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淡水から生物への 放射性物質の移行 - 原子力環境整備促進・資金管理

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淡水から生物への 放射性物質の移行 - 原子力環境整備促進・資金管理
RWMC9之p斗4
環境パラメータ・シリーズ
3
淡水から生物への
放射性物質の移行
財団法人
原子力環境整備 センター
環境パラメータ・シリーズ
3
淡水から生物への
放射性物質の移行
ENVIRONMENTALPARAMETERSSERIES3
ConcentrationFactors
o
f
R
a
d
i
o
n
u
c
l
i
d
e
s
i
nFreshwaterOrganisms
R
a
d
i
o
a
c
t
i
v
eWasteManagementC
e
n
t
e
r
目 次
まえがき
1.緒 言
2. 濃 縮 係 数 の 定 説
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …… …
3. 濃 縮 係 数 に 関 す る 湖 沼 化 学 的 考 察
2
…… ………… ………… ……… ……… …………
5
ー 湖 沼 ・河 川 水 の 物 性 ー … … … … … … … … … … … … … … … … …… … … … … …
5
3ー l 塩 分 濃 度 と 元 素 濃 度
…………-………………………………………………
3ー 2 淡 水 中 に お け る 安 定 元 紫 の 存 在 状 態
参考文献
5
… … … … … … … … … … … … … ………
6
…… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
1
6
4. 濃 縮 係 数 の 変 動 要 因
……… ………… … … … … … … … … … … … … … …… …………
4- 1 固 体 差 に 起 因 す る変動
21
……… … … … … … … … … … … … … … … … … ー … …
21
…… … … … … … … ……… ……… ……… …………
2
2
4- 2 棲 息 環 岐 に 起 因 す る 変 動
……………………………
2
2
……………………………………………
2
6
4- 2- 1 現 段 水 の 安 定 元 京 濃 度 な ら び に 共 存 元 来
4-2-2 核 種 の 物 理 的 、 化 学 的 形 態
4 - 2- 3
水損
………………………………………………………………………
2
6
4 - 2- 4
底質
………………………………………………………………………
27
4- 3 水 棲 生 物 の 生 理 ・生 態 に 起 因 す る 変 動
4 - 3- 1 食 性
………………………………………
27
………………………………………………………………………
27
4- 3- 2 生 体 に お け る 元 素 代 謝
… … … … … … … … … … ………… …… ………
28
4-3-3 その 他の 生 物 学 的 要 因
… … … … … … … … … … … … … … … … … ……
28
… … … … … … … … … ……… … … … … … … … … … … … … … … … …
2
9
参考文献
5.濃 縮 係 数 に 関 連 す る 計 算 モ デ ル
… … … … … … … … … … … … … … … … … … ………
3
1
…………………………………………………………
3
1
一 汽 水 域 の 生 物 の 放 射 性 核 種 の 蓄 積 の 評 価 ー ……………………………
31
5- 1 水 棲 生 物 へ の 蓄 積 評 価
5- I- I 総 量 評 価 と 濃 縮 係 数
5ー 1- 2
担分変動の影響
…… …… … … … … … … … … … … … … … … … …
31
…………………………………………………………
3
4
5- 1- 3 汽 水 産 の 生 物 の 濃 縮 係 数
………………………………………… ……
3
6
…………………………………………………
4
0
………………・・…………… … … … … ……… ………・・……………
45
5- 1- 4 動 的 モ デ ル に よ る 推 定
参考文献
5- 2 人 体 の 線 量 当 量 評 価
……… ………… ……… … … … … … … … …… ……… …
4
6
一 放 射 性 核 種 の 淡 水 生 物 を 通 じ て の 人 体 の 線 量 算 定 モ デ ル 式 ー ………
4
6
5- 2- 1 線 量 算 定 基 本 式
5- 2- 2
………… ………… … … … … … … … … … … … … … …
淡水生物中濃度の推定方法
……………………………………………
46
47
…………………………………
4
7
………………………………………
5
4
5- 2- 2- [ 核 種 移 行 モ デ ル に 関 す る 考 察
5- 2- 2- 2 パ ラ メ ー タ に 関 す る 考 察
5- 2- 3 モ デ ル 開 発 の 国 際 的 動 向
6. 濃 縮 係 数 等 デ ー タ 一 覧
……………………… …… ……………… … 5
5
……………………………… ……… …………………………
5
6
………………… …
5
6
…………………………………
5
6
6- 1 日 本 に お け る 湖 沼 化 学 的 デ ー タ か ら の 濃 縮 係 数 の 試 算
6- 1- 1 日本国 内 の 湖 沼 ・河 川 の 化 学 的 性 質
6- 1- 2 河 川 ・湖 沼 お よ び 淡 水 生 物 中 の 安 定 元 素 と 濃 縮 係 数 に 関 す る考 察
参考文献
…………………………………………………………………………
79
…………………………… ………………… ………… …
8
1
6- 2 既 存 の 濃 縮 係 数 一 覧
6- 3
生物濃縮に関連する代謝宅
ノ ラメータ
参考文献
…………・・………………………… … 107
………………………………………………………………………… 1
13
環境ぞ
ノ ラメータ整備検討第 二委員 会 名 簿
あとがき
5
9
……………………………………… …… …… 1
1
6
………………………………… …… ………………………………… …… …… 117
念品
え
カt
き
こ の 度 、 環 境 ノ fラ メ ー タ ・シリ ー ズ 3が 完 成 致 し ま し た 。 前 々 か ら 申 し て い る よ う に 、
日本における原子 力 の 歩 みは、安全を先取りしながら進んで参りました 。 今 後 も 引 き つ づ
き 、 科 学 の 粋 を 結 集 し た 安 全 確 保 が 大 切 な ことは 申 す ま で も あ り ま せ ん 。
さ て 、 人 聞 が 生 活 す る 環 境 に お け る 放 射 能 を安 全 に 管 理 す る た め に は 、 放 射 線 源 か ら 大
気 、 陸 圏 、 水 圏 を 通 じ て の 人 へ の 放 射 性 物 質 の移行を、 計 算 モ デ ル を 用 い て 解 明 す る こ と
が有効な手段となります。実際の環境試料からの検出が困難なほどに微量な水準でも、放
出 誌 を も と に 算 定 す る こ と が で き ま す 。 そ して、 先 々 の 生 活 環 境 へ の 影 特 を 予 測 し て 、 予
め管理の対策を講じて万全を期す訳です。
こ の よ う な 線 量 算 定 の モ デ ル に は 、 放 射 性 核 種 の 環 境 に お ける 各 過 艇 で の 移 行 を 定 量 的
に示すノマラメータが用いられています 。 し た が っ て 、 計 算 モ デ ル が い か に 理 論 的 か っ 精 密
にできていても、それに用いるパラメ ータが不正確では意味がありません 。 つまり、計算
モデルと パ ラ メ ー タ は 、 バ ラ ン ス が と れ て い る こ と が 必 要 で す。 計 算モデルと環境パラメ
ー タ に つ い て は 、 国 際 原 子 力 機 関 (IAEA) 、 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 (ICRP) 等 の
出版物があります。 しかし、環境ノぞラメータには、それを求めた実験条件による変動があ
り、また、地駿特性等による変動も認められます。 したがって、原子力施設の立地にあた
っ て は 、 そ の 地 域 に 適 合 し た 精 度 と 信 頼 性 が 高 く か っ 実 際 的 な パ ラ メ ー タ を 選 定 してゆく
ことが大切となります。
当センターにおきましては、合理的かっ実際的なパラメータ選定をめざしての検討をつ
づ け て お り ま す 。 多 岐 に わ た る 環 境 ノ マ ラ メ ー タ の う ち か ら 、 原 子 燃 料 サ イ ク Jレ 施 設 関 連 の
公 衆 の 線 量 算 定 に 重 要 で 、 か つ 日 本 に お け る検 討 の 機 会 が 之 し か っ た も の か ら 順 次 に と り
あげて、検討をして参りました。 つまり、専門科学者各位の協力によって、先ず放射性物
質 の 土 壌 か ら 農 作 物 へ の 移 行 に つ き 植 物 の 種 類 別 に 移 行 係 数 を ま と め (環境ノ マラ メータ ・
シ リー ズ N
.
o1、
1
9
8
8)、 次 いで、
土 機 中における放射性核種の移行速度を知るための 土 壌
と 土 壌 溶 液 聞 に お け る 放 射 性 核 種 の 分 配 係 数 (K d) を 土 壌 種 別 に 整 理 し ま し た ( 環 境 パ
o
.
2、
ラメ ー タ ・シ リ ー ズ N
1
9
9
0
)。 科 学 者
・技 術 者 各 位 か ら 、 環 境 放 射 能 安 全 評 価 の 向 上
に有効との激励に加えて、このような真撃な検討が安全に関する 一般の理解を深めるとの
意 見 む い た だ き ま し た 。 海 外 か ら も 照 会 状 が 届 い て お り ま す 。 また、
1
9
9
1年 I
1月 の 日 本 放
射 線 影 響 学 会 大 会 シ ン ポ ヅ ウ ム 『公 衆 被 曝 線 量 算 定 の た め の モ デ ル と パ ラ メ ー タ (一 ツ橋
ホール、東京〉における論議のベー ス資料として紹介され、日本原子力学会誌特集の中で
も近く紹介されると聞いております。
地道なデータ整理にすぎませんが、このような反響に応えて、今回は淡水生物への放射
性 物 質 の 移 行 を ま と め ま し た 。 こ の パ ラ メータ に つ い て は 、 日 本 で は 総 括 的 検 討 の 機 会 に
恵まれなかったので、斯学専門家を結集しての検討を行いました。そして検討委貝会では,
既存データの収集整理に加えて、日本の湖沼学的データを集めての新たな濃縮係数の算出
も行われました。
本
:
rを 出 版 し 関 係 各 位 の 御 参 考 に 供 す る に あ た り 、 こ こ に 、 本 書 の 編 集 と 執 征 に あ た ら
れた環境パラメ ー タ整備検 討 第 二 委 員 会 の メ ン バ ー を 始 め 協 力 科 学 者 各位 に 心 よ り 御 礼 を
申し述べます。
1
9
92年 5月
財団法人
原子力環境整備センター
理事長
福 田 俊 雄
1. 緒
区ヨ
原子力施設などから水闘に放出される放射性物質は、水産生物を通じて人体に摂取され
る 可 能 性 が あ る た め 、 放 出 は 規 制 さ れ て い る。 わ が 国 に お い て は 、 原 子 力 施 設 の 多 く は 海
岸 に 設 置 さ れ て い るた め 、 放 射 性 物 質 の 沿 岸 海 域 放 出 に つ い て 多 く の 調 査 研 究 が な さ れ 、
そ の 成 果 を 取 り 入 れ て 放 出 規 制 が 実 施 さ れ て き た 。 一方 、 欧 米 諸 国 で は 、 原 子 力 施 設 が 主
として河岸に設置され、そのため、飲料水や淡水生物の放射能研究に多大の努力が払われ
てきた。
このように、わが国では放射性物質の河川湖沼への直接放出は殆ど皆無であり、従って、
淡水生物の放射能については余り関心がもたれなかった。しかし、原子燃料サイクル施設
の 多 様 化 に 対 応 し つ つ 公 衆 の 被 曝 線 s推 定 の 合 理 化 を は か る た め に 、 従 来 検 討 の 機 会 が 乏
しかった淡水生物への放射性核種の移行に関し、ここに内外の知見を収集整理する次第で
ある。さらに、河川湖沼水と海水が影響を及ぼしあう水域、つまり、汽水域での放射性核
騒の生物濃縮を解明することも大切と考え、この点についても考察を進めた 。
- }-
2. 濃 縮 係 数 の 定 義
欣射性核種が環岐に放出された場合 、被食者と捕食者の食物関係のつながりによって放
射性被極は高次の栄養段階にもたらされる 。放射性抜舗が食物連鎖における各構成民間に
皐した欣射性絞種濃度の 権成 員聞の比の値を濃縮係数と呼ぶ。 濃縮
分布したとき、平衡に j
係数は陸上環境での土液と植物の問、あるいは、飼料生物と捕食者との聞などで定表され
るが、水捷生物と水中の絞磁波度の関係を定量化するために用いられるのが最ら 一般 的 で
ある
濃度の単位としては生重量当りの値をとることが多い。 つまり.人体が食物を通じ
て慌取する畳を知るためには生重鼠当りの値を用いることが便利である 。
71<悼生物が放
射 性 絞 紐 や 安 定 元 素 を 取 り 込 む 経 路 に は 、 餌 料 生 物 の 消 化 管 吸 収 に よ る も の と 、え らや 本
{
表を通じて水中から直接取り入れるものとがある 。 これらのうちのどちらの経路が丑要か
は 、 舷 織 や 生 物 種 に よ って 異 な り ー 慨 に い う こ と は で き な い 。 元 素 の 水 綾 生 物 移 行 に は 権
維 な 生 理 ・生 態 学 的 な 反 応 機 作 ・効 果 が 関 与 し て い る が 、 濃 縮 係 数 は こ れ ら の 現 宋 を 捨 象
し、 生 物 と 環 境 の 平 衡 関 係 を 前 提 と し て 水 楼 生 物 の 欣 射 性 絞 極 の 蓄 積 の 程 度 を そ の 生 息 環
鳩 と 関 連 つ け て 定 量 化 したらのであ るということができる 。 すなわち 、 紋 射性 隊 極 探 庭 が
最終 的 に こ の 系
一 定 の 水 域 で 水 綾 生 物 が 水 、 餌 料 を 通 じ て 次 第 に 放 射性彼極を取り入れ、 i
草したときの両者の比を濃縮係数
で欣射性絞樋の分布が平衡にi
(
C
o
n
c
e
n
Lr
a
Li
o
nP
a
c
L
o
r)
と L、
う
必縮係数
=
71<楼生物の放射性骸種 (元素 )濃度
/
水 中 の 放 射 性 骸 種 (元 業 )濃 度
q/ g)を 採 り 、 生 息 1<
1に つ い て
-般に 、 生 物 に つ い て は 生 重 量 当 た り の 放 射 能 {例 、 s
は 、 便 宜 上 で 容 積 当 た り の 放 射 能 (例 、 B
q/
e)を 探 っ て い る 。 生 物 の 器 官 組 織 に つ い て
の 記 械 が な い 時 合 は 、 可 食 部 (魚 肉 な ど } を 対 象 と し た ら の を 原 則 と す る が 、 小 魚 で は 金
魚体の場合も見受けられる 。
絞t
暴 発 実 験 に よ る フ ォ ー ル ア ウ ト に 由 来 す る 放 射 性 核 植 、特 に 、 川 S
r、1l!7C
Sについては、
現 境 中 で の 挙 動 、 人 体 に よ る 取 り 込 み な ど を 定 量 的 に 考 察 す る と き 、 そ れ ぞれ、
対比しながら取り披われてきた 。 環境物質や生体組織の
l
S
uの 単 位
(ス ト ロ ン チ ウ ム ・ユ ニ ッ ト 〉 で 、また、
C
a、 Kと
1gの C
aに 対 す る 川 S
rl
p
C
iを
1gの Kに 対 す る
け7
C
Sl
p
C
iをl
C
u
(セ シ ウ ム ・ユ ニ ッ ト )とし て 慣 例 的 に 表 さ れ て き た 。 放 射 性 核 種 の 環 境 中 で の 移 行 経 路
や食物連鎖上で S
rや C
sは 、 C
aや Kと そ れ ぞ れ 類 似 した挙 動 を 示 す が , 閉 じ で は な く あ る 程
度の差異があり 、 これを差別
(
O
i
s
cr
i
r
n
i
n
a
li
o
n
)と 呼 ん で い る 。 個 々 の 段 階 で の 差 別 が 総 合
r/
C
aや C
siK
さ れ た 結 果 と し て 、環境水と71<植生物の問 、 あ る い は 、 食 物 と 人 体 と の 聞 に S
の比が異なってくる 。 このような比は差別比 (
O
b
s
er
v
e
dR
al
i
0)と 呼 ば れ る が 、 特 に 、
Sr
と
C
aの 拳 動 の 額 似 性 が 高 い こ と か ら S
rC
a差 別 比 は U
U
Sr
の準動の解析に広く利用されてきた。
-2ー
すなわち、環境水と水棲生物との間の差別比 (
O
R
)は、
OR
=
(魚体の・ o
S
r
/
C
a
) /
(
水中の '
OS
r/
C
a)
と表すことができる。
放射性核種の水楼生物における護縮係数は水中の安定同位元素及び類似元素の濃度によ
って 変 化 す る 。 予 め い ろ い ろ な 水 域 で の OR
を求め放射性核種の濃縮係数と水中の安定元紫
濃度の関係を得ておけば、類似安定元紫のデ ータしか得られない水域においても放射性核
種の濃縮係数を誘導することができることになる 。
放射性舷種の水棲生物による取り込みを動態的にとらえるために生物の取り込みを環境
水中の濃度、 そ し て 、 生 物 に よ る 排 出 を 生 物 中 の 濃 度 と 聞 の 一 次 反 応 と み な し て 表 現 す る
手 法 が 広 く 用 い ら れ て い る。 す な わ ち 、 時 刻
度 を Ct、
tに お け る 生 物 中 お よ び 水 中 の 放 射 性 核 種 濃
Cw 生 物 に よ る 放 射 性 核 種 の 摂 取 率 、 排 出 率 を し た と す る と 生 物 中 の 放 射 性 被
種濃度は次式のように表すことができる 。
dC
,
ーニ = l・Cwー (k+え)・Ct
(1)
d
t
Cw が 一定の 値 c
r
aであれば、
、
o
n
s
t,
:.t
'c
(2)
‘
t
)
こι _ (1-0ー( 川)
ct=L
ー
¥
ー
/
k十 A
である 。 ただし、 A I
ま、放射性核種の域変定数である。
C山 は 実 際 の 環 境 で は拡 散 な ど に よ っ て 時 間 と と も に 変 動 す る も の と 考 え ら れ る が 、 も
し、物理学的な填変による減少のみを考織すればよい場合には、初期濃度を~とすれば、
e
Cw=C~ .
( 3)
J
.
t
であり、
(l) の 解 と し て 次 式 を 得 る 。
O
: r、
Ct=
ラ
弘
e
-J.tィ
(4)
(
k+λ)
t
4
)式はそれぞれ、
2
)式 お よ び (
生物中の政射性絞種濃度を水中の濃度に対する比で表すと (
次式のようになる 。
t)
ム
=- L (1一円吋)
Cω k+え
(5)
2L=土(1-e-kt)
(6)
Cω
k
濃 度 係 数 (CF)は 放 射 性 核 種 の 分 布 が 生 物 中 と 水 中 で 平 衡 に 達 し た と き の 両 者 の 比 で あ る
か ら (5)、(6) 式 で
→ ∞ と し た 値 と す る こ と が で き る 。 したがって、
t
-3ー
9
CF=l
i
m t= lim~h _e
<
-k
+)
.
)
t
)=二
一i
t- C
ω c-∞ k+.
i¥
- J k+.
(7)
国
あるいは、
CF=l
i
m~t
t)
=l
i
m ~. (
1-e
-k
=土
『∞ k
(8)
t-同 cw t
を得る 。
濃縮係数は放射性同位元業などを用いた取り込み実験データから回帰分析によって求め
ることができ、(7)、(8) 式 の よ う な 代 謝 ノ ぞ ラ メ ー タ と の 対 応 が あ る も の と さ れ て い る 。
しかし、この方法は元素の生物濃縮現象を極めて単純化してとらえているものであり、得
ら れ た 濃 縮 係 数 を適 用 す る 際 に は そ の 効 用 と 限 界 に つ い て 十 分 に 吟 味 す る こ と が 必 要 で あ
る
。
-4-
3. 濃 縮 係 数 に 関 す る 湖 沼 化 学 的 考 察
一 湖 沼 ・河 川 水 の 物 性 一
生物の元素の取り込み即ち濃縮係数は、様々な物理、化学そして生物学的要因で変動す
る。このような変動要因の影響を考慮に入れながら、日本の湖沼や河川に棲む生物につい
て濃縮係数を検討することが、本報告が目指す目的のひとつである 。従来このような作業
は、わが国においては海洋を主な対象としたもので、一般に普遍的な性状を維持する海水
を そ の 基 準 と し て 求 め ら れ た も の で あ る 。 そ こ で 、 こ こ で は ま ず 湖 沼 ・河 川 水 の 物 理 、 化
学的な性質や特性を調べ、さらに、そこに棲息する生物との係わり合いについて考案を加
える。
3- 1 塩 分 濃 度 と 元 素 濃 度
淡 水 闘 に お け る 生 物 の 元 素 の 取 り 込 み に つ い て 検 討 す る と き に は 次 の よ う な 河 川│
・ 湖沼
水の元案濃度と物性との関係を考慮に入れることが必要である。
(
1) 淡 水 ・汽 水 の 塩 分 濃 度 と 元 素 濃 度 、
(
2)
懸濁物の存在と元素濃度。
2
)に 関 す る 研 究 例 に 比 較 し (1)の 報 告 例 は 少 な い 。 淡 水 の 物 性 や 元 素 濃 度 に は 地
しかし、 (
質学 的 な 地 域 特 性 が あ る と 考 え ら れ る の で 、 こ の よ う な 検 討 を 行 う に あ た っ て は 、 ま ず 、
それぞれの地域に固有の情報を蓄積することに留意する必要があろう。
カ ナ ダ Dalhousie 大 学 の Asoka. 1
. k.等
1)
が 行 っ た ソ グ ネ フ ィ ヨ ル ド に お け る Moに関す
る 調 査 で は 、 元 素 濃 度 と 塩 分 濃 度 は 直 線 関 係 に あ る こ と が 示 唆 さ れ て い る 。 Van der S100t
等わや掛 orris. A
. 1
1
'
. 等 れ も こ の よ う な 関 係 を 報 告 し て い る が 、 Head. P
. C. 等・}によれ
ば、このような関係は、安定元素を多量に含む海水が濃度の低い河川水で稀釈される結果
と し て 得 ら れ る も の と さ れ て い る 。 一 般 に 、 河 川 ・湖 沼 等 の 淡 水 が 流 入 す る 海 域 で は 、 最
初に、海水と淡水の混合が起こり前述のような結果がもたらされる 。 しかし、淡水の海水
に よ る 無 限 稀 釈 に よ っ て 海 水 の 元素 濃 度 は 見 か け 上 は 一 定 に 保 た れ て い る 。 海 水 中 で は 引
き 続 き 種 々 の 反 応 が 進 行 す る 。 Kharker. D. P.等 6) によれば‘、淡水においては微量元素は
無 機 ・有 機 粒 子 に 収 着 ・吸 着 し 、 こ れ ら の 粒 子 と 挙 動 を と も に す る 。 淡 水 と 接 触 す る と 粒
子からの溶出や離脱などの反応が起こり、生物、物理的な作用で系外に失われた部分はこ
れらの副次的な反応によって補われることになる 。一方、ある元索が河川水に高い濃度で
. 1.等~ )の指摘するように人為的な、
存 在 す る こ と が 観 測 さ れ る こ と が あ る が 、 Pau1son A
或いは、地域に固有な効果が元素濃度に大きな影響を及ぼす可能性にも注意を払う必要が
1<.圏におけるそれら
ある 。 水 中 に お け る 元 素 の 挙 動 は 元 素 の 種 類 に よ っ て 異 な っ て お り 、 7
-5-
の存在状態を理解することが水様生物による元素濃縮を把握するためにも不可欠となる 。
そこで次にこの点について触れてみたい 。
3-2 淡 水 中 に お け る 安 定 元 棄 の 存 在 状 態
淡水中の微量元素、
C
r、 M
n、 F
e、 C
o、 Ni、 C
u、 Z
n、 As、 旬、 M
o、 Ag、 C
d、 S
n、旬、 T
I、
あるいは、 P
b等 は M
(
H
t
O
)
nH で 示 さ れ る
で示される
1n
m程 度 の 金 属 水 和 物 の 粒 子 、M(
H
0
).
rC
I
+や MC
OH
)
2
"
2
1~ 2n
m程度の無機錯体位子、 M
-ア ミ ノ 酸 や M
脂 肪 酸 な ど の 2.
.
_6n
m
程度の有
織錯体粒子,そして小 clay や ~1 -Pe20 司或いは M - Mn0 2 など粒径が 10~500nm に及ぶコロイド
錯体となり、さらには土療や生物残漬等の懸濁物に吸着
4
5
0
n
m以 上 の 粒 子 と な っ て 系 中 に
存 在 す る と い わ れ て い る 7)。 これ ら の 存 在 状 態 を 知 る 方 法 は 、 対 象 と な る 粒 子 の 粒 径 が
1
0
-5000Aと微細なため、 D
eM
o
r
a
.S
. J.川 や 谷 崎 等 " の 報 告 に み ら れ る よ う に 、 化 学 的 な
方法によらず物理的手段によることが多 l
'o そ の ほ か の 方 法 と し て P
l
o
r
e
n
c
e, T
.M
. 等の
そ の変法で高速液 体クロマトグラフを用いる
ヘ キ サ ン ・ブタノ ー ル に よ る 情 煤 抽 出 法 l川 、
L
ee
.J
. 等 の 方 法 t川、そして 、 前述の F
l
o
r
e
n
c
e, T
. ~1.等が報告しているキレート樹脂を
用いる分離法
121
、
吏 には B
a
Lley.
G
.E
.
等の電者法 い
』
等がある 。 し か し 、 こ れ ら は 淡 水 中
に存在する元素の原子聞の結合状態を提え、その化学構造を明らかにしようというもので
はなく、全体としての粒子の荷電や極性等を促えようとするものであり、
"枝子の大き さ
で分けることが元素の化学的性質を説明する"という認識に基づいた方法ということがで
きる 。 と こ ろ で 水 の 分 析 で し ば し ば 探 周 さ れ る
O
.
45μm の メ ン ブ レ ン フ ィ ル タ ー に よ る ろ
過という損作も単に水中の生物効巣を除去するばかりではなく、元素の水中で存在し得る
種 々 の 物 理 ・化 学 的 状 態 を 分 別 し 得 る も の で あ る 。
こ の よ う な 研 究 で 得 ら れ た 知 見 に 基 づ い て 淡 水 中 に お け る 元 来 の 物 理 ・化 学 的 状 態 を 個
々の元素について以下に述べる 。
Cr)
クロム (
淡水中の C
r濃 度 は O
.2
5
μ
g/eである tけ 。 C
r
の淡水中濃度は鉱山の存在や工場の排水
が水系に流入するかなどにより大きな差異を生じるが、平均すれば
2.5μg/ O前 後 の 値
r
e
f
r
y, J. H
.等 t目}の調査
である。その化学形についてはミシシッピー河を対象としたT
が あ り 、 年 開 放 出 量 の 1 .5%が 可 溶 性 で あ っ た と 報 告 し て い る 。 G
i
b
b
s
.R
.J
.16) はアマ
ゾン河とユーコン河の C
rの 存 在 比 を 調 べ 、わ ず か な 可 溶 性 画 分 と 有 機 錯 体 に 吸 着 、 沈 搬 す
る 画 分 、 或 い は 、 間 形 手 干 機 体 と 共 に 沈 澱 す る 画 分 等 に 分 け られると 報 告 し て い る 。 す な わ
ち、 河 川 中 に 放 出 さ れ た C
rは 全 量 の 15%以 下 が 水 中 に 滞 留 す る が 、 こ の 画 分 は イ オ ン 交 倹
r(V
I)として 存 在 す る 。
反応などに関与している可能性があるとしている 。海水中では C
-6-
P
e
n
t
r
e
a
t
h
.R
. ]. 11) が 述 べ て い る よ う に 水 和 に よ っ て 急 激 に C
r(孤)が除去され可溶
性の C
r(羽 ) が 水 中 に 残 る 結 果 で あ る 。 つまり
れば、そのわずか
C
rは 3価 と し て 淡 水 あ る い は 海 水 に 流 入 す
2%が 溶 液 中 に 留 ま る だ け で あ り 、 9
8%は 懸 織 物 に 吸 着 し 生 物 が 利 用 で
きはい形態へと変化する。
C
r (Vl)であれば 2
5%が 水 中 に 可 法 態 と し て 搭 存 し 、 1
0%は懸
濁粒子や有機化合物と結合し、その
65%は 底 質 に 移 行 す る 。 すなわち、 C
rは 3価 と し て 放
出 さ れ れ ば 急 激 に 底 質 に 移 行 し 、 6価 で あ れ ば 底 質 へ の 移 行 比 率 は 低 い 。 ま た 、 底 質 と そ
れ に 接 す る 水 と の 間 の 分 配 係 数 (Kd)は 前 者 が
マンガン
3x1
0$で あ り 、 後 者 は 3x1
0・である
1•
。
)
(
M
n)
海水及び汽水中の M
n
濃度は
3μg/ P.、淡水中の濃度は 5-10μg/ P.である 。 湖 沼 中
のM
nは 可 溶 性 、 或 い は 粒 子 状 と し て 非 常 に 安 定 し た 状 態 に あ る 。 しかし、
境 分 濃 度 4% 程 度 の 海 水 に 接触すると、
F
eとは異なり、
E
v
a
n
s
.D
. W
.等 t川 の コ ロ ン ピ ア 河 に i
却する報告
nが 増 加 す る 。 これは M
o
r
r
i
s, A
.W
. 等 18
) が述べているように水中の
のように可溶性の M
hの存在はその系内で起こる凝集、あるいは、粒子の再懸濁等、錯体の反応に関連した複
数 以 上 の反 応 が 進 ん だ 結 果 で あ り 、 全 て の 反 応 は h を可 溶 化 す る 方 向 へ と 進 む こ と に よ っ
ている 。 ま た 、 稀 酸 可 溶 性 の M
n!
帳濁 粒 子 の 再 溶 解 も 可 溶 性 M
n
の増加の理由となっている 。
F
e
e
l
y,R
.A
.等 20) に よ れ ば Mnに 凝 集 が 起 こ る の は 塩 分 濃 度 で 20%程 度 で あ る と さ れ て
いる 。
鉄
(
F
e
)
海水中の F
eの 濃 度 は
10μg/ p.、淡水中の濃度は一般的にはこれより高く、 50μg/P
.
程度とされている 。淡水が海水と倭触することによって、淡水中の安定元素がどのような
物理化学的変化をするかについては、
eは、
河 川 中 に 放 出 さ れた 可 溶 性 の F
P
a
u
l
s
o
n,A
. 1.等 $
)の 報 告 が 示 唆 的 で あ る 。
Mi
ll
.A
.1
.B
.
21)
の総説によれば、
3
0%が 弱 酸 性
でコロイド粒子となって沈降、系外に除去される。この状態は氷塊が低濃度の海水と接触
す る ま で 安 定 な 状 態 に あ る が 、 塩 分 桜 度 4% の 海 水 と 接 触 す る こ と に よ り 再 び コ ロ イ ド の
形成は 活 発 と な り 、 そ の 結 果 、 水 中 の 可 溶 性 F
eの 濃 度 は 急 激 に 低 下 す る 。 こ れ は こ の 濃 度
領域で特有の反応である 。汽水域で F
e分 子 が 粒 子 の 表 面 に 吸 器 す る 結 果 、 濃 度 が 低 下 す る
現 象 は 広 く一 般 に 観 察 さ れ る こ と で あ り 、
イオン群による
B
o
y
l
e, E
.A
.等 22
) が述べるように海水中の陽
F
eコ ロ イ ド の 凝 集 反 応 に 起 因 す る も の で あ ろ う 。 M
u
r
r
a
y
.J
.W
. 等 23
) は
、
eは 9
0%以 上 が 沈 降 に よ っ て 系 外 に 除 去 さ れ る こ と を 示 し て い る 。
この反応によって F
コバルト (CO)
C
oの 海 水 中 濃 度 は O
.1
μ g/ fよ り は 低 く 、 淡 水 で は 1 .0μg/ P.である'‘)o
C
oは 懸 濁
物に吸器する 。 この吸着には水中の懸濁物の粒子径が密接に関係しており、粒子径が
-7-
1
6
μ m以 下 で 吸 着 盤 と 粒 子 径 は 高 い 直 線 性 を 示 す 。 ま た 、
C
oの 粒 子 吸 着 は 粒 子 中 の 有 機 物 の
a
r
s
h
a
l,
l L
.S
.等 2 .) は 内 水 面 表 層 水 中 に 存 在 す
含量とも係 わりがあるとされている 。 M
る全 C
oの 22%が 粒 子 と 結 合 し 、 こ の 中 の 44%が プ ラ ン ク ト ン 等 の 生 体 物 に 吸 着 し て い る と
報告している。富栄養状態の淡水系では C
oが 水 中 の 可 溶 性 の 有 機 物 と 錯 体 を 形 成 し 、 そ の
結果、懸濁物や底質への移行率が減少することを V
a
n
d
e
r
p
l
o
e
g, H
.A
.等 2 ~ )は報告してい
る。
種々の物理化学形態を経て底質に吸着された C
oは 、 弱 酸 、 あ る い は 酸 化 ・還 元 剤 等 の 作
用で容易に離脱反応を起こす 。海水中の C
oは B
o
w
e
n, H
.J. M.26)が 述 べ る よ う に 2価 で 存
在する。 A
mi
a
r
d
.1
. C21) によ れ ば 、 そ の う ち の 88%は可 溶 性 で 1
1
.1
%が不漆性であると
ph
el
.1
. L.等 28) は 淡 水 湖 の 調 査 結 集 か ら 、 全 投 入 量 の 28%が底質に吸着、
されている 。 O
6.04%は 水 中 に 、 ま た 、 全 量 の 1 .8%は 懸 濁 物 中 に 存 在 す る と 報 告 し て い る 。 淡 水 底 質 と
K
d
)は、それぞれ、 1
03 及 び 1
0
' の桁であるとされている
海底底質の分配定数 (
3
4¥底 質 に
C
oが 結 合 し た 場 合 そ の 10%が 生 物 に 取 り 込 み 可 能 な も の で あ り 、 90%は 利 用 さ れ な い 錯 体
であると見積もられている 。
ニッケル (Ni
)
N
iの 海 水 及 び 淡 水 中 濃 度 は 、 l
μ g/JZ及 び 5
μ g/JZである 1川。B
o
w
e
n
.H
.1
. M
.2G)
によれば海水中では可溶性の N
iが 優 勢 で あ る と さ れ て い る 。 G
i
b
b
s, R
.J
.16) は 、 河 川 中
でれば以下のうよな化学形をとると報告している。
アマゾン河
ユ ー コン河
可溶性及び有機態
2.
7%
2
.
2%
吸着態
2
.
7%
3
.1%
沈澱及び共沈澱
4
4
.
1%
4
7
.
8%
有機国体
1
2
.
7%
1
6.
0%
結品底質
3
7.
7%
31
.0%
一方、 L
e
1
a
n
d
. H. v
.等
)は汽i
l<域の N
iの量 が 底 質 の 粒 径 や 有 機 物 含 量 と 関 連 し 、 地
29
下水の場合では不溶性の水和無機塩と結合することを報告している。
海 水 中 の れ は そ の 95%が 懸 濁 粒 子 、 有 機 錯 体 或 い は 有 機 国 体 と 結 合 す る 。 また、 5%が
N
i2+と し て イ オ ン 状 、 あ る い は 、 コ ロ イ ド 状 と し て 水 中 に 溶 存 す る 。 淡 水 や 汽 水 中 に 放 出
された N
i-6
3の 水 と 底 質 と の 分 配 は 分 配 係 数 (
K
d
)で 1
0
' と算出され、河川に N
i
6
3が 放 出 さ
0
れ た 場 合 に は l年 聞 に 放 出 量 の 30%が 底 質 へ と 移 行 し 、 ま た 、 海 洋 、 汽 水 域 で は 年 間 に 6
% が 移 行 す る と 見 積 も ら れ て い る S川
。
銅 (C
u
)
u
i
n
k
e
r, J. C
.等 30) の ラ イ ン 川 に 関 す る 研 究 で 報 告さ れ て い る よ う に 海 水 舌 と 接
C
uは D
-8-
触することにより系外に失われる 。 その反応は S
h
o
l
k
o
v
i
t
z
.
E
.R
. 等 3I) が 述 べ る よ う に
F
eの 系 外 へ の 消 失 と 同 様 、 海 水 の 陽 イ オ ン 群 に よ る コ ロ イ ド の 凝 集 反 応 に よ る も の で あ る 。
F
e
e
l
y, R
.A
.等 20) は 、 こ の 反 応 の 結 果 平 均 50%が 系 か ら 失 わ れ る と 報 告 し て い る 。
亜 鉛 (Z
n
)
2
nの 海 水 濃 度 は 1
2
μ g/ .
Rで あ り 、 淡 水 中 で は 1
0
μ g/ R
.程 度 と 考 え ら れ て い る ' 川
B
o
w
e
n,H
.J
.M
.ZS) は 海 水 に 溶 存 す る Z
nは Z
nZ+として存在し、 P
e
n
t
r
e
a
t
h
.R
.J
.32) は そ の 一
n
(
O
H
)φ と し て 存 在 す る と 報 告 し て い る 。 海 水 中 の Z
nの
部 がZ
10-15%は イ オ ン 状 で あ り 3
5
a
m
e
s
.C.
S
.
-40%が 粒 子 に 結 合 し 、 そ し て 、 50%が 錯 体 と し て 存 在 す る と い わ れ て い る 。 J
等
3
3
) は酸化状態の環境下では水中の可溶性の 2
nの 3
8%は Z
n2+であり、 30%は 2
n(
0
l
1)2 と
して、
1
8%が Zn
C
l+
であるとしている 。 また、還元状態では2
n
Sが 支 配 的 で あ り 可 溶 性 Z
nの
9
9
.
2%は Z
n
(
O
H
)
3 として存在すると述べている 。淡水中においては p
l
lが 6.2-8.0前 後 の 中
性域ではZ
n が支配的であり、
2φ
7
.
0以 下 で は 硫 化 物 錯 体 、 7
.0
以上であれば炭酸埴の錯体が
優勢であると報告している 。T
r
e
f
r
y,1.H
.等
IS)
はミシシ ッピー何では 9
.9%が 可 溶 性 で あ
るとしている 。
海水中に Z
n6
5が 放 出 さ れ る と
2
0%が 懸 濁 物 の イ オ ン 交 換 基 と 強 く 結 合 し 、 1
0%が 可 溶 性
の粒子表面の弱イオン交換基へ、そして 6
0%が 国 体 、 有 機 物 、 可 溶 性 有 機 錯 体 あ る い は コ
n中 の
ロ イ ド に 取 り 込 ま れ る と さ れ て い る 。 つ まり全 Z
1
0%が 遊 離 イ オ ン 状 と し て 、 あ る い
は、炭酸境、水酷化物として水中に残ることになる。
Z
nの 底 質 へ の 移 行 は 海 水 の 底 質 の Z
n
濃度が4
0-80μg/g、 淡 水 の そ れ が 60μg/gで あ る こ と か ら 分 配 係 数 で 表 し て 両 者 と も
6X
1
0-6X IO$程 度 で あ る と い え よ う ( 上 述 し た Z
nの 水 中 濃 度 は 定 常 的 な 値 と し て は 寓 す ぎ
3
る可能性がある 。 0
.
1-10μg/ R . の 範 囲 で 水 中 濃 度 と す る こ と が 合 理 的 で あ る )I・3
。淡
水中においては、
Z
n
6
5は 底 質 粒 子 と 容 易 に 結 合 し 、 Kd値 は 1
03
-10・であるという D
u
u
r
s
m
a
.
E
.K
.等 Sりの報告もある。
セレン (S
e
)
S
eの 外 洋 に お け る 海 水 濃 度 は 0.075μg/ ~であり沿岸水はこれより高く
ある'‘
υ淡 水 の 湖 沼 で は こ れ よ り 吏 に 高 く 、
O.
2μg/R.で
0
.
2
μ g/ i
.以 上 と さ れ る が 400μg/ R.の例
もある 。
B
r
y
a
n
.G
.,
.
等 3$)は海水中の S
eの 化 学 形 は S
eO
.2帽で あ る と 報 告 し て い る 。 S
e濃 度 は 深 層
よりも表層で高い。
S
u
g
i
m
u
r
a
.Y
.等 3nは 表 層 水 の S
eの 50-80%が 4価 で あ り 、 さ ら に 6価
e濃 度 が 深 層 水 よ り も
のS
著しく変化する。
3倍 ほ ど 高 い た め で あ る と し て い る 。 S
eの 酸 化 状 態 は p
Hに よ っ て
p
H
6
.3-6
.
7
域 で は 亜 セ レ ン 酸 の 第 2鉄 埴 と し て 沈 級 、 p
l
l8で は 酸 化 さ れ
u
t
t
e
r
.G
.A
.3
'
)に よ れ ば 天 然 水 中 の S
e(!V)と
可溶性のセレン酸イオンとなる 。C
それぞれの濃度は、海水表屈でS
e(rv) は
S
e(v
l)の
5n
g
/.
R以下、 S
e (Vl)は 8
0.
2
n
g/.
R、 ま た 、 淡
-9-
水 湖 で お (1
V) は 1
7.7ng/P
.、S
e (V1)は 5.Ong/P.以下、つまり、海水中では Se(
VI)が主
で あ り 淡 水 中 で は お (r
v) が 優 勢 で あ る と さ れ て い る 。 淡 水 中 の Seの 化 学 形 態 は Se03Z輔で
i
n
e
.D
.1
.3 3 ) が 述 べ る よ う に 淡 水 中 の Seは水酸化物、 M
n酸 化 物 、 粘
あ る と 考 え ら れ る 。 SlI'a
土粒子等に吸着する 。この反応は塩分濃度の上界する汽水域では逆方向に進み、粒子など
に吸着した S
eは 水 中 に 離 脱 す る 。
ルビジ ウム (
R
b)
R
bの 海 水 中 濃 度 は 120μgjp.、淡水の濃度はこれにより低く、 1-1.5μg/p.程度であ る 1川
。
o
l
f
e
.D
.A
.等 3・
3は沿岸および淡水域の底質の R
b濃 度 と し て 1
5-30μg/P.を与 えて
また、 W
いる 。 淡 水 生 物 の 濃 縮 係 数 は 海 産 生 物 の そ れ よ り も 大 き い 。 こ れ は 生 物 の 元 索 吸 収 に関し
bが 前 換 可 能 で あ る こ と 、 ま た 、 I
くの淡水濃度が海水のそれよりも、低 い ことなど
て Kと R
によっている 。
)
ス トロンチウム (Sr
S
rの 海 水 中 の 濃 度 は 8000μgj!
tで あ る が Li
s九 D
.
J.
等・ 0) は 淡 水 中 の 濃 度 を 80μgjp.とし
ている 。 し か し 、 内 情 や 汽 水 岐 、 あ る い は 、 淡 水 で は 100μgj!
tが 妥 当 な 値 で あ る と し て
rは Srl
+と し て 存 在 す る 。 S
rが 2価 の イ オ ン と し て 存 在 す る こ と は
いる 1り 。 海 水 中 で の S
N
e
l
s
o
n
.D
.J
.・川の S
r-90の 放 出 口 に お け る 調 査 で も 観 察 さ れ て い る 。Polikarp
o
v,G
.G
.け
》
rは 87%はイオン状、 1
0% は粒子状、そして、 3%
はフォールアウトに由来する海水中の S
はコロイド状であると報告している 。 淡水中の S
rは Vanderploeg.H
.
A
.等 2 1) が 述 べ て い る
ように 2-10%が 桂 子 状 で あ る 。 即 ち 、 淡 水 や 海 水 中 で は S
rは 可 溶 態 と し て 存 在 し 全 量 の
わ ず か 1%弱 が 懸 濁 粒 子 或 い は 有 機 コ ロ イ ド に 吸 着 し て 系 外 に 除 去 さ れる 。 71<と底質との
分配は K
d
l
直で海水で 1
0l、 淡 水 で は 4x1
0・程度と推定されている ,
.
)
。
ジル コニウム (Zr
)
Z
rの 海 水 中 濃 度 は 0.22μgji、 淡 水 中 で は 2.6μgjiである,.】 。 Polikarpov.G
.
G
.け》は
rの 1% がイ;;tン状、 3%がコ ロ イ ド 状 そ し て 残 る 9
6% が 粒 子 状 で 存 在 す ると報
海水中の Z
colt
-RusselL
.R.リ} は 2r-95や Nb-95が 海 水 中 で は 粒 子 状 、 あ る い
告 し て い る 。 また、 S
は、化合物として存在し、これはむがコロイドを形成し易く水和と重合反応が連続的に起
こる結果であるとしている 。 即ち、海水中に流入した 2
rはその 8
0% が 急 速 に 懸 溺 物 と 結 合 、
また、 1
5%以 上 が コ ロ イ ド や 溶 存 有 機 化 合 物 と 結 合 す る 。 そ の 結 果 5% 弱 が 水 中 に 残 るこ
0・、 淡 水 で は 6X 1
0
'程 度 と 考 え ら れ
ととなる 。 水 と 底 質 と の 聞 の 分 配 係 数 は 海 洋 で 7x1
ている'け
。
ニオプ (N
b)
N
bの 海 水 中 濃 度 は 0.01μgjp
.、淡 水 中 濃 度 は 1
.0μgjp.である'・¥その化学的挙動は Z
r
に類似し、粒子、コロイド、可能性有機化合物と結合する 。むとの相違は Z
rよ り 粒 子 と の
-10ー
親和性が商い点にある 。水、底質との分配係数は淡水、海水ともに Z
rと 同 様 な 値 で あ る 。
モ リ ブ デ ン (Mo)
υ
海水 中 の 4
10濃 度 は 10μg/R.程度であり、淡水中では通常 lμ g/R.位である '‘ 海 洋 の 底
2
質 の 濃 度 は 3μg/gで=あること か ら 海 水 と 底 質 と の 分 配 係 数 は 3x 1
0 程 度 となる 。 Bowe
n
.
1
1
.J
.M.2 6) によ れ ば 海 水 中の 1
(0は 1
400.2ーとし て 存在、ま た 可 溶 性 の 化 学 種 と し て はモリ ブ
.C.• 2) は 海 水 中 の Moは 30
デ ン 酸 イ オ ン が 主 要 な 形 で あ ると している 。 一方、 Polikarpov.C
% がイオン状で存在し、 10%がコロイド、そして、 60%が 粒 子 状 で 存 在 す る と 報 告 し て い
40は 水 中 に 放 出 さ れ
る。 淡 水 中 で は 、 大 部 分 が 可 溶 性 と し て 存 在 す る と 考 え ら れ て い る 。 1
る と 、 そ の 大 部 分 は 急 速 に 底 質 に 吸 者 さ れ 、 水 中 に 残 る 誕oは 、 ほ と ん ど が モ リ ブ デ ン 酸 イ
オンとして存在するものと考えられる 。
テク ネ ウ チ ム (Tc)
水域の T
c
lこ閲する報 告 は 少 な い 。 I
lu
n
t
.D
.1
.等 4 り は Tc-99の 海 砂 中 濃 度 を 求 め 3.7mBq/g
の 値 を 報 告 してい る。 Polikarpov.G
.C.け
》 は 核 爆 発 に 由 来 す る Tcは不溶性で、 18%がコロ
イド、 6
4土 9%が粒 子 状 で あ っ た と 報 告 している 。 Tc-99 は、 過 般 化 物 の イ オ ン と な り 水
溶液中で 非 常に安定であり容易に地下水にまで移行する 。 しかし底質と親和性があり吸器
す る が 海 水 との 接 触 に よ り 再 び 容 易 に 雌 脱 す る。 Tcは 水 圏 で 大 部 分 が 可 能 性 の 過 酸 化 物 イ
オ ン と し て 存 在 し ている 。 こ れ ら は 無 機 懸 濁 粒 子 よ り も 有 機 物 粒 子 と 結 び 付 き 易 く 、 水 一
l
d組 は 1
02程 度 と 低 い値となる 川。
底質問の K
ル テ ニ ウ ム (Ru)
Ruの 海 水 中 濃 度 は 7 x1
0・・μg/R
.
と 言 われる ・
' )0 Ruの 水 中 で の 挙 動 は Fletch
e
r
.L
.M
.• S)
が述 べるよ う に 複 雑 で あ る 。 Polikarpov.G.G
.け
〉 は 水 中 に お い て イ オ ン 状 で 存 在 す る Ruは
皆 無 であり、 5 %がコロイド、 95% が 懸 濁 粒 子 と し て 存 在 す る と 報 告 し て い る。 再 処 理 工
場から Ruが 放出さ れる 場合、 その 化 学 形 は RuNO(N03)3と 推 測 さ れ て い る。 し か し 、 淡 水 あ
る い は 海 水 中 で 硝 酸 基 は 置 換 を 受 け RuNO(N03).O、
l
I RuNO(OH)a 、あ るいは、 RuNO(N03)
.Cl、
等 の 錯 イ オ ン と し て 存 在 す る こ と に なる 。
RuNOC13
RuNO(N03
)
3、はニトロシ jレ・ル テ ニ ウ ム ・ニ ト ラ ト 錯 体 、 そ し て RuNOC13は ニ ト ロ シ ル ・
ル テ ニ ウ ム ・ク ロロ 錯 体 と 呼 ば れ る 化 学 形 で あ り 、 前 者 が 施 設 か ら 放 出 さ れ た 場 合 の 化 学
形 、 後 者 は そ れ が 海 水 中 に 放 出 さ れ た とき に予怨さ れ る 海 水 中 にお け る 化 学:形で ある 。 ま
S
.等
た
、 RuNO(OH)3 は 淡 水 中 に 放 出 さ れ た 場 合 の Ruの と り 得 る 化 学 形 で あ る 。Keckes.
4
・は
2
Ruの 生 物 濃 縮 が 化 学 形 に よ っ て 1
0倍 の 差 を 生 ず る こ と を 指 摘 し た が 、 Ishikawa.M
.等.1 ) . 川 3
は 、 そ れ が 水 中 で 形 成 さ れ る 錯 イオ ン極-の 荷 電 状 態 に よ る こ と を 指 摘 し 、 陽 錯 イ オ ン種が
陰 錯 イオ ン種の 1
0倍 の 生 物 濃 縮 値 を 与 え る こ と を 報 告 し て い る 。 即 ち 、 濃 縮 係 数 は 水 中 で
形成される種々の荷電錯イオン種の存在比率が輿なり、陽錯イオン種の存在比率が高い場
- 11ー
合ほど、高い謹縮係数値を与える 。
R
u
N
O
(
N
03)3が 海 水 中 に 放 出 さ れ る と 時 間 と と も に 陽 錯 イ オ ン 種 が 減 少 あ る 時 間 が 経 過 す
ると皆無となり、陽イオン種と中性イオン種の存在比率が増加する 。一方、境化物では逆
に海水接触時には存在しない l
場錯イオン種の存在が時間とともに除々に増加し、
20-30%
は陽錯イオン種となる。これが R
u塩 化 物 の 濃 縮 係 数 が 商 い 理 由 で あ り 、 海 水 中 の み で な く
uの 水 一底 質
淡 水 中 で も 同 線 な 化 学 反 応 ・生 物 濃 縮 が 観 察 さ れ る も の と 考 え ら れ て い る 。 R
03程 度 で あ り 、 淡 水 で は 概 ね 1
0を
の 分 配 係 数 は 錯 イ オ ン 種 に よ り 異 な る が 、 海 水 で は 5x1
と 考 え ら れ て い る '付。
カ ドミ ウ ム (
Cd)
Cdの 海 水 濃 度 は 沖 合 の 海 水 で は 0
.02-0
.05μg/P.であり、沿岸水や汽水域では 0
.
2-0
.
5
.
5
g
/iであ る l付。B
r
y
a
n
.A
.G
.30) は そ の 著 書 の 中 で 海 水 中 の
g
/P.、また、淡水中の濃度は o
可溶性 C
dは CdC120、CdCl+,および、 CdClaと し て 存 在 す る こ と を 示 唆 し て い る 。 S
i
m
p
s
o
n,W.
R
.け』 は Cdの 塩 化 物 錯 体 の 最 が 坦 分 濃 度 の 上 昇 と と も に 増 加 し 、 そ の 化 学 形 は B
r
y
a
nの報
告するとおりであり、淡水中では p
l
lお よ び 水 中 の 可 溶 性 有 機 物 の 量 に 応 じ Cd(0
1
1) 20錯体、
あ る い は 、 有 機 錯 体 と し て 存 在 す る と 述 べ て い る 。 即 ち 、 淡 水 中 に お け る Cdの 化 学 形 は 淡
l
lや 懸 濁 有 機 物 の 濃 度 等 に 依 存 し て い る 。 一 方 、 海 水 中 で は 汽 水 域 あ る い は 沿 岸 域
水中の p
0、
CdCl+として存在し、
等 の よ う に 可 溶 性 有 機 物 の 比 率 が 高 い 場 合 を 除 け ば 、 Cd2" CdC12
有 機 錯 体 形 を と る こ と は 稀 と な る 。 汽 水 域 や 海 水 が 淡 水 と 混 合 す る 水 域 で の Cdの 化 学 形 に
は水域によって大きな相違があり様々な形をとると考えられる 。
Cdは 河 川 に 放 出 さ れ る と 可 溶 性 の Cd濃 度 が 急 激 に 低 下 す る 。 こ の 現 象 は H
art
.B
.
T
.等 S0)
が 述 べ る よ う に 可 溶 性 の Cdが 遊 離 イ オ ン と し て 他 の 吸 者 体 と 結 合 す る た め で あ り 、 自 ら が
u等 と は 異 な る も の で あ る 。 汽 水 場 に お け る 反 応 は こ れ と は
鎗体となり粒子へと変化する C
逆 に 塙 分 濃 度 1- 4 %の 海 水 に 出 会 う こ と に よ り 吸 着 体 に 吸 着 し た Cdイ オ ン は 溶 離 し 可 溶
性の Cdとなる。
M
a
nt
our
a.
R
.F.C
.等 S 川 は 可 溶 性 Cdは 塩 化 物 錯 体 が 主 要 な 化 学 形 で あ る と し
ている 。 この塩化物錯体は、
B
enj
a
m
i
n,M
.訓
.等 5 叫 が 述 べ る よ う に 国 体 相 と の 親 和 性 に 欠 け
る た め 、 塩 素 イ オ ン 濃 度 が 商 い 水 塊 に 出 会 う と Cdは 国 体 表 面 に 吸 着 す る こ と な く 溶 存 状 態
を保 つ ことになる 。
スズ (
S
n
)
.005μgJi程 度 と 見 な
S
nの 淡 水 中 濃 度 は 0.002-5μg/iである 。 ま た 、 海 水 の 濃 度 は O
されている'‘)o
B
o
w
en
,1
1
.J
.等 d 3) は 海 水 中 の S
nが S
n
O
.
Hお よ び 有 機 S
nと し て 存 在 し 、 淡 水 中
では S
n(
I
V
) として無機、有機化合物あるいはその誘導体等様々な組合わせで存在すると
mi
t
h,J
.D
.
等 S川 は 全 S
n量 は 汽 水 域 か ら 外 洋 水 へ と 漸 次 減 少 す る こ と を 報 告 し
している 。 S
ている 。 また、
B
r
a
m
a
n,R
.S.
等 Sd) は 海 水 、 汽 水 、 淡 水 域 で の S
n(
I
V
) 、 メ チ ル ーS
n、ジメ
-12-
チ ル -S
nお よ び ト リ メ チ ル ー S
nの 存 在 比 (%) が 次 の と お り で あ る と 報 告 し て い る 。
スズの化学形
‘ p n
v
内u
・
nh v a a
淡水
i
Me
Sn
TriMeSn
・、
Pd
ua a
qui--t
必
“.
汽水
。
‘
の
海水
MeSn
円︾白百円 L
'l'lnL
Sn (l
V)
︽HV
7)<峨
1
2
3.7
1
6
底質の S
nの 分 配 係 数 は 2X 1
05 と推定さ れ て い る 1')。 水 中 の S
nの 50%はS
n (l
V)であり
残りはメチル一、ジメチノレ一、あるいは、
トリ メ チ ル 一 等 行 機 鎗 体 を 形 成 し て い る が 、 種
nの吸器力は強く、 1
0・- 1
0.
が底質の K
dと し て 適 当 な 値 と 言 えよう 。
々の化学形の可溶性S
S
b)
アンチモン (
Sbの 海 水 中 濃 度 は O.25μg
ji
.で あ り 、 淡 水 中 の 濃 度 も ほ ぼ 問 機 で あ る E 付。 B
owen.1
1
.J
.l
L
等品
川 によれば海水中におけるアンチモンの存在形態は S
b(
O
H).
- であり、淡水中では、 S
b
の 5価とし て 存 在 す る とさ れ ている 。 P
olikarpov.G.
G.け
〉 は海水中の S
bの 7
3%がイオン、
1
5%が コ ロイド、 12%が 粒 子 状 態 を と る と 報 告 し て いる 。 一 方 、 河 川水では、 Sbの 50-60
% は 可 溶 性 で あ ることを L
i
e
se
r.K
.H
.等 S川 は 示 し て い る 。 即 ち 、 水 圏 中 に 可 溶 性 の S
bが 放
出された場合、 そ の 大 部 分 が イ オ ン 状 あ る い は 可 溶 性 の 化 学 形 態 と し て 残 り 、 2
0% が 懸 濁
bの 挙 動 は 海 水 中 の そ れ と お お よ そ 一 致
物質や 底 質に吸着し系外に除去される 。 淡水中の S
すると考えられる 。
ヨ ウ 素 (I)
lの 海 水 お よ び 淡 水 中 濃 度 は 、 そ れ ぞ れ 、 5
5、 1
.5μgji
.である
14)
0
B
o
w
e
n
.H
.1
.M
.21)
は 海 水 中 の Iは 1- として存在し、 1
0~ - と し て も 存 在 し 得 る こ と を 示 唆 し て い る 。 一 方、
Fleische
r,M
.等 S川 は 大 部 分 の Iは 海 水 中 で は 1
0
3-ではなく 1-とし て存 在 し 、 海 水 中 で
粒 子 と 結 合 す る割 合 は わ ず か 2%以 下 で あ るこ と 、 ま た 、 淡 水 中 の Iに つ い て も 化 学 形 は
1・で あ る と 報 告 し て い る 。
水 中 の iは 、 大 部 分 が 水 相 に 留 ま り わ ず か な 分 画 が 有 機 化 合 物 と 結 合 す る。 ま た 、 そ れ
よ り 小 さ な 分 画 が 底 質 と 結 合 し て い る と 考 え る こ と が 出 来 る 。 実調J
Iデ ー タ か ら 海 洋 底 質 の
。
】
K
dに 9-gxI
O'
dとして 3X1
02- 3x1
03
が 得 ら れ て い る l・
、湖沼河川の底質の K
Kol
eh
m
a
i
n
e
n
.S
.E
.$ ,
)は安 定 元 紫 デ ー タ か ら 得 ら れ た 海 洋 底 質 の K
d値 に 3.3X 1
02、1-1
31
か ら求めら れ た 値 と し て 5X 1
0z を 報 告 し ており、 安 定 元 諜 で 求 め ら れた 結 果 と 放 射 性 同
位 体 元 諜 で 求 め ら れた 結 果 と は ほ ぼ 一 致 し て い る。
- 13-
セシウム (Cs)
Csの 海 水 中 濃 度 は 0.5
μ
g
JR,、沿岸水では O.4
μg
JR,程度とさ れる 14
)
。 淡 水 で は 0.2
μg
J
Eが平均的な値である。 Csは 海 水 中 で は 可 溶 性 の Cs+ と し て 存 在 す る。 Duursma,E.G.3')
は わ ず か に 全 量 の 0.006%が 水 中 の 懸 濁 物 質 と 結 合 し 、 他 は イ オ ン 状 と し て 水 中 に 存 在 す
る と し て い る 。 し か し 、 海 水 中 と は 異 な り 淡 水 中 で は Csは 懸 濁 物 質 と 結 合 す る 割 合 が 商 い 。
例えば、 Smedile,E . 等~ 9) は 河 川 中 の Csの 15%が 懸 濁 物 と 結 合 し て い る と 報 告 し て い る 。
Harrison,F.L
.等 o0) は 可 溶 性 Cs-1
3
7に 対 す る 粒 子 状 Cs寸 37の 比 が 0.0021から O.1
7であり、
そ の 平 均 は 0.0031
で あ る と 報 告 し て い る 。 放 射 性 Csが 海 水 中 に 放 出 さ れ た 場 合 、 極 く わ ず
かな量、恐らく、
1 %未 満 が i
海水中の懸濁物に吸着すると推定される。水相と底質との間
'が 得 ら れ て い る
の 分 配 係 数 は 海 洋 で 2.5XI03、 淡 水 域 で は 2x 10
14)
。また、一旦吸着し
た Csの約 10%以 下 は イ オ ン 交 換 反 応 な ど に よ り 再 び 溶 出 さ れ 得 る 画 分 で あ る 。
セリウム (Ce)
Ceの 海 水 中 濃 度 は 0.0
4
μ
g
lR,、淡水中濃度は lμg
JR,であ る 1 oIvanovov,V
.N.等 8 1)は、
<)
自 然 状 態 に お い て は Ceは 可 溶 性 の 錯 イ オ ン と し て 、 あ る い は 、 粒 子 状 、 コ ロ イ ド 状 で 水 中
に存在すると報告している。 Ce-144で得られた結果では、 pH4以 下 で は 大 部 分 が イ オ ン 状
で存在し,これを海水に投入しでも数日聞は粒子への吸着等は起こらないとされている。
し か し 、 そ れ 以 後 で は Ce水 和 物 の 懸 濁 物 あ る い は コ ロ イ ド へ の 吸 着 反 応 が 急 激 に 進 行 す る 。
水 中 に お け る Ceの 化 学 反 応 そ の も の は 不 活 発 で あ り 可 溶 性 の 化 学 形 あ る い は 一 部 が コ ロ イ
ド状の物質として存在する。 Carpenter,1
.H
.等 6り は p
H8の 領 域 で は Ceは 酸 化 さ れ 易 く な
り コ ロ イ ド 状 の 水 酸 化 セ リ ウ ム と な り 、 また、 pH7-7.5 で は Ceは 数 日 間 イ オ ン 状 で 存 在
するがその後海水中の微少な懸濁粒子等に急激に結合するようになると報告している。即
ち 、 海 水 に 放 出 さ れ る Ce-141、 Ce-144は、その 70%は 最 終 的 に 懸 濁 粒 子 と 結 合 し 、 25%強
が コ ロ イ ド 粒 子 と し て 、 ま た 、 残 る 5 %弱 が 可 溶 性 の イ オ ン と し て 存 在 す る こ と に な る と
06、淡水では 5x 1
0・である'川。
考 え ら れ て い る 。水と底質との Ce分配係数は海水で1.3X 1
ネ プ ツ ニ ウ ム (Np)
Npで 放 射 生 態 学 的 に 問 題 と な る の は Np-237で あ る 。 し か し 、 水 系 に お け る Npの 情 報 は 少
ない 。 Npの 底 質 へ の 吸 着 は 顕 著 で は な い 。 実 測 デ ー タ か ら 求 め ら れ た Kd値 は 390-4100で
03-2.Ox1
0
'程 度 で あ る t 付 。Fowler
.S
.V
I
.等 ・3) は 水 中 の Np
あり、室内実験結果も).OX1
は 1
20日寺聞を経ても 90%以 上 が 可 溶 性 分 画 に 残 る と 報 告 し て い る 。 ま た 、 Pentreath,R
.
J.
等 。 り が 英 国 セ ラ フ ィ ー ル ド に お い て 実 施 し た 調 査 で は 、 Npの Kd値 が 再 処 理 施 設 放 出 口 か
ら 離 れ る に し た が い 低 い 値 と な る 傾 向 が 観 察 さ れ 、 Npの 酸 化 状 態 に よ っ て 底 質 へ の 吸 着 が
異な る こ と が 示さ れた 。即ち、 4価 の Npは 5価 の Npに 比 べ 底 質 と の 親 和 性 が 高 く 、 4価 で
放 出 さ れ た Npは 放 出 口 か ら 離 れ る に し た が い 酸 化 さ れ 5価 と な り 、 そ れ に 伴 っ て Kd値 も 低
-14-
下 す る も の と 考 え ら れ て い る。
プ ルト ニ ウム (pu)
海 水 中 の PU濃 度 は 37μsq/ p.であり、淡 水 中 の 濃 度 も ほ ぼ 同 様 で ある
14)
1
5種 の PU同
0
位体中、 問 題 と な る の は Pu-238、 Pu-239、 Pu-240、 Pu-24
1、 お よ び Pu-242の 5種 で あ る 。
PUの 化 学 は 非 常 に 被 雑 で あ る 。 PUは 水 に 不 溶 性 で あ り (10 ・ ・ ~ 1
0-' mo1
/ i)底 質 と の 親
和性が高い。 Polzer,¥
1
'
.L
.65) に よ れ ば 環 境 中 の PUが 水 熔 液 中 で 取 り 得 る 酸 化 状 態 は 少 な く
とも PU (悶)、 PU (N) 、 PU (V ) 、 PU (羽 ) の 4績である。 PU (V) と PU (V
l) が 水 中
に お け る 最 も 一 般 的 な 状 態 で あ り 、 水 和 物 と し て 存 在 し て い る 。 こ れ ら の PU (V) 、 PU
(V
l) は 容 易 に 還 元さ れ PU (皿〉 、 PU (N ) と な る が 、 こ れ ら の 酸 化 状 態 の Puは 底 質 と の
n
.1
.B.
等 ..)の報告
親 和 性 が 高 い 。 種 々 の 原 子 価 に お け る PUの 溶 解 性 に 関 し て は Andelma
がある 。 '
l
¥ahlgren.M.A
.• 7】 は 表 周 水 中 に 存 在 す る の は 4価、
5価 の PUであり、 このう ち 水
と 底 質 、 懸 濁 物 聞 の 吸 着 に 関 与 す る の は PU (N) で あ る と し て い る 。 こ れ ら の PUに 関 す る
反 応 は 錯 体 化 学 の 範 ち ゅ う で 捉 え られ る 問 題 と 言 う よ り は コ ロ イ ド 化 学 の 領 域 で 理 解 さ れ
る 問 題 で あ り 、 水 峨 で の PUの 挙 動 に つ い て は コ ロ イ ド の 存 在 を 考 慮 に 入 れ 考 察 す る こ と が
・は、
.
等&
8
) は 指 摘 し て い る 。 Hetherington.J
.A
.等 6
虫 要 で あ る こ と を Onishi.Y
3
PUが
湖 沼 、 汽 氷 や 大 陸 棚 に 放 出 さ れる と * 相 に 残 る割 合 は 4% 未 満 で あ り 、 他 の 殆 ど 全 て は 底
質 や 懸 濁 物 と 結 合 し 、 ま た 、 水 深 の 浅 い 湖 沼 等 で は そ の 反 応 速 度 が 大 き い こ と を報 告 し て
いる 。
可 溶 性 有 機 物 の 存 在 が PUの 分 配 係 数 (Kd) に 与 え る 影 響 は 大 き い 。 W ahl
gren.l
i
.A
.川 }
等は水中の可諮性有機物を 11 5~ 1. 6mg/i の範囲で変化させたときに K d 値は 3 .0 X 10
・
3
から
3.0x1
0 ml/gと 大 き く 変 動 す る こ と を 報 告 している 。 こ れ は 可 溶 性 有 機 物 と PU (N) の 錯
体 形 成 と 粒 子 の PU (N ) お よ び 可 溶 性 有 機 体 の 吸 器 越 と し て の 働 き が 措 抗 し て い る こ と に
よ っ て い る 。 大 部 分 の PUは 酸 化 PUと し て 、 あ る い は 、 酸 化 物 ・水 酸 化 物 被 膜 と し て 鉱 物 粒
子 表 面 に 沈 着 す る 。 こ れ に 関 与 す る の が 水 中 の Mnで あ り 、 .
Mnは PUと 強 い 親 和 性 を 示 す 。 淡
水 中 に お け る 平 均 PU濃 度 は 前 述 の と お り 37μBq/ p.である。 また、 底 質 に つ い て は 5
.18~
・
1
4
.8msq/J
l
. と さ れ 、 そ の 濃 度 は 垂 直 混 合 に よ り 秋 季 と 冬 季 に 最 大 と な る ,1) 。 しかし、 P
U
の水中濃度の報告値には大幅な差異があり 10-1~
1
0 sq/ p
.に わ た ってお り 、 放 出 源 の 性
質や放出口からの距離、混合の程度あるいは流出入する水塊による除去効果等微々な要因
の 影 響 を 受 ける 。
ア メ リ シ ウ ム (Am)
Amの 海 水 中 濃 度 は 、
1- 5Bq/ i、 淡 水 中 の 濃 度 は 1 .5-3.Osq/iで あ り 、 海 水 中 で は
・
3価 の 酸 化 物 と し て 存 在 す る '付。 Onishi
.Y.等 e 2 は 好 気 的 条 件 の 淡 水 中 で は 、 pHが 6
.5
以 上 で あ れ ば AmSO.・として 、 pHが 6
.5以 上 で あ れ ば 加 水 分 解 し て 難 溶 性 の AmOH2 を 生 成 す
t
-15-
るとしている 。 ま た 、 海 水 中 に お け る 頃 合 の よ う に 塩 泉 イ オ ン が 高 濃 度 に 存 在 す る 水 域 で
や AmSO..が、また、 pl
6
.
5 以 下 で は AmC12・
16.5以 上 で AmOH'φが 最 も 一 般 的 な 化 学 形 と
はが 1
考 え ら れ て い る 。 Emery.R.M
.等 温
す 3 はAm-241の湖沼中での存在形は、 85%が粒子状であり、
2 %が 可 溶 性 の 陽 イ オ ン 樹 、 5% が 陰 イ オ ン 種 で あ っ た と 報 告 し て いる 。 こ の 粒 子 状 Amは
l
I2+が 吸 着 し て 生 じ た も の と
加 水 分 解 で 生 じ た 不 溶 性 の AmOHH あ る い は 水 中 の 懸 濁 物 に AmO
考 え ら れ る こ と が で き る 。 可 法 性 の Amは 大 部 分 が 陰 イ オ ン 錯 体 と し て 存 在 し て い る と 考 え
られている 。 Amは 加 水 分 解 を 受 け AmOR2
.を 生 じ 粒 子 に 吸 4
まされ、あるいは、 一 連 の 加 水 分
解 過 程 で コ ロ イ ド を 生 成 し 系 外 に 除 去 さ れ る 。 こ の コ ロ イ ド は 高 濃 度 に Amの 存 在 す る と き
形 成 さ れ る も の で 、 環 境 レ ベ ル の よ う な 低 濃 度 域 で は 存 在 し 得 な い も の で あ る 。 しかし、
核燃料再処理工場の放出口の近傍等では形成される可能性があると考えられている。
以上、元素の淡水、汽水、また、海水中における一般的な化学的性質、あるいはこれら
が混合したときに起こりうる変化について報告されている知見に基づいて考察した 。予想
さ れ る よ う に こ れ ら の 変 化 は ー 械 で は な く 、 対 象 と す る 河 川 ・湖 沼 ・海 洋 等 の 背 最 と な っ
て い る 地 理 的 ・地 学 的 条 件 や 開 発 等 の 人 為 的 な 条 件 に よ っ て 椋 々 な 様 相 を 示 し て い る 。 わ
が国の水系における元素の化学的挙動を理解するに際しでも元素に固有の性質とわが国に
特 有 な 気 候 ・風 土 ・環 境 条 件 を 閥 連 づ け て 検 討 す る こ と が 必 要 と な っ て く る 。 そ し て 、 わ
が 国 の 水 系 に 棲 息 す る 水 抜 生 物 の 特 有 な 生 理 ・生 態 学 的 条 件 を 加 味 す る こ と に よ っ て 元 素
あるいは放射性核種の最適な濃縮係数を求めることが可能になると考えることができょう。
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-20-
4. 濃 縮 係 数 の 変 動 要 因
線量評価においては対象とする地域や環境の自然科学的あるいは社会科学的な綿々な特
性に十分な配臓がなされることがのぞまれる。濃縮係数に閲しても生物濃縮に影響を及ぼ
す変動要因を考慮に入れ、評価の前提となっているいろいろな条件に適した値を選択する
こ と が 重 要 で あ る。 わ が 国 に お い て は 放 射 性 核 種 の 生 物 濃 縮 に 関 す る 研 究 は お も に 海 産 生
物 を 対 象 と し て 行 われて きた 。 淡 水 環 t
克は海水環境と塩分濃度において顕著な 差 異がある 。
淡 水 生 物 の 体 液 の 浸 透 圧 は 環 境 水 よ り 高 く 、 逆 に 海 産 生 物 の 体 液 は 環 境 水 よ り 低 い 。 した
が っ て 、 設 透 圧 調 節 の た め の 塩 分 代 謝 に は お の ず と 差 が 生 じる 。 し か し 、 放 射 性 核 種 や 徴
量元掃の取り込 みに影響を 及ぼす要因は、淡水生物と海底生物とでは基本的に相違はない
と考えら れ て いる 。 放 射 性 核 種 の 淡 水 生 物 に お ける 濃 縮 係 数 に つ い て 考 察 す る に際しては、
海底生物に関する知見も十分に活用することが必要である 。水接生物による 元 来濃縮に影
響を及ぼす変動要因については、既に、海産生物に関しては佐伯らに よ って実験的に検討
されており '
¥ ま た 、淡水生物については清水による詳細な考察があり n 、濃縮係数を適
用 す る 際 の 指 針 と し て利 用 す る こ と が 推 奨 さ れる 。 こ の 他 、 濃 縮 係 数 の 変 動 要 因 に 閲 し て
l
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kら に よ る 総 説 3
¥ および 、V
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考察した報告 がいくつ かあるが 、ここでは B
の報 告 ‘
}を も と に 濃 縮 係 数 を 用 い る 際 に 配 慮 す べ き 点 に つ い て 考 え る こ と と す る 。 以下、
特 に 記 載 の な い 場 合 は こ れ ら 二 つの文献を参照されたい。
と こ ろ で 、 濃 縮 係 数 は 水 棲 生 物 に 対 す る 環 境 水 の 放 射 性 核 種 (元素) の 濃 度 比 で 表さ れ
る。 一 般 に 、 生 物 の 濃 度 は 生 重 量 当 り の 値 が とられる 。 淡 水 ・海 水 、 そ し て 、 水 棲 生 物 中
の放射性骸種(元素)濃度に関しては数多く報告値があり、濃縮係数を求めるために 利用
されている 。 こ れ ら の 濃 度 の 値 は 必 ず し も す べ て が 濃 縮 係 数 を 導 く こ と を 意 図 し 得 ら れ た
わけ で は な い の で 、 デ ー タ の 収 集 ・解 析 段 階 で デ ー タ 聞 の 整 合 性 を 図 る こ と が 大 切 で あ る 。
変 動 要 因 の 考 察 と と もに デ ー タ の 取 般 に も 注 意 が 必 要であろう。
4- 1 個 休 差 に起 因 す る 変 動
生 物 濃 縮 に 変 動 を与える 要 因 に は 主 に 緩 息 環 境 に 起 因 す る 要 因 と 生 物 の 生 理 ・生 態 に 起
因する要因に 大別される 。 これらの系統的な変動要因の他に個体差に起因するランダムな
変 動 要 因 も あ げ ら れ る 。 東 京 湾 の カ レ イ 、 ム ラ サ キ イ ガ イ 、 そ し て 、 各 地 の サ メ ・エ イ 類
の例では、種々の元素の濃度の変動は、変動係数(標準偏差/平均値)で表すと 2
0
.
.
.
.
.
.8
0%
程度であるといわ れ、これは元紫や生物の種類、臓器などで異なると報告されている 。 ま
た
、 濃度の度数分布は高 濃度側に尾をひき、正規分布よりは対数正規分布があてはまる場
一21一
合が多いとされている
H
。 水 棲 生 物 ・環 境 水 の 放 射 性 核 種 や 元 素 の 分 析 デ ー タ を 得 るに あ
たっては、十分な頻度で十分な試料数が得られるようにサンプリングが計画される必要が
あろう。
4-2 棲 息 環 境 に 起 因 す る 変 動
4- 2- 1 環 境 水 の 安 定 元 素 濃 度 な ら び に 共 存 元 素
淡 水 環 境 は 、 地 分 組 成 、 濃 度 や 水 温 な ど 様 々 な 環 境 嬰 因 に つ い て 海 水 環 境 よ り も 概 して
変動が大きい 。 1~14
- Iに 示 し た よ う に 、 淡 水 の 元 素 濃 度 に つ い て 報 告 さ れ て いる 値 は海
水 に 比 べ て 相 違 が 大 き く す¥ 水 域 間 で の 相 違 を 示 す も の と 考 え ら れ る 。 一 般 に 、 水 棲 生 物
に と っ て 必 須 な 金凶元来の場合、 個 体 へ の 投 与 量 や 環 境 水 の 濃 度 に よ っ て 生 体 に お け る 効
果が変化することが知られている。この投与量や濃度には、濃度の増大にともない生物活
性が高まる領域、正常な機能状態を示す至適濃度領域、さらに濃度の上昇にともなって効
果が地大する薬理学的作用を示す領域、そして、高濃度のために効果が減少し毒性を示す
領域があるとされている・ ¥ し た が っ て 、 放 射 性 核 種 の 生 物 吸 収 は 水 戚 に お け る 安 定 同 位
体の濃度によって変化するであろうことは想像に難くない。また、同位元素ではなくとも
放射性核種と挙動が類似し、放射性核種の担体として作用する元紫がある崩合には、放射
性核種の生物吸収はやはりこの担体元素の濃度によって影響を受けることになる。セシウ
ム に 対 す る カ リ 、 ス ト ロ ン チ ウ ム に 対 するカ ル シ ウ ム は こ の 顕 著 な 例 で あ る 。 環 境 水 の 塩
分濃度の指棋として電気伝導度、あ るいは、軟水、硬水 の分類が用いら れ、魚類に含ま れ
Csと 環 境 水 の 電 気 伝 導 度 と の 聞 の 負 の 相 関 関 係 が あ る こ と 川
・
る
13'
I0)
や魚類中の
Cs
13'
濃 度 が 硬 水 湖 よ り 軟 水 湖 で 高 い 事 実 な ど もこの観 点 か ら 考 察 す る こ と に よ っ て 理 解 さ れよ
つ
。
淡 水 生 物 に つ い て は 環 境 水 の 元 索 、 あ るい は 、 塩 分 濃 度 と 閥 述 づ け て 放 射 性 被 種 の 濃 縮
係数を 表す試みがなさ れており、生物による放射性核種の取り込み方に三 つのタイプを当
て は め て い る 。 すなわち、
1) 濃 縮 係 数 が 当 該 放 射 性 被 種 の 安 定 同 位 体 や 担 体 と し て 作 用 す る 類 似 元 議 の 濃 度 に よ ら
ず一定であるもの、
2) 生 体 に お け る 濃 度 が ホ メ オ ス タ シ ス ( 註 1) に よ っ て 一 定 に 保 た れ る よ う な 元 素 で 濃
縮係数と環境水中の安定元素の濃度が反比例の関係にあるもの、そして、
3) 当 該 放 射 性 骸 極 と 挙 動 が 類 似 し 、 担 体 と し て 作 用 す る 元 来 が ホ メ オ ス タ シ ス に よ っ て
生体中で 一定の濃度に保たれてい るような核種に適用されるもので、濃縮係数と環境水
q JH
qL
中の担体元素濃度が反比例し、比例常数が生体の元素濃度と差別係数 (
discrimination
coefficient) の 積 で 表 さ れ る も の で あ る 。
多くの元素は第 一 のタイプに分類されるが、第二のタイプの例としてはマンガンがあり、
第三の例としてはカリウムを担体とするセシウム、カルシウムを担体とするストロンチウ
ム が 挙 げ ら れ る 。 第 4- 2図 、 第 4- 3図 は 、 そ れ ぞ れ 、 マ ン ガ ン 、 ス ト ロ ン チ ウ ム の 魚
類の濃縮係数と環境水中のマンガン、そして、カルシウムの濃度との関係を表したもので
あり、濃縮係数に関して上のような考え方の妥当性を示すものである 。
水圏の元素組成
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水 圏 の 元 素 組 成 (Bowen(1979)7
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水 中のマンガン濃度 (ppm)
図 4- 2 淡 水 産 魚 類 に お け る マ ンガン の 濃 縮 係 数 と
水 中マ ン ガ ン 濃 度 と の 関 係
。
可 食 部、 ろ 過 水 に 対 す る 濃 縮 係 数
ム 全 魚 体 、 ろ過 水 に 対 す る 濃 縮 係 数
•
可食郎、未処理 水 に 対 す る濃縮係数
.A 全魚体、未処理7}<に対 す る 濃 縮 係 数
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水 中 の カ ル シ ウ ム 濃 度 (ppm)
図
4- 3 淡 水 産 魚 類 に お け る ス ト ロ ン チ ウ ム の濃 縮 係 数 と
。
•
水 中 の カ ル シ ウ ム 濃 度 との 関 係
筋肉についての濃縮係数
骨に つ い て の 濃 縮 係 数
-25-
4- 2- 2 核 種 の 物 理 的 、 化 学 的 形 態
元素の生物吸収を左右する要因としてば水域の元素濃度とともに元来の存在形態が問題
となる 。 淡 水 域 に お い て は 海 水 域 よ り も 有 機 物 を 多 量 に 溶 存 し て お り 、 こ れ を リ ガ ン ド
(
註 2)として遷移金属、 b亜 族 の 金 属 は 錯 体 を 形 成 、 も し く は 、 コ ロ イ ド 物 質 に 吸 者 さ
れていると言われている。錯体を形成した金属はイオン状の金属より水棲生物による利用
度は低い 。 したがって、コバルトなどにおいては濃縮係数は水域の出栄養度と密接に関連
しており、貧栄益71<威では富栄養水域においてより ー 桁 以 上 高 い 他 を 用 い る こ と が 適 当 と
されている 。 ま た 、 元 素 に よ っ て は 懸 濁 物 質 と 親 和 性 が 高 く 、 懸 濁 物 質 が 生 物 濃 縮 を 低 減
す る 効 果 を 示 す 場 合 がある 。 放 射 性 セ シ ウ ム で は 、 か な り の 割 合 が 懸 濁 物 質 中 に 存 在 す る
といわれ、生物の放射性汚染を評価するときに、環境水についての分析植が懸濁物を│除い
たろ過水についてのものであるか否かは重要な窓味を持つことになる 。 同線に、プルトニ
ウ ム は 淡 水 生 態 系 で 粒 子 と 強 い 親 和 性 を 示 す 。 ハ ン フ ォ ー ド の U pond か ら 採 取 し た 金 魚
・.
では 2
3 "Op
u の濃縮係数をろ過水についての値を.!Jiに評価する と未 処 理 水 の 場 合 に比べ、
2
.5倍 大 き な 仙 に な っ て いる 。 ま た 、 懸 濁 粒 子 を あ ま り 多 く は 含 ま な い ミ シ ガ ン 湖 に お い
て .39. 2.0pUの 政 縮 係 数 を 求 め た 場 合 、 濃 縮 係 数 の 値 は ろ 過 の 操 作 に よ っ て 大 き な 影 轡 を
受 け な か っ た と さ れ て い る 。 一 方 、 放 射 性 ス ト ロ ン チ ウ ム に つ い て は 懸 濁 物 に 収 召 され て
いる割合がセシウムよりも小さいため、濃縮係数を算出する際、ろ過水についての値を用
いる場合と未処理のものについての値を用いる場合との差異はさほどに大きくはないと考
えられている 。
4- 2-3 水
温
一般に、変温動物では通常の級息環境の温度領域においては、代謝活性は温度の上昇と
O
O
Cの 温 度 上 昇 に 対 し て
と もに増加するといわれている 。 しかし、この代謝活性の増加は I
2倍 程 度 (Q10 均 2) とされており 、水 温 の 変 動 が 濃 縮 係 数 に 及 ぼ す 影 響 は 、 水 中 の 塩 分
濃 度、あるいは、 当該 絞 種 の 安 定 同 位 体 程 度 の 変 動 な ど の 影 響 に 比 較 し 、 小 さ い も の と 考
え ら れ て い る 。 魚 類 に つ い て は 漁 獲 時 期 に よ っ て 放 射 性 セ シ ウ ム 濃 度 は お よ そ 2倍 相 逃 す
る と い う 報 告 例 が あ る が 、 濃 縮 係 数 を 導 く 際 に 生 物 中 の 濃 度 と し て 年日
!l
の平均的な値を採
用するように留立すれば季節変動、すなわち、水温の変動による影響は線量評価上は無視
し得る程度とみなすことができる 。
-26-
4- 2- 4 底 質
水圏の底質は懸濁物質の堆積や吸着反応などにより重金属あるいは放射能汚染レベルは
高く、底棲生物における汚染レベルも高くなることも考えられる。しかし、水棲生物の放
射性絞種の取り込みについて、環境水からの直接的なものと底質に起因する間接的なもの
とどちらが大きいかという問題については安易に判断を下すことは危険である。71<.園生態
系における核種の挙動については、7.k→生物、水→底質、そして、底質→生物の関係を動
態的に考える必要ーがある 。 海 産 二 枚 貝 の O
I
Jで は 、 海 水 の み で 飼 育 し た 場 合 と 海 水 に 砂 を 加
え砂の中で貝を飼育した場合の海水相に添加した放射性ルテニウムの貝による取り込みに
は二つの実験条件で差はなかったとされているけ 。一方、底質に放射性セシウムとコバル
トを吸着させ、それに非汚染水を加え鯉を飼育した実験例では水への溶出は小さいものの
この水中の濃度から予想される生物中の濃度よりは実測値ははるかに大きく、底質の影響
が大きかったとしている。実験対象とした鯉は底質ごと餌を取り入れ、底質を吐き出して
摂餌する魚であり,一部の底質が消化管に入り消化管吸収によって、上記のような現象が
起こるものとされている 。 '
け ・I2) し た が っ て 、 元 素 の 生 物 吸 収 に 対 す る 底 質 の 効 果 に つ
いては対象とする放射性核種、および、生物の摂餌行動など、個々の場合について考察す
ることが必要であろう 。
4- 3 7.1<楼生物の生理・ 生 態 に 起 因 す る変動
4- 3- 1 食 性
71<.棲生物が放射性核種を取り込む主要な経路には、鰐を通じて直接に取り込むものと消
化管を介して餌から取り込むものの二つの場合が考えられる 。濃縮係数について環境水か
らの寄与と餌からの寄与とどちらが大きいかについても 一概に結論を下すことはできない
が 、セシウムなどについては汚染館料の投与は体内負荷量の増加を早める効果があること
は明らかである。放射性核種の水棲魚類消化管吸収は、核種によって異なり、海水魚の例
では、セシウム、亜鉛が吸収率が高いものとして、ヨウ索、コバルト、マンガン等は中程
度のものとして、そして、ストロンチウム、セリウムなどは吸収率は低いとされている。
また、餌料の積類によっても消化管内の滞留時間、吸収率、あるいは、餌料それ自体の汚
染水準は異なり、水棲生物の食性にも十分な考慮を払う必要がある。71<.棲動物の食性に関
しては纂食性であるか、肉食性であるかあるいは、雑食性であるかにより、また、成長過
程での食性の変化によって生物中の元素濃度が異なっているようであり、濃縮係数も食性
-27-
によ って 数 倍 (セ シ ウ ム ) から ー 桁 (鉄 、 プ ル ト ニ ウ ム )異 な る 値 を 与 え て い る 例 が あ る 。
4-3-2 生 体 に お け る 元 素 代 謝
生体における元素の 動態はそれぞれの元素によって特有の型を示す。亜鉛などのような
生体に必須な元素はホメオスタシスにより 一定の濃度に保たれるが、毒性金属であるカド
ミウムや鉛は年齢とともに臓器に蓄積し、また、プルトニウムやアメリシウムなどは骨な
どの組織に 一方的に蓄積する傾向があるとされている
J
'。 このような元索については生
1
理学的性質を配慮しつつ適正な緩縮係数を求めることがのぞまれる 。例えば、プルトニウ
ムなどについては 、濃縮係数として年齢の高い個体の分析値から導かれた値を採用するな
どの配慮が必要であろう 。 元衆の生体内分 布 は臓器開で異なるが 、濃縮係数は 一 般には可
食部に対しての値である 。筋肉は他の臓器に 比べて概して金属などの元素濃度は低い 。 し
か し 、 小 型 魚 の よ う に 個 体 全 体 を 食 用 に 供 す る 場 合 も あ る の で 、食 用 と す る 状 況 に 適 合 し
た濃縮係数を民用することも必要である 。
4-3-3 その 他 の 生 物 学 的 要 因
ある植の貝類では成熟した雌の性腺でマンガン含量が維の性腺に比べ 、一 桁高いことが
知 ら れ て い る 。 重 金 属 の 生 理 的 役 割 は 、 ま だ 、 解 明 さ れ て は い な い が 、卵 細 胞 の 急 速 な 地
殖の問、マンガンが触媒として作用していると考えることは妥当性があるとされている
1l'
マンガン以外にも金属元素の雌縫間差が認められることがあるが、その理由は必ずしも明
らかにはされていない の また、欣射性コバルトは頭足類のある器官に特異的に濃縮される
:, 。 紋 射 性
こ と が 知 ら れ て お り 、 そ れ が 特 定 の 生 化 学 物 質 と 結 合 し て い る と さ れ て い る 1;
核種が水棲生物中の生化学物質と結合しておりそれを食品として人 体が摂取した場合に線
量 評 価 上 ど の よ う な 効 果 が ら た ら さ れ て い る か は 明 ら か で は な い が 、あ る 生 物 種 や 器 官 に
特異的に欣射性核種が濃縮される現象があることには十分な配慮が必要であろう 。
原子力施設の安全審査などの安全評価に際しては、全体として十分に安全を見込んでの
パラメータが採用されている 。 一般に、環境パラメータに関しては様々な不確定要因があ
ることを認識する必要がある 。濃縮係数についてら生物濃縮に及ぼす様々な変動要因を十
分 に 理 解 す る こ と が 重 要 で あ り 、科 学 的 か っ 合 理 的 な 値 の 採 用 を 図 り つ つ 、 実 際 的 で 安 全
な線 量 評 価 が 行 わ れ る こ と が 期 待 さ れ る 。
-28-
。
註 1 Homeostasis (恒 常 性 ) :生 物 体 が 外 的 及 び 内 的 諸 変 化 の 中 で 、 形 態 的 、 生 理 的 な
状態を安定 に保ち生体を維持する性質 。
註2
Ligand (配位子)
錯 体 中 で 中 心 原 子 に配 位 し て い る 原 子 ま た は 原 子 因 。
重喜考
佐伯誠道他、
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清水
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清水
誠 , 放 射 性 物 質 の 淡 水 生 物 へ の 移 行 、 佐 伯 誠 道 編 f環 境 放 射 能 一 挙 動 ・生 物
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carpio L
- 29-
1
2
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松原純子,線南評価と臓器蓄積モデルの選択,第
8回 放 医 研 環 境 セ ミ ナ ー 「海 洋 に
お け る 生 物 濃 縮 と そ れ に 影 響 を お よ ぼ す 因 子 」 報文集.
1
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生田
雄 , 軟 体 類 の 重 金 属 濃 縮 . 第 8回 放 医 研 環 境 セ ミ ナ ー 「 海 洋 に お け る 生 物 濃
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縮とそれに影響をおよぼす因子 J報文集 , N
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中原元和,碩足頬の C
o濃 縮 , 第 8回 放 医 研 環 境 セ ミ ナ ー 「海 洋 に お け る 生 物 濃 縮 と
そ れ に 影 響・
をおよぽす因子」報文集.
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(木村健 一 , 渡 部 輝 久 )
-30-
5. 濃 縮 係 数 に 関 連 す る 計 算 モ デ ル
5- 1 水 楼 生 物 へ の 蓄 積 評 価
一汽 水 域 の 生 物 の 放 射 性 核 穫 の 蓄 積 の 評価ー
5- 1- 1
線 量 評 価と 濃 縮 係 数
71<峻が放射性核舗によって汚染された場合、その影響は内部被曝 (放 射 性 核 種 を 蓄 積 し
た 水 産 生 物 を 摂 取 す る こ と に よ る ) や 外 部 被 曝 (海 水 や 砂 ・底 泥 の 汚 染 に よ る ) を も た ら
すことによって人休におよぶもの、あるいは水棲生物自体への影響(個体から生態系まで)
ま で 多 岐 に わ たる 。 し か し そ の 評 価 の 手 順 は ほ ぼ 固 ま っ て お り 、 た と え ば 原 子 力 発 電 所 で
あ れ ば 液 体 放 射 性 廃 棄 物 に つ い て の 評 価法は、
「発 地 用 軽 水 型 原 子 力 炉 施 設 の 安 全 審 査 に
おける 一 般 公 衆 の 線 量 評 価 に つ い て (原 子 力 安 全 委 員 会 ) J に 示 さ れ て い る 。 水 棲 生 物 に
関することだけをとりあげれば、基本的には水棲生物の中の濃度を推定することに帰着し、
それは水中濃度に濃縮係数を乗じて求めることができる。
このように、一般に水緩生物による放射性核種の替柏の評価には生物体中濃度の水中濃
度の比として得られている濃縮係数を用いる。この際用いる水中型度は原子力発電所の評
価の場合のように放出口濃度を用いることもあるし(この際、若干注意すべき点があるが、
別 に ま と め で あ る の で 1) 参 照 さ れ た い ) 、 再 処 理 施 設 の 場 合 の よ う に 海 水 中 の 希 釈 を 考 慮
し て 対 象 海 域 の 濃 度 を 求 め て 用い る 場 合 も あ る。
ただし
生物体中濃度
=
水中濃度
×
濃縮係数
として求めるのは安定した環境条件下で生物中の漉度が環境中の濃度と平衡関係を達成し、
その量的関係が濃縮係数で示されることが前提となっている。環境条件が安定していない
と生物と環境との平衡関係は成立するかどうかが問題となり、その I
吟味なしにはこの方法
を 適 用 す る こ と は 適 当 でない 。 仮 に こ の 方 法 が 適 用 で き な い と す れ ば 、 こ の よ う な 静 的 な
評価法ではなく、蓄積過程を動的に解析して体内濃度を推定する方法をとる必要がある 。
ただし,理論的には動的評価をすべき場合でも、静的評価によって安全側の推定になりし
か も 誤 差 もあまり大きく な けれ ば 、 簡 便 さ 等 か ら 静 的 評 価 が 選 ばれ ることもあ ろ う。 水 桜
生物の核種濃度の推定は線量評価という実際的な目的のために行われるので、どのような
方法を用いて推定するかについては、実際的な観点から検討する必要がある 。
汽水域における場合も、評価の考え方は閉じで、濃縮係数あるいは絞種蓄積に関すると
りこみ ・排出等の代謝ノ fラメ ー タ が 汽 水 産 生 物 に つ い て 得 ら れ れ ば よ い と い う ことになる。
-31一
第
5-1-1
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汽水域における塩分と生物の分布
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1)
-33-
問題は従来得られているのは多くが海産生物についてのもので(特に、日本では)、淡水
産生物については少なく、汽水産生物については皆無といってもよい点である 。 1
9
6
0年 代
前半、核爆発実験からの放射性降下物が多かった頃、 7
.1<楼生物中の S
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0や Cs-137の 調 査
に お い て 、 そ れ ら の 濃 縮 が 淡 水 産 >汽 水 産 >海 産 で あ る ( 例 え ば 表 5- 1- 1(
a
)
、 5- 1
- 1(
ω参 照 ) こ と が 報 告 されており を¥ 汽 水 産 生 物 で 海 産 生 物 よ り 濃 縮 係 数 が 高 い こ と は
予 想 さ れ て い た が 、 定 量 的 に 十 分 な 検 討 は な さ れ て い な い 。 したが ってなんらかの方法で、
汽水産の生物についてこれらを推定しなければならない 。
5- 1- 2 塩 分 変 動 の 影 響
汽 水 域 に お け る 最 大 の 特 長 は 掠 分 濃 度 が 時 空 間的 に大きく変動することであろう。こ れ
産、汽水産、海産の生物が共存し、複雑な生物相を示す 。 (
臨1
5- 1- 1)
に伴って淡ノI<i
外 洋 で は 海 水 の 頃 分 濃 度 は 水 塊 に よ っ て 若 干 異 な る が ほ ぼ 35%と 安 定 し て い る 。 一 方 淡 水
戚では担分濃度は変動は大きいがきわめて低く、 0
.0
0
1・O.J
%である 。 汽 水 域 で は 0.5-30%
の範囲で変動する 。 したがってこの塩分の変動が評価のパラメータにどのような影響を示
すかを知ることが鍵となる 。 先に示した評価に関係するパラメータは水中濃度と濃縮係数
である 。 水 中 濃 度 に つ い て ど の よ う に 考 え る か は 問 題 で あ る が 、 あ る 水 域 の 範 囲 を 考 え 、
そこへの核種の流入は 一 定と考え平均的な護度を考えると、塩分濃度の変動とは無関係と
な る の で 、 以 下 の 議 論 で は こ の パ ラ メ ー タ に つ い て は 変 動 を 考 え な い こ と と す る 。 なお、
濃度に変動があった場合も、生物学的半減期が小さければ生物中濃度は環境中濃度にあま
り時間遅れなく追随するので生物と環境との平衡関係がほぼ保たれるとみなされ、濃縮係
数法で問題がない 。 また、主物学的半減期が大きいと平衡とはいえないが、環境中の核種
の変動がある範間内であれば濃縮係数法での推定が安全側となるので、実態はともかく安
全 評 価 の 面 で は 問 題 が な い '。
) もう一つのパラメータは濃縮係数である 。 濃縮係数も生物
による核粧の代謝に │
渇する他のパラメータと問機、環境水の塩分ないし共存元素の濃度の
変動によって影枠を受ける場合がある 。 この点に関しでもすでに議論しているので詳細は
省 く が ( 例 え ば 文 献 3あ る い は 4参 照 ) 、 淡 水 産 と 海 産 の 生 物 の 濃 縮 係 数 の 差 は 、 多 く の
まぼ淡水と海水の 元 素濃度の違いで説明される., 。 な お 、 淡 水 産 生 物 に つ
元素について、 l
いていくつかの 元来について水中濃度と濃縮係数がほぼ反比例の関係になっていることを
f
'eldt ら G) が 示 し て い る 。 表 5- 1- 2は Thompsonら の ま と め 川 か ら 計 算 し た そ れ ぞ れ の
元素の海水/ 淡水比と濃縮係数の淡水産/海産生物比を周期律表の中に示したものである。
例外はあるが、 i
l -V
I族 の 元 素 で こ れ ら の 比 が lより小さく、
lよ り 大 き い 。 こ れ ら の 比 は 、 ほ ぽ 0.01-100の 範 囲 に 入 る 。
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sに対する Kあるい
はS
rに対する C
aの よ う に 他 の 共 作 元 素 が 濃 縮 に 影 響 す る こ と も 知 ら れ て い る 。 川 -I0) この
ようなことも汽水産の生物について核種濃縮を考えるとき、考慮しなければならないが、
先の点で C
s• S
rと も 当 該 元 謀 の 桜 度 比 だ け で あ る 程 度 説 明 が つ く の で 、 こ こ で は こ れ を 考
慮しなかった。
5- 1- 3
汽水産の生物の濃縮係数
淡水産と海産の生物の濃縮係数の違いが、すべて環境水中の元素濃度の追いで説明でき
る訳ではなく、塩分の変化が元紫濃度の変化に相当する効果を持つものでもないだろうか
ら、今後さらに慎重な検討を援するが、ここでは濃縮が水中元素濃度に逆比例して変化し、
塩分変化は元素濃度以外の変化はもたらさないと仮定して、汽水域での生物の i
核積の濃縮
について検討してみたい 。
< (S=35) が 容 量 VFの 淡 水 (S=0) に よ っ て 希 釈 さ れ て い る
汽 水 域 で は 容 量 VS の海 A
,
、
、
b=35・VS
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,
,
l
、
、
,a
と 考 え る と 、 汽 水 域 の 塩 分 (S=bと す る ) は 次 の よ う に 世 け る 。
、 海 水 中 の 元 素 濃 度 を Csとする
こ の 塩 分 b に 対 応 す る 元 来 濃 度 Cbは 淡 水 中 の 元 素 濃 度 を Cf
Cb=(
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b
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(2)
となる。先の仮定より濃縮係数 (
CF) は
(3)
C
7
Fb=(C
/C
s
b)・CF
s
であるから、上の関係を用い C
f/C
7
Fs/CFfを αと す る と 、 塩 分 b と αとで次の
s あるいは C
ように記述される。
/{
C
7
Fb=CF
α・(
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)+bj
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5
}
s
(4)
し た が っ て 、 海 水 中 で の 濃 縮 係 数 に 補 正 項 が つ く こ と と な る 。 こ の 補 正 項 は α→ 0、すな
わ ち 淡 水 中 の 濃 度 が 0、 あ る い は 淡 水 中 の 濃 縮 係 数 が 海 水 中 で の 濃 縮 係 数 に 比 べ て き わ め
て大きければ、 35/bと な る か ら 、 境 分 そ の も の に 逆 比 例 す る 形 と な る 。 し か し 、 そ う で な
け れ ば 35/bと は 少 し 異 な る 補 正 項 が 必 要 と な る 。 表 5ー 1- 2は α を 0.01-100ま で の 範 囲
で 変 化 さ せ 、 塩 分 0・35に 対 す る 補 正 項 を 示 し た も の で あ る 。 最 も 左 の 欄 に は αが Oの 場 合
を委主考・まで示した。図 5- 1- 2に見ら れ る よ う に αが lよ り 小 さ け れ ば 右 下 が り 、 大 き
ければ右上がりの曲線となり、 S=35で い ず れ も lとなる。汽7l<域の塩分が概ね 10-30であ
る と す れ ば 、 海 水 中 で 濃 縮 係 数 が 最 大 3倍 程 度 の 補 正 が 必 要 と な る こ と を 示 し て い る 。 な
4
)式 に よ っ て 汽
お 、 こ の αは表 5- J- 3に 示 し た 数 値 の 逆 数 で あ る 。 先 の 仮 定 に 従 え ば (
水峻での濃縮係数が算出されることとなる。
-36-
繍正係倣
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α= 0
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塩分濃度と補正係数の関係
-37-
純正係数
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第
5- 1- 3図
塩分と放射性セシウムと りこみ速度との関係 、
上欄に塩分と補正係数の関係を示す
-38-
第 5- 1- 3表
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あ る 汽 水 域 に お け る 塩 分 の 季 節 変 化 の仮想、例
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補正係数
表
海水域での濃縮係数が淡水中より商い場合、汽水域ではこれより低くなる。ただ、この
場合補正をせず、海水中の濃縮係数を適用すれば(時に必要以上の係数に なるかも知れな
いが)安全側であることが保証される。
5- 1- 4 動 的 モ デ ル に よ る 推 定
以 上 は 汽 水 域 の 塩 分 濃 度 を 一 定 の 値 bと し 、 さ ら に こ の 環 境 に 一 生 過 ご す 場 合 を 考 え た
ものである 。 実 際 は 生 活 史 の 一 部 だ け を 汽 水 域 で 過 ご す 生 物 が 多 い し 、 ま た 汽 水 域 の 塩 分
も季節的に変動することが考えられる 。 このような場合には静的な濃縮係数法では、生物
中の核種濃度は推定できず、モデルを用いて動的な推定を行う必要がある。しかし、通常
は海水中に棲患し生活史の 一 部だけを汽水域で過ごす場合、生活史の全部を汽水域で送る
場合より核種濃度は低くなるから、先の補正はやはり安全側の値を与えることとなる 。 こ
のことを念頭においた上で、参考までにモデルによる推定を試みておく 。
ここでは成長を考慮に入れた、生活史を通しての蓄積のモデルを用いる。このモデルは
重 金 属 の 魚 類 に よ る 蓄 積 の 記 述 を 試 み た 1け も の だ が 、 重 金 属 に 見 ら れ る 成 長 に 伴 っ て 生
ず る 濃 度 変 化 の 3つ の 型 、 増 加 ・減 少 ・一 定 の す べ て を 一 つ の 基 本 式 か ら 導 こ う と し た も
のである。ここではこのモデルを述べることが主眼ではないので、概要だけ触れておく。
まず、蓄積は吸収と排池の差があるから、基本式として
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あ る 。 濃 度 は Qを
と仮定し、
体長を
Q
tは t時 に お け る 対 象 元 素 の 体 内 負 荷 量 で
t時 の 体 重 で 割 れ ば 求 め ら れ る 。 こ こ で は 吸 収 は 体 長 の 二 乗 に 比 例 す る
f
(
t
)は 体 長 の 成 長 方 程 式 の 二 乗 形 を 用 い た 。 ま た 一 般 的 な 形 と す る た め に 極 限
L∞ と し 、 各 時 点 の 体 長 を 極 限 体 長 に 対 す る 比 ( Lt
!L∞ ) で 表 す 。 成 長 方 程 式 は
最もよく用いられる v
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とな る。 な お 、 こ こ で は 変 化 の 傾 向 だ け を 見 る こ と を 目 的 と し て い る の で 過 度 に 簡 略 化 し
ているが、厳密には定数などをさらに詳細に限定しなければならない。
長に伴う変化の型は
Q
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Bと Kの 相 対 的 な 大 き さ で 変 わ る が 、 濃 度 は B=3Kの 時 、 時 間 に 関
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核積蓄積のシミュレーション
-43ー
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Bが 3Kよ り 大 き い と 時 間 と と も に 減 少 し 、 小 さ い と 時 間 と と も に 増 加 す
る。
20) 、 半 年 を 海 域 CS=35) で過ごすとし、
半 年 を 汽 水 域 CS=
5年 間 (
6
0ヶ月)の務制を計
n:した 。 諮 肢 は 成 長 速 度 (K)、とりこみ速度 (U)、排地速度 (B )(
な い し生物学的半減期
(
'
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う に こ こ で は こ れ は 一 定 と す る 。 これら 3つ の パ ラ メ ー タ が 塩 分 の 変 化 で ど の よ う な 影 響
を受 け る か に つ い て は 必 ず し も 明 ら か で は な い が 、 こ こ で は K とB は塩分の影響を受けず、
U の み が 濃 縮 係 数 と 問 機 の 影 響 を 受 け る と 考 え る こ と と す る 。 図 5- 1- 3は 環 境 水 の 塩
分を変化させ て魚による放射性セ シウムのとりこみ速度の変化を見たものである
I2)
。種
類によって塩分変化に対する応答は必ずしも一定とはいえないが、変化の傾向、変動の範
囲は先に見た濃縮係数についての補正項の値の変化の傾向、変動の範囲と巨視的には 一致
する 。 そ こ で こ こ で は U に つ い て も 先 の は ) 式 に よ っ て 塩 分 変 化 の 影 響 を 考 え る こ と と し た 。
Kにつ い て は l年 で 極 限 体 長の 80%に 達 す る ケ ー ス
れ よ り 成 長 の 遅 い 3ケースを考え、
(K = O
.015/day)を 標 準 と し そ の 他 こ
Bに つ い て は 生 物 学 的 半 減 期 が ほ ぼ 10目、 50目、 200目、
360目
、 1
000臼 に 見 合 う 値 (
0.07-0.0007 ) を 考 え た 。 そ れ ぞ れ 一 例 を図 5- 1- 4と 51- 5に 示 す 。 い ず れも 半 年 単 位 で 蓄 積 の 増 減 を 繰 り 返 す が 、
Bが あ る 程 度 大 き け れ ば ほ
ぼ 平 衡 が 達 成 さ れ て お り 補 正 項 で 示 さ れ る 一 定の範囲を変動する。
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結果を参考にして仮怨例を作り
品後に汽水域の境分の季節変化をある汽水湖での観 d
(表 5- 1- 4)、ここに周 年 生 活 す る も の 、 5-10月、 11
- 4月 に 生 活 す る も の の 3ケー
ス を 試 算 し た 結 果 を 図 5- 1- 6に 示 す 。 な お こ の 図 に は 周 年 海 域 に 生 活 す る 場 合 も 参 考
の た め に の せ で あ る 。 海 と 汽 水 湖 で は 2倍 弱 の 違 い と な っ て い る 。 こ れ ら の 試 算 で は 季 節
的な水温変化の各パラメータへの影響を無視している。しかし、この方が塩分変化に対応
する変化だけを見るのに適していよう 。
以上、非常に組く汽水域での汚染の評価を試みた 。汽水域に棲息するのは担分適応性の
高 い 広 忠 性 の 生 物 だ が 、 魚 類 お よ び一 部 の 無 脊 椎 植 物 の よ う に 浸 透 圧 調 節 型 の 生 物 と 多 く
の無脊椎動物のように浸透圧順応型のものがある。当然この二者で は種々の物質の代謝と
それへの塩分濃度の変化の影響の仕方が変わる可能性がある 。 したがって、個々の生物に
ついてどのような代謝モデルを考えるか慎重な吟味が必要ではあろうが、本稿での議論は
その 手 始 め で 、 今 後 種 々 の 試 み が な さ れ る こ と を 期 待 し た い 。
-44-
参 考 文 献
1)
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海洋汚染の評価と生物濃縮,日本原子力学会誌. 2
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魚 類 の Sr
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0.C
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3
7濃 度 , 第 8回 放 射 能 調 査 研 究 成 果 発
p.1
4卜 1
4
4.
表会論文抄録集(科学技術庁) p
3)
清水
誠 (1
9
7
3
) 環 境 に お け る 放 射性 物 質 の 生 物 濃 縮 に つ い て
R
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2・6
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3.
2
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(
1
4)
清水
誠 (1
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7
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)
生 物 濃 縮 , と く に 水 産 生 物 に お け る 濃 縮 係 数 とそ の 変 動 . I
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放 射 性 物 質 に よ る 水産 物 の 汚 染 に 関 す る 研 究 、 文 部
3
年 度.
省 科 学 研 究 費 特 定 研 究 報 告 集 録 (放 射 線 影 響 編 ) 昭 和 4
(清 水 誠 )
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5- 2 人 休 の 線 量 当 量 評 価
ー放 射 性 核 種 の 淡 水 生 物 を 通 じ て の 人 体 の 線 量 算 定 モ デ ル 式 一
5- 2- 1 線 量 算 定 基 本 式
淡;1<生物の摂取による人体の被曝線量は基本的には次のように惟定できる 。 な お 被 曝 線
量 と は 淡 水 生 物 を 1!
年間摂取することによる 7
0年 間 預 託 実 効 線 量 当 量 (Com
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) を意味するが、以下簡単のために被曝線量
(Dose) と略する 。
(
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(Individual dose)
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jの 個 人 の 被 曝 線 量 (mSv/y
)
年 令 jの 個 人 が 淡 水 生 物
kを 年 間 に 摂 取 す る 抵 ( 年 間 摂 取 量 、
kg/y)
, 年 令 jの 個 人 が 核 種 iを 単 位 量 取 り 込 む こ と に よ る 被 曝 線 量 ( 線 量 換 算 係
:
数、 m
Sv/B
Q)
C
J
i
.
k
:桜 極
iの 淡 水 生 物 k中 震 度 (Bq/kg)
(
2
) 集 団 の 被 幌 線 量 (Collectivedose)
[
C
D]
=C。
ヱPj
D
j
(2)
[
C
D
] :
集 団 線 批 (person.Sv/y
)
person)
:年 令 jの人口 (
P
j
:年令 jの 個 人 の 被 曝 線 量 (
mSv/y
)
D
j
Co
D
jは
:mれ か ら れ へ の 換 算 係 数 (=10・3)
(I) 式 か ら 得 ら れるので、
[
C
D
]=CoL
:PjL
:Wj,kL
:(DFkP
λk
(3)
(3) 式 中、 R
i-Wj
,
k は年令 jの 集 団 が 淡 水 生 物 kを 年 間 に 摂 取 す る 量 で あ る 。 これを j
について積算すれば淡水生物
線量換算係数
kの 年 間 漁 獲 高 に 消 費 率 を 乗 じ た も の に 等 し い 。 したがって、
(
DF)
i
.
jに つ い て 人 口 構 成 比 を 考 慮 し た 平 均 値 を 用 い れば、
ようになる 。
-46-
(3) 式 は次の
[CD]=Co~ ~ (DF)ρ'
k
A
k
C
f
i
,
k
(EF)E=ZRj(DF)i,
j.
P
j=Pj
/,
P。
(4)
(4)
ここ』こ 、
Ak
:淡水生物 kの 年 間 漁 獲 高 (k
g/y)
Ck
:淡 水 生 物 kの 年 間 消 費率 (ー)
Pj
:人口 j の 全 人 口 に 対 す る 割 合 (一)
Po
:全人口
P。 は 本 来 淡 水 生 物 kを 慎 取 す る 集 団 の 人 口 で あ る が そ れ を 推 定 す る こ と は 一般 に 困 難
で あ る 。 一 方 人 口 構 成比 乃 は 一 家 族 を 要 素 と す る 任 意 の 母 集 団 で ほ ぼ 一 定 し て い る こ と が
期待できる 。 したがって (4γ式 に よ る 計 算 の 方 法 は 集 団 線 量 推 定 の 精 度 を 向上 させるも
のと考えられる。
5- 2- 2 淡 水 生 物 中 濃 度 の 推 定 方 法
5-2-2-1 核 種 移 行 モ デ ル に 関 する 考察
前章で考怒したように、線量算定のためには、淡水生物中の核種濃度C
f
i
.kを 推 定 す る 必
要がある 。
C.
k
kを推 定 す る た め に は 、
a) 流入する核種の淡水圏中の時間的、 空 間的 分 布 、 お よ び 、
b)
淡水生物の時間的、空間的生息分布
を組み合わせて考えなければならない 。
淡水圏としては河川および湖沼が考えられ 、 これらは比較的閉じた系とみることができ
る。 こ の よ う な 場 合 、 流 入 す る 放 射 性 核 種 の 系 中 の 濃 度 は 、 い わ ゆ る マ ル チ コ ン パ ー トメ
ン卜モデル 0l
u
1ti
c
o
m
p
ar
lm
e
n
t
a
1m
o
del
.M
C
M)で表現することができる。
(
1
) 基本モ デ ル
簡単のため に
、 川 ま た は 湖 の 放 射 性 核 種 流 入 部 、 中 央 部 、 出 口部 、底部の 4コンパート
メ ン ト モ デ ル を 考 え て み る (図 5-2- 1)。 こ の う ち 底 部 を 除 く 他 の コ ン パ ー ト メント
は そ れ ぞ れ 、7/<、懸濁物、生物を含んでいるので、これらがさらにサプコンパート メ ント
(S
u
b
c
omp
ar
l
me
n
l)となる (図 5-2- 1)。 この多 元 コンバ ー トメントについて、流入
す る 放 射 性 核 種 の 放 射 能 収 支 を 数学的 に 表 す と次 のようになろう 。
-47-
流入部
中央部
流出部
E
I
││
│ │
底
第 5- 2- I図
部
移行基本コンパートメントモデル
-48-
第 n 番 目 の コ ン パ ー トメン卜 (n
-zone) では、
dCJ~
~ =ー (ん
,
.
.
,
.+ ÀUI/l,n+l
,
I
lr
.十 んs 十 んb+À~xt)CJ~ 十 Atun-l nqrl + ASMJq: 十 Àbω CJ~ 十えdwCJ~
d
t
I
'
'
'
U/f'
I
'
'
'
'
W
.
:
T
I
'
'
'
W V ' '''11.
ω
・,~,
n
da
A
, 十A
s
w +A
S
b+
À~d)CJ~ 十 À(IISCJ~, +À~sCJd
す子 =ー (
生し -{Àr 十九w+ Àbd)CJ~ +んbCJ~, 十九bCJ~+ えdbCJd
d
t
dCJ~
2f = ー (ん + Àdw+ Àdb + 弘 )CJ~ 十 ら CJ~,+ ゐ CJ~ + ÀbdCJ~
CJ~,
Q)
:水中の全放射能 (B
CJ~
B
Q)
:懸濁物 中 の 全 放 射 能 (
CJ~
:生物中の全放射能 (B
Q)
~
Q)
:堆 積 土 の 全 放 射 能 (B
A
r
:放射性壊変定数 (1
/d)
え附
:71<から懸濁物への移 行率 (1
/d)
(5)
1
/d)
A
W
b :7tくから生物への移行率 (
A
S
b
/d)
!限濁物から生物への移行率 (1
容出率(1
!j
崩物から71<への j
/d)
A
S
I
I
I :眼
/d)
Abw :生 物 か ら 水 へ の 移 行 率 (1
/d)
b :堆積土から生物への移行率 (l
A
d
ぇ
;
:
d :71くから堆積土への移行率 (1/d)
À~III
堆横 土 から水への移行率 (
d)
1
/
An
:懸濁物から堆積 土 へ の 移 行 率 (1
/d)
、
ョ
,d
r
t
l
/d)
:堆積物から懸濁物への移行家 (
s
d
s
λ
川, n'
!
l
-zoneの水から
:n
(
n+
l
/d)
l)-zoneの 水 へ の 核 種 の 移 行 率 (
B
Q/d)とすれば、
流入部コンパ ー トメントでは、核種の流入率を 1(
(6)
hIMA?;1=1
となる 。 ま た 出 口 部 コ ン パ ー ト メ ン 卜 で は 、 核 種 の 流 出 率 を E(
B
Q/d)とすれば、
(7)
Mu
=E
n+1
C
J
n,
じ
となる 。
(
5
)式 は 各 コ ン パ ー
ト メ ン ト 中 の 全 放 射 能 を 基 に し て 放 射 能 収 支 を 表 し て い る 。これは 、
-49-
コ ン パ ー ト メ ン ト そ れ ぞ れ の 質 が 異 な る た め に 、 漉 度 を 基 に す る コ ン パ ー ト メ ン ト 間 の移
行 率 が 単 純 に は (l
/d)単 位 で 表 せ な い と い う 煩 雑 さ を 避 け る た め で あ る 。 し か し 実 際 は 濃 度
を 知 る こ と が 必 要 に な る が 、 各 コ ン パ ー トメ ン ト に つ い て の 全 放 射 能 と 濃 度 と の 関 係 は 以
下のように表すことができる。
水中
(8)
C~ = qνvz
V~,
コンパートメン卜 n の水の容積 ( rrO
懸濁物中
c
;=q
:
/
M
:
(9)
M
::コンパートメント n中 の 懸 濁 物 全 量
(kg)
生物中
C
Z
=q
p
/
均
(1
0)
M
'
i
:コンパートメン卜 n中 に 生 息 す る 生 物 の 全 量
(同 )
: コンパートメン卜
1
ア ・ρd
)
ゐ
An
、
‘
,
Cd = q~/ (An
、,
,
、-EaA
,
.
,
堆積土中
n中 の 底 部 面 構 (r
f)
0 ' : 堆 積 土 の 混 合 層 深 さ (m)
向
:堆積土の密度 (kg/mJ )
な お 、 コ ン パ ー ト メ ン 卜 nの 容 積
vn
とその中の水の容積
V
Cとは厳密 に は 次 の よ う な
関係にある 。
V
L=v
n一
刈
(/ρs十均/P/)
向
ρ
I
j
(12)
!態濁物の実効密度 (kg/r
r
O
:生物の実効密度 (kgjば )
以上は流入する放射性核種の移行に注目したコンパートメント 構成である。しかし、前
述のように、淡水生物の生息分布も数学的にモデル化する必要がある。例えば、注目する
生 物 が あ る 特 定 区 域 の 底 部 に 生 息 す る も の で あ れ ば 、 そ こ の 部 分 を lつ の コ ン パ ー ト メ ン
2)式 な ど は 特 に 念 頭 に 置 く 必 要 が あ る か も 知 れ な い 。
卜にする 。 このときには (1
放 射 性 核 種 の 流 入 が lヵ 所 で は な く 大 気 中 か ら の 沈 着 で あ れ ば 、 各 コ ン パ ー ト メ ン 卜 の
-50ー
大気に接する部分に流入項を加えることになる。この場合、沈智した核種の深さ方向への
舷 散 ・移 行 が 緩 慢 で あ る な ら ば 、 沈 着 部 分 を lつ の コ ン パ ー ト メ ン ト と し て 独 立 さ せ る な
どの工夫が必要である 。
(
2
) 平衡モデル
放射性核極の流入が一時的な場合(事故的放出)には、核極移行の時間依存性を考慮し
つつ (
5
)
式を吸うことになる 。 一方原子力施設の平常運転時のように核種の流入率が一定連
続 で あ り 、 さ ら に 淡 水 圏 の 年 間を 通 し た 平 均 的 状 態 を 考 える な ら ば 、 系 全 体 を 平 衡 状 態 と
5
)
式 の 左 辺 は O で あ り 、 右 辺 の 移 行 率 は す べ て 年 間平 均
し て 扱 う こ と が で き る。 こ の 場 合 (
である 。
(
3
) 汽水域モデル
汽 水湖の tl~ の生物の放射性物質の 濃縮に ついては前 章にお い て汚染評 価 の観点 から考 察
を 行 い 簡 略 か っ 有 効 な 方 法 が 提 示 さ れ て い るの で 、 以 下 で は 動 的 モ デ ル を 用 い て モデ ル パ
ラメ ー タ の 整 理 と い う 観 点 か ら 考 察 し て み た い 。
湖汐作用により海水が周期的に流出〈し淡水と共存する汽水湖における放射性核種の生
物 へ の 移 行 を 推 定 す る場 合 、 以 下 の 諸 点 を 考 える 必 要 が あ る。
a)
海水が浸入する範囲
b)
淡 水 と 海 水 が 混 合 す る範 囲
c) 海 水 領 域 で生 息 す る生物の 種 類
d)
淡 水 ・海 水 混 合 屈 で 生 息 す る 生 物 の 種 類
こ れ ら の 点 に 注 意 す れ ば 、 汽 水 湖 モ デ ル は 図 5- 2- 2の よ う な コ ン パ ー ト メ ン ト で 構
成さ れ よ う 。 基 本 的 に は 、 海 水 は 淡 水 よ り 高 密 度 な の で 下 層 へ 入 り 、 淡 水 は 上 胞 を 通 っ て
海へ流出すると想定する 。 そして両屈の接触する部分が混合屈となる。海水コンパートメ
ン ト は 淡 水 よ り 疏 入 す る 放 射 性 核 種 を 含 ん で い な い の で 、 このコンパート メ ント中の放射
性核種は生物、懸濁物、堆積土それぞれから海水中へ排地または溶出するものだけに由来
す ると考え てよ い。 し た が っ て、 こ の コ ン パ ー トメ ン 卜における 淡 水 と 海 水 の 交 換 率 に 比
較 し て 、 生 物 か ら の 排 地 率 お よ び 懸 濁 物 、 堆 積 土 か ら の 溶 出 率 が 十 分 小 さ け れ ば 、こ のコ
ンパ ー ト メ ン ト の 中 の 核 種 分 布 は 淡 水 の 混 合 状 態 と ほ と ん ど 閉 じ と 考 え ら れ る 。
上層の淡水コンパートメン卜内では、核種と生物、懸濁物との相互作用は前述の基本モ
デ ル で取 り 扱 う こ と が で き る 。 た だ し コ ン パ ートメ ン ト の 容 積 は 時 間 に 依 存 し て 変 化 す る 。
閉 じ 生 物 で も 、 淡 水 中 と 海 水 中では 物 質 の 体 内 へ の 取 り 込 み 、 蓄 積 の 量 が 異 な る。 懸 濁
物 か ら の 溶 出 も 異 な る と 考 え ら れ る 。 し た が っ て 淡 水 ・海 水 混 合コ ン パ ー ト メ ン 卜中 の 核
極分布を推定する場合には、これらの差異を考躍する必要がある。以下淡水中での物質濃
縮 能 力 が 海 水 中 よ り 大 き い 魚 類 を対象に、 この問 題 に つ い て さ ら に 検 討 を 加 え る。
-51-
第
5-2-2図
上潮時汽水湖モデル
-52-
簡単のために、注目する魚類群のみが生息する容積 V
m の独立した混合コンパートメン
:
O)
で
卜を考える 。 こ の コ ン パ ー ト メ ン 卜 は 、 潮 汐 作 用 に よ り 海 水 が 侵 入 し 始 め る 時 刻 (t
は淡水で満たされている 。 したがって、魚類と淡水との間の核種のやり取りは次のように
表される 。
互
主
d
t
I
+A
t
.
l
I
b
)qω- A
.bwqb
ー(
Ar
dqb
Tt
-ー(ん +えbω )qb十 AWbqw
ーらく t孟
o
(13)
各 パ ラ メータは (
5
)式で定義されているものである。
ω式 を さ ら に 簡 単 に す る た め に 、 淡 水 中 の 放 射 能 q
ω
は qbに 比 べ て 十 分 大 き く 、 生 物 と
の や り 取 り に よ っ て 変 化 し な い と 仮 定 す る 。 し た が っ て 生 物 中 の 放 射 性 核 種 濃 度 Cb の変
化は次のように推定できる 。
(14
)
dC・
~ =ー {À.r+ A
.
C
えωbC
ω
bω)
b+
d
t
Cw- は 混 合 コ ン パ ー ト メ ン 卜 中 の 水 中 濃 度 で あ る が 、 潮 汐 周 期 (t
o)の 間 で 次 の よ う に 変
化すると想定する 。
C~I = ~I( 1-t
/
t
o
),
CI/I = C~メ /to.
0豆 t壬 tto
o
÷t
o妥 t豆 t
(15)
c
;
,l
ま混合開始時の水中濃度である。
淡水中の海水中で濃縮係数が異なる生物は塩分濃度によって代謝作用が異なるだろうか
w
. Aωは 変 化 す る と 考 え ら れ る 。 こ こ で は 放 射 性 核 種の
ら 、 混 合 の 過 程 で (14)式中のえb
取 り 込 み の 作 用 は 一 定として (A
.
wb =一 定 ) 、 排 池 の 作 用 が 濃 度 に 応 じ て 次 の よ う に 変 化
すると仮定する 。
い
ん4u
(
1
+
fい)}十
ん=ゐ
話ω
寸to
0豆 t
r
A
.
士
山
孟 to
は淡水中における生物の排池率、 k は比例定数である。
したがって
ω式は
-53-
(16
)
dCh
d
t
一一三十 ~Cb= μCw (l- t
/
t
o
,
)
0孟
tt
o
(1
7
)
孟
(1
7
) 式の解は
a
叫 ♂内
tほ
付
)
d
÷
L
)
e
(
d
山
引
刊
(
札1一 J
μ
L
μ
b
Aj
f
r
引
イ
f
。
凶
C円川+Pi炉附戸内>[札
A
α=A
:
括
ん
r
i
ω
+
A
2
守
b
句
J
(
(1
8)
s=k
)
括 2to
潮汐作用の後半(Yz t
。孟
五t
t:
ω と 生 物 中 濃 度 Cb は (15)、(18)式
o) で は 、 水 中 濃 度 C
の逆をたどることになる 。
5- 2- 2- 2 パ ラ メ ー タ に 関 す る 考 察
(
1
) 淡水湖モデル
放射性物質が河川湖沼へ一 時的に放出される事故的政出の場合は、濃度等の時間変化を
把 握 す る 必 要 が あ る の で 、 (5) 式 を 扱 う こ と に な る 。 し た が っ て (5) 式 に 含 ま れ る 各 種
のパラメータに値が必要となる 。 しかし一般には定常的放出で平衡状態における放射能分
布 を 知 る こ と が 重 要 な の で 、 こ の 場 合 を 考 え て 平 衡 モ デ jレについてパラメータを考察する。
現 在 、 平 衡 状 態 を 前 提 と し て 、 生 物 の 濃 縮 係 数 、 懸 濁 物 ・底土の分配係数、 l
帳j
出物の沈
降 速 度 、 底 土 か ら の 再 浮 遊 係 数 な ど が 定 義 さ れ 、 定 義 に し た が っ て それ ぞ れ の デ ー タ が 得
られている。したがって平衡モデルではこれらのデータが使用可能であるし、使う必要も
等の代わりに護縮係数等を使う場合、下のようにいくつか
ある 。 し か し (5)式の Awb.Abw
の留意すべき事項がある 。
a) 濃 縮 係 数 、 分 配 係 数 等 は 一 般 に 非 放 射 性 物 質 に つ い て 求 め ら れ て い る の で 、 短 半
減期核種へ適用する場合にはんの効果で補正する必要がある。勿論この効果を無拡
すれば安全側評価となるが、評価精度の要求程度とのかね合いとなろう。
b)
濃 縮 係 数 、 分 配 係 数 は 濃 度 に 対 す る 濃 度 の 比 と し て 求 め ら れている 。 一 方 コ ン パ
ートメントモデルでは総量で考えないと収支のバランスがくずれる場合が多い。こ
1
2
) 式 の 関 係 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 ただし、
の 両 者 を 結 合 す る と き に は 、 (6) ~ (
コンパートメント内の総量の聞の大小関係が顕著で収支ノ〈ランスに影響を与えない
ような状態であれば濃度対濃度比で推定が可能となろう。
c) 各 種 係 数 と 移 行 率 は 次 の よ う に 対 応 し よ う 。
濃縮係数
-
分配係数
-
沈降速度
-
AWb, Ab
ω, A
S
b
. Adb,
A
w
s
. As
ω. A
W
d
.
A
s
d
.
A
d
s
.
Au
.
d.
A
c
u
u,
仏 υ.
-54-
(5) 式 か ら み ら れ る よ う に 、 両 者 の 関 係 は こ の ま ま で は か な り 組 雑 で あ る 。 こ
れを簡単化するためには移行率問の大小をオーダー規模で把握できるとよい。例え
ば
、
A
S
b
. A
d
bが 十 分 小 さ け れ ば 、 多 分
υ
λb/Abω= (濃 縮 係 数 〕 で あ る こ と が 期 待 で
きる 。
d)
濃 縮 係 数 、 分 配 係 数 と も に 濃 度 比 で あ る の に 対 し て 移 行 率 は 時 間 率 (r
a
t
e
) であ
る。 し た が っ て 両 省 を 対 応 さ せ る た め に は 移 行 率 の 比 ( 例 え ば え ゅ/
Abw) を 考 え る
必要がある。また沈降速度は長さの次元を持って いるので、懸濁物、底土のパラメ
ー タに闘しては面積との間に適切な関係を考える必要があろう 。
(
2
) 汽水湖モデル
汽 水 湖 モ デ ル に 使 わ れ る パ ラ メ ー タ に つ い て も 前 記 の 留 意 事 項 は 考 え る 必 要 が あ るが、
これ に 加 え て 定 常 放 出 で あ っ て も 平 衡 モ デ jレ が 使 え な い ( す な わ ち 濃 度 が 時 間 変 化 す る )
という特別な事項がある 。 さらに同 一種 生 物 の 濃 縮 係 数 が 淡 水 と 海 水 で 異 な る と い う 特 殊
事情がある 。本報告では、簡単な汽水湖モデルといくつかの仮定を設定して考察を試みた。
紙面の 制 約 の た め 考 察 は 十 分 で は な い が 、 次 の 2点 は 考 慮 し て よ い 課 題 で あ ろ う 。
a) 鎖 縮 過 程 の 研 究 か ら 淡 水 、 海 水 に つ い て A
b
w
. A
ゅをそれぞれ直接求めること、
b)
(16)式 が 仮 定 と し て 妥 当 か ど う か わ か ら な い が 、 塩 分 濃 度 に よ る ゐω の 変 化 を 濃
縮 係 数 の 差 か ら 推 定 す る こ と 〈 式 中 の パ ラ メ ー タ kの推定)。
5- 2- 3 モデル 開 発 の 国 際 的 動 向
OVS計 画 とい う
最近数年に わた り
、 スウェ ー デ ン 国 立 放 射 線 防 護 研 究 所 が 主 催 して BI0M
I0舗OVS (
B
iospheric Model Validation Study
) 計画は、
国際共同研究が進められている。 B
放射性物質あるいは徴量元素の生態圏中移行を扱うために開発されたモデルを、実験及び
野 外 デ ー タまたは モ デ ル の 相 互 比 較 に よ り 検 証 す る も の で ある 。 OECD原 子 力 機 関 加 盟 国の
うち 1
4ヵ 国 及 び ハ ン ガ リ ー の 研 究 機 関 が 参 加 し て お り 、 日 本 で は 原 研 が メンパ ーか っ 圏 内
研究機関の窓口となっている。
こ の 共 同 研 究 で は 多 数 の 環 境 問 題 が 対 象 と し て と り 上 げ ら れ てい るが 、 こ の 中 に 水 銀 の
河川 放 出 ( ア メ リ カ の 実 視IJデ ータ による 検 証 ) と チ ェ ルノ ビル事 故 後 の セ シ ウ ム の 湖 沼 移
行 ( ス ウ ェ ー デ ン の 実 測 デ ー タ に よ る 検 証 ) に 関 す る 問 題 が 含 ま れ て い る 。こ のた め原研、
西 ド イ ツ 、 ス ウ ェ ーデ ン 、 ハ ン ガ リ ー 、 ア メ リ カ な ど が モ デ ル 開 発 を 進 め て い る が 、 ま だ
完 成 され て い な い。
990年 9月 に 終 了 し 第 2期 へ 進 む 予 定 と な っ て い る の で 、 第 i期 の
本 共 同 研 究 は 第 l期 を 1
成果は報告書にまとめられ、 1
9
91
年には公表されるであろう。
(飯嶋敏哲)
-55-
Fly UP