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FAO (国際連合食糧農業機関) 日本事務所 所長 遠藤 保雄

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FAO (国際連合食糧農業機関) 日本事務所 所長 遠藤 保雄
【FAO (国際連合食糧農業機関) 日本事務所 所長 遠藤 保雄】
●遠藤
こんにちは。FAOの遠藤です。
先ほど市長がピースメッセンジャー都市、あるいは、国際都市横浜とおっしゃいまし
たけれど、このホールの外側に広がる横浜港、ここでどういった国際的なリンケージがあるかと
いうことをちょっとデータで見たところ、なんと 7,250 万トンの物資がここで輸出されています。
そのうち 13 パーセントの約 914 万トン、これが食糧や農産物です。このように横浜市は非常
にグローバル化が進んでいる都市だと思います。
そういう中で、世界においても、経済面、政治面、あるいは、社会活動面でいろいろグローバ
ル化が進んでおります。地球は活動を一体化させていると。
そういう中で、FAOは食生活、あるいは、産業活動上、世界で重要な食糧農業に関する問題
に取り組んできています。
それで、具体的にはどういった任務・役割を持っているかということですが、今、お話があり
ましたWFPとかなり近い関係です。WFPは短期的・緊急的な食糧援助に重点を置いています
が、FAOは中長期の食糧農業問題に取り組んでいます。
一つの役割は、世界の食糧農業のデータ収集と分析です。これは具体的に言いますと、世界の
穀物生産は約 20 億トンですが、そういった生産データ、あるいは、消費のデータ、貿易のデータ、
こういうものを集め、解析しています。
二番目は、食糧農業に関する政策フォーラムを提供して、いろいろ政策提言を行うということ
です。
三番目には、食の安全性とか品質について関心が高まっていますが、
食品規格を国際的に定める、あるいは、今後の農業の発展に必要な植
物遺伝資源の保全を進めていく、あるいは、人の健康や、環境に悪影
響を及ぼさないような形で農薬を管理していく、というように、食糧
農業に関する国際的なルールづくりをやっております。
以上に加えて重要な役割は、これはWFPがやっている役割に非常
に類似していますが――というのは、WFPとFAOというのは姉妹
関係にあるからですが――、WFPが短期の食糧援助に取り組む一方
で、FAOは、中長期的に、飢餓・貧困に苦しむ8億の人々のための
食 糧の増 産を 進める ため
の 農業開 発援 助に取 り組
んでいます。
ここではまず、なぜこう
いった飢餓・貧困が生じる
の かとい うの をちょ っと
考 えてい ただ きたい と思
います。要因は三つありま
す。
一つは、成長を拒む、経済条件の悪さです。アフリカ、これはアジアと違い「緑の改革」に失
1
敗しましたし、経済成長もなかなか軌道に乗らないという問題を抱えているところです。アフリ
カ以外でも、インドを除くブータンとかネパールとかスリランカ。こういうところも大きい経済
条件の、非常な問題を抱えています。
二つ目の要因は、災害とか疾病。
具体的にはアフリカの砂漠バッタ、
アジアでの鳥インフルエンザが蔓延
異常発生した、巨大な砂漠
いたしました。そして今回のインド
バッタの群れが飛び交う
洋の津波、さらにはバングラディシ
FAO/17918/M. De Montaigne
干ばつで乾いた地面
FAO/18851/ I. Balderi
ュなどでの洪水。これが
食糧の生産の基盤を破壊しています。
三つ目は内戦とか戦乱です。アフガ
ニスタンは 20 年間にわたって戦争が
続き、そして生産基盤がめちゃくち
ゃになり、麻薬の生産地に変わって
しまいました。東ティモールも同じような問題を抱えています。
スリランカも民族紛争がありました。スーダンのダルフールで
も内戦を抱えています。
以上の要因により結局は、農業
の生産基盤が破壊される傾向に
あり、このような問題を克服し、食料の安全保障の確保のために、
FAOは緊急に、そして中長期的に問題を抱える途上国を中心に食
糧増産援助に全力を注いでおります。
具体的には、開発援助、
「ODA」という言葉を聞いたことがある
かと思いますけれども、その開発援助資金を活用して、第一に、例
えばアフリカで「ネリカ米」、これは、アジアの高い収穫のお米と、
アフリカの病害に強いお米を結婚させて作ったお米ですが、その導
2
入により食糧増産の後押しを行っています。
第二は、「砂漠バッタ」
。これがアフリカのサヘール地域に蔓延しまして、この撲滅。
あるいは、アジアですと、カンボジアの貧農対策、あるいは、アジア全域での鳥インフルエン
ザ撲滅対策。
三番目は、昨年末から忙殺され
ておりますインド洋津波被害の
支援、こういうことを展開してい
ます。
もう一つは、「テレフード募金」。皆様方の募金を、FAOの食
糧増産援助のプロジェクトに使わせていただきまして、バングラディシュで
のミツバチ養成や、モンゴルでの子どもたちによる学校菜園、フィリピンで
の魚養殖、タイでの農村の女性やジェンダー問題を抱える女性の食品加工事
業、こういった事業を展開しています。
いずれにしましてもFA
Oは、皆様方の食生活の
改善、あるいは、世界の
農業問題に取り組んでい
ます。専門スタッフは
1,500 人、サポート・ス
タッフが 2,200 人、今も
世界各地で働いています。
今後とも御支援よろしく
お願いします。ありがと
うございました。
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