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「 ベルギーの物価と ブリュージュ散策 」
「 ベルギーの物価と ブリュージュ散策 」 九州大学 大学院 経済学研究院 教授 ●○ ブリュージュの水郷巡り ○● 佐 伯 親 良 ルーバンに到着して、２ヶ月あまりが過ぎ、すで に年末である。日本でも秋から冬への移り変わりで 紅葉の季節葉終わろうとしているが、こちらでも、 １１月は暖かいところに住んできた者にとっては、 刺すように冷たい日々も続いた。周りの木々は、ほ とんど葉を落とし、冬支度を済ませたようである。 町ではすでにクリスマス用品を売る市も立っている。 週末多くの人でごった返すこれらの市は、さしずめ 東京のアメ横のような感があり、あちこちで暖かい ビールを片手に語らい品定めをしている姿がみられ る。今回は、はじめに少しベルギーの物価に関する 実感を述べよう。地域差があるにしても日本との比 較では、かなり安いように思える。野菜、果物など は物によって異なるが、例えば、ブドウ(マスカット 等)は１Kg 当たり、２５０∼５００円位で日本より ずっと安い。新鮮で美味しいものである。かんきつ 類はスペイン等からの輸入物であるが極めて安い。 ただ、魚介類に関しては、日本人の好きな種類はほ とんど無いので比較の仕様がない。肉類はこちらの ほうがかなり安い。ただ、牛肉の薄切り、霜降り肉 などは無いのですき焼きなどを食したい人は日本食 の店に行くことになり高くつくことになろう（ただ、 牛肉に関してはフランスなど狂牛病の問題が再燃し ている） 。我家では、通常の肉は硬いのでヒレ肉など を選択しているが、１００ｇ１５０円ぐらいである。 ビール、ワインなどは種類も多くかなり安い。金曜 日の５時にワークグループでビールを時々飲むこと があるが、一杯１００から２００円である。違いは 銘柄による。予断ではあるが、１００円のビールを 一杯飲ませるだけでこの店は成り立つのかなと心配 するくらいである。衣服類については品質もあるの でなんとも言えないが、それほど高くはないように 思える。光熱費は我家は家賃に込みなのでわからな い。電話代は必ずしも安くは無いが、国際電話をす る場合はキヨスク等で率の良い専用のカードを購入 することができる。これは、日本と違ってとても重 宝である。携帯電話は、日本ほどには普及していな いようである。週末を利用してどこかに出かけよう とすれば運賃が気になる。鉄道の切符代は週末往復 券を買えば半額となるので非常に安く利用すること ができる。物価水準の国際比較は色々難しい面があ るので断定はできないが、ベルギーの物価水準は総 じて日本より安いように思える。 週末を利用して、観光地ブリュージュに出かけた。 と、これと各地からピカソの絵を集めて展示会をし たものであるとのことであった。９時半の指定され ここはベルギーでもよく知られた観光地であるので た入場時間に間に合うべく高速道路をかなりのスピ 多くの旅行案内書に取り上げられているところであ ードで飛ばし美術館に着いた。見渡す限りの平原で り、アントワープと並んでフランドル地方を代表す あるから、日本のように高速道路を建設するのに山 る町でもある。 を崩してトンネルを掘ったりすることもあまり無く、 ルーバンからは電車で 1 時間半位 のところにあり、日本人の観光客も少なくない。若 建設、維持管理コストもかなり安くつくのだろう。 い人から年配の人たちも結構見られる。水路が張り 高い高速料金を支払うことも無い。1 時間あまりの 巡らされており、観光船で水郷を巡るのが人気であ ガイドつきツアーでピカソの多くの絵を見ることが る。船の発着場所は幾つかあり最寄りの場所を利用 できた。ブリュージュは北九州のようにオイルショ すれば良い｡ 写真のように場所によっては福岡の ック前は鉄鋼企業で反映していたところである。重 水郷、柳川が思い出されるところでもある。リング 厚長大産業の衰退とともに光を失い、今は、再開発 の中央には、市役所、教会、鐘楼のある塔がそびえ の途中のようであった。 ている。この塔は、狭い階段を３６６段ほど登るこ この間に、話題になっている大きな出来事は、な ととなるが、上の方ではほとんど一人しか利用する んと言ってもアメリカ大統領の選挙であろう。日本 ことはできず、時間差で昇降する。息を切らせて登 関連では、森内閣をめぐる問題が少し取り上げられ った時、美しいブリュージュの町を一望し、首尾よ ていた。注目されたのは、欧州、日本の年金問題、 く正午を知らせるカリヨンの音が聞ければ言うこと 環境問題であるが、これについては後日機会があれ なしである。中央から広がるこぎれいな商店街は、 ば述べたいとおもう。 モダンなものからレースやチョコレートのお店やさ んなどひしめいていて楽しめる。手の込んだきれい なレースの敷物は見るだけでも楽しくなるし、沢山 ★☆ 筆 者 紹 介 ☆★ 佐 伯 親 良 さえき ちかよし のチョコレート屋さんからは、いかにベルギー人が 九州大学 大学院 経済学研究院 教授 チョコレート好きであるかを知ることができる。 ブリュッセルより東の方にあるリエージュでピカ ソ展があるけど、２枚のキャンセルがでたので行か ないかと誘われた。ピカソは難しいので躊躇すると ころもあったが興味もあり参加することにした。な ぜ、ブリュージュでピカソなのだろうかと思った。 話によるとドイツ、ナチスの思想とピカソは相反し、 絵画が手放されたのをリエージュで収集したとのこ 専門分野 計量経済学 景気変動論 マクロ数量経済分析 所得分布論 計量経済モデル分析、景気指標の計量経済分析、所得分 布の計量経済分 221 析について研究をされています。計量経済モデル分析で は、マクロ経済学、ミクロ経済学の視点から日本経済の計 量経済モデルを構築され、シミュレーション分析を進めら れてきました。また、地域計量経済モデルの開発、分析に も力を注がれてきました。現在は、高齢化社会の及ぼす経 済的影響や、所得分布に関する研究において、規模別所得 分布に関する不平等度の尺度などに関心を寄せられていま す。 （九州大学のＨＰより）