関連語:記録関連業務
劣後債
⇒ジュニア債
レバレッジ
デリバティブは、少額の資金を元手にして、多額の資産に投資したのと同様の効果を得られ
るという特性がある。これをレバレッジ(=てこの効果)という。例えば、取引所に上場して
いる先物を取引する時には、証拠金と呼ばれる現金等を差し入れれば、それの数倍から数十倍
に相当する金額の取引ができるため、そのような効果が生ずる。
連合設立
厚生年金基金の設立形態の1つで、企業グループなどで、基金を設立しようとする企業の1
つが、同じ基金を設立しようとする他の企業の発行済み株式若しくは出資(自己が有する自己
の株式または出資を除く。)のおおむね2割を直接若しくは間接に保有する関係にある場合や、
基金を設立しようとする企業の1つが行う事業と同じ基金を設立しようとする他の企業が行
う事業との人的関係が緊密である場合に、これらの企業が共同で厚生年金基金を設立する形態
をいう。
人数要件は 1,000 人以上(平成17年4月以降の新規設立)
。なお、厚生年金基金の設立形態
には、他に、単独設立、総合設立がある。
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関連語:単独設立、総合設立
-ろ-
ロング・ショート戦略
オルタナティブ(代替投資)の一種であるヘッジ・ファンドの代表的な投資戦略。割安と判
断される証券をロング(買い)し、割高と判断される証券をショート(売り)することにより、
その後の割高割安状態の解消過程での収益獲得を狙う戦略をいう。
【わ行】
-わ-
ワラント債
ワラント債とは、一定の値段(行使価格)で発行会社の株式を買える権利(新株引受権=ワ
ラント)の付いた社債。ワラント債は、社債部分とワラント部分を分離して販売できない「非
分離型」と社債部分とワラント部分を別々に流通させることのできる「分離型」の二種類があ
る。現在では「分離型」が一般的である。社債部分は普通社債と同様に、定期的に利息が受け
取れ、満期には社債部分が額面全額で償還される。
割引債
償還まで一切利払いが行われない債券のこと。この債券のクーポンはゼロとなり、債券発行
のときに既に一定の利回りで割り引かれており、償還の際に額面金額(100円)が支払われ
る仕組み。例えば、98円で発行された1年ものの割引債では、利回りが約2.04%となる。
関連語:クーポン、利付債
割引率
退職給付会計において、退職給付債務を算出するために予想退職時ごとに見込まれる退職給
付の総額を見積り、そのうち期末時点までに発生していると認められる額を現在価値に換算す
る利率。
割安株投資
⇒バリュー運用(割安株投資)
【アルファベット】
AIMR
Association for Investment Management and Research の頭文字をとったもので、通常、
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「米国投資管理調査協会」と訳される。わが国の証券アナリスト協会に相当する。なお、AI
MRは、全米証券アナリスト協会連合会(FAF)と米国公認証券アナリスト協会(ICFA)
の上部機関として1990年に設立されたものである。
なお、2005年1月にCFA Institute(CFA協会)に名称変更している。
ALM
Asset Liability Management の頭文字をとったもので、「資産と負債の総合的なリスク管
理」のこと。年金ALMでは、掛金や給付支払等将来のキャッシュ・フローの予想などの負債
側の要因と各資産クラスの期待収益率および標準偏差などの資産側の要因について、一定の前
提を置いてシミュレーションを行うことによって、年金運営のリスクの所在とその規模・発生
頻度を数量的および確率的に把握する。
BCCI事件
ル ク セ ン ブ ル ク に 本 店 を 置 く 多 国 籍 銀 行 B C C I ( Bank of Credit and Commerce
International)はかねてよりマネーローンダリングを含む犯罪への関与が問題となっていた。
1991年7月に、英国当局の調査により、その粉飾、不正が判明したことから、各国当局と
協調して営業停止や債権者保護のための措置がとられた。
CBプラン(=Cash Balance Plan
キャッシュバランスプラン)
→キャッシュバランスプラン 参照
CB(=Convertible Bond 転換社債)
Convertible Bond の頭文字をとって呼ばれるCBとは、日本語では転換社債と訳される。
転換社債とは、株式に転換する権利(転換権)を持つ社債のことである。転換社債そのもの
は債券(社債)であるが、あらかじめ決められた価格で一定期間内に株式に転換する権利を持
った債券ということになる。
例えば、転換価格が1,000円と定められたCBを発行した株式会社のその社債権者は株価
が上昇して転換価格を上回る1,200円になったとすると、1,000円で転換できる権利が
あるため、その時点で債券を株式に転換し市場にて1,200円で売却すれば、その差額200
円が収益となり、株式を割安に購入したことと同じ結果が得られることになる。逆に、転換価
格(1,000円)を下回っていれば転換せずに債券として保有することにより、クーポン収入
と額面金額は保証されることになる。このように、債券としての安全性(利息と償還金の確実
性)と、株式としての収益性の両面を選択しながら投資できるという特徴がある。
なお、2002年4月1日の商法改正により、従来「転換社債」と呼ばれていたものは、
「新
株予約権付社債」という分類の中に取り込まれることになり、
「転換社債型新株予約権付社債」
と呼ばれるようになった。
関連語:パリティ価格
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CBO(=Collateralized Bond Obligations
債券担保証券)
複数企業の社債を責任財産としてSPC(特別目的会社)などにプールし、新たに元利払いの
優先度(発行体破綻時の償還の優先順位)の異なる債券を発行する資産担保証券のこと。企業
にとっては、単独での社債発行が困難な場合でも、資本市場からの資金調達が可能となる、発
行条件がよくなるなどのメリットがある
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
⇒AIMR
DB(=Defined Benefit Plan
確定給付型年金)
⇒確定給付型年金
DC(=Defined Contribution Plan
確定拠出型年金)
⇒確定拠出型年金
ETF(=Exchange Traded Funds
投資信託)
東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価(225種)など、特定の株価指数に連動させ
て運用する投資信託。2001年7月、東京、大阪の両証券取引所で取引が始まった。普通の
投資信託と異なり、証券取引所に上場している。このため、一般の株式同様、その日の市場価
格で売買できる。銀行株、自動車株などの株価指数に連動するETFも登場し、現在、東証と
大証に上場している。
銀行や生保などが、保有する持ち合い株式を投信運用会社に持ち込んでETFにすれば、株
式を直接市場で売却しなくてすむ。相場への影響を小さくでき、持ち合い株式解消の受け皿と
しても期待される。
GIC(=Guaranteed Investment(または Interest, Income)Contract 元本確保型商品)
元本・利回り保証投資契約。生保一般勘定で運用する商品の一つで有期(3~10年)、利
回り保証付きの契約。保険料の払込方法、保険金の受取方法、配当の有無等に応じ多様な形態
がある。米国では金融引締め期に急速に普及し、主として確定拠出型年金で活用されている。
IMRO
Investment Management Regulatory
Organization の頭文字をとったもので、直訳す
れば「投資顧問規制機構」と訳される。投資顧問会社などを監督する英国の公認自主規制機関
のこと。英国の自主規制機関は政府から権限を委譲された民間の団体であり、委譲された権限
に基づき、各社の規則の制定や会員業者の監督、更には違反行為に対する調査および処罰を行
う権限などを有している。
なお、IMROは1998年に、他の規制・監督機関、とともにFSA(金融サービス機構)
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に統合された。
IPS(=Investment Performance Standards)
⇒投資パフォーマンス基準
JBネット(=Japan Bond Settlement Network)
債券決済ネットワーク。有価証券の取引当事者と登録機関(銀行)を結ぶオンライン・ネッ
トワークを構築し、移転登録請求をペーパーレスで行うシステム。債券の売買等による名義の
移転登録を行う場合、売買当事者からネットワークを介してデータを取りまとめ、登録機関で
ある銀行にデータを中継する。主な対象証券は地方債、政府保証債、社債である。
LBO (=Leveraged Buy Out)
企業買収を行う会社が、その資金源として、自己資本の他に、買収対象会社の資産を担保と
した銀行借入れや社債等によって資金を取り入れ、レバレッジを効かせて買収を行うことをい
う。
PBO(=Projected Benefit Obligation
→予測給付債務
予測給付債務)
参照
PLAN-DO-SEE
資産運用における投資戦略の策定から運用評価まで反復・連続した一連のプロセス。まず
「Plan(計画)」で運用基本方針に基づき運用目標やリスク許容度などを決定し、政策アセッ
ト・ミックスを策定する。そして資産内の運用スタイル構成比を決定し、それに応じたマネジ
ャー・ストラクチャーを構築する。次に「Do(実行)」では、具体的に運用機関を選択し、各
運用機関に運用ガイドラインの提示を行う。さらに「See(管理)」では、運用結果の分析・評
価を行うとともに、運用環境の変化などを加味して、Plan(計画)へのフィードバックが行わ
れる。
PSL(=Past Service Liability
→過去勤務債務
過去勤務債務)
参照
REIT(=Real Estate Investment Trust
リート)
不動産投資信託。米国において、主として不動産、不動産モーゲージを投資の対象として、
その収益を多数の投資家に分配することを目的としてつくられた株式会社または信託。REI
T段階では課税されないという特徴を持っている。また、投資家の保有する株式は証券取引所
に上場され流通性が確保されている。
100
STP(=Straight Through Processing
ストレート・スルー・プロセッシング)
STPとは、投資家の投資意思決定から証券会社への発注、証券会社から取引所への発注、
そして証券・資金の決済・受渡しに至る一連の過程が、人手を介しないで全て電子的なネット
ワークを通じて行われることをいう。
TAA(=Tactical Asset Allocation
タクティカル・アセット・アロケーション)
戦術的資産配分。市場の短期的な環境変化のタイミングを捉えて、その都度期待収益率やリ
スクの推定を行い、機動的に資産配分の変更を行う手法。例えば、株式と債券の利回り格差の
計量的な分析をもとに、割高・割安を判定して両資産の構成割合の変更を行う。
関連語:戦術的資産配分
TOB(=Takeover Bid
株式公開買付)
公開企業の支配権・経営権の取得および強化を目的として、有価証券市場外で、対象とする
公開企業株式を短期間に大量に買い付けること。TOBとは英国での呼称(take over bid)に
由来し、米国では tender offer と呼ばれ、英米において企業買収の中心的手法である。株主が
合理的な判断ができるよう、公開買付に対して証券取引法(27 条の 2 以下)上の取引規制お
よび情報開示が要求されている。不特定多数の株主に保有株式の売り付けを勧誘し、支配権の
獲得をスムーズにするため、公開買付価格は通常時価よりも大幅に高い価格となっている。株
式運用の効率化と事業主(法人)及び基金の利益の観点から、TOBに対する諾否を慎重に行
うことが望ましい。
101
企業年金連合会ホームページ『企業年金用語集』URL
⇒
http://www.pfa.or.jp/top/yougosyuu/index.html
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