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イノベーションをソリューションに結び付ける 「データウェアハウス

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イノベーションをソリューションに結び付ける 「データウェアハウス
データウェアハウス
ソリュ ー ション
サ ービスを極め る
ビジネスインテリジェンス
見える化
イノベーションをソリューションに結び付ける
「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」
NTTデータでは,ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの選定からBI
システム構築に至るまでの支援を目的に,各ベンダの協力のもと「データ
ウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」サービスを開始しまし
た.そこでBIシステムが抱える課題と,サービス内容を紹介します.
か と う
もとひで
お か だ
加藤 元英 /岡田
たかし
なかがわ
けいいちろう
せ き ね
崇 /中川 慶一郎 /関根
じゅん
純
NTTデータ
ようになりました.
B I と は
BIの第一歩は,分析するためのデー
BI導入のメリットは,①事実データ
タ基 盤 であるデータウェアハウス
により,思い込みを排除する,②大量
(DWH),データマートの整備です.ま
BIとは,企業の内外に散在する膨大
のデータに埋もれた知識を発見する,
た,蓄積されたデータをさまざまな角度
なデータを分析して,経営意思決定に
③仮説検証を繰り返すことで「事実」
から集計・分析するときには,BIツー
活用する取り組みを総称するコンセプ
の背後にある「真実」に迫ることがで
ルの1つであるOLAP(On-line Ana-
トです.
きる,ということです.
lytical Processing)ツールを利用し
データを経営に活かしたいというニー
ズは,古くからあります.BIもその延
ます.このようなBIは「集計型BI」と
BIのタイプとトレンド
長にあるコンセプトですが,IT(Infor-
呼ぶことができ,第1のタイプになり
ます.
mation Technology)の進展によっ
ここでは,情報分析技術という視点
て情報を組織的・体系的に管理するこ
からBIを4つのタイプに分け,それぞれ
とが可能になり(図1)
,注目を集める
の方向性について考えます.
集計的なBIシステムはすでに多くの
企業で導入されており,経営のCPM
( Corporate Performance Management)や「見える化」といった取り組
みに大きな役割を果たしています.今後
BIシステム
もマネジメント層から現場層まで幅広く
分析基盤(BIツール群)
普及していくことが予想されます.
レポーティング
OLAP
ツール
データ
マイニング
ダッシュボード
テキスト
マイニング
統計
パッケージ
次に第2のタイプです.膨大なデー
シミュレー
ション
タの中から隠れた関係性や規則性を見
つけ出そうとする場合,人間の能力で
は限界があります.このとき,データマ
データ基盤
イニング技術を活用すると作業が効率
DWH
データマート
的になります.このようなBIは,データ
をかき回して埋もれた知識を見つけ出す
ETLツール
という意味で,
「発見型BI」といえます.
発見的なBIは,金融,通信,流通
基幹
システム
におけるCRM(Customer RelationSCM
CRM
POS
図1 BIシステムの構成
ERP
ship Management)など,特定業務
では深く根付いており,今後も適用さ
れる業務の範囲が着実に広がっていく
32
NTT技術ジャーナル 2009.5
ソ
リ
ュ
ー
シ
ョ
ン
サ
ー
ビ
ス
を
極
め
る
ことが予想されます.
剰在庫,欠品はどうなるかという計算
する」ために情報分析技術を活用する
ITによる業務改革はどの企業にとっ
を過去の一定期間にわたって日々繰り
ものです(図2)
.
ても,大きな関心事です.ここでは,
返します.このとき,例えば,発注し
蓄積されたデータからデータマイニン
BIが業務改革に果たす役割とこのよう
てもある割合でメーカ側が欠品するので
グ等により,モデルを作成し,ユーザか
な場面で使われるBIについて考えてみ
納品されないとか,一定期間売れ残っ
らの要求トランザクションデータをリア
ます.
たら廃棄しなければならないといった現
ルタイムにモデルに適用することにより,
実の業務要件,制約を組み込んでいく
付加価値の付いた気の利いたサービス
ことになります.
を提供することができるという意味で第
業務改革ではこれまでの業務のやり
方を変える,すなわち業務方式の改革
が大きな鍵になります.例えば,米国
このような場面で活用されるBIは,
4のタイプ「プロアクティブ型」と呼ぶ
流通最大手のウォルマートは,メーカ
これから導入しようとする業務方式が
と協調して商品計画,需要予測,補充
もたらす結果と比較し,どれが最適か
を行うCPFR(Collaborative Planning
を考えるという意味で第3のタイプ,
Commerce)サイトへ行くと,次から
Forecasting and Replenishment)
「what-if型BI」と呼ぶことができます.
次へとお勧めの本が表示されます.顧
という取り組みにより,欠品防止,在
業務改革には常に大きなリスクが伴い,
客は,本を検索したときに,その人が
庫削減を実現する改革を行いました.
そのインパクトを事前に推計するなど,
興味を持ちそうな本も併せて表示され
このような改革を日本の流通業界で
リスクをできるだけ軽減することが求め
ることで,今まで知らなかった本に出会
実際に進めるとなると,①どんな業務
られます.今後,業務改革を推進する
うことになります.このようなレコメン
方式にするのか,この例ではどのような
うえでwhat-if型のBIを活用していこう
ドサービスも一種の知的サービスという
情報を共有して需要予測をし,どのよ
とする流 れはより加 速 していくで
ことができます.
うな発注をするのか,②いくつかある業
しょう.
務方式の中でどの方式が効果的か,と
いったことが大きな問題になります.
ことができます.
例 えば, 書 籍 のE C ( E l e c t r o n i c
現在,このような機能を業務に組み
最後に第4のタイプですが,近年,
込んだ事例は限られますが,高度道路
B I の新 潮 流 として注 目 されるのが,
交 通 シ ス テ ム ( ITS: Intelligent
①を実現するための個別要素技術
「ユーザ行動を理解し,一歩先回りをし
Transport Systems)における安全で
(需要予測や在庫・発注計算)として
て,気の利いたサービス・機能を提供
スムーズな運転の補助や金融取引,申
情報分析技術が有効であることは,異
論の余地はありません.それでは,②に
ついてはどうでしょうか.
これまでやったことのない業務方式を
実行したときの効果を試算するには,実
証実験は有効な手段です.しかし,現
大規模データマイニング
DWH
(行動履歴データ)
基幹データベース
モデル
抽出
場を巻き込んだ大規模な実験となると
“失敗しました”では,現場は混乱し,
通常業務に支障をきたします.そのよ
リアルタイム処理
うなとき,業務上の要件,制約をリア
モデル
適用
ルに描写するシミュレーション技術が大
きな力を発揮します.
先ほどのCPFRの場合,想定する発
注方式(需要予測と在庫・発注計算)
付加価値
情報
ユーザからの要求
トランザクションデータ
より価値の
ある情報にして
ユーザに提供
図2 知的なサービスを提供するBIシステム
を基に実際に発注したら,販売数,余
NTT技術ジャーナル 2009.5
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請業務におけるリアルタイムな不正検出
など,業務を革新的に変えていく根幹
の技術として,注目されるところです.
データウェアハウス/ビジネス
インテリジェンス・ラボ
分析を行うべきか分からない
・BIシステムを導入したが,レポー
ト閲覧時のレスポンスが悪い
Officeとの連携,ダッシュボード作成
といった標準的な機能は備えています.
しかし,実際に既存システムの帳票を
そこで,NTTデータでは円滑なBIシ
BIツールで実装しようとすると,ツール
ステムの導 入 と活 用 を目 的 として
によっては完全に再現できない場合が
「データウェアハウス/ビジネスインテ
多くみられます.
「見える化」に代表される集計的な
リジェンス・ラボ」を開始しました.同
BIシステムは,DWHとOLAPをはじめ
ラボでは,図3のようなサービスを提供
さまざまなBIツール環境を用意してい
とするBI市場の拡大に大きく貢献して
することにより,BIシステム導入をサ
ます.これらの環境でお客さまシステム
きました.
ポートします.
に即したデモを構築し,レポート要件や
ここからは,集計的なBIシステムを
(1) BIツールの選定支援
中心にNTTデータの新しいサービスを
カタログベースの比較ではBIツール
紹介します.なお,これ以降特に断り
の機能差を理解し,最適なツールを選
のない限り,集計的なBIシステムを単
定することは容易ではありません.
に「BIシステム」と呼ぶこととします.
B I システム導 入 にあたり, 多 くの
ユーザが以下の課題に直面します.
具体的には,どのツールをとっても,
ドリルダウン(データの集計レベルを1
つずつ掘り下げて集計項目をさらに詳
システム規模・性能に基づいた比較を
行うことで,最適なツールを選定する
ことができます.
なお,現在データウェアハウス/ビジ
ネスインテリジェンス・ラボで用意して
いるBIツール環境は図4のとおりです.
(2) BIシステムのデモ実施
・自社の業務にどのBIツールが適切
細にする操作)
,スライシング(多次元
お客さまにとっては,BIシステムを導
なのか,カタログでは判断できない
データのうち2つの集計軸を指定し,表
入するとどのように業務が変わるのか,
・BIツールを導入したときに,現行
を作成する操作),ダイシング(表の軸
どのようなことが新しくできるようにな
業務がどのように変わるのかイメー
を入れ替え,集計軸の異なる表を作成
るのかといったことを,イメージするの
ジできない
する操作)といったOLAP分析,定型
は簡単ではありません.その切り札とな
帳 票 作 成 , グラフ作 成 , M i c r o s o f t
るのが実データを用いたデモの実施にな
・BIツールを用いてどのような集計・
ラボサービス
BIツールの選定支援
BIツール群を用いたデモ
実施フロー
お客さまデータの受領
BIシステムのデモ実施
分析コンサルティング
データモデル・分析レポートの
テンプレートの提供
DWHの構築
ダッシュボード
デモ実施
図3 ラボ実施フローとサービスメニュー
NTT技術ジャーナル 2009.5
レポーティング
Of
f
i
ce連携
DWHおよび BIシステムの性能検証
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ラボでは,ベンダ各社の協力のもと,
ソ
リ
ュ
ー
シ
ョ
ン
サ
ー
ビ
ス
を
極
め
る
よび分 析 ツール, E T L ( E x t r a c t ,
Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition(日本オラクル株式会社)
Transform and Load)ツール,DWH
関連製品を含むBA(Business Ana-
Hyperion Interactive Reporting(日本オラクル株式会社)
lytics)製品の市場は,2011年に9 933
億円になると予想されており,N T T
BusinessObjects XI 3.0(SAPジャパン株式会社)
MicroStrategy 8(マイクロストラテジー・ジャパン株式会社)
IBM Cognos 8 Business Intelligence(日本アイ・ビー・エム株式会社)
データはデータウェアハウス/ビジネス
インテリジェンス・ラボによるコンサル
ティングを契機に,同市場でのシステ
ム開発で200億円の売上を目指します.
Dr. Sum EA(ウイングアーク テクノロジーズ株式会社)
図4 用意しているBIツール環境
ります.
つに,レポート閲覧時のレスポンスが極
デモ構築のポイントは業務フローに即
端に悪く,結局システムが使われなく
したリアルな分析シナリオになります.
なってしまうということがあります.そ
これによりデモが単なるツール・デモで
こで,デモ環境にてDWHあるいは各種
なくなり,システム構築前後の利用イ
BIツールの性能を検証し,お客さまの
メージのギャップを解消するお客さまと
要求レベルに合わせたハードウェア,ソ
のコミュニケーション・ツールとなり
フトウェア構成を実現します.
ます.
(3) 分析コンサルティング
DWHを導入すると当然,蓄積され
(5) データモデル/分析レポートのテ
ンプレート提供
生産計画,販売・在庫管理,経営
たデータを経営に活用していきたくなり
管理,顧客管理,マーケティングなど,
ます.
これまでの事例を基に作成したデータモ
このようなお客さまには,KPI(Key
デル/分析レポートのテンプレートを提
Performance Indicator) 管 理 や業
供します.テンプレートを用いることで
務の「見える化」による経営課題の洗
効率よくデータモデルや分析レポートの
い出しや原因分析など,OLAPツール
作成を行うことができます.
による集計・分析をベースとしたコンサ
ルティングを実施します.これまでのコ
今後の展開
(後列左から)岡田
崇/ 加藤 元英
(前列左から)関根
純/ 中川 慶一郎
BIシステムを導入する場合,どのような
分析を行うかを事前によく検討することが
重要です.また導入後は,BIシステムを
使っていくことで新しく出てくるニーズに
対して,データモデルの保守・改善を行い,
より使えるBIシステムへと高めていく努力
が必要です.BIシステムは導入しただけで
は不十分で,活用のための弛まぬ努力をし
ていくことが経営改革につながるのです.
ンサルティング経験で蓄積された分析の
観 点 を援 用 することで, お客 さまは
NTTデータでは,このサービスを実
DWHをより有効に活用していくことが
施 することで, イノベーションをソ
できます.
リューションへと結びつけ,お客さまの
(4) DWHおよびBIシステムの性能
検証
BIシステム導入後に起こる問題の1
変革を強力にサポートします.
IDC Japan(http://www.idc japan.
co.jp/)の調査によれば,BIツールお
◆問い合わせ先
NTTデータ
技術開発本部
ビジネスインテリジェンス 推進センタ
TEL 050-5546-2297
FAX 03-3532-0488
E-mail bi.admin kits.nttdata.co.jp
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