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第107回日本皮膚科学会総会

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第107回日本皮膚科学会総会
経皮的エレクトロポレーション(Dermo-Electroporation)
法による物質送達効率の検討
上田
豊甫(明星大学理工学部化学科)
エレクトロポレーション(電気穿孔)法は、1972 年 E.Neumann らが電気的に刺激
す ると小胞膜を通して分子を 輸送できると報告して以来研究が活発化し、
J.C.Weaver らの基礎的機構の追及に伴って遺伝子交配等への活用に関する研究
が進められた。美容用電気穿孔器はイタリアの Microlab 社等を中心に開発され、
アクシダーム、メソダームからメソアクティス等に改良されてきた。近年、医療
や美容の有効成分を無痛迅速に経皮導入する手法として注目を浴びている。
Weaver によると、電気穿孔の本質的特徴は、①短い電気パルスの適用、②脂質二
重層膜の荷電と放電、③迅速局所的な膜内構造再構築と緩徐な膜修復、④膜の穿
孔(親水性孔群の生成)、⑤経皮(膜)輸送量の驚異的な増加、からなる。本手法は、
立ち上がり電圧が 50V から 80V程度の指数関数減衰波あるいは方形波を瞬発的に
(パルス幅 10ms∼10ms)負荷して電気刺激を与えると、角層細胞間脂質や細胞膜
にランダムな多数の親水性孔を惹起し、開孔時に物質の出入りをもたらすが、最
終的に皮膚は元に戻るとされている。
トラネキ サ ム 酸
我々は上記経皮導入法の物質送達効率を調
H
CO2H
べる為に非侵襲分光法を用い、皮膚表面下1
mm の角層中を赤外全反射減衰(IR-ATR)法で観
H2N
測した。導入物質としては、肝斑、シミの減
コラーゲン
H
少に使われる中性低分子のトラネキサム酸、
ヒアルロン酸
水分を保持し皮膚をみずみずしく保つ高分子
のヒアルロン酸(分子量約 100 万)とコラー
OH
OH
O
ゲンなどを使用した。
O
O
O
HO
HO
O
O
まず、3 種の経皮導入法として電気穿孔、超
OH
NH
音波穿孔、イオン導入の 3 法を取り上げ、7%
O
n
図1 導入物質
トラネキサム酸水溶液の角層中への導入濃度
を比較した。その結果、中性低分子では、
4:2:1.5 の割合で電気穿孔法が最も多く導入された。トラネキサム酸の ATR 導入
スペクトルを図 2 に示す。
高分子のヒアルロン酸では、超音波穿孔とイオン導入の 2 法では全く導入され
ず、電気穿孔法でのみ導入されることが確認された(図3)。
図2 トラネキサム酸
茶:導入溶液
青:経皮導入 直後
緑:経皮導入 120分後
1410
cm -1
図3 ヒアルロン酸の導入結果
電気穿孔 4%
電気穿孔 2%
電気穿孔 1%
超音波穿孔 1%
イオン導入 1%
-1
糖COHのCO伸縮振動バンド1046cm から算出
0.005
0.0045
0.004
0.0035
0.003
Ab 0.0025
0.002
0.0015
0.001
0.0005
0
0
20
40
60
80
100
120
時間(min)
4%ヒアルロン酸水溶液を、メソアクティスの負極および正極の電気穿孔で導入
した結果の ATR スペクトルを図 3 に示す。水の寄与は差し引いてあり、ヒアルロ
ン酸のムコ多糖の CO 伸縮振動、カルボキシル基側鎖の CO2-対称および逆対称伸縮
振動のバンドが原液と同じように導入 5 分後に見られることから、ヒアルロン酸
が負極のスティックのみで浸透率 50 %で確かに導入されていることがわかった。
図3 ヒアルロン酸のATR
赤外吸収スペクトル
茶:ヒアルロン酸4%水溶液、
青:正極導入5分後のスペク トル
緑:負極導入5分後のスペクトル
ヒア ルロン酸
医家向けの米国製ヒアルロン酸・コラーゲンの混合水溶液を電気穿孔法で導入
した結果を図 4 に示す。ヒアルロン酸の 1050cm-1 とコラーゲンの 798 cm-1 のバ
ンドの吸光度を比較すると、原液ではヒアルロン酸の方が 4 倍ほど強いのに対し
て、穿孔直後ではコラーゲンの方が強くなっている。同じ高分子でも、コラーゲ
ンの方がヒアルロン酸よりも皮膚に浸透しやすいことが示された。
コラ ー ゲ ン
赤: ヒア ルロン酸と コラーゲン混合水溶液−水
図4ヒアルロン酸とコラーゲン
(798cm )
青: 電気穿孔直後−導入前の皮膚
緑: 電気穿孔120分後−導入前の皮膚
混合水溶液のATRスペクトル
-1
ヒ ア ル ロン酸
結論として、メソアクティスは Microlab 社で開発されたもので、全く痛みを伴
わない。最大印加電圧やパルス時間幅が自動的に調整されており、安全である。
電圧波形が顔、体、傷跡等の施術部位や、しわ、シミ、美白、スリム化等の施術
メニューによって異なり、応用範囲が広く、最高の導入器といえる。
使用効果例
ちりめん皺
施術前
施術後
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肌の肌質改善1
施術前
施術後
施術前
施術後
肌の肌質改善1
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使用前
スキンケア
使用後
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